アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2010年03月

小沼 ようすけ / ビューティフル・デイ4

BEAUTIFUL DAY-1 1曲目の【INTRODUCTION】でフェードインし,10曲目【MALIBU −MEMORY OF BEAUTIFUL DAYS−】でフェードアウトする波の音…。
 そう。『BEAUTIFUL DAY』(以下『ビューティフル・デイ』)のコンセプトは「海辺の美しい一日」。サーフィンとジャズ・ギターの融合=自然との対話から産み出された“ナチュラル・グルーヴ”である。
 海,風,太陽…。サーフィンとギタージャズ…。小沼ようすけが数年前から始めたというサーフィンとの出会いが,彼の音楽性を揺り動かしている。

 『ビューティフル・デイ』は,ジャズでもフュージョンでもなく“歌詞のないAOR”である。
 よって『ビューティフル・デイ』を管理人は評価しないが,自然やエコロジーといったオーガニックなフィーリングには“聴き惚れてしまう”。無意識のうちに「海辺の美しい一日」を思い浮かべてしまう。

 波乗りの小沼ようすけが,世界最高峰の“ナチュラル・グルーヴ”に乗っていく。リンカーン・ゴーインズベーススティーヴ・フェローンドラムが,シンプルでステディにグルーヴし,小沼ようすけギターが“ゆったりと情感豊かに”流れていく。休日の昼下がりに読書のBGMとして流すのにうってつけであろう。

 『ビューティフル・デイ』で,アコースティック・ギターのシャワーを浴びると,何もかもが透明になっていく。やがては雄大な海と青い空が一体化していく。心が洗われる気分がする。

 とは言え『ビューティフル・デイ』には,小沼ようすけの“邪念”も録音されている。それがアル・シュミットの起用である。
 そう。“ベンソン・フリーク”である小沼ようすけが,ジョージ・ベンソンのヒット作を手掛け,幾度となくグラミーを受賞しているエンジニアを起用したのだ。
 アル・シュミットだけではない。小沼ようすけの“邪念”は,レコーディング・スタジオにも表われている。LA「キャピトル・スタジオ」。そう。ジョージ・ベンソンが『ブリージン』を録音したスタジオである。もうこれは“職権乱用”の世界である。

BEAUTIFUL DAY-2 サーフィンといいジョージ・ベンソンといい,やりたい放題の小沼ようすけである。公私共に自分の好きなことを心の赴くままに実行したからこそ出せるサウンドがある。

 『ビューティフル・デイ』は“等身大の”小沼ようすけの記録である。趣味のサーフィンのように,自由に風をとらえて,太陽の下,波との会話を楽しんでいるようなCDである。

 なお【初回限定盤】付属のDVDには,小沼ようすけ弾き語りでのトラック批評が楽しめます。もうアドリブログでのトラック批評は不要? いえいえ?

  CD
  01. Introduction
  02. Green
  03. Wind
  04. Ride
  05. Hot Sand
  06. Beautiful Day
  07. Modern Man
  08. Sunset
  09. Affirmation
  10. Malibu -memory of beautiful days-

  DVD
  Yosuke Onuma's Beautiful Day

(ソニー/SONY 2007年発売/SICP-10093-4)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
(ライナーノーツ/小沼ようすけ)
★【初回限定盤】 SACD HYBRID+DVD

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カシオペア / ジャイヴ・ジャイヴ5

JIVE JIVE-1 管理人の中で年々評価を下げてきたのが『フォトグラフス』なら,年々評価を上げてきたのが『JIVE JIVE』(以下『ジャイヴ・ジャイヴ』)である。
 
 『ジャイヴ・ジャイヴ』は,かつて管理人の中では“訳有り組”であった。『ジャイヴ・ジャイヴ』を初めて聴いた時,かなり凹んだ。例えるなら,自分の好きな女の子が変な髪形をしてきたような…。
 そう。『ジャイヴ・ジャイヴ』には,当時,管理人が大好きだった『フォトグラフス』のカシオペアの面影がなくなっていた。“衝撃のイメチェン”であった。
 当時はまだ“純な”中学生だった管理人には『ジャイヴ・ジャイヴ』での“激変”ファンク路線がアングラ系に思えてしまって,さぁ大変! 純潔を捨てる覚悟で(大袈裟?)親の目(耳)を盗みながら?『ジャイヴ・ジャイヴ』と向き合ったものだ。あ〜,このくらい真面目だった頃の自分に戻りてぇ〜。

