アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2008年07月

渡辺 香津美 / パーフェクト・リリース / シティ4

 『PERFECT RELEASE』の4曲目は【シティ】。


 【シティ】の圧倒的な“グルーヴの渦”に今夜も呑み込まれてしまった。まただ。【シティ】はフュージョンの枠を完全に越えてしまっている。ではビル・ブラフォードジェフ・バーリンの畑=プログレかと言うとそうでもない。前衛的ではあるが難解ではない。う〜ん。やっぱり“グルーヴ”と呼ぶのが一番ふさわしいと思う。

 イントロとアウトロでの“決め”以外は,渡辺香津美がシャープなカッティングなのにプログレ・フレーズで豪快にアドリブを決めていく! レビューに書き起こすとすれば膨大な量に膨れ上がるであろう細かな表情の変化が複合的に進展するのだが,この全てがメロディアス! 印象としては“スッキリ”とした一本の有機的なギター・ラインが“お見事”である。 

 そしてこのギター・ラインに輪をかけて絡みつくベース・ライン! これは16ビートのアンサンブルである。8ビートを叩き出しているはずのドラムでさえ16ビートに感じてしまう。
 そう。【シティ】は,ギター・トリオの完璧なる16ビートのアンサンブル! う〜ん。イッツ“グルーヴ”!

KAZUMI WATANABE : Guitar, Guitar-Synthesizer
JEFF BERLIN : Electric Bass
BILL BRUFORD : Electric Drums, Drums, Percussion

スタン・ゲッツ & ジョアン・ジルベルト / ゲッツ/ジルベルト / DORALICE4


 『GETZ/GILBERTO FEATURING ANTONIO CARLOS JOBIM』の2曲目は【DORALICE】(以下【ドラリセ】)。


 『ゲッツ/ジルベルト』の中では人気薄の【ドラリセ】であるが,この地味さ加減がジャズ・ファンにはかえって大受けである。そう。管理人も多分に洩れず,スタン・ゲッツの“ジャズ・サンバ”を堪能したい時には,迷わず【ドラリセ】を選曲してしまう。

 1分25秒から1分強のアドリブが最高にスイングしている! スタン・ゲッツクール・テナーに,ミルトン・バナナジョアン・ジルベルトが創り出すボッサの“乾いた”リズムが“ほんのり”遠くで鳴り続ける。この“阿吽の”距離感がスタン・ゲッツをいつになく本気にさせている。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

STAN GETZ : Tenor Sax
ANTONIO CARLOS JOBIM : Piano
JOAO GILBERTO : Guitar, Vocal
TOMMY WILLIAMS : Bass
MILTON BANANA : Drums
ASTRUD GILBERTO : Vocal

メデスキ,マーチン&ウッド / トニック / RISE UP5


 『TONIC』の5曲目は【RISE UP】(以下【ライズ・アップ】)。


 【ライズ・アップ】は,ピアノ・トリオ=メデスキ,マーチン&ウッドの本領発揮! 【ライズ・アップ】は“正統派”ブルース,ニューオーリンズ・ジャズである。

 勿論,メデスキ,マーチン&ウッドが,正統派としての演奏を,ニューオーリンズ・ジャズを忠実に演ろうと務めても,個性が“プンプン”臭っている。
 お行儀良く演奏しようと頑張る姿の滑稽なこと。5分と正座していられないメデスキ,マーチン&ウッドに“ニヤニヤ”してしまう。

 アプローチはどうあれ,正統派の演奏も超強烈。ジョン・メデスキのクールなピアノにしびれてしまう。
 特筆すべきは,ライブならではのベース・ソロとドラム・ソロ! これは名演である。「古典と最先端のミックス」が,MMWのリズム・セクションである。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MEDESKI, MARTIN & WOOD
JOHN MEDESKI : Piano, Melodica
BILLY MARTIN : Drums, Percussion, Mbira
CHRIS WOOD : Bass

