アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

菊池 ひみこ ウィズ アーニー・ワッツ / ドント・ビー・ステューピッド5

DON'T BE STUPID-1 “女王”「ひみこ」という名前を聞くと,誰もが邪馬台国の「卑弥呼」を連想することと思うが,菊池ひみこフュージョン・サウンドを聞いたが最後“女王”「ひみこ」という名前を聞くと“邪馬台国の女王”「卑弥呼」ではなく“フュージョンの女王”菊池ひみこの「ひみこ」の方を連想するようになる。

 菊池ひみこの場合,フュージョンを演奏している人ではない。フュージョンを産み出している人なのである。
 あの当時,菊池ひみこの頭の中の音楽が,日本のフュージョン・シーン全体を動かしているような感覚があった。だからこそ菊池ひみこが“フュージョンの女王”と呼ばれたのだと思っている。

 菊池ひみこデビュー・アルバム『DON’T BE STUPID』(以下『ドント・ビー・ステューピッド』)は,全曲粒ぞろいの名曲集である。
 デビュー・アルバムだからだろう。『ドント・ビー・ステューピッド』では特に美メロだけを準備して,アレンジは演者にお任せのソロ・パートが多い。美メロを“生演奏”で聴かせるのが菊池ひみこ流なのである。

 菊池ひみこデビューから3作連続で「リー・リトナー&ジェントル・ソウツ」のサックス奏者であるアーニー・ワッツとコラボしている。
 フュージョンサックスとしての人選であれば,アーニー・ワッツでも悪くはないが,デヴィッド・サンボーンマイケル・ブレッカートム・スコットあたりの名前が挙がるのが自然だったと思う。

 しかし,菊池ひみこからしてみると共演するサックス奏者と来れば“アーニー・ワッツの一択”だったような気がする。
 アーニー・ワッツというサックス奏者は「ジェントル・ソウツ」と菊池ひみこの関連以外には,フュージョンサックスとしての目立った活動は行なっていない認識である。

 真実のアーニー・ワッツという人はフュージョンではなく“ジャズの人”。そんな“ジャズの人”が菊池ひみことコラボすると,ちょうどいい塩梅のフュージョンになるから不思議なものだ。菊池ひみこは目利きである。

DON'T BE STUPID-2 『ドント・ビー・ステューピッド』は「菊池ひみこ ウィズ  アーニー・ワッツ」名義。
 アーニー・ワッツテナーサックスが,菊池ひみこの音世界をくすませる事なく,さりげなく,しっかりと存在感のある演奏でサポートしている。

 『ドント・ビー・ステューピッド』随一の「神曲」【FOR MY BUDDY】は“弾む”アーニー・ワッツがいればこその松本正嗣の“神懸りな”ギターソロ
 親しみやすさや包容力という女性っぽさを隠れ蓑として,剛腕で硬派チックにたたみ掛けてくる勝負曲を“歌う”サックスが柔らかくほぐしている!

 それにしても男性目線のジャケットの美尻からして,菊池ひみこ自身は女性を“売り”にしてはこなかった。
 …が,当時中坊だった管理人なんかは,美尻の菊池ひみこの美人のお顔を勝手に想像したものでした。お顔を拝んで…。そしてこのキュートなお尻がご本人様のものではないことが分かった時のWショック。あぁ。

 
01. Stormy Spring
02. What's Baby Singin'
03. For My Buddy
04. Vampire
05. Flight In The Moonlight
06. Stiff Vamp
07. Tear Drops
08. Mambo Is Magic

 
HIMIKO KIKUCHI : Acoustic Piano, Fender Rhodes, Oberhime, Mini Moog, YAMAHA CS-20M, Hohner Clarinet, Pianica, Solina, Vocal
MASATSUGU MATSUMOTO : Electric Guitar, Acoustic Guitar
ERNIE WATTS : Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Tenor Saxophone
KAZUYA SUGIMOTO : Electric Bass
KANYA KAZUMA : Drums
MASATO KAWASE : Percussion
MINE MATSUKI : Chorus
ASAMI MATSUMOTO : Voice
SHIN KAZUHARA : Trumpet
TOSHIO ARAKI : Trumpet
GENJI SAWAI : Alto Saxophone
HIROFUMI KINJO : Tenor Saxophone
MASAO SUZUKI : Baritone Saxophone
TOMATO GROUP : Strings

(テイチク/TEICHIKU 1980年発売/TEH-14)
(ライナーノーツ/野口久光,金澤寿和)