 『ジャイヴ・ジャイヴ』での“衝撃のイメチェン”には訳がある。キーワードは“ロンドン・レコーディング”である。
 『ジャイヴ・ジャイヴ』がレコーディングされた1983年。世界の流行発信地=ロンドンは“音楽トレンドの発信地”でもあった。音楽シーンはブリティッシュ・ロック全盛期! デュラン・デュラン,カジャグーグー,カルチャー・クラブ,スパンダー・バレエ,ワム!
 このメガトン・パワーの勢いはフュージョン・シーンにも飛び火し,シャカタクレヴェル42(ここがポイント,下記に続く)の2強に(イギリスではありませんが)アイスランドのメゾフォルテにオランダのフルーツケーキと欧州全盛期! 最近流行の「ヨーロッパ・ジャズ」などまだまだ青いのだ。
 なぜって? それこそ“島国日本の”フュージョン・バンド=カシオペア・サウンドにまで大きな影響を及ぼしたのだから…。

 『ジャイヴ・ジャイヴ』は,カシオペアを心から愛する日本とロンドンの現地スタッフ「チーム“ファンクカシオペア」による“妥協を排したストイックな音造り”の結晶である。
 ロンドンの高貴さと陰影とが同居した“ジャズ・ファンク”! それが『ジャイヴ・ジャイヴ』の真髄なのである。

 ロンドンの先進性を追求した結果が「MIDI」「ギター・シンセ」「シンセ・ドラム」「リン・ドラム」などのエレクトロニカの導入につながり,ジャズ・ファンクレヴェル42路線を追求した結果が,本格ヴォーカル・ナンバーの導入につながっている(これまではボコーダスキャット止まりだった)。

JIVE JIVE-2 当初はアングラ系とビビッてしまったのは“カワイイ”昔の笑い話。紆余曲折を経て管理人も「チーム“ファンクカシオペア」の仲間入り!
 ジャズ・ファンクと出会う前,美人で明るい正統派の女の子(『フォトグラフス』)が好きだったが,ちょっとミステリアスな女の子(『ジャイヴ・ジャイヴ』)もいいではないか! いや『ジャイヴ・ジャイヴ』のカシオペアこそが最高だ! 
 VIVA! ファンクカシオペア! 好きだ〜! 名盤だ〜!

PS 『ジャイヴ・ジャイヴ』のジャケットの似顔絵は野呂一生作です。ちなみに『ミント・ジャムス』のジャケットのイラストも野呂一生作らしい。野呂一生マイルス・デイビスのようなお方です。

  01. SWEAT IT OUT
  02. IN THE POCKET
  03. RIGHT FROM THE HEART
  04. STEP DAUGHTER
  05. SECRET CHASE
  06. FABBYDABBY
  07. LIVING ON A FEELING
  08. S-E
  09. WHAT CAN'T SPEAK CAN'T LIE

(アルファ/ALFA 1983年発売/VRCL-2210)
(ライナーノーツ/青木誠)
★【初回生産限定盤】ミニLP紙ジャケット仕様

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カシオペア / 4 X 45

FOUR BY FOUR-1 『FOUR BY FOUR』(以下『4 X 4』)とは「カシオペアの4人 VS リー・リトナー・グループの4人」の意。
 そう。『4 X 4』は“我らが”カシオペア初の他流試合=セッションCDである。

 ライナーノーツを読んで驚いた。『4 X 4』の録音時間はわずか9時間であった。いくら“世界の”リー・リトナー・グループとはいえ,来日翌日の,しかもノー・リハーサルという悪条件で,準備万端迎え撃つ,超絶技巧集団=カシオペアとの“ガップリ四つ”! 恐るべしリー・リトナー・グループ! とりわけネーサン・イーストハービー・メイソンのリズム隊は,一音でジンサクを沈黙させる程,重く腰が低いはずなのに手数でも勝っている!
 この『4 X 4』との出会いが,リー・リトナーとの出会いであり,管理人の“フュージョン熱”を(良くも悪くも)加速させた原因だったと思っている。