アート・ファーマー / おもいでの夏 / MANHA DO CARNAVAL4

 『THE SUMMER KNOWS』の2曲目は【MANHA DO CARNAVAL】(以下【カーニバルの朝〜「黒いオルフェ」】)。


 アート・ファーマーの【カーニバルの朝〜「黒いオルフェ」】は超個性的! ボサノヴァ → ジャズへの早着替えは「モー娘。」もビックリの早技である。

 “ボッサピアノ・トリオの演奏に,37秒からアート・ファーマーフリューゲル・ホーンがフィル・インするのに合わせてサム・ジョーンズベースがブレイク!
 サム・ジョーンズの猛アタックが“ゆったりめ”で入ったアート・ファーマーアドリブを徐々にヒート・アップ! このフリューゲル・ホーンは,完全なる「トランペッター」の音である。

 2分27秒から始まるシダー・ウォルトンアドリブに合わせて,今度はビリー・ヒギンズドラムがブレイク!
 ビリー・ヒギンズのスティックさばきが,シダー・ウォルトンの“ジャズメン魂”に火をつけた。ボサノヴァジャズを融合させた,シダー・ウォルトン渾身のピアノソロが素晴らしい。

 5分4秒からはアート・ファーマーの“カデンツァ”も飛び出し,カーニバルの幕は下りていく!

ART FARMER : Fluegel Horn
CEDAR WALTON : Piano
SAM JONES : Bass
BILLY HIGGINS : Drums

小林 香織 / ファイン / GRACE4

 『FINE』の6曲目は【GRACE】(以下【グレース】)。


 【グレース】は,小林香織の“ピュアな”感性が素直に溢れ出たバラード。健全にフュージョン・サックスだけに打ち込む,巷のアイドル以上にアイドルらしい「清く正しく美しい」私生活が“ピュアな”アルト・サックスの音色から伝わってくる!

 【グレース】は,小林香織から他界した祖母へのレクイエムであるが,悲しさよりも喜びいっぱい! 愛する祖母との楽しい思い出が喪失感を埋め,悲しみに打ち勝っていく! これぞ「希望のレクイエム」である。

 3分41秒からのアドリブは,一人浜辺で黄昏ながら祖母と交わす会話のようである。小林香織が届かぬ思いを,強がった様子を隠そうと“クール”に,でも精一杯伝えようと“もがいている”。祖母からの答えは“そよ風”のよう。優しくほほを撫で返す。

 聴き逃せないのは,1分52秒からの間奏である。祖母の“そよ風”は,実は大御所4人による演出であった。笹路正徳土方隆行岡沢章村上“ポンタ”秀一の4人が,小林香織の最高のサポーター役に徹している。
 アルト・サックスと見事に溶けあう大御所4人なら,きっと業界中の悪い虫からも保護してくれることでしょう。あっ,赤ずきんちゃんの中でのおばあさんはオオカミでしたね。もしかして? 逃げろ,かおりん!

KAORI KOBAYASHI : Alto Sax
MASANORI SASAJI : Keyboards
TAKAYUKI HIJIKATA : Guitar
AKIRA OKAZAWA : Bass
SHUICHI "PONTA" MURAKAMI : Drums

チャーリー・ヘイデン & パット・メセニー / ミズーリの空高く / MESSAGE TO A FRIEND5

 『BEYOND THE MISSOURI SKY (SHORT STORY)』の3曲目は【MESSAGE TO A FRIEND】(以下【メッセージ・トゥ・ア・フレンド】。


 【メッセージ・トゥ・ア・フレンド】は,99%パット・メセニーの音世界である。しかし決定的な1%のインパクト,それがチャーリー・ヘイデンウッド・ベースにある。

 繊細で奥深い2人だけの会話。【メッセージ・トゥ・ア・フレンド】を聴く限り,チャーリー・ヘイデンギターを弾き,パット・メセニーウッド・ベースを持っても成り立つであろう“ディープな”交歓の音世界が構築されている。
 そう。パット・メセニー作の【メッセージ・トゥ・ア・フレンド】をチャーリー・ヘイデンが,作者=メセニー以上に理解し“芸術”の域にまで昇華させている。

