アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2009年04月

アート・ファーマー / おもいでの夏 / I SHOULD CARE4

 『THE SUMMER KNOWS』の6曲目は【I SHOULD CARE】(以下【アイ・シュッド・ケア】)。


 【アイ・シュッド・ケア】の名演は多いがピアノものばかり? このトラックでもシダー・ウォルトンが大活躍している。しかし“本命のテーマ”はアート・ファーマーが奏でている。
 うん。フリューゲル・ホーンで聴く【アイ・シュッド・ケア】に俄然惹かれてしまった。

 アート・ファーマーシダー・ウォルトンのテンションの異なること! イントロから全力で飛ばすシダー・ウォルトンピアノは,他の【アイ・シュッド・ケア】の名演を意識したもの? 完全に自分の世界に没入し,過去のピアニストたちとの「力比べ」を聴かされているようで…。 

 アート・ファーマーはと言うと,シダー・ウォルトンの熱演など意に介さず,マイペースの“鼻歌チック”な小唄を歌っている。これがいい〜。やっぱり【アイ・シュッド・ケア】は,軽くさわやかな演奏がいい〜。

 3分16秒からのサム・ジョーンズのピチカート・ソロは,アート・ファーマーシダー・ウォルトンとはまた別の意味で聴き応えがありますよっ。こちらも名手ですよね〜。

ART FARMER : Fluegel Horn
CEDAR WALTON : Piano
SAM JONES : Bass
BILLY HIGGINS : Drums

上原 ひろみ / ブレイン / BRAIN4

 『BRAIN』の4曲目は【BRAIN】(以下【ブレイン】)。


 【ブレイン】は,上原ひろみ作曲“荘厳な組曲”である。テーマは「迸る感情と冷徹な理性とのせめぎあい」である。

 イントロでの“おもちゃっぽい”シンセ・サウンドに面喰った読者の皆さんは,きっと【ブレイン】好きだと思う。この後に続く,まさかの裏切りの展開,に欠かせない“計算されつくした機械音”。この機械音があとあと,じんわり,効いてくる。

 1分30秒から始まるピアノによるテーマが重い。いきなり眼前に表われた高くそびえ立つ音の大壁がクラシック的な“荘厳な組曲”の理由である。上原ひろみピアノに合わせ,徐々に激しく大地が揺れ動いていく。
 その音の大壁を2分47秒からのシンセサイザーが,する~り,すり抜けると,辿り着いたは“地上のパラダイス”。全てが平安ムードに包まれた音楽のユートピアであった。

 しかし,3分47秒から【ブレイン】のテーマが再び流れ出す。今度の波動はさらに大きい。辺り一面暴風雨で音の高波が襲ってくる。そう。作曲家の鎧を脱ぎ捨てた“ジャズ・ピアニスト上原ひろみアドリブの世界である。
 上原ひろみ・ファンとしては,このピアノのソロ・パートだけは事前に書き上げられたものでなかったことを願う。そう。【ブレイン】は“荘厳な組曲”であって,そこには上原ひろみの予想を超えた,トニー・グレイベースマーティン・ヴァリホラドラムによる見事な熱演が加味されている。管理人が口にする「迸る感情と冷徹な理性とのせめぎあい」とは,上原ひろみの内と外に存在する「ピアノ・トリオに課せられた自由度の幅」のことである。トリオはいつも考える。もっと自由に,いや,完璧に書き上げられた楽曲どおりに…。

 上原ひろみが抱える高尚な内面の葛藤は,アウトロでの“壊れかかったおもちゃ”サウンドで現実の世界へと引き戻される。

HIROMI UEHARA : Piano, Keyboards
TONY GREY : Bass
MARTIN VALIHORA : Drums

寺井 尚子 / BEST / PURE MOMENT5

 『BEST』の6曲目は【PURE MOMENT】(以下【ピュア・モーメント】)。


 【ピュア・モーメント】の美しさは,ヴァイオリンでないと表現できない,という批評はまっとうである。しかし【ピュア・モーメント】の真実は「寺井尚子でなければ表現できない」である。

 この優雅で上質な美しさにため息がこぼれる。もう何も手につかない。このままずっと【ピュア・モーメント】の優しさに包まれていたい。すなわち尚子さまに抱かれていたい,である。

 管理人には【ピュア・モーメント】を奏でる,尚子さまの心臓の鼓動が聴こえる。“ピュアな”心が透けて見える。ここにいるのは白い衣に身をまとった天使そのものである。

 奥山勝ピアノシンセサイザーが,天界への帰還を導いていく。時が来た。寺井尚子が“美のヴァイオリン”で地球への別れを告げていく。
 4分54秒で最高潮を迎えたヴァイオリンに,寺井尚子が恥らっている。しかしどんなに恥らおうとも6分0秒でついに昇天してしまう。管理人は尚子さまの白い着衣を離さないように今も両手で握り締めている。

