アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

本田 竹曠 / シー・オール・カインド4

SEE ALL KIND-1 本田竹曠ジャズ・アルバムにしてソロピアノ・アルバム『SEE ALL KIND』(以下『シー・オール・カインド』)を聴いて,個人的に感じたことが2つある。
 それは本田竹曠は,根っからのジャズメンではないということ。本田竹曠は,根っからのピアニストではないということ。

 ズバリ,本田竹曠という人はジャズではない。これは本田竹曠フュージョン本田竹曠=「ネイティブ・サン」と言いたいわけではない。
 たまたま本田竹曠の表現手法がジャズであっただけのことで,ジャズで何かを表現しようと思っている人ではないと思う。

 そうでなければ『シー・オール・カインド』での“空っぽな”ジャズスタンダード集なんて作らない。
 『シー・オール・カインド』の演奏には,特に目新しさも感じないし,これぞ渡辺貞夫グループ出身のジャズピアニスト,と唸らされる部分もない。

 「期待値の高い」管理人の予想に反して,ごくごくノーマルで平坦なアレンジ,素直なピアノ演奏が続いている。既発のジャズスタンダードに「一石を投じる」気持ちなんて微塵もない。
 ジャズスタンダードの一ファンとして,本田竹曠が気持ち良くピアノで美メロを弾き上げる。その繰り返しで6曲目まで粛々と進行して行く。

 駄盤だったか,と諦めかけたその時,7曲目の【SEE ALL KIND】が“堰を切ったように”流れ出す。これまでも鬱憤を晴らすようにピアノが生き生きと“歌い始める”。

SEE ALL KIND-2 もの凄い熱量である。もの凄い勢いに押し倒されてしまう。あらかじめ作曲されていたのだろうが,即興演奏のように,鍵盤の奥から奥から“生まれたての音”が次々と飛び出してくる。感情を揺さぶってくる。

 ポジティブな性格で多少のことは気にしない管理人。だから落ち込むことはほとんどないのだが,多忙が続くと疲れ切ってしまうことはたまにある。深夜に帰宅しシャワーを浴びて速攻眠るだけの日が年に数日かある。 
 そんな夜に【SEE ALL KIND】が聴きたくなる。疲れた身体が「パンチの効いた」【SEE ALL KIND】を欲してくる。ビタミン剤というよりも栄養ドリンクのような存在である。

 管理人にとって【SEE ALL KIND】を聴くという行為は,点滴してもらうことと等しい。【SEE ALL KIND】に,明日へのパワーをもらっている。

 
01. Mystery Circle〜Stella By Starlight
02. Summertime
03. Ku Ongea
04. In A Sentimental Mood
05. I Thought About You
06. Left Alone〜Slim Is Gone
07. See All Kind

 
TAKEHIRO HONDA : Piano

(ファンハウス/FUN HOUSE 1991年発売/FHCF-1171)
(ライナーノーツ/槙悟郎)

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ビル・エヴァンス / レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京5

LET THE JUICE LOOSE〜BILL EVANS GROUP LIVE AT BLUE NOTE TOKYO-1 現代アコースティックジャズ名盤SUMMERTIME』から数カ月もしないうちに録音&発売された,サックスビル・エヴァンスの“最高傑作”が『LET THE JUICE LOOSE〜BILL EVANS GROUP LIVE AT BLUE NOTE TOKYO』(以下『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』)である。

 『SUMMERTIME』のビル・エヴァンスは本当に素晴らしかった。しかし『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』を前にすると,前作とは全くの別人格のビル・エヴァンスと思えるくらいの充実度である。
 ゆえに管理人は『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』については「第三のビル・エヴァンス」と読んで区別している。

 ジャズサックスビル・エヴァンスフュージョンサックスビル・エヴァンスが凌駕していく。
 特に『SUMMERTIME』からの再演となる【LET’S PRETEND】と【KWITCHUR BELIAKIN】を聴き比べてみると「第二のビル・エヴァンス」と「第三のビル・エヴァンス」との“色の違い”が良く出ている。

 サイデメンの違いも甲乙付け難いし,ジャズサックスフュージョンサックスも分け隔てなく両方大好きなはずなのだが,管理人の好みは『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』の一択である。

 『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』のビル・エヴァンスに「のめり込む」! と書くよりもテナーサックスビル・エヴァンスに「のめり込む!」と書くのが正解であろう。

