アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2007年02月

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モーニン / MOANIN'5

 『MOANIN’』の2曲目は【MOANIN’】(以下【モーニン】)。


 【モーニン】を知らないジャズ・ファンは“モグリ”である! なんたって「ソバ屋の出前持ちまでが口笛で吹いた」という伝説?が残っているくらい当時の音楽界を“席巻”した超有名曲なのだから…。

 テーマの親しみやすさ+マイナー調&ゴスペル風+ピアノとホーンによるコール&レスポンス! と来ればヒットしない方がおかしい?
 しかし,あのテーマ以外は典型的なハード・バップである。そう。【モーニン】ヒットの要因はボビー・ティモンズの作曲能力にあるのではなく“曲を形にした”ジャズ・メッセンジャーズの確かな“名演”にある。

 59秒から始まるリー・モーガントランペット・ソロは「落雷」のように痛烈である。このラッパの音が全世界を駆け巡り,ついに時代を突き破ってしまった。

 しかしそのリー・モーガンベニー・ゴルソンの手にかかると「かよわく&おとなしく」聴こえてしまうのだからジャズって不思議な音楽である。
 ユニゾンでのベニー・ゴルソンテナーの重低音が超強烈! リー・モーガンの最高の高域をも完全に押しのけている! 3分4秒からのアドリブ・タイムが“吠えまくり”! ベニー・ゴルソン特有の“暑苦しい”テナー・サックスが“ファンキー・ブーム”の到来を伝えている!

 NO! 【モーニン】のハイライトは,5分3秒からのボビー・ティモンズピアノソロ! 正しく“ファンクファンク”! 時にリズミカル,時に流ちょう,時に力業が交差する“魅惑のピアノ”を聴かされれば,誰でも“身体が反応してしまう”というもの。

 【モーニン】こそが,ハード・バップファンキーの“永遠”の定番ソング。指定席は変わらない。

ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS
LEE MORGAN : Trumpet
BENNY GOLSON : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JYMIE MERRITT : Bass
ART BLAKEY : Drums

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モーニン / WARM UP AND DIALOGUE BETWEEN LEE AND RUDY2

 『MOANIN’』の1曲目は【WARM UP AND DIALOGUE BETWEEN LEE AND RUDY】(以下【ウォーム・アップ・アンド・ダイアローグ(リー・モーガン&ルディ・ヴァン・ゲルダー)】)。


 【ウォーム・アップ・アンド・ダイアローグ(リー・モーガン&ルディ・ヴァン・ゲルダー)】は,本番前のウォーム・アップ! 実に短い! これがジャズメンたちのウォーム・アップ

 リー・モーガンルディ・ヴァン・ゲルダーとの短い会話も収録されている。音楽的価値はないが歴史的価値はあるのだろう。
 実を言うと管理人もそこに“釣られて”買ってしまった…。聴いて“ガッカリ”していますけど…。

 当然,国内盤の『モーニン』は既に持っていましたが,2006年に東芝EMIより「RVGリマスター(Importヴァージョン)」なるものが発売され『モーニン』には,これまで輸入盤にしか収録されていなかった【ウォーム・アップ・アンド・ダイアローグ(リー・モーガン&ルディ・ヴァン・ゲルダー)】が国内盤に初めて追加されることとなった。
 ただの“リハーサル風景”が加わっただけなのに,コレクターとしての“悪いクセ”が出て,やっぱり買ってしまったのです。正にレコード会社の思うツボ,完全にカモられています。
 全く何回失敗すれば懲りるのでしょうね。もうほとんど病気です。ビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビイ』に至っては3枚も所持しておりますが,なにか?

 さて,音楽的価値?についても触れておこう。33秒からのアート・ブレイキーのカウントで,このトラックは幕を閉じ,そのままの流れで名曲モーニン】へと続く…。

ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS
LEE MORGAN : Trumpet
BENNY GOLSON : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JYMIE MERRITT : Bass
ART BLAKEY : Drums

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モーニン5

MOANIN'-1 ジャズ界には“名伯楽”が二人いる。マイルス・デイビスアート・ブレイキーである。

 勿論,二人ともプレイヤーとしても超一流ゆえ,正確には“名伯楽”とは呼べないが,優れたジャズメンを嗅ぎ分ける「嗅覚」は他のジャズ・ジャイアントの追随を許さない程,秀でたものがいる。
 「マイルス・スクール卒」&「ジャズ・メッセンジャーズ卒」のビッグ・ネームを数え挙げると切りがない。マイルス・デイビスアート・ブレイキーのバンドがリニューアルされる度に「またドエライ新人を連れてきたもんだなぁ」と,二人の“人材発掘能力”にしばしば感心させられたものである。

