アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2005年05月

セロニアス・モンク / ソロ・モンク / EVERYTHING HAPPEN TO ME3

アナログレコード

 『SOLO MONK』の8曲目は【EVERYTHING HAPPENS TO ME】(以下【エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー】)。


 【エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー】は『SOLO MONK』の売りである,明るさが“仇”と出た,唯一の例外。ここはセロニアス・モンクお得意の,内省的な“暗さ”が欲しかった。悔やまれる。

 2分36秒の前と後でのオクターブの相違! 管理人は勿論,後半の“深く沈み込んだ”トーンが好みである。
 なんだか前半は“声変わり前”の少年の悲しみであって,キンキンした感じが残っているが,後半の悲しみには“変声期後”の大人の男が,口では黙し“心で泣き叫ぶ”情感がこもっている。

 と,述べてはみたが,セロニアス・モンクにしては,珍しく振幅の少ない“淡々と”メロディーを紡ぎ出したかのような肌触りである。
 大甘バラードの【エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー】も,冷徹な“プロの目”で見つめたら,結果こうなるのかもしれないが…。理解に苦しみ,やはり悔やまれる。

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セロニアス・モンク / ソロ・モンク / I HADN'T ANYONE TILL YOU4

アナログレコード

 『SOLO MONK』の7曲目は【I HADN’T ANYONE TILL YOU】(以下【アイ・ハドント・エニワン・ティル・ユー】)。


 初めて【アイ・ハドント・エニワン・ティル・ユー】を聴いた時の印象は「保育園の先生が伴奏するピアノ」。セロニアス・モンク先生が「せーの」と掛け声をかけて,園児にピアノと一緒に歌うようにと促してくれる。大変リズミカルな“伴奏”である。
 イントロの5秒間のフレーズが決定的であるのだが,その後もビュンビュン,ピアノが飛び跳ねていく! 園児たちの楽しい大合唱が聴こえてきそう?

 ただし繰り返し聴き込んでいくと,伴奏は伴奏でもこれは「ただの伴奏ではない」ことに気付かされる。セロニアス・モンクにしては珍しく“大熱演”なのである。
 園児に,自由に,好きなように歌わせておきながらも,確実にジャズピアノが大合唱をリードし,コントロールしている。こんな【アイ・ハドント・エニワン・ティル・ユー】は,聴いたことがない。
 ふと,モンクス・ミュージックこそ世界一,と思わせてくれる“隠れ”名演である。

 あっ,こんな批評になったのは,セロニアス・モンク自身の歌声が録音されているからでしょうね。早くも1分13秒過ぎから,ノイズから浮き出る“鼻歌”が聴こえてきます。
 完全に自分の世界に没入したセロニアス・モンク大先生。ラストでバド・パウエルと化す,2分59秒からの“キメ”がズバリ「キマッターッ」で,超カッコイイ!

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セロニアス・モンク / ソロ・モンク / I'M CONFESSIN'(THAT I LOVE YOU)4

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 『SOLO MONK』の6曲目は【I’M CONFESSIN’(THAT I LOVE YOU)】(以下【アイム・コンフェッシン(ザット・アイ・ラヴ・ユー)】)。


 ジャズスタンダードである【アイム・コンフェッシン(ザット・アイ・ラヴ・ユー)】が,セロニアス・モンクの“個性”で塗り固められている。
 38秒から56秒までを聴いてみてほしい。真面目なのか不真面目なのか,上手なのか下手なのか,このセロニアス・モンク特有の“両極端のタッチ”が同居している。

 セロニアス・モンクが“天才”であるのは,音を繰り出すタイミングである。両極端を行き来する“音のイリュージョン”と言ったら大袈裟? このピアノ・タッチは一発でセロニアス・モンクと識別できる,完全なるオリジナリティ!
 名だたる【アイム・コンフェッシン(ザット・アイ・ラヴ・ユー)】の名演の中でも“指折り”の出来であろう。

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セロニアス・モンク / ソロ・モンク / RUBY, MY DEAR5

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 『SOLO MONK』の5曲目は【RUBY, MY DEAR】(以下【ルビー・マイ・ディア】)。


 反論承知で大袈裟に言えば【ルビー・マイ・ディア】こそ,セロニアス・モンクの代表作!
 【ルビー・マイ・ディア】を聴いて,セロニアス・モンクの良さが分からなければ,少なくとも何か引っ掛かるものを感じなければ,恐らく,以後その人とセロニアス・モンクとの相性は悪いままで終わると思う。

 なぜか? それは単純に【ルビー・マイ・ディア】が,モンクの自作曲&ソロ演奏だから…。良くも悪くも「モンクス・ミュージック」の全貌が投影されている!