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デイヴ・リーブマン・アンサンブル / コルトレーンズ・メディテーションズ4

JOHN COLTRANE'S MEDITATIONS-1 『JOHN COLTRANE’S MEDITATIONS』(以下『コルトレーンズ・メディテーションズ』)とは,デイヴ・リーブマンによるジョン・コルトレーンの『MEDITATIONS』の完コピ・アルバムである。

 ジョン・コルトレーンの曲をデディケイションとして演奏するテナー奏者は多いが,デイヴ・リーブマンの場合は行き過ぎている。
 ジョン・コルトレーンのアルバムを1枚丸々,しかも選んだのが後期コルトレーンフリージャズMEDITATIONS』全曲の完コピときた。

 『コルトレーンズ・メディテーションズ』って,デイヴ・リーブマンのファンであれば買うのかなぁ? デイヴ・リーブマンのファンであってもスルーされることが多い? コルトレーン信者しか買わないのでは?
 管理人はかろうじてデイヴ・リーブマンのアンテナに引っ掛かったが,正直,辛い。

 本家ジョン・コルトレーンの『MEDITATIONS』も所有してはいるが,未だに最後まで聴き通すとしんどくなる。ファラオ・サンダースが救世主として活躍してくれているから“もっている”アルバムの1枚だと思っている。
 だから本当は『MEDITATIONS』VS『JOHN COLTRANE’S MEDITATIONS』の対比を軸に批評するのが“筋”というものなのだろうが,昨晩から聴き比べしたが,ごめんなさい。
 『MEDITATIONS』は問題作なのだから『JOHN COLTRANE’S MEDITATIONS』も問題作。だから,どうコメントして良いかも問題で,ここまで書き始めてはみたものの本当に困っております。はい。

 『MEDITATIONS』というアルバムは,ジョン・コルトレーンの「精神世界の音楽の権化」である。
 昨今「音楽に政治を持ち込むな」というわけのわからない議論があって,チャールス・ミンガスとかマックス・ローチの例をあげるまでもなく,そんな馬鹿な……という話なのだが「宗教を持ち込んだらダメ」という話は,ジョン・コルトレーンからだろう。それくらいに『MEDITATIONS』の「精神世界」は超・強烈!

 そんな,ぐちゃぐちゃでドロドロの『MEDITATIONS』をよくも再現しようと思ったよなぁ。流石はコルトレーン・マニアのデイヴ・リーブマンだけのことはある。デイヴ・リーブマンの“男気”を見直した。

JOHN COLTRANE'S MEDITATIONS-2 尤もデイヴ・リーブマンジョン・コルトレーンの再演にチャレンジするにあたり,数ある名盤の中から『MEDITATIONS』を選んだ理由が,ボヤっとではあるが伝わってくる。
 デイヴ・リーブマンは『コルトレーンズ・メディテーションズ』の素材に良さに注目しているのだろう。

 ジョン・コルトレーンの『MEDITATIONS』と来れば,ファラオ・サンダースのギャーギャーと鳴るスクリームの嵐や,ラシッド・アリのバタバタしたドラム,やや滑稽な朗誦などに耳を引っ張られてしまうのだが,ジョン・コルトレーンはおそらく真剣にキリスト教的な瞑想を音楽でやってみようと思っていたのだろう。

 デイヴ・リーブマンは(多少の宗教的な意味合いは残っていたとしても)『MEDITATIONS』を純粋な「音楽の素材」として取り出すことで我々の耳の曇りを取っ払ってくれている。
 実は『MEDITATIONS』の中では,こんなにも素晴らしいメロディーが展開していたんですよ,と語りかけられているように思える。透明感と凛とした芯がある曲ばかりではありませんか!? 

 
01. INTRODUCTION
02. THE FATHER AND THE SON AND THE HOLY GHOST
03. COMPASSION
04. LOVE
05. CONSEQUENCES
06. SERENITY

 
DAVE LIEBMAN : Tenor Saxophone
VIC JURIS : Guitar
JAMEY HADDAD : Drums, Percussion
PHIL MARKOWITZ : Piano, Keyboards
TONY MARINO : Bass

BILLY HART : Drums
CECIL McBEE : Bass
TIGER OKOSHI : Trumpet
CARIS VISENTIN : Oboe

(アルカディア・ジャズ/ARKADIA JAZZ 1998年発売/TKCB-71462)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,デイヴ・リーブマン)

