アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2010年12月

編集指針2011

 2010年の晦日です。2010年は(2010年も)管理人にとって印象深い1年となりました。
 プライベートではやはり引越しキャンセル(福岡→松浦)に伴うゴタゴタに精力を奪われてしまったことが一番でしょう(既に過去形)。一生涯全てを話すことはないでしょうが,これも中々できない経験でしたので今後の糧としていきます。当の本人はケロッとしていますが周りの反応が優しいやら厳しいやらで?
 痛いのは仕事の調整ですね。残すは引越し先でのアパート契約だけでしたので当然仕事を辞める宣言。しかし残留→部署移動で仕事減→給料減。その分趣味(ジャズカメラPC)に充てる空き時間が増えました。

 さて“趣味三昧”を堪能していた2010年12月。ついに来ました。久々の満腹感。
 現在の所有CDは「100%ジャズフュージョン」で「1200枚超」。22ヶ月前の引越し時に書いた「CD&DVDラック / audio-technica(オーディオテクニカ) / AT-CB504 NR」の記事を読み返して見ると「900枚オーバー」と書かれているので,順調にコレクションしてきたことが窺える(冷静に分析)。当然,前記CDラックには収まらず,再びダンボール押込み状態。そこへ今月のクレジットの請求が16万円。そのうちCD購入費が5万円なり。新しいデジタル一眼も欲しいしNASを導入して自宅サーバーを構築したい。
 この際限ない物欲と時間と費用を節約したい。どうにかこの流れを止めなければならない。

 そこで管理人は決心しました。18畳の部屋の2畳分は占拠しているであろうCDコレクションを全て処分します。ここまでの荒療治をすれば,二度と再びCDをコレクションしようなどとは思わない? 新譜を買わなくなればお金も貯まるかも。これは無理?( ← というのもこの決断は人生2度目です。前回はジャズフュージョン以外の全CDを処分しました。あの日以降,他のジャンルのCDは購入していません )

 お~っと,誤解なさいませんように。この決心は“コレクター離れ”であって“ジャズ離れ”ではありません。管理人の決心はPCオーディオが成熟してきた2010年だから下せた決断です。
 そう。管理人の選択=PCへのリッピング。貴重なコレクション音源をCDメディアからHDDへ移すだけ。その作業が終了次第,グルーヴィンか田口商店で処分。
 パッケージ商品の優位性=手触り=アートワークを見てライナーノーツを読む楽しみは減りますが,世の中とっくに音楽配信。これはこれで有りなのだ。そう思い込めるようにまでに1週間かかりました。

 結論。貴重なコレクション音源全てはHDDで保持 → ジャズ・ファン継続 → しかも高音質なPCオーディオ・ハイレゾへの参入 → CDの売却益40万円GET → 新譜買わずに毎月2万円の支出節約 → アマゾン・HMV・まささんごめん → 部屋広々 → 火事になったらHDDだけ持って避難の流れの大完成。どうです? 名案でしょ?
 あっ,それからブログ用のジャケット写真の取り込み作業の軽減。これもありがたいですね。

 それで「アドリブログ」は,とっくに来ている音楽配信を見据えたブログ編集へと,年末年始の5連休を利用してプチ衣替えいたします。
 変更点は読者の皆さんに好評でしたジャケット写真の掲載縮小です。これまではアルバムのアートワーク全てをスキャナーで取り込んでUPしていましたが,今後はジャケット写真の表と裏の2枚だけとします。
 理由は音楽配信を購入するとインナー・ジャケットが手に入らなくなるので,いずれ全体の統一感がなくなってしまうこと(例:「T-スクェア」の『WAVE批評の場合,アートワークが21枚。でもネットでダウンロードしたら0枚。この矛盾と来るべき混在を避けるために「CD批評」「DVD批評」の全記事から(スリーブケース仕様等では例外も設けますが)基本3枚目以降のジャケット写真を全削除。涙&涙。今までの労力が失われる~)。
 表と裏に決めたのはジャズメン自身も納得の2枚だと思うからでもあります(インナー写真は「開けてからのお楽しみ!」の要素が強いファン向け?)。

 この変更で「アドリブログ」は「見て楽しむブログ」から「読んで楽しむブログ」の側面が従来以上に強調される?
 2011年も「アドリブログ」を,どうぞよろしくお願いいたします。

 アドリブをログするブログ,それがアドリブログ。


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DIMENSION / SECOND DIMENSION4

SECOND DIMENSION-1 『SECOND DIMENSION』がDIMENSIONの実質のデビューCDである(キッパリ!)。

 『FIRST DIMENSION』のリリースから1年7ヶ月。待ちに待った『SECOND DIMENSION』を聴いてにんまり。『FIRST DIMENSION』にハマッテいたので“王道フュージョン”が少なくなくなったのは残念だったが,ファンキーグルーヴィーでメロディアス。想像以上にサウンドをチューンアップしてきた。

SECOND DIMENSION-2 練り上げられたアンサンブルの妙は“脱・青木智仁”? 前作と異なり,俄然,増崎孝司小野塚晃勝田一樹の3人組ユニット=DIMENSIONとしての音造りが濃い。
 DIMENSIONのメンバー3人が組めば,どんな“スーパー・ベーシスト”の突進だって止められる。例えマーカス・ミラージョン・パティトゥッチリチャード・ボナが相手でも( ← 是非この3者との共演を望む~ )。