 管理人もこのトラックと出会うまでは,モンクの良さなど分からなかった。ハッキリ言って“大嫌い”だった。
 幸い,ずいぶん遠回りをしたが,数年後にこのトラックと出会い“敗者復活戦”を経てモンク・ファンの仲間入りを果たした。

 切々と自分の世界を歌い上げるセロニアス・モンクピアノが美しい。タッチが明瞭でダイナミックゆえ,これがバラード・ナンバーだとは,当初管理人も全く気が付かなかった。全体の印象としては熱い,熱演だと思う。

 個人的には4分44秒を過ぎてから,レイコンマ何秒かづつテンポが速くなる。バラードにおけるセロニアス・モンクの内面の激情がそうさせたように感じられて,実に感慨深い。
 ピンポイントで5分6秒から12秒までの,モンクの“気持ちの高ぶり,先走り,ほとばしり”を読者の皆さんにも是非感じ取っていただけたら…。

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セロニアス・モンク / ソロ・モンク / NORTH OF THE SUNSET4

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 『SOLO MONK』の4曲目は【NORTH OF THE SUNSET】(以下【ノース・オブ・ザ・サンセット】)。


 【ノース・オブ・ザ・サンセット】は,セロニアス・モンクの“音・遊び”である。
 セロニアス・モンクは“不遇の時代”にピアノの響きを,来る日も来る日も,一人自室で研究していたと言う。
 管理人は,そんなセロニアス・モンクの実験結果が【ノース・オブ・ザ・サンセット】に色濃く出ている,と思っている。

 このメチャ自由な奔放さ! “飛び跳ねた”感じのアタック音はセロニアス・モンクピアノを“おもちゃ”として楽しんだ足跡!
 そう。遊びまくって,ピアノの超・おもしろい鳴り方をモンクは一人,アトリエで見つけたのだ。

 イントロの“行ったり来たり”にやられてしまう。やっと歩き出したかと思うと,すぐにまた寄り道してしまう。まるでジャッキー・チェンの“酔拳”! 意識がはっきりした状態での“千鳥足”! これぞ“ザ・ユニーク”の決定版である。

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セロニアス・モンク / ソロ・モンク / SWEET AND LOVELY4

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 『SOLO MONK』の3曲目は【SWEET AND LOVELY】(以下【スウィート・アンド・ラヴリー】)。


 【スウィート・アンド・ラヴリー】は,アップテンポ+メロディアス=明るいはずなのに,どことなく暗い。二重人格のように「裏と表」「陰と陽」が同時に交錯している。

 イントロからいきなり上機嫌で入ってくるものの,17秒から24秒のフレーズで,すぐさま腰を折られてしまう。出だしから2度同じ事を繰り返されるのだから,リスナーが情緒不安定になってしまうのも,致し方ないであろう。
 そう。一気に頂上まで上ってしまいたいのだが,なんだか足下を一歩一歩確認しながらでないと足を踏み外しそうで恐い。そんな感じ。← いいんですよ〜。どうせ管理人以外には分からないんだから…。

 ただでさえ“調子外れ”のセロニアス・モンクピアノが,この見事な“ズッコケ”と相まってたまらない。聴き終わっても,ず〜っと耳から離れない。しかも幸か不幸か“落ちる”アドリブばかりを“ヘヴィー・ローテ”してしまう。
 モンク中毒者にとってはカタルシス! そうでなければ拒絶反応! セロニアス・モンクの世界を受け入れられるか“リトマス試験紙”的トラックの代表格であろう。

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セロニアス・モンク / ソロ・モンク / I SURRENDER, DEAR5

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 『SOLO MONK』の2曲目は【I SURRENDER, DEAR】(以下【アイ・サレンダー・ディア】)。


