アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

「ありがとう,ライブドアブログ」! 「さらば,ライブドアブログ」!

 3月4月は分かれのシーズン! ということで3月末でアドリブログもライブドアから完全移転することになりました。

 ただし,まだまだブログの引っ越し作業は残っており,アドリブログの過去記事はワードプレスとライブドアの両方で読むことができます。
 つまり新記事はワードプレスだけで読むことができ,ライブドアで新記事の更新はしない,ということです。

 そしてワードプレスへの引っ越し作業が進むにつれて,ライブドアで読める記事数も少なくなっていきます。順次,過去記事が削除されていきます。きっといつかはこの記事を含めた数記事だけが残ることになるでしょう。
 なぜならば,グーグルの検索エンジンは「重複コンテンツ」を低評価する仕組みだからです。← 解説はしません。気になる方はググってみてください。

 ライブドアブログの読者の皆さん,スタッフの皆さん,これまで大変お世話になりました。心より感謝いたします。

 これまでの16年間「アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜」をご愛読いただき,本当にありがとうございました。

 これからは新ブログ「アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION」をよろしくお願いいたします。

新ブログ・フロントページ:
 『アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION』

新URL:  https://www.adliblog.org/ 

 アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

 さて,これがライブドアでの最終投稿。このまま何もなく終わっては読者の皆さんに失礼なのでは?
 タイムリーな時事ネタですが,最近はラジオネタを投稿していませんでしたが,土曜日の夜は面白いTVもないのでNHK−FM「セッション」を数年振りに聴いておりました。

 いや〜,懐かしい,と思っていた矢先に43年続いてきた名物番組がついに終了。あ〜あ。
 特に内容をチェックするわけでもなく「セッション2021」の最終回を最初から最後まで聴いていたら【RUN FOR COVER】が流れ出す。ウォーっ! 耳ダンボ!
 ベース櫻井哲夫のチョッパー炸裂! 渡辺香津美坂東慧の共演に大興奮! その中でも主役であろう伊東たけし本田雅人ツインアルトで「まさかの共演」!

 ガッツリ聴いていましたが,アレレ,何だか違う。いつもの本田雅人と何かが違う。「本田さん,不調,どうしたのだろう」と思ってHPを見てみたら,何と!本田雅人と紹介されていたほんだまさととはほんままさと本間将人さん!

 一文字違うのですが,ラジオで聞いている限り,ほん●まさとほんだまさと! 管理人のように絶対に本田雅人と聞き間違えたフュージョン・ファンは全国に10人はいる!? アナウンサーが鹿内孝だったらなぁ。こんな聞き間違いもなかったと思うんだけどなぁ。鹿内孝の司会時代のアーカイブまとめて公開してくれないかなぁ。記念式の夜だったからかなぁ。セラビーの名司会ぶりは鹿内孝レベルだったか?

 本田雅人さんと本間将人さん。音声だけを耳にすれば,同姓同名にして同じアルトサックス・プレイヤー。何となく「そっくりさん」とか「モノマネ芸人」を想像してしまいました。本間将人さん,申し訳ありませんでした。

 それにしても本間将人さん,度胸と根性ありますよね。プロとして演奏活動を継続する限り,必ず聞かれるであろう“天才”本田雅人の存在。
 テナーサックスに転向するわけでもなく本田雅人と被るのを承知でアルトサックス愛を貫き通すあたりに,本間将人さんを感じた次第です。

 これだからジャズはやめられない! これだからフュージョンはやめられない! だからアドリブログもやめられない!
 「ありがとう,ライブドアブログ」! 「さらば,ライブドアブログ」!

PS NHK−FM「セッション」の終了が痛くて残念でしょうがないのですが,3月4月の改編で個人的に残念なのが「とくダネ!」の小倉智昭さん。小倉智昭さんの最後の涙に(それまで小倉さんのこと好きでも何でもなかったのに)ポロポロでした。みんな頑張って〜!

