アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2010年08月

FM福岡 / MORNING JAM / クリヤ・マコト

MORNING JAM / クリヤ・マコト 本日放送,FM福岡「モーニングジャム」の「ジャムテレ」に,ジャズ・ピアニストクリヤ・マコトがゲスト出演しました。

 以前にもアドリブログに書いたと思いますが,毎日ラジオを聞いていると,FMにもAMにも結構な高頻度でジャズ・ミュージシャンがゲスト出演しています。いつも耳ダンボで聴いてはいても,帰宅後,記事に起こそうと思った瞬間から健忘症のボツ決定。
 しか〜し,今日は仕事がお休み。月曜日の朝なので週末のニュースが一様に紹介されていましたが,福岡の週末と来れば,そう。中洲ジャズ2010! TOGGYさんは2日間共中洲ジャズへ参戦し,管理人と同じく筋肉痛のようです。

 さて,ナカジーとのトークでも中洲ジャズについて語ったクリヤ・マコトクリヤ・マコトも「RHYTHMATRIX」にて出演。キース・ジャレットをリスペクトしているクリヤ・マコトなので本当は見たかったのですが『J.A.M,フライド・プライド,日野皓正』のステージとかぶってしまったので,クオシモードと共に泣く泣くあきらめた次第でした。
 
 クリヤ・マコトのトークを聞いていると,やっぱり見るべきだったかも? なになに,中洲ジャズ2010でのライブは,クリヤ・マコトのミュージシャン生活中「生涯ベストの何ステージかに入る」発言有! これはリップ・サービスではないと思う。なぜなら「ライブ終了後,日野さんやTOKUも,中洲ジャズを絶賛していた」発言有! この第三者話法にクリヤ・マコトの本音を聞けた。

 元々の汗っかきだが,ステージ上は風も通らない。照明も当たる。汗が滝のように流れ落ちる。(管理人は関係ないと思いましたが)「RHYTHMATRIX」はラテン・ジャズだし,バラードをやっても客も座らないし(実際には座らないのではなく総立ちで座すスペースがなかっただけでは?)。
 先日の名古屋でのライブでは,ピアノの調律師が温度計と湿度計をピアノの中に入れていたら温度計が40゜Cを越えたそう。そうしたららピアノ音色が変わった音響面でのコアな話をしていましたが,中洲ジャズにはデジタル・ピアノで望んだのが大成功だったらしい。デジタル・ピアノは音色が狂わないし音量も上げ放題だし。かなり満足気に語っていました。

 あとうれしかったのは,中洲ジャズが「生涯ベストの何ステージかに入る」と言い切る理由は,スタッフのサポートが大きいとのこと。国内外のツアーを歴戦して来たが,こんなに気持ちの伝わる食事や花束はなかったそう。うれしいじゃありませんか! 中洲ジャズ運営スタッフの皆さん,本当にお疲れ様でした。管理人からも最高の仕事ぶりに感謝を申し上げます。

 中洲ジャズ2010話で一通り盛り上がった後は,クリヤ・マコトプロフィール話。これがまたまた凄かった。
 ジャズメンになるきっかけは,音楽をやるためではなく学問をやるために渡ったアメリカ。ウエストヴァージニア州立大学の言語学部在学中に,練習で弾いていた学内のピアノの音が漏れていて,それを聞いていた他の学生からライブ出演のお誘い有。ピアノの練習がオーディションみたいなものだったそうな。
 学生しながらも飛行機でプロの演奏旅行。ビザが切れそうだったので奨められるまま(ウエストヴァージニア州立大学の学生の立場のままで)ピッツバーグ大学にてジャズの歴史を教壇から教えていたとのこと。学生として音楽を習ったことはなく言語学部ではアフリカ言語の発声法を研究していた話がめちゃ楽しそう。クリヤ・マコトと一緒にお酒を飲んでみた〜い。

 そんなクリヤ・マコトのお奨めが,ラテン・ジャズの「RHYTHMATRIX」! 今一番カッコイイ,グルーヴ・ミュージック!

 以下,オンエア曲一覧です。

1曲目 : 【BERIMBAU FEAT.SAIGENJI】 / RHYTHMATRIX
 

T−スクェア / ヒューマン5

HUMAN-1 『HUMAN』(以下『ヒューマン』)こそが,スクェアの“最高傑作”である。
( いきなりの注釈で申し訳ありませんが,この結論は管理人の独断ではありません。管理人の周りのスクェア・ファンも口を揃えて『ヒューマン』至上主義ですし,何よりも安藤さんと和泉さんが『ヒューマン』に対して「非常に完成度の高いもの」と公言しておられます。これは異例の言及です )

 『ヒューマン』には“元気でロックな”スクェアはいない。ここにいるのは“地味で穏やかな”スクェアである。終始落ち着いたアダルトな雰囲気が続く。
 『ヒューマン』だけは「いつ聴いても,どこで聴いても,誰と聴いても」絶対に裏切らない。聴き終わると「スクェアっていいな。フュージョンっていいな。音楽っていいな」と思わせてくれる。
 まるで真冬の木漏れ日のような“ハートフルな”サウンド。「ココロも満タンに♪」はコスモ石油。コスモ石油は「ポップス・ベスト10」。これこそスクェアの“原点”なのである( ←意味深な表現を使用してみました。スクェア・ファンの皆さんなら深読みしたら分かるはず? )。

 “最高傑作”『ヒューマン』の魅力は,絶妙なトータル・バランスにある。
 余分なものは全カット。曲数(なんとたったの8曲)演奏時間(なんとたったの41分9秒)までもがトータル・コーディネイトされているかのよう。
 『ヒューマン』の全収録曲が互いに補いあっている。どの1曲が欠けても『ヒューマン』は成立しやしない。3人の名コンポーザー(安藤まさひろ和泉宏隆本田雅人)が事前に示し合わせたかのように,あたかも1人で書き上げたかのような統一感を有している。全てが高次元で“調和”しているのだ。それだけバンドが充実し“一致結束”していたのであろう。

 『ヒューマン』は(『ヒューマン』を癒し系と称するには抵抗を感じるのだが)同じ癒し系でも,よくあるヒーリング・ミュージックとは根本的に異なる。
 『ヒューマン』は決して,ウェットでもなければバラード集でもない。事実はその反対で『ヒューマン』は,カラッとドライでポップなCDである。
 そう。『ヒューマン』からは「愛,期待,そして未来へのベクトル」が溢れ出ている。『ヒューマン』のアルバム・コンセプトは1曲目の【明日への扉】に顕著である。「明るく前向きな強い気持ち」への応援メッセージが伝わってくる。でも同時に「ほっとする」ほのぼの系のウキウキ曲。『ヒューマン』が差し伸べる“希望と勇気”に癒される。
 「明日も頑張ろう」。『ヒューマン』を聴いていると自然にそう思えてくるから不思議である。

 この成功の秘訣こそ,T−スクェアの“図抜けた表現力”にあると思う。
 軽快なメロディなのに心に染み入るのは,難易度の高いフレーズを平易な言葉に置き換える表現手段としてのテクニック!
 『ヒューマン』の音世界の完成には,いつも以上にテクニカルな演奏が要求されたはずである。しかし印象としては,無駄なテクニックを排除した“純朴な演奏”に惹かれてしまう。「何も足さない,何も引かない」シングル・モルトな豊穣の音。

