アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2008年01月

レッド・ガーランド / グルーヴィー / WHAT CAN I SAY, DEAR4

アナログレコード

 『GROOVY』の5曲目は【WHAT CAN I SAY, DEAR】(以下【ホワット・キャン・アイ・セイ・ディア】)。


 【ホワット・キャン・アイ・セイ・ディア】での,小気味良さとスイング感が“ご機嫌”である。ついつい“指を鳴らして”リズム&カウントをとってしまう。

 軽いタッチのレッド・ガーランドピアノが実に心地良い。結構ガンガン弾いている。5分48秒から54秒までの両手での連打もある。盛り上がる。
 でも不思議と繰り返し聴いても全く疲れない。それどころか俄然元気が出てくる! 内面の疲れを吹き飛ばしてくれる!
 そう。【ホワット・キャン・アイ・セイ・ディア】は,レッド・ガーランドのエクササイズ! 疲れの溜まった休日は,部屋で静かに“癒し系”ジャズフュージョンに浸ってはいけない。疲れは身体を動かしながらとるものだ。爽やかに汗を流してこそ“リフレッシュ”なのである。

 …と,部屋でカウチポテトな管理人。【ホワット・キャン・アイ・セイ・ディア】で,指を鳴らし,首を振り,全身を揺らしながらプチ・ダイエットに励んでおります。はい。

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THE RED GARLAND TRIO
RED GARLAND : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
ARTHUR TAYLOR : Drums


グルーヴィー
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マル・ウォルドロン / レフト・アローン / THE WAY HE REMEMBERS BILLIE HOLIDAY2

アナログレコード

 『LEFT ALONE』の6曲目は【THE WAY HE REMEMBERS BILLIE HOLIDAY】(以下【ビリー・ホリデイを偲んで】)。


 【ビリー・ホリデイを偲んで】は,プロデューサーのテディ・チャールズが聞き手となって,マル・ウォルドロンビリー・ホリデイの思い出を語る珍しいトラック。

 内容としては,ビリー・ホリデイからフレージングの重要性を教わり,演奏に際しても歌詞の意味をよく理解することが大切だと言われた,と語っています。
 …って,この回顧録をCDに収録してよいのでしょうか?

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MAL WALDRON : Voice
TEDDY CHARLES : Voice


レフト・アローン
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ランディ・ブレッカー・ウィズ・マイケル・ブレッカー / サム・スカンク・ファンク / SPONGE5

アナログレコード

 『SOME SKUNK FUNK』の2曲目は【SPONGE】(以下【スポンジ】)。


 管理人にとって,ブレッカー・ブラザーズを聴く楽しみの一つが「隠れ」ギター! ブレッカー・ブラザーズの後ろで“実は凄い”エレキ・ギターが大活躍,というナンバーが大好物! ズバリ,この構図に当てはまるのが【スポンジ】である。

 【スポンジ】は,ブレッカー・ブラザーズビッグ・バンドの“いいとこどり”ゆえ,聴き所は無限大!
 3人のソロイスト,マイケル・ブレッカーランディ・ブレッカーピーター・アースキンアドリブが,どれも最上級! WDRビッグ・バンドの“ド迫力”アレンジに圧倒されてしまう。

 でもでも管理人は“分厚い”音の壁を難なく“スリヌケル”WDRメンバー=ポール・シギハラエレキ・ギターに“釘付け”にされてしまう!
 広義では5分17秒からのアドリブ・タイム=ピーター・アースキンドラム・ソロとされてはいるが,管理人にとってはポール・シギハラの“バッキング・ギター・タイム”! このエレキ・ギターがあるからこそ“熱狂的な”ピーター・アースキンドラミングが引き立っている。
 そう。【スポンジ】のような豪華な演奏には,必ず“隠し味”が入っている。隠し味=ポール・シギハラエレキ・ギター抜きに【スポンジ】は楽しめない。

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RANDY BRECKER : Trumpet
MICHAEL BRECKER : Tenor Saxophone
JIM BEARD : Piano & Synthesizer
WILL LEE : Electric Bass
PETER ERSKINE : Drums
MARCIO DOCTOR : Percussion

THE WDR BIG BAND KOLN CONDUCTED BY VINCE MENDOZA


Some Skunk Funk
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本田 雅人 WITH VOICE OF ELEMENTS / MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS / POLKA4

 『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』の3曲目は【POLKA】。


 【POLKA】の聴き所は,松本圭司アコーディオンに覚醒された,本田雅人得意のキメ! アルト・サックスと絡みつく,ベースアコーディオンが“色彩豊か”に,本田フレーズをキメまくる!

 焦らし焦らし段階的に盛り上がり,1分27秒と3分52秒からのテーマで最高潮を迎えるのだが,管理人のツボは,一瞬遅れて鳴り出す則竹裕之ドラミング! “地味にナイアガラな”連弾が好みである。

MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS
MASATO HONDA : Saxophones, EWI, Flute, Synth-programming
KEIJI MATSUMOTO : Keyboards, Piano, Guitar, Accordion, Synth-programming
MITSURU SUTOH : Bass
HIROYUKI NORITAKE : Drums

チェット・ベイカー / チェット・ベイカー&クルー / SLIGHTLY ABOVE MODERATE4

 『CHET BAKER & CREW』の2曲目は【SLIGHTLY ABOVE MODERATE】(以下【スライトリー・アバヴ・モデラート】)。


 【スライトリー・アバヴ・モデラート】は,クール・ビューティな「氷の世界」! そこへ5人の“メロウな息吹”が吹き込まれてくるものだから,もうたまらない!