 人気曲の多い『SECOND DIMENSION』だが,管理人の一押しは【THIS TIME】。入れ替わり立ち代りのユニゾンに悶えすぎちゃって~。

  01. Are You Gonna Win?
  02. Early Morning
  03. It's Up To You
  04. Sea In The Moon
  05. Beat #5
  06. F-Blues
  07. 2nd Street
  08. Running from Zero
  09. 煌星
  10. This Time

(BMGルームス/BMG ROOMS 1994年録音/BMCR-6009)
★94年ADLIB誌ベストレコードジャパニーズフュージョン部門受賞

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DIMENSION / FIRST DIMENSION5

SECOND DIMENSION-1 『SECOND DIMENSION』がDIMENSIONの実質のデビューCDである(キッパリ!)。

 『FIRST DIMENSION』のリリースから1年7ヶ月。待ちに待った『SECOND DIMENSION』を聴いてにんまり。『FIRST DIMENSION』にハマッテいたので“王道フュージョン”が少なくなくなったのは残念だったが,ファンキーグルーヴィーでメロディアス。想像以上にサウンドをチューンアップしてきた。

SECOND DIMENSION-2 練り上げられたアンサンブルの妙は“脱・青木智仁”? 前作と異なり,俄然,増崎孝司小野塚晃勝田一樹の3人組ユニット=DIMENSIONとしての音造りが濃い。
 DIMENSIONのメンバー3人が組めば,どんな“スーパー・ベーシスト”の突進だって止められる。例えマーカス・ミラージョン・パティトゥッチリチャード・ボナが相手でも( ← 是非この3者との共演を望む〜 )。

 人気曲の多い『SECOND DIMENSION』だが,管理人の一押しは【THIS TIME】。入れ替わり立ち代りのユニゾンに悶えすぎちゃって〜。

  01. Are You Gonna Win?
  02. Early Morning
  03. It's Up To You
  04. Sea In The Moon
  05. Beat #5
  06. F-Blues
  07. 2nd Street
  08. Running from Zero
  09. 煌星
  10. This Time

(BMGルームス/BMG ROOMS 1994年録音/BMCR-6009)

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DIMENSION / LE MANS4

LE MANS-1 フジテレビが「F-1」でT-スクェアなら,テレビ朝日は「ル・マン」でDIMENSION
 そう。DIMENSIONデビューCDLE MANS』は,テレビ朝日系「ル・マン24時間耐久レース」のオリジナル・サウンド・トラック。

 管理人は安易だな~と思ってしまったが,読者の皆さんは,安易だな~,と思うなかれ。
 実はDIMENSIONのリーダー,ギター増崎孝司は,テレビ朝日系1990年「パリ・ダカール・ラリー」のテーマソング,浜田麻里の【ノスタルジア】の作曲者。安易な発想の裏には実績があったのだ。

 安易な発想よろしく『LE MANS』は,増崎孝司を中心にキーボード小野塚晃サックス勝田一樹が組んだモーター・スポーツ用のBGM=ドライブ・ミュージックとなる疾走感あるギターフュージョン
 ゴールの感動的な情景を描いたかのようなバラードもあるが…。果たして実態はミディアム押しである。気温の高い昼,見通しの悪い夜,霧の立つ朝といった24時間の過酷なタイム感覚を伴う全6曲のミニ・アルバムの完成である。

LE MANS-2 『LE MANS』の安易な作りは,後にDIMENSIONがレギュラー化するとは思えませんでした。
 ゲスト・ミュージシャンのコーラス栗林誠一郎ベース青木智仁ドラム渡嘉敷佑一の偶然の参加もレギュラー化するとは思いませんでした。

 うれしい誤算が「金の卵」を産み落とすのだから人生とは分からない。なおDIMENSIONの楽曲は増崎孝司小野塚晃勝田一樹の作曲&DIMENSIONの編曲がセオリー。『LE MANS』には企画盤ならではの栗林誠一郎作曲の【MIRAGE】収録。ちょっと角松敏生っぽいのが大当たりです。

  01. Out Of Wind
  02. Mirage
  03. Mind Operation
  04. Departure
  05. Tornado
  06. Silent Dream

(BMGルームス/BMG ROOMS 1992年録音/BMCR-9012)
(ライナーノーツ/高桐唯詩,松下佳男)

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塩谷 哲 / ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト5

SOLO PIANO=SOLO SALT-1 正に“機が熟した”ということだろう。“ジャズ・ピアニスト塩谷哲ソロ・デビューから16周年,通算11枚目のオリジナルにして初のソロ・ピアノCD。それが『SOLO PIANO=SOLO SALT』(以下『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』)である。

 この16年,塩谷哲は,ジャズ,ラテン,J−POPを“同時進行でワープする”ピアニスト兼コンポーザー兼アレンジャー兼プロデューサーとして,SALT BANDSALT & SUGARデュエットトリオの多様なフォーマットで八面六臂で活動してきた。
 そんな“オールラウンダー”塩谷哲の意外にも初めてとなるソロ・ピアノCDの録音に,管理人は“これまでのキャリアの集大成”の意味合いが込められているように感じた。
 そう。『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』というCDタイトルは,つまり“ピアノが自分自身。ピアノは分身であり運命共同体”という塩谷哲の「ザ・ピアニスト」宣言なのであろう。

