アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2010年02月

小曽根 真 ザ・トリオ / ファースト・ディケイド / WHERE DO WE GO FROM HERE?5

 『FIRST DECADE』の11曲目は【WHERE DO WE GO FROM HERE?】(以下【ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー・フロム・ヒア?】)。


 『トレジャー』でのマイケル・ブレッカーとの共演で名高い【ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー・フロム・ヒア?】こそ「ザ・トリオ」10周年の記念ソング! タイトル通り,これまでの10年とこれからの10年をつなぐ,3人だけの「ザ・トリオ」愛が溢れ出た名演である。

 【ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー・フロム・ヒア?】成功のキーマンは,ジェームス・ジーナスである。小曽根真ピアノクラレンス・ペンドラムも最高に素晴らしい。しかし,小曽根真が「前に出てくるタイプと根底から支えるタイプの中間」と称したジェームス・ジーナスベースが,その言葉通りの存在感! 打ってよし,つないでよしの“恐怖の2番打者”である。

 テーマでのピアノに“そっと寄り添う”ユニゾンもあれば,1分57秒からのベース・ソロが歌う歌う! ジェームス・ジーナスの立ち振る舞いが,名バラード=【ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー・フロム・ヒア?】の感動を何倍にも深めていく! 3人が美しいメロディに浸り酔いしれていく! 【ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー・フロム・ヒア?】は,感動を手で触り鼻で匂うことのできる名バラードである。

THE TRIO
MAKOTO OZONE : Piano
JAMES GENUS : Bass
CLARENCE PENN : Drums, Percussion

ゲイリー・ピーコック,キース・ジャレット,ジャック・ディジョネット / テイルズ・オブ・アナザー / TRILOGY 4

 『TALES OF ANOTHER』の4曲目は【TRILOGY 機曄憤焚次撻肇螢蹈検辞機曄法


 【トリロジー】に,ゲイリー・ピーコックが『テイルズ・オブ・アナザー』で“狙った”コンセプトが如実に表現されている。ゲイリー・ピーコックは『テイルズ・オブ・アナザー』で,三者対等=正三角形のトリオ・ミュージックを作り上げたかったに違いない。

 【トリロジー】は,全編濃密なインタープレイで構成されている。通常聴き手は,演奏の中から自分の好きなジャズメン(または楽器)だけを抜きとって追いかけることができるのだが【トリロジー】は,そうはいかない。と言うか,そんなことしたらもったいない。
 “シッポのつかみ合い”のごとく,3人のソロ・パートには必ず前後の繋がりが“仕掛けられている”。これは凄い。

 3人共に自分の演奏“そっちのけで”他のメンバーの音を聴いている。ゲイリー・ピーコックが,キース・ジャレット・トリオの活動時に常々口にする“勝手に指が動いた”最初のセッションが【トリロジー】ではなかろうか?

 【トリロジー】の主役は時に,ゲイリー・ピーコックベースであり,キース・ジャレットピアノであり,ジャック・デジョネットドラムである。【トリロジー】は“聴けば聴くほど味が出る”例のアレである。

GARY PEACOCK : Bass
KEITHJARRETT : Piano
JACK DeJOHNETTE : Drums

塩谷 哲 & 小曽根 真 / デュエット / HOME5

 『DUET WITH MAKOTO OZONE』の5曲目は【HOME − SATORU SHIONOYA SOLO】。


 塩谷哲が選んだ“小曽根真の一曲”は【ホーム】。仮にタイトルを知らずにこのトラックを聴いたとしても,自然と“家族団らん”の映像が浮かび上がってくるような“心の琴線”に触れるメロディ。【ホーム】は真に名曲である。

 塩谷哲ソロ・ピアノで奏でられる【ホーム】は,優しさで満ちている。こぼれんばかりの涙を溜めて自室へ一直線に帰宅。涙を拭き取った跡がありありの顔を見て,何も聞かずに,ただ抱きしめてくれる。そんな家族。6人家族。そこが【ホーム】。自分の帰る場所がある。

 小曽根真の演奏以上に塩谷哲ピアノにやすらぎを感じる。ゆったりと時間を掛けてサビへと向かう塩谷哲ピアノの音色が心の奥底に染み渡る。リリカルでセンチメンタルなアドリブがいい。
 私生活では一度【ホーム】作りに失敗したソルトも,今やお父さんである。小曽根真のスイート・ホーム → ソルト待望のスイート・ホーム → 独身の管理人にはいつスイート・ホームが訪れるのでしょうか?