 トランペットテナーサックスデュエットで進む,オープニングとエンディングの何と美しいことであろう。
 中盤,5分54秒から6分22秒までに入る,ユニゾンとカウンター混じりのデュエットは“恍惚もの”である。
 チェット・ベイカーの“陰り”のトランペットが,いつ消えてなくなるか分からない「氷の世界」と見事にマッチしている。

 ただし一つだけ難点がある。1分12秒から約1分間のテナーソロだけが笑っている。“KYな”フィル・アーソが,もっと歯を食いしばってくれたなら…。

CHET BAKER : Trumpet
PHIL URSO : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JIMMY BOND : Bass
PETER LITTMAN : Drums

チェット・ベイカー / チェット・ベイカー&クルー / TO MICKEY'S MEMORY5

 『CHET BAKER & CREW』の1曲目は【TO MICKEY’S MEMORY】(以下【トゥ・ミッキーズ・メモリー】)。


 【トゥ・ミッキーズ・メモリー】は,ウエスト・コーストの人気者=ミッキーマウスへのメモリー。しばらくカリフォルニアを離れる決意を固めた時,ふと,ディズニーランドが脳裏をよぎったか?
 ミッキーマウスとのメモリーは全てが楽しい。そう。【トゥ・ミッキーズ・メモリー】=ゴキゲンのノリノリ・エスニック系である。

 クロマティック・ティンパニーが効いている! 3分5秒からのティンパニーソロが【トゥ・ミッキーズ・メモリー】のハイライト!
 チェット・ベイカーがミッキーマウスなら,ビル・ラフブロウはドナルドダック! ラテン・サンバのリズムで踊っている!

 白人ドラマーピーター・リットマンを「サンド」した,ボビー・ティモンズジミー・ボンドによる「オレオ」なリズム隊が,西海岸でハード・バップしている! このリズムはNYには存在しない“新種の”グルーヴである。

 そこへウエスト・コースト・ジャズ“そのまんま”のフロントが乗っかってくる! フィル・アーソが爽快にして滑らかな“波乗り”を聴かせれば,チェット・ベイカーは躍動するリズムの波を“かき分けかき分け”ダイナミックに疾走する!
 4分27秒からのエンディングでの大合唱は,ハード・バッパーへのモデル・チェンジを試みた,チェット・ベイカーの努力が形として結実した瞬間であろう。

CHET BAKER : Trumpet
PHIL URSO : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JIMMY BOND : Bass
PETER LITTMAN : Drums
BILL LOUGHBROUGH : Chromatic Tympani

チェット・ベイカー / チェット・ベイカー&クルー5

CHET BAKER & CREW-1 チェット・ベイカーについて語ろうと思うと,どうしても“ジャズ以外の話題”が先攻してしまう。チェット・ベイカーの“生き様”抜きに,彼の魅力を語り尽くすことなどできやしない。

 チェット・ベイカーの別名は「ジャズ界のジェームス・ディーン」! チェット・ベイカーこそ,ハリウッドの映画音楽まで担当したジャズ界随一の男前! 白人で女たらしな,ウエスト・コースト・ジャズの“シンボル”なのである。

 …と,言わば使い古された“定番”が「チェット・ベイカー=ジェームス・ディーン説」であるが,近年どうも雲行きがあやしい。そう。多くの若者にとって,ジェームス・ディーンってダレ? もはやジェームス・ディーンは死語である。
 そこで管理人からの新提言! チェット・ベイカーは「ジャズ界の新庄剛志」である! エ〜ッとドン引きする前に人の話は最後まで聞いてほしい。「チェット・ベイカー=新庄剛志説」は,いきつけのジャズ・バーでは結構評判いいんですから…。

 「記録より記憶に残る男」新庄剛志。敬遠球をサヨナラ・ヒットしてみたり,阪神との5年総額12億円の契約を蹴って,年俸20万ドルでニューヨーク・メッツへ移籍したり…。帰国後の北海道日本ハムでの活躍は承知の通り。主に本業以外のパフォーマンスで人気を博した。
 しかしSHINJOがパフォーマンスで遊べたのは,プロ野球選手としてしっかり結果を残せたから。そして結果を残せたのは彼の「天性の素質」の良さ。あのノムさんが本気で投手起用を考えていたのだから…。

 同様にチェット・ベイカーも本業=トランペッターとしての活躍以上にボーカリストとして人気を博した。
 “歌うトランペッターチェット・ベイカーラッパの練習時間はいつでも静か。部屋の大鏡の前で“ジェームス・ディーンばりに”ポーズを決めて“どの角度で,どうトランペットを構えたら一番格好良いか?”を研究していた。そう。無類のカッコつけであり「ジーンズが似合わなくなるのがいやだから下半身は鍛えたくない」発言のSHINJOと同じ練習スタイルを持っていた?

 ゆえに,チェット・ベイカートランペットには,ひどく何かが欠けている。しかし他の誰にもない何かがある。
 チェット・ベイカーの特徴と言えば,ブラス・バンド奏者のようなノン・ビブラート。深みは感じないし,あっさりと消え去っていく。しかし1フレーズで“これぞチェット・ベイカー!”と分かってしまう独特のフレージング! 毎日女のケツを追い回し,ほとんど練習していないにも関わらず,この存在感!
 そう。チェット・ベイカーは「天性の素質」だけでジャズ・ジャイアントと呼ばれるまでに成り上がった。あのチャーリー・パーカーマイルス・デイビスチェット・ベイカーの「天性の素質」を認め褒めていたのだ。

 そんなチェット・ベイカーだけに“汗かきかき”の熱演は少ない。ビジュアル=ラッパの構え方が重要なのであって,実力の半分も出せばそれなりの名盤が生まれてしまう。SHINJOの「僕はメジャーでも高校野球でも同じ打率」発言と通じる部分であろう。

 そんなパンチラ野郎=チェット・ベイカーの全て,パンモロを何とか拝めないものか? そんな欲求不満の特効薬が『CHET BAKER & CREW』(以下『チェット・ベイカー&クルー』)!

