アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2005年09月

伊東 たけし / T.K. / THIS IS THE NIGHT4

 『T.K.』の3曲目は【THIS IS THE NIGHT】(以下【ディス・イズ・ザ・ナイト】)。


 【ディス・イズ・ザ・ナイト】は,男女ツイン・ボーカルによるラブ・バラード。この曲調と伊東たけしアルト・サックスは“意外”と相性が良い。伊東たけしの“絞り出す感じ”のサックス・プレイが,恋愛の“感情表現”としては,ハマッテいる。
 
 イントロや間奏で聴こえるアルト・サックスは,間違いなく“ディス・イズ・ザTK”! 伊東ファンとしては,この“テイスト”さえ感じさせてくれれば,それ以上,何を要求すると言うのだろう。

 2分31秒からの,サビに“かぶせながら”入ってくるアルト・ソロには大満足! 【ディス・イズ・ザ・ナイト】での伊東たけしは,恐らくザ・スクェアでは“禁句?”のフレーズを繰り出しており,これこそソロCDを制作する“意味があった”と言うものだ。
 “ジャズメン”伊東たけしを少しは味わえたかなぁ。

 ただし,この点は繰り返し強調しておくが“意外と良い”のであって,間違っても管理人の好みではない。

TAKESHI ITOH : Alto Sax
PHILIPPE SAISSE : Keyboards, Synthesizers, Drum Machine and Programming
DON ALIAS : Percussion
MARC COHN and LANI GROVES : Lead Vocals
LANI GROVES, LISA FISHER and CURTIS KING : Background Vocals

伊東 たけし / T.K. / FAMOUS4

 『T.K.』の2曲目は【FAMOUS】(以下【フェイマス】)。


 【フェイマス】は1988年の住友金属,TVCFイメージ・ソングとしてブラウン管に流れたので(←表現が古い?)聞き覚えのある方も多いのでは?
 管理人もバックで流れていたこのメロディよりも,崖の上でアルト・サックスを“吹き鳴らす”伊東たけしの映像の方が印象に残っている。

 【フェイマス】での,伊東たけしのプレイは完璧である。伊東たけし特有の“くすんだ”音色と“TK節”も全開である。
 しかし彼のその魅力がストレートに伝わってこない。なぜか? ビートがダンサブルで,いかんせん“タテノリ”なのである。

 例えばイントロからのテーマ36秒間と,後半2分53秒以降の盛り上がり部分を聴いてほしい。主役は明らかに打込みである。タテノリに負けた伊東たけしサックスは,悲しいかな,サイドメン的な音がする。

 とは言え【フェイマス】は伊東たけしライブでの18番! トラック自体に不足はない。伊東たけしには,フロントを立てる“良いバックと良いアレンジで”末永くプレイしてほしいと思う。

TAKESHI ITOH : Alto Sax
PHILIPPE SAISSE : Keyboards, Synthesizers and Programming
DON ALIAS : Percussion
RANDY FREDRIX : Lead Vocal
LANI GROVES : Radio Broadcast
LANI GROVES, LISA FISCHER and CURTIS KING : Background Vocals
Guitar Samples Courtesty of NICKY MOROCH

伊東 たけし / T.K. / COWBELL3

 『T.K.』の1曲目は【COWBELL】(以下【カウベル】)。


 【カウベル】はディスコ・ナンバーであって“フュージョン”とは呼び難い。打込みとサックスとでは8:2。これではアドリブどころではない。

 伊東たけしの唯一の見せ場が1分46秒から始まるが,音がこもっている。フュージョンサックスさえも忘れてしまったのだろうか?

 良くできたダンス・ミュージックをお探しであれば一聴の価値もあるのだろうが…。
 我が耳を疑い何度もチャレンジしてみたが,その度に表情が曇ってしまった。「可愛さ余って憎さ百倍」とはこのことだ。

TAKESHI ITOH : Alto Sax
DAVID FRANK : Keyboards, Synthesizers, Drum Machine and Programming
JEFF LORBER : Piano and Synthesizer solo

伊東 たけし / T.K.4

T.K.-1 “Tetsuya Komuro”ではない,もう一人のT.K.“たけ”こと,伊東たけし
 伊東たけしの3枚目のソロCDは,タイトルもズバリ『T.K.』。