 しかしマイルス・デイビスアート・ブレイキーの“スカウト”の手法には大きな違いがある。
 マイルス・デイビスのコンボはいつでも“オールスター軍団”! 野球で言えば巨人軍! そう。FAで完成品をかっさらう! 一方,アート・ブレイキーのコンボは広島カープ! 有望新人を自前で叩き上げる! 現場でトコトン鍛え抜く“ど根性軍団”!

( マイルス・ファン,並びに巨人ファンの読者の皆さん,悪く言おうとする意図などありませんが,傷付けてしまったのでしたら,心から謝罪いたします。正確には,マイルス・デイビスも“無名の新人”をたくさん発掘してきましたし,アート・ブレイキーも“大物”を登用した時代がありました。目くじらを立てずに,おおまか・大体の違いってことで,サラリと読み流していただければ助かります。お許しを…。)

 さて,アート・ブレイキーの最高傑作であると同時にファンキー・ジャズの“不朽の名盤”『MOANIN’』(以下『モーニン』)が録音される前年(1957年)のジャズ・メッセンジャーズには才能豊かな“後の大物”たちが多数在籍していた。
 ざっと紹介してみると,ジャッキー・マクリーンドナルド・バードルー・ドナルドソンハンク・モブレージミー・スミスジョニー・グリフィンジョン・コルトレーンウォルター・ビショップ・ジュニアといった“驚異の面々”がズラリと並んでいる。

 ジャズ・メッセンジャーズがすでに人気コンボだったことを考えると誠に不思議であるが『モーニン』録音時には上記“大物”メンバーは一人も在籍していない。
 『モーニン』の録音メンバーは全員テナー・サックスベニー・ゴルソン繋がり。ピアノボビー・ティモンズトランペットリー・モーガンベースジミー・メリット。そう。ベニー・ゴルソン以外は,当時“まだ”無名の面々である。

 しかし“名伯楽”アート・ブレイキーの目に狂いはなかった! すでに“ファンキー”を求める土壌を見て取ったアート・ブレイキーは“新・音楽監督”にベニー・ゴルソンを任命した。ファンキー・ジャズベニー・ゴルソンが引き連れてきたこの新メンバーだからこそ音を“具現化”できたのである。

MOANIN'-2 ここでは簡単に触れておくが,ファンキー・ジャズとはジャズのルーツであるブルースやゴスペルの持つ“アーシー”な感覚を意識的に取り入れたハード・バップのこと。そう。ファンキー・ジャズの完成には“アーシー”を頭ではなく身体で理解できる「黒い」ジャズメンが必要不可欠。
 この新メンバーは全員東海岸フィラデルフィアの出身。幼少の頃からジャズはもとより,ブルースやゴスペルと共に育ってきたジャズメンなのだ。

 ついに“機は熟した”! ファンキーを求める時代の波とメンバーの高い資質がアート・ブレイキーに“理想の”ファンキー・ジャズの誕生を告げていた! その後の世界的大ブームについては改めて説明するまでもないだろう。
 ファンキー・ジャズの“不朽の名盤”『モーニン』に“新・音楽監督”ベニー・ゴルソンあり! “名伯楽”アート・ブレイキーなくしてファンキー・ジャズは語れない!

  01. WARM UP AND DIALOGUE BETWEEN LEE AND
     RUDY

  02. MOANIN'
  03. ARE YOU REAL
  04. ALONG CAME BETTY
  05. THE DRUM THUNDER SUITE
  06. BLUES MARCH
  07. COME RAIN OR COME SHINE
  08. MOANIN' (alt. take)

(ブルーノート/BLUE NOTE 1959年発売/TOCJ-66404)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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伊東 たけし / T.K. / UPTOWN SATURDAY NIGHT4

 『T.K.』の4曲目は【UPTOWN SATURDAY NIGHT】(以下【アップタウン・サタディ・ナイト】)。


 【アップタウン・サタディ・ナイト】は,ゴスペルチックでもありモータウン的でもある,ブラック・コンテンポラリー。
 印象的なリズムに“あえて乗らない”ことで,伊東たけしの“粘っこい”フレージングがフューチャーされている。

