アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2008年06月

プリズム / UNCOVERED / SHADOW OF THE JUNGLE GYM5

 『UNCOVERED』の2曲目は【SHADOW OF THE JUNGLE GYM】)。


 【SHADOW OF THE JUNGLE GYM】は,フレーズ朗々と紡ぎ出される“メローな”プリズム。これぞ“聴かせる”プリズムの真骨頂である。

 「弾きすぎない」渡辺建と「叩きすぎない」木村万作による【SHADOW OF THE JUNGLE GYM】の再演に“90年代のプリズム”を感じてしまう。そう。テクニックに裏打ちされたメロディアス!

 和田アキラギターが“しっとり”と鳴っている。それだけで感動体質の管理人は7分48秒からのラスト・テーマで涙する!

PRISM
AKIRA WADA : Guitars, Guitar Synth
KEN WATANABE : Basses, Bass Synth, Vocal, Secuenser Programing
MANSAKU KIMURA : Drums, Percussion Programing

デヴィッド・サンボーン / クローズ・アップ / GOODBYE4

 『CLOSE−UP』の4曲目は【GOODBYE】(以下【グッドバイ】)。


 【グッドバイ】の聴き所は“センチメンタルでノスタルジックでエモーショナルな”デヴィッド・サンボーンアルト・サックスに違いない! しかしある一線を越えた所で,聴き込めば聴き込む程「ザ・マーカス・ミラー」な作りである。
 そう。【グッドバイ】は,デヴィッド・サンボーンの全てを知り尽くしたマーカス・ミラーだから作れた,渾身のバラードなのである。

 印象的なイントロからバラードゆえ甘く入ると思いきや,ガツンと一発,デヴィッド・サンボーンが吹き上げる。豪快な展開に軽く脳しんとうを起こし,気付けばテーマでサンボーンが泣いている。以降,その繰り返しである。

 例えば,3分27秒からのアルト・ソロでのサンボーンは“ブリルハート”である。しかしバックと溶けあう4分2秒でテーマに変わった瞬間“デュコフ”で泣き始める! この変化がいい! ← このクダリ,何人の読者が意味分かるかなぁ?

 「泣かぬなら泣かせてみようサンボーン」。ここぞという聴かせ所で最高に泣かせてみせるマーカス・ミラーは“サル”である。おっと失礼,豊臣秀吉である。

DAVID SANBORN : Alto Sax
MARCUS MILLER : Bass, Keybords
RICKY PETERSON : Electric Piano
VINNIE COLAIUTA : Drums
JEFF MIRONOV : Acoustic Guitar
G.E.SMITH : Lead Guitar
PAULINHO DA COSTA : Percussion

ジャック・デジョネット / アース・ウォーク / EARTH WALK4


 『EARTH WALK』の5曲目は【EARTH WALK】(以下【アース・ウォーク】)。


 インディアンの血を引くジャック・デジョネットの“大地の音”が【アース・ウォーク】である。

 【アース・ウォーク】の中では,スペシャル・エディションと動物たちが“共存”している。ジャック・デジョネットの言う“アース・ビート”に乗せられて,ゲイリー・トーマスグレッグ・オズビーサックスが,イーグルやクーガーやバッファローと共に雄叫びを上げる! これは地球の危機について群れの仲間に発せられた警告の叫びである!

 しかし,ジャック・デジョネットだけは“泰然自若”。リズムでグイグイ押すのではなく,雄大で奥行きのある音世界が展開する。この熱いドラミングには冷徹な目がある。
 「もっと冷静になれ。頭を冷やせ。決してあきらめるな!」 神の子=ジャック・デジョネットが,無の境地で“アース・ビート”を刻んでゆく。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

JACK DeJOHNETTE SPECIAL EDITION
JACK DeJOHNETTE : Drums
MICKAEL CAIN : Piano and Synthesizers
GARY THOMAS : Tenor Saxophone and Flute
GREG OSBY : Alto and Soprabo Saxophone
LONNIE PLAXICO : Bass

チャーリー・パーカー / ナウズ・ザ・タイム / COSMIC RAYS4

 『NOW’S THE TIME』の5曲目は【COSMIC RAYS】(以下【コズミック・レイズ】)。


 ミディアム・ブルースの【コズミック・レイズ】は,珍しくサイドメンにスポットが当てられている。
 無論,聴き所はチャーリー・パーカーアルトソロが一番である。ジャズのルーツがブルースにあることが“良〜く分かる”アドリブ構成である。