 伊東たけしに限らず,J−フュージョンの人気グループのメンバーは必ずと言って良い程,ソロCDを制作する。音楽界には一般人の知らない“法則”とか“公式”とか呼ばれるものが存在するのだ。

 別にグッド・ミュージックが多数制作されるのは大歓迎なのだから,ここで深く突っ込んで“その公式を解明する”とか意気込むつもりはさらさらない。しかし気になるのが“人気グループのメンバー”というキーワードだ。
 
 人気グループであれば,それなりにCDであれライブであれ,発表の場は多いはずである。なのに,なぜソロCDなのだろう?
 答えは各個人によって異なり,それこそ多種多様にあるのだろう。でも,そのグループのファンなら純粋に“グループの成長”に力を傾けてほしい,と願うのが人情と言うものではなかろうか?

 さて,伊東たけしである。彼こそスターだ! J−フュージョンのある意味“顔”である。
 伊東たけし“主演”「SUNTORY WHITE」の例のCMで,ザ・スクェアを,そしてJ−フュージョンを一気にメジャーへと押し上げた!
 乱暴な言い方だが「もう伊東さんのご自由に。どうぞ好きなことを好きなだけ」の域にいるスーパー・スター。あっ,そうか。だからソロCDなのね。自己完結のノリツッコミ。チャンチャン!

 さてさて,ここからは真面目に?『T.K.』について語ってみよう。このCDの音は当時のザ・スクェアとは全く異質だ。
 本当に,伊東たけしがソロとして“やりたい放題”やったのであろう。ザ・スクェアの延長線上を期待していた管理人も,他の多くのファンと同様,すっかり“肩すかし”を食わされた口である。

T.K.-2 しかし伊東たけし本人も,気付かずして“肩すかし”を食らっているように思えてしまう。
 そう。“超辛口”で申し訳ないが『T.K.』は,伊東たけしを“踏み台”にした,プロデューサー=ドッペルギャンガー2人のための“実験作”に仕上がっているのではなかろうか?

 つまり『T.K.』は,伊東たけしのレッテルが貼られた,実質“ドッペルギャンガーを聴くための”CDに聴こえてならないのだ。
 前作『エル・セヴン』もドッペルギャンガーのプロデュースだったが『エル・セヴン』の何倍にもドッペルギャンガーのパワーが“増幅”されている。

 『T.K.』での伊東たけしは全く目立っていない。アピールできていない。
 彼自慢のアルト・サックスが,バックに“負けている”。完全にドッペルギャンガーの音の中に“埋もれて”いる。聴き応えを感じない駄盤である。 ← 伊東たけしを,熱烈に愛するがゆえの“愛のムチ”です。伊東さん,伊東たけしファンの皆さん,気に障ったかもしれませんが,どうかお許しを。

  01. COWBELL
  02. FAMOUS
  03. THIS IS THE NIGHT
  04. UPTOWN SATURDAY NIGHT
  05. PLACEBO
  06. ALWAYS TOGETHER
  07. BOUNCE BACK
  08. COLOUR OF LIFE

(CBSソニー/CBS/SONY 1988年発売/32DH5129)

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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / SILVER RAIN FEATURING JOEY KIBBLE OF TAKE 64

 『SILVER RAIN』の16曲目は【SILVER RAIN FEATURING JOEY KIBBLE OF TAKE 6】(以下【シルヴァー・レイン〔フィーチャリング・ジョーイ・キブル〕】)。


 【シルヴァー・レイン〔フィーチャリング・ジョーイ・キブル〕】が,【シルヴァー・レイン】の“本妻”である。管理人の評価も断然,このジョーイ・キブル・バージョンがいい。

 エリック・クラプトンには悪いが,ボーカリストの“格”としては,ジョーイ・キブルが上であろう。さすがはテイク6! 艶やか!
 マーカス・ミラーベース・ソロも,心なしか9曲目よりもノリがいい。フロントが替わるとリズムまで変わる“好例”である。

 ただし【シルヴァー・レイン〔フィーチャリング・ジョーイ・キブル〕】の真の主役は,ケニー・ギャレット! 4分59秒からのソロは『SILVER RAIN』で,唯一ケニー・ギャレット“らしい”プレイが聴ける! このファンキー&アウトこそ,ケニー・ギャレットの真骨頂!
 やはりケニー・ギャレットこそ,掛け値なしで“史上最強”のアルト奏者だと思ってしまう。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