 ダイナミックなボーカルと躍動するシンセ群の中にあって,ジャズ系・アルト・サックスだからこそ奏でられる,2分45秒からのフレーズがインパクト!
 「黒」と出会ったことで,伊東たけしの特徴である“日本人的・演歌魂?”が自然に表現されている。
 これが“狙い”であれば計算通りの快演なのだろうが,ザ・システムが構築した,NY流の音造りからは,結果オーライの感が漂っている。

TAKESHI ITOH : Alto Sax
DAVID FRANK : Keyboards, Synthesizers, Drum Machine and Programming
IRA SIEGEL : Guitar
JIMMIE TUNNEL : Lead Vocals
LISA FISHER, YOLANDA LEE, MIC MURPHY and JIMMIE TUNNEL : Background Vocals

レッド・ガーランド / グルーヴィー / WILL YOU STILL BE MINE?4

アナログレコード

 『GROOVY』の3曲目は【WILL YOU STILL BE MINE?】(以下【ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン?】)。


 【ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン?】における,レッド・ガーランド名演には舌を巻く。これぞ“パウエル派”を完全に消化しきった「ザ・レッド・ガーランド」のオリジナリティ!

 例の“連続コロコロ”が“パウエルばり”の超高速で炸裂する! 一人で表と裏メロの二役をこなし,なおかつスイングしている。
 それなのに不思議とハード・バップ特有の重苦しさは感じられないのである。これこそレッド・ガーランドの“巧みの業”!

 51秒からの前半のピアノ・ソロがレインボー! 3分2秒からの後半のピアノ・ソロがスコール!( ← 意味不明でしょうが,こう表現するのが最適でしょう。自信あります。)

 ハード・バップ好きには,スゴ技を“サラリ”と聴かせてしまうところが,逆に物足りなく感じるのかもしれないが,管理人にはこの程度の“重さ”が丁度良い。
 これ以上バド・パウエルに“肉薄”してしまうと,おいそれとガーランドに手出しできなくなってしまう。
 そう。レッド・ガーランドには悪いが,いつまでも横綱=バド・パウエルの“露払い”でいてほしいと思っている。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE RED GARLAND TRIO
RED GARLAND : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
ARTHUR TAYLOR : Drums


グルーヴィー
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ジョン・コルトレーン / バラード / I WISH I KNEW4

アナログレコード

 『BALLADS』の5曲目は【I WISH I KNEW】(以下【アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー】)。


 【アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー】は,マッコイ・タイナー名演を聴くためにこそある!
 【アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー】に限らず『BALLADS』での,マッコイ・タイナーは,名ソロイストとしての演奏は影を潜め,ひたすら落ち着いた,柔らかい音を出している。この雰囲気はバラードの名伴奏者“気取り?”である。

 イントロからして,これは…と“思わせぶりな”音の羅列…。一気にムードを作ってしまう。
 ジョン・コルトレーンのプレイも良いが,もう管理人の耳にはマッコイの音しか入ってこない。バッキングを付けるマッコイの音に感動してしまう。
 そう。ここにはビル・エヴァンスとは違う,もう1つのモードがある。“モードの権化”と称されたマッコイ・タイナーピアノには,ジャズピアノ“らしさ”が常に伴う。眼前に音空間が広がるのである。

 2分31秒から1分間のピアノ・ソロがそうだ。ここではフレーズの区切りで高域へと跳ね上がる,マッコイ“お得意の”フレーズを用いつつも,中域勝負に徹する左手が,ジャズピアノ“らしさ”を演出している。
 4分20秒からの“ジャラ〜ン”の5連発では,エルヴィン・ジョーンズのシンバルと見事な連動性を見せる。“キラキラ”と星降るピアノが実に素晴らしい。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

JOHN COLTRANE QUARTET
JOHN COLTRANE : Tenor Sax
McCOY TYNER : Piano
JIMMY GARRISON : Bass
ELVIN JONES : Drums


Ballads
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第49回(2006年度)グラミー賞 ジャズ部門-NO.2

 グラミー賞! いやはや,発表から2日も経ってしまい,読者の皆さんも少し興ざめ?するのかもしれませんが,年末のお約束を果たすため,第49回(2006年度)グラミー賞についてレポートしてみます。「速報!」版が多数出ている中での「遅報!」版の発行で〜す!