 ( 以下,管理人の回想シーン )

 ジャズフュージョンを聴いていると(たぶん皆さんも経験あると思いますが)この音は誰の音?という疑問に出くわす。そこへ来ての『4 X 4』。分からない。
 このフレーズは誰が弾いているの? このギター野呂さんなの? リー・リトナーなの? 全く同じ音がする。あれっ,これってツイン・ベースツイン・ドラムだったの? ETC

 湧き上がる疑問を解決するため,ライナーノーツ片手に『4 X 4』のヘヴィー・ローテション!
 しかし8人同時の演奏をいくら聴いたところで当然わかるはずもなく,8人の特徴を“せっせと掴む”ため,再びカシオペア名義のCDの海へ,リー・リトナー名義のCDの海へと飛び込む毎日に没入するのだった…。(完)

 そのような涙ぐましい努力を続け,ついに『4 X 4』の演奏が解読できる日がやって来た。うれしい。その時の感想が上記“ガップリ四つ”! しかしこれはひいきめだったかも?
 学生時代は,カシオペアと互角に渡り合うなんて,と思っていたが,今聴き返すとリー・リトナー・グループのフレーズが“一枚上手”のハイセンス! “受け”に回ったリー・リトナー・グループが“先手”カシオペアの意図通りに合わせている。彼らとしては普通にやっていることなのだろうが実は相当に凄いことなのだと大人になって認識した次第です。恥ずかしい〜。

 そんな思い入れタップリの『4 X 4』の聴き所は,カシオペアのメンバー個々の戦闘力(ミュージシャン・シップ)!
 カシオペアの最大の魅力は「バンド・サウンド」である。個々の超絶技巧が“一丸となって”複雑で高速なユニゾンを奏でる「バンド・パワー」である。
 国内では“向かう所敵なし”のカシオペアの元に,ある日,スタッフが果たし状(企画書)を持ってやってきた。果たし状の中身がタイバンならいつでも受けられる。しかし今回の中身は「バンド対バンド」ではない。カシオペアが勝手知る【GALACTIC FUNK】など6曲を,4人ではなく8人でセッションするのだ。“カッチリまとまりきれない”即席バンドの中に放り込まれた8人のミュージシャン・シップの“熱きソロ・バトル”が聴き所なのである。

FOUR BY FOUR-2 結果はプロデューサー・宮住俊介氏の“狙い通り”8人の個性がブツカリ合い,素晴らしいセッションに仕上がっている。
 相手のフレーズに引っ張られるでもなく,自分の世界に完全没入するでもなく“アイディア豊かで自由なアドリブ”で,互いの顔を研ぎ合ううちに,リー・リトナー・グループの4人の名手に追いつき,追い越さんばかりに“肉薄”している。
 「他流試合で通用する人材になれ」と語ったのは“鉄道の”カシオペアのJRプロデューサーのお言葉であるが“J−フュージョンの”カシオペアの4人は『4 X 4』で「セッションで通用する超一流のジャズメン」となった!

 『4 X 4』の豪華競演盤で“世界に目を向けた”カシオペアの4人は,次作『フォトグラフス』のレコーディングが始まるまでプチ充電期間に入る。野呂一生はインド。向谷実はヨーロッパ(向谷さんの場合は,フュージョンの武者修行を兼ねたメインはヨーロッパの鉄道旅行でした)。桜井哲夫はブラジルとジャマイカ。神保彰はニューヨーク。そう。次なるステージ,目指すは世界だ!