JOEY KIBBLE : Lead Vocals
MARCUS MILLER : Bass Guitar, Guitar, Piano, Keyboards, Background Vocals
KENNY GARRETT : Alto Sax Solo
POOGIE BELL : Drums
DEAN BROWN : Guitar
BRUCE FLOWERS : Fender Rhodes
PATCHES STEWART : Trumpet
ROGER BYAM : Tenor Sax
JOEY KIBBLE : Background Vocals
MARK KIBBLE : Background Vocals
JESSICA CELIOUS : Background Vocals


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / IT'LL COME BACK TO YOU4

 『SILVER RAIN』の15曲目は【IT’LL COME BACK TO YOU】(以下【イットル・カム・バック・トゥ・ユー】)。


 【イットル・カム・バック・トゥ・ユー】は,マーカス・ミラーの“歌もの”の中でも指折りの名曲である。このトラックが,ヨーロッパ盤では削られている,のは理解できない。ヨーロッパ人はマーカスの聴き所がわかっちゃいない?

 【イットル・カム・バック・トゥ・ユー】でのマーカス・ミラーの「多芸ぶり」に舌を巻く! 兼業楽器である,ボーカリストとしてもキーボード・プレイヤーとしても,超一流の域に到達したと言える。
 てっきり(クレジットを見るまでは)本職のゲスト参加だと思ったものだ。この管理人を騙すとは? マーカス・ミラー恐るべし。

 ベーシストマーカス・ミラーを知る者としては【イットル・カム・バック・トゥ・ユー】でも,やっぱりベースが主役に違いない! 安定感も有れば,メロディの“表も裏も”弾きまくる。ボーカルの“隠し味”程度の短いベース・ソロでは“前へ前へ”と出る!
 この辺りのトータルなバランス感覚がマルチ・プレイヤー=マーカス・ミラーの“凄さ”であろう。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Vocals, Bass Guitar, Fender Rhodes, Beat Box, Synth Strings
LALAH HATHAWAY : Drums


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / SILVER RAIN FEATURING ERIC CLAPTON3

 『SILVER RAIN』の9曲目は【SILVER RAIN FEATURING ERIC CLAPTON】(以下【シルヴァー・レイン〔フィーチャリング・エリック・クラプトン〕】)。


 【シルヴァー・レイン〔フィーチャリング・エリック・クラプトン〕】はマーカス・ミラーエリック・クラプトンの共作とあって,マーカスベースクラプトンのボーカルが全面に押し出されている。
 曲の出来が“クラプトン寄り”で,正直管理人の好みではない。演奏の質も“ポップス風”であってフュージョンとも呼べない。パワー不足は否めない。

 ただしマーカス・ミラーの“テケテケ”としたチョッパー・ベースに乗せられた,後半のソロ回しには一聴の価値がある。
 特に3分52秒からの,パッチェス・スチュワートトランペットケニー・ギャレットアルト・サックス! 二人の聴いてすぐに“それ”と分かる“独特の音”が唯一のアクセント! かろうじて正気に戻される“ザ・フュージョン・タイム”である。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

ERIC CLAPTON : Lead Vocals
MARCUS MILLER : Bass Guitar, Guitar, Piano, Keyboards, Background Vocals
KENNY GARRETT : Alto Sax Solo
POOGIE BELL : Drums
DEAN BROWN : Guitar
BRUCE FLOWERS : Fender Rhodes
PATCHES STEWART : Trumpet
ROGER BYAM : Tenor Sax
JOEY KIBBLE : Background Vocals
MARK KIBBLE : Background Vocals
JESSICA CELIOUS : Background Vocals


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / BOOGIE ON REGGAE WOMAN4

 『SILVER RAIN』の7曲目は【BOOGIE ON REGGAE WOMAN】(以下【レゲ・ウーマン】)。


 【レゲ・ウーマン】は,スティーヴィー・ワンダー作=イントロのベース・ラインに“いたく感動した”マーカス・ミラーが「僕のベース・ギターでやりたかった」と語った通り,スティーヴィー・ワンダーの名曲を“ベース・ソング”へと変貌させている。