 『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』で“丸裸の自分を露わにする”ための“踏ん切りをつける”までに16年もの時間が必要だった。常に感じてきた不安を打ち砕く自信と確信。今だったらピアノ一台で勝負できる。今だったらピアノと自然体で対峙できる。16年目の勇気。正に“機が熟した”のだ。

 そう。『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』の真髄は,塩谷哲の完全ソロCDにして,塩谷哲ピアノによる“二人三脚”のデュエットCD
 SALTピアノが一体となって疾走する。これは例えるなら塩谷哲の乗馬(乗ピアノ?)である。操る&操られるを越えた人馬一体ならぬ人鍵一体の妙。SALTピアノを弾いているのか,ピアノSALTが弾かされているのか…。
 もはやピアノSALTにとって体の一部。そう思える瞬間がある。『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』でのSALTの演奏に“リアリティ”を感じてしまう。

 尤も,SALTソロ・ピアノは,大抵ソロ・アルバムに1曲程度は入っていた。特段物珍しいわけではない。
 ただしソロ・アルバムで即興のごとく披露してきたソロ・ピアノと,アルバム1枚丸ごとソロ・ピアノとでは次元が違う。これまでは「アルバムの目線を変える,流れを変える,アクセントとしてのソロ・ピアノ」で良かったが『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』では,もうその手法は使えない。

 そこでSALTが考えたアプローチは“ピアノ三昧”! ピアノ一台で聴く人を魅了するために,SALTの持つテクニックやハーモニー感覚の全てを投入のフル活用。ピアノの多彩な音色と幅広い表現力の“てんこ盛り”。ピアノ好きとしては,一音一音に多彩な表情が付けられているゆえ,音を耳で追いかけているだけで楽しくなってしまう。これぞ「SALTピアニズム」である。

 管理人にとってのソロ・ピアノとはキース・ジャレットによる“完全即興”のイメージが強い。しかし塩谷哲が選択したのは“譜面に落として練り込まれた”ソロ・ピアノ・スタイルである。
 インプロヴィゼーションも得意なはずの塩谷哲が,更に得意にしている大胆さと繊細さが共存するアレンジ能力の大爆発。SALTの表現したい,ピアノ・タッチに音色にニュアンスにハーモニー。結果,凄腕ピアニストとしての“表の”SALTとコンポーザー兼アレンジャー兼プロデューサーとしての“裏の”SALTがバランス良く顔を出している。

 ピアノ一台って実に奥深いフォーマット! そのピアニストの実力を“剥き出し”にしてしまう。管理人が『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』で新発見した“剥き出し”のSALTの魅力にリズム感がある。
 元々,サルサのデ・ラ・ルス出身なのだからリズム感がいいのは当然なのだが『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』を聴いて初めて感じたリズム感の良さ。柔らかなピアノ・タッチを支えているのがパーカッシブなリズムであった。このSALTの足を踏み鳴らす瞬間の音&音! やっぱりピアノは打楽器なんだよなぁ。

 『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』の聴き所は,7トラックで合計1曲のオリジナル【組曲「工場長の小さな憂鬱」】。
 「前世はパリジャン」と自称するSALTのヨーロッパ指向が良く出た組曲で,フランス近代のピアノ曲のようなクラシカルでエスプリ溢れる佇まい。表情豊かで起伏に富んだ楽曲群は,あたかも1曲の中に四季を織り交ぜた印象派の絵のように,カラフルで美しい音風景が広がっていく。
 IIの【森に棲む妖精たちのラベル貼り】なんかは,もろラヴェルのような曲想である。

SOLO PIANO=SOLO SALT-2 『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』のハイライトは,組曲の流れで登場する【プレシャスネス】。組曲の一部としても聴ける【プレシャスネス】の高貴なメロディ・ライン。静かで素朴で,音楽の神へと捧げられた賛歌のような&祈りのような美メロが心の琴線に触れてくる。
 【プレシャスネス】の持つシンプルなメロディ・ラインを,いかに情感を込め,しかもベタつかず,粘りすぎず,綺麗に弾けるかが,ジャズメンの腕の見せ所(聴かせ所)。この表現力はジャズメンにとってテクニック以上に“音楽への情熱”が重要になるのではなかろうか?

 楽器=その人の音=人間性 → 『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』=ピアノ塩谷哲
 『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』は“ジャズ・ピアニスト塩谷哲の自己紹介であり“ピアノが語る”塩谷哲の他己紹介でもある。
 読者の皆さんにも聞こえませんか? 【ドント・ノウ・ホワイ】【ウォーク・アローン】【ミスター・マドンナ】でのピアノの(塩谷哲の)息遣いが…。

  01. Three Views Of A Secret
  02. Don't Know Why
  03. Two Menuets
  04. Walk Alone
  05. Mr. Madonna
  06. Invention I
  07. I 純白の野心(組曲「工場長の小さな憂鬱」)
  08. II 森に棲む妖精たちのラベル貼り(組曲「工場長の小さな
     憂鬱」)