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武田 和命 / ジェントル・ノヴェンバー5

GENTLE NOVEMBER-1 『GENTLE NOVEMBER』(以下『ジェントル・ノヴェンバー』)からは,武田和命の“魂のテナーサックス”がフォーマットを超えてこぼれ落ちている。内から内から漏れ出している。武田和命の“生命の音”が聴こえてくる。

 『ジェントル・ノヴェンバー』のレコーディング・メンバーは,テナーサックス武田和命ピアノ山下洋輔ドラム森山威男ベース国仲勝男
 そう。武田和命も参加していた山下洋輔ゆかりのカルテット編成。山下洋輔のコンボでバリバリのフリージャズを演奏していた武田和命にとっての「最強の面々」が全員揃っている。がっ,しかし…。

 『ジェントル・ノヴェンバー』は武田和命の“一人舞台”。管理人は『ジェントル・ノヴェンバー』を武田和命テナーソロ・アルバムだと言い切ってしまおう。
 あの山下洋輔が,あの森山威男が,あの国仲勝男が,自己主張をやめて完全なるサイドメンに徹している。演奏から見事に消えてみせている。

 この全ては意図的な結果である。『ジェントル・ノヴェンバー』は,最強のフリージャズ軍団が作り上げたフリージャズの真逆を行く音楽であった。
 過剰になることを極力排除した,しかし強烈なテンションのまま紡いでみせた,ストレート・アヘットでエモーショナルな,それはそれは美しいジャズバラード集。『ジェントル・ノヴェンバー』の真実とは「根性の静寂」なるアルバムだと思う。

 あの山下洋輔が,あの森山威男が,あの国仲勝男が,武田和命バラードに心底惚れ込んでいる。全員で武田和命を“男”として立てることだけに集中している。
 『ジェントル・ノヴェンバー』での武田和命が“男”である。だから『ジェントル・ノヴェンバー』“男のバラッド”なのである。

 真に名盤である。管理人をして名盤と信じて疑わない1枚である。こんなにも“男らしい”ジャズバラードはそうそう無い。
 普段寡黙なのに酔うと饒舌になる人を思わせる武田和命の“男のダンディズム”に一発でやられてしまう。
 管理人は『ジェントル・ノヴェンバー』をJ−ジャズの聴くべき10枚の1枚に選定する。とにかく全てが「圧倒的」なのである。

 『ジェントル・ノヴェンバー』のモチーフは,ジョン・コルトレーンの「不朽の名盤」『BALLADS』にある。
 『BALLADS』のモノマネでもいいじゃないか! 『BALLADS』の世界観をここまで“自分のものとした”テナー奏者など武田和命の他にはいない。日本人テナー奏者がここまでのビター・スウィートを生み出している事実を素直に喜ぶべきではないかと思う。

 とにかく『ジェントル・ノヴェンバー』における武田和命の吹きっぷりが堂々たるもので,フリーの「ふ」の字も感じられないのに,タフで厚いリードから響いてくるストイックなまでに清澄な音色の響きに武田和命を感じ取ることができる。
 敢えてフリーキーさや速いフレーズを選ばずに,淡々とスケールの大きなアドリブを紡いでいく熱く切ないテナーに,胸をかきむしりたくなってしまう。

 武田和命の伸びやかに吹くテナーの音色はしなやかで柔らかくほんのり末尾にサブ・トーンが混じっている。しっかりタンギングをする武田和命テナーは凛々しくも明瞭だ。一音をしっかりと区切り大切にそっと音を宙に舞わせている。

GENTLE NOVEMBER-2 やるせなさや哀しみの感情をどう表現するかはそれぞれの文化によって異なる。大げさな表現を好む民族もいれば,抑えた控えめな表現を好む民族もいて日本人は後者である。
 武田和命は『ジェントル・ノヴェンバー』の中で,日本的悲哀の情をジャズというユニヴァーサルな音楽フォーマットの中で,深く繊細に表現している。つまり日本人の男にしか吹けない哀切さと抒情を『ジェントル・ノヴェンバー』の中に散りばめている。
 最初から最後の一音がやるせない余韻を残して消えてゆくまで,どの瞬間もうっとりするような深い陰影が呼吸をしているかのような,完全に別次元の音楽がここにはある。

 武田和命アドリブに身体の奥がじわりとえぐられる。心を揺さぶるアドリブとはテクニックやけれんみなどではない。聴き手を泣かそうと小細工や演出によるものではない。
 武田和命は,ただ真摯にふくよかにジャズと向かい合い,非フリーなのにフリーキーして物悲しい。管理人は武田和命の感情表現のこの部分に“男のロマン”を感じてしまう。武田和命の“生命の音”が聴こえてくる。