 『ヒューマン』は,流行を追っていない。トラディショナルである。とは言え,最新のテクノロジーも上手に取り込んでいる。そう。この普遍的で奥深い音造りは,決して色褪せる事がなく,どこまでもリリカルに,そしておおらかに歌っている。いや,歌い上げている。もう最高である。一人で部屋中のたうちまわってしまう。
 そう。T−スクェアが『ヒューマン』で目指したテーマは“人そのもの”。「(醜さも含めた)人との愛情・友情・温もり」である。人は一人では生きてゆけない(管理人はこの秀逸なジャケット写真を見つめる度に涙が止まらない夜を迎えてしまいます)。

 ちょうど『ヒューマン』の制作時に,安藤まさひろは父となった。子供が誕生し家庭の素晴らしさを毎日実感していたことだろう。家庭を支え家庭に支えられる。人は一人では生きてゆけない。
 同じように,バンドも,T−スクェアも,一人ではやってゆけない。安藤まさひろだけでなく,和泉宏隆も,則竹裕之も,須藤満も,そして“天才”本田雅人であったとしても…。

HUMAN-2 T−スクェアが追求してきたバンド・サウンドが完成している。5人の個性派メンバーが私心をかなぐり捨てている。
 T−スクェアというバンドの歯車の1枚になることをいとっていない。いや“名も無い一介の”ジャズメンとして,T−スクェアでプレイできる喜びを噛み締めている。しかし淡々と,燃えるような熱い情感は心の奥底にしまいながら…。

 5人のバンドへの専心の念が“アドリブの減少”に表われている。『ヒューマン』のような完璧な音楽は,その時々の感性やインプロヴィゼーションだけでは完成しない。緻密な計算の上に成り立っている。
 そう。『ヒューマン』は,事前に書かれた美メロを“ジャズのフィーリングで”演奏したものである。『ヒューマン』の全ては演出である。5人がT−スクェアを完璧に演じている。

 管理人には“やっぱり”本田雅人である。テーマからアドリブに移行する時の流れるようなラインと,曲調を崩す事のないそのフレージングが“T−スクェア本田雅人”を強く感じさせる。
 そしてもう一人。和泉宏隆である。和泉宏隆ピアノが素晴らしい。まるでBGMのさらに後ろで流れるBGM。さらにその後ろには“人間としての温もり”が流れている。ソロにアンサンブルにと大活躍。裏方に徹する職人気質が他の4人にまして大なり。

 『ヒューマン』のような名盤は,狙って作ろうにもそう簡単には作れやしない。唯一無二。後にも先にも存在しない。
 そう。『ヒューマン』は“あの時代のあのメンバー”だからこその大名盤。神様からスクェア・ファンへ贈られたたった1枚だけのプレゼント。

 管理人は『ヒューマン』を,今後も訪れるであろう人生の節目節目で一生聴き続けるであろう。この喜びは言葉では表現しきれない。上記『ヒューマン批評の稚文では10%も伝えきれないのが,どうにもどうにももどかしい。
 ここは是非,読者の皆さんにもスクェアの“最高傑作”『ヒューマン』を聴いていただくしかない。そして管理人が感じる“無上の悦び”を一人でも多くの音楽ファンと共有できれば幸いに思う。

PS 強く奨めていてなんですが,管理人は『ヒューマン』は日常的には聴きません。キース・ジャレットの『パリ・コンサート』と共に,ここぞ,という特別の日にしか聴きません。この2枚はスペシャル盤です。あっ,スペシャル盤はあと20枚ぐらいありました。

  01. 明日への扉
  02. RAINY DAY, RAINY HEART
  03. HIGH TIME
  04. ANABELLE
  05. PLAY FOR YOU
  06. BEYOND THE DAWN
  07. SCANDAL BOY
  08. JUST LIKE A WOMAN

(ソニー/SONY 1993年発売/SRCL2613)

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T−スクェア / インプレッシブ4

IMPRESSIVE-1 『NEW−S』との間に『T−SQUARE LIVE “FAREWELL & WELCOME”』『REFRESHEST』と企画盤を2枚挿まれた。
 本田雅人の第2弾として“期待値MAX”だった『IMPRESSIVE』(以下『インプレッシブ』)は普通。

 F−1の新テーマ曲【FACES】は【TRURH】をも凌駕した安藤まさひろギターがキター! キレキレで最高にカッコイイ。
 【DANDELION HILL】は,お花畑なメルヘンチックが“THIS IS 和泉ワールド”。
 そう。本田雅人作の「メガリス・ショック」アゲインは3曲とも不発弾(【BROKEN PROMISE】はたまに爆発する)。

 【FACES】と【DANDELION HILL】の大名曲以外で現役で聴き続けているのは「バルセロナオリンピック・JOC公式イメージソング」の【RISE】が,あの夏の初の一人暮らしを思い出させてくれるくらいかな?
 暑くて暑くてロフト生活を辞め,1Fに下りてクーラー・ガンガンの中,ニュース番組のBGMとして流れる【RISE】を羽毛布団の中で毎日聞いていたことを思い出します。

 思い出す繋がりでいくと,なぜか『インプレッシブ』のジャケット・デザインが変更されました。「4色かわいい系」から「バルセロナ〜水泳〜岩崎恭子」のイメージか?

IMPRESSIVE-2 『インプレッシブ』と来れば,本田雅人派からは必ず声が挙がる【TRAFFIC JAM】収録。しかし管理人は当時はスルー。
 管理人が【TRAFFIC JAM】を“再評価”したのは,本田雅人のソロCDWHAT IS FUSION』を聴いてからでした。今でもやっぱり【TRAFFIC JAM】は『WHAT IS FUSION』ヴァージョンに限ります。

  01. FACES
  02. 11月の雨
  03. RISE
  04. MAC'S BACK
  05. Broken Promise
  06. Dandelion Hill
  07. Traffic Jam
  08. AMARANTH
  09. 待ちぼうけの午後

(ソニー/SONY 1992年発売/SRCL2370)

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T−スクェア アンド フレンズ / リフレッシェスト4

REFRESHEST-1 『REFRESHEST』(以下『リフレッシェスト』)は,タイトル通りのリアレンジ企画盤。

 伊東時代の名曲が本田仕様で大胆にリアレンジ。「T−スクェア アンド フレンズ」名義が表わすように,演奏は豪華で分厚いゲスト・ミュージシャン入り。

 単純に伊東たけし本田雅人の違いを楽しみに購入したのだが,フロントの違い以上にサウンド・イメージの変化が印象に残る。

REFRESHEST-2 『リフレッシェスト』は,伊東たけしから本田雅人へではなく,ザ・スクェアから“新生”T−スクェアになりました,が要点です。

  01. CHASER
  02. MIDNIGHT LOVER
  03. A FEEL DEEP INSIDE
  04. THE NUMBER
  05. WRAPPED AROUND YOUR SOUL
  06. TEXAS KID
  07. ハワイへ行きたい
  08. IT'S MAGIC
  09. TRAVELERS
  10. SABANA HOTEL

(ソニー/SONY 1991年発売/SRCL2247)

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T−スクェア / T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”5

T-SQUARE LIVE “FAREWELL & WELCOME”-1 『T−SQUARE LIVE “FAREWELL & WELCOME”』(以下『T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”』)は,T−スクェアの初代フロント=伊東たけしから,2代目=本田雅人へと“たすきを繋ぐ”言わば“歓送迎会”的なライブ
( ちなみに,フロントの“歓送迎会”ライブは,T−スクェアの恒例? 2代目=本田雅人から3代目=宮崎隆睦への交代の際にも『FAREWELL & WELCOME LIVE 1998』と同じタイトルで行なわれています )

 イレギュラー覚悟で述べると『T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”』のハイライトは,ズバリ,本編よりもおまけ。【JAPANESE SOUL BROTHERS】での須藤満ベース・ソロである。