 さて,サイドメン全員のアドリブが均等に楽しめる【コズミック・レイズ】の中にあって,管理人ならテディ・コティック
 理由は単純に,2分1秒から2分5秒までの“大音量”にある。ミキサーが故意に音量を上げたとしか思えないくらいの音圧で,ベースの重低音が迫ってくる。耳から脳に伝わるのとは別口で,女性じゃないのに“骨盤まで響き渡る”感覚が残る。

 これが真にテディ・コティックの“神技”であるとすれば,テディ・コティックの低評価は書き換えられねばならない! そう。“大御所”ハンク・ジョーンズよりも“ジャズ・ジャイアンツ”マックス・ローチよりもテディ・コティックの“大音量”が素晴らしい!
 …って,アドリブの話じゃないんかい? お後がよろしいようです。

CHARLIE PARKER : Alto Saxophone
HANK JONES : Piano
TEDDY KOTICK : Bass
MAX ROACH : Drums

サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ / セントラル・パーク・ノース / JIVE SAMBA4


 『CENTRAL PARK NORTH』の3曲目は【JIVE SAMBA】(以下【ジャイブ・サンバ】)。


 【ジャイブ・サンバ】は,ズバリ,サド=メルによる「ジャズ・クルセイダーズ」へのオマージュ! しかも圧倒的スケールでの「ジャズ・クルセイダーズ」の再演である!

 【ジャイブ・サンバ】の“ジャズ・グルーヴ”は,ウィルトン・フェルダーステイックス・フーパーがフルバンに参加しているかのような“ファンク・グルーヴ”! このジャイブサンバファンクなリズムに“刷り込み”を覚えたが最後! どうあがいても,ローランド・ハナジョー・サンプルに聴こえ,ブラス隊がウェイン・ヘンダーソンに聴こえてしまう。もうダメだ。これではジャズ批評家として終わったW○藤氏と同じである。

 …と言うわけで,本日は管理人から読者の皆さんへの質問です。3分25秒から始まる“秀逸”なフルート・ソロ!
 これは一体誰が吹いているのでしょうか? ライナーのクレジット欄には記載がありません。ウェイン・ヘンダーソンだけは絶対にないのですが,どなたかご存知の方はいませんか?

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THAD JONES=MEL LEWIS JAZZ ORCHESTRA
THAD JONES : Flugel Horn
MEL LEWIS : Drums
SNOOKY YOUNG : Trumpet
JIMMY NOTTINGHAM : Trumpet
RICHARD WILLIAMS : Trumpet
DANNY MOORE : Trumpet
EDDIE BERT : Trombone
JIMMY KNEPPER : Trombone
BENNIE POWELL : Trombone
CLIFF HEATHER : Trombone
JEROME RICHARDSON : Sax
JERRY DODGION : Sax
EDDIE DANIELS : Sax
JOE FARRELL : Sax
JOE TEMPERLY : Sax
BARRY GALBRAITH : Guitar
SAM BROWN : Guitar
ROLAND HANNA : PIANO
RICHARD DAVIS : Bass & Fender

テレビ東京 / みゅーじん(音遊人)15分拡大スペシャル / 小曽根真

みゅーじん(音遊人) / 小曽根真 昨日,テレビ東京(TVQ九州)にて「みゅーじん音遊人)15分拡大スペシャル 第87回:小曽根真」が放送されました。

 近年の小曽根真の「マルチぶり」には目を見張るものがある。ある時はジャズ・ピアニスト,ある時はビッグ・バンドのバンマス,またある時はクラシック・ピアニスト。そして…。

 ジャズで成功を収めたピアニストがクラシックでも世界を目指すのは目新しいことではない。“超大物”キース・ジャレットだってチック・コリアだって…。トランペットには“クラシックの賞荒らし”ウィントン・マルサリスだっている。枚挙にいとまはない。
 では小曽根真が,彼らの“二番煎じ”かと言うとそんなことはない。小曽根真が目指すのは,ジャズとクラシックの“融合”ではなく“共存”! 融合だと互いの原形が無くなるのでNGだそうだ。