CHET BAKER & CREW-2 『チェット・ベイカー&クルー』は“珍しく”チェット・ベイカーが本気で吹いている! 歌もの無し,トランペット一本・ストレート勝負の快作である。
 ウエスト・コースト・ジャズの範疇に入れてよい演奏ではあるが,西海岸黒人派との共演で,テイストとしてはハード・バップ! 本場・東海岸の“黒々ビート”をバックに“逞しいラッパ”が鳴り響く! ボビー・ティモンズの好サポートで,チェット・ベイカーの「天性の素質」が明確な形として花開いている。

 さて,普段はジャケ買いなどしないし,お奨めもしない管理人だが『チェット・ベイカー&クルー』のCDジャケットに言及しないわけにはいかないだろう。
 セールから大海原へ身を乗り出し,高らかに出発の合図を吹き鳴らすチェット・ベイカーの姿に「これからイースト・コーストで一旗挙げてやるぜ!」的な“心意気”が写し出されている。
 そう。『チェット・ベイカー&クルー』は,チェット・ベイカーによる“脱ウエスト・コースト宣言”の意欲作でもある。

 しかし『チェット・ベイカー&クルー』で船出したヨットは,航海途中,酒,女,麻薬の大嵐に見舞われハード・バップには到着できず。このクルーたちとは2作で解散。解散と言えば新庄剛志が昨年末離婚した。新庄剛志の航海も急速にシケだした荒波に呑み込まれなければよいのだが…。

  01. TO MICKEY'S MEMORY
  02. SLIGHTLY ABOVE MODERATE
  03. HALEMA
  04. REVELATION
  05. SOMETHING FOR LIZA
  06. LUCIUS LU
  07. WORRYING THE LIFE OUT OF ME
  08. MEDIUM ROCK

(パシフィック・ジャズ/PACIFIC JAZZ 1956年発売/TOCJ-6824)
(ライナーノーツ/大村幸則)

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メデスキ,マーチン&ウッド / トニック / YOUR LADY4

アナログレコード

 『TONIC』の4曲目は【YOUR LADY】(以下【ユア・レディ】)。


 【ユア・レディ】は,メデスキ,マーチン&ウッドが捧げるジョン・コルトレーンへのリスペクト!
 メデスキ,マーチン&ウッドにしては“珍しく”素直なカバー。ジョン・コルトレーンそのままの雰囲気が醸し出すジャズ・ナンバーである。

 とは言え,そこはメデスキ,マーチン&ウッド! 表面的にはコルトレーンであっても,内部はかなりチューニングされている。
 6分26秒からのロングなアルコ奏法。8分11秒からのメロディカ。そう。伝統と革新のアレンジで【ユア・レディ】は,ジョン・コルトレーンの手を離れ,ニュー・ジャズ・スタンダードへの道を静かに歩み始めた…。

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MEDESKI, MARTIN & WOOD
JOHN MEDESKI : Piano, Melodica
BILLY MARTIN : Drums, Percussion, Mbira
CHRIS WOOD : Bass



TONIC
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セロニアス・モンク / ソロ・モンク / THESE FOOLISH THINGS(REMIND ME OF YOU)4

アナログレコード

 『SOLO MONK』の12曲目は【THESE FOOLISH THINGS(REMIND ME OF YOU)】(以下【ジーズ・フーリッシュ・シングス(リマインド・ミー・オブ・ユー)】)。


 【ジーズ・フーリッシュ・シングス(リマインド・ミー・オブ・ユー)】は,過去の栄光を思い出の品々に重ね合わせる「愚か者」を歌ったスタンダードであるが,この名曲をセロニアス・モンクピアノで“高らかに笑い飛ばす”!
 セロニアス・モンクの手にかかれば,ピアノが1台あれば十分。歌詞など必要ない。いや,歌詞以上に雄弁に語り尽くしている。

 ダイナミックなピアノ・フォルテが説得力を増し加える。時折混じる流ちょうな連打が“馬鹿馬鹿しさ”を表現する。切なさなど微塵も感じさせない“空元気の明るさ”が逆説的に深い悲しみを表現している。悲しみが後から後から襲ってくる。

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THELONIOUS MONK : PIANO


ソロ・モンク
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ジム・ホール / アランフェス協奏曲 / CONCIERTO DE ARANJUEZ5

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 『CONCIERTO』の4曲目は【CONCIERTO DE ARANJUEZ】(以下【アランフェス協奏曲】)。


 【アランフェス協奏曲】を直接知らない人であっても,時代劇ファンなら「これ知っている」と述べるはず。そう。【アランフェス協奏曲】は,テレビ朝日系「必殺シリーズ」のクライマックスで流れる例のテーマ!
 【アランフェス協奏曲】より先に「必殺」を聞いたものだから,藤田まことのあのイメージを頭の中から払拭するのに苦心したものだ。まっ,現在でも【アランフェス協奏曲】と聞くと,ジム・ホールよりも先に村治佳織を思い出してしまいますが…。

 さて,冗談半分で【アランフェス協奏曲】=「必殺シリーズ」を紹介してみたが,実はこの選曲,案外考え抜かれているようも思える。そう。【アランフェス協奏曲】は,フュージョンの台頭を迎えた時代にジム・ホールが捧げた“死にゆく4ビート・ジャズ”へのレクイエムではなかろうか?

 3分40秒からのロン・カーターベース・ソロに,ドラムピアノが絡みつき,そこから一気にヒート・アップ! 内へ内へ“切々と情感を紡ぎ出す”ジム・ホールの“クールで控え目で熱情的な”ギター! そこへ更なる時間差で絡みつく,ポール・デスモンドチェット・ベイカーホーンが最高である。
 特にチェット・ベイカーの長いブレス! 時間と共に音がかすれていくのだが,これが終わりそうで終わらない。それどころか次第に“息を吹き返す”技ありのブレスが実に印象深い。

 【アランフェス協奏曲】の原曲は「クラシック・ギターとオーケストラのための協奏曲」であるが,ドン・セベスキーの上品なアレンジがいい。
 全員でテーマを織り成しつつも,テーマ区切りで各人のアドリブがフューチャーされているので,各ソロイストたちの【アランフェス協奏曲】への解釈の違いを聴き取れる。結果,アンサンブル&ソロ,全てが完璧である。19分超えの大作ではあるが「もう終わったの?」と最後まで一気に聴かせてくれるに違いない。
 ジャズ・マニアはもとよりクラシック・ファンにも一度は聴いてほしい大名演である。

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JIM HALL : Guitar
ROLAND HANNA : Piano
RON CARTER : Bass
STEVE GADD : Drums
CHET BAKER : Trumpet
PAUL DESMOND : Alto Saxophone


アランフェス協奏曲
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トニー・ウィリアムス・ライフタイム / エマージェンシー! / WHERE4