 『T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”』は,伊東たけし本田雅人の“豪華共演”を堪能するのが,本来の楽しみであろう。勿論それは後述する『T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”』のハイライト3に違いない。
 しかし,管理人は『T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”』を買ってからというもの,ずっと「ボーナス8cmCDシングル」(DISC 2)の【JAPANESE SOUL BROTHERS】を,それも1分19秒から6分58秒までの須藤満ベース・ソロばかりを聴いていた。これぞ本編収録漏れの“暴れっぷり”の極みである。

 もはや聴きすぎて“普通の”ベース・ソロのような錯覚に陥ることもあるのだが,この須藤満ベース・ソロが圧巻! そうめったにお耳にかかれない“悶絶ものの”パフォーマンスが最高に素晴らしい!
 田中豊雪といい須藤満といい,スクェアベーシストは何故にここまでカッコイイ? スクェアライブ終わりには,決まってベースの練習を始めたくなる衝動に襲われたものである。

 須藤満の“緩急自在の”ベース・テクニックが炸裂している。いや,もう“ベースマン魂”そのものである。チョッパーの名手でありながら,敢えてフィンガーで押してくる辺りが“ドツボ”である。
 伊東たけし本田雅人を出し抜いて須藤満があの夜のヒーロー。『T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”』は,最初の一音から最後の一音までが須藤満の“スパーク”への誘い水であった。

 須藤満アドリブが耳タコになると,次に女性の歓声が耳タコに。的確な歓声=完璧な合いの手に(特に3分54秒と5分6秒と6分14秒)こちらもつられて乗せられてしまう。あの歓声がなければ【JAPANESE SOUL BROTHERS】もあそこまで盛り上がらない!

 須藤満+女性の歓声が耳コピできるようになったなら,最後の耳タコは則竹裕之ドラムに尽きる! 須藤満チョッパーベースが,どんなに“暴れ回ろう”とも常に則竹裕之T−スクェアドラムが観客の注意をステージから離さない。

 この須藤満則竹裕之のリズム隊の名コンビは,もはやジンサクにひけをとっていない黄金のリズム隊へと仕上がっている。
 思うに須藤満則竹裕之組は,桜井哲夫神保彰よりも“遠くで”互いに感じあっている。“密な一体感”のジンサクとは異なり,須藤満の“特攻”を許す則竹裕之の“内助の功”な雰囲気がある。この表現,分かるかなぁ〜。

 『T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”』2番目のハイライトは,これぞライブ録音的な音造りにある。観客の声や拍手が効果的にミックスされており,もう自分もその場にいるような臨場感! ステージと客席の“距離の近さ”が熱狂度を増している!

 通常,ジャズマンは演奏を通して観客とコミュニケーションするのだろうが,T−スクェアはアイドル・バンド! 客席からポンポン声援が上がる。この“親しみやすさ”が時に観客を演者に変える。T−スクェアが明らかに,客席のパワーに影響されている。

 キース・ジャレットライブの前説で観客に説教する逸話は有名である。説教の要旨は客に向かって「一生懸命に聴け」である。
 キース・ジャレットが言いたいのは「ライブとは会場にいる全員で作り上げるもの」。正論である。『T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”』を聴くにつれ,キース・ジャレットの主張がよ〜く理解できる。
 あの夜の観客は誰もがT−スクェアの7人目のメンバーであった(←サッカーのサポーター風)。観客の名演盤ここにあり〜!

T-SQUARE LIVE “FAREWELL & WELCOME”-2 『T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”』のハイライト3は“やっぱり”伊東たけし本田雅人の“豪華共演”!

 伊東たけし本田雅人の音のぶつかり合いを聴いて初めて感じた個性の違い。
 2人を野球の投手に例えれば,伊東たけしはナックル・ボーラー。剛球ではないが「こんな軌道ありえない」的で見逃し三振を喰らってしまう。
 一方の本田雅人は本格派の万能派。松坂やダルビッシュのような変化球も一級品な基本直球型。輪郭の整ったフレージングはそのどれもがスケールの大きい“これぞ大器”の音そのもの。球筋が分かっていても凄すぎて空振り三振を喰らってしまう。

 そう。『T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”』の真実とは,伊東たけし本田雅人の“夢の投げ合い”。T−スクェア初のオールスター戦であった。

 最後に『T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”』のセット・リスト!?

 【IT’S MAGIC】が伊東たけしのワン・ホーン。【LITTLE LEAGUE STAR】が本田雅人のワン・ホーン。
 【LICKIN’ IT】は,先攻が伊東たけしの後攻が本田雅人。【BIG CITY】は,先攻が本田雅人の後攻が伊東たけし。白熱のアルト・バトルは引き分けです。
 アンコールの【LITTLE MERMAID】は,特にフロントの2人をプッシュするではなく原曲通りに6人で演奏。EWIのパートを2人で,時に分け合い,時にユニンゾンする。ただしラストのEWI・ソロは“競演”ではなく楽しく“共演”しています。握手に拍手です。

  DISC 1
  01. IT'S MAGIC
  02. LICKIN' IT
  03. BIG CITY
  04. LITTLE LEAGUE STAR
  05. LITTLE MERMAID

  DISC 2
  01. JAPANESE SOUL BROTHERS

(ソニー/SONY 1991年発売/CRCL2027-8)
★【初回生産限定盤】ボーナス8cmCDシングル付 CD2枚組/DUOケース仕様

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T−スクェア / ニュース5

NEW-S-1 『ハイパー・サックス・プレイヤー,本田雅人加入。ヴァージョン・アップしたニュー・サウンド』!
 このCD帯を見て初めて,T−スクェアのフロントが本田雅人へ交代したことを知った。

 T−スクェアは伝統的に?メンバーの出入りが激しいバンド。しかしT−スクェアの,いや,J−フュージョン界の“顔”であった伊東たけしの脱退にはさすがに落胆を覚えた。「またか」ではなく「まさか」のビッグニュースであったのだ。

 ちょうどカシオペアジンサクに生じた内部分裂の傷が癒えたばかりだったのに…。またしても管理人の青春が,一つの時代が終わった瞬間であった。
 …が,まだのりピーととろりんがいるではないか!っと思ったのもつかの間,管理人を癒してくれたのはのりピーでもとろりんでもなく“新生”T−スクェアの音=本田雅人の音・音・音! 本田雅人の“ハイパー・サックス”が,管理人の不安な気持ちを一息で吹き飛ばしてくれたのだ。

 とにかく『NEW−S』(以下『ニュース』)は,1曲目の【MEGALITH】に尽きる!
 誰が言ったか「メガリス・ショック」! このインパクトはT−スクェア史上最強である!
 とにかくカッコイイ。音にしびれるとはこのことである。超テクニカルでアグレッシブな演奏力のプレッシャーに,思わず後退りする感じ!? チック・コリア・エレクトリック・バンドの日本初ヴァージョン!? 過去のハードな名演PRIME】【TRUTH】【ARCADIA】とも別物。これまでのスクェアでは感じなかった“異次元の”カッコ良さ! (どうしてかなぁ)どこか“イモっぽい青年然”としていたスクェアがついに“シティ系”へと大変身! 徹底的に都会的センスで固められている。

 世のサックス・ファンは皆,本田雅人なら抱かれてもよい?( ←たしか,伊東たけしの擁護者たちによって,新加入の本田雅人はジャニーズ系だと「ルックスの良さ」を揶揄されていました。そこしか攻撃できる箇所がなかった? 今となってはバカバカしい話ですが,物語るは当時の伊東人気の凄まじさ! )