 「言うは易し行なうは難し」。小曽根真も40歳を過ぎてクラシック・ピアノと格闘していた。例えば左手。ジャズでは和音だけ。分散和音のように動かすことはない。
 小曽根真がクラシック・ピアノの“奥深さ”と対面した瞬間が,マエストロ=井上道義との共演コンサート! 井上道義が3拍子の弾き方について小曽根真にレッスンをつけていく。「もっと跳ねていいんだ!」。小曽根真がクラシックのリズムを習得していく。

 ハイライトはガーシュウィンの【ラプソディ・イン・ブルー】! ここまで必死に抑えていた“ジャズメン魂”解放の快感! 本来のクラシック・コンサートでは有り得ないジャズ・アレンジ! サックスベース小曽根流にスイングする! あの音は確かに,ジャズとクラシックの“融合”ではなく“共存”であった!

 あのクラシック・コンサートを通じて小曽根真は何を感じたのだろう? キース・ジャレットは「クラシックを経験した結果,自分がインプロヴァイザーであることを強く意識した」と語っている。
 番組では語られていなかったが小曽根真も同じく“ジャズ”を強烈に意識したのではなかろうか? それが近年の「マルチぶり」に表われているように思えてならない。そう。クラシックへの反動としてのビッグ・バンドである。

 番組前半で流された,ブルーノート東京での“子供向け”のライブ! 実に楽しそうにビッグ・バンドNO NAME HORSES」をドライブさせる! スリリングなアンサンブルなのに敷居の高さなど微塵も感じさせない。やはり小曽根真は「プロでありアーティストでありエンターテイナー」なのである。

 “子供向け”のライブなのに,大人向けの“本気の”演奏。開始1曲で「聴いている」子供の瞳に手応えを掴む。15人が同時進行する緊張感と幸福感! しかし観客とどちらが子供か分からない。10歳の子供がピアノで遊んでいる部分が出ている。小曽根真は12歳の時,オスカー・ピーターソンに接してジャズ・ピアノに目覚めた。そう。この日のライブは,小曽根真オスカー・ピータソンになる日であった。いつの日か,聴き方から“感じ方”に変わってくれることを願って…。

 小曽根真は(ピアノに関する限り)いつまでも子供である。純粋にピュアなハートで挑戦を続けている。小曽根真は「自分ができないことがあるのは嬉しい。しんどいんだけど楽しい」と語っていた。「できることがあると嬉しい」管理人とは大違いである。

 小曽根真にとって「ピアノとは?」との質問に,30秒の沈黙の後,彼はこう答えた。「僕をず〜っと支えてくれて,ず〜っと愛してくれて,絶対裏切ってはいけないもの。身体の一部とかそう言うものではなくて…。とにかく大切にしたいものだと思う」。そう。ピアノの音色に全ての答えがある!

プリズム / UNCOVERED5

UNCOVERED-1 ジャズ・フレーズ禁止「ポップ・クリエイティヴ」のカシオペア。ご存知「F−1グランプリ」のT−スクェア。中森明菜で「レコ大受賞」の松岡直也。「ヒューマン・ソウル」のナニワ・エキスプレス。あの「バンマス」MALTAでさえ「ラップ&ヴォーカル」志向へと路線変更…。

 たとえ,J−フュージョンのトップ・バンドであったとしても純粋にフュージョン道を追求するのは難しい。そう。好むと好まざるとに関係なく,そこには“商業主義”という高い壁が立ちはだかる!
 彼らはアマチュアではなく“プロ”のジャズメン。当然,ファンやレコード会社のリクエストに応じる必要がある。人気が出れば出るほど“コマーシャル・ベース”に乗ることが“良い音楽を創る”こと以上に期待されてしまう。

 フュージョン・ブームが過ぎ去り,同士が着々と路線変更を図る中,頑固一徹,フュージョン路線を曲げないバンドがある。プリズムである。
 そう。「日本のアラン・ホールズワース和田アキラと「日本のジャコ・パストリアス渡辺建を擁するプリズムこそ,J−フュージョンの代名詞=「超絶技巧」の開祖である。

