アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2007年10月

Z(ジー) / ジョー・ザビヌルの全表紙コレクション / ジョー・ザビヌル

Z JOSEF ZAWINUL 二夜連続「スーパートリビア書籍・雑誌シリーズ」を…。

 9・11。ジョー・ザビヌル氏が永眠されました。遅ればせながら哀悼の意を表します。
 ジョー・ザビヌル氏は,紹介不要のジャズ・ジャイアント! キーワードは,キャノンボール・アダレイマイルス・デイビス〜“栄光の”ウェザー・リポートザビヌル・シンジケート! 彼のキャリアについて詳細を語るなら紙面が幾らあっても足りないに違いない。

 そんな超ビッグなジョー・ザビヌル氏であるが,ジャズフュージョン初心者には??かも…。
 そこで『ジー)』!? 『』とは“ちょいワル”『LEON』の二匹目のドジョウ? 「青二才禁止」! 粋な爺(じぃ)を目指すための日本初のシニア向けファッション雑誌!
 ジョー・ザビヌル氏を知らない人でも『』の表紙の人と言えば,すぐにピンと来るのでは? ← んなわけないか。

 管理人がジョー・ザビヌル氏について語るなら“衝撃!”と言う言葉が多くなる。ジョー・ザビヌル氏こそ,正真正銘「音の魔術師」であった。あの超重量級鍵盤装置から発せられる“ゴージャスな音”に何度も“衝撃”を受けたものだった。そう。ザビヌル氏こそ,ジャズフュージョンの黄金期を支えた「天才」であった。

 しかし管理人がジョー・ザビヌル氏から受けた最大の“衝撃”こそ『』の表紙モデル! なぜって? 以下の「ジョー・ザビヌルの全表紙コレクション」を見ていただければ明らかなように,彼はちっとも格好良くないのだから…。

 これは加齢から来る容姿の衰えなどではない。女の子に黄色い声で騒がれたであろう,人生一番のモテ期=ウェザー・リポートの全盛期においてさえ「ラーメン屋のオヤジ」仕様?のニット帽を被っていた。そんな“ダサダサ”ジョー・ザビヌル氏がファッション雑誌の“表紙モデル”になるとは…。
 仲間内で毎号毎号,大笑い&クスクス笑い。例えば“書道をたしなむ”ジョー・ザビヌル氏の姿など,世界中のジャズフュージョン・マニアの一体誰が想像できようか…。

 しかし悲しい現実。悲しい別れ。もうそんなジョー・ザビヌル氏はこの世にいない。もう『』のコミカル表紙を見られない。『』の2007年12月号が発売になった。最後にもう一度,ジョー・ザビヌル氏の『』での遺影を見れるものと期待していたのだが…。

 『IN A SILENT WAY…』。安らかにお眠りください。
 『ジー…』。安らかにお眠りください。

ジョー・ザビヌルの全表紙コレクション

Z0612Z0702Z0704
Z0706Z0708Z0710

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

BARKS+plus / クラシックとジャズの女神たち (Muse of Classical & Jazz Music) / 矢野沙織,小林香織,市原ひかり,山中千尋,寺井尚子

BARKS+plus 今月2日,「BARKS+plus」の特別号『クラシックとジャズの女神たちMUSE OF CLASSICAL & JAZZ MUSIC)』が発売されました。

 店頭で最初に見かけた時は,当然「水着写真」などはないものの,所謂グラビア雑誌そのものゆえ「ここで買っては男が廃る」と,意を決して帰宅したものの,やっぱり気になり,再び買いに出かけた“シロモノ”です。

 管理人のお目当ては“J−ジャズ界のアイドル四天王”(矢野沙織小林香織市原ひかり山中千尋)なのであるが,ここで衝撃の大告白? 管理人が1番長〜く見つめたのは,表紙を飾った『クラシックの女神』ギタリスト村治佳織嬢でした。

 めっちゃイメチェンの,クレオパトラ風は好みではないが(『ライア&ソネット』での純名里沙系がいい!)これぞ『クラシックの女神』! 美人は写真鑑賞に最適です。
 その他,ピアニスト&女優の松下奈緒ヴァイオリニスト奥村愛庄司紗矢香諏訪内晶子松田理奈と美人揃い! 恐るべし,J−クラシック!