 そう。【MEGALITH】で,スクェアが“新生”スクェアとなった。
 『WAVE』でのザ・スクェアT−スクェアへの改名は表面上の変化にすぎない。【MEGALITH】が起こした「メガリス・ショック」こそ,T−スクェアの真の転換点。「その時歴史が動いた」のだ(←NHK風)。

 メンバー全員が“バカテク”の持ち主であるスクェアだが,バンドの基本として“必然性のないバカテク”を披露することは決してない。売りはどこまでも楽曲の良さ! この“志の高さ”がマーカス・ミラーに通じる好感度UP。

 しか〜し『ハイパー・サックス・プレイヤー,本田雅人加入。ヴァージョン・アップしたニュー・サウンド』のコピー通り,本田雅人の目指す“ハイパー・サックスな音造り”の構図は必然的にテクニカルにならざるを得ない。
 指を攣らせながらも,必死で本田雅人に追随しようとする他の4人。そう。ビッグ・バンド・アンサンブルで鍛え上げられた本田雅人サウンドは120%の演奏力が求められるのだ。

 そう。「メガリス・ショック」を経て,T−スクェアの演奏がレベルアップしている。もともと「伝説の5人」として完璧に出来上がっていたところへ“激薬”本田雅人の投入。躍動感溢れるフレージングがいけどもいけど加速する。
 【MEGALITH】の凝りに凝ったアレンジは生演奏には不向きである。「せーの」で録ってドラム以外は何度も録り直し。そりょそうなるわなぁ。

 とりわけスクェア・サウンドの変化の特徴がソプラノ・サックスの活用にある。
 本田雅人の写真を見ると手にはいつでもアルト・サックス(今でも本田雅人のジャケ写の友はアルト・サックスです)。本田雅人がマルチリード・プレイヤーだとは知らなかった。伊東たけしの後釜なのだから本田雅人アルト吹きだと疑わなかった。
 聴けば聴く程,本田雅人株が急上昇! こんなアルト・サックス聴いたことなどない〜! 後日,本田雅人ソプラノ吹きであることを知って,な〜んだ,だったのだが,その時は既に本田雅人=天才の公式がすり込まれた後の祭り。ただし本田雅人=天才の公式は訂正する必要はないだろう。
 そう。本田雅人ソプラノ・サックスが“新生”スクェアのトーンである。

NEW-S-2 さて,そんな「メガリス・ショック」な『ニュース』であったが,管理人が『ニュース』を聴きたく思うのはいつも【MEGALITH】以上に【WHEN I THINK OF YOU】である。

 『ニュース』での本田雅人の演奏はテクニカル全開で実に素晴らしい。1曲目から9曲目までは「メガリス・ショック」を“引きずっている”自分がどこかにいた。
 しかし『ニュース』の最後で辿り着く【WHEN I THINK OF YOU】に本田雅人の“全て”を聴いた思いがした。

 伊東たけしアルト・サックスは“味”があった。ちょっとくすんで苦味ある伊東たけし特有の“味”である。
 【HEARTS】【FORGOTTEN SAGA】のバラードは“伊東たけしあってこそ”の名演であった。
 そんな伊東たけしへの断ち切れない思いが交差する中流れ出した【WHEN I THINK OF YOU】。イントロの和泉宏隆ピアノのトーンに,バッチリハマル,本田雅人アルト・サックスが泣いていた。情感が込められ過ぎている。く〜っ。

 やはり,本田雅人なら抱かれてもよい? これマジでハートを鷲掴み状態。こんなに豪快に吹き上げているのにロマンティック本田雅人アルト・サックスと一緒に幾晩泣いたことだろう。もはや真打=本田雅人アルト・サックス登場前に,和泉宏隆ピアノが鳴り出した時点で涙腺が…。
 この時,管理人は2●歳。現在4●歳の管理人は『ニュース』をCDトレイにセットしただけで泣けてしまう。もはや病気である。

 本田雅人作【MEGALITH】で幕が開け,本田雅人作【WHEN I THINK OF YOU】で幕が閉じる“フィーチャリング本田雅人”な“新生”スクェア
 タイトルの『NEW−S』は『NEW SQUARE』だから『NEW−S』なのだとさ。T−スクェアが10歳は若返りましたとさ。

  01. MEGALITH
  02. ガーティの夢
  03. 真夏のためいき
  04. LITTLE LEAGUE STAR
  05. YOUR RESTLESS EYES
  06. MIDNIGHT CIRCLE
  07. THE SUMMER OF '68
  08. NAB THAT CHAP!!
  09. ROMANTIC CITY
  10. WHEN I THINK OF YOU

(CBSソニー/CBS/SONY 1991年発売/CSCL1691)
★【初回生産限定盤】ロゴ付き専用プラ・ケース仕様

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NHK-FM / 今日は一日『フュージョン』三昧 / 中村正人

今日は一日『フュージョン』三昧 昨日,NHK−FMにて「今日は一日『フュージョン』三昧」なる特別番組が放送されました。
 「終戦の日」に『フュージョン』三昧とは,歴史認識大丈夫? やはり日本は「世界一のジャズ大国!」を実感いたしました。

 2010年8月15日の管理人の予定はビッシリ。「今日は一日『フュージョン』三昧」を10時間聴き通すべく常に約束を入れないように努力してきたはずなのに…。
 蓋を開けると,空いたスケジュールは16時〜20時だけ。無理言って飲み会を20時半スタートにしてもらったのに,やっぱりオン・エアが気になって気になって…。ビールを一気飲みしてからはフュージョンなぞすっかり忘れてお酒に夢中でしたが…。

 そんなこんなで濃密の4時間だけをレポートします。
 ハイライトはゲストの「ドリームズ・カム・トゥルー」中村正人の「デヴィ爺」ばなし!
 中学時代からリスペクトし,ドリカムのCDやツアーで「デヴィ爺」ことデヴィッド・T・ウォーカーを起用するほど愛してやまないギタリストなのに,デヴィッド・T・ウォーカーときたら中村正人ではなく「美和,美和」ばっかり言っているらしい。
 ドリカムの東京ドーム公演で初めてベース・アンプを使った中村正人。その時初めてデヴィッド・T・ウォーカーに自身のベースを褒められたらしい。「ベース上手くなったね」って。
 でも実はデヴィッド・T・ウォーカー。この時初めて中村正人のベースの音を聴いたらしい(普段はベース・アンプを使わないから)。

 クルセイダーズのツアーで見たデヴィッド・T・ウォーカーの幕の外での演奏エピソードやモニターなしの生音主義など,中村正人のデヴィッド・T・ウォーカーについての熱弁がハンパない! 中村正人は吉田美和以上に「デヴィ爺」のことを愛している!?

 さて「今日は一日『フュージョン』三昧」を4時間聴いて面白かったのはこれぐらい。ここからは番組への感想(苦言)を少々…。

 4時間しか聴いていないので断定はできませんが,仮にも「『フュージョン』三昧」を名乗るなら,フュージョン好きが求める極上の“どフュージョン”で攻めてほしかった。ベイクドポテト絡みが一曲も紹介されないのは絶対NG。
 世のフュージョン・ファンはマニアック。「おっ,これをかけるのか〜。分っているな〜」という“通の選曲”は何処へ? 選曲に甘さがあったと思う。
 事実,あの選曲はフュージョンではなくフュージョン関連の“AOR祭り”でしょ? AORとかそう言うのは後日別編成で三昧を組めばよかったのでは?