 そう。武田和命という“男”は,真の日本男子にして真にジェントルテナーマンなのである。
 武田和命という“男”は自分を演奏できる人である。武田和命という“男”は自分を演奏する人である。武田和命という“男”は本音で演奏できる人である。

 その艶やかでメロディアスで,思いの丈が詰まったような,しかもそれを剥き出しにするのではなく,魂に青白い焔を灯しながら噛みしめるように表現していくその演奏姿勢に,深く心打たれる自分がいる。
 全部とは言わない。トータルではとんでもない。しかし「叙情的な潤い」という部分においては“軽々と”武田和命ジョン・コルトレーンを超えている。

 武田和命が吹き上げるテナーサックスの「根性の静寂」がどこまでも優しく“男らしい”。
 『ジェントル・ノヴェンバー』は,女性の皆さんもきっと泣ける“男のバラッド”である。とにかく「圧倒的」なのである。

 
01. Soul Train
02. Theme For Ernie
03. Aisha
04. It's Easy To Remember
05. Once I Talk
06. Our Days
07. Little Dream
08. Gentle November

 
KAZUNORI TAKEDA : Tenor Saxophone
YOSUKE YAMASHITA : Piano
TAKEO MORIYAMA : Drums
KATSUO KUNINAKA : Bass

(フラスコ/FRASCO 1979年発売/SC-7104)
(ライナーノーツ/山下洋輔,工藤金作)

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バート・シーガー・トリオ / オープン・ブック5

OPEN BOOK-1 管理人はCDコレクターの1人である。確かに所有CD3000枚越えは,普通のジャズ・ファンとしては立派な数字だと思っている。
 しかしこの世界は「CD1000枚,2000枚は当たり前」とされる世界である。「上には上」がいる。しかも相当の人数がいる。決して軽口などたたけるレベルではないのだ。

 おおっと,何だか書きたいことから逸れてしまった。管理人が本当に書きたかったのは「セラビー,よくぞ3000枚越えで踏みとどまっている」の方なのだ。本当はもっともっと上限枚数にいっているはず。
 ではなぜ3000枚くらいで抑えられているのか? それは輸入盤は買わないルールを定めているから。セラビーは国内盤しか買わないことに決めている。

 本当は輸入盤も購入したい。難くせ付けて「輸入盤の国内盤仕様」は自分の中でOKにしてきたが,大好きなMMWとかは国内盤仕様ですら発売させる雰囲気がない。これは非常にまずい状況なので,今後配信が始まったら海外サイトからダウンロードして買うつもりである。ただしCD盤としての輸入盤は買わない。一旦買い始めたら底なし沼にハマッテ生計が成り立たなくなる危険大…。

 そう。輸入盤は破産防止のための自主規制。本当の管理人は「輸入盤ウォッチャー」である。だから話題の輸入盤が1年遅れで国内盤になって発売されることが決まれば大はしゃぎ。
 そんな管理人が,国内盤初リリースのニュースに飛びついたのが「輸入盤界隈の隠れエース」こと?エヴァンス派バート・シーガーの『OPEN BOOK』(以下『オープン・ブック』)である。

 管理人が思うバート・シーガーの特徴とは,情緒豊かな美しいメロディーの創造者であって,アメリカ人なのに日本人っぽい親しみやすさを有するところである。優しいタッチのクセして,心のツボをズボズボ突いてくる。

 安定したスタンスと精確な歩運びで,輪郭も明瞭にキレのある軌跡を描いてゆく。透明感に満ちた硬質で端正でリリカルなピアノがモノトーン調のクール・ジェントルな絵を描いていくニュアンスである。
 詩的情緒性やメロディーの美を何より重んじるオーソドックスでスインギー奏演なので,一聴,平易で明快な演奏に思えるが,聴けば聴くほど,ある種の几帳面さ・精巧さが備わった「匠の業」で構成されている。ピリッとしたビターで格式めいた余韻が残る。音楽の広がりが深遠に増してゆく。

 どうですか? エヴァンス派の中の正統エヴァンス派バート・シーガーピアノ・トリオの素晴らしさは!