 おっとっと…。『ジャズの女神たち』のお話でしたね? この「BARKS+plus」の特徴は“両A面ならぬW表紙”になっていて,裏表紙を飾っているのが“アジアン・ビューティー矢野沙織嬢!
 こんなに“笑顔満開”の矢野沙織も珍しい。ザ・グラビア・アイドルしている。なりきっている。こんな矢野沙織は超貴重である。
 しかしインタビュー内容は真面目。大真面目に「グラミー賞が欲しい」と言い切っている。若さって素晴らしい。

 “ジャズ界のアイドル小林香織嬢が,服装選びも筋トレも生活の全てがアルト・サックス中心であることについて語れば,市原ひかり嬢が“ジャズラッパ・宣言!”を…。
 山中千尋嬢からは「明日はピアノが弾けなくなるかも&プロ意識なし」のドッキリ発言が…。辞めないでくださ〜い。
 その他,麗しの女王様=寺井尚子東京ブラススタイル上松美香も紹介されています。

 個人的にはもう何人か取り上げて欲しかった人もいますけど,何れ劣らぬ“色才兼備”! 『クラシックとジャズの女神たち』をグラビアで魅せることに「異論反論オブジェクション」(← 古い?)であろうが,決して悪いことばかりではないと思いますよ。詳細は袋とじで(買ってから見てくださいの意)。

 参考までに,以下「BARKS+plus」による“J−ジャズ界のアイドル四天王”オフィシャル紹介文です。

ジャズ
矢野沙織セクシーさと天才的プレイで大ブレイク中
小林香織美貌とフージョン・ジャズで人気
市原ひかりアイドル的外見のトランペッター
山中千尋海外でも活躍するジャズ・ピアニスト

メデスキ,マーチン&ウッド / トニック / AFRIQUE5

アナログレコード

 『TONIC』の2曲目は【AFRIQUE】(以下【アフリーク】)。


 管理人の「メデスキ,マーチン&ウッド好き」が確立された,思い出のトラック。それが【アフリーク】である。
 【アフリーク】に対しては,様々な特別な思いが入り混じってしまって,時に涙なしでは聴けない夜も…。

 そんな私情はおいといて,純粋に【アフリーク】を批評するのも至難の業! 例えば1分35秒でのピアノのアタックを聴いてみてほしい。そして感じとってみてほしい。
 ガッチリ作り込んでいるようでいて実はインプロ? インプロのように見せておいて実はバッチリ譜面通り? この相反する両方の感情が数フレーズ毎に揺れ動くのだからたまらない。
 ジャズフュージョンばかりをそれこそ,何千枚と聴き込んできた,という自信があった。そんな管理人をして【アフリーク】に,ひいてはメデスキ,マーチン&ウッドに完全降服&白旗である。真に驚愕&衝撃&ぶっ飛びである!

 ジョン・メデスキは凄い。クリス・ウッドは凄い。ビリー・マーチンは凄い。メデスキ,マーチン&ウッドは凄い。ただただ凄い!

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MEDESKI, MARTIN & WOOD
JOHN MEDESKI : Piano, Melodica
BILLY MARTIN : Drums, Percussion, Mbira
CHRIS WOOD : Bass



TONIC
ランキングを見てみよう!

松永 貴志 & 矢野 沙織 / オープン・マインド / OPEN MIND - TAKASHI MATSUNAGA VERSION5

 『OPEN MIND』の2曲目は【OPEN MIND − TAKASHI MATSUNAGA VERSION】(以下【オープン・マインド(松永貴志ヴァージョン)】)。


 “爆走する”ピアノ・トリオである。アップテンポの【オープン・マインド】である。
 そう。これが【オープン・マインド(松永貴志ヴァージョン)】の真実である。

 「矢野沙織好き」を公言する管理人としては【オープン・マインド】を購入したのも,当然【矢野沙織ヴァージョン】目当てであったのだが…。
 ドッコイ,【オープン・マインド(松永貴志ヴァージョン)】で松永貴志に“開眼”させられた!
 今更【松永貴志ヴァージョン】の方が出来が良い,など口が裂けても言えませんが,心の中ではそう思っています。はい。「ココだけの話」は眞鍋かをりです。

 松永貴志ジャズ・ピアノを弾きまくっている。3分9秒でのタイム感や3分19秒の高音オクターブでのフィナーレで盛り上がる。
 超テクニカルなのに,そんな技術云々を吹き飛ばす,山下洋輔バリの“勢い”が圧巻! 若さって素晴らしい!