 “年に一度の音楽の祭典”今年のグラミー賞は,ディクシー・チックスが主要三部門を独占&計五部門を受賞したようですが,管理人的にはディクシー・チックスよりも“ジミに”技術部門のテクニカル賞を受賞したヤマハ! レコーディング用の各種機器の開発など長年の貢献が認められての受賞だそうだ。これでヤマハもソニーに追いついたわけで…。

 ん? ジャズフュージョン以外はどうでもよかったですね。
 早速「アドリブログ」の本丸『FIELD 10 − JAZZ』の受賞作の発表で〜す。

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Category 45 - Best Contemporary Jazz Album


★ The Hidden Land
Béla Fleck & The Flecktones


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Category 46 - Best Jazz Vocal Album


★ Turned To Blue
Nancy Wilson


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Category 47 - Best Jazz Instrumental Solo


★ Some Skunk FunkMichael Brecker, soloist /
Track from : Some Skunk Funk (Randy Brecker w/Michael Brecker)

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Category 48 - Best Jazz Instrumental Album, Individual or Group


★ The Ultimate Adventure
Chick Corea


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Category 49 - Best Large Jazz Ensemble Album


★ Some Skunk Funk
Randy Brecker With Michael Brecker, Jim Beard, Will Lee, Peter Erskine, Marcio Doctor & Vince Mendoza conducting The WDR Big Band Köln
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Category 50 - Best Latin Jazz Album


SIMPATICO★ Simpático
The Brian Lynch / Eddie Palmieri Project


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 グラミー賞の“常連”マイケル・ブレッカー(正確にはランディ・ブレッカー名義)が2冠達成! これはパット・メセニー同様,アドリブログの“殿堂”へと招待させていただかねば!
 恐らく来年は,マイケル・ブレッカーの遺作が発表 → 最後のグラミー受賞という図式が早くも目に浮かんできます。

 さて,注目の“激戦区”「Category 48」はチック・コリア! チック・ファンとしては勿論うれしいのだが,トリオ・ビヨンドの出来が余りにも良かっただけに,ひそかに応援していた者としては少し複雑。ケニー・ギャレットにしても受賞できたら“一皮むける”大チャンスだったのに…。う〜ん。

 管理人にこう思わせた,チック・コリア自身にも非があるのでは? 奇しくも『スーパー・トリオ』が,スイングジャーナル誌・2006ジャズ・ディスク《金賞》を受賞し,チック・コリアマイケル・ブレッカー以上に“価値ある”2冠達成!
 だが『スーパー・トリオ』は【スペイン】のフェードアウトにガッカリだったし『アルティメット・アドヴェンチャー』は,またもSF作家=ロン・ハバードのコンセプト・アルバムだし…。
 肝心な部分でどうにも相性が悪い…。これって,私だけ?

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DIMENSION / 11TH DIMENSION “KEY” / MAGIC ONE4

 『11TH DIMENSION “KEY”』の1曲目は【MAGIC ONE】。


 【MAGIC ONE】は“バリバリ”DIMENSIONの本領発揮! メンバー3人の掛け合いは,ただただ“熱い”演奏であるが,管理人の印象としては,どこかで緻密にコントロールされた“クール”な肌触りのトラックである。

 その要因は増崎孝司。バックで刻む“カッティング・ギター”がバンド・サウンドをコントロールしていく。バンマス経験の豊富な増崎孝司だから出来る,最前線での“サジ加減”がお見事!

 その増崎孝司の“ウネウネ”ギターに,徳永暁人チョッパー・ベースが“絡みつく”! 黒瀬蛙一のドラムが“底”を支えれば,後は“クレイジー・サックス奏者勝田一樹の独壇場!
 この“ビビット”感はもの凄いが,勝田一樹にしては“抑えめ”に吹き流した“形跡”がある。リラックスしてこの出来なのだから,逆に末恐ろしい,と思ってしまう。

 テーマでもラストでも随所に聴かせる“大ブロー”の何と伸びやかなことか。2分15秒からのアルト・ソロにはケニー・ギャレットが入っている。素晴らしい。

DIMENSION
TAKASHI MASUZAKI : Guitars
AKIRA ONOZUKA : Keyboards & Programming
KAZUKI KATSUTA : Alto Saxophone