  01. MID-MANHATTAN
  02. PAVANE -Pour Une Infunte Defunte-
  03. TRANSATLANTIC
  04. GALACTIC FUNK
  05. KAUAI
  06. CHANDELIER

(アルファ/ALFA 1982年発売/VRCL-2208)
(ライナーノーツ/野呂一生,宮住俊介)
★【初回生産限定盤】ミニLP紙ジャケット仕様

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カシオペア / アイズ・オブ・マインド5

EYES OF THE MIND-1 『EYES OF THE MIND』(以下『アイズ・オブ・マインド』)は,カシオペア得意の“焼き直し”のリメイク集! これが単なる“焼き直し”で終わらないのがハービー・メイソン・プロデュース!
 野呂一生が影響を認める,ハービー・メイソン流の「音の引き算」にある。

 ハービー・メイソンが,桜井哲夫神保彰の日本最強リズム隊に“手を入れた”結果,カシオペアは世界に通じる「シンプルでパワフルなビート」&「タイトでダンサブルなグルーヴ」を身に着けた。

 この“スカスカな”音に,デビュー当時のキャッチ・フレーズ「スピード,スリル,テクニック」の面影はない。
 野呂一生ライナーノーツの結びで「何となく使用前,使用後みたいなニュアンスも感じる訳ですが,カシオペアは,こんなになりました」と書いていることからすると,このリメイクは自分たちの意に反してのこと?
 楽器を弾き倒したい盛りの若者4人に“おあずけ”を喰わせることができたのは“世界のビッグ・ネーム”ハービー先生の指示だったから?

 【ASAYAKE(SUNRISE)】のリズム・グッドなギターの尻切れトンボ。【TAKE ME】の,野呂一生言うところの「向谷実による琴とピアノをツリ糸で縛って33回振り回したようなサウンドのテーマ」。ラテン・ドーロな【SPACE ROAD】のクイッカーの雄叫びに,カシオペアの“激変”を感じる。

EYES OF THE MIND-2 上記3トラックは失敗だったが,LAに持っていったら“THE”がついて帰ってきたという,いわくつきな【EYES OF THE MIND】と『アイズ・オブ・マインド』のハイライト・トラック=ロックな【BLACK JOKE】の向谷実が素晴らしい。【MAGIC RAY】のメランコリー・ムードの中で流れ出す,野呂一生の“必殺”フレットレス・ギターにフラフラのフワフワ!

 しか〜し,管理人が『アイズ・オブ・マインド』を今でも愛聴する理由は“アレンジャー”ボブ・ジェームスマジック! 例のアレです。

  01. Asayake (Sunrise)
  02. A Place In The Sun
  03. Take Me
  04. Lakai
  05. Eyes Of The Mind
  06. Black Joke
  07. La Costa (Intro)
  08. La Costa
  09. Magic Ray
  10. Space Road

(アルファ/ALFA 1981年発売/VRCL-2225)
(ライナーノーツ/野呂一生)

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カシオペア / メイク・アップ・シティ4

MAKE UP CITY-1 カシオペアを愛し過ぎたがゆえの傷心物語。『MAKE UP CITY』(以下『メイク・アップ・シティ』)には,悲しい思い出しか残っていない。
 過去3作と比較して演奏スタイルの変化は感じないが『メイク・アップ・シティ』で“雰囲気”が激変している。要は“ジャズ寄り”になったのだ。

 『メイク・アップ・シティ』には“渋め(マイナー調)”の楽曲が多く(特にタイトル・ナンバー【メイク・アップ・シティ】が…。アルバムの顔ですからタイトル・ナンバーは明るめの曲でお願いしますよ。宮住さん♪)あの“若気の至り”のカシオペアが“大人の階段を登っていく”感覚を覚えた。近所のお兄さんがいつしか気軽に声を掛けられない大スターに変わってしまったような…。カシオペアとの距離が遠くなったような…。

 そんなカシオペアを愛し過ぎたがゆえの傷心物語ですが,これは管理人の全くの寓話です。
 管理人はカシオペアを『フォトグラフス』で知りました。『フォトグラフス』にハマリ『4 × 4』にハマリ『ミント・ジャムス』に大ハマリ『アイズ・オブ・マインド』にも大ハマリしたのに『メイク・アップ・シティ』にはハマレなかった。

 順調に“鮭の川上り”(カシオペア的に表現すれば【TIME CAPSULE MEDLEY】とか【FLASH BACK MEDLEY】とか)を続けてきたカシオペアとのスーパー・フライトに,初めて頓挫した気持ちを詩に綴ったもの…。