TAKASHI MATSUNAGA : Piano
DAIKI YASUKAGAWA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums

ジャック・デジョネット / アース・ウォーク / PRIESTESSES OF THE MIST3

アナログレコード

 『EARTH WALK』の4曲目は【PRIESTESSES OF THE MIST】(以下【プリーステシズ・オブ・ザ・ミスト】)。


 【プリーステシズ・オブ・ザ・ミスト】は,グレッグ・オズビーソプラノ・サックスが“妖しげ”に鳴り,ロニー・ブラキシコの“地を這う”ベースがリズムを打つ。
 2人のコラボレーションを軸に,他のメンバーが絡み合い,高音と低音の隙間を埋めている。

 この神秘的な密度感はグレッグ・オズビーのものであるが,成功の陰にゲイリー・トーマスフルート有り。絶妙にメロディからアウトしていく「笛の音」が効果音的に使われている。緊張感が持続している。

 ただし【プリーステシズ・オブ・ザ・ミスト】が描き出す“闇の夜の得体の知れない緊張感”は,正直好みではない。どうも夜中に「笛の音」が聞こえると,ドキドキ・ソワソワ・ジトジトと…。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

JACK DeJOHNETTE SPECIAL EDITION
JACK DeJOHNETTE : Drums
MICKAEL CAIN : Piano and Synthesizers
GARY THOMAS : Tenor Saxophone and Flute
GREG OSBY : Alto and Soprabo Saxophone
LONNIE PLAXICO : Bass


アース・ウォーク
ランキングを見てみよう!

トニー・ウィリアムス・ライフタイム / エマージェンシー! / BEYOND GAMES3

アナログレコード

 『EMERGENCY!』の2曲目は【BEYOND GAMES】(以下【ビヨンド・ゲームズ】)。


 【ビヨンド・ゲームズ】こそ,1969年を代表する(大失敗)実験作。アーシーでモーダルなギターオルガンが鳴り響くなか,棒読みのトニー・ウィリアムスが“詩吟”を読んでいく。
 【ビヨンド・ゲームズ】という曲名の由来は,この不要で邪魔な言葉遊び? トニー・ウィリアムスの単調な語り口が,熱い演奏を止めてしまうほど,一気に場をシラケさせてしまう。

 “語り部”トニー・ウィリアムスが抜けた演奏には生気が回復している。特にこれと言った特徴のないテーマを3人の“抑揚”だけで,エキサイティングに聴かせてしまう“腕前”は流石である。
 とりわけトニー・ウィリアムスの自由奔放なドラミングは凄い。試しにドラムだけを耳で追いかけてみたが,これは何度聴いても飽きが来ない。名演であろう。

 七変化する名ドラミングに“詩吟”を加えたトニー・ウィリアムスの“八変化”であるが,あの「表情豊かなドラミング」をなぜ「無表情の詩吟」で破壊する必要があるのだろう。
 現代のジャズ・ラップを知ってしまったから余計に,失敗作と感じてしまうのかな? ジャズボイスとの新しい融合を目指す姿勢は評価しなければならないが,結果としては「時期尚早」。最悪のチャレンジとなってしまった。
 【ビヨンド・ゲームズ】は,今後も聴く機会は少ないだろうなぁ。情緒不安定になりそうで,どうしても好きになれません。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE TONY WILLIAMS LIFETIME
TONY WILLIAMS : Drums, Vocal
JOHN MCLAUGHLIN : Guitar
LARRY YOUNG : Organ


Emergency!
ランキングを見てみよう!