 その瞬間が,3分1秒からのチャーリー・ヘイデンベース・ソロ! これはあたかもパット・メセニーチャーリー・ヘイデンに乗り移ったかのようなベース・ソロ。ベーシストパット・メセニーが弾いたであろうベース・ソロなのである。真に2人が同化した“奇跡の瞬間”の記録であろう。

 さて【メッセージ・トゥ・ア・フレンド】は,パット・メセニージョン・スコフィールドとの共演盤『I CAN SEE YOUR HOUSE FROM HERE』の収録トラック。
 管理人はてっきり【フレンド】=ジョン・スコフィールドのことだと思っていたが,ライナーノーツによると【フレンド】の真実はチャーリー・ヘイデンとのこと。まさか他の人との共演盤でラブコールを贈っていたとは…。

 夢はかなう! おめでとう・パット・メセニー! HAPPY・パット・メセニー

CHARLIE HADEN : Bass
PAT METHENY : Acoustic Guitars and all other instruments

スパイロ・ジャイラ / ライツ・オブ・サマー / SHANGHAI GUMBO5


 『RITES OF SUMME』の4曲目は【SHANGHAI GUMBO】(以下【上海ガンボー】)。


 【上海ガンボー】は“HAPPYで爽やかな”フュージョン・ナンバー。
 マーチング・ドラムベースが絡みつき,そのままデイヴ・サミュエルズヴァイブトム・シューマンキーボードによるユニゾンへと突入! この部分の“コロコロ感”がたまらない。一気に気分は南国リゾート=スパイロ・ジャイラの“王道”ソングである。

 そんな「トレード・マーク」的演奏の中にあって,管理人は1分0秒から18秒間のスパイロ・ジャイラの「裏定番」的フレーズが大好物! J−フュージョン風の親しみやすさが身体全体に浸透していく!
 一昔前の内輪ネタであるが「スパイロ・ジャイラ=J−フュージョン・バンド説」を唱える友人がいて,その影響なのか,はたまたそれに対する反発なのか,スパイロ・ジャイラのNYライクで日本ライクで南米ライクな音楽をこよなく愛するようになった。そうして掴んだ,愛すべきスパイロ・ジャイラの「裏定番」がここにある!

 ラストは「スパイロ・ジャイラ=J−フュージョン・バンド説」の信奉者へと心傾いてしまうような,フリオ・フェルナンデスアドリブが熱い。芯が火照っている。うねっている。タイフーンではなくハリケーンなのである。

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SPYRO GYRA
JAY BECKENSTEIN : Saxophones, Synthesizer
TOM SCHUMAN : Keyboards
DAVE SAMUELS : Vibes, Marimba, Percussion
JULIO FERNANDEZ : Guitars
OSCAR CARTAYA : Bass
RICHIE MORALES : Drums, Percussion

上原 ひろみ / ブレイン / WIND SONG4

 『BRAIN』の3曲目は【WIND SONG】(以下【ウインド・ソング】)。


 【ウインド・ソング】には“ひろみメロディ”が詰まっている。“ひろみメロディ”とは,上原ひろみが音楽理論抜きに語る“感情の言葉”のことである。

 バークリー音楽院で作編曲を学んだ上原ひろみは,頭の中で完璧な音楽を創造できる。言葉以上に音符の方が自分の気持ちを伝えやすいのではなかろうか?
 しかし上原ひろみの音楽表現の本質は,彼女の感情表現そのものである。音符を越えた感情,音符になる直前にピアノから飛び出すフレーズにこそ,上原ひろみの“感情の言葉”が詰まっている。

 1分55秒から数秒間のテーマの再演を聴いてほしい。ここでのフレーズは整然と音符化されたイントロからのテーマとは異なる。作曲時のインスピレーションそのままに手が動いている! その流れで続くアドリブでの飛翔感! これが羽毛のように“ふわふわと”軽く優しく舞い上がる!
 空高く舞い上がった羽毛が引力により落下する様子を捉えたのが【ウインド・ソング】の聴き所! 一枚一枚,風に吹かれて表情を変化させる“ピアノの羽毛”が実にお見事! 読者の皆さんにも“ひろみメロディ”=オセンチ・バラードの“感情の言葉”にどっぷりと浸かってみてほしい。きっと泣けると思います。