NAOKO TERAI : Violin
MASARU OKUYAMA : Piano, Synthesizer
TATSUYA IKEDA : Bass
SETSU FUJII : Drums

トニー・ウィリアムス・ライフタイム / エマージェンシー! / SPECTRUM4


 『EMERGENCY!』の6曲目は【SPECTRUM】(以下【スペクトラム】)。


 【スペクトラム】も,曲としての構成はあるのだが,印象としては「ただ熱い演奏がある」のみである。トニー・ウィリアムスが凄い。ジョン・マクラフリンが凄い。ラリー・ヤングが凄いのだ。

 【スペクトラム】の基本は8ビートであるが,途中変則的に4ビートと入り乱れる。このトニー・ウィリアムスドラミングに呼応するギターオルガンの過激なソロ! これが「トニー・ウィリアムス・ライフタイム」の提示するロックなのだろうが“どこまでもジャズ的なアドリブ”に(現代の若者が聴いても面喰うのだから)当時の若者たちは相当面喰ったのではなかろうか?

 【スペクトラム】は,細かく細かく拾っていくべき「価値あるアドリブ集」であるが,聴き込めば聴き込む程,もうどうでもよくなってしまう。疾走する「トニー・ウィリアムス・ライフタイム」の“勢い”が感じられればそれで十分である。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

THE TONY WILLIAMS LIFETIME
TONY WILLIAMS : Drums, Vocal
JOHN MCLAUGHLIN : Guitar
LARRY YOUNG : Organ

ブライアン・ブロンバーグ / ポートレイト・オブ・ジャコ / PORTRAIT OF TRACY5

 『PORTRAIT OF JACO』の1曲目は【PORTRAIT OF TRACY】(以下【トレイシーの肖像】。


 世界一のジャコパス・フリーク=ブライアン・ブロンバーグが,ジャコパスの勝負曲=【トレイシーの肖像】で勝負に出た!

 【トレイシーの肖像】は,ジャコ・パストリアスが夫人へ捧げたフレットレス・ベース・ソロ! このトラックは,フレットレス・ベース一本で世界に革命を起こした「ジャコ・パストリアスの革命」に次ぐ「ブライアン・ブロンバーグの乱」である。

 ブライアン・ブロンバーグは【トレイシーの肖像】をウッド・ベースで奏でている。このアイディアが素晴らしいし,アイディアを形にしたベーシストとしての卓越したテクニックも素晴らしい。
 イントロのハーモニクスを聴いて,この音がウッド・ベースライナーノーツで知った時の大衝撃! 【トレイシーの肖像】の衝撃に終わりはない。

BRIAN BROMBERG : Acoustic Bass, String and Percussion Arranging
TOM ZINK : Piano, Keyboards, Arranging, and String Programming, and Strings Arranging
ALEX ACUNA : Percussion

ブライアン・ブロンバーグ / ポートレイト・オブ・ジャコ5

PORTRAIT OF JACO-1 ジャズメンにとって,トリビュート・アルバムの製作は,そのジャズメンをオマージュとして,自分自身を見つめ直すことである。そのジャズメンからの拭い去れない影響を意識しながら,自分自身のアイデンティティを確立する作業なのである。
 その結果,出来上がったトリビュート・アルバムは「私は誰々からの影響を受けてこんなジャズメンに育ちました」という“自己紹介盤”であって,単なる誰々の楽曲集ではないはずだ。
 しかし,自己紹介にはある種の恥ずかしさがつきまとう。ストレートに,ありのままの自分を語る難しさ…。TVでのものまね芸人よろしく,単なる完コピでは?

 さて,ブライアン・ブロンバーグの『PORTRAIT OF JACO』(以下『ポートレイト・オブ・ジャコ』)である。
 『ポートレイト・オブ・ジャコ』は,現代のベース・マイスターの1人=ブライアン・ブロンバーグによる,ジャコ・パストリアスへ捧げた,正真正銘のトリビュート・アルバムである。

 『ポートレイト・オブ・ジャコ』が凄い。ジャコパスジャコパス“らしい”フレーズは出てこない。しかし,どこを聴いてもジャコ・パストリアス“らしさ”を感じてしまう。
 そう。『ポートレイト・オブ・ジャコ』は,表面上はブライアン・ブロンバーグソロCDであるが,実質的には,ジャコ・パストリアスソロCDだと言い切ってしまおう。