ソニー・ロリンズ / ウェイ・アウト・ウエスト / WAY OUT WEST (ALTERNATE TAKE)4

アナログレコード

 『WAY OUT WEST』の9曲目は【WAY OUT WEST (ALTERNATE TAKE)】(以下【ウェイ・アウト・ウエスト(別テイク)】)。


 【ウェイ・アウト・ウエスト(別テイク)】での,ソニー・ロリンズテナー演歌?“こぶし”の効いたアドリブに愛着を覚えてしまう。

 1分13秒から17秒で顕著なように,テーマ全体をゆったりと崩している。しかしそこにはテーマの「乗り遅れ」はない。ソニー・ロリンズが“こぶし”を回す時間だけが,スロー・モーションで過ぎ去ってゆく。
 トラック批評のために例の何分何秒を計ってみたが,特に数字上の異変はない。しかし確かな感触としての「特異なタイム感覚」だけが残ってしまう。ここでは便宜上「イッツ・ロリンズ・タイム!」とでも呼んでおこう。

 3分台から5分台のレイ・ブラウンベース・ソロとシェリー・マンドラム・ソロの前後に入る“合いの手”が,実に冴えている。やはり“一瞬で場を読んだ音選び”は天才の証しであろう。

 おっと,硬派チックに批評してしまったが【ウェイ・アウト・ウエスト(別テイク)】の聴き所は“軟派”なソニー・ロリンズにあることをお忘れなく!
 是非,ソニー・ロリンズの手癖である,5分45秒からのバフバフ音で“にやついて”みてください。“にやつける”ようになるまで聴き込めば,管理人の主張する【ウェイ・アウト・ウエスト(別テイク)】の良さが,きっと分かることと思います。 

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

SONNY ROLLINS : Tenor Sax
RAY BROWN : Bass
SHELLY MANNE : Drums


WAY OUT WEST
ランキングを見てみよう!

マル・ウォルドロン / レフト・アローン / YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS4

アナログレコード

 『LEFT ALONE』の3曲目は【YOU DON’T WHAT LOVE IS】(以下【恋とは何でしょう】)。


 ビリー・ホリディの愛唱歌と言えば,管理人にとっては【恋とは何でしょう】である。ビリー・ホリディの“お抱え”ピアニストであったマル・ウォルドロンにとっても,きっと思い出深いトラックであるに違いない。
 そう。この“しみじみとした語り口”は,ビリー・ホリディ名伴奏者そのもの。そばでビリー・ホリディが歌っているかのごとく「決して目立たず前へ出ず」。控え目で端正なピアノである。

 勿論,マル・ウォルドロンの【恋とは何でしょう】にもドラマはあるのだが,やはり盛り上がりを見せるパートは,歌ものでのクライマックスと連動している。
 例えば,マル・ウォルドロンのハイ・テクニックを実感できる,1分52秒からと4分21秒からの流ちょうなピアノを聴き比べてみてほしい。後者では“勢い”を感じ取れることであろう。
 5分16秒からの“音圧”には,いささかビリー・ホリディが乗り移ったかのごとく,これだけは何とか伝えたい&歌いきりたい,との熱い願いが込められているように感じられる。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE MAL WALDRON TRIO
MAL WALDRON : Piano
JULIAN EUELL : Bass
AL DREARES : Drums


レフト・アローン
ランキングを見てみよう!

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モーニン / ARE YOU REAL5

 『MOANIN’』の3曲目は【ARE YOU REAL】(以下【アー・ユー・リアル】)。


 【アー・ユー・リアル】は,典型的なハード・バップ・ナンバー。アート・ブレイキー奏でる“ミディアム・ファーストの4ビート”に心も身体も揺さぶられてしまう。

 テーマは所謂「ゴルソン・ハーモニー」で満開である。そう。テナー・サックストランペットの「輪唱&コーラス」! これぞジャズ・メッセンジャーズ!というキメ・フレーズであるが,特筆すべきは2コーラス目に逆循環コードを4小節加えたパート。
 逆循環と言えば“名手”マイルス・デイビスミュートが有名であるが,大抵はソロのつなぎ役。逆循環をテーマ自体に付け足したのは「ベニー・ゴルソン・オリジナル」の才能であろう。