 実際に管理人も(カシオペアスクェアのスーパー・スゴテクは骨の髄まで認めた上で)カシオペアには“青春”を求め,スクェアには“歌”を求めてCDをかけるが,プリズムには“バカテク”を求めてCDをかける。
 特にギターの早弾き世界一としてギネス申請された(はず?)“神様”和田アキラ! ライブでは“指がつるまで弾きまくる”ド根性! 指つり防止のエアーサロンパスに“薄くなどないフュージョン道”を教えられたものである。

 そんなプリズムにとっての“バンドの岐路”が,ドラム木村万作を迎えて完成した“ギター・トリオ”!
 ギター・トリオ結成直前のプリズムは,正直,迷走していたように思う。売れ線の名曲【TAKE OFF】の大ヒットで,コマーシャル路線を歩み始めてはみたものの,何かが足りない。プリズム・ファンとしても新作CDを聴き終えた時には“もやもや”だけが残る消化不良。
 そう感じていたのは和田アキラ渡辺建も同じだった。そこでプリズムの出した結論が1990年代の「環境3部作」=売れ線とは真逆の「脱コマーシャル」!
 レコード会社の前に“演奏を求める”ファンがいる。そのファンの前には“演奏を求める”和田アキラ渡辺建の両雄がいる。“マニアックな”フュージョンかもしれない。でもこれからは“完全燃焼”できるギター・トリオでいこう。プリズムの腹は据わった。

 シーケンサーの導入で実現できたプリズム初のキーボードレス。『MOTHER EARTH』で感じた音造りの変化に,正直,一抹の寂しさを覚えた。事実,セールス的には“サッパリ”だった。
 しかし『REJUVENATION』『A PERSONAL CHANGE』の制作を通じ“ついに”分厚いシーケンサーが鳴り始めた瞬間,プリズムが目指した「超重力級」ギター・トリオの全貌が現われた。「環境3部作」の集大成が大名盤UNCOVERED』である。

UNCOVERED-2 『UNCOVERED』はライブCDである。ライブCDの“はず”である。
 相当聴き込んだ耳をもってしても「これがギター・トリオ? これがライブ?」。にわかに信じられない「超絶技巧」の大連発! 管理人が“熱狂してきた”プリズムがここに帰って来た!

 プリズムが追い求めたギター・トリオは“そんじょそこらの”ギター・トリオではなかった。和田アキラが「レコード会社から頼みにこない限りCDは出してやらない」とまで言い切る“自慢の”ギター・トリオの完成形!
 『UNCOVERED』からは,商業的な成功を捨て“マニアな”フュージョンへと取り組んだ,プリズム“自慢の”ギター・トリオが鳴り出している。

  01. BIOLOGY'S LIFELINE
  02. SHADOW OF THE JUNGLE GYM
  03. DEJA VU
  04. IN THE AFTERNOON
  05. IDEOGRAM
  06. CALL OUT MR,M.K
  07. THE FIRST SKY AND THE LAST SEA

(イースタンゲイル/EASTERN GALE 1995年発売/EGCJ-8003)

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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / OUTRO DUCTION4

 『SILVER RAIN』の14曲目は【OUTRO DUCTION】(以下【アウトロ・ダクション】)。


 【アウトロ・ダクション】は【イントロ・ダクション】を上回る,マーカス・ミラーからの“誘い水”!
 『シルヴァー・レイン』の最後に,こんな“超絶チョッパー”を聴かされたら,身体が火照ってしょうがない。ゆえに【アウトロ・ダクション】は次回作へ【イントロ・ダクション】である。

 この全てはマーカス・ミラーの“仕掛け”である。
 10秒から20秒までの10秒間だけキーボードが鳴っている。これが【アウトロ・ダクション】の,アウトロではなくイントロで流れるのがミソ!
 通常ならば,後半でキーボードが乗っかり盛り上がるのがセオリーのはず。だが【アウトロ・ダクション】では,逆にそれまで暴れていたキーボードが脇へと捌けていく。必然的にチョッパー・ベースの“一人舞台”の完成である。

 リスナーの耳が“超絶チョッパー・ソロ”へと向けられたその時,すでにマーカス・ミラーはトップ・ギアで走行中。皆が感嘆するのも当然である。マーカス・ミラーの次回作が待ち遠しい。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitar, Fender Rhodes, Keyboards, Beat Box, Udu, DJ Scratches