 イントロだけではない。アウトロでもバッチリ,あのベース・ラインを演っている! いやいや,そんなみみっちい話ではない。ほぼ全編にわたるオーヴァー・ダビングで,ベース・ラインの“上の下も”弾きまくっている。そう。“一人スティーヴィー・ワンダー状態”である。
 リズムはプージー・ベルとのコラボ。メロディはカーク・ウェーラムとのコラボに違いないが,やっぱり何度聴いても“一人スティーヴィー・ワンダー”! 全てがマーカス・ミラーチョッパー・ベースのために“お膳立て”されている。

 こう書くと,ベーシストマーカス・ミラーを連想するかもしれないが,そうではない。【レゲ・ウーマン】は“ベース・ソング”である。そう。プロデューサー兼アレンジャー=マーカス・ミラーの面目躍如である。
 分厚いベースが“サラッと”聴けてしまう。スティーヴィー・ワンダーの“歌心”がマーカス・ミラーベースを通して聴こえてくる。このトータルなバランス感覚にマーカス・ミラーの“凄さ”がある。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitars, Fender Rhodes, Synth Chords
KIRK WHALUM : Tenor Sax Solo
POOGIE BELL : Drums
MOCEAN WORKER : DJ Efx


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / MOONLIGHT SONATA4

 『SILVER RAIN』の6曲目は【MOONLIGHT SONATA】(以下【ムーンライト・ソナタ】)。


 【ムーンライト・ソナタ】は,説明不要のクラシックの有名曲である。そう。ベートーベン作,通称“月光”である。
 しかしマーカス・ミラー“大アレンジ”の,このトラックに関しては少々説明が必要かも知れない。なぜなら,完全にジャズフュージョンのテイストに“ハマッテいる”からだ。

 いやぁ。マーカス・ミラーのこの“解釈”はどこから湧き出てきたのだろう。ユニゾンについては原曲がそうだし驚きはしないが,あのアルペジオをローズ・ピアノで奏で,あのメイン・テーマをベースで奏でるアイディアには感服しないわけにはいかない。
 楽器の“響き”もいい! ユニゾンを奏でるテナー・サックストランペットも,クラシックの代表楽器としてではなく,ジャズの代表楽器としての“鳴り”で共鳴している。
 4分46秒からのバス・クラリネットエレキ・ギターも加わった「大合唱」では,フュージョン色に染め上げられた“月光”の荘厳な雰囲気を見事に醸し出している。

 3分26秒から始まるマーカス・ミラーベース・ソロも実にエモーション! 特に4分21秒からの“泣きの連打”は,本家ベートーベンも真っ青,いや想像以上の仕上がりだろう。
 ジャズフュージョンの天才・マーカス・ミラーが,クラシックの天才・ベートーベン越えを果たした瞬間である。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitar, Fender Rhodes, Bass Clarinet, Keyboards, Synth Dream Chords
ROGER BYAM : Tenor Sax Solo
LUCKY PETERSON : Guitar
POOGIE BELL : Drums
DEAN BROWN : Guitar
PATCHES STEWART : Trumpet
BERNARD WRIGHT : Additional Keyboards


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / FRANKENSTEIN3

 『SILVER RAIN』の5曲目は【FRANKENSTEIN】(以下【フランケンシュタイン】)。


 【フランケンシュタイン】は,1972年の全米NO.1ヒット曲。ゆえにロック・テイスト・フレーバーなのであるが“ギンギンのロック”とは異なる“レトロなフュージョン”に仕上がっている。

 ディーン・ブラウンギターモーシャン・ワーカーのDJ・エフェクトが“キメ”の部分で耳に残るので,印象としては“デジタル”であるが,実はかなり“アナログ”寄りの“音造り”をしている。
 ソロもマーカス・ミラー以外には,パチェス・スチュワートトランペットカーク・ウェーラムテナー・サックスのみであり,2人のソロのバックではオルガンも鳴っている。ゆったりと響く“JAZZYでブルージーな”ソロが心地良い。