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クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ / イン・コンサート完全盤5

THE BEST OF MAX ROACH AND CLIFFORD BROWN IN CONCERT!-1 クリフォード・ブラウンマックス・ローチの双頭コンボなのだから「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ」でもいいが「マックス・ローチ=クリフォード・ブラウン」でもいいじゃないか!

 しかし,ジャズメンの“格”からしてクリフォード・ブラウンの名前がマックス・ローチの名前より先に来るのが商業音楽としてのセオリー。
 マックス・ローチアート・ブレイキー級のジャズ・ジャイアントではあるが,如何せん,共同運営のパートナーがクリフォード・ブラウンであれば致し方ない。

 事実,クリフォード・ブラウンマックス・ローチの逆転現象が起きる前,クリフォード・ブラウンマックス・ローチの双頭コンボの結成当初は“格上”であるマックス・ローチの名前の方が先に来る「マックス・ローチ=クリフォード・ブラウン」であった。

 『THE BEST OF MAX ROACH AND CLIFFORD BROWN IN CONCERT!』(以下『イン・コンサート完全盤』)は,そんな「マックス・ローチ=クリフォード・ブラウン」時代のライブ盤である。

 クリフォード・ブラウントランペットが若々しい! クリフォード・ブラウンが「スター街道を一直線に登り詰める」過程が一部始終記録されている。
 この時期のクリフォード・ブラウントランペットからは「日進月歩」のような勢いが感じられる。きっと次回のコンサートでは今回のコンサートの何倍も良い演奏を聴かせてくれたに違いない。何の根拠もないのだが,少しの疑いもなくそう確信させてくれる,若々しいトランペット
 とにかく,こんなにもドキどき&ワクワクさせてくれるクリフォード・ブラウンはそう滅多に聴けやしない。

 しか〜し,そんな上り調子のクリフォード・ブラウンをもってしても,マックス・ローチの“爆裂ドラミング”を前にしては「影の主役」である。

 ドンドンドン,ドンドン,ドンドコドンドコ,ドドドドド・・・陶酔の世界に誘うマックス・ローチの“爆裂ドラミング”が『イン・コンサート』の主役である。
 『イン・コンサート完全盤』の全8トラックの中で長めのドラムソロが入っているのは【JOR−DU】【I GET A KICK OUT OF YOU】【PARISIAN THOROUGHFARE】【ALL GOD’S CHILLUN GOT RHYTHM】【CLIFFORD’S AXE】の全5トラック。
 そう。『イン・コンサート』の時点では,マックス・ローチクリフォード・ブラウンの頭を抑えている構図。

 マックス・ローチの“爆裂ドラミング”はドラムソロだけではない。バッキングでも目立っていて完全にバンドの仕切り役。
 管理人が『イン・コンサート完全盤』を愛聴する一番の理由は,後の「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ」の名盤群にはないマックス・ローチのラフな演奏にこそある。

THE BEST OF MAX ROACH AND CLIFFORD BROWN IN CONCERT!-2 マックス・ローチって,数多くの歴史的名盤に顔を出すビッグ・ネームの1人であるが,そのドラミングは大抵が大仰であって,がっついた感じなのに,絶対に破綻しない構成美が素晴らしい。

 逆に言えば,勢いと音圧は申し分ないものの,理知的な演奏が前面に出ていて,天性のと言うか,野性のノリが物足りない。加えて自分のリーダー作となれば,共演者にもカッチリ感を求める傾向が見え隠れしている。本当は『イン・コンサート完全盤』の人なのに…。

 『イン・コンサート完全盤』のマックス・ローチライブ盤ゆえに,野生のノリが知性に勝って,いつものセーブが効いていない。カッチリ感がいい塩梅に破壊されている。いい意味で隙があるのだ。