 世評的には『メイク・アップ・シティ』は名盤の誉れ高いですので“がっついていない”カシオペア,もしくは“ジャズ寄り”になったカシオペアも一度は味わってみてください。

 『メイク・アップ・シティ』で急成長を遂げたカシオペアに“伸るか反るか”はあなた次第です。以上。

MAKE UP CITY-2 さて『メイク・アップ・シティ』にも【ジプシー・ウインド】【アイズ・オブ・マインド】の名曲2曲がワン・ツーしているのですが…。
 ここは再び宮住さん。CDタイトルが『ジプシー・ウインド』であったなら(『アイズ・オブ・マインド』は5THのタイトルで使用済)『メイク・アップ・シティ』にも結果ハマレタかもしれないのに…。

PS1 おっと,今では“渋い”【メイク・アップ・シティ】が大好きです。ベーシスト桜井さんだったから,あんな“グルーヴィー仕上げ”になったものと思われます。叶うことなら【メイク・アップ・シティ】のナルチョ・ヴァージョンも是非聴いてみたいと思っています。

PS2 “音にもうるさい”ジャズフュージョン・ファンの皆さんならご存知とは思いますが『メイク・アップ・シティ』は,なんと!「日本初のデジタル・レコーディング」アルバムなんです。いかに当時のカシオペアレコード会社から期待されていたかが分かるというものです。

  01. GYPSY WIND
  02. EYES OF MIND
  03. REFLECTIONS OF YOU
  04. RIPPLE DANCE
  05. LIFE GAME
  06. MAKE UP CITY
  07. PASTEL SEA
  08. TWINKLE WING

(アルファ/ALFA 1980年発売/VRCL-2224)
(ライナーノーツ/竹村淳)

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カシオペア / サンダー・ライブ4

THUNDER LIVE-1 カシオペア初のライブ盤にして神保彰のデビュー盤である『THUNDER LIVE』(以下『サンダー・ライブ』)。

 辛口レビューの格好のネタ満載の『サンダー・ライブ』であるが『サンダー・ライブ』の前に『ミント・ジャムス』を買ってしまったのが運のつき。
 「カシオペアライブ」を持論とする管理人にとってカシオペアライブ盤は『ミント・ジャムス』であり『サンダー・ライブ』は放置プレイ。

 しかし『サンダー・ライブ』なくして『ミント・ジャムス』なし!? 『サンダー・ライブ』の有する“荒さと勢いとエネルギー”というライブの特徴と,スタジオ録音並みの超絶フレーズの高い完成度が『ミント・ジャムス』へと繋がった!?

 『ミント・ジャムス』の“小奇麗な演奏”に対し『サンダー・ライブ』は“洗練前の匂い立つ演奏”。「俺が天下を取る」的な“我の強さ”が聴こえてくる。
 『サンダー・ライブ』の「ギンギラギンなハイ・テクニック至上主義」は,全体のアンサンブル以上に「個人としていかに目立つか」を意識している。

THUNDER LIVE-2 “荒さと勢いとエネルギー”の火付け役はやっぱり新加入の神保彰ドラミングだと思う。
 特に【SPACE ROAD】【BLACK JOKE】の“高速チューンなのにスピードよりも馬力を感じさせる”名ドラミング! 聴けば聴く程ジワリジワリと効いてきます。

 最後に神保彰ドラミングについて一言! 神保彰のアイドルはスティーブ・ガッドだったのでは?

  01. Space Road
  02. Sailing Alone
  03. I'm Sorry
  04. Have A Nice Dream
  05. Black Joke
  06. Midnight Rendevous

(アルファ/ALFA 1980年発売/VRCL-2223)

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カシオペア / カシオペア5

CASIOPEA-1 向谷実が,バンド名をそのままデビューCDのタイトルにした“安直な”CDと紹介する“我らが”カシオペアのデビューCDCASIOPEA』(以下『カシオペア』)!