SATORU SHIONOYA : Piano

塩谷 哲 & 小曽根 真 / デュエット4

DUET WITH MAKOTO OZONE-1 『DUET WITH MAKOTO OZONE』(以下『デュエット』)は,J−ジャズ界を代表する2人のピアニストソルト塩谷哲と“お兄”小曽根真によるピアノ・デュオ名盤である。

 ラテン〜ポップス〜クラシックなどを背景に“ジャズも演っている”塩谷哲と“ジャズ一筋”の小曽根真。そう。5歳の年齢差以上に2人の経歴には大きな開きがある。
 塩谷哲小曽根真は,ある意味,ジャズ・ファンが連想する“対極”の代表格であろう。熱心なジャズ・ファンであればある程,2人の立ち位置は“離れ離れで”ジャズ・ピアノの“対岸”で暮らしているかのようなイメージを持っていると思う。およそ世の終わりが到来しても共演しそうになかった『デュエット』のリリースに正直,戸惑いを覚えた。

 しかし『デュエット』の最初の一音を聴いて不安が完全に吹き飛んだ! この絶品の相性は何? 2人は天才という“共通項”で遠い昔から結ばれていたに違いない。そうとしか思えない見事な調和ぶりである。

 『デュエット』には,ピアノ・デュオに期待される連弾のくだりはない。
 予想通り?塩谷哲小曽根真のフレーズは全くシンクロしていない。それぞれが自分のスタイルを最後まで貫き通している。

 しかしそれでも音楽が混沌としていないのは,2人の天才が操る“オーケストレーション”に秘密がある。要はピアノの持つ特性を最大限に活用しているのだ。そう。塩谷哲小曽根真は,ピアノの持つ“最大音域の自由”という共通言語で会話している。
 例えるならこうだ。フランス人とブラジル人が英語を使って会話をする。話題が共通の趣味に関することなので,母国語の違いなど問題ではない。言葉の壁にはボディーランゲージがある。

 塩谷哲小曽根真の『デュエット』は,音楽の交歓である。音楽さえあれば2人の間に壁など存在しなくなる。いや,2人が“長年の連れ”に聴こえてくる。
 アプローチは異なれど,塩谷哲小曽根真の間には,共通する“音のモチーフ”が確実に存在している。

 『デュエット』で,塩谷哲小曽根真は“ピアノの義兄弟”の契り?を交わしている。
 “お兄”の小曽根ソルトを上手にリードすれば,すぐにソルトがタッグを組もうと歩み寄る。当の2人はどこまで登り詰められるかを,遊びのごとく感じ,楽しんでいる。一方がアドリブに走った時の,もう一方の伴奏がスリリング。アンサンブルにも様々なパターンが織り込まれている。

 切磋琢磨の繰り返しにより,互いのジャズ・ピアノ度が高まっている。そして時に2台のピアノが1台のピアノに“合体”する時の美しさ…。聴いてこれ程“面白い”ピアノ・デュオはそう多くない。これぞ“プロ中のプロの音遊び”であろう。

 『デュエット』のハイライトは,2人の息詰まるバトルではなく,相手の曲を自分のソロで演奏したトラックである。心からリスペクトする互いの名曲を,作曲した本人の目の前で演奏するのが,もう楽しくてしょうがない様子が音の表情に表われている。
 これらのトラックを聴くにつれ,普段はピアニストとしてもコンポーザーとしても良きライバルである2人が,互いにジャズメンとして最大の敬意を抱いていることが良く分かる。素晴らしい。

 なお,今回の『デュエット』は「塩谷哲名義のビクター盤」と「小曽根真名義のユニバーサル盤」の変則2枚同時リリース。レコード会社の壁を越えた“夢の共同プロジェクト”である。

 仮想2枚組みのCDは,内容からジャケット写真&ブックレットに至るまで『デュエット』の精神が貫かれた作りとなっている。
 選曲は2枚でクロスすることのない親切設計。2枚のCDジャケットを並べると1枚の絵になる芸術設計。2枚ともCDの3曲目に【ヴァルス】ラストに【ミスティ】を配し,チャンネルもレフトが小曽根,ライトがソルトと統一されたのが大殊勲!
 ただし,小曽根盤はSACDハイブリッド盤なのにソルト盤はCD音質なのだが…。

DUET WITH MAKOTO OZONE-2 さて,ソルト盤と小曽根盤の2枚の『デュエット』であるが,これは2枚組ではリリースできない。これが同じステージの音源とは思えないくらい個性が異なっている。

 ソルト盤は“エンジョイ”している。ソルト盤では“ジャズを愛する”塩谷哲小曽根真が楽しめる。ピアノの動きに注意を集中すると,2人がジャズの文法で,でも自分の言語で会話していることがよ〜く分かる。

 最後に,管理人の結論=『デュエット批評

 名盤デュエット』成功の秘訣は,ライブ・レコーディングにある。『デュエット』は,塩谷哲小曽根真2人きりの『デュエット』に違いないのだが,実は隠された大勢の共演者が存在する。

 そう。ピアノ・デュオの極意を知るオーディエンスが,耳を澄ませば,時に聞き入り,時に拍手喝さいを送っている。その聴衆の反応が塩谷哲小曽根真アドリブをさえ導いている。完全なる“触媒役”を果たしている。
 仮に『デュエット』が,同じ選曲でスタジオで録音されたとしても,ここまでエキサイティングなピアノ・デュオとはならなかったことと思う。