 セロニアス・モンクの【アイ・サレンダー・ディア】には,ソロ・ピアノによる2つの録音が残されている。一方は名盤『BRILLIANT CORNERS』に収録されている。

 8年もの歳月を経て,リメイクされた【アイ・サレンダー・ディア】。ここをどう批評するか? ジャズ批評家の“腕の見せ所”であろう。と,意気込んではみたが,管理人には??
 第一印象としては,ほとんど同じだった。悔しいのでそれぞれを続けて聴き込んでみる。あった。見つかった。ほっとした〜。

 『BRILLIANT CORNERS』の方が,華やか! 演奏時間が後者と比べて1分39秒長いのだが,それでもリラックスして聴き通せる。
 『SOLO MONK』の方は,ピアノのトーンが暗い! しかも振幅の差が激しくなっている。思わず耳をそばだてようと構えてしまう。リラックスとはほど遠いテンション。
 こうして聴くと8年の違いは案外大きい。でもそんな“重箱の隅をつつく”聴き方なんてナンセンス。ジャズは“楽しく”聴くものなのだ。よってこの話題はお蔵入り…?
 以下は『SOLO MONK』の【アイ・サレンダー・ディア】“限定”での聴き所のご紹介。

 【アイ・サレンダー・ディア】は,セロニアス・モンクのお気に入りだけあって,骨のある楽曲である。
 聴けば聴くほど“味のでる”聴き所満載のトラック。聴き込んでいると「あっ,ここが。おっ,ここも」で,記事にならない。

 リズム良し。ハーモニー良し。強弱のつけかた良し。
 特に3分5秒からの“うわずった感じ”がたまらない。分かるかなぁ…。ズバリ! モンク好きなら分かるはず!

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セロニアス・モンク / ソロ・モンク / DINAH4

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 『SOLO MONK』の1曲目は【DINAH】(以下【ダイナ】)。


 【ダイナ】でのセロニアス・モンクは“あか抜け”た印象。単純に「明るい」「ノー天気」というのとは訳が違う。
 例のモンク“くささ”が“いい感じ”なあんばいなのである。

 【ダイナ】と言えば,左手の芸術“ストライド奏法”。全編に渡る「ズン・チャ、ズン・チャ」のリズムがチョー気持ちいい! この影響でセロニアス・モンク特有の“間”や“崩し”が薄められ,ちょうどいい感じの味付けなのである。口の中でフワーっと,あるいはパット広がる“おいしさ”。これこそ右手によるアドリブ

 1分20秒から52秒までのリズム感あふれる“はじけた”プレイに,セロニアス・モンクの高いジャズ・センスが感じ取れる。

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セロニアス・モンク / ソロ・モンク5

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 正直,管理人はソロ・ピアノが好きではなかった。『SOLO MONK』(以下『ソロ・モンク』)と出会うまでは…。

 ジャズの本質はインプロヴィゼーションにあり,曲の構成は決まっていても,その場その場で,その瞬間に“最善”と感じたフレーズが自由に飛び交いあう。
 そこで“インタープレイ”! 当初そのジャズメンが考えてもいなかったフレーズが,互いにプレイし“切磋琢磨”し合ううちに,なにかの拍子で飛び出てくる! 名演と呼ばれるものの中には,当のジャズメン自身が“俺の中にこんなフレーズが眠っていたのか?”と驚いている節さえある。
 そう。深い井戸の泉から良いものだけを汲みだしてくれる。これぞインスパイア=インタープレイの醍醐味!  
 ゆえに,管理人はピアノに限らず,自己完結のソロ・アルバムには,その“共演の妙”という楽しみが奪われた気がして,なかなか触手が伸びないのだ。

 ただし真の天才は違う。真の天才は,誰の手を借りるまでもなく,自分の頭の中に完成された“GOOD MUSIC”が鳴っていると言う。そうであればそれを忠実に表現しさえすれば良いのだ。
 それを見事に証明して見せたのが,ご存じ“天才”セロニアス・モンクの『ソロ・モンク』である。

 セロニアス・モンクソロ・ピアノ・アルバムは全部で4枚あり,その全てが秀作に違いないが,管理人は『ソロ・モンク』が一番好きだ! 正に“モンクス・ミュージック”の完成形! ソロ・ピアノ嫌いの特効薬! スタンダードの解釈に時折垣間見せる“アンニュイな”モンクを心より愛している。