 “サポート・ベーシスト”に徹したブライアン・ブロンバーグの超絶ベースソロは,全編ジャコパスへの愛で満ち満ちている。いいや,ジャコパス愛が溢れ出ている。
 『ポートレイト・オブ・ジャコ』におけるブライアン・ブロンバーグの主張はただ一つ,俺は“世界一”ジャコ・パストリアスが大好きなんだ〜,という叫び声である。

 欧米人は「他人と同じであってはならない」という文化を有している。その上で“ジャコパス丸出しの”トリビュート・アルバムを完成させたことに意味がある。

 思うに,ブライアン・ブロンバーグジャコ・パストリアスを“背負う”決意を固めたのではなかろうか?
 そう。『ポートレイト・オブ・ジャコ』は,ブライアン・ブロンバーグによる「現代のジャコパスへの化身宣言」であろう。管理人はブライアン・ブロンバーグのこの勇気にいたく感動してしまった。

PORTRAIT OF JACO-2 もし,ジャコ・パストリアスが,このメンバー(アレックス・アクーニャボブ・ミンツァー等)と共演したなら,ピッコロ・ベースを,ウッド・ベースを弾いたとしたら…。

 ジャコパス・ファンのその願いをブライアン・ブロンバーグが全て叶えてくれる。ファン最大の願いである,師匠=ジャコ・パストリアスと,弟子=ブライアン・ブロンバーグの共演を一人二役で適えてくれる。

 そう。『ポートレイト・オブ・ジャコ』最大の聴き所は,ジャコ・パストリアスブライアン・ブロンバーグのシンクロにある! ブライアン・ブロンバーグジャコ・パストリアスの“天才”ベーシストを感じてしまう。

  01. Portrait of Tracy
  02. Continuum
  03. Teen Town [bass version]
  04. A Remark You Made
  05. Three Views of a Secret
  06. Tears
  07. Slang
  08. Come On, Come Over
  09. The Chicken
  10. Teen Town [piccolo bass version]

(キングレコード/KING RECORD 2002年発売/KICJ 428)
(ライナーノーツ/ボビー・コロンビー,松下佳男)

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本田 雅人 WITH VOICE OF ELEMENTS / MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS / MANDRAKE4

 『MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS』の8曲目は【MANDRAKE】。


 【MANDRAKE】の聴き所は「ベーシストでメロディメーカーな」須藤満の“豊かな才能”にある。

 須藤満ベーシストとしてのこだわりが8分の6拍子の“軽いビート”で表現されれば,本田雅人ソプラノ・サックスで“クセになる美メロ”が表現されている。

 1分42秒から2分09秒までの松本圭司則竹裕之との3者の絡みが秀逸! J−フュージョンのリズムを牽引してきた,モダン・ビート須藤満の「頭の中」をチラミした思いがする。

MASATO HONDA WITH VOICE OF ELEMENTS
MASATO HONDA : Saxophones, EWI, Flute, Synth-programming
KEIJI MATSUMOTO : Keyboards, Piano, Guitar, Accordion, Synth-programming
MITSURU SUTOH : Bass
HIROYUKI NORITAKE : Drums

ゲイリー・ピーコック,キース・ジャレット,ジャック・ディジョネット / テイルズ・オブ・アナザー / TONE FIELD4

 『TALES OF ANOTHER』の2曲目は【TONE FIELD】(以下【トーン・フィールド】)。


 【トーン・フィールド】には気をつけろ! まだ大丈夫,と思っていると,気付けばいつのまにか,それは深い,スタンダーズ・トリオの“樹海の森”へと迷い込んでしまっているから…。

 【トーン・フィールド】は,本当にゲイリー・ピーコックの書き下ろしであろうか? だとしたらゲイリー・ピーコックは名作曲家である。何度聴いても,直感とインスピレーションによる恐ろしいほど高次元のインタープレイにしか聴こえやしない!