 『デュエット』の真意は,演奏者と演奏者の『デュエット』であると同時に,演奏者と観客との『デュエット』でもあった。一心同体と化した2人のピアニストが観客と一体となって『デュエット』する。この“2重構造”が塩谷哲小曽根真の『デュエット』である。

  01. Bienvenidos Al Mundo
  02. Do You Still Care?
  03. Valse
  04. あこがれのリオネジャネイロ - Makoto Ozone Solo
  05. Home - Satoru Shionoya Solo
  06. Lazy Uncle
  07. Spanish Waltz
  08. Misty

(ビクター/JVC 2005年発売/VICJ-61303)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/小曽根真)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)
livedoor プロフィール

セラビー

記事検索
Categories      日本人は五十音順:外国人はアルファベット順
月別アーカイブ
Keith Jarrett Gallery

キース・ジャレット(真田馨子) おんがく日めくり(c) keiko sanada
Pat Metheny Gallery

パット・メセニー(野々口和仁)
(c) Kazuhito Nonoguchi
ジャズ・アフィリエイト
セラビー厳選CD

パリ・コンサートパリ・コンサート
キース・ジャレット

THE WAY UPTHE WAY UP
パット・メセニー・グループ

イン・ア・サイレント・ウェイイン・ア・サイレント・ウェイ
マイルス・デイビス

HEAVY WEATHERHEAVY WEATHER
ウェザー・リポート

BRAINCOOL STRUTTIN'
ソニー・クラーク

MINT JAMSMINT JAMS
カシオペア

HUMANHUMAN
T-スクェア

LEFT ALONELEFT ALONE
マル・ウォルドロン

フル・ハウスフル・ハウス
ウェス・モンゴメリー

ザ・シーン・チェンジズザ・シーン・チェンジズ
バド・パウエル

セロニアス・モンク・トリオセロニアス・モンク・トリオ
セロニアス・モンク

枯葉枯葉
チェット・ベイカー

MOANIN'MOANIN'
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ

BLOWIN' THE BLUES AWAYBLOWIN' THE BLUES AWAY
ホレス・シルヴァー

ウィントン・マルサリスの肖像ウイントン・マルサリスの肖像
ウイントン・マルサリス

メイティング・コールMATING CALL
タッド・ダメロン

Blu-spec CD ジャコ・パストリアスの肖像ジャコ・パストリアスの肖像
ジャコ・パストリアス

ザ・キング・イズ・ゴーンザ・キング・イズ・ゴーン
マーカス・ミラー

FIRST MEETINGファースト・ミーティング
テザード・ムーン

スペシャル・エディションSPECIAL EDITION
ジャック・デジョネット

ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリングYOU MUST BELIEVE IN SPRING
ビル・エヴァンス

ヴァイアティカムVIATICUM
e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)

STEP BY STEPSTEP BY STEP
ステップス

2424
DIMENSION

GANAESIAガネシア
渡辺香津美
カズミ・バンド

FOURPLAYFOURPLAY
フォープレイ

コンプリート・ピック・ヒッツ・ライヴPICK HITS
ジョン・スコフィールド

ニューポートの追想V.S.O.P.
ハービー・ハンコック

アス・スリーUS THREE
ホレス・パーラン

Manhattan StoryBLUE'S MOODS
ブルー・ミッチェル

AFRICAN PIANOOFF TO THE RACES
ドナルド・バード

AFRICAN PIANOAFRICAN PIANO
ダラー・ブランド

Manhattan StoryMANHATTAN STORY
アキコ・グレース

SPELLBOUNDSPELLBOUND
ジョー・サンプル

ランデヴーRENDEZ-VOUS
木住野佳子

RETURN TO FOREVERRETURN TO FOREVER
チック・コリア

BRAINBRAIN
上原ひろみ

イン・ラインIN LINE
ビル・フリゼール

ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニングザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング
マーク・ジョンソン

スインギン・マケドニアスインギン・マケドニア
ダスコ・ゴイコビッチ

タイム・スレッドTME THREAD
小曽根真 & ゲイリー・バートン

フルーツケーキFRUITCAKE
フルーツケーキ

THE DROPPERTHE DROPPER
メデスキ,マーチン&ウッド

Doin' SomethingDOIN' SOMETHING
ソウライヴ

SALT IISALT II
塩谷哲

Dance Your HeartDANCE YOUR HEART
Saya

地球は愛で浮かんでいる地球は愛で浮かんでいる
松永貴志
アンケートボードA

★当ブログについて望むことは?
アルバム単位で批評してほしい
同じ曲をテイク別に批評してほしい
多くのジャズメンを幅広く批評してほしい
一人のジャズメンを掘り下げて批評してほしい
超有名曲をもらさず批評してほしい
発売直後の新作を批評してほしい
初心者を意識したほんわかサイトにしてほしい
マニアを意識したニッチなサイトにしてほしい
オーディオについて批評してほしい



-Mini Vote-
アンケートボードB
How Much Is Your Blog Worth?

My blog is worth
$38,953.26

How much is your
blog worth?

最新コメント
Copyright (C) 2005-2019 アドリブログ All Rights Reserved.