  09. III かそけきものたちの声(組曲「工場長の小さな憂鬱」)
  10. IV 慈愛(組曲「工場長の小さな憂鬱」)
  11. V うつつと夢(組曲「工場長の小さな憂鬱」)
  12. VI ニンフの囁き(組曲「工場長の小さな憂鬱」)
  13. VII 彩られる明日へ(組曲「工場長の小さな憂鬱」)
  14. Preciousness

(ビクター/JVC 2009年発売/VICJ-61590)

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塩谷 哲 トリオ / アーセオリー4

EARTHEORY-1 『WHEELIN’ AHEAD!』のツアーを最後に吉野弘志を擁した「第一次・塩谷哲トリオ」をリセットし,新ベーシスト井上陽介を迎え入れた「第二次・塩谷哲トリオ」の『EARTHEORY』(以下『アーセオリー』)。

 いい感じに“新生”塩谷哲トリオが仕上がっている。塩谷哲の目指す方向性が,新しくトリオを組むメンバー3人の共通意識として明確になった,ということだろう。
 SALTの無駄な力の抜けた“気負いのなさ”に「第二次・塩谷哲トリオ」への絶対の自信を感じる。

 そう。『アーセオリー』の特徴は“ナチュラル・グルーヴ”。
 井上陽介新加入の理由は,陰のバンマス=山木秀夫ドラミングとの相性の良さ。ジャズ的な重い音色を伴った井上陽介山木秀夫の躍動的な動くリズムがアバンギャルド。

 “新生”塩谷哲トリオの真骨頂が,後にakikoの【LADIES LOVE MERCEDES】へとつながる【LADIES IN MERCEDES】。ポップスの美しさと楽しさをジャズ・ピアノで歌い上げた名演である。
 小曽根真とのデュエットの再演となった【SPANISH WALTZ】は今回のトリオ・ヴァージョンの“違う味付け”が面白い。

EARTHEORY-2 『アーセオリー』のバラードと来れば,オープナーの【MORNING BLISS】であろうが,管理人には【TO BE STARS】。「キラキラ輝く」SALTジャズ・ピアノが正しく「星の輝き」のようである。
 管理人は名ベーシストとしてだけではなく名コンポーザーとしての井上陽介のロマンチシズムにも入れ込んでいる。

  01. Morning Bliss
  02. Eartheory
  03. In A Driving Rain
  04. So Danco Samba (Jazz Samba)
  05. Deep Affection
  06. Beat-n-Feat
  07. Ladies In Mercedes
  08. Hard Cookie Dance
  09. Spanish Waltz
  10. To Be Stars

(ビクター/JVC 2007年発売/VICJ-61444)

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塩谷 哲 / グイードの手5

HANDS OF GUIDO-1 『グイードの手』は,塩谷哲5年ぶりのソロ名義作。
 コンセプトは塩谷哲が切り開く“フューチャー・ジャズ”。塩谷哲との共同プロデュースにクラブ系の田中義人を迎え,ヒップホップ,ラテンなど多彩な音楽要素を取り入れたポップ・センスあふれるサウンドとSALTピアノとのアート感覚が融合している。

 正直,こんな感じの塩谷哲が聴けるとは夢にも思わなかった。田中義人に“フューチャー・ピアニスト塩谷哲が発掘されている。新鮮味に溢れたピアノの響きが充満している。SALTピアノ田中義人ギターのディストーションとシンクロする瞬間の快感がたまらない。

 『グイードの手』は,打ち込みを多用した“フューチャー・ジャズ”狙いなのに,ベースだけはエレキではなく全編ウッド・ベース。ただし“そんじょそこらの”ウッド・ベースとは思うなかれ。
 平石カツミの倍音ウッドが曲者。エレキ並みの生命力。この平石カツミの倍音ウッドが『グイードの手』で感じる,最先端のクラブ・サウンドのはずなのにアコーステイックの香りが残る“ミステリアスな響き”の秘密。

 【INTRODUCTION】→【ACCORDING TO LA METEO】での「静から動」へ振れ具合が最高にエキサイティングで悶えてしまう。【MR.TAP−MAN】のファンキーグルーヴライブに悶えてしまう。【YESTERDAY】の斬新過ぎる名アレンジに悶えてしまう。
 …と思えばラスト4曲のスロー・ナンバーで感じる,何とも柔らかな肌触り。心の底から和んでしまう。

HANDS OF GUIDO-2 ズバリ,管理人にとっての『グイードの手』とはSALTの“萌え系”である。 ← “萌え”の印象は当時の流行語とのオーヴァーラップのせい?