 テーマを離れたベニー・ゴルソンリー・モーガンアドリブも実に熱い! 2人のハード・バッパーとは対照的に,ファンキー・ジャズピアニストボビー・ティモンズアドリブの,何と上品なことなのでしょう。

 ボビー・ティモンズの上品なピアノ・ソロに引っ張られる形で,テナー・サックストランペットが囁くようにサポートした2分22秒から2分31秒までの“穏やかな”ムードが大好きである。

ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS
LEE MORGAN : Trumpet
BENNY GOLSON : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JYMIE MERRITT : Bass
ART BLAKEY : Drums

小曽根 真 ザ・トリオ / ファースト・ディケイド / THREE THE HARD WAY4

 『FIRST DECADE』の4曲目は【THREE THE HARD WAY】(以下【スリー・ザ・ハード・ウェイ】)。


 【スリー・ザ・ハード・ウェイ】は,静かだが“高密度”のジャズ・ピアノが聴き所! 真夜中に間接照明と共に流れるジャズ・ピアノの“筆頭格”である。

 全編に漂う緊張感はジェームス・ジーナスベースにある。空間を振動させる重厚な一音一音が,濃密な闇夜を切り裂いていく。骨太なウッド・ベースが【スリー・ザ・ハード・ウェイ】の“硬質の魅力”と呼応している。

 前半のアコースティックなのにエレクトリックのような“細かく光り輝く”生ピアノが実に素晴らしい。この“豊かな残響音”は小曽根真のハイ・テクニックの成せる技!
 3分5秒の音と3分15秒の音触感の違いを確かめてみてほしい。きっと管理人の主張に同意いただけることと思う。

 3分57秒の“高音アタック”以降が,小曽根ドラマのハイライト! これぞ小曽根真ジャズ世界! 「ストレートに洗練された」といった一見矛盾した表現がピッタリ似合う,現代のピアノ・トリオの“息吹”を感じてしまう。
 そう。【スリー・ザ・ハード・ウェイ】は,小曽根真版,映画『氷の微笑』のサウンド・トラックである。このサウンド・トラックには,都会の良い意味での“冷たさ”が収められている。夜明けを待つまでの間,一人ひそかに楽しみたい逸品である。

THE TRIO
MAKOTO OZONE : Piano
JAMES GENUS : Bass
CLARENCE PENN : Drums, Percussion

バド・パウエル / ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル / HALLUCINATIONS4

 『THE GENIUS OF BUD POWELL』の8曲目は【HALLUCINATIONS】(以下【ハルシネイションズ】)。


 【バドゥ】としてマイルス・デイビスによって“トリビュート”された【ハルシネイションズ】は,意外なほど“あっさり系”である。 ← そりゃぁ,マイルス9重奏楽団を聴き慣れた耳には“あっさり系”に聴こえるわなぁ。

 ここに管理の“後悔の日々”がある。『クールの誕生』収録の【バドゥ】を先に聴いてしまったばっかりに【ハルシネイションズ】をバド・パウエル一流の名演と認めつつも,いかんせん“あっさり系”第一印象が抜けきらない。

 かたや超大物9人衆。かたやパウエル唯1人。すでに勝負は決している。これがバラード・ナンバーであれば,ソロ・ピアノにも勝機があったかもしれないが【ハルシネイションズ】は“バップ・ピアノ”ですので…。

 マイルス・デイビスに影響されまくって,冷静な批評ができない自分と対峙する。そう。管理人にとっての【ハルシネイションズ】とは『自己との対話』−ビル・エヴァンスなのである。

BUD POWELL : Piano

トニー・ウィリアムス・ライフタイム / エマージェンシー! / EMERGENCY5

アナログレコード

 『EMERGENCY!』の1曲目は【EMERGENCY】(以下【エマージェンシー】)。


 【エマージェンシー】は,非常事態宣言&戒厳令発動中のような不穏なムードと空気感! テーマの響きが情緒不安定へと一気に誘う切れ味である。この重量感が,わずか3人のオルガン・トリオの演奏だとは信じ難い。今聴いても驚異的である。
 
 やっぱりトニー・ウィリアムスのド迫力・ドラミング! ドラムの強烈なプッシュを受けたギターオルガンが極上リズムに絡みつき,これまた“ぶっ飛んでいく”! 基本,トニー・ウィリアムスドラミングの変化に呼応した“アドリブ合戦”が延々繰り広げられている。壮絶な撃ち合いである!