 そんな大ボスの隙を付いてクリフォード・ブラウンアドリブを決めている。いつもは優等生のイメージがあるクリフォード・ブラウンが,ほんの少しだけ不良っぽくなることにより『イン・コンサート完全盤』は,完璧な演奏の積み重ねだけでは絶対に表現することのできない“ジャズっぽさ”が付加されて「永遠の名盤」へと昇華した。

 クリフォード・ブラウンマックス・ローチの双頭コンボには『イン・コンサート完全盤』より良質の演奏がたくさんある。
 しかし,クリフォード・ブラウンマックス・ローチの双頭コンボに『イン・コンサート完全盤』以上に“ジャズっぽさ”を感じさせるアルバムもない。

 管理人の愛聴するクリフォード・ブラウンとは,管理人の愛聴するマックス・ローチとは『イン・コンサート完全盤』の中に全てある。

 
01. JOR-DU
02. I CAN'T GET STARTED
03. I GET A KICK OUT OF YOU
04. PARISIAN THOROUGHFARE
05. ALL GOD'S CHILLUN GOT RHYTHM
06. TENDERLY
07. SUNSET EYES
08. CLIFFORD'S AXE

 
MAX ROACH ALL-STARS WITH CLIFFORD BROWN
MAX ROACH : Drums
CLIFFORD BROWN : Trumpet
TEDDY EDWARDS : Tenor Saxophone
HAROLD LAND : Tenor Saxophone
CARL PERKINS : Piano
RICHIE POWELL : Piano
GEORGE BREADSAW : Bass
GEORGE MORROW : Bass

(GNP/GNP 1954年発売/KICJ-246)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/ジーン・ノーマン,野口久光,大和明)

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TRIX / PRESENT5

PRESENT-1 TRIXの“最高傑作”が『PRESENT』である。

 『PRESENT』の何がそんなにいいかと言えば,まず曲がいい。でもTRIXにはたくさんの名曲が他にもある。
 次に演奏がいい。加入4作目となり佐々木秀尚が完璧にフィットしたからだろう。でもTRIXには,平井武士との第一期,菰口雄矢との第二期,窪田宏との第三期にもたくさんの名演が他にもある。

 ズバリ『PRESENT』の何がそんなにいいかと言えば,メロディーや超絶技巧うんうんではない。それは全体の雰囲気のことであり,笑顔ならぬ“笑音”で満ち溢れている状態にある。
 とにかく『PRESENT』の“笑音”こそがTRIXそのものだと断言できる。『PRESENT』の“笑音”こそがTRIXの真髄の極みなのである。

 TRIXのメンバー4人が全員笑顔で演奏している。一音出しては爆笑している。ちょっと演奏しては「笑い転げて」止まってしまう。やることなすこと全てがメンバー4人のツボにハマった音楽が『PRESENT』なのである。
 『PRESENT』のレコーディング中は,それは演奏するのが楽しくて楽しく,寝食を忘れてしまったかも? 「三度の食事より音楽が好き」状態なハイテンション・レコーディング。コロナ禍だったし美味しいデリバリーは取ったでしょうね。「三度の食事より一日五回のデリバリー」。うん。

PRESENT-2 『PRESENT』を聴いていると,今が新型コロナウイルス感染症の真っ只中,だということを忘れてしまう。こんなにもHAPPYな音楽はビフォー・コロナの音世界とも取ることができる。
 しかし,TRIXとしては,T−スクェアが「日本もこれから元気になりましょう。羽ばたき続けましょう」という意味で「震災復興応援盤」『WINGS』を作った時と同じ心境だったのだと思う。

 そう。『PRESENT』とは,毎日必死にコロナ禍と戦う世界中の人々に贈られたTRIXからのプレゼント
 明るく楽しくポジティブな楽曲が続く「ハッピー&ピースフル」な『PRESENT』こそが,世界一の「コロナ禍応援盤」である。在宅の時間が長くなり,そのせいでいつも以上にCDを聴いているのだが,管理人が2021年に一番聴いたアルバムこそがTRIXの『PRESENT』である。間違いない。