  01. Introduction
  02. According to la meteo
  03. Doodle I
  04. Mr. Tap-man
  05. Yesterday
  06. Evening Haze
  07. Doodle II
  08. Skinny-Dipper
  09. Parkside Street
  10. Azami
  11. Enharmonie
  12. 4→0→10→5
  13. Calm

(ビクター/JVC 2006年発売/VICJ-61347)

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塩谷 哲 トリオ / WHEELIN' AHEAD!4

WHEELIN' AHEAD!-1 “ジャズ・ピアニスト塩谷哲アコースティック・ジャズ・トリオの第2作=『WHEELIN’ AHEAD!』。
 『WHEEL』=車輪。『ING+AHEAD!』=止まることなく前方へ回転の意。そう。『WHEELIN’ AHEAD!』は,前人未到のピアノ・トリオの世界を目指し,3人が乗り込んだ塩谷哲トリオ名義のスポーツカー。

 大排気量の山木秀夫ドラムをエンジンに,緩急自在の吉野弘志ベースをアクセルとして,テクニシャン・ドライバーのSALTピアノがハンドルを握っていく。いい感じに塩谷哲トリオが仕上がっている。

 ありきたりのジャズにはない3人の関係性から生まれる音世界は塩谷哲トリオならではの華やかさ。時にロック,時にクラシカルへと変貌するのは“司令塔”の山木秀夫ドラミング
 そう。塩谷哲トリオは,塩谷哲が“初めて他人に身を委ねた”ユニット。ゆえにプレイヤーとしての比重がいつになく高く“ジャズ・ピアニスト塩谷哲の“しなやかな”ピアノ・タッチが堪能できる。

 ただしその悪影響なのか,名作曲家としてのキラー・チューンは【FUN EXPRESS】1曲のみ。名編曲家としての顔も【TEEN TOWN】1曲のみ。

WHEELIN' AHEAD!-2 管理人の結論=『WHEELIN’ AHEAD!』は,超一流のジャズメン3人のぶつかり合いと3人の高次元の融合の両立が素晴らしいのだが,見事にまんべんなくまとまった全項目オール4の演奏。
 一項目3でもいいから一項目で5が欲しかった。もっとハミダソウヨ。 

  01. What a Wonderful World
  02. Teen Town
  03. Fun Express
  04. Mingle Jingle
  05. Another Tale of a Star
  06. Mr.D.F.
  07. Nighthawk
  08. La pluie
  09. Heat of Mind
  10. Mr.D.F. (refrain)
  11. Here, There and Everywhere

(ビクター/JVC 2004年発売/VICJ-61176)

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塩谷 哲 / トリオっ!5

3!-1 “ジャズ・ピアニスト塩谷哲初のアコースティック・ジャズ・トリオ作が『3!』(以下『トリオっ!』)。

 SALTの同じピアノ・トリオでも『トリオっ!』は,続く「塩谷哲トリオ」名義の『WHEELIN’ AHEAD!』『EARTHEORY』とは骨組みが異なっている。

 『トリオっ!』は,ピアノ・トリオ・フォーマットを導入してはいるものの,そこは塩谷哲のソロ名義CD。「ソロ制作の一環としてピアノ・トリオを導入してみました〜」的な,ベーシスト吉野弘志ドラマー山木秀夫との「第一次・塩谷哲トリオ」の結成である。
 そう。名手2人を従えた“王様”としての炸裂ぶりに,ありのままの塩谷哲ピアノが顔を出している。

 『トリオっ!』でのピアノ・トリオ・フォーマットへの挑戦は【PASSAGE】で実を結んでいる。
 ん? 【PASSAGE】は『トリオっ!』全13曲中唯一のピアノ・ソロ・トラック。ピアノ・トリオへのチャレンジがSALTソロ・ピアノに影響を与えている。
 SALTピアノを“鳴らしている”。これ程奥深いピアノは以前のSALTにはなかった表情だ。覚醒である。SALTは“ジャズ・ピアニスト”として【PASSAGE】で“一皮剥けた”と思っている。

 「SALT BAND」として,そして「FOUR OF A KIND」としての成功体験を“シンプルにして究極のフォーマット”と称されるピアノ・トリオで表現してみたい。
 そう。『トリオっ!』は“ジャズ・ピアニスト塩谷哲としての胸の高鳴り=自然の欲求がモチベーションとして突き抜けている。

 塩谷哲トリオの結成。そこで悩むはベーシストドラマーの人選。塩谷哲のお眼鏡にかなったのが吉野弘志山木秀夫である。
 『トリオっ!』は,塩谷哲塩谷哲であるためのピアノ・トリオ吉野弘志山木秀夫のサポートを受けたSALTピアノは“水を得た魚”。

 スケール無限大の塩谷哲トリオの音楽を“リードする”のが吉野弘志吉野弘志の“雄大なベース・サウンド”が時にクリティカルなピアノの響きをジャズ・ピアノの音世界へと先導する。
 ソロイストとしての吉野弘志の力量が圧倒的。管理人はひそかに,塩谷哲吉野弘志ベースに“嫉妬”を覚えたのではないか,と思っている。【SPEAK OUR LANGUAGE?】【OVERJOYED】でのベース・ソロが秀逸である。

 スケール無限大の塩谷哲トリオの音楽を“後押しする”のが山木秀夫山木秀夫の“生きたドラム・サウンド”が時にクリティカルなピアノの響きをジャズ・ピアノの音世界へと引き戻す。
 ソロイストとしての山木秀夫の力量が圧倒的。管理人はひそかに,塩谷哲山木秀夫ドラムに“嫉妬”を覚えたのではないか,と思っている。【AFTERSCENT】【STORM FRONT】でのドラム・ソロが秀逸である。

3!-2 “王様のサポーター”としての吉野弘志山木秀夫名演を引き出したのが,名プロデューサーにして名アレンジャーの塩谷哲である。
 塩谷哲のオールラウンダーとしての才能が,あくまでもソロイストとしてのSALTの個性を生かす選曲と構築美として聴き分ける事ができる。
 そう。ベーシスト井上陽介を迎えて“トライアングルなユニットとしての塩谷哲トリオ”を追求した「第二次・塩谷哲トリオ」と比較して,塩谷哲ソロ名義の『トリオっ!』に面白みと愛着を感じる。

PS1 アルバム・タイトル『トリオっ!』の『っ!』の部分に塩谷哲の意気込みが表現されている!?
PS2 『トリオっ!』のCDジャケットのハイセンス。塩谷哲のマルチな才能は音楽を超えたアートなのか!?