 しかし“安直な”ネーミングとは裏腹に“凝りに凝った”カシオペア・サウンドは,カシオペア歴代のCD群の中でも“屈指のアレンジ”がまばゆい1枚である。
 秘密はアル・シュミット・マジックにある?(【タイム・リミット】【ティアーズ・オブ・ザ・スター】【ミッドナイト・ランデブー】【ブラック・ジョーク】と何度もリメイクされた“定番曲”が収録されているが,特に【スペース・ロード】は『CASIOPEA』収録テイクが史上最強の「トンガリ」で大好きである)。

 『カシオペア』の聴き所は,メンバー全員の「元気ハツラツ,オロナミンC」的な快演にある。
 狙いはジャケット写真インナー・スリーヴにある,スピード&スリリング! モーター・スポーツのテーマ曲よろしく「限界まで攻めに攻めまくった」快演が実に爽快である。

 カシオペアの“最大の売り”は,世界のコンポーザー=野呂一生の才能爆発にあるのだが,デビュー当時の演奏は「メロディのためのテクニック」というよりも「テクニックのためのメロディ」であって,アドリブと早弾きに命をかける,メンバー全員の“自己顕示欲”が表われている。
 そう。『カシオペア』は,マイクを楽器に持ち替えた,野呂一生向谷実桜井哲夫佐々木隆によるカシオペア版NHK「青年の主張」なのである。 ← ふる〜い。

 キャッチーでメロディアスな野呂一生のメロディ・ラインを,超絶技巧のギターキーボードベースと,ちょっと遅れ気味の?ドラム佐々木隆さん,辛口ですみません。でも私は佐々木隆さんの“ド派手な”シンバル・ワークは神保さんより好きなんですよっ)が“一丸となって”駆け抜ける!
 最初の一音から最後の一音までノン・ストップ! 演奏途中でゲスト参加する,ブレッカー・ブラザーズデヴィット・サンボーンのために特別に用意された“大仕掛けなトラップ”が華麗に機能する! これは「音の大道芸術」作と呼んでもいい。

 「音の大道芸術」=『カシオペア』は,ソロ・パートも含めて相当緻密にアレンジされてからレコーディングを迎えたのではないかと思う。練習を重ね,練りに練られた“完璧なアドリブ”が,今となっては“かわいい”汚点であろう。
 よく出来た感・頑張った感アリアリの“力ずく”で“ゴリ押し”な快演。ミス・タッチなどどこ吹く風で吹き飛ばす“破天荒”な名演である。

CASIOPEA-2 もう2度とカシオペア自身も『カシオペア』のような名盤を生み出せやしない。パット・メセニーが2度と『想い出のサン・ロレンツォ』を作れないのと同様である。
 そう。カシオペアのデビューCDカシオペア』の真実とは,野呂一生向谷実桜井哲夫佐々木隆の“若気の至り”である。「♪あの頃君は若かった〜」。

  01. Time Limit
  02. Tears of The Star
  03. Space Road
  04. Midnight Rendezvous
  05. Far Away
  06. Swallow
  07. Dream Hill
  08. Black Joke

(アルファ/ALFA 1979年発売/VRCL-2201)
(ライナーノーツ/津田明子,藤井英一)
★【初回生産限定盤】ミニLP紙ジャケット仕様

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小沼 ようすけ / THE THREE PRIMARY COLORS4

THE THREE PRIMARY COLORS-1 『THE THREE PRIMARY COLORS』で,管理人の大好きな小沼ようすけが帰ってきた!
 『THE THREE PRIMARY COLORS』は“今をときめく”ベースリチャード・ボナドラムアリ・ホーニッグとのギター・トリオ

 赤の小沼ようすけ,緑のリチャード・ボナ,青のアリ・ホーニッグ。『THE THREE PRIMARY COLORS』(色の3原色・RGB)の実にシンボリックなジャケットの色分けに妙に納得してしまうのもつかの間,若き天才3人の音の3原色がホットに混ざり合い“七色レーザービーム”級の多彩な光が発散している。