HIROMI UEHARA : Piano, Keyboards
TONY GREY : Bass
MARTIN VALIHORA : Drums

メデスキ,スコフィールド,マーチン&ウッド / アウト・ラウダー / TEQUILA AND CHOCOLATE5


 『OUT LOUDER』の4曲目は【TEQUILA AND CHOCOLATE】(以下【テキーラ・アンド・チョコレート】)。

 
 【テキーラ・アンド・チョコレート】のタイトルが実にふさわしい! 【テキーラ・アンド・チョコレート】は大人と子供のおもちゃ=人生における楽しみの半分である。

 1分11秒でエレキ・ギターが鳴り始めるまで,イントロからのフラメンコ・フレーズが,クリス・ウッドの高速ベース・ソロなのか,ジョン・スコフィールドギター・エフェクトなのか判断に迷う見事な同化ぶり! メデスコ〜!
 33秒でのアコーディオン風のオルガンといい【テキーラ・アンド・チョコレート】のキーワードは“スペイン”である。

 演奏が進むにつれ,段々と描く世界がダークになりつつ“テキーラ色”を帯びてくる。そう。ビター・スイートのチョコレート! この批評文は食べたものにしか分からない。聴かないことには正しく意味が伝わらない。やっぱり【テキーラ・アンド・チョコレート】なのである。

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MEDESKI, SCOFIELD, MARTIN & WOOD
JOHN MEDESKI : Keyboards
JOHN SCOFIELD : Guitars
BILLY MARTIN : Drums and Percussion
CHRIS WOOD : Basses

チェット・ベイカー / チェット・ベイカー&クルー / HALEMA4

 『CHET BAKER & CREW』の3曲目は【HALEMA】(以下【ハレマ】)。


 【ハレマ】は“朗々とした”聴かせる演奏に終始している。このソフトなハーモニーが絶品のテーマにベスト・マッチ。明るい哀愁の世界を構築している。

 1分31秒からのフィル・アーソテナーソロが“鼻歌”ならば,2分14秒からのボビー・ティモンズピアノソロは“小粋な”アドリブで見事にスイングしている。

 【ハレマ】におけるチェット・ベイカートランペットは,概ねマイク替わりの道具である。
 チェット・ベイカーのフレーズは,もろボーカルそのまんま。絶品のユニゾン・パート以外は歌った方が早かったような…。

CHET BAKER : Trumpet
PHIL URSO : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JIMMY BOND : Bass
PETER LITTMAN : Drums

アキコ・グレース / 東京 / PRELUDE~KAGOME KAGOME(SHORT VERSION)4

 『TOKYO』の1曲目は【PRELUDE~KAGOME KAGOME(SHORT VERSION)】。


 『カゴメカゴメ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に…』。そう。アキコ・グレースこそ,2002年に世界へと飛び出した,籠(J-ジャズ界)の中の鳥!

 【PRELUDE~KAGOME KAGOME(SHORT VERSION)】でのアキコ・グレースは,特にメロディを崩すでもなく素直にピアノを響かせていく。しかしこの演奏が完全に“ジャズ”している!
 童歌なのに大人の語り口だからかなぁ。掴みはOKである。

AKIKO GRACE : Piano
KIYOTO FUJIWARA : Bass
TAPPY IWASE : Drums

チック・コリア・エレクトリック・バンド / トゥ・ザ・スターズ・ツアー・エディション / CHECK BLAST4

 『TO THE STARS TOUR EDITION/DISC 1』の1曲目は【CHECK BLAST】(以下【チェック・ブラスト】)。


 【チェック・ブラスト】をもって,新生チック・コリア・エレクトリック・バンドがスタートするということもあり,全員の気合いの入ったプレイが楽しめる。
 1分31秒から始まるソロ回しが入っているのは,メンバー全員の自己紹介を兼ねてのことであろう。

 とは言え【チェック・ブラスト】の聴き所は「バンド」として息のあったユニゾンにある。ソロ回し直後から始まる,2分19秒以降の演奏は「バンド」としての彼らからの自己紹介である。