アナログレコード

 『EMERGENCY!』の3曲目は【WHERE】(以下【ホエア】)。


 「どこへ行くの?」のフレーズで始まる【ホエア】こそ「ライフライムよ,どこへ行くの?」である。

 【ホエア】の前半は,ジョン・マクラフリンアドリブこそが聴き所! ジャズとロックをフレーズ毎に“行き来”しながら,誰も踏破したことがない最高到達点へと昇り詰める。この唯一無二なギター・ソロは,ジョン・マクラフリンが切り開いた“新次元な”音世界であろう。

 7分35秒からのトニー・ウィリアムスの大プッシュで一気に【ホエア】の景観が変化する。それまで“ラフ”に弾いていたラリー・ヤングオルガンが,突如ギター寄りに流れ出す!
 2:1となったトニー・ウィリアムスが,そうはさせじと2人を抑えにかかるのだが,ここでのトニーの戦略が素晴らしい! パワーや手数で圧倒しようとするではなく,まるで“メロディを奏でるかのごとく”颯爽と疾駆する!

 残念なのは「ライフライム」の完成度の低さ。“歌う”ドラマートニー・ウィリアムスのメッセージが,マクラフリンヤングの耳に届いたかどうか疑問が残る。
 “歌う”ドラマーを置き去りに,ギターオルガンアドリブで答えようとしている。ここはトニーと同じ言語=インタープレイに徹してほしかった。

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THE TONY WILLIAMS LIFETIME
TONY WILLIAMS : Drums, Vocal
JOHN MCLAUGHLIN : Guitar
LARRY YOUNG : Organ


Emergency!
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小曽根 真 ザ・トリオ / ファースト・ディケイド / LA STANZA DELLE MERAVIGLIE - ANDANTE SCHERZANDO5

 『FIRST DECADE』の7曲目は【LA STANZA DELLE MERAVIGLIE SCHERZANDO】(以下【組曲「夜の子供部屋」第1楽章】)。


 作家の井上ひさしがタイトルをつけた【組曲「夜の子供部屋」第1楽章】は,小曽根真ザ・トリオとクラシックの弦楽四重奏とのコラボレーション!
 【組曲「夜の子供部屋」第1楽章】は,小曽根真が思い描く,ジャズとクラシックの“ユーモラスな融合”である。こんなに“メルヘンチックな”ジャズ・ピアノを聴かせてくれようとは,正直,デビュー当時の“テクニカルな”小曽根真からは想像できなかった。
 そう。【組曲「夜の子供部屋」第1楽章】は,ピアノ小僧=小曽根真の成長の証し。円熟に向かって音楽性が拡大している。

 予定調和を意図的に外した不協和音がアクセント! 実際は高度で難解な組曲なのかもしれない。
 しかしそんなことはどうでもいい。とにかく分かりやすい! 楽しい! 気持ちいい! そう。【組曲「夜の子供部屋」第1楽章】は,自由度100%の“子供の城”なのである。

 ここは2段ベッドの布団の中。親はもう寝付いたと思っている。枕元には宝箱。そ〜っと宝箱を開けてみる。「親には絶対内緒だよ」と,大好きな沙織ちゃんと約束した秘密の宝物が…。
 じゃらじゃらと箱の中身を出してみる。意味もなく元通りにしまってみる。3回繰り返した時,クスクスと笑い声が聞こえてきた。な〜んだ,全部バレテイタ。そう。【組曲「夜の子供部屋」第1楽章】は,自由度100%の“子供の城”なのである。

THE TRIO
MAKOTO OZONE : Piano
JAMES GENUS : Bass
CLARENCE PENN : Drums, Percussion

STRING QUARTET
JESSE MILES : Violin
DANIEL CARLSON : Violin
MAX MANDEL : Viola
RUBIN KODHELI : Cello

ジョン・コルトレーン / バラード / UP 'GAINST THE WALL3

アナログレコード

 『BALLADS』の9曲目は【UP ’GAINST THE WALL】(以下【アップ・ゲインスト・ザ・ウォール】)。


 『BALLADS』のボーナス・トラックとして追加収録された【アップ・ゲインスト・ザ・ウォール】であるが,管理人の評価は是でも非でもない。

 ジョン・コルトレーンこそ最高と信じる“コルトレーン信者”にとって【アップ・ゲインスト・ザ・ウォール】の存在は,神からの貴重な贈り物であるだろうし,名バラード集としての『BALLADS』好きにしてみたら単純に“邪魔”な存在に終始する。
 中立派の管理人としては両者の気持ち,両者の言い分が良く分かる。だから敢えて白黒つけるのはよしておこう。誰だって自分の愛するジャズメンの未発表音源が残されていると聞けば,どんなに出来が悪くても,どんなに音質が悪くとも,一度は聴いてみたいものなのだから…。
 あっ,本音がポロリ? “コルトレーン信者”の皆さん,ごめんなさい。全ての責任は,明らかな失敗作と分かっていながら追加収録を決めた“商業主義のレコード会社”にあると思っています。お気を確かに&お大事に…。

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JOHN COLTRANE QUARTET
JOHN COLTRANE : Tenor Sax
McCOY TYNER : Piano
JIMMY GARRISON : Bass
ELVIN JONES : Drums


Ballads
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アート・ペッパー / ペッパー・ジャム / MILESTONES4

 『PEPPER JAM』の1曲目は【MILESTONES】(以下【マイルストーンズ】)。


 【マイルストーンズ】の異次元の音世界に入ってしまうと,誰のどのアドリブがどうのこうのは関係ない。モノラル録音特有の“ブレンド”された音の大洪水が“一丸となって”押し寄せてくる。その全てを「受け止められるか否か」である。

 【マイルストーンズ】のド迫力を,正面からまともに受け止められる“強者”が果たしているのだろうか。ヒリヒリする重い音。それが20分を超えて鳴り続ける。管理人はたじろいでしまうのが常である。あぁ。

ART PEPPER : Alto Sax
HAROLD LAND : Tenor Sax
BUDDY COLLETTE : Tenor Sax
BLUE MITCHELL : Trumpet
BUTCH LACY : Electric Piano
JEFF LITTLETON : Bass
JIM PLANK : Drums