 ところで40秒からのゲイリー・ピーコックベースソロは(自分でも理由が分からないのだが)ジャコ・パストリアスの【コンティニューム】をイメージしてしまう。
 もしや,と思い【コンティニューム】と聴き比べてみたが,管理人の思い過ごしのようである。

 富士の樹海に七不思議があるように「似ても似つかぬ」ゲイリー・ピーコックジャコ・パストリアスの両巨頭がイメージの中でシンクロする! これぞジャズフュージョンの七不思議である。

GARY PEACOCK : Bass
KEITHJARRETT : Piano
JACK DeJOHNETTE : Drums

チャーリー・パーカー / ナウズ・ザ・タイム / CHI CHI (ALTERNATE TAKE)4

 『NOW’S THE TIME』の8曲目は【CHI CHI(ALTERNATE TAKE)】(以下【チ・チ(別テイク)】)。


 【チ・チ(別テイク)】は【チ・チ】での失敗箇所の録り直し。しかしこれが返り討ちにあおうとは…。

 テーマの提示に続く,チャーリー・パーカーアドリブが実に素晴らしい! 事前に書き記されたかのような見事な構成のアルトソロが美しい。美しいと来ればアルトサックスの音色である。声が通る=抜けの良いアルトサックスである。

 その後【チ・チ】とは順番を変わっているが,アル・ヘイグピアノマックス・ローチドラムパーシー・ヒースベースと,全員のソロ回しまでは完璧だった。
 …が,エンディングのラストもラスト,2分37秒で微妙にチャーリー・パーカーアルトが上ずった瞬間「はい,録り直し〜」。

CHARLIE PARKER : Alto Saxophone
AL HAIG : Piano
PERCY HEATH : Bass
MAX ROACH : Drums

チャーリー・ヘイデン & パット・メセニー / ミズーリの空高く / FIRST SONG (FOR RUSH)4

 『BEYOND THE MISSOURI SKY (SHORT STORY)』の5曲目は【FIRST SONG (FOR RUSH)】(以下【ファースト・ソング】。


 ライナーノーツに【ファースト・ソング】が『ミズーリの空高く』の輪郭を成す最重要曲との記述がある。しかしこれは誤りである。
 『ミズーリの空高く』の輪郭を成す最重要曲は【ザ・ムーン・イズ・ア・ハーシュ・ミストレス】であって【ファースト・ソング】は,その前奏曲として位置付けられている。

 【ファースト・ソング】は,チャーリー・ヘイデンの代表曲の再演であり,ファン待望のパット・メセニーとのデュエットときている。これは確かにヘイデン・ファンにとってのビッグ・ニュースである。
 しかし,パット・メセニーとのデュオは,言うなれば“記念碑的な演奏”に終始している。「こんなのもやりましたで〜。パット・メセニーともやってみましたで〜」みたいな…。

 管理人には,スタン・ゲッツデヴィッド・サンボーンによる【ファースト・ソング】の方が“しっくり”くる。【ファースト・ソング】の持つ「悲哀に富んだ情感」は,アコギの名手=パット・メセニーが逆立ちしても「サックスの温もり」にはかなわない。

 そう。【ファースト・ソング】は,チャーリー・ヘイデンパット・メセニー,2人の親友による“記念”であって,そこには残念ながら第三者が入り込む余地は残されていない。

CHARLIE HADEN : Bass
PAT METHENY : Acoustic Guitars and all other instruments

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / モーニン / THE DRUM THUNDER SUITE4

 『MOANIN’』の5曲目は【THE DRUM THUNDER SUITE】(以下【ドラム・サンダー組曲】)。


 【ドラム・サンダー組曲】こそ,ドラマーアート・ブレイキーの真骨頂! 「ナイアガラ爆布」と称された,パワフルでダイナマイトな“野生児のリズム”を思う存分堪能できる。

 アート・ブレイキーにはジャズ・メッセンジャーズとは別のソロ・ワークとして『オージー・イン・リズム』の2枚の「打楽器セッション」があるが,暴言を承知で言い放とう。
 【ドラム・サンダー組曲】は『オージー・イン・リズム』の凝縮盤である。【ドラム・サンダー組曲】さえ聴けば『オージー・イン・リズム』は必要ない。事実,管理人は『オージー・イン・リズム』を中古CD屋へお嫁に出しました。

 思うにアート・ブレイキーのルーツは自称アフリカであっても,ドラミングを聴く限り“和”に近いのでは? 特にバス・タムの豪快なドラム・ロールは“ふんどしにハチマキで汗だくの大太鼓”のそれである。

ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS
LEE MORGAN : Trumpet
BENNY GOLSON : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JYMIE MERRITT : Bass
ART BLAKEY : Drums

デヴィッド・サンボーン / クローズ・アップ / SAME GIRL4

 『CLOSE−UP』の5曲目は【SAME GIRL】(以下【セイム・ガール】)。


 【セイム・ガール】は,とにかく悲しい。涙の出ない,質の異なる悲哀を感じる。このトラックを聴いていると大抵もの思いにふけってしまう。

 デヴィッド・サンボーンアルト・サックスの響きが“雅楽”している。雅楽→武家社会→○尊○卑→【セイム・ガール】?
 ああ,悲しい運命。それでも女性は(いつの時代も)優しく美しい。真に女性は男性に愛されるべきである。