 ソプラノサックス中心の『SUMMERTIME』と比較して『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』のビル・エヴァンスは「本職」であるテナーサックスを中心に吹きまくっている。

 ビル・エヴァンステナーサックスの系統は「渋め」路線にあると思う。時に「枯れた」テナーサックスには,風格さえ漂っている。
 そんなビル・エヴァンスブルーノート東京の良質な観客の反応に乗せられて,バリバリに乾いた音色でテクニカルに吹き上げた際のオーバートーン! いや〜,こんな音色をライブ会場で実際に聞かされたら,正気ではいられなくなる。もう“アゲアゲ”状態である。

LET THE JUICE LOOSE〜BILL EVANS GROUP LIVE AT BLUE NOTE TOKYO-2 そこにデニス・チェンバースドラムが被さって来て,ダリル・ジョーンズベースまでもが被さって来る! ウォーッ! マジかよ学園!
 これぞ,グルーヴである。実にクリアーな音を聴かせるリズム隊である。「言語明瞭,意味不明瞭」なタイトなグルーヴに身体全体が熱くなる!

 『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』を聴いて感じる高揚感からの恍惚感! それでいて『SUMMERTIME』より軽いので,聴き終わった時に疲れを感じることもない。
 この辺りに,世間ではビル・エヴァンスサックスを,ジャズではなくフュージョンでもなくロックである,と感じる人がいる理由が隠されているのだろう。「渋め」&「枯れた」テナーサックスなのに体幹としては「若々しい」のだ。

 『レット・ザ・ジュース・ルース〜ビル・エヴァンス・ライヴ・アット・ブルー・ノート東京』を聴いて以降,マイルス・デイビスの『THE MAN WITH THE HORN』でビル・エヴァンスと共演した,バンドを引っ張るマーカス・ミラーの超絶ベースを聴く度に,後のダリル・ジョーンズのヘビーなベースを思い浮かべるようになりました。

 
01. Let the Juice Loose
02. Hobo
03. My Favorite Little Sailboat
04. Let's Pretend
05. In the Hat
06. Ginza
07. The Wait
08. Kwitchur Beliakin

 
BILL EVANS : Soprano Saxophone, Tenor Saxophone
CHUCK LOEB : Guitar
JIM BEARD : Keyboards
DARRYL JONES : Bass
DENNIS CHAMBERS : Drums

(ジャズシティ/JAZZCITY 1990年発売/POCY-00054)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
(サンプル盤)

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浪花エキスプレス / ノー・フューズ5

NO FUSE-1 カシオペアスクェアの「2強」だけではJ−FUSIONはここまで盛り上がらなかったと思っている。
 ここにキレイ目でもPOPでもない,松岡直也MALTAプリズムが絡んでいたからこそ,J−FUSIONがブームとなったと思っている。

 でもなんだかんだ言っても上述した5組の個性はそれぞれ異なっているものの,大きく分けると全部が全部「東京」である。シャカタクレベル42の「ブリティッシュ・ジャズ・ファンク」が,あれだけ盛り上がったのも,そこにアイスランドのメゾフォルテとオランダのフルーツケーキがいたからである。

 そんな「東京」のJ−FUSIONに立ち向かったのが「上方フュージョン」勢であり,その代表格が浪花エキスプレスであった。
 浪花エキスプレスの「スタイリッシュではない,パワー系の一発勝負インスト」が存在したからこそ,J−FUSIONがあそこまで盛り上がったのだ。

 そう。浪花エキスプレスの「異質な個性」が,カシオペアスクェアの音楽性を刺激して,磨き上げた張本人である。浪花エキスプレスの「異質な個性」が,フュージョン・ブームを“巻き起こした”張本人である。

 風貌からして,爽やか系ではなく野生児集団だったし,目玉はフロント陣ではなくリズム隊だったし,音楽性にしてもライトではなく重厚であった。
 要は「野暮ったい」&「泥臭い」田舎の実力者連合が全国進出してきた形。だ・か・ら&そ・ん・な・浪花エキスプレスが大好きだった。

 『NO FUSE』(以下『ノー・フューズ』)は,そんな浪花エキスプレスデビュー・アルバム。
 カシオペアスクェア等の「東京」のフュージョンとは明らかに違う“ガテン系”フュージョンの一番手であろう。