 ベーシストが「ジャコ・パストリアスの再来」と言われるリチャード・ボナなので,どうしてもパット・メセニーの『ブライト・サイズ・ライフ』と比較してしまうのだが,1曲目の【FROLICKING】はドンピシャだが,聴き進めるうちに『ブライト・サイズ・ライフ』よりも『トリオ99→00』に近いイメージを抱いてしまったのは管理人だけ?
 つまりギター・トリオの核である,ドラマーアリ・ホーニッグのセンスの良さが浮き出ている! ← この意味が分かるあなたはビル・スチュアートよりもジェフ・バラードがお好きなのでは?(またまた身内ネタですみません)

 『THE THREE PRIMARY COLORS』の録音バランスは完全な小沼ようすけ寄り。リチャード・ボナアリ・ホーニッグの“当代きってのリズム隊”が凄すぎるので,小沼ようすけの“細身のギター”の音量が上がり気味である。

 しかし,この“細身のギター”には訳がある。
 『THE THREE PRIMARY COLORS』から小沼ようすけギター・ピックの使用をやめた。
 小沼ようすけギターを遊びで指弾きするリチャード・ボナを見続けたのがきっかけで,小沼ようすけ自身がフィンガー・ピッキングに転向する決心をしたと言う。流石は“ベース・ギタリスト”と称されるリチャード・ボナである。

THE THREE PRIMARY COLORS-2 小沼ようすけギターの音色が柔らかい。時折聞こえるフィンガー・ノイズの“かすれ音”がセッションの生々しさを伝えてくれる。
 ミスタッチをも呑み込む,小沼ようすけ独特の早弾きが『THE THREE PRIMARY COLORS』に『トリオ99→00』のような“アコースティック”なギター・トリオを感じさせる要因であろう。

 ケニー・バレルジャズ・ギタリストには,音空間の大きいギター・トリオがよく似合う。ギター・トリオなのに,様々な音色が混じり合う大編成を思わせる音・音・音!
 小沼ようすけには『NU JAZZ』で聴かせてくれた,オルガン・ジャズでのグルーヴ路線を期待していたが,フィンガー・ピッキングに転向した現在,意外に小編成ものが合うのかもしれない。

  01. Frolicking
  02. The Lily
  03. Feel Like Makin' Love
  04. She Said She Said
  05. Silence Of The Night
  06. Can We Still Be Friends ?
  07. The Windjammer
  08. Happy Playing Ground
  09. Dawn
  10. Around The Love

(ソニー・ミュージック/SONY 2004年発売/SICP-10010)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
(ライナーノーツ/小沼ようすけ)

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ブライアン・ブロンバーグ / ポートレイト・オブ・ジャコ / TEEN TOWN(PICCOLO BASS VERSION)4

 『PORTRAIT OF JACO』の10曲目は【TEEN TOWN(PICCOLO BASS VERSION)】(以下【ティーン・タウン(ベース・ヴァージョン)】。


 ジャコパスウェザー・リポート時代の18番=【ティーン・タウン(ピッコロ・ベース・ヴァージョン)】は“トータル・ミュージシャン”であったジャコパスへのトリビュートで溢れている。

 超絶技巧のブライアン・ブロンバーグからすると,オリジナルよりスロー・テンポで演奏される【ティーン・タウン(ベース・ヴァージョン)】が意表を突いている。遅めのテンポで振り下ろされる指&指。ストリングスとの融和性が強調されている。

 ウッド・ベースエレクトリック・ベースの掛け合いが聴き所であるが,スロー・テンポゆえこちらも物足りなさが残ってしまう。
 コンビネーション重視のアドリブが連続するのだが,3分9秒からのピッコロ・ベース・ソロは,本来の弾きまくりがスパークした名演である。

BRIAN BROMBERG : Acoustic Bass, Fretted Bass, Fretless Bass, Piccolo Bass, Horn Arranging
DAVE KOCHANSKI : Keyboards and Loop Programming
DLOC : Drums
GANNON ARNOLD : Guitar
JEFF LORBER : Electric Piano
GREGG MATHISON : B3 Organ
GARY GRANT : Trumpet
JERRY HEY : Trumpet
DAN HIGGINS : Saxophone
LARRY WILLIAMS : Saxophone
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地球は愛で浮かんでいる地球は愛で浮かんでいる
松永貴志
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