(1964,1965年録音/228E6015)

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 アドリブログは,セラビー(管理人)の“独断的”ジャズフュージョン批評! 
 ゆえに,アドリブログレビューしたCDDVDの評価と,世間一般の評価が必ずしも一致するとは限らない。管理人の意見が正しいこともあれば,その逆もあるだろう。
 そもそも音楽鑑賞という趣味の話なので,その音楽が「好き OR 嫌い」! ただそれだけの話。命を懸けてうんぬんなんてナンセンス。

 しかしそうは言っても,自称ジャズ批評家(音楽ライター)という職業柄,願わくば自分のレビューに共感してほしいし,仮にそうでなくとも,せめてジャズフュージョンの話で盛り上がりたい。
 そのためには,記事として取り上げたCDDVDを,読者自身の耳で判断してもらわねばならない。

 そこで試聴視聴)サイト!

 アドリブログレビューするCDDVDのほとんどがジャケット写真(またはCDタイトル)から「アマゾン」へとリンクされている。ジャケット写真をクリックすると,試聴(視聴)は勿論,実際に購入することができる。
 中古CDでもいい。是非ご利用いただきたい。

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マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト / DEAR OLD STOCKHOLM4

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 『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の6曲目は【DEAR OLD STOCKHOLM】(以下【ディア・オールド・ストックホルム】)。


 【ディア・オールド・ストックホルム】は,おいしい聴き所が幾つも散りばめられているので,それらを一つ一つ見つけ出し“つまみ喰い”するのが,ジャズ通の楽しみ。
 ここでは大枠だけ批評することとしたので,細かな点はヒントだけ。ヒントは“もがく”ジョン・コルトレーンと“完璧”なリズム隊3人の個性です。今回はご自分でジャズの“底なし沼の世界”へと旅立ってみてください。絶対楽しいです。

 さて大枠の本丸です。それは偉大なバンド・リーダーとしてのマイルス・デイビス! リーダーで主役はマイルス・デイビスなのだから,おいしいフレーズは全部マイルスが吹いている。これがいい。
 放っておくとノスタルジーに流されるであろう原曲を,マイルスが“ビシッと”締め上げている。これがマイルス・デイビスの“帝王”たる魅力でもある。

 しかしジャズ・マニアには広く知られているように,バンド・メンバーを締め上げるのはマイルス・デイビスの手法ではない。実際はその逆で“才能豊かな”サイドメンに,自由にソロを取らせることで知られている。この風通しの良い組織。どうですか?

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MILES DAVIS : Trumpet
JOHN COLTRANE : Tenor Sax
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マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト / TADD'S DELIGHT4

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 『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の5曲目は【TADD’S DELIGHT】(以下【タッズ・ディライト】)。


 【タッズ・ディライト】は,マイルス・デイビスジョン・コルトレーンのコンビネーションこそが聴き所。ユニゾンでのハーモニーが,いかにも“素敵な”ハード・バップに仕上がっている。

 これはジョン・コルトレーンが“自分の分をわきまえ”サイドメンに徹した結果であろう。テーマで聴かせるマイルス・デイビスへの丁寧なサポートで光り輝いている。
 例えば28秒から33秒までの最後の一吹きで,マイルス・デイビスのフレーズのみがブレイクしており,そのままの流れでソロに突入していく。正にジョン・コルトレーンを踏み台に大ジャンプした格好!
 これで“気をよくした”マイルス・デイビスアドリブは,実に流ちょうであり「主役は俺だ」と言わんばかりの貫禄がある。

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マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト / BYE BYE BLACKBIRD5

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 『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の4曲目は【BYE BYE BLACKBIRD】(以下【バイ・バイ・ブラックバード】)。


 ジャズスタンダードの代表格である【バイ・バイ・ブラックバード】の名演は多いが,数ある名演の中でもこのトラックがいい!
 と言うよりも,このトラックの存在が【バイ・バイ・ブラックバード】を一気にジャズスタンダードの地位にまで高めてしまった。
 これがマイルス・デイビスマイルス・デイビスたる“力”。その力は当時だけにとどまらず,現代ジャズの演奏スタイルにまで決定的な影響を及ぼす“白眉”の出来である。

 今や“定番”となってしまったピアノによるキャッチーなイントロに続いて,マイルスの“キザ&ダンディー”ミュート・プレイ。
 一転して3分26秒からのジョン・コルトレーンテナー・ソロが大変流ちょうで,マイルス・デイビストランペットと好対照を為す! 鮮やかな“狙い通り”のコントラストが美しい!