 清水興ベース東原力哉ドラムが「今も昔も」バンド全体を引っ張っていく構図は変わらないが『ノー・フューズ』におけるバンド・メンバーのクレジットは,青柳誠岩見和彦中村健児清水興東原力哉の順番である。
 バンドの紹介として最初にコ−ルされるのは,清水興東原力哉ではなくフロント陣という事実。作曲も全曲フロント3人の提供曲である。

 思うに『ノー・フューズ』の時点では,プロデューサーの伊藤八十八は,浪花エキスプレススクェアのように“メロディー推し”で売り出そうとしていたように思う。
 浪花エキスプレスの代表曲である,1曲目の【ビリービン】なんて本当に綺麗な名曲である。バンドの方針として青柳誠岩見和彦中村健児が作る美メロをフィーチャーした“メロディアスなNANIWA”としても十分に売っていけたと思う。

NO FUSE-2 しかし,5曲目の【高野サンバ】がそうであるように,どんなに豪華な上物が乗ろうともリズムの方が前に出てしまう。「頭隠して尻隠さず」的なNANIWAの個性がどうしても出てしまっている。

 これは音量とかミキシングの問題などではない。ベースドラムが暴れれば暴れるほどギターキーボードが歌いまくる相互関係。伊藤八十八も「NANIWAの体内に手を入れる」行為は『ノー・フューズ』1作だけであきらめたと読む。

 百戦錬磨の伊藤八十八をさえ,超重力級のパワーで説得した浪花エキスプレスのパワー・フュージョン。でもその実,青柳誠岩見和彦中村健児が奏でる“メロディーの美しさ”に多くのフュージョン・ファンが説得されたのも紛れもない事実なのである。

 キャッチーなメロディー,テクニカルな演奏,圧倒的な野生のビート。その全て兼ね備えた,非主流派の「上方フュージョン」出身バンド,「記録よりも記憶に残る」浪花エキスプレスの存在抜きにJ−FUSIONは語れやしない。

 
01. BELIEVIN'
02. THE STATE OF LIBERTY
03. BETWEEN THE SKY AND THE GROUND
04. BLUE WILLOW
05. THE KOYA-SAMBA
06. FIELD ATHLETOR
07. FOR MY LOVE

 
NANIWA EXPRESS
MAKOTO AOYAGI : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Rhodes Electric Piano, Hohner Clavinet, Korg Trident Synthesizers
KAZUHIKO IWAMI : Electric Guitars
KENJI NAKAMURA : Mini-Moog, Prophet 5, Kenjitar, Korg Trident, Roland Vocorder-Plus, System 100 & 100M Synthesizers, Acoustic Piano, Rhodes Electric Piano
KOH SHIMIZU : Electric Bass
RIKIYA HIGASHIHARA : Drums

ARAKAWA BAND
TATSUHIKO ARAKAWA : Tenor Saxophone
SHIGEO FUCHINO : Tenor Saxophone, Baritone Saxophone
OSAMU SHIOMURA : Trombone
HITOSHI OKANO : Trumpet
TOSHIO ARAKI : Trumpet
KIYOSHI KAMADA : Drums (right channel)

SWEET AREA
SHUZOH HIRAYAMA : Percussion
KUNITSUGU HIRAYAMA : Percussion
SHINGO "CARLOS" KANNO : Percussion

KAZUHIRO MISHIMA : Surudo, Cuica
MARLENE : Vocals

(CBSソニー/CBS/SONY 1982年発売/CSCL 1288)
(スリムケース仕様)
(ライナーノーツ/岩浪洋三,白藤丈二)

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ビル・エヴァンス / サマータイム5

SUMMERTIME-1 ジャズ界にはビル・エヴァンスが2人いる。
 このように書くと“ジャズの巨人”ピアノビル・エヴァンスと比較される,もう1人のビル・エヴァンスがかわいそうと思うなかれ!

 確かにピアノビル・エヴァンスと比較すると「じゃない方」には小者感が出るのであるが,どうしてどうして…。
 その「じゃない方」のビル・エヴァンスも,マイルス・デイビス・バンドのメンバーなのである。ビル・エヴァンスと来れば,あなたはどっちのビル・エヴァンスを連想されますか?