 再度,やっぱりトニー・ウィリアムスのド迫力・ドラミング! イントロのドラム・ロールからわずか数秒でMAXに持っていく肩作りの早さはタイガース・藤川球児並み。そして4分38秒からの,ブレーキの効いた4ビートはレッドソックス・岡島秀樹並み。
 おっと脱線。真面目にジャズフュージョン…。7分後半からの連打は“爆撃機”と称されたデニス・チェンバースと張っている。

 ジョン・マクラフリンのノイジーなフレーズと実際のアンプ・ノイズも最高だし,ラリー・ヤングの控え目だが“ここぞ”という時のアドリブもいい。そう。【エマージェンシー】は「ライフライム」の3人がバンドとして一体となった瞬間のドキュメント!
 きっと読者の皆さんの背筋にも“稲妻”が走りますよっ。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE TONY WILLIAMS LIFETIME
TONY WILLIAMS : Drums, Vocal
JOHN MCLAUGHLIN : Guitar
LARRY YOUNG : Organ


Emergency!
ランキングを見てみよう!

トニー・ウィリアムス・ライフタイム / エマージェンシー!4

アナログレコード

 大半のジャズフュージョン・ファンにとって,1969年=『BITCHES BREW』(以下『ビッチェズ・ブリュー』)であろう。そう。言わずと知れた「電化マイルス」の超大作である。
 しかし,ジャズフュージョン・ファンの10人に1人か2人は,1969年=『EMERGENCY!』(以下『エマージェンシー!』)と答える。そう。マイルス・デイビスが「正真正銘の天才」と認めたトニー・ウィリアムスが,そのマイルス・バンド独立直後に録音した「ライフタイム」の名盤である。

 そこで管理人の答えであるが,1969年=『ビッチェズ・ブリュー』&『エマージェンシー!』と答える! 禁じ手とお思いかもしれないが,管理人にとってこの2枚は,偶然ではなく「必然の組曲」! 「マイルス & トニー」が無意識のうちに作り上げた組曲! 一貫性&相互作用がある!
 そう。『ビッチェズ・ブリュー』&『エマージェンシー!』は,同じベクトルの延長線上にある。ジャズフュージョン界にとっての1969年とは「マイルス VS トニー」などではない。これはジャズロックとの戦いであった。そう。同じベクトルの延長線上にあるキーワード,それこそ「打倒!ジミヘン!」なのである。

 ジミヘンことジミー・ヘンドリックスとは“ご存知”ロック・ギタリストのカリスマ! 右利き用ストラトキャスターを逆さまに構えてのレフトハンド&歯で弾いたり,奇抜なファッションでギターに火を放つ姿など,その圧倒的パフォーマンスは余りにも有名。
 所謂,3大ギタリスト(エリック・クラプトン,ジェフ・ベック,ジミー・ペイジ)の一人ではない。それ以上である。エリック・クラプトンが「僕とジェフ・ベックが二人がかりでいっても,ジミにはかなわないだろう」と語ったことがあるように,3大ギタリストを越える“ギターの神様”なのである。
 そしてここが要点であるが,ジミヘンが真に越えたのは「1楽器としてのギターの壁」などではない。「ジャズとロックとの壁」をも越えて,新しいジャズ・ロックフュージョンの誕生に少なからず影響を及ぼしたことである。何と言っても“ジャズの帝王マイルス・デイビスをして「ジミヘンは自分がやりたい事を先にやった」と言わしめているのだから…。

 『ビッチェズ・ブリュー』&『エマージェンシー!』の両方に参加したギタリストジョン・マクラフリンは,録音時に「ジミ・ヘンドリックスのように弾くんだ」と指示されたと語っている。
 そう。マイルス・デイビストニー・ウィリアムスも自分のバンドで“仮想ジミヘン=ジョン・マクラフリン”との共演を望んだ。それが『ビッチェズ・ブリュー』であり『エマージェンシー!』の真実だと思っている。これが「必然の組曲」を語る所以である。