 コロナ疲れには「ビタミン・TRIX」が効果的である。人との距離は保っても心の距離は置かないのが「ビタミン・TRIX」。メンバーとファンとの心の距離は確実にコロナ前よりも縮まっている。
 そんなに大きくはないTRIXメンバーとファンとのコミュニティーは,超密集で蝶密接。でも密閉ではありません。だって『PRESENT』は世界中の人々に向けてOPENに開かれています。もっともっと大勢の音楽ファンに集まってきてほしいものです。「ビタミン・TRIX」は絶対に心に届くから!

PRESENT-3 コロナ禍に加えて,もう1点『PRESENT』が“TRIXの全部出し”になった理由が,前作『ECCENTRIX』の反動があるように思う。
 「そこまでやるか!」的な凝りに凝りまくった『ECCENTRIX』の「やり尽くした感」が『PRESENT』の小細工なしの,ナチュラルでストレートなサウンド・カラーに繋がったと思う。

 仮に第四期TRIXが2作続けて『ECCENTRIX』路線で攻めて来たら,コロナ以上の大打撃「ビタミン・TRIX」などではなくなるから〜。聴いているTRIXファンはたまったものじゃないすから〜。
 熊ちゃん,願わくば『ECCENTRIX』路線と『PRESENT』路線を交互にお願いしたいものです。

PS 「PRESENT-3」は販促用のステッカーです。

 
01. プレゼント
02. TERMINAL
03. AI
04. てぶくろ
05. 戦士 (T-8000)
06. ULTRASONIC VIBRATION
07. SPRIGHTLY
08. WEDELN
09. GOODEEE

 
TRIX
NORIAKI KUMAGAI : Drums
MITSURU SUTOH : Bass
HIDEHISA SASAKI : Guitar
AYAKI : Keyboards

(キングレコード/KING RECORD 2020年発売/KICJ-841)

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ドン・チェリー / 永遠のリズム5

ETERNAL RHYTHM-1 フリージャズの最大の成果とは集団即興演奏の絶対領域を拡大したことであろう。
 フリージャズ以前のモダン・ジャズとは,アメリカやアフリカ発祥のブルースであり黒人の音楽であったのだが「何でもあり」のフリージャズの登場は後の「ワールド・ミュージック」の走りとなった。

 ドン・チェリーの『ETERNAL RHYTHM』(以下『永遠のリズム』)は,ジャズ・ファンの耳を民族音楽にまで向けさせた歴史的な名盤である。
 『永遠のリズム』を聴いていると,ジャズという音楽をアメリカの黒人音楽といった狭い視野から眺めることなど許されない気分になる。アフリカは勿論,中近東,インド,東アジアなどの民族音楽の方にこそ,ジャズ発祥以前のジャズ,を感じると言うものだろう。

 さて,バリ島のガムランにヒントを得て『永遠のリズム』を録音したドン・チェリーであるが『永遠のリズム』から聴こえてくるのは,多種多様な楽器からなる縦糸と多種多様なリズムからなる横糸である。つまりは1つずつの独立した楽器として識別されることのない音の固まりであり,幾つものリズム・パターンの同時進行である。
 思うにドン・チェリーが民族音楽に接近した目的とは,民族音楽の中に“すでに完成されたフリージャズ”が存在していることに気付いたからであろう。

 古くて新しい集団即興演奏。それは古くて新しいリズムのことである。『永遠のリズム』におけるドン・チェリーの主張とは「リズムの氾濫こそがメロディーそのものである」という主張であった。「ジャズの命とはリズムであって,クリエイティブなリズムはメロディーにすら成り得る」ことを証明するための実験であった。
 そんな「リズム至上主義」を実践したのが,打楽器奏者ではなくコルネット奏者のドン・チェリーだったことが最高に素晴らしい。感動物語である。