パット・メセニー・ギャラリー

パット・メセニー(野々口和仁) 目ざとい読者の皆さんなら既にお気付きのことと思いますが「アドリブログ」の顔?(デザイン)をちょっぴり変えてみました。
 プチ整形・パート犬任后

 「パット・メセニー・ギャラリー」! 見て・ミテ・みて! パット・メセニーが「アドリブログ」でギターを弾いています。
 読者の皆さんにもパット・メセニーアドリブが聞こえますか? えっ,聞こえないって? 通常で有れば「目を閉じてごらん」と促すところですが,今回は違う。「よ〜く見つめてごらん」なのです。ほら,イラストの指が動き出しているでしょ?

 「心優しきイラストレーター」野々口和仁さんのイラストが好きです。フラットな気分になります。聞けば和仁さん本人は多趣味で気が多いお人柄だそう。管理人も多趣味ですので分かりますが「多趣味は欲張り」。…なはずなのに,和仁さんは欲張っていません。芸術に「人間性が表われるか否か」については永遠の論争点ではありますが,和仁さんの場合は“ピュアな人間性”がタッチに表われています。芸術とは“自分の頭の中の表現”です。

キース・ジャレット(野々口和仁) 実は内緒にしていましたが,和仁さんのイラストは「アドリブログ」の読者の皆さんには以前からお馴染みなのでは? そう。キース・ジャレット! 管理人の“命を託した?”プロフィール画像は和仁さん作でした。

 読者の皆さんにも「アドリブログ」を読む暇があるのなら『KAZUHITO'S SITE』を覗いてほしい。管理人は毎日通っています。

     「KAZUHITO'S SITE
     http://www18.ocn.ne.jp/~nonohito/

PS 和仁さんへのイラストの御用命は mailto:hito68@flute.ocn.ne.jp までお願いします。「セラビーさんの紹介で」と書き添えていただくと「特別値引き」してくださるそうです。お気軽にお問い合わせください。

 アドリブをログするブログ,それがアドリブログ。


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チャーリー・ヘイデン & パット・メセニー / ミズーリの空高く / OUR SPANISH LOVE SONG4

 『BEYOND THE MISSOURI SKY (SHORT STORY)』の2曲目は【OUR SPANISH LOVE SONG】(以下【アワー・スパニッシュ・ラヴ・ソング】。


 【アワー・スパニッシュ・ラヴ・ソング】は,情熱の国・スペイン流のミディアム・バラード! スペインで愛を語り合うのに深い時間帯は似合わない。いや,深い時間になるまで待ちきれない。真っ昼間から街路で人目をはばかることなく,多くのカップルが“愛の交歓”を表現している。

 【アワー・スパニッシュ・ラヴ・ソング】は,チャーリー・ヘイデンパット・メセニーにとっての“音楽愛の交歓”である。
 図式としては,まず多くを語っていくのがパット・メセニーであり,チャーリー・ヘイデンパット・メセニーの言葉の受け止め役。
 パット・メセニーがやけに饒舌に聴こえるのは,オーバー・ダビングによるサイド・ギターのせいである。

 一般にサイド・ギター=コード楽器であるが【アワー・スパニッシュ・ラヴ・ソング】でのパット・メセニーのサイド・ギターが凄い! 時折,リード・ギターの主旋律を押しのけて美メロを奏でている。
 この“やりすぎ具合”が実にパット・メセニーらしい。オーバー・ダビング中にデュオで録音した時の感動がよみがえり“もうちょっとだけ,ほんの少し書き加えるつもりが”手が滑ってしまって? やっぱりパット・メセニーは,幾つになっても音楽少年。愛すべき音楽バカでした。

 そんな“やりすぎ”メセニーを見事にカバーするチャーリー・ヘイデンの底力! 本来コードを弾くはずのサイド・ギターに代わってベースでコードを付けている。本来,ベースでコードは付けられない。でもこのベース・ラインは紛れもなくコード!
 管理人は【アワー・スパニッシュ・ラヴ・ソング】におけるチャーリー・ヘイデンベースは,誰が何と言おうと“コード楽器”だと言い切っている。