 リクエスト・フォームなんて最初から意味なかったんでしょ? 熊谷さんの独断でかけたい曲をかけまくっただけなんでしょ? フルーツケーキの【I LIKE THE WAY】と角松敏生の【SEA LINE】が聴けたのは良かったのですが,印象としてはリクエスト番組とは“名ばかり”のリクエスト受付前から選曲終了。たまたま事前の選曲に乗っかったリクエストを大衆の意見のごとく紹介。番組構成にそぐわないリクエストは紹介される雰囲気ゼロ。
 そう。終始,熊谷さん発信の「これは絶対にかけるべき」「これを選びました」のスタンスが,リクエスト中心を楽しみにしていたリスナーとしては面喰ったはず。おいてけぼりでリスナー不在の閉塞感が充満していたような…。
 本来,熊谷さんの番組での立位置は解説者。リスナーがどんな曲をリクエストしてきてもウンチクを述べる“ドンと受身で懐の深い役回り”に徹していたら良かったのになぁ。熊谷さんはそれが出来る指折りの評論家なのですから…。 

 そう。「『フュージョン』三昧」の真実は「熊谷美広三昧」! 熊谷さんには「フュージョンの熊谷」としてではなく,全フュージョン・ファンの代表として,フュージョンへの“熱い想い”を代弁してほしかった! あれでは「ざんまい」ではなく「ざんねん」としか言いようがありません。
 比較してしまって申し訳ありませんが,以前の「今日は一日『ジャズ』三昧」はちゃんとリクエスト番組していましたよ〜。

 …と,ダメダシしたのは酒の勢いのせい? 酒の席の愚言を熊谷さんどうぞお許しを…。

T−スクェア / ナチュラル − U.S.ヴァージョン4

NATURAL - U.S.VERSION-1 ザ・スクェアの“ネームバリュー”を捨ててまで,アメリカでのブレイクを目指したT−スクェアCBSソニーが,本腰を入れてLA録音したのが『NATURAL』(以下『ナチュラル』)である。

 「郷に入っては郷に従え」!? 『ナチュラル』には“アメリカンナイズド”されたT−スクェアの5人がいる。
 “アメリカンナイズド”されたT−スクェアの最大要因は,全米NO.1のスムーズ・ジャズ・バンド=ザ・リッピントンズラス・フリーマンの“プロデュース力”に尽きる。

 ザ・リッピントンズの,いや,スムーズ・ジャズ界の“心臓”と讃えられるラス・フリーマン・プロデュースは安藤まさひろ発信のリクエスト。
 そう。安藤まさひろの“真の野望”は“スクェアリッピントンズ化”であった。
 
 『WORDLESS ANTHOLOGY 』のライナーノーツ安藤まさひろが公言しているが,そもそも安藤まさひろは,ザ・リッピントンズT−スクェアの音楽性を思い重ねている節がある。
 そう。誤解覚悟で述べると,T−スクェア→日本のザ・リッピントンズ→世界のT−スクェア。この図式が安藤まさひろの思い描いた,T−スクェアのアメリカ進出の真実である。『TRUTH』の成功の味に酔いしれたんだろうな〜。売れたかったんだろうな〜。安藤さんはエロイからな〜。

 もう少々誤解覚悟で述べると『ナチュラル』は“安藤まさひろの復権”のためにあった。
 『R・E・S・O・R・T』から始まった“スクェア和泉化”が大ヒット。スクェアの2枚看板=“ロックな安藤メロディ”と“和泉バラード”のパートナーシップも『TRUTH』まではバランスが保たれていたのだが…。

 全ては『YES, NO。』であった。『YES, NO。』で発揮された和泉宏隆の才能大爆発。『YES, NO。』で安藤まさひろ和泉宏隆の抜群のコンビネーションに“力関係”が生じてしまった。
 例えるなら,これはジャズ・メッセンジャーズにおけるアート・ブレイキーホレス・シルヴァーホレス・シルヴァーの才能が発揮されればされるほどアート・ブレイキーの影響力が弱まっていく。
 まぁ,安藤まさひろはそれでも笑っていたはず。そう。安藤さんはエロイから(全てをエロで片付けてしまってすみません)。

 そこで安藤まさひろ“憧れの”ザ・リッピントンズ! ザ・リッピントンズ安藤まさひろと同じギタリストラス・フリーマン率いるフュージョン・バンド。正式なバンド名は「ザ・リッピントンズ・フィーチャリング・ラス・フリーマン」。
 そう。言わば,ザ・リッピントンズラス・フリーマンの“ワンマン・バンド”。ねっ,安藤まさひろの“羨望の眼差し”も理解できるでしょ?

 振り返れば“安藤まさひろの復権”の予兆はあった。『WAVE』を安藤目線で聴き直してみてほしい。
 11曲中8曲が安藤まさひろ作。【MORNING STAR】や【HARD−BOILED】のアレンジは安藤まさひろギターを聴くためのものであろう。
 まっ『WAVE』『ナチュラル』で復権を果たした安藤の“天下”も,本田雅人が加入する『NEW−S』までであるのだが…。

 さて,そんな安藤まさひろ“ご指名”のラス・フリーマン・プロデュースは『ナチュラル』の全10曲中4曲。しかしラス・フリーマンは真の天才。『ナチュラル』の他の6曲までもが“ラス・フリーマンナイズド?”されている。
 『ナチュラル』は聴きようによってはザ・リッピントンズのようである。『ナチュラル』はアメリカン・フュージョンである。そう。T−スクェアスムーズ・ジャズに“かぶれ”てしまっている。
 うーむ。この辺りがスクェア・ファンの間で『ナチュラル』がイマイチ人気薄の原因なのでしょう。ザ・リッピントンズが大好きな管理人は『ナチュラル』も大好物で〜す!

 『ナチュラル』の特徴は『ナチュラル』なだけにナチュラルグルーヴ
 でもでも聴き込ば聴き込む程,とんでもなく緻密な音造りのスタジオ・ワークの“跡”がクッキリ。例えば,シンクロした音を左右に若干ずらすとかEWIを3回重ねるとか…。
 ラス・フリーマンの“漆塗りのように何層にも重ね塗られたオーヴァー・ダビング“の妙技は“ハイセンスの神業”である。
 5人の演奏が“キラキラと”エフェクトされている。とりわけ印象深いのは則竹裕之の“空間を支配する”ドラミングである。拍の空間でのハイハットがスリリングに響く。スプラッシュ・シンバルのサスティンまでもが計算されている。しかし“人間の演奏臭さ”にこだわっている。これぞ“匠の音造り”のお手本であろう。

 この分厚い音造りのせいなのか,ミディアム・テンポの連続のせいなのか『ナチュラル』は“秋”している。
 運動会や文化祭のカッコツケ・ヒーローの【CONTROL】。残暑から秋晴れの【DAISY FIELD】。そして大泣きの【WHITE MANE】と【LAST RAINDROPS】は“秋深し”である。あまりにも美しいメロディーに心が震えます。

 ギンギンにハードな『WAVE』とメガリス・ショックの『NEW−S』に挟まれた,全体的に地味な印象の『ナチュラル』であるが,最高級の完成度を誇るスムーズ・ジャズ名盤。個人的にはもう1枚,良質で上質な“T−スクェアスムーズ・ジャズ”を聴いてみたいと思う今日この頃です。

NATURAL - U.S.VERSION-2 さて「タイトでクリアー! 全米でリリースされた『ナチュラル』のアナザー・ワールド・サウンド!」の帯コピーよろしく,全米リリース用に異なるミックスが施された『ナチュラル』のスペシャル・ミニ・アルバムが『NATURAL − U.S.VERSION』(以下『ナチュラル − U.S.ヴァージョン』)。

 アナウンス通りの「タイトでクリアー!」な感じに仕上がっちゃってます。音の厚みが気に入っていたので,このリミックスは日本人には(管理人には)不発では?
 なぜに曲数もタイトに搾られた全6曲の意味不明(おまけに収録時間も短め)。【CONTROL】と【DAISY FIELD】の名曲が,ラス・フリーマンが共作していないだけの理由でカットされたのも意味不明。この選曲は日本人には(管理人には)不発では?