 ドン・チェリーは『永遠のリズム』の中でコルネットも吹いてはいるが,メイン楽器は4種類のフルートを駆使したヘビ使いのような“笛”である。口に2本のマルチ・リードを銜えて“笛”を吹き鳴らしている。ドン・チェリーが何とも無垢で無邪気な音を吹いている。
 しかし『永遠のリズム』に限っては,管理人の脳裏に浮かぶドン・チェリーの演奏シーンとはパーカッション奏者としてのドン・チェリーである。

 元来は金管奏者なのだからドン・チェリーが叩き出すリズムは,ビートではなく単発で連続照射される「パルス」のようなリズムである。「パルス」なのだから『永遠のリズム』なのである。
 コルネット奏者のドン・チェリーのイメージはシリアス。だけどパーカッション奏者のドン・チェリーはあっけらかんとしている。

ETERNAL RHYTHM-2 ドン・チェリーのガムランの扱い方はバリ島の民族音楽の文脈からは離れている。単純に楽器の1つとしてガムランを使いこなしより深い場所で鳴らしている。

 そう。ドン・チェリーの狙いとしては,真剣にガムランの演奏に取り組んだわけではない。フリージャズには珍しい,面白いサウンド・エフェクトの1つとして民族楽器を試しに用いてみたという軽い感じ?

 とりとめもない気分の推移をそのまま体現しているような,ドン・チェリーのガムランには,構成意識は希薄ながらも集団即興演奏としての出口が行き詰った時に「打開策」として響き渡るドラのようなものなのだと思う。
 素朴で土着的な民族楽器の音色がフリージャズの難解さや異様さを丁度良い塩梅へと調和してくれている。

 一定の演奏様式に囚われる傾向が強いフリージャズにおいて『永遠のリズム』の自由闊達さが見事である。
 古くて新しい集団即興演奏と古くて新しいリズム,そして民族音楽もブルースもカーニバル風な音楽の素材が「パルス」というキーワードで見事にまとめ上げられている。

 本当に集団即興演奏でここまでできるものなのか? アルバム・タイトル『永遠のリズム』は伊達ではない! 『永遠のリズム』のドン・チェリーが無茶苦茶にカッコ良い!

 
01. ETERNAL RHYTHM PART I
02. ETERNAL RHYTHM PART II

 
DON CHERRY : Cornet, Gender(Gamelan), Saron(Gamelan), Bengali Flute, Bamboo Flute, Metal Flute, Plastic Flute, Haitian Guard, Northern Bells, Voice
ALBERT MANGELSDORFF : Trombone
EJE THELIN : Trombone
BERNT ROSENGREN : Tenor Saxophone, Oboe, Clarinet, Flute
SONNY SHARROCK : Guitar
KARL BERGER : Vibes, Piano, Gender(Gamelan)
JOACHIM KUHN : Piano, Prepared Piano
ARILD ANDERSEN : Bass
JACQUES THOLLOT : Drums, Saron(Gamelan), Gong, Bells, Voice

(MPS/MPS 1969年発売/UCCU-5184)
(ライナーノーツ/ヨアヒム・E・ベーレント,高井信成,今井正弘)

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TRIX / ECCENTRIX4

ECCENTRIX-1 実に濃厚な音楽である。細部まで綿密に作り込まれたアルバムである。TRIXの「本気で本気な」アルバム,それが『ECCENTRIX』である。

 管理人は知っている。TRIXはいつだって全力で音楽活動に取り組んできたことを…。
 熊谷徳明TRIXのために命を削っている。でもそんな,裏で血の滲む努力をしている姿を見せるのはカッコ悪いと思っている。難易度の高いことを涼しい顔してやってのけるのがカッコ良いと思っている。