アート・ペッパー / ペッパー・ジャム4

PEPPER JAM-1 “ウエスト・コースト最高の”いいや“白人最高の”アルトサックス奏者の呼び声高きアート・ペッパーであるが,その誉れ高い称号は概して1950年代=所謂“前期”の演奏を指してのもの。
 麻薬中毒にあえぎ投獄と療養に費やした60年代を挟み,75年のカムバック以降=所謂“後期”の演奏にはジョン・コルトレーンの影響が色濃く,アルトなのにテナーっぽい“鬼気迫る”スタイルへと変貌を遂げている。

 そう。アート・ペッパーCDには,前期と後期で内容に相当な隔たりがあり,ペッパー好きを公言する“マニア”であっても,後期ペッパーを否定する人さえいる。
 しかしそれは違うのではないか? 『PEPPER JAM』(以下『ペッパー・ジャム』)を聴いてからというもの,その思いが一層強くなってきた。

 『ペッパー・ジャム』は,日本独占販売&世界初登場となるアート・ペッパーの未発表音源! 伝説の復帰作『リヴィング・レジェンド』の半年前に録音されたライブ音源と聞かされれば,ペッパー・マニアなら即買でしょ?

 …と,即買が当然のように書いてはみたが,即買したのは“後期も愛する”ペッパー・マニアだけであろう。
 『ペッパー・ジャム』の正体は,いかにも怪しげな“ブートレグ上がり”のMONO録音盤。後期ペッパーの未発表音源はそう珍しくもないので“世界初登場”と声高に叫ばれたところで,前期ペッパーの信者たちに『ペッパー・ジャム』が見向きされないのも致し方ないと思う。

 実は管理人も興味本位のコレクターズCDとして『ペッパー・ジャム』を購入した。しかし『ペッパー・ジャム』を一聴してすぐ「これはただものではない」と感じてしまった。そう。これぞ“正真正銘の”未発表音源! こんなに“凄んだ”アート・ペッパーなど聴いたことがない!

 『ペッパー・ジャム』でのアート・ペッパーは激しい! 絶叫である! 前期ペッパーの特徴であろう「甘く艶やか+爽やかで瑞々しい音色」など消え失せている。そう。そこにあるのは「重く苦く汚れた音」! アート・ペッパー“その人の音”である。

 これは悪口ではない。アート・ペッパーは常に“素の自分に正直な”ジャズメンだと管理人は考える。前期ペッパーは,ひたすら“軽さ”を追い求めたが,それが前期ペッパーの“地”であっただけのこと。
 「重く苦く汚れた音」への変化は,アート・ペッパーの“地”の変化! そう。60年代の長いムショ暮らしでの挫折の経験と60年代を席巻したジョン・コルトレーンの演奏スタイルが,アート・ペッパーの人間性と音楽性の両面を変化させてしまった。

PEPPER JAM-2 栄光のカムバック演奏でアート・ペッパーが吹いたのが,コルトレーン・ライクな乾いた音色と一切の甘さを極限まで排除したアドリブ! 「もう綺麗になんて吹くものか。俺はただ感じたままに吹く!」。そう言っては,自分が思い描く理想のイメージを懸命に模索しながら“吹きこぼしていく”熱い演奏! 長尺のジャムセッションが“かなりやばい”。

 『ペッパー・ジャム』には,アート・ペッパーの“心臓の拍動”が記録されている。今にも心臓が口元から飛び出してきそうな,魂の全てを搾り出したかのような“心の叫び声”が聞こえてくる。
 管理人は思わずこう呟いた。「アート・ペッパー。もういいよ。もうたくさんだ。本当に分かったから,もうそこまで吹きこぼすのはやめてくれ!」と…。

 前期の「軽く爽やかな」アート・ペッパーも真実。しかし後期の「重く鬼気迫る」アート・ペッパーも真実。アート・ペッパーは後期も良い。

  01. MILESTONES
  02. OVER THE RAINBOW
  03. BLUE'S BLUES

(ポリスター/JAZZBANK 2004年発売/MTCJ-1065)
(ライナーノーツ/柳沢てつや)

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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / MAKE UP MY MIND4

 『SILVER RAIN』の10曲目は【MAKE UP MY MIND】(以下【メイク・アップ・マイ・マインド】)。


 【メイク・アップ・マイ・マインド】は,マーカス・ミラー“お得意”のバス・クラリネットバラード! バス・クラリネットの美しい“しゃがれ声”だから表現できる情感が溢れ出している。

 全てはマーカス・ミラーの“計算通り”であろうが,録音時はそんなことも忘れて“バス・クラリネット・プレイヤー”としての大熱演! 果たしてマーカス・ミラーは,何をそして誰を,思い浮かべながら演奏したのだろうか…。

 ところで【メイク・アップ・マイ・マインド】のクレジットを見ると,マーカス・ミラーの楽器群の中に“アコースティック”ベース・ギターの文字が…。
 過去のCDライナーを読み返してみたが,恐らく初登場の「アコースティック・ベース」って,ウッド・ベースのこと? だとしたらビッグ・ニュースである。
 読者の皆さんで詳細をご存知の方は,是非ご一報を。レクチャーお願いできればうれしく思います。

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MARCUS MILLER : Bass Clarinet, Acoustic Bass Guitar, Fender Rhodes, Drums, Moog Synth, Woodwinds
GREGOIRE MARET : Harmonica


SILVER RAIN
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アキコ・グレース / 東京 / 東京狂詩曲5

 『TOKYO』の2曲目は【東京狂詩曲】。


 【東京狂詩曲】は“狂おしいくらいにいとおしい”アキコ・グレースの「東京愛」が感じられる。24時間眠ることない大都会の明と暗! 酸いも甘いも味わい尽くした上での愛情である。

 アキコ・グレースピアノは早いが,彼女の実力からすると,黄色の中央・総武線各駅停車であって,紺色の横須賀・総武線快速電車のそれではない。( ← って,やっぱり都民気分の千葉県民丸出しです。) 
 そう。【東京狂詩曲】の魅力は,スピードを越えた圧倒的エネルギーと終始“ピン”と張りつめた緊張感! 都会の喧噪,危険と誘惑,そして活力をイメージさせるピアノのアタックが,相当パンチが効いている!