OPEN BOOK-2 さて,ここまではバート・シーガーピアノの響きについて書いてきたが,バート・シーガーの真の魅力とは,含蓄豊かなインタープレイに尽きる。

 『オープン・ブック』を繰り返し聴いていると,いつしかバート・シーガーピアノが消え去り,ホルヘ・ローダーベース池長一美ドラムだけが鳴っているように感じるようになった。

 ホルヘ・ローダーベースピアノが鳴り出す前に「猪突猛進」してピアノの進むべき空間を開けていく。池長一美ドラムが実に繊細であって,ピアノが鳴り出す前にキャンバス全体に構図をデッサンする。

 これってつまり,ホルヘ・ローダー池長一美も,バート・シーガーピアノを弾き始めると同時にバート・シーガーの意図を掴んで反応するということ。

 バート・シーガーの仕事はここでほとんど終わっている。だからピアノの音は消え去ろうとも,つまりベースドラムの後ろでピアノがそっと鳴ろうとも,俄然ピアノの音が鳴っている。

 「IT’S A PIANO TRIO」! 「IT’S A BERT SEAGER’S PIANO TRIO」!

 
01. Bach's Lunch
02. Bunny Dune
03. Snow Sprite
04. Everything I Love
05. Open Book
06. The Raft
07. I Loves You Porgy
08. My Funny Valentine
09. Wisteria

 
BERT SEAGER : Piano
JORGE ROEDER : Bass
KAZUMI IKENAGA : Drums

(クラウド/CLOUD 2012年発売/DDCJ-4008)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/バート・シーガー,杉田宏樹,夢枕獏)

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中川 昌三 / ポエジィ4

POESY-1 フルート奏者の「世界的権威」である中川昌三は2種類の「アーティスト表記」を持っている。
 中川昌三とはジャズフルート奏者としての名前であり,それ以外のクラシックや現代音楽のフルート奏者の場合は中川昌巳表記となる。活動内容によって「アーティスト表記」を変えることで,自分の中の「別人格」へのスイッチが入るのだろう。

 さて,この2種類の「アーティスト表記」に中川昌三の音楽性の秘密がある。
 つまり中川昌三あるいは中川昌巳というミュージシャンは,フルート界の大家でありながらもフルートをメインに吹き上げることを目的とした演奏をしてはいない人。

 そう。フルートの音色がどうとか,フルートの響きが先にあるのではなく,中川昌三の時にはフルートの前にジャズという音楽があり,中川昌巳の時にはフルートの前にクラシック音楽があるのだ。

 そんな中川昌三ジャズメン魂の記録が『POESY』(以下『ポエジィ』)にある。
 『ポエジィ』は,ジャズフルート奏者に扮した中川昌三が,ピアノリッチー・バイラークベースジョージ・ムラーツドラムルイス・ナッシュという“大御所”ががっぷり四つに組んだ名盤である。

 それまでの中川昌三のイメージとしては,確かにジャズフルートを演奏しているのだが,どことなく中川昌巳の一面が顔を出す感じの“爽やか”ジャズフルートであったのだが『ポエジィ』の中川昌三は,真にジャズ中川昌三を名乗っている。
 いや〜,ジャズメンに徹した中川昌三さんがカッコイイのです。

POESY-2 そもそもがECMのカラーで名を売ってきたリッチー・バイラークなのだから,フルートとの相性はチリバツである。そして『ポエジィ』の楽曲はリッチー・バイラークが得意とする有名ジャズスタンダード集。
 そう。『ポエジィ』は,完全にリッチー・バイラークに“寄せた”企画盤なのである。

 そんなリッチー・バイラークのホームに乗り込んだ形の中川昌三の「匠の技」が真に凄い。
 フルートという楽器はその特性上,音色が霞がちで音量も小さい。“やったもん勝ち”なジャズ界において,連戦連勝で勝ち残ってきたツワモノ3人組。クラシックを兼務している中川昌三なんかコテンパだ…,と管理人は勝手に想像していたものだ。

 ところがどうだろう。中川昌三リッチー・バイラークピアノ・トリオを押している。その結果として,手垢のついたジャズスタンダードが“気品高き”名曲へと昇華している。柔らかく深遠なトーンが“格調を帯びている”。

 そんな中川昌三がリードするリッチー・バイラークピアノ・トリオが“湿度高め”でまったりと楽しめますよっ。

 
01. ALL THE THINGS YOU ARE
02. BEAUTIFUL LOVE
03. MILESTONES
04. ELM
05. ROUND MIDNIGHT
06. ORIENTAL FOLK SONG
07. ALL BLUES
08. SOME OTHER TIME
09. AUTUMN LEAVES