 さて,ここからは『エマージェンシー!』の個別批評
 「トニー・ウィリアムス・ライフタイム」とは“仮想ジミヘン=ジョン・マクラフリン”をメンバーに迎えた,天才ドラマートニー・ウィリアムスのバンドである。そう。あくまでも聴き所はトニー・ウィリアムスドラミングである。ここを押さえて聴いてほしい。

 エレクトリックアコースティックが“目まぐるしく移ろいゆく”のが「トニー・ウィリアムス・ライフタイム」の真骨頂! 「オルガン・トリオ」というジャズの伝統フォーマットでありながら,あくまでもロック・テイストを感じさせる秘訣こそ,トニー・ウィリアムスドラミングなのである。
 同じ8ビートを刻んでいるはずなのに“時に16ビートのような,時に4ビートのような”トラック毎に使い分けた“自由自在なドラミング”! これぞロック風アプローチにジャズ特有のアドリブが加わった“ジャズとロックの融合”フュージョンドラミングの完成形であろう。

 フュージョンが誕生した実り多き1969年。この『エマージェンシー!』の3ヶ月後に『ビッチェズ・ブリュー』が録音され,その同じ月にジミヘンが“伝説”と化した「ウッドストック」が開かれた。
 それまでマイルス・デイビスとジミ・ヘンドリックスに影響されてきた,天才ドラマートニー・ウィリアムスが“先陣を切って”偉大な2人に影響を及ぼしたのかもしれない。そう考えると…。

(1969年録音/POCJ-2538)

ランキングを見てみよう!

クルセイダーズ / セカンド・クルセイド / GOTTA GET IT ON4

 『THE 2ND CRUSADE』の3曲目は【GOTTA GET IT ON】(以下【ゴッタ・ゲット・イット・オン】)。


 【ゴッタ・ゲット・イット・オン】は,よく歌うメロディと“シャッフル”したリズム(←意味不明)が“売り”のはずだが,その両者共にエレキ・ギターが主役である! 超カッコイイ!
 そう。クルセイダーズの4人が,ツイン・ギターあるいはギター・トリオに喰われている。1分31秒からのテーマにしても“ギター・ヒーロー”たちのリフばかりがやけに印象に残ってしまう。これは超カッコイイ!

 何だか褒めているのか,けなしているのか分からない批評であるが,これには楽曲への“迷い”が影響したのであろう。
 【ゴッタ・ゲット・イット・オン】のメロディ・ラインは管理人好みである。そしてこのリズムも管理人好みである。だが不思議なことに,例のクルセイダーズ“らしさ”を感じないのがモドカシイ。
 このマイナスは,ただ単純に組み合わせの問題? ジャズ・ファンクしてはいるのだが,メロディで押すかリズムで押すか,両者共“秀逸”ゆえに“二兎”を追ってしまったのだろうが,主題選択への“迷い”を名ギタリストたちが見逃すはずがない!

 ジャズギターファンクとしては申し分ないが,ジャズ“クルセイダーズ”ファンクとしては“らしさ”がない。エレキ・ギターの出来が良すぎるがゆえ,クルセイダーズ・ファンとしては「判断微妙」なトラックである。

THE CRUSADERS
NESBERT "STIX" HOOPER : Percussion, Effects
JOE SAMPLE : Keyboards
WILTON FELDER : Saxes, Electric Bass, Bass Marimba
WAYNE HENDERSON : Trombone

