アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2011年05月

テレビ東京 / ソロモン流 / 上原ひろみ

ソロモン流 / 上原ひろみ 本日,テレビ東京(TVQ九州)にて「ソロモン流 上原ひろみ」が放送されました。
 番組は日本,イタリア,ロシアでの演奏旅行とその舞台裏。上原ひろみのオンとオフの二本立てドキュメンタリーでした。

 東京公演は「コットン・クラブ」と「ブルーノート東京」。“世界の”上原ひろみの凱旋ライブではない。実は,今回の帰国は「考え出すと回らないスケジュール」の合間をぬった久しぶりの休暇の予定だった。しかし,この度の震災に心を痛め,休日返上で急遽決まったライブだった。

 まずは「コットン・クラブ」公演。「少しでも元気の足しになるような演奏ができれば」と語っていた上原ひろみだったが,リハーサルから本気モード。誰も声をかけることのできない緊張感に包まれ,あっという間に会場15分前まで弾いてしまっていた。調律師にせかされてピアノのチェックを始めるも,またまた熱が入ってしまう。
 調律師は上原ひろみを「一番ピアノを楽しそうに弾いている人」と語る。それに答えて「自分が楽しくないものを人に楽しめ,というのは無理なので」と上原ひろみが語っていた。

 変幻自在なスタイル。うなりを上げて疾走する。ピアノと組み合う格闘技。誰もが思わず拍手したくなる迫力。秀逸なアレンジ&早弾き。弾いていることがいかにも楽しいという表情。音楽という枠さえも越えた何かが上原ひろみライブにはある。

 上原ひろみの激しい演奏は肉体を酷使する。毎日のように悲鳴を上げる“ステージ上にアスリート”さながらの体調管理の様子が放送された。本番前にパスタを食べる。炭水化物を食べないとエネルギーが出ない。常識を越えた指の指の筋力トレーニングが強さの秘訣であった。

 番組BGMで何度も流れた【グリーン・ティー・ファーム】。そう。故郷,浜松でのオフ・ショット。何と上原ひろみが,浜松市の「文化芸術特別賞」を受賞した。「地元の星」だと紹介されていた。
 そんな「地元の星」も女の子。「子供の頃からずっと好きだった」と語る600円のワンタン麺をぱくついていく。「これ以上ないシンプルな味わい。一つの中の完結された世界観が好き」だと語りながら,ぱくついていく。好きなものに夢中になるのはピアノと同じのようだ。

 上原ひろみの子供の頃の“お宝映像”が放送された。6歳の時の「エチュード/モデラート」の映像を見つめながら「ピアノを弾くと周りの人が笑顔になるのが楽しかった。お客さんがみんな笑顔になって拍手してくれる」と語っていた。
 “天才少女”の誕生は,周りの人のおかげでしょう。上原ひろみにとっては,喜んでくれる人がいなければピアノを弾く意味がないのかもしれない?

 続く「ブルーノート東京」公演。今回の「ブルーノート東京」は,震災の影響で海外ジャズメンからのキャンセルが相次いだためのピンチ・ヒッターとしてのボランティア出演。
 それで今回のステージは,タップダンサー・熊谷和徳とのスペシャルコラボレーション。即興が得意な2人の天才。アイコンタクトを取りながら軽快なフレージングでタップとピアノで会話する。見たこともないアドリブの応酬。【ホワット・ア・ワンダフル・ワールド】に,童謡【ふるさと】を加えて弾いたエンディング。観客は勿論,スタッフまでをも泣かせてしまいました。

 日本の最後は,番組の案内人・船越英一郎とのインタビュー。
 「旅から旅へという生活。ホテルからホテルへの生活。朝起きてここどこだっけ?っていうのがある。現場のサンドイッチのパンがしっとりしているから日本だなと感じる。落語が好きで,ここの間はこの人だな,と感じるのが好き。音楽も落語と同じで名人になるジャンプ台みたいなものはない。その年代のベストを追い求めたいと思う」と語っていた。

 2ヵ国目はイタリア。海外で初めてとなるオーケストラとの共演である。
 曲目は【ラプソディ・イン・ブルード】。クラシック・ピアノはソロ以外は楽譜通りが原則なので,指揮者にソロを織り込みたいと伝えたリハーサル風景。
 お互いの曲に対するイメージが同じでないと上手くいかないものなのに,何と指揮者の楽譜と上原ひろみの持参した楽譜が違っていた。しかし予期せぬ出来事にもパニックにはならない。「こんな感じで弾きたいんだけど」。一瞬の即興で指揮者のハートを鷲掴み。
 次は,オーケストラの団員たちとのリハーサル。クラシックの領域でどれだけの仕事ができるのか,冷静に品定めされている。やはりここでも,即興一発。「まるで魔法だったよ。演奏から情熱が伝わってきた」。思わず笑顔の団員たち。団員のハートも鷲掴み。合奏部分も一体に仕上がった。

 公演当日。自分でメイクしながら気合を入れる。「思う存分楽しんできます」と言い残して出発。結果は…。聴衆の叫び声&スタンディング・オベーション。今や団員たちも長年の友達のように見えた。

 翌日,8時間移動でロシアはモスクワ入り。自分の公演の宣伝看板を見て「一瞬で疲れが吹っ飛ぶ。うれしいなぁ」だって。
 到着その日の夜のステージ。満員の聴衆に優しく語りかける。客席との会話である。ここでもやっぱり…。圧倒的な力量でモスクワっ子のハートも鷲掴み。あまりの喝采に思わず涙する。

 そうなんだ。ここなんだよなぁ。上原ひろみの魅力って…。
 ピアノの指さばきは革命的と絶賛された。グラミー賞を受賞して世界中から取材も殺到した。しかしいつでも他人事。名声や賞を