 締めは何と言っても,このトラックの“主役”レッド・ガーランド! 5分32秒からの“コロコロ&リリカルな”ピアノ・ソロが耳に残って離れない,離れたくない,離さない。

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マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト / ALL OF YOU4

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 『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の3曲目は【ALL OF YOU】(以下【オール・オブ・ユー】)。


 【オール・オブ・ユー】は,軽快で“おちゃめな”マイルス・デイビスを楽しむのにもってこい。“強面”で“シリアス”なマイルス・デイビスしか知らない人には,マイルスの持つ“コミカルな”一面に触れて驚かれることと思う。

 元来,高音域担当のトランペットには“闇夜を切り裂く”と言った表現がピッタリだし“笑う”トランペッターなど薄気味悪い。
 実際,マイルス・デイビスという人には,その偉大な実績からもジャズ界の“ドン”“親分”のイメージが付きまとうし,あの“しゃがれ声”を聞くとホンマモンかと疑ってしまう。そう。“笑い”とは対極にある絶対的な存在感! マイルス・デイビスは常に高倉健や菅原文太の位置にいる。

 しかし【オール・オブ・ユー】でのマイルス・デイビストランペットは実に明るい。はじけるスイング感さえ感じさせてくれる。今にも“踊り出しそうな”マイルス・デイビスがここにいる!
 フィーリー・ジョー・ジョーンズの“裏拍子”を刻みまくるドラミングと,レッド・ガーランドの“カクテル・ピアノ”がマイルス・デイビスを“陽気に”乗せてしまった。
 特に3分50秒からのレッド・ガーランドピアノ・ソロは,ポール・チェンバースベースと見事に絡みつき,コロコロと…。

 オープニングのテーマではまだ“ハニカミ”状態にあったのが,レッド・ガーランドのソロ直後から始まるエンディングのテーマでは,例えば6分7秒からしばらく続く“音の途切れ具合”など,完全に“スイングのそれ”へと変貌している。
 このテイストは“笑い”のトランペットそのものであろう。

 たまには“陽気でハッピー”なマイルス・デイビスも悪くない。やっぱりマイルス自身,根っからのジャズファンなんだなぁ。
 強面キャラを忘れ,つい乗せられてしまった“おちゃめな”マイルス・デイビスに親近感を覚えてしまう。

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マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト / AH-LEU-CHA3

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 『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の2曲目は【AH−LEU−CHA】(以下【アー・リュー・チャ】)。


 【ラウンド・ミッドナイト】(1曲目)の余韻を楽しみたいのに,2曲目がうるさいし,古臭いし…。
 これが正直,管理人の【アー・リュー・チャ】に対する印象である。ゆえに,何とももったいないことに,いつしかこのトラックを飛ばしてしまうのが,習慣になってしまった。
 今回のトラック批評のため,久しぶりに,真剣に耳を傾けてみた。 → 「あっ,意外といいんだ」。

 冒頭の“シャカシャカ&タリラリラ?”ユニゾンの微妙なズレが相変わらず気になるが,それ以外は『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の“看板&のれん”を分け合う音に相違ない。

 48秒から始まるマイルス・デイビストランペット・ソロはいい。最強のリズム隊が創り出すビートを推進力に,キレのあるアドリブはさすがである。
 どうやら【アー・リュー・チャ】と管理人のギクシャクした関係の原因は,このリズム隊の変化球にある。
 3分58秒からのレッド・ガーランドピアノ・ソロもハード・バップピアノ・トリオの音である。それが“時間差”ユニゾンになると,突然ビートが古臭くやぼったくなるのだ。生半可なアレンジが超マイナス!