 日本人にもアメリカ人にも不発だった『ナチュラル − U.S.ヴァージョン』。でもそれでいいんです。『ナチュラル − U.S.ヴァージョン』は『MEGALITH』の“撒き餌”だったから。
 『MEGALITH』は,既に全米発売された『TRUTH』と『ナチュラル − U.S.ヴァージョン』を除く『YES, NO。』『WAVE』『NEW−S』からの選曲盤。
 しか〜し『MEGALITH』は,アメリカ以外の全世界20ヶ国以上でヒット。アメリカは厳し〜い。“スクェアリッピントンズ化”は厳し〜い。

PS 【RADIO STAR】は「オリジナル・ヴァージョン」「ボーナス8cmCDシングルヴァージョン」と来て,今回の「ナチュラル − U.S.ヴァージョン」がベスト・テイクです。

  01. LABYRINTH OF LOVE
  02. WIND SONG
  03. WHITE MANE
  04. RADIO STAR
  05. SNOWBIRD
  06. LAST RAINDROPS

(CBSソニー/CBS/SONY 1990年発売/CSCL1487)
★【日本用完全限定盤】

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T−スクェア / ナチュラル4

NATURAL-1 ザ・スクェアの“ネームバリュー”を捨ててまで,アメリカでのブレイクを目指したT−スクェアCBSソニーが,本腰を入れてLA録音したのが『NATURAL』(以下『ナチュラル』)である。

 「郷に入っては郷に従え」!? 『ナチュラル』には“アメリカンナイズド”されたT−スクェアの5人がいる。
 “アメリカンナイズド”されたT−スクェアの最大要因は,全米NO.1のスムーズ・ジャズ・バンド=ザ・リッピントンズラス・フリーマンの“プロデュース力”に尽きる。

 ザ・リッピントンズの,いや,スムーズ・ジャズ界の“心臓”と讃えられるラス・フリーマン・プロデュースは安藤まさひろ発信のリクエスト。
 そう。安藤まさひろの“真の野望”は“スクェアリッピントンズ化”であった。
 
 『WORDLESS ANTHOLOGY 』のライナーノーツ安藤まさひろが公言しているが,そもそも安藤まさひろは,ザ・リッピントンズT−スクェアの音楽性を思い重ねている節がある。
 そう。誤解覚悟で述べると,T−スクェア→日本のザ・リッピントンズ→世界のT−スクェア。この図式が安藤まさひろの思い描いた,T−スクェアのアメリカ進出の真実である。『TRUTH』の成功の味に酔いしれたんだろうな〜。売れたかったんだろうな〜。安藤さんはエロイからな〜。

 もう少々誤解覚悟で述べると『ナチュラル』は“安藤まさひろの復権”のためにあった。
 『R・E・S・O・R・T』から始まった“スクェア和泉化”が大ヒット。スクェアの2枚看板=“ロックな安藤メロディ”と“和泉バラード”のパートナーシップも『TRUTH』まではバランスが保たれていたのだが…。

 全ては『YES, NO。』であった。『YES, NO。』で発揮された和泉宏隆の才能大爆発。『YES, NO。』で安藤まさひろ和泉宏隆の抜群のコンビネーションに“力関係”が生じてしまった。
 例えるなら,これはジャズ・メッセンジャーズにおけるアート・ブレイキーホレス・シルヴァーホレス・シルヴァーの才能が発揮されればされるほどアート・ブレイキーの影響力が弱まっていく。
 まぁ,安藤まさひろはそれでも笑っていたはず。そう。安藤さんはエロイから(全てをエロで片付けてしまってすみません)。

 そこで安藤まさひろ“憧れの”ザ・リッピントンズ! ザ・リッピントンズ安藤まさひろと同じギタリストラス・フリーマン率いるフュージョン・バンド。正式なバンド名は「ザ・リッピントンズ・フィーチャリング・ラス・フリーマン」。 そう。言わば,ザ・リッピントンズラス・フリーマンの“ワンマン・バンド”。ねっ,安藤まさひろの“羨望の眼差し”も理解できるでしょ?

 振り返れば“安藤まさひろの復権”の予兆はあった。『WAVE』を安藤目線で聴き直してみてほしい。
 11曲中8曲が安藤まさひろ作。【MORNING STAR】や【HARD−BOILED】のアレンジは安藤まさひろギターを聴くためのものであろう。
 まっ『WAVE』『ナチュラル』で復権を果たした安藤の“天下”も,本田雅人が加入する『NEW−S』までであるのだが…。

 さて,そんな安藤まさひろ“ご指名”のラス・フリーマン・プロデュースは『ナチュラル』の全10曲中4曲。しかしラス・フリーマンは真の天才。『ナチュラル』の他の6曲までもが“ラス・フリーマンナイズド?”されている。
 『ナチュラル』は聴きようによってはザ・リッピントンズのようである。『ナチュラル』はアメリカン・フュージョンである。そう。T−スクェアスムーズ・ジャズに“かぶれ”てしまっている。
 うーむ。この辺りがスクェア・ファンの間で『ナチュラル』がイマイチ人気薄の原因なのでしょう。ザ・リッピントンズが大好きな管理人は『ナチュラル』も大好物で〜す!

NATURAL-2 『ナチュラル』の特徴は『ナチュラル』なだけにナチュラルグルーヴ
 でもでも聴き込ば聴き込む程,とんでもなく緻密な音造りのスタジオ・ワークの“跡”がクッキリ。例えば,シンクロした音を左右に若干ずらすとかEWIを3回重ねるとか…。
 ラス・フリーマンの“漆塗りのように何層にも重ね塗られたオーヴァー・ダビング“の妙技は“ハイセンスの神業”である。
 5人の演奏が“キラキラと”エフェクトされている。とりわけ印象深いのは則竹裕之の“空間を支配する”ドラミングである。拍の空間でのハイハットがスリリングに響く。スプラッシュ・シンバルのサスティンまでもが計算されている。しかし“人間の演奏臭さ”にこだわっている。これぞ“匠の音造り”のお手本であろう。

 この分厚い音造りのせいなのか,ミディアム・テンポの連続のせいなのか『ナチュラル』は“秋”している。
 運動会や文化祭のカッコツケ・ヒーローの【CONTROL】。残暑から秋晴れの【DAISY FIELD】。そして大泣きの【WHITE MANE】と【LAST RAINDROPS】は“秋深し”である。あまりにも美しいメロディーに心が震えます。

 ギンギンにハードな『WAVE』とメガリス・ショックの『NEW−S』に挟まれた,全体的に地味な印象の『ナチュラル』であるが,最高級の完成度を誇るスムーズ・ジャズ名盤。個人的にはもう1枚,良質で上質な“T−スクェアスムーズ・ジャズ”を聴いてみたいと思う今日この頃です。

PS ボーナス8cmCDシングル収録の【RADIO STAR】=須藤満チョッパー・ベースフィーチャリング・リミックス。超カッコイイ,レア音源です。

  01. CONTROL
  02. DAISY FIELD
  03. WIND SONG
  04. WHITE MANE
  05. HAPPY SONG
  06. SNOWBIRD
  07. LABYRINTH OF LOVE
  08. UP TOWN
  09. RADIO STAR
  10. LAST RAINDROPS