 その「じゃない方」のビル・エヴァンスとはサックス奏者のビル・エヴァンス
 『SUMMERTIME』(以下『サマータイム』)は,そんなビル・エヴァンスの純ジャズ・アルバムである。

 普段のビル・エヴァンスの主戦場はジャズ系ではなくフュージョン系なのだが『サマータイム』のビル・エヴァンスジョン・コルトレーンを超えていく。
 そう。ビル・エヴァンスのルーツは間違いなくジャズにある。

 【MY SHIP】【SUMMERTIME】【ALL OF YOU】【JITTERBUG WALTZ】のジャズスタンダードにおけるストレート・アヘッドな演奏からは,ビル・エヴァンスが持つ豊かなハーモニー・センスと繊細なニュアンス表現に“うっとり”させられてしまう。

 スタンダードの解釈がポップに響いているのは,これぞフュージョン系の真骨頂だと100%受け入れる。
 斬新なスタンダード集として「一喝」するギリギリの線で,JAZZYなアドリブが入ってくるから100%受け入れる。
 フュージョンの仮面を被った“ジャズメン魂”の「チラミセ」が,いやらしくなく,わざとらしくない。

SUMMERTIME-2 仮にビル・エヴァンスが『サマータイム』のアコースティック路線を続けていたら,冗談ではなく,ビル・エヴァンスと来ればサックス,という時代が到来したようにも思う。← いいや,それぐらいではまだまだぁ。ピアノビル・エヴァンスの壁はとんでもなく高い!

 事実『サマータイム』でビル・エヴァンスが共演したのは,ピアノギル・ゴールドスタインギターチャック・ローブドラムダン・ゴットリーブベースマーク・ジョンソンの超大物スーパー・ミュージシャンの面々。

 こんな全員がリーダーを張れるサイドメンを引き連れての「極上スタンダード集」を制作できる辺りが,サックスビル・エヴァンス「超大物」の証し!

 
01. Chatterton Falls
02. Let's Pretend
03. Melvin's Pond
04. My Ship
05. Summertime
06. Arther Ave
07. All of You
08. These Dreams
09. Jitterbug Waltz
10. Red Scarf
11. Kwitchur Beliakin

 
BILL EVANS : Saxophone
GIL GOLDSTEIN : Piano
CHUCK LOEB : Guitar
DANNY GOTTLIEB : Drums
MARC JOHNSON : Bass

(ジャズシティ/JAZZCITY 1989年発売/D22Y0336)
(ライナーノーツ/ビル・ミルコウスキー)

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ザ・スクェア・アンド・フレンズ / カラー・パレット4

COLOR PALETTE-1 「ザ・スクェア・アンド・フレンズ」名義の『COLOR PALETTE』(以下『カラー・パレット』)について語るとすれば「選曲」についてだけである。

 『カラー・パレット』とは1984年から1986年にかけて発売した,ザ・スクェアの『R・E・S・O・R・T』『STARS AND MOON』『S・P・O・R・T・S』の3枚に,同時期に発売された伊東たけしの『DEAR HEARTS』『EL SEVEN』の2枚と,安藤まさひろの『MELODY BOOK』から選曲されたコンピレーション・アルバム。

 同時期の音源でコンパイルされているので,伊東たけし安藤まさひろソロ・アルバムから3曲取られているとしても全10曲を通して聴いても何の違和感も感じない。だから『カラー・パレット』というアルバム・タイトル!?
 要するにスクェアベスト盤のはずなのに,この選曲で良いのか?という思いと,この選曲は結構面白い!という思いが交差する。だから『カラー・パレット』というアルバム・タイトル!?

 特に驚いたのがベスト盤の1曲目に【FEEL ALRIGHT】を持ってきたところ! 『R・E・S・O・R・T』と来れば【OMENS OF LOVE】【PRIME】【FORGOTTEN SAGA】が「3強」であるが,その3曲のいずれでもなく【FEEL ALRIGHT】を敢えて持ってきたその真意とは和泉宏隆キーボードを聞かせたいということなのか?

 『STARS AND MOON』から【いとしのうなじ】が外されている事実からしても『カラー・パレット』の“狙い”とは,大衆志向の「キャッチーさ」を抑えた,マニアックなファン獲得のためのアルバムである。
 ザ・スクェアの音楽性の広さ,そして音楽性の高さと深さを知る「きっかけ作り」のコンピレーション・アルバムだが,かなり攻めた選曲はファンを失う「諸刃の剣」!?