 しかし,この“アナログ”寄りの“音造り”が成功しているかと言えば,そうでもない。
 暖かさや温もりの前に,どうも“古さ”をイメージしてしまう。やはり【フランケンシュタイン】は,しょせん72年の流行歌。“流行廃れ”の宿命にあった。
 アレンジ勝負に出た,マーカス・ミラーベースは,相変わらず上手いのだが,ちと盛り上がりに欠けている。一方,プージー・ベルドラミングはハイ・テンションで“スゴスギル”。特に5分47秒からのアタックは“やり過ぎ”だろう。
 このリズム隊の意識の“ズレ”が,互いの中間地点であったなら…。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitar, Clavinet, Fender Rhodes, Tambourine
KIRK WHALUM : Tenor Sax Solo
POOGIE BELL : Drums
DEAN BROWN : Guitar
BRUCE FLOWERS : Organ
PATCHES STEWART : Trumpet
ROGER BYAM : Tenor Sax
MOCEAN WORKER : DJ Efx


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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / BEHIND THE SMILE4

 『SILVER RAIN』の4曲目は【BEHIND THE SMILE】(以下【ビハインド・ザ・スマイル】)。


 【ビハインド・ザ・スマイル】は,マーカス・ミラー“お得意”のフレットレス・ベースバラード! このメロディ・ラインにはフレットレス・ベースがよく似合う。そう。マーカス・ミラーが「フレットレスの国」から連れ出してきたのだから…。

 ただし今回のフレットレス・ベースは,グレゴリー・マレットハーモニカ仕様! 人間味のあるハーモニカとのユニゾンでは,敢えて硬質の音色で,グレゴリー・マレットに伸び伸びとソロをとらせている。
 硬質音色のフレットレス・ベースだからこそ完成したであろう,3分14秒からのアドリブがいい。

 “天才”マーカス・ミラーの「フレットレスの国」には(ハーモニカ仕様以外にも)優秀な人材が,出番を「今か今か」と待ち構えている。今後もマーカス・ミラー以外にはチャレンジできない,フレットレス・ベースの新たな可能性を切り開いてほしい。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitar, Fender Rhodes, Moog Synthesizer, Rhythm Box, Percussion
POOGIE BELL : Drums
GREGOIRE MARET : Harmonica
DEAN BROWN : Acoustic Guitar
MUNYUNGO JACKSON : Percussion


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / LA VILLETTE4

 『SILVER RAIN』の3曲目は【LA VILLETTE】(以下【ラ・ヴィレット】)。


 【ラ・ヴィレット】は,ロマンティックなラブ・ソング! アコースティック・ギターの音色に誘われる“軽い”タッチの静かな展開であるが,実際は情感ほとばしる“重い”演奏でもある。

 真意は分からない。これは管理人の想像に過ぎないが,短期間でも密度の濃い,激しい恋。一生に一度の恋がテーマなのでは? とにかく“重い”振幅の激しい演奏である。
 全体のトーンを決めたのがケン・ヒックスコーラスである。オペラ歌手であるケン・ヒックスが,本場ヨーロッパのラブ・ソングを手ほどきしてくれる。実にファンタスティック!
 そして主役はレイラ・ハサウェイ! マーカス・ミラー“お抱え”ボーカリストであるレイラこそ“天才”R&B+ジャズ・シンガー! そう。【ラ・ヴィレット】は,2人の完璧なコラボレーションから産み落とされた,R&B+ジャズ+オペラのフュージョン・サウンド。

 もう1人のソロイスト,ベースで歌うマーカス・ミラーも,マイナー調アドリブのオンパレード! 2分15秒からの早弾きにも必然性を感じてしまう,まず“曲ありき”のアドリブである。
 ロマンティックなラブ・ソングは,ついにエレクトリックへ持ち替えたディーン・ブラウンの登場でクライマックスを迎える! 4分27秒からの“泣き”のギターが“おいしい”役所である。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitar, Beat Box, Piano, Synth Orchestra
LALAH HATHAWAY : Lead Vocals
KENN HICKS : Operatic Tenor
DEAN BROWN : Acoustic and Electric Guitars
POOGIE BELL : Brush Snare Drums
BERNARD WRIGHT : Additional Keyboards
CRAIG J "THE COUNT" : Percussion


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / BRUCE LEE3

 『SILVER RAIN』の2曲目は【BRUCE LEE】(以下【ブルース・リー】)。


 【ブルース・リー】でも,メイン・テーマを奏でるのは“当然”マーカス・ミラーベースなのだが,全体の印象としては,3分50秒から4分37秒までのアルト・サックス・ソロがハイライト!
 2分0秒から始まるマーカス・ミラーベース・ソロも,全体の曲調に合わせた“バックと解け合う”もので,今ひとつだ。