 アキコ・グレースは,そんな「東京」の特徴を,低音中心の音程で表現する。グイグイ切り込み圧力をかけてくる。
 しかし同時に“息抜きの場”も提供してくれている。ほんのわずか,中域と高域を同時に鳴らしてくれる。
 例えば3分過ぎからのアドリブであるが,もう少し長く続けられると,失神しそうで耐えられそうもない。そこでテーマに戻った後3分52秒からが“スーパー・ジャズメン”の面目躍如。あの倍音処理がエクスタシー!

 管理人も「東京」という街が大好きである。しかしこれ程,東京好きになったのは,東京を離れてからのことである。
 アキコ・グレースによる【東京狂詩曲】の作曲も,NY暮らしに慣れた頃のことだ。東京を離れてみて初めて,自分の内にある「東京愛」に気付いたのではないか?
 【東京狂詩曲】には,アキコ・グレースの“激しい”東京愛が詰まっている。

AKIKO GRACE : Piano
KIYOTO FUJIWARA : Bass
TAPPY IWASE : Drums

渡辺 香津美 / パーフェクト・リリース / メランコ4

 『PERFECT RELEASE』の1曲目は【MELANCHO】(以下 【メランコ】)。


 その昔12インチ・シングルでも発売され“聴き倒した”懐かしの【メランコ】! 当時高校生だった管理人は「メランコ→ブランコ」をイメージしてしまい“揺れに揺れる”トラックとして脳裏に“ブランコ画像”が刷り込まれてしまった。あぁ情けない。

 しかし【メランコ】“揺れに揺れる”トラックとしてのイメージは「メランコ→ブランコ」だけではなく,イントロでの渡辺香津美の“アコースティック・ギター・シーケンス”の影響も大である。
 あの細かい左右への“うねり”が“揺れに揺れる〜”ってか?

 NO! 【メランコ】で感じる“揺れ”の原因は,ビル・ブラフォードジェフ・バーリンによる“縦揺れ・ロック・ビート”にある。
 2分13秒から,渡辺香津美ギター・シンセによるアドリブが始まると同時に,ジェフ・バーリンベースが加速し始め,ビル・ブラフォードバスドラスネアで“鞭を入れた”3分9秒で姿を現わす,幻のポリリズム
 この3者が“拍の一致しないリズム”を同時に繰り出し,リズムの隙間を埋めまくる様は,もろ“プログレ”である。

 さて,高校時代に“文字通り”レコードの溝がすり減るまで聴いた【メランコ】であったが『PERFECT RELEASE』を聴いたからこそ“実感できた”発見があった。
 『PERFECT RELEASE』=「MOBO」! 『スパイス・オブ・ライフ』からの選曲はどうか,といぶかっていたのだが【メランコ】が,CDのオープニングを“しっくり”と飾っている。
 この収まりの良さに,たった2人で「MOBO」オールスターズと同等の活躍を見せた,ビル・ブラフォードジェフ・バーリンに改めて“惚れ直した”管理人です。でも正直聴き飽きたかなぁ…。

KAZUMI WATANABE : Guitar, Guitar-Synthesizer
JEFF BERLIN : Electric Bass
BILL BRUFORD : Electric Drums, Drums, Percussion

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / I WANT MORE4

 『DEXTER CALLING...』の3曲目は【I WANT MORE】(以下【アイ・ウォント・モア】)。


 これぞ「後乗りのデックス」の真骨頂! 【アイ・ウォント・モア】には,4人の細やかな“決まり事”が見え隠れするが,デックス一人が「後乗り」し,おいしいところ全てを持っていく。

 38秒で明らかなデクスター・ゴードンの「後乗り」には“後出しジャンケン”のような後ろめたさは微塵もない。なぜなら彼の「後乗り」は大抵“絶妙な間”とセットで繰り出されている。そう。これはデクスター・ゴードンの本能なのであろう。

 【アイ・ウォント・モア】とは,ケニー・ドリュー・トリオへ宛てたデクスター・ゴードンからの欲張りなおねだり! → 「もっとリズムが欲しいの。スイングしたいの」。
 これには管理人も「後乗りのデックス」の上へ「後乗り」して,ケニー・ドリューへおねだりしたい! 【アイ・ウォント・モア】で明瞭な“黒々&ノリノリ”ピアノをもっと聴かせてほしいなぁ。パウエル派だった“時代もの”のケニー・ドリューが一番好きです。さぁ,パウエル派ケニー・ドリューへカムバック!

DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums

渡辺 貞夫・ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85 / パーカーズ・ムード / PARKER'S MOOD4

 『PARKER’S MOOD』の6曲目は【PARKER’S MOOD】(以下【パーカーズ・ムード】)。


 【パーカーズ・ムード】は,密度の濃い濃い,だけどスロー・ブルース。4ビートのピアノ・トリオが“グイグイ”来る!
 チャーネット・モフェットは弾き過ぎだろう。ジェフ・ワッツも叩き過ぎだろう。でもでもナベサダ相手にはちょうど良い。渡辺貞夫が気合いを入れて“ビ・バップ”している!

 【パーカーズ・ムード】は,ある意味,ナベサダの代表曲。書きたいことは山ほどある。しかし【パーカーズ・ムード】の本質は,3分32秒での「オヤジの掛け声」に凝縮されている! 管理人もライブ会場にいたら同じ瞬間に声を上げていたであろう。感動を共有できた事実がこれまた感動もの。読者の皆さんとも同じ感動が共有できれば…。

SADAO WATANABE : Alto Sax
JAMES WILLIAMS : Piano
CHARNETT MOFFETT : Bass
JEFF WATTS : Drums

トミー・フラナガン / ザ・トミー・フラナガン・トリオ / YOU GO TO MY HEAD4

アナログレコード

 『THE TOMMY FLANAGAN TRIO』の2曲目は【YOU GO TO MY HEAD】(以下【ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド】)。


 【ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド】は,手間暇かけた,懐石料理の味! 元来,ロマンティックなテーマの名トラックゆえ,甘さを狙った“ベタな”ジャズ・ピアノへ仕上げることなど“朝飯前のお手のもの”であろうが,トミフラは決してそうしない。敢えて狙わない。
 そう。料理人=トミー・フラナガンによる【ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド】の味付けは,甘さを抑えたあっさり味! 味が薄いのではない。しっかりと主張する“フラナガン味”が残っている。

 この独特の旨味は,下ごしらえから手間暇かけた“努力の結晶”であろう。大甘な素材=【ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド】から,余分な甘さを“灰汁抜き”した後で“幾層もの隠し味”をたっぷり染み込ませている!