CHICK COREA ELEKTRIC BAND
CHICK COREA : Keyboards, Piano
FRANK GAMBALE : Guitar
ERIC MARIENTHAL : Sax
JOHN PATITUCCI : Bass
DAVE WECKL : Drums

山中 千尋 / ラッハ・ドッホ・マール / MODE TO JOHN4

 『LACH DOCH MAL』の10曲目は【MODE TO JOHN】(以下【モード・トゥ・ジョン】)。


 【モード・トゥ・ジョン】は,山中千尋トリオが捧げるジョン・コルトレーンカルテット”へのオマージュ

 山中千尋ジョン・コルトレーンへの思い入れが,マッコイ・タイナーのそれを上回る! ラリー・グレナディアジェフ・バラードも気迫溢れる大熱演で山中千尋へ追随する。このピアノ・トリオの疾走感は黄金カルテット以上である。
 ジョン・コルトレーンカルテットがメインストリーム・ジャズの洗礼を浴びると【モード・トゥ・ジョン】のような“ハード・バップ”テイストになるのだろう。

 山中千尋トリオの全員が,もう“メチャメチャ”演奏している。もろモードなのだが,どう聴いてもハード・バップな演奏へと駆り立てた動機こそ,ただただジョン・コルトレーンへのオマージュ! 山中千尋トリオの全員がジョン・コルトレーンカルテットに参加していたかのような錯覚を覚える。

 山中千尋アドリブが凄い! 明らかに前後の文脈とは異質な,2分47秒から49秒までのフレーズでは,一瞬トランスしたのだろうか? モードピアノの権化と化した“バッパー山中千尋の“恍惚の”表情を思い浮かべてしまう。

CHIHIRO YAMANAKA : Piano
LARRY GRENADIER : Bass
JEFF BALLARD : Drums

ランディ・ブレッカー・ウィズ・マイケル・ブレッカー / サム・スカンク・ファンク / SHANGHIGH4


 『SOME SKUNK FUNK』の3曲目は【SHANGHIGH】(以下【シャンハイ】)。


 【シャンハイ】は,WDRビッグ・バンドだからできた,ラテン・フルバン・ナンバー! いや,正確には「ピーター・アースキンだからできた」の誤りである。

 ドラマーピーター・アースキンスタンケントン楽団出身,ジャコパスの『ワード・オブ・マウスビッグ・バンドにも“ご指名”で参加した,ビッグ・バンドの“要”である。
 ウェザー・リポート時代に“カリプソの洗礼”を浴びてきたピーター・アースキンだけに,ラテン・フルバン・ナンバーはお手のもの! “トーンのニュアンス勝負に出た”ランディ・ブレッカーは別格として,軽快にWDRビッグ・バンドホーン・セクションを右手の中で操っていく。

 ピーター・アースキンと最高のタッグを組んだのが,ジム・ビアードピアノ・ソロ! 4分24秒からのアドリブが“ハッピーな”ピーター・アースキンドラムとシンクロする。

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RANDY BRECKER : Trumpet
MICHAEL BRECKER : Tenor Saxophone
JIM BEARD : Piano & Synthesizer
WILL LEE : Electric Bass
PETER ERSKINE : Drums
MARCIO DOCTOR : Percussion

THE WDR BIG BAND KOLN CONDUCTED BY VINCE MENDOZA

デクスター・ゴードン / デクスター・コーリング / ERNIE'S TUNE4

 『DEXTER CALLING...』の6曲目は【ERNIE’S TUNE】(以下【アーニーズ・チューン】)。


 【アーニーズ・チューン】では,デクスター・ゴードンの中に住む「天使(アルト・サックス)と悪魔(テナー・サックス)」が同時に顔を出している。

 イントロから最高にメローな“デックス節”! バラード・ナンバーではあるが「いいぞ,甘いのもっといけ〜!」と叫びたくなる。
 1分34秒からのビブラートが流れた瞬間“トロトロの骨抜き”にされてしまう。これが“天使”のアルト・サックスデクスター・ゴードン