 
MASAMI NAKAGAWA : Flute, Alto Flute, Bass Flute
RICHIE BEIRACH : Acoustic Piano
GEORGE MRAZ : Acoustic Bass
LEWIS NASH : Drums

(ビクター/JVC 1992年発売/VICJ-95)

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ブラッド・メルドー / ファインディング・ガブリエル4

FINDING GABRIEL-1 現代のジャズ界を代表する“ジャズ・ピアニスト”であるブラッド・メルドーグラミー初受賞作は“非ジャズ・ピアニスト”なブラッド・メルドーであった。
 この事実が何とも悔しい。それが管理人にとっては『FINDING GABRIEL』(以下『ファインディング・ガブリエル』)の全てである。

 『ファインディング・ガブリエル』はブラッド・メルドーの「問題作」として“未来永劫”語り継がれる1枚になると思う。
 『ファインディング・ガブリエル』以前にもブラッド・メルドーは度々「問題作」をリリースしている。だから『ファインディング・ガブリエル』も“ジャズ・ピアニスト”である前に,ミュージシャンでありアーティストである“天才”ブラッド・メルドーのほんの一面にすぎない。

 でもどうしてもブラッド・メルドーの“天才”を知るファンとしては“ジャズ・ピアニスト”としてのブラッド・メルドーの音楽でグラミー賞受賞してほしかった。
 周りの評価もそうだが,何よりもブラッド・メルドー本人が非ジャズ系の音楽に色気を出して欲しくないからである。

 『ファインディング・ガブリエル』とは,聖書をモチーフとしたコンセプト・アルバムである。ゆえにパイプ・オルガン風のシンセサイザーが出てきたり,合唱隊のようなコーラストランペットも鳴っているが,正直これをもって,聖書をモチーフにしたアルバムと語ることには無理がある。
 そう。『ファインディング・ガブリエル』の裏テーマとは,ブラッド・メルドーの「怒り」なのだと思う。

FINDING GABRIEL-2 管理人の大好きな“ジャズ・ピアニスト”のブラッド・メルドーは,内面では怒ることもあるだろうが,音楽表現においては決して怒ってこなかったし,何があっても動揺しない「懐の深さ」を感じさせるスケールの大きなピアニストである。

 そんなブラッド・メルドーが,聖書という壮大なテーマに取り組んだと知ってフラゲして買った『ファインディング・ガブリエル』。
 1曲目の【THE GARDEN】は,強い物語性が豊かな音楽として展開されたお気に入りなのであるが,それでも聖書の壮大なスケール感を表現するまでには至らなかったという印象が拭えない。

 『ファインディング・ガブリエル』の音楽パートナーとして指名したマーク・ジュリアナ独特のドラミングは,ビート・マシンを血肉化したような,聖書の表現を借りればいかにもネフィリム的だと感じてしまう。つまりは演奏云々の前に曲想が個人的に好みではない。

 ブラッド・メルドー得意のハーモニーが,実験的な音楽表現の楔として見え隠れしているが,結局のところ最後に残るは「怒り」のみ。罪である「音の歪み」がこの上なく美しいということなのだろう。

 
01. The Garden
02. Born to Trouble
03. Striving After Wind
04. O Ephraim
05. St. Mark is Howling in the City of Night
06. The Prophet is a FOOL
07. Make It All Go Away
08. Deep Water
09. Proverb of Ashes
10. Finding Gabriel

 
BRAD MEHLDAU : Steinway C Grand Piano, Yamaha upright Piano, Fender Rhodes, Mellotron, Hammond B-3 organ, OB-6 Polyphonic Synthesizer, Therevox, Moog Little Phatty Synthesizer, Yamaha CS-60 synthesizer, Musser Ampli-Celeste, Morfbeats Gamelan Strips, Shaker, Handclaps, Voice, Drums
MARK GUILIANA : Drums, Electric Drums
AMBROSE AKINMUSIRE : Trumpet
MICHAEL THOMAS : Flute, Alto Saxophone
CHARLES PILLOW : Soprano Saxophone, Alto Saxophone, Bass Clarinet
JOEL FRAHM : Tenor Saxophone
CHRIS CHEEK : Tenor Saxophone, Baritone Saxophone
BECCA STEVENS : Voice
GABRIEL KAHANE : Voice
KURT ELLING : Voice
SARA CASWELL : Violin
LOIS MARTIN : Viola
NOAH HOFFELD : Cello

(ノンサッチ/NONESUCH 2019年発売/WPCR-18208)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/柳樂光隆,ブラッド・メルドー)

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