 だから本当は超真面目な性格なのに,わざとチャライ・キャラを演じつつ,お茶目な振り付けをキメながらバカテクをキメまくる。これがTRIXのポリシーである。

 そう。例えるのならTRIXは芸能人である。TRIXは新庄剛志のようなフュージョン・バンドなのである。才能だけではない。パフォーマンスだけではない。人の見えない所で人一倍努力しているフュージョン・バンドなのである。

 そんなTRIXがバンド結成15年目にして初めて見せる「本気で本気な」TRIXが『ECCENTRIX』である。
 大量のオーバーダビングを繰り返し重ねている。従来ならカットしていたものであっても,少しでも良いと思えるもの要素があるのなら,相性など考えずに容赦なく全部詰め込んでいる。裏の努力を全部人前にさらして見せてきた。
 
 だから「本気で本気な」TRIXに圧倒されてしまった。だから『ECCENTRIX』に圧倒されてしまった。マジで物凄いアルバムである。
 『ECCENTRIX』は「顔はTRIX。中身はDIMENSION」と呼べる,今後の転機となるかもしれないアルバムだと思う。

 TRIXが今後も『ECCENTRIX』路線で攻めてきたらDIMENSIONのポジションがヤバイッ。
 でもDIMENSIONを攻略するにはまだ数年かかる。DIMENSIONが本気で築いてきたものを,そうたやすく真似することなどできるはずもない。
 事実「本気で本気な」TRIXは認めるが『ECCENTRIX』は,完成途上の力作という感じ。管理人の総合評価は星4つである。

 『ECCENTRIX』のテーマは「昆虫」である。TRIXで「昆虫」と来れば【クワガッタン】だったのだが『ECCENTRIX』で「TRIXの「昆虫」=【クワガッタン】」が上書きされた。

 そう。『ECCENTRIX』とは「昆虫大百科」のテーマ・ソング集である。全体の傾向としてはフュージョンよりロックに寄っている。全曲リーゼント・スタイルの「昆虫」が図鑑から飛び跳ねている感じ?

ECCENTRIX-2 今年の夏は天道虫を見つけたらYMOが流れてくるし,トンボを見つけたら唸るギターが流れてくるし,みんみん蝉ならシャッフル・ドラムが流れてくるし,逆に今まで生で見たことのない雪の天使に「韓流ドラマ」をイメージしたし,南米にだけ生息するヘラクレスオオカブトの写真を見るとガッツを感じた。

 そんな「昆虫大百科」の『ECCENTRIX』のハイライトが【ルリタテハの飛翔】である。TRIXらしさと対極にある,静かでシリアスで壮大でドラマティックな「世紀の大曲」!
 蝶の一生である「卵→幼虫→蛹→成虫」という完全変態がドラマ仕立ての映画を見ているように思えてしまう。凄いぞ,「本気で本気な」TRIX

 最後に王道のギターフュージョンど真ん中な【BEETLE TRAIN】が路線違いでポツンと収録。
 “爽やか系”の【BEETLE TRAIN】がメチャクチャ好き。“爽やか系”の佐々木秀尚の魅力爆発な推しナンバーである。

 
01. 中国天道虫
02. 極楽トンボ
03. 涙のみんみん蝉
04. 雪の天使
05. Hercules
06. バッハの隣
07. ルリタテハの飛翔
08. マグナムモスキート
09. Beetle Train

 
TRIX
NORIAKI KUMAGAI : Drums
MITSURU SUTOH : Bass
HIDEHISA SASAKI : Guitar
AYAKI : Keyboards

(キングレコード/KING RECORD 2019年発売/KICJ-829)

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ゲイリー・バートン / グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ4

FOR HAMP, RED, BAGS, AND CAL-1 『FOR HAMP,RED,BAGS,AND CAL』(以下『グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ』)は,ゲイリー・バートンが4人のヴィブラフォン奏者へ捧げたトリビュート・アルバムであるが,そんな知識は抜きにしてテイストとしては有名ジャズスタンダード集そのものである。