GUEST MUSICIAN
KAICHI KUROSE : Drums
AKIHITO TOKUNAGA : Electric Bass
 

DIMENSION / 11TH DIMENSION “KEY”5

11TH DIMENSION “KEY”-1 「第三世代」という言葉がある。何かと耳にする「携帯電話」の話ではない。J−ジャズフュージョンの話である。

 世代交代はいつでも,革新的な新規格の登場と共に幕を開ける。第三世代携帯電話とは「IMT−2000」規格に準拠した携帯電話やその方式のことを指す。要は高速パケット通信と高い周波数利用効率が特長である。
 世代交代は新規ユーザーにとっては“朗報”であっても,旧ユーザーには,時として“痛み”を伴う。そう。互換性問題…。
 管理人は「IDO」時代からのauユーザーなので影響はなかったが,NTTドコモが「FOMA」を開始した時には,エリア外+エリア内なのにつながらない,のオンパレード! 残念ながら,第二世代の「MOVA」と第三世代の「FOMA」に互換性はなかった。

 90年代前半のこと,J−ジャズフュージョンに「第三世代」と呼ばれる若手ジャズメンたちが登場した。
 ナベサダヒノテルらの第一世代,カシオペアスクェアらの第二世代の影響は確実に受けているものの,全く違うアプローチ,全くの新発想=完全なる新規格! ある部分は旧世代との互換性もあるが,ある部分は互換性など考慮されていない。

 “新規”ユーザーである,第三世代のファンたちは,すぐに“おいしいところ”を聴きこなしてしまうが“機種変”ユーザーである,第一,第二世代のジャズフュージョン・ファン,つまり管理人のような「立派なおじさんたち」であるが,彼らが第三世代を使いこなすには“慣れ”が少々必要である。

 そこでDIMENSION! 第三世代の“旗印”であるDIMENSIONについては「ビーイング系」「超絶技巧集団」と称される機会が少なくないが,管理人にはピンとこない。
 確かに一世風靡した「ビーイング系」との交流が深いが,それはDIMENSIONの“懐の深さ”を意味しているに過ぎない。

 DIMENSIONには,意図的にポップスやロック寄りの音造りをしたトラックがあるが,その瞬間瞬間で周りの音に反応する演奏姿勢は,ジャズ・スピリッツで溢れている! 絶妙のアドリブに一発で心を奪われてしまう!
 DIMENSIONのスーパー・テクニックは「超絶技巧」であるが,正しくは“百戦錬磨”のセッション集団と呼ぶべきだろう。

11TH DIMENSION “KEY”-2 DIMENSIONの体内には“いい音の前にいい演奏がある”ジャズフュージョンの血が流れている。
 たとえポップスやロックを演奏しようとも,常に“おいしい”アドリブを追求する「セッション集団」としての本性を隠すことなどできやしない。

 特にキーボード小野塚晃は,渡辺貞夫グループのレギュラー・ピアニストとして10年前にプレイしていたが,今年のツアーで復活を果たしたジャズメン。そう。小野塚晃は今も昔も“ジャズ畑”の人間なのである。
 それで“目新しさ”ではなく“基本性能”に注目して聴いてみると,機種変組のおじさんたちでも“スンナリ”と,新規格のJ−ジャズフュージョンを受け入れることができると思う。

 DIMENSIONの最初の1枚は『11TH DIMENSION “KEY”』がいい。『11TH DIMENSION “KEY”』ならば,DIMENSIONへの拒否反応はでないと思う。「スッ」と身体に染み入る造込みで,第三世代特有の“壁”を感じない。メロディーの良さに魅了されることと思う。
 その分「超絶技巧」はスパイス程度。楽器小僧なDIMENSIONファンの間では“凡作”とされているので,あらかじめご了承頂きたい。

 そんな“敷居の低い”『11TH DIMENSION “KEY”』なので,昔の文脈を通しても心地良く聴くことは可能だが,いつまでも過去との互換性に頼っているとしたら新規格の恩恵に浴することはできない。
 ここは思い切って『11TH DIMENSION “KEY”』の音世界へ身を委ねてみてほしい。まずは勝田一樹アルト・サックスが耳で追いやすいと思う。この転調の多さとハイトーンの“乱れ打ち”は,過去のJ−ジャズフュージョンの“型”には無かったものだ。
 何が新しいのか,うまく説明できないが,以前の“しがらみ”をとっぱらった音楽理論が,作曲方法,演奏手法まで変えてしまっている。やはり世代交代は,革新的な新規格の登場と共に幕を開けたのだった。