 この甘さ控え目の【ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド】が実においしい。二口目はいらない。一口食べればそれで満足してしまう。少量をよく味わって食べたくなる。そう。トミー・フラナガンは懐石料理の料理人なのである。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE TOMMY FLANAGAN TRIO
TOMMY FLANAGAN : Piano
TOMMY POTTER : Bass
ROY HAYNES : Drums


ザ・トミー・フラナガン・トリオ
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トミー・フラナガン / ザ・トミー・フラナガン・トリオ / IN THE BLUE OF THE EVENING4

アナログレコード

 『THE TOMMY FLANAGAN TRIO』の1曲目は【IN THE BLUE OF THE EVENING】(以下【イン・ザ・ブルー・オブ・ジ・イヴニング】)。


 【イン・ザ・ブルー・オブ・ジ・イヴニング】は,トミフラ流のどじょうすくい! 「よし,今度こそ“すくいあげた”」と思った瞬間,どじょうが"するり”と手からこぼれ落ちてしまう。そんな「掴めそうで掴めない」難曲である。

 難曲と書いてアレだが,こう思う人は少数に違いない。普通に聞いたら「気持ちいい〜」である。なにげなく流れてきて,優しげに空間を漂うトミー・フラナガンピアノ。このピアノの音に意識しすぎることなく耳を傾け,踏み込んだ理由など考えずに“ジャズ・ピアノの森林浴”にドップリと浸かる。

 【イン・ザ・ブルー・オブ・ジ・イヴニング】は,フランクな聴き方が一番合う。「う〜ん,なんかいい」の理由を突き詰めようとしてはいけない。「う〜ん,なんかいい」の秘密を探ろうと一歩踏み出した途端“ジャズ・ピアノの樹海”へと迷い込む。

 【イン・ザ・ブルー・オブ・ジ・イヴニング】は,ジャズ批評家にとっては難曲であり,ジャズ・ファンにとっては掛け替えのない名曲! 肩肘張らずにリラックスして音の“とろけ具合”を楽しんでほしい。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE TOMMY FLANAGAN TRIO
TOMMY FLANAGAN : Piano
TOMMY POTTER : Bass
ROY HAYNES : Drums


ザ・トミー・フラナガン・トリオ
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トミー・フラナガン / ザ・トミー・フラナガン・トリオ5

アナログレコード

 2008年1月である。番組改編,いよいよ新クールの冬ドラマが始まる。管理人の注目は,フジテレビ系「あしたの喜多善男〜世界一不運な男の,奇跡の11日間〜」! そう。“名脇役”小日向文世が,ついに連続ドラマへ初主演! これは面白そう。期待大なのである。

 制作発表での小日向文世のエピソードがいかしている。関西テレビからの主演オファーに対する第一声が「なんで? 本当に?」。その後も「大丈夫なの? 僕でいいの? 成立するの? この企画つぶれない?」と聞き返したとか…。役者デビュー30年でついに手にした連ドラ主演の座。なのに,ニンマリ笑ってバンザーイ,と叫ばないのが,実にこの人らしい。

 さて,ジャズ界にも“名脇役”小日向文世がいる。それが“名脇役”トミー・フラナガン
 「名盤の影にフラナガン有り」と謳われたように,これは!と思ってライナーノーツをめくると,十中八九,トミー・フラナガンの名前がある! そう。ジャズ・ピアニストトミー・フラナガンは“サイドメン”として,多くのジャズ・ジャイアントと共に「歴史に残る伝説の名盤」を創り上げてきた“最強の名脇役”なのである!

 そんな“名脇役”トミー・フラナガンが主役を演じるようになったのが,1975年のパブロエンヤへの連続録音以降のこと。トミー・フラナガンのデビューは1945年のことだから,やっぱりこちらも「苦節30年」なのには驚いた。
 しかし2人の経歴を比べてみるとさらなる共通点に驚くばかり。ここが今回のCD批評の“肝”であるが,実は小日向さん,TVや映画に出まくる前の劇団員時代に,串田和美演出「魔人遁走曲」と佐藤信演出「ハムレット」の2本で舞台の主役を演じているそうな。ほほぉ。
 かたやトミー・フラナガンも“最強の名脇役”として多忙を極めていた時代に,こっそり?リーダーCDを2枚録音した。それが『OVERSEAS』(以下『オーヴァーシーズ』)と『THE TOMMY FLANAGAN TRIO』(以下『ザ・トミー・フラナガン・トリオ』)!( ← この2枚はジャズ・ファンにはすっかりお馴染み。こちらは極秘情報ではありませんでした )
 「最強の名脇役=苦節30年のいぶし銀」の2人共,メジャー・デビュー前にマイナー・レーベルで2作主演しているなんてねぇ。

 さてさて,トミー・フラナガンについて書きたいことは山ほどあるが,今回は『ザ・トミー・フラナガン・トリオ批評! 『オーヴァーシーズ批評ではないことに特別な意味はありません。何となく2008年のお正月なら『ザ・トミー・フラナガン・トリオ』気分に思えたもので…。
 「論戦好き」のジャズ・ファンなら,管理人が下す,この2枚の優劣に関心をお持ちかもしれません。でも幾ら聞いても無駄ですよ。管理人にこの2枚の優劣などつけられません。つけきれません。答えるとしたら,どちらも超名盤であるという事実だけです。