  01. Speak Our Language?
  02. Afterscent
  03. Running an Errand
  04. Overjoyed
  05. Do You Still Care?
  06. Ruby Baby
  07. Running More Errands
  08. Storm Front
  09. Sicilienne
  10. Flying Shoes
  11. Passage
  12. Afterscent Dub-Mix
  13. Puff the Magic Dragon

(ビクター/JVC 2003年発売/VICJ-61026)

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カシオペア / プレイセズ4

PLACES-1 『PLACES』(以下『プレイセズ』)を聴いて,カシオペアへの不満がまた頭をもたげてしまった。
 実際はそんなに悪くないのかもしれない。事実,DVD盤『CASIOPEA VS THE SQUARE THE LIVE!!』での演奏は良かった。

 「アダルト路線」とか「円熟」と書けば通りは良いが『プレイセズ』に漂う“抜けの悪さ&もったり感”。
 『MAIN GATE』『INSPIRE』と順調に若返ってきたのに『BITTER SWEET』へ逆戻りしたかのようである。

PLACES-2 カシオペアのデビュー当時のキャッチ・フレーズ「スリル・スピード・テクニック」は失われてしまった。次なるキャッチ・フレーズ「ポップ・クリエイティヴ・サウンド」も失われてしまった。

 最後に残るはカシオペアのアイデンティティのみ。『プレイセズ』でも伝統のカシオペア・サウンドが流れている。本質だけは崩れない&揺るがない。もはや聴き飽きていたはずの向谷実の音色に安心感を覚えてしまう。長く続けるって素晴らしい。

PLACES-3 【ESCAPE JOURNEY】【SARIDARI−DAHLIDALI】でのチャレンジは“進化したマンネリズム”である。

  01. Right On The Orbit
  02. Windy City
  03. Rare One In N.Y.
  04. Escape Journey
  05. Tropicool
  06. Teatro Saudade
  07. Sprinter
  08. It's Not Only One Time
  09. My Native Place
  10. Saridari-dahlidali
  11. Gazebo
  12. Tokyo Sunset

(パイオニアLDC/PIONEER LDC 2003年発売/PICL-1276)

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塩谷 哲 WITH SALT BAND / LIVE! LIVE! LIVE!5

LIVE! LIVE! LIVE!-1 『LIVE! LIVE! LIVE!』は「塩谷哲 WITH SALT BAND」初のライブCDにして裏ベスト

 この演奏にこの選曲。SALTファンは,これ以上の高望みをしてはいけない。もう少し長いツアーを行なえばコンビネーションは更に進化することだろう。でも果物だって女性だっておいしいのは「熟れる直前」でしょう? これ以上成熟したところでおいしさ=面白さが失われてしまう。

 塩谷哲のソロ・レコーディング参加メンバーにしてツアー・メンバーが集まった「SALT BAND」。不定期な活動具合が「セッション以上バンド未満」な“こなれる”一歩手前のいい感じ。集合一発“せ〜の”で音出しするライブ感と同時に,どこかでオリジナルの再演を意識した譜面通りの完成度が“せめぎあっている”。
 『LIVE! LIVE! LIVE!』なライブCDは,聴きたくてもそうめったに聴けるものではありません。ジョウモノはシロモノです。

 『LIVE! LIVE! LIVE!』を最後に「SALT BAND」は解散。
 『LIVE! LIVE! LIVE!』のプレイバックで塩谷哲を襲った“強烈な満腹感”。ステージと客席が一体化した最高のパフォーマンスに,もはや「SALT BAND」に発展の余地を見い出すことができなくなったのだろう。これぞおいしさ=面白さのピーク。これぞ“天才”ジャズメン自身が認めた名演集なのである。

 塩谷哲ジャズ・ピアノが,浅野祥之ギター松原秀樹ベース沼澤尚ドラム大儀見元パーカッションの名手4人を“覚醒”させている。4人を“SALT”と同化させている。

 そう。「塩谷哲 WITH SALT BAND」は,塩谷哲が弾いたであろうメロディ・ライン&ベース・ラインを,塩谷哲以上の“SALT色”で表現してみせる。
 カラフルなフュージョンなのにジャズ特有の緊張感が同居している。イレギュラー・バンドの“手探り感”が,リハを超え,前日を超え,1STセットを超えていく。

 【あこがれのリオデジャネイロ】における後半のアドリブの大盛り上がり! 大儀見元に煽られた塩谷哲の強打が圧巻! SALTの叩きまくったピアノが打楽器! ミディアムにして,こんなSALT初めて聴いた〜。
 オリジナルでは不発だった【THAT’S THE WAY LIFE GOES】のしなやかさと【TRANS CAFE】での鬼のようなグルーヴ。この3トラックが『LIVE! LIVE! LIVE!』のハイライトであろう。