 現に管理人は伊東たけしの『DEAR HEARTS』がダメでして『カラー・パレット』を買ったのは,LPで実家に保有している『DEAR HEARTS』をCDで買い替えるのがイヤだから!
 だから【SAY IT AGAIN】目当てに『カラー・パレット』を買ったのですが,やっぱりダメ。どうしても伊東たけしの歌ものには馴染めない。『カラー・パレット』こういうファンと出会いませんように…。

COLOR PALETTE-2 管理人がこの時期の“脂の乗りきった”スクェアベスト盤を選曲するとしたら絶対にこの10曲は選ばない。
 『カラー・パレット』の中から生き残るのは【HARLEQUIN】【PRIME】【OVERNIGHT SENSATION】【宝島】だけである。他の6曲は落選させる。

 でもあるでしょ? 他人が選曲したベスト盤を聞く楽しみが…。
 『カラー・パレット』の選曲会議で何がどう決められたのかは分からないが,結構な発言権を持つその方の意向とは「ザ・スクェアにはこんないい曲があるんですよ」というメッセージだと思う。

 管理人の結論。『カラー・パレット批評

 『カラー・パレット』の「成功の秘訣」とは,敢えての「超有名曲外し」という大勝負に尽きる。意外性とかギャップなのであろう。
 ヴォーカル・ナンバーと「灰汁の濃い」インスト曲を【PRIME】【宝島】のヒット曲と混ぜ合わせることで,ザ・スクェアへの一層の興味や探求心を掻き立てる戦略と読んでみたが,どうでしょうか?

 『カラー・パレット』には,ipodのシャッフル機能にも通じる,予想外の曲順から来る楽しみを感じます。個人的にこの曲順は嫌いではありません。

 
01. FEEL ALRIGHT
02. SAY IT AGAIN
03. IN THE GRID
04. HARLEQUIN
05. PRIME
06. MISTRAL
07. OVERNIGHT SENSATION
08. CAMEL LAND
09. TAKARAJIMA
10. REACH OUT

 
THE SQUARE
MASAHIRO ANDOH : Guitars
TAKESHI ITO : Alto Saxophone, Lyricon, Digital Takecon-1
TOYOYUKI TANAKA : Electric Bass
HIROTAKA IZUMI : Keyboards, Synthesizers
TOHRU HASEBE : Drums
HIROYUKI NORITAKE : Drums

KIYOHIKO SENBA : Percussion
MASANORI SASAJI : Keyboards, Synthesizers
JUN AOYAMA : Drums
JAKE H.CONCEPTION : Tenor Saxophone
JUNICHI KANEZAKI : Trumpet
YUTAKA KANAI : Trumpet
EIJI ARAI : Trombone
HARUMI MITA : Trombone
CINDY FEE : Vocal
CINDY : Vocal
CARL MOORE : Vocal

LARRY WILLIAMS : Rhodes Piano, Synthesizers, Tenor Saxophone, Flute
PAUL JACKSON JR. : Guitars
RANDY FREDRIX : Guitars
PHILIPPE SAISSE : Keyboards, Synthesizers
NATHAN EAST : Bass
JOHN ROBBINSON : Drums
PAULINHO DA COSTA : Percussion
JERRY HEY : Trumpet, Flugelhorn
GARY GRANT : Trumpet, Flugelhorn
CHUCK FINDLEY : Flugelhorn
BILL REICHENBACK : Trombone
DIANA M. WILSON : Vocal
JAY GRUSKA : Background Vocals
JOSEPH WILLIAMS : Background Vocals
THOMAS FUNDERBURK : Background Vocals

(ソニー/SONY 1986年発売/SRCL 3526)
(スリムケース仕様)

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ブリジット・フォンテーヌ / ラジオのように5

COMME A LA RADIO-1 ブリジット・フォンテーヌの『COMME A LA RADIO』(以下『ラジオのように』)は,バックを務めるアート・アンサンブル・オブ・シカゴ目当てで買ったのだが,このアルバムは,ブリジット・フォンテーヌがどうとか,アート・アンサンブル・オブ・シカゴがどうとか,で計れるアルバムではない。

 『ラジオのように』とは,フレンチ・ポップスとフリージャズ・ミックスの形をとった,これが混沌とは真反対の理路整然とした“前衛”にして,絶対に掴むことのできない“底なしの前衛”である。則ち,何らかのキーワードで計れるアルバムではない。