 『ザ・トミー・フラナガン・トリオ』は「非常に趣味のいい」CDだと思う。この選曲にこのメンバー。めちゃめちゃソフトで温もりある音。目の前ではなくどこか遠くで輝いているような…。
 (書き初めをした人など皆無であろうが)お正月つながりで例えれば,真白な半紙に原液のまま=薄めの墨汁で一筆書き! 決して硯に添加用墨を擦ってはならない。淡い黒の芸術である。イメージとしては水墨画に近いかなぁ。
 そう。『ザ・トミー・フラナガン・トリオ』は,ピアノ・トリオのリーダーとしてではなく,サイドメン時代のトミー・フラナガン好きにはたまらない,名脇役チックな“トミフラ”の代表作である。

PS 管理人が「あしたの喜多善男〜世界一不運な男の,奇跡の11日間〜」に注目した本当の理由は,小曽根真オリジナル・サウンドトラック を担当したからでした。さてどんな音楽に仕上がっていることやら…。目と耳で「あしたの喜多善男〜世界一不運な男の,奇跡の11日間〜」を楽しもうと思っています。

(1960年録音/VICJ-41094)

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ジム・ホール / アランフェス協奏曲 / THE ANSWER IS YES5

アナログレコード

 『CONCIERTO』の3曲目は【THE ANSWER IS YES】(以下【アンサー・イズ・イエス】)。


 【アンサー・イズ・イエス】の答えはYES! 主役=ジム・ホールYES! ヒーロー=チェット・ベイカーYES! 聴き所=ローランド・ハナYES!である。

 イントロから全編に渡り“前へ後ろへ”大忙しな主役はジム・ホールギター! しかし,ヒーローと言えばチェット・ベイカートランペット
 チェット・ベイカートランペットは,すでに絶頂期を過ぎた後の演奏であるが,実にリラックスした音を出す。それでいて派手&クール! 老いてもスターはスターであった。

 【アンサー・イズ・イエス】の聴き所は=ローランド・ハナピアノ・ソロ! 3分13秒から始まるローランド・ハナアドリブが,3分36秒から飛び跳ねる!
 突如,眼下に“星が舞い降りるような”錯覚は高音オクターブ! このノリノリ&ジャンピングは『CONCIERTO』全体の中でもここだけ。光り輝く名演である。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

JIM HALL : Guitar
ROLAND HANNA : Piano
RON CARTER : Bass
STEVE GADD : Drums
CHET BAKER : Trumpet
PAUL DESMOND : Alto Saxophone


アランフェス協奏曲
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TOKYO FM / ディア・フレンズ / 上原ひろみ

ディア・フレンズ / 上原ひろみ 大晦日の音楽番組と言えば「紅白歌合戦」であろうが,管理人にとって2007年の大晦日は,長澤まさみが司会しない「紅白」よりも(「ガキの使い」メインで,ちょいザッピングしましたが)TOKYO−FM系「ディア・フレンズ」!
 そう。ジャズ・ピアニスト上原ひろみがゲスト出演しました。1月30日発売のチック・コリアとの“夢の”共作『デュエット』のプロモーションです。

 この年末年始に限らず,管理人が自宅で午前中を過ごす場合は,大抵,FMの流し聞き。それにしてもこの1週間はかなりの時間FM放送を聞いていた。“年末恒例”のカウントダウン番組を聞いて1年間のヒット曲をまとめてチェック! 急速に流行歌が分からなくなってきたのは,オヤジに片足突っ込んだ証拠です。

 さて,本当は年末年始のラジオ批評としては,上原ひろみの「ディア・フレンズ」ではなく,NHK−FMで12/29,30日に放送された「プレイバック 東京ジャズ2007」を批評するつもりでした。がっ,あまりの感動と9時間40分という長時間の放送量に圧倒され,今回はやむなく“封印”を決意した次第です。( ← 今年の初ウソです。いつも午後自宅で過ごす場合はCD三昧なので,気付いた時には放送終了1時間前。ネタ不足ゆえのお蔵入りです )

 そんな“傷心?”の管理人を癒やしてくれたのが「ディア・フレンズ」から流れ出る,上原ひろみの“声”でした。あのほのぼのとした話し方は,ステージ・パフォーマンスとは正反対! 素の上原ひろみは“少女のまんま”でした。

 ラジオを流し聞きしていると,読者の皆さんが想像する以上に“頻繁に”ジャズメンがゲスト出演しています。本当ですよ。その度に「アドリブログで記事にしようかなぁ」と思ったりもするのですが,普段は流し聞き=ながら聞き! 記事にする前に忘れてしまうの繰り返しでボツ。
 大晦日のゲスト出演とはラッキー。なぜなら管理人に時間の余裕があったから。しかし上原ひろみにとってはアンラッキー。だって大晦日って世間ではみな忙しいはず。一体どれくらいの人が上原ひろみの美声を聞いたことでしょう。

 DJ赤坂泰彦とのトークでは,新作『デュエット』のプロモーションは勿論,世界ツアーで旅した高地で頭痛がする中演奏したことや,結婚のこと,そして「自分にないものを持っている人たちと共演することで,自分では見えない自分を発見できる」と,オスカー・ピーターソン矢野顕子,ドリカムとの共演“秘話”について話してくれた。

 管理人が特に興味深かったのは,チック・コリアとの出会いのエピソード! ここまでの詳細な裏話は(恥ずかしながら)初めて聞きました。以下,トークの大筋です。
 浜松から東京へピアノのレッスンを受けに来ていた上原ひろみのビルの中にスタジオがあった → そこにチック・コリアがリハーサルで来ていた → 同じビル内に「チック・コリアがいる」と聞きつけ,握手だけでもと挨拶に → ピアノを習っているの? おじさんにもピアノを弾いて聞かせて → チック・コリア驚愕。明日のステージに出演しないか? → その時着ていた「東京お出かけ用のワンピース」を着てステージのラストで大登場!
 恐らくチック・コリアの元には毎日,スタッフ試聴の段階でボツとされるデモ・テープが送られてくることでしょうから,この偶然が偶然を呼んだ“夢物語”に一人大興奮! 上原ひろみはチャンスにも恵まれた「選ばれしシンデレラ・ガール」でありました。

 「来年もライブライブの毎日にしたい」と2008年の抱負を語った上原ひろみ。「ドライビング・ミュージック」でのリクエスト曲は,ジェリー・リー・ルイスの【火の玉ロック】。今年もアメリカ全土を車で“ガンガン”駆け巡るつもりである。

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