CHARLIE HADEN : Bass
PAT METHENY : Acoustic Guitars and all other instruments

チャーリー・ヘイデン & パット・メセニー / ミズーリの空高く / WALTZ FOR RUSH5

 『BEYOND THE MISSOURI SKY (SHORT STORY)』の1曲目は【WALTZ FOR RUTH】(以下【ワルツ・フォー・ルース】。


 【ワルツ・フォー・ルース】の,ほんの数秒のイントロを聴いた瞬間『ミズーリの空高く』の成功を確信した! 繊細なのに奥深い=アコースティック特有の“美の世界”が,眼下に広がる「ミズーリの大地」を描き出していく!
 このインパクトは,正に音楽のビッグバン! ビッグバン理論が正しければ,今,この瞬間にも宇宙は膨張を続けている。
 仮にその場に立ち会うことができたなら,そこは【ワルツ・フォー・ルース】の“美の世界”なのかもしれない。

 パット・メセニー奏でるナイロン弦ギターの何と豊かな響きなのだろう。優しさが溢れ出している。「意外と低音も響くなぁ」と思えば,それこそチャーリー・ヘイデンウッド・ベースであった。素晴らしいインタープレイである。
 ユニゾンとは異なる(更に上を行く)一糸乱れぬデュオ名演。それぞれの楽器の「地声」で語っているが,2人は同じ言語で語り合っている。心でつながっている。心で感じあっている。
 
 【ワルツ・フォー・ルース】は「とにかくいいから聴いてみて」と,強引にお奨めできる数少ないトラック。
 2分26秒から始まる,チャーリー・ヘイデンベース・ソロのバックで鳴り続く“弦のかすれ音”が最高である。こんな“弦のかすれ音”が無意識に聴こえてくる辺りに『ミズーリの空高く』成功の秘訣がある。

CHARLIE HADEN : Bass
PAT METHENY : Acoustic Guitars and all other instruments

チャーリー・ヘイデン & パット・メセニー / ミズーリの空高く5

BEYOND THE MISSOURI SKY (SHORT STORIES)-1 管理人とチャーリー・ヘイデンとの長い付き合いは,管理人のフェイバリット=キース・ジャレットパット・メセニーからの“友人紹介”がきっかけであった。

 キース・ジャレットとは「アメリカン・カルテット」で,パット・メセニーとは「オーネット・コールマン」絡みの諸作で,チャーリー・ヘイデンベースを聞いてきた。
 「聴」ではなく「聞」で接してきたので,年月の割りには“浅い”付き合いである。印象としては「そう言われればいつもあいつらのそばにいたよなぁ」と思い出す類の“影の薄い”ダチ。“友達の友達”なのである。

 こんな変な付き合いになってしまったのには訳がある。一方的に弁解させていただくと,それこそチャーリー・ヘイデンの演奏スタイルにあるのだが,チャーリー・ヘイデンは誰とでもすぐに馴染んでしまう“水溶性のベーシスト”。しかも何でもこなす“根っからのオールラウンダー”である。
 そう。“八方美人のスタイルフリー”は,悪く言えば“没個性”。個性炸裂のジャズ界の中に身を置けば必然的に埋もれてしまう。特に魅力を感じないのだから“顔見知り”程度のまま何年も過ぎ去ってしまった。チャーリー・ヘイデンと親友気分の今にして思えば,何とももったいないことをしてきたものだ。

 キース・ジャレットにしてもパット・メセニーにしても,チャーリー・ヘイデンといち早く親友関係を築いたジャズメンは皆,チャーリー・ヘイデンの持つ“順応性”に注目していたのだろう。
 この“溶け込み上手”の才能こそ,バンドの“要”を担うベーシストにとっては,とりわけ重要なポイントである。

 実際,チャーリー・ヘイデンベースは,共演者と音楽について常に対話している。
 チャーリー・ヘイデンのポリシーとは,テクニック云々を超越した次元で音楽そのものを“どう表現するか”にあるように思えてならない。“対話を重ねながら創り上げていく”ハーモニーの中に,一瞬きらめく,チャーリー・ヘイデン・オリジナルの味付けの妙! チャーリー・ヘイデンの加える“隠し味”が後から後から効いてくる。 