ARTHUR ADAMSGuitars
LARRY CARLTONGuitars
DAVID T. WALKERGuitars

livedoor プロフィール

セラビー

記事検索
Categories      日本人は五十音順:外国人はアルファベット順
月別アーカイブ
Keith Jarrett Gallery

キース・ジャレット(真田馨子) おんがく日めくり(c) keiko sanada
Pat Metheny Gallery

パット・メセニー(野々口和仁)
(c) Kazuhito Nonoguchi
ジャズ・アフィリエイト
セラビー厳選CD

パリ・コンサートパリ・コンサート
キース・ジャレット

THE WAY UPTHE WAY UP
パット・メセニー・グループ

イン・ア・サイレント・ウェイイン・ア・サイレント・ウェイ
マイルス・デイビス

HEAVY WEATHERHEAVY WEATHER
ウェザー・リポート

BRAINCOOL STRUTTIN'
ソニー・クラーク

MINT JAMSMINT JAMS
カシオペア

HUMANHUMAN
T-スクェア

LEFT ALONELEFT ALONE
マル・ウォルドロン

フル・ハウスフル・ハウス
ウェス・モンゴメリー

ザ・シーン・チェンジズザ・シーン・チェンジズ
バド・パウエル

セロニアス・モンク・トリオセロニアス・モンク・トリオ
セロニアス・モンク

枯葉枯葉
チェット・ベイカー

MOANIN'MOANIN'
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ

BLOWIN' THE BLUES AWAYBLOWIN' THE BLUES AWAY
ホレス・シルヴァー

ウィントン・マルサリスの肖像ウイントン・マルサリスの肖像
ウイントン・マルサリス

メイティング・コールMATING CALL
タッド・ダメロン

Blu-spec CD ジャコ・パストリアスの肖像ジャコ・パストリアスの肖像
ジャコ・パストリアス

ザ・キング・イズ・ゴーンザ・キング・イズ・ゴーン
マーカス・ミラー

FIRST MEETINGファースト・ミーティング
テザード・ムーン

スペシャル・エディションSPECIAL EDITION
ジャック・デジョネット

ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリングYOU MUST BELIEVE IN SPRING
ビル・エヴァンス

ヴァイアティカムVIATICUM
e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)

STEP BY STEPSTEP BY STEP
ステップス

2424
DIMENSION

GANAESIAガネシア
渡辺香津美
カズミ・バンド

FOURPLAYFOURPLAY
フォープレイ

コンプリート・ピック・ヒッツ・ライヴPICK HITS
ジョン・スコフィールド

ニューポートの追想V.S.O.P.
ハービー・ハンコック

アス・スリーUS THREE
ホレス・パーラン

Manhattan StoryBLUE'S MOODS
ブルー・ミッチェル

AFRICAN PIANOOFF TO THE RACES
ドナルド・バード

AFRICAN PIANOAFRICAN PIANO
ダラー・ブランド

Manhattan StoryMANHATTAN STORY
アキコ・グレース

SPELLBOUNDSPELLBOUND
ジョー・サンプル

ランデヴーRENDEZ-VOUS
木住野佳子

RETURN TO FOREVERRETURN TO FOREVER
チック・コリア

BRAINBRAIN
上原ひろみ

イン・ラインIN LINE
ビル・フリゼール

ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニングザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング
マーク・ジョンソン

スインギン・マケドニアスインギン・マケドニア
ダスコ・ゴイコビッチ

タイム・スレッドTME THREAD
小曽根真 & ゲイリー・バートン

フルーツケーキFRUITCAKE
フルーツケーキ

THE DROPPERTHE DROPPER
メデスキ,マーチン&ウッド

Doin' SomethingDOIN' SOMETHING
ソウライヴ

SALT IISALT II
塩谷哲

Dance Your HeartDANCE YOUR HEART
Saya

地球は愛で浮かんでいる地球は愛で浮かんでいる
松永貴志
アンケートボードA

★当ブログについて望むことは?
アルバム単位で批評してほしい
同じ曲をテイク別に批評してほしい
多くのジャズメンを幅広く批評してほしい
一人のジャズメンを掘り下げて批評してほしい
超有名曲をもらさず批評してほしい
発売直後の新作を批評してほしい
初心者を意識したほんわかサイトにしてほしい
マニアを意識したニッチなサイトにしてほしい
オーディオについて批評してほしい



-Mini Vote-
アンケートボードB
How Much Is Your Blog Worth?

My blog is worth
$38,953.26

How much is your
blog worth?

最新コメント
Copyright (C) 2005-2019 アドリブログ All Rights Reserved.