 加えて,続く【オール・オブ・ユー】もミディアム・テンポの名演ゆえ,1曲目と3曲目に挟まれた【アー・リュー・チャ】のテンションが余計に浮いて聴こえてしまう。
 仮に曲の収録順が違っていたなら,もう少し“立派な”ジャズに聴こえるのかもしれませんが…。

 と言いつつも,絶対的な“聴き込み不足”ゆえ,評価は後日変わるかもしれない。今は参考程度に読んでいてくださいっ。

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マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト / 'ROUND MIDNIGHT5

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 『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』の1曲目は【’ROUND MIDNIGHT】(以下【ラウンド・ミッドナイト】)。


 まず気になるだろうから,この「ABOUT」表記の有無について触れておこう。
 「当初は【ラウンド・アバウト・ミッドナイト】として作曲されたが,バーニー・ハニゲンが作詞した際に【アバウト】を抜いたことから混乱が始まった。セロニアス・モンク作曲の超スタンダードゆえ,ジャズ界では双方の表記がなされている」とライナーノーツに記されている。

 さて肝心の演奏であるが,冒頭からメインテーマを吹き終える2分44秒まで,ほぼマイルス・デイビスのワン・ホーンと言っていいだろう。おいしいフレーズは全てマイルス・デイビスのものだ。
 サポート役のジョン・コルトレーンテナー・サックスも,2分57秒から曲想に合わせた長めのソロが見事に“ツボ”にハマッテている。よだれを垂らしてしまいそうな程,素晴らしい出来である。

 最強リズム隊3人を加えたメンバー全員パーフェクト。イッツ・ジャズ

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マイルス・デイビス / ラウンド・アバウト・ミッドナイト4

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 ある偽札の専門家は次のように述べている。「意外なことだが,紙幣が本物かどうかを確かめる最善の方法は,おおむね,自分の視覚や触覚をたよりに,ごく一般的な方法で判定することだ。大抵人々は,正確な方法を知らなくても偽札を見分ける」。
 言い換えるなら,偽札を見分ける最良の訓練は“本物に対する感覚”を磨くこと。その感覚を掴みさえすれば,偽札を受け取ったとしても,それがまがいものであることを瞬時に判断できるのだろう。

 さて,この記述は“本物の”ジャズを聴き分けることにも当てはまる。繰り返し本物を聴くことが,ジャズの本質を掴む一番の近道なのである。では繰り返し聴くべき“教材”とも呼べるCDとは何だろう?

 マイルス・デイビスの諸作! とりわけ『’ROUND ABOUT MIDNIGHT』(以下『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』)! 管理人は自信を持ってそう答える。
 その理由は簡単だが,まだ正式にプレス・リリースされていないので,今は答えることができない。今後の「スーパートリビア」シリーズのランキングに注目してほしい。ただ,ここで一つ断言できることは,この意見は管理人の独断と偏見ではない,と言うことである。

 ところで,マイルス・デイビスについて語るのは,正直余り得意ではない。マイルス・デイビスについての著作を余りにも多く読んだせいなのかもしれないが,自分の言葉で表現しづらいからである。
 “ジャズの帝王”“泣きのミュート”“偉大なバンド・リーダー”“ジャズの歴史の生き証人”などなど,全てまさしくその通り! もはや管理人オリジナルの称号など考えつきませぬ。

 『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』は,そんな“桁外れ”のマイルス・デイビスの代表作&全てのジャズ批評家が認めた名盤中の名盤! このCDに関しては,他の著名な評論を読み比べながら聴き込まれることを,ここに勝手に許可します!
 読者の皆さんが,今後,まがいもののジャズを掴まされることのないことを祈りながら…。

(1955,1956年録音/CSCS5138)

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編集指針

 ジャズフュージョン名演名盤サイトは数あれど,その多くはアルバム全体を批評したものばかりである。
 しかしジャズの真髄であるアドリブインプロヴィゼーションの冴えは,アルバム全体の中にどのくらいあるのだろう…。

 それはジャズメンからの一瞬のプレゼント! 多くても1曲に数秒,数十秒であろう。それゆえ批評の対象はあくまでもトラック単位! アルバム単位の批評がもてはやされる現代にあって,敢えてトラック毎にレビューを付けることを主眼とした。