 そんな“対話型”のチャーリー・ヘイデンだけに,大人数よりも少人数,そして共演経験が増えれば増えるほど実力を発揮する。その代表作が『BEYOND THE MISSOURI SKY (SHORT STORY)』(以下『ミズーリの空高く』)である。
 『ミズーリの空高く』で,管理人とチャーリー・ヘイデンとの距離が急速に縮まった。ついにチャーリー・ヘイデンの魅力的な特質を目の当たりにし,永遠の友になれた気がした瞬間であった。

 『ミズーリの空高く』は,チャーリー・ヘイデンパット・メセニーによる,アコースティックデュオCD
 20年来の付き合いを持つ2人が,数年間2人きりで構想について語り合い,練り上げてきた。結果,当然のごとく“大傑作”の誕生である。
 しかしそれでは言葉が足りない。これはジャズを越え音楽をも越えた“崇高な作品”と呼ばれて然るべきである。

 『ミズーリの空高く』を1枚最後まで聴き終えるまでもなく1曲目から終始“魂を揺さぶられっぱなし”。
 いつしか「自然って,地球って,宇宙って素晴らしい」。普段考えることの少ない「人生の本質を問われたかのような」感覚に陥ってしまう。本当はもっとじっくりと考えねばならない大切な事があるはずなのに…。そのことに十分気付いているはずなのに…。人間って何て愚かけかなのだろう…。

 幸せだった子供時代の記憶が鮮明によみがえってくる。故郷や家族への愛が呼び覚まされる。そう言えば子供の頃って「ボーッ」と雲を眺めているのが好きだったよなぁ。明日,久しぶりに原っぱ横になってみるか…。
 ウッド・ベースアコースティック・ギターの音色が,自分では手を伸ばしても決して届かない「心の琴線」にまで達し“優しく撫で回してくる”。うれしい。このままずっと聴き続けていたい。音楽に心の底から感動している肌触りが残る。

BEYOND THE MISSOURI SKY (SHORT STORIES)-2 この全ては『ミズーリの空高く』を支配する“音の空間美”のせいであろう。
 元来,パット・メセニーの音楽はどれも映像的であるのだが『ミズーリの空高く』は,まだ見ぬ『ミズーリの空』を,なぜだか明確に思い浮かべることが出来る。ジャケット写真の“黄色の雲”を遠い昔の記憶として懐かしく感じてしまう。
 この不思議な感覚は何? まるで上質な映画を観ているような気持ちになる。この辺りが『ミズーリの空高く』に付け足されたサブタイタル=『ショート・ストーリー』の所以であろう。

 不要な音を徹底的に削ぎ落とし,本当に必要な一音勝負に出た“音の映像作家”パット・メセニー。そのパット・メセニーの音世界をキャッチし,音のパレットを共有しながら色付けに励むチャーリー・ヘイデン。2人がついに完成させたのが“音の空間美”そして“静寂のハーモニー”である。
 暖かい音色と美しい響きを伴って,静かにゆっくりと音が,時が流れていく。幸福の本質とは何なのかを問いかけながら…。

 “対話型”のチャーリー・ヘイデンは『ミズーリの空高く』において,共演者のパット・メセニーだけではなく,管理人にも“対話”を投げかけてきた。
 チャーリー・ヘイデンに返す言葉はすでに準備できている。しかしその言葉は,もうしばらく,管理人の心の内にしまっておこうと思う。言葉を発した瞬間に『ミズーリの空高く』の美しさが色褪せてしまうようで怖くなる。やっと掴んだ幸せが,するりとこぼれ落ちてしまいそうで怖くなる。

 言葉を越えた音楽がある。『ミズーリの空高く』はそんな1枚である。

  01. Waltz for Ruth
  02. Our Spanish Love Song
  03. Message to a Friend
  04. Two for the Road
  05. First Song (for Ruth)
  06. The Moon Is a Harsh Mistress
  07. The Precious Jewel
  08. He's Gone Away
  09. The Moon Song
  10. Tears of Rain
  11. Cinema Paradiso (love theme)
  12. Cinema Paradiso (main theme)
  13. Spiritual

(ヴァーヴ/VERVE 1997年発売/POCJ-1365)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/チャーリー・ヘイデン,パット・メセニー,成田正)

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SPELLBOUNDSPELLBOUND
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イン・ラインIN LINE
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