 2分10秒から突然不穏なテーマが鳴る。ここからケニー・ドリューピアノを“子分”として連れ回す“暗黒の世界”が始まる。
 ケニー・ドリューに“親分登場”のテーマを奏でさせ,自分は一人で縄張り巡り。誰も寄りつかないドス黒さ! これが“悪魔”のテナー・サックスデクスター・ゴードン

 2分40秒からは天使の顔。3分45秒からは悪魔の顔。そしてラストは「ジキルとハイド」の大団円! デクスター・ゴードンの中の悪魔が顔を出さなければ「星五つ」の名演であろうが,それではここまでのインパクトは残らない。良くも悪くも“あの”テナーの鳴りっぷり! デクスター・ゴードンテナー・サックスバラード好きへの“凶器”となり得る。

DEXTER GORDON : Tenor Sax
KENNY DREW : Piano
PAUL CHAMBERS : Bass
PHILLY JOE JONES : Drums

プリズム / UNCOVERED / BIOLOGY'S LIFELINE5

 『UNCOVERED』の1曲目は【BIOLOGY’S LIFELINE】)。


 【BIOLOGY’S LIFELINE】は渡辺建! 渡辺建が今にも歌い出しそうなイントロの入り具合。実際に(ボーカルではなく)フレットレス・ベースで歌い上げている。

 【BIOLOGY’S LIFELINE】の命=1分34秒から4回鳴り続けるフレットレス・ベース・ライン! これがあるから続くフレットレス・ベース・ソロが“映える&映える”!
 管理人の大好物=和田アキラアドリブが始まっても“ギターそっちのけ”で,ベース・ラインで“袖を取る”渡辺建フレットレス・ベースを追いかけてしまう。

 渡辺建は決して早弾きではない。でもこれぞ「日本のジャコ・パストリアス」の異名通りの快演である。

PRISM
AKIRA WADA : Guitars, Guitar Synth
KEN WATANABE : Basses, Bass Synth, Vocal, Secuenser Programing
MANSAKU KIMURA : Drums, Percussion Programing

サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ / セントラル・パーク・ノース / CENTRAL PARK NORTH5


 『CENTRAL PARK NORTH』の6曲目は【CENTRAL PARK NORTH】(以下【セントラル・パーク・ノース】)。


 【セントラル・パーク・ノース】こそ,ブラス・ロック! ブラス・ロックこそ“真の”ジャズ・ロックである!
 【セントラル・パーク・ノース】は,リー・モーガンハービー・ハンコック電化マイルス路線とシカゴやタワー・オブ・パワーをつなぎうる,唯一の“橋渡し”である。

 1分0秒からのエレキ・ベースとエレキ・ギターの“ロック・ビート”に乗った「ブラス隊の大合唱」! これはブラス・ロックへの走りであり,8分9秒以降のメル・ルイスの“ロックン・ドラム”は,電化マイルス登場前夜の“怪しさ”を醸し出している。

 ただし【セントラル・パーク・ノース】の真の聴き所は“ビッグ・バンド・アレンジ”にある!
 2分12秒からのサド・ジョーンズアドリブを活かす“静かなる盛り上がり”は,ブラス・ロック・ファンをも取り込めるパワーに満ちている! “真の”ジャズ・ロックが最強成り!

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THAD JONES=MEL LEWIS JAZZ ORCHESTRA
THAD JONES : Flugel Horn
MEL LEWIS : Drums
SNOOKY YOUNG : Trumpet
JIMMY NOTTINGHAM : Trumpet
RICHARD WILLIAMS : Trumpet
DANNY MOORE : Trumpet
EDDIE BERT : Trombone
JIMMY KNEPPER : Trombone
BENNIE POWELL : Trombone
CLIFF HEATHER : Trombone
JEROME RICHARDSON : Sax
JERRY DODGION : Sax
EDDIE DANIELS : Sax
JOE FARRELL : Sax
JOE TEMPERLY : Sax
BARRY GALBRAITH : Guitar
SAM BROWN : Guitar
ROLAND HANNA : PIANO
RICHARD DAVIS : Bass & Fender