 そう。【セイム・ガール】は,デヴィッド・サンボーンが捧げる,世の女性たちへの哀悼歌,また賛美歌である。

DAVID SANBORN : Alto Sax
MARCUS MILLER : Piano, Keybords

チェット・ベイカー / チェット・ベイカー&クルー / LUCIUS LU4

 『CHET BAKER & CREW』の6曲目は【LUCIUS LU】(以下【ルシアス・ルー】)。


 【ルシアス・ルー】は,肩肘張らない“ほんわか”の名演であろう。ゆるゆるの“脱力系”かな?
 あっ,誤解のないように! ゆるゆるはだるだるではありません。全力投球の抑えではなく,先発投手があれよあれよと9回まで完投してしまうような…。

 3人のリズム隊がグルーヴィ! ボビー・ティモンズピアノがファンキー! ジミー・ボンドの重いベースがウォーキング! ピーター・リットマンドラムが“かっとばしている”! 

 …であるのに,フロントの2人がテーマを奏でている間は,3人笑顔で箸休め。演奏中なのを忘れて横を向き雑談話のタイム・キープ。
 そう。【ルシアス・ルー】は,ウエスト・コースト・ジャズきっての「雨天コールド・ゲーム」である。

CHET BAKER : Trumpet
PHIL URSO : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JIMMY BOND : Bass
PETER LITTMAN : Drums

安藤 まさひろ / メロディー・ブック / SMART BUNNY4

 『MELODY BOOK』の6曲目は【SMART BUNNY】(以下【スマート・バニー】)。


 【スマート・バニー】は,メロディアスなのか激しいのか,両者混在の打込み系ロック・ギター! ソリッドでラジカルなビートとエッジの立ったギターが跳ねているのに,いつしか“じっくり聴き込んでしまう”自分に気付く。ん〜,年季の入った安藤ファンでも【スマート・バニー】の評価を定めるのは難しいのではなかろうか?

 【スマート・バニー】のサビの出来がお見事! しかし全体の印象としては,安藤まさひろインプロヴィゼーションを思わせるダイナミックで自由奔放なロック・ギターに仕上がっている。

 管理人が定める,難曲【スマート・バニー批評はこうだ。【スマート・バニー】で感じる「事前に書き上げられたアドリブ」の正体は,安藤まさひろの“手癖”の影響である。
 安藤まさひろが無意識のうちにギターを弾くと“スクェア・サウンド”になる。きっと以前に聴いている。昔どこかで聴いている。スクェアライブで聴いたギターソロのエッセンスが詰め込まれている。

MASAHIRO ANDOH : Electronic Guitar, Acoustic Guitar
MASANORI SASAJI : Synthesizers, Keyboards

フレディ・ハバード&オスカー・ピーターソン / フェイス・トゥ・フェイス / THERMO4

 『FACE TO FACE』の2曲目は【THERMO】(以下【サーモ】)。


 【サーモ】は聴き所満載であるが,ズバリ,フレディ・ハバードが最後に全部“おいしいところをもっていくさま”を聴いてほしい。

 【サーモ】の最初の聴き所は,クロマチィックなライン・メロディを簡単に弾き倒した3人の名人が,名人の名にふさわしいアドリブを聴かせるソロ回し!

 1番手はフレディ・ハバードトランペットソロ。いつも通りのテクニカル・トランペットが鳴り続ける中,心惹かれるのは,純粋に音楽の本質=創造的なフレージングの妙である。フレディ・ハバードが作るメロディ・ラインは一流作曲家のそれである。
 2番手はジョー・パスギターソロ。絶対的な名演に違いないが,フレディ・ハバードオスカー・ピーターソンの“超絶”にサンドされたジョー・パスが哀れ? ソロの順番がもたらした“不遇のアドリブ”だと思う。
 3番手はオスカー・ピーターソンピアノソロ。まるでアート・テイタムばりのアドリブがお見事! 「あんたが大将」である。

 上記を書き記した上での管理人の結論! 聴き所は5分56秒から6分37秒におけるトランペットソロと,それ以降のオスカー・ピーターソンとのソロ交換における,フレディ・ハバードの超絶フレーズにある!
 フレディ・ハバードのこのアドリブだけで大満足である。そして最後の最後に伸び上がる〜!

FREDDIE HUBBARD : Trumpet
OSCAR PETERSON : Piano
JOE PASS : Guitar
NIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN : Bass
MARTIN DREW : Drums

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