 “底なしの前衛”『ラジオのように』の最大の魅力とは,ポエムであって,音楽というよりも文学に近いということである。
 『ラジオのように』は,リアルな世界観を描いたフィクションの読み物のようなのである。文章で誘う空想の世界であり“非日常の空気感”が描かれているように思う。「サブカルの走り」のような音楽の1つだと思lっている。

 ブリジット・フォンテーヌアート・アンサンブル・オブ・シカゴが,再現不可能な時代を背景に,危険極まりない“非日常の音世界感”を構築している。
 都市の大通りから一本中に入った“路地裏の日常”こそが「社会の歪み」であり「社会の裏側」が音楽で見事に構築されている。だからこそ『ラジオのように』は,あの時代が産み出した“前衛”であり,サブカルなのである。

 ウィスパー・ヴォイスで呪文を唱えるかのように歌うブリジット・フォンテーヌが殺気立っている。不気味で奇怪な歌であることは頭では理解していても,その場を立ち去ることができず,意に反して「立ち尽くして」最後まで聞いてしまうような恐ろしさがある。
 フランス女性のイメージから来るものなのか,あるいはフリージャズのイメージから来るものなのかもしれないが,絶対に見てはいけない闇の世界へとどんどん引き込まれてしまう,いいや,引きずり込まれてしまう危険な感覚…。

 管理人は『ラジオのように』を初めて聴いた時に,成人してからでないと経験することが許されない,未成年では絶対に目隠しされてしまう事柄を見てしまったドキドキする感覚を抱いたことを覚えている。
 だからなのだろう。『ラジオのように』というアルバム・タイトルを耳にすると,今でも音楽というよりも読み物の感覚の方が強い。絵のない「官能小説」の類をイメージしてしまう。

COMME A LA RADIO-2 アート・アンサンブル・オブ・シカゴのバックサウンドが真に素晴らしい。「集団即興集団」であるアート・アンサンブル・オブ・シカゴが,完成度の高いフレンチ・ポップスとフリージャズ・ミックスを演奏している。
 そこで詩を朗読するように歌うブリジット・フォンテーヌの存在が,管理人の中の『ラジオのように』=音楽ではなく文学のイメージにつながっているのだろう。

 いいや,何となくカッコ付けて書いてしまった。ぶっちゃけて書くと,フレンチ・ポップスも知らなかったし,フリージャズもまだ詳しく知らない時分に出会った,管理人にとっての「カルチャー・ショック」の1枚が,たまたま『ラジオのように』だっただけ。
 おフランスへの憧れがあったし,自分の知らない世界への憧れも強かった。「広く浅く」も好きだったし「狭く深く」も好きだった。好奇心旺盛な若者が“底なしの前衛”『ラジオのように』にたまたま出会っただけ。

 今のサブカル世代にとっても『ラジオのように』は“底なしの前衛”と受け止められるのではなかろうか? 『ラジオのように』には,それくらいの破壊力がある。
 恐らく,初めて聴いた人には,何が何だか分からない,で終わると思う。それでいいんです。“前衛”とはそういうものだし『ラジオのように』は“サブカルの走り”の1枚なのだから…。

 
01. COMME A LA RADIO
02. TANKA II
03. LE BROUILLARD
04. J'AI 26 ANS
05. L'ETE L'ETE
06. ENCORE
07. LEO
08. LES PETITS CHEVAUX
09. TANKA I
10. LETTRE A MONSIEUR LE CHEF DE GARE DE LA TOUR DE CAROL
11. LE GOUDRON
12. LE NOIR C'EST MIEUX CHOISI

 
BRIGITTE FONTAINE : Vocals, Spoken Word
ARESKI : Percussion, Vocals

ART ENSEMBLE OF CHICAGO
LESTER BOWIE : Trumpet
JOSEPH JARMAN : Saxophone, Oboe
ROSCOE MITCHELL : Saxophone, Flute
MALACHI FAVORS MAGMOSTUS : Bass

LEO SMITH : Trumpet
JACQUES HIGELIN : Guitar
JEAN-CHARLES CAPON : Cello
ALBERT GUEZ : Lute
KAKINO DE PAZ : Zither

(サラヴァ/SARAVAH 1969年発売/OMCX-1006)
(ライナーノーツ/葉山ゆかり)

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