11TH DIMENSION “KEY”-3 ちまたでは2007年問題=団塊の世代の大量退職によるノウハウの消滅に危機感が叫ばれている。
 しかしJ−ジャズフュージョン界は安泰である。DIMENSIONに代表される「第三世代」が立派にシーンを担っている。そして今や矢野沙織アキコ・グレース山中千尋らの「第四世代」の台頭も著しい。“十年一昔”とは良く言ったものである。

 ガンバレ第一世代,負けるな第二世代! この気持ちは当の第三世代,第四世代のジャズメンも同様だろう。ジャズメンに定年退職などないのだから“生涯現役”のベテラン勢と若手たちが“切磋琢磨”し,次世代の新規格の創造にチャレンジし続けてほしい。
 2007年のJ−ジャズフュージョン界は,世界的に見ても稀に見る激戦区。新旧入り混じった素晴らしい環境下にある。

  01. Magic One
  02. Key
  03. Someday
  04. Alone In Love
  05. Sun Dance
  06. Colour Of Days
  07. Moment
  08. I Don't Wanna Cry
  09. Shadow Of A Memory
  10. What's Rare?

(BMGルームス/BMG ROOMS 1998年発売/BMCR-7030)

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イエロー・ジャケッツ / ポリティクス / TORTOISE & THE HARE4

アナログレコード

 『POLITICS』の2曲目は【TORTOISE & THE HARE】(以下【カメとうさぎ】)。


 【カメとうさぎ】は,カメとうさぎではなく“チーター”! 「3歩進んで2歩下がる〜」って書いたら,どれだけの読者に伝わるかな?
 「3歩進んで2歩下がる」テーマが「いけそうでいけない」もどかしさ。その辺りが【カメとうさぎ】の由来だろうか?

 ウサギ役であろう,キーボードサックスの細かい「音合わせ」に,カメ役であるリズム隊が追いついてくる! 筋書き通りなら,最後はリズム隊が勝つところだが,強引な批評はできない。
 イエロー・ジャケッツの【カメとうさぎ】は,フロントであるウサギ役の大勝利で幕を閉じる! もっと言えば,これはラッセル・フェランテマーク・ルッソのガチンコ徒競走である。

 その勝者は…。4分25秒からの30秒間に答えがある!

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

YELLOWJACKETS
RUSSELL FERRANTE : ALL KEYBOARDS
JIMMY HASLIP : 5-STRINGS BASS
MARC RUSSO : SAXOPHONE
WILLIAM KENNEDY : DRUMS

GUEST MUSICIANS
ALEX ACUNA : PERCUSSION
STEVE CROES : SYNCLAVIET


Politics
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オスカー・ピーターソン / プリーズ・リクエスト / DAYS OF WINE AND ROSES5


 『WE GET REQUESTS』の2曲目は【DAYS OF WINE AND ROSES】(以下【酒とバラの日々】)。


 ジャズ・スタンダードである【酒とバラの日々】の“お手本”的な名演である。
 どことなく“名もない流し風”=黒子役に徹したオスカー・ピーターソンの,原曲に“忠実な”プレイに好感が持てる。

 オスカー・ピーターソンは【酒とバラの日々】が大好きなのだと思う。この出来栄えは,当然,単なる“流し”のそれを超えているが,メイン・テーマについては,実に“端正”な演奏だから…。
 変な“崩し”が微塵もない。ジャズ・バーで聴く“生演奏”の雰囲気たっぷりである。決して会話の邪魔をしない,良質のBGM!

 しかしそんな原曲に“忠実な”演奏であっても,ピーターソンはやっぱりピーターソン! ピーターソン特有の個性が“プンプン臭ってくる”から,逆にうれしくてたまらない。
 例えば4秒,6秒,12秒での「伸びやか」なピアノ。一転して48秒からの高速アドリブ。この対比が心地良く一気にのせられてしまう。

 心地良さと言えば,特筆すべきはレイ・ブラウンベース! テーマを奏でながらも華麗にピーターソンの裏をついていく。この絡み具合が名人芸! ピアノ・トリオベーシストとして,レイ・ブラウンの人気が高いのもうなずける。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE OSCAR PETERSON TRIO
OSCAR PETERSON : Piano
RAY BROWN : Bass
ED THIGPEN : Drums

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