 レビューの読み方はこうである。
 まずは紹介するジャズメンやアルバムについての概略を述べる。各トラックの評価は,そのアルバム全体の中での位置付けや,前後のディスコグラフィーといった大きな文脈の中で評価すべき,とする偉大な諸先輩たちの意見に全く持って同意せざるを得ない。
 次いで各トラックの批評へと続く。具体的に何分何秒後のどのフレーズがどうなのか,なぜそうなのかを指摘する。
 最後に表題にも注目してほしい。そこにはそのアルバム,トラックの総合評価が五つ星で評価されている。是非,参考にしてほしい。

 以上,編集指針について理解したなら,早速紹介されたCDDVDと腰を据えて向き合ってほしい。レビュー片手に耳を傾けるなら,そう,あなたの心の奥底にも“魂のフレーズ”が鳴り響くことであろう。

 ( と,カッコつけて書いてはみたが,トラック批評に決めたのは,ほら,アルバム単位だとお小遣いがあれでしょ? 1枚1記事より1枚10記事の方が,グリコ風に表現すると“1粒で10度おいしい”からに他なりません。後付とはいえ,我ながらグッド・アイディア。結果オーライです。 )

 一筆入魂のLIVEレポートスーパートリビアも読み残しのないように…。

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前書き

 ジャズフュージョン名演名盤サイトは数あれど,その多くはジャズ・ジャーナリズムを語ったものに思えてならない。
 NO! ジャズは活字から入るべきものではなく素直に音から入るべき音楽である。そしてジャズの真髄,それこそアドリブインプロヴィゼーションの冴えであろう。

 このアドリブジャズフュージョンの命・原点を追求したサイトは一体どのくらいあるのだろう…。
 そこで,アドリブログ

 アドリブログでは,セラビー(管理人)お奨めの“驚き・輝き・羨望のフレーズ”を紹介する。
 まずは実際に紹介されたCDDVDと腰を据えて向き合ってほしい。レビュー片手に耳を傾けるなら,そう,あなたの心の奥底にも“魂のフレーズ”が鳴り響くことであろう。

 加えてジャズフュージョンは過去の音楽ではない。今夜も,創造されては消えていく“珠玉のフレーズ”をLIVEレポートにログする。

 スーパートリビア満載で…。

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ジャコ・パストリアス

ザ・キング・イズ・ゴーンザ・キング・イズ・ゴーン
マーカス・ミラー

FIRST MEETINGファースト・ミーティング
テザード・ムーン

スペシャル・エディションSPECIAL EDITION
ジャック・デジョネット

ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリングYOU MUST BELIEVE IN SPRING
ビル・エヴァンス

ヴァイアティカムVIATICUM
e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)

STEP BY STEPSTEP BY STEP
ステップス

2424
DIMENSION

GANAESIAガネシア
渡辺香津美
カズミ・バンド

FOURPLAYFOURPLAY
フォープレイ

コンプリート・ピック・ヒッツ・ライヴPICK HITS
ジョン・スコフィールド

ニューポートの追想V.S.O.P.
ハービー・ハンコック

アス・スリーUS THREE
ホレス・パーラン

Manhattan StoryBLUE'S MOODS
ブルー・ミッチェル

AFRICAN PIANOOFF TO THE RACES
ドナルド・バード

AFRICAN PIANOAFRICAN PIANO
ダラー・ブランド

Manhattan StoryMANHATTAN STORY
アキコ・グレース

SPELLBOUNDSPELLBOUND
ジョー・サンプル

ランデヴーRENDEZ-VOUS
木住野佳子

RETURN TO FOREVERRETURN TO FOREVER
チック・コリア

BRAINBRAIN
上原ひろみ

イン・ラインIN LINE
ビル・フリゼール

ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニングザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング
マーク・ジョンソン

スインギン・マケドニアスインギン・マケドニア
ダスコ・ゴイコビッチ

タイム・スレッドTME THREAD
小曽根真 & ゲイリー・バートン

フルーツケーキFRUITCAKE
フルーツケーキ

THE DROPPERTHE DROPPER
メデスキ,マーチン&ウッド

Doin' SomethingDOIN' SOMETHING
ソウライヴ

SALT IISALT II
塩谷哲

Dance Your HeartDANCE YOUR HEART
Saya

地球は愛で浮かんでいる地球は愛で浮かんでいる
松永貴志
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