 このハイレベルな“擬似SALT”のアプローチ中に垣間見える4人の個性。一音一音のクオリティ。この「SALT BAND」の音の交歓が素晴らしい。
 浅野“ブッチャー”祥之が,松原秀樹が,沼澤尚が,大儀見元塩谷哲してみせれば,塩谷哲浅野“ブッチャー”祥之に,松原秀樹に,沼澤尚に,大儀見元になった瞬間がある。そう。真の“SALT色”とは“SALT BAND色”なのだ。

 さて,管理人の選ぶ塩谷哲のフェイバリットは『SALT II』なのだが,塩谷哲最初の1枚は,塩谷哲が一番“フュージョンしている”『LIVE! LIVE! LIVE!』をお奨めしている。

LIVE! LIVE! LIVE!-2 『SALT II』の濃厚な奥深さ。インテリ然とした緻密な計算の上に作リ上げられた複雑な構築美がたまらない。しかし『SALT II』は,塩谷哲ジャズ・ピアノが好きになって初めて広がる音世界。SALTの音楽の楽しみ方は“漆塗り”の楽しみ方に近いと思っている。見えない部分で確かに感じる手間暇かけた音造り。

 それに比べて『LIVE! LIVE! LIVE!』は,とっつきやすい。ライブゆえのその場のノリが親しみやすい。「SALT BAND」も演奏するのが楽しそうだし,観客を楽しませようとサービスしてくれている。ビール片手に盛り上がれる。
 そう。『LIVE! LIVE! LIVE!』には“フレンドリーな”塩谷哲ジャズ・ピアノが流れている。見える部分で確かに感じる手間暇かけた音造り。

 なお『LIVE! LIVE! LIVE!』の「初回生産限定盤」には「PREMIUM SINGLE」の【SHADOW OF LIGHT】【HURRY! HURRY!】の2トラックの特典付。正に「プレミアム」な演奏は本編と差し替えても見劣りなしの遜色なし。
 『LIVE! LIVE! LIVE!』を購入するなら「初回生産限定盤」を強くお奨めする。

  01. ARE WE SMOKIN' YET?
  02. SIDE BY SIDE (WE GO)
  03. MAGIC, DREAM, OR TRUE LOVE?
  04. 88+∞
  05. THE DEW OF LIFE
  06. THAT'S THE WAY LIFE GOES
  07. TRANS CAFE
  08. IN SEARCH OF YOU
  09. あこがれのリオデジャネイロ
  10. KEEP SMILING!

  Premium single
  01. SHADOW OF LIGHT
  02. HURRY! HURRY!

(ビクター/JVC 2002年発売/VICJ-61017)
★【初回生産限定盤】8cm PREMIUM SINGLE CD付 CD2枚組

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塩谷 哲 / ピアニズミックス4

PIANIZMIX-1 2度目のレコード会社移籍&初の外部プロデューサーとの共同プロデュース。『PIANIZMIX』(以下『ピアニズミックス』)は塩谷哲の変身願望の意欲作。

 『ピアニズミックス』とは『PIANIZM(ピアニズム,ピアノ演奏技術,ピアノのための編曲)』+『MIX(混合する,交配する,結びつける)』の意。そう。目的は「フィーチャリングピアニスト塩谷哲」。

 敢えてトータル・ミュージシャンとして全体を見渡す眼力を閉じ,一人のピアニストとしてピアノと真摯に向かい合いピアノだけにフォーカスを合わせるプレイヤーとしての塩谷哲を前面に押し出している。

 森俊之プロデュースの効果は大きいと思う。第三者目線で作られた塩谷哲の音楽性が新鮮に響いている。眠っていた“ポップでヒップな”塩谷哲の魅力が溢れ出している。

 『ピアニズミックス』は,流行のクラブ系でありテクノでありジャズ・ピアノのラグタイムであり宇宙への発射である。ただし少々サイケでケバイのがヤバイ。

PIANIZMIX-2 「SALT BAND」での危険なテンション充満のトンガッタ演奏が延々続き,ラストの2曲【TENDER EYES】【KEEP SMILING】で解放される。ここが快感。

  01. Trans Cafe
  02. Cab Talk
  03. Avenue 21
  04. GENOM
  05. Strolling Bob
  06. Shadow of Light
  07. Aero-Train
  08. Cat Dance
  09. Tender Eyes
  10. Keep Smiling

(ビクター/JVC 2001年発売/VICJ-60739)

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塩谷 哲 / WISHING WELL5

WISHING WELL-1 『88+∞(EIGHTY−EIGHT PLUS INFINITY)』の発売から4ヶ月,早くも塩谷哲の新作『WISHING WELL』が届けられた。
 ついに来た。『WISHING WELL』は,SALTファン待望のバラードCDである。

 “天才”塩谷哲の描くバラードの音世界。『WISHING WELL』の情景は「冬の夜」であった。凛とした無音の世界に静かで柔らかい滋養の音がしんしんと降り注ぐ。手の平に落ちては消え去る粉雪がいつの間にか地表へ,そして心へと積もっていく。
 このメロディ,このハーモニー,ドラマティックなストリングス塩谷哲の『グイードの手』が世界中の教会の鐘を打ち鳴らしながら響き渡る。涙がこぼれそうになる。いや,幾度も涙がこぼれ落ちてしまった。