 ブルース・リーの“奇声”をイメージさせるためであろう,ギターや種々のサンプリングがキメの部分で入ってくるが,正直,マーカス・ミラーには自慢のベースで「アチョーっ!」と叫びまくってほしかった。残念。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitar, Keyboards, Beat Box, Guitar with Talk Box, Fender Rhodes, Hi Hat, DJ Scratches
GERALD ALBRIGHT : Alto Sax
BERNARD WRIGHT : Additional Keyboards
LALAH HATHAWAY : Vocals Sample
PATCHES STEWART : Trumpet


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / INTRO DUCTION3

 『SILVER RAIN』の1曲目は【INTRO DUCTION】(以下【イントロ・ダクション】)。


 【イントロ・ダクション】での,マーカス・ミラーチョッパー・プレイは,CD全体への“誘い水”。

 “ベーシストマーカス・ミラーを初めて聴く人にとっては“驚愕のチョッパー”なのかもしれないが,これはマーカス・ミラーにとって“ほんの肩慣らし”! いや,マーカス・ミラーからリスナーへ向けた気遣いあふれたプレゼント!
 「今から始まるショーに向けて,このトラックでもって,肩慣らししてくださいねっ」。
 そんなメッセージが,あ・な・たにも聞こえてきませんか?

 正に【イントロ・ダクション】! 朝飯前の29秒!

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitar, Fender Rhodes, Keyboards, Beat Box, Udu, DJ Scratches
EARTHA KITT : Vocals


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン4

アナログレコード

 人付き合いにおいて“第一印象”が重要であるように,あるアーティストの“第一印象”,つまり最初に出会ったCD,もっと言えば最初の一曲,これまた重要である。
 もちろん,長く付き合ってみれば“第一印象”の善し悪しなど吹き飛んでしまうものだが“食わず嫌い”なる言葉があるように,それ以降,箸を付けてもらえなくなるとも限らない。大げさであることは承知で述べるが,アーティストとの最初の出会いはそれこそ,一生の付き合いをも左右しかねない一大事なのである。
 もっともその逆もまた真実で,管理人の場合は,一度“お気に入り”としてインプットされたアーティストについては「どうせまた駄作なんだろうな」と思いつつも「今度こそは!」の繰り返し。数多くの駄作を掴まされている口である。

 さて,マーカス・ミラーである。管理人にとってマーカス・ミラー程,CDリリース毎に印象の異なるアーティストはいない。つまるところ“天才”なのであろう。本当に多くの切り口を持っているもので「よくもまあ」と関心させられてばかりである。
 マイルス・デイビスから入るとジャズディヴィット・サンボーンから入るとフュージョンジャマイカ・ボーイズレゲェ…。ベース小僧なら『THE SUN DON’T LIE』あたりか?
 まだまだ! 人気者のプロデュース業から入る道もある。うーん。何か良い解決策はないだろうか?…暫し考えてみる。

 YES! 『SILVER RAIN』(以下『シルヴァー・レイン』)! このCDにはマーカス・ミラーの魅力がバランス良く収められている。ジャズ,フュージョン,ポップス,ファンク,ボーカルものまであるではないか…。
 恐らく一度二度聴いたぐらいでは,マーカス・ミラーのイメージを掴むことなどできないであろう。本当に様々なジャンルのエッセンスが入り混じっている。『シルヴァー・レイン』の中に全体を貫く一つのテーマを見いだすのは至難の業だろう。そう。ここにあるのはマーカス・ミュージックそのものなのだから…。

 このCDの中に数曲,自分が今まで抱いていたマーカス・ミラーの曲がある。自分にとってはイメージ通り! しかし人によっては別の曲がマーカス・ミラーのイメージそのもの,という場合もあることだろう。そう。そのどちらも正解である。人によってマーカス・ミラーのイメージは異なる。マーカス・ミラーなら至極当然のことだろう。
 それで“ジャズ”の,“フュージョン”の,“ファンク”のマーカス・ミラーと言う固定観念を捨てて見る…。するとどうだろう。ついに一本一本の糸,一曲一曲のイメージが“マーカス・ミュージック”という,大きな“より糸”と化して迫ってくる!
 “カメレオン”マーカスの“七変化”に圧倒されたいなら,迷わず『シルヴァー・レイン』である!

(2005年録音/VICJ-61266)

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