 ゲイリー・バートンのアルバムは,そのどれもが“一癖も二癖もある”聞き応えのある名盤ばかり。本命はチック・コリアとのデュエットなのだが『CRYSTAL SILENCE』『DUET』『IN CONCERT,ZURICH,OCTOBER 28,1979』はパワーを奪われる。聴いているだけでもエネルギーを消耗する。

 だから日常的にゲイリー・バートンを聞くことはないのだが『グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ』だけは,なんだかんだでつい聞いてしまう。まったりした感じでくつろいで楽しめる。
 個人的にはゲイリー・バートンの中で一番聞いた回数が多いのが『グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ』だと思う。

 そんな“癒し系”の『グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ』なのだが,演奏の厳しさを排除して,適当に聞き流せるリラックスした音造りはゲイリー・バートンの狙い通りとして,もう1つ,ゲイリー・バートンが狙ったのはオマージュした4人のヴィブラフォン奏者,ライオネル・ハンプトンレッド・ノーヴォミルト・ジャクソンカル・チャーダーの個性的な雰囲気の再現にある。

 選曲にしてもライオネル・ハンプトンレッド・ノーヴォミルト・ジャクソンカル・チャーダーの代表曲が選ばれているし,レッド・ノーヴォへのオマージュ曲ならドラムレスでギター入りといった編成にもこだわっている。アレンジも崩しすぎることはなく,4人の偉人の演奏イメージに自らを重ねた演奏にゲイリー・バートンオマージュが感じられる。

 ゲイリー・バートンの偉人への深い敬意が共演者にも伝わっているのだろう。マルグリュー・ミラー小曽根真ダニーロ・ペレスラッセル・マローンクリスチャン・マクドナルドジョン・パティトゥッチホラシオ・ヘルナンデスルイス・ナッシュルイス・クインテーロのビッグネーム軍団も,自分を捨てて楽曲の良さを引き出す演奏に徹している。

FOR HAMP, RED, BAGS, AND CAL-2 ゲイリー・バートン自身も「黒子」を演じているのだが,共演者たちはさらに「黒子の黒子」を演じている。
 だから本当はスタイルの異なる4人の偉人たちのヴィブラフォンゲイリー・バートンヴィブラフォンに昇華され,個性の違う楽曲が違和感なくまとめられている。
 ゲイリー・バートンクリスタルなカラーに温かみが加味された,柔らかなヴィブラフォンが美しく響いている。素晴らしい。

 きっと管理人が『グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ』を繰り返し聴いてしまう理由がそこにあるのだろう。この辺のニュアンスは文章で書き表わすのは,伝えたいのに伝えきれない。

 『グレイト・ヴァイブス〜ハンプ,レッド,バグス,カルに捧ぐ』の主役はゲイリー・バートンではない。ライオネル・ハンプトンレッド・ノーヴォミルト・ジャクソンカル・チャーダーの再ブレイク作として聴き続けられるべき名盤だと思う。

 
01. AFRO BLUE
02. BAGS' GROOVE
03. MOVE
04. MIDNIGHT SUN
05. FLYING HOME
06. DJANGO
07. BACK HOME AGAIN IN INDIANA
08. BODY AND SOUL
09. GODCHILD
10. JOAO
11. HOLE IN THE WALL
12. DANCE OF THE OCTOPUS

 
GARY BURTON : Vibraphone, Xylophone, Marimba
MULGREW MILLER : Piano
MAKOTO OZONE : Piano
DANILO PEREZ : Piano
RUSSELL MALONE : Guitar
CHRISTIAN McBRIDE : Bass
JOHN PATITUCCI : Bass
HORACIO HERNANDEZ : Drums
LEWIS NASH : Drums
LUIS QUINTERO : Percussion

(コンコード/CONCORD 2001年発売/VICJ-60733)
(ライナーノーツ/ニール・テッセール,小川隆夫)

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