 塩谷哲は稀代のオールラウンダーである。ハードにもソフトにも,最新にも古典にも,ジャズフュージョンにもラテンにも…。
 そして『WISHING WELL』で顔を見せるはクラシックである。ウィズ・ストリングスである。イメージしたのは小曽根真の『WALK ALONE』であった。
 当時は“畑違いの”小曽根真を連想したのは『DUET』で現実となった「予知夢」だったとして,塩谷哲は将来,クラシックの大曲へも傾倒するであろう(こちらはまだ実現していない「予知夢」として記しておく)。

 基本,塩谷哲の書く楽曲はインテリジェンス。聴き込む時間と集中力を要求する。しかし,一度紐解き,曲の構成を掴んでしまえば一気に分かりやすくなる。
 SALT本人は気付いていないかもしれないが,管理人は「自称・前世はパリジャン」なSALTは,クラシックの現代音楽や「組曲」も書ける長編作家だと思っている。

 例えば【WISHING WELL】。荘厳な音,神秘的な音,重厚なストリングスであるが,いたって透明な音である。湖面を揺らめく水の音である。透明な水の粒がメロディになって浮き上がって消えていく。しかし水は指では掬えない。指の間からこぼれ落ちた水が連なる波の輪となり向こう岸まで広がっていく。

 例えば【PRAY】。【PRAY】は,聴く度に毎回違うドラマを見せてくれる。切ない思い。クライマックス。ある時はハッピー・エンド。またある時はやりきれない思い。ストリングスの盛り上がりと連動して,感動が心に突き刺さる。真に美しいものを見た時に覚える痛みが伴う。

 そう。塩谷哲バラードは,ピアノで情景を,ピアノで物語を紡いでいく。甘いメロディがオーケストラな響きを有している。クラシック調の展開に懐かしさを感じるのはなぜだろう?

WISHING WELL-2 『WISHING WELL』のハイライトは,イヴァン・リンスの【SETEMBRO(BRAZILIAN WEDDING SONG)】。
 ピアノパーカッションによる塩谷哲の一人多重録音のハイセンスは,越えることのできないオリジナルを越えた数少ない大名演。世界的名曲の“シンプルすぎる”カヴァーにSALTの“天才”ぶりが遺憾なく発揮されていると思う。

 それにしても,アグレッシブな「SALT BAND」の『88+∞(EIGHTY−EIGHT PLUS INFINITY)』とウィズ・ストリングスバラードの『WISHING WELL』とのギャップの大きさ。
 完全なる別物を同時進行的に制作した塩谷哲の力量と切替の早さに舌を巻く。

 “天才”塩谷哲の引き出しの大きさ,その引き出しの1つ1つの底の深みに,かつてキース・ジャレットが,アメリカン・カルテットヨーロピアン・カルテットソロ・コンサート,クラシックの4本同時進行で走り抜けた姿を想起させられる。

  01. WISHING WELL
  02. THE DEW OF LIFE
  03. ENGLISHMAN IN NEW YORK
  04. SETEMBRO (BRAZILIAN WEDDING SONG)
  05. NORWEGIAN WOOD
  06. WISHING WELL ---RAP---
  07. BELLA NOTTE (PERFORMED BY SALT & SUGAR)
  08. PRAY
  09. 星の夜
  10. WISHING WELL ---RAP---

(ファンハウス/FUN HOUSE 1998年発売/FHCF-2446)

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カシオペア / サン・サン4

SUN SUN-1 『SUN SUN』(以下『サン・サン』)は,ロック界の名プロデューサー=カルロス・アロマーを迎えたファンキーなアメリカン・ロック作。

 ベースドラムが重低音な“ブツ切り無音編集”なのにギターのディストーションは薄い。随所にカシオペアらしい“キメ”が顔を出すゆえ,クリア・トーンでのサウンドの変化は表面的で中途半端。3曲のボーカル・ナンバーもフュージョンしていてロックにはなりきれていない。

 この全てはカシオペアの4人がカルロス・アロマーからの無理難題を半分だけ聞き入れて無難な形で寄り切った感じ?
 大物プロデューサーの要求にも(満足できなければ)首を振り,ゲスト・ボーカリストに全米ナンバー・ワン・ヒットの“超大物”ジョン・ウェイトをも起用した『サン・サン』は,カシオペアの結成10周年記念CDにして“世界のカシオペア”として名実共にVIPでBIGになった記念碑である。

SUN SUN-2 【COAST TO COAST】【AFTER GLOW】は“最高バランスな”名演中の名演です。

  01. Conjunction
  02. Coast To Coast
  03. Keepers
  04. Lunar Shade
  05. Sun
  06. After Glow
  07. Mr. Unique
  08. Samba Mania
  09. Departure
  10. Someone's Love
  11. Mi Senora
  12. Somethings Wrong (Change It)
  13. Transformation 1
  14. Planetoid〜Mother Earth

(アルファ/ALFA 1986年発売/VRCL-2215)
(ライナーノーツ/小貫信昭,宮住俊介)
★【初回生産限定盤】ミニLP紙ジャケット仕様

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