チャールス・ロイド / フォレスト・フラワー / EAST OF THE SUN5

 『FOREST FLOWER』の5曲目は【EAST OF THE SUN】(以下【イースト・オブ・ザ・サン】)。


 【イースト・オブ・ザ・サン】を聴けば,その当時,飛ぶ鳥落とす勢いで一世を風靡した「チャールス・ロイド・カルテット」の人気の秘密が理解できる。そう。【イースト・オブ・ザ・サン】は,名手4人の“濃密な絡み合い”が圧巻の大名演である。

 “早口でまくし立てる”チャールス・ロイドテナーサックスが疾走する! これは凄い。どれほどの凄さかと言うと,あのキース・ジャレットが1分4秒,1分47秒,2分39秒で自分のソロでもないのに唸り声を上げている。
 2分14秒から33秒までの大ブローは,チャールス・ロイドにしては珍しいトーン。聴き応えがある。

 4分46秒からのキース・ジャレットの高速アドリブが実に素晴らしい! あのパッセージを浴びせられたロイドマクビージャックの3人も“悶絶”しながらよく演奏を続けられたものだ。

 アクロバティックで予測不能な熱演が続くが,最後には“キッチリ”まとめ上げる,これぞキース・ジャレットの構成力! 全部いいが,とりわけ6分17秒以降のギミックな感じが素晴らしい!

 7分24秒からのベースソロは,セシル・マクビーの個性が炸裂している。
 テーマを独演しつつ次第にスライドを絡めたアドリブへと突入するのだが,8分21秒以降の“弦の響き”が超ユニーク! 腰をくねらせのたうちまわり,ついにはとろけてしまう。

 しか〜し【イースト・オブ・ザ・サン】最大の聴き所は,ラスト10分19秒からのわずか3音! 普段は“天才”キース・ジャレットの陰に隠れがちなチャールス・ロイドであるが,あの瞬間に至っては「チャールス・ロイド・カルテット」のリーダーは,間違いなくチャールス・ロイド“その人”である!

CHARLES LLOYD : Tenor Sax, Flute
KEITH JARRETT : Piano
CECIL McBEE : Bass
JACK DeJOHNETTE : Drums

Saya / TIMELESS / TIMELESS4

 『TIMELESS』の13曲目は【TIMELESS】(以下【タイムレス】)。


 時間を忘れて【タイムレス】。時代を超えて【タイムレス】。
 争いを忘れ,国境を越え肌の色を越え人種を越え言語を越え,大空へと響き渡る「祈り」にも似たピアノの音色…。Saya

SAYA : Piano

渡辺 貞夫・ライヴ・アット・ブラバス・クラブ・'85 / パーカーズ・ムード / BIRD OF PARADISE4

 『PARKER’S MOOD』の7曲目は【BIRD OF PARADISE】(以下【バード・オブ・パラダイス】)。


 【バード・オブ・パラダイス】は,渡辺貞夫の愛奏曲! “明るく軽快に”ナベサダお気に入りのイケメンたちと,大好きなパーカー節を吹き上げる! そう。【バード・オブ・パラダイス】は,聴衆のための演奏ではなく,ナベサダ自身の「ノビノビ&リラックス・プライム・タイム」である。

 渡辺貞夫アドリブは,チャーリー・パーカーの“完コピ”なのかもしれないが,それでもコピーを越えた感動がある! コピー“できる”その喜びに溢れた演奏である。きっと観客たちも“全てを承知で”渡辺貞夫の「チャーリー・パーカー・リサイタル」を暖かく見守ったことだろう。

 渡辺貞夫の喜びが,会場全体に伝染していく。4分13秒からのジェームス・ウィリアムスアドリブが「陽」7分18秒からのチャーネット・モフェットアドリブも「陽」。生のパーカー節を知る者と知らざる者,相互の“強み”が交錯している。

SADAO WATANABE : Alto Sax
JAMES WILLIAMS : Piano
CHARNETT MOFFETT : Bass
JEFF WATTS : Drums

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