  01. RADIO STAR
  02. GO FOR IT

(CBSソニー/CBS/SONY 1990年発売/CSCL1121-2)
(ボーナス8cmCDシングル付 CD2枚組)
★【初回生産限定盤】4面ダブル・デジパック仕様

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T−スクェア / ウェーブ5

WAVE-1 『TRUTH』の大ヒットは,望むと望まざるとに関わらず,ザ・スクェアを根底から大きく変えてしまった。

 『TRUTH』は“売れ線狙い”の大傑作であったが,ザ・スクェアのオリジナリティは基本的に普遍である。それで『TRUTH』の大ヒットによって,自分たちの“スクェア・サウンド”に絶対の自信を抱いたことだろう。

 J−フュージョンでは,ザ・スクェアだけが持つ貴重な『TRUTH』での成功体験。成功した者でなければ見ることのできない景色をザ・スクェアの5人だけが目撃できた。

 『TRUTH』の大ヒットを受けて,伊東たけしは3枚目のソロCDT.K.』を,和泉宏隆は初のソロCDAMOSHE』をリリース。
 伊東たけし和泉宏隆の“『TRUTH』後の景色”が非常に興味深い。“新たなアプローチ”の連続は“スクェア・メンバー”の誇りから来る自信の裏付けを感じさせられた(なんだか“スクェア・メンバー”が“SMAPメンバー”みたいな紹介ですねっ)。

 一方,ザ・スクェアのリーダー=安藤まさひろは『TRUTH』での成功体験を,ソロCDではなく,更なるバンドの発展へとフィードバック!
 安藤まさひろの目標の1つが,ザ・スクェアの“海外(アメリカ)進出”であった。かつては“遥か彼方の夢”だったものが,現実に手を伸ばせばそこにある。
 事実『TRUTH』は全米でも発売済。LAでのヒロシマ(アメリカで人気のフュージョン・バンド)との共演ライブが大成功。『YES, NO。』のツアーでは,なんとツアー・バスでの全米横断ライブまで敢行した。

 ここで安藤まさひろの次なる一手に驚いた。なんとバンド名の変更である。ザ・スクェアからT−スクェアへ…。

 本来,バンド名が変わるって,結婚して嫁いで姓が変わるぐらいの大事件だと思うのだが,かつて和泉宏隆がバンド名の変更について「THE」から「」へと「HE」がとれて臭くなくなった,と茶化していたぐらい当の本人たちは“アッケラカーン”? 

 改名の発端は「THE SQUAREザ・スクェア)」という同名のバンドがすでにアメリカに存在していたというのが理由なのだが,新バンド名=「T SQUAREティー・スクェア)」の「」というネーミングには
 THE」という従来のバンド名の短縮形。
TOKYO」という“日本の”フュージョン・バンドをアピールする意味合い。
T型定規」という数学的で理知的なイメージ。
 …という“後付のトリプル・ミーニング”がメンバー・スタッフ・ミーティングで決定したとのこと。結構安直なネーミング?

 アメリカ進出という安藤まさひろの“野望”をかなえる,ザ・スクェアT−スクェア改名後の第一弾が『WAVE』(以下『ウェーブ』)である。

 ズバリ言おう。『ウェーブ』こそ,ザ・スクェア時代の総決算にしてT−スクェアの総決算! 『ウェーブ』には,すでに日本でTOPを獲り,これからアメリカでもTOPを窺うにふさわしい“スクェアの王道サウンド”の貫禄を感じさせる。

 “スクェアの王道サウンド”の貫禄を例えるなら,チャーリー・パーカー
 その昔,ビ・バップの金字塔=『ジャズ・アット・マッセイ・ホール』で,チャーリー・パーカーチャーリー・チャン名義で録音した。しかし,あのアルト・サックスの音色は“唯一無二”。印税を借金取りに持っていかれないようにするためのチャーリー・チャン名義だったらしいが,正体即バレである。
 同様に“スクェアの王道サウンド”が鳴り出せば,T−スクェアを名乗ろうが“唯一無二”のザ・スクェアの正体即バレである。

 そう。バンド名が変わろうが,アメリカを意識しようが,やってることは従来通りのスクェア・サウンド。「伝説の5人」と讃えられる,安藤まさひろ伊東たけし和泉宏隆則竹裕之須藤満=“唯一無二”のザ・スクェアの音なのである。

 NO! 『ウェーブ』こそ,ザ・スクェア時代の総決算にしてT−スクェアの総決算! バンド名が変わっただけなのに,まるで別バンドのように感じさせる瞬間がある。

 ザ・スクェアT−スクェアのニュアンスの違いを例えるなら,勝田一樹に代表される多名義なジャズメン!
 DIMENSIONアルト・サックス・プレイヤー=勝田一樹は,芸名として勝田かず樹へ変更したが,3つ目の名前としてソロプロジェクトでの活動は「JAFROSAX(ジャフロサックス)」名義を使い分けている。

 ザ・スクェアT−スクェアへの変更は,勝田一樹勝田かず樹のように思えて,実は勝田一樹JAFROSAXに近かったりする。
 そう。T−スクェアとしての真新しい音造り。バンド名の変更が「伝説の5人」のジャズメン魂にまで影響を及ぼした節がある。

 その核となったのが則竹裕之須藤満のリズム隊のフィーチャリングである。この『ウェーブ』から,則竹裕之須藤満の生み出すグルーヴが,単なるバンドのリズム・セクションの枠を超え,T−スクェアの音造りに深く関わり始めた。

 『R・E・S・O・R・T』から『YES, NO。』までのスクェアは,和泉宏隆の音世界を5人で追求するフュージョン・バンドであった。
 和泉宏隆キーボードが全体像を描き,そこに安藤まさひろギター伊東たけしアルト・サックスが“スクェア風”の華やかな彩りを添えていた。そう。ザ・スクェアのリズム隊はキーボードを除いたベースドラムの本来3人組の実質2人体制。

WAVE-2 しかし『ウェーブ』での則竹裕之須藤満の役割は異なる。存在感を増している。いや,もはやスクェアに“なくてはならない存在感”を確立している。

 その昔のピーター・アースキンが,実力でウェザー・リポートの“レギュラー”ドラマーの椅子を奪ったように,則竹裕之須藤満もそれぞれ“レギュラー”ドラマー,“レギュラー”ベーシストの椅子を掴んでみせた。
 則竹裕之須藤満こそ,それまで移り変わりの激しかったスクェアにあって,何と14年もの間(T−スクェアのバンド形態が解消されなければ,その後のずっと継続したであろう)“レギュラー”を務めたのだ。

 その理由は則竹裕之須藤満の持つバカテクだけではない。スクェア・カラーのサウンド・メイクの能力の高さにある。サウンド・メイクで成長できたのはスクェアに対して抱く2人の愛情の表われだと思う。
 この意味で『ウェーブ』こそ,則竹裕之須藤満の“原点”であり,T−スクェアの“原点”であろう。

 さて,管理人の結論=『ウェーブ批評
 『ウェーブ』は,アメリカを意識した“ギンギンに攻める”ハードなスクェア・サウンドの名盤中の名盤である。

 『ウェーブ』の至る所にスクェアの隠そうにも隠せない“地”がポロリ。T−スクェアは世界のどこで演奏しても“J−フュージョン丸出し”のバンドなのでした。

  01. MORNING STAR
  02. LOVE FOR SPY
  03. JEALOUSY
  04. YOUR CHRISTMAS
  05. ROUTE 405
  06. DOOBA WOOBA!!
  07. BIG CITY
  08. STILL I LOVE YOU
  09. HARD-BOILED
  10. ARCADIA
  11. RACHAEL

(CBSソニー/CBS/SONY 1989年発売/32DH5218)
★【初回生産限定盤】オールカラー36P別冊写真集付

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ザ・スクェア / イエス,ノー。5

YES, NO.-1 『YES, NO。』(以下『イエス,ノー。』)こそ,スクェア史上最高に“おしゃれな”CDである。

 スクェア・ファンと『イエス,ノー。』について語り合うと,かなりの高確率で『イエス,ノー。』から伊東たけしEWI(通称イーウイ:AKAI製エレクトリック・ウインド・インストゥルメント・シンセサイザー)を使用し始めた話がでる。

 しか〜し『イエス,ノー。』での伊東たけしの聴き所はアルト・サックスである。
 和泉宏隆のハイセンスなキーボードブラス伊東たけしアルト・サックスがバッチリハマる。

YES, NO.-2 “メロウでワクワクな”【DANS SA CHAMBRE】を聴いていると“モノトーンにおしゃれして”外出したくなります。外出したら口チャックですが,家では【GO FOR IT】と【MISS YOU】はサビでタイトルをコールしていま〜す。

  01. DANS SA CHAMBRE
  02. GO FOR IT
  03. MISS YOU
  04. EL MIRAGE
  05. SHADOW
  06. MR. MELLOW
  07. KISS
  08. PAPILLON
  09. CRISIS
  10. CATCHER IN THE RYE

(CBSソニー/CBS/SONY 1988年発売/32DH5001)

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ザ・スクェア / スポーツ4

S・P・O・R・T・S-1 一聴して「あっ,スクェアが変わったな」と感じた『S・P・O・R・T・S』(以下『スポーツ』)。

 理由は「打ち込み系」の導入にある。田中豊雪則竹裕之のリズム隊は『スポーツ』が最初で最後であるが,エレクトリック・ベースと生ドラムにリズム・マシーンの重ね録りで人為的に計算加工されたリズムが分厚い。
 サイケでエッジのトンガリが強烈な安藤まさひろギター・ソロが相当来ている。

S・P・O・R・T・S-2 “凝りに凝りまくった”当時の最先端フュージョンが続く中での【宝島】にニッコリです。 
 【宝島】をこよなく愛するスクェア・ファンは全員管理人のお友達です。

  01. LOVE IS IN MY SIGHT
  02. LOVE ALL
  03. HIT AND RUN
  04. LEAVE ME ALONE
  05. OVERHEAD KICK
  06. DROP GOAL
  07. 宝島
  08. CAMEL LAND
  09. PASSAGE OF CLOUDS

(CBSソニー/CBS/SONY 1986年発売/32DH354)

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ザ・スクェア / リゾート5

R・E・S・O・R・T-1 バンド結成30年。安藤まさひろ伊東たけしを別にしてスクェアには重要人物が3人いる。
 ベース田中豊雪キーボード和泉宏隆アルト・サックス本田雅人である。

 このうち田中豊雪は『マジック』で,本田雅人は『ニュース』で,それぞれ“鮮烈のデビュー”を飾ったと言っていい。
 一方,和泉宏隆は『脚線美の誘惑』でスクェアへ加入したのだが『脚線美の誘惑』の一押しが久米大作の【チェンジ・ユア・マインド】だったこともあり,どうしても久米大作の“後釜兼代役”を強く意識させられたものだ。

 まぁ,プレッシャーという点では,ザ・スクェアの顔=伊東たけしの後釜でる本田雅人の比ではない。しかし本田雅人アルト・サックスである。インパクトあるフロント楽器の存在感は『ニュース』(もっと言えば1曲目の【MEGALITH】)だけで一発OK。
 その点,キーボード・プレイヤーとして裏方でスクェアを支え続けた和泉宏隆の“才能の爆発”を知らしめるには10TH『R・E・S・O・R・T』(以下『リゾート』)を待たねばならない。『リゾート』で起きた“奇跡”は和泉宏隆“抜き”に語ることなどできやしない!

 『リゾート』は【ハワイへ行きたい】とタイトルに念を込める程に入れ込んでいた,安藤まさひろ“念願の”ハワイ録音にしてザ・スクェア初の海外録音作。
 ファンの間でよく語られるのが『リゾート』=ハワイの音だが,管理的には『リゾート』=フィーチャリング和泉宏隆の音である。

 マイルス・バンドの音は,その全てがマイルス・デイビスであるように『リゾート』の音は,その全てが和泉宏隆である。和泉宏隆のハイセンスなアレンジ能力が炸裂しまくっている。

 この『リゾート』における“スクェア和泉化”はスクェアの歴史における重要な転換点である。
 音楽監督=和泉宏隆のサウンドをベースに,安藤まさひろ伊東たけし田中豊雪長谷部徹の4人が“スクェア・サウンド”へと着色していく! しかも和泉宏隆のアイディア以上の鮮やかさで着色していく! これぞ,歌えるメロディを緻密にアレンジされた音使いで広げるオーケストレーション!

 そう。コンポーザーが誰であろうとバンド全員が“スクェア・サウンド”のイメージを共有しコンポーザーの意図した以上のカラーを施す! これぞ『トゥルース』へと通ずるザ・スクェア“勝利の方程式”の完成形である。
 『リゾート』で姿を現した,フィーチャリング和泉宏隆の“スクェア・サウンド”は正直“神がかっていた”としか表現できない。ブレイクスルーしたイマジネーションの世界が『リゾート』に色濃い。

 『リゾート』における“スクェア和泉化”は楽曲面でも大きな成果をもたらした。そう。スクェアの2枚看板=“ロックな安藤メロディ”と“和泉バラード”の確立である。

 『リゾート』のオープニングが【オーメンズ・オブ・ラヴ】でラストが“和泉バラード”名曲中の名曲【フォーゴトゥン・サガ】の和泉宏隆作。中盤を締めるが【チャンス】と“ロックな安藤メロディ”の【プライム】が安藤まさひろ作。
 この“両雄揃い踏み”が,安藤まさひろをよりロックへと向かわせ和泉宏隆をよりバラードへと向かわせる。この分業制(専業制ではない!)の確立が『トゥルース』での【トゥルース】と【トワイライト・イン・アッパー・ウェスト】のドロップ・アウトへの一本道。

 『リゾート』が“これ以外には考えられない完璧な出来のシンセサイザー”でイントロが始まる“黄金パターン”の走り。そう。和泉宏隆ザ・スクェアの“最初の奇跡”の記録である。

PS 有名リゾート地で聴くスクェアの『リゾート』は最高なんだろうなぁ。 ← 未だ海外リゾート未体験。御宿や三浦海岸で聞いた『リゾート』はサザンや山下達郎よりも良かったです。待ってろよ,青い海,青い空,白い砂浜とマリン・スポーツ。絶対ハワイで聞いてやる〜。絶対モルディブで聞いてやる〜。ああ〜。

  01. OMENS OF LOVE
  02. FEEL ALRIGHT
  03. CHANCES
  04. STIMULATOR
  05. WE'LL NEVER HAVE A TROUBLE
  06. IN THE GRID
  07. MERYLU
  08. PRIME
  09. FORGOTTEN SAGA

(CBSソニー/CBS/SONY 1985年発売/32DH194)
(スリムケース仕様)

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アルバム単位で批評してほしい
同じ曲をテイク別に批評してほしい
多くのジャズメンを幅広く批評してほしい
一人のジャズメンを掘り下げて批評してほしい
超有名曲をもらさず批評してほしい
発売直後の新作を批評してほしい
初心者を意識したほんわかサイトにしてほしい
マニアを意識したニッチなサイトにしてほしい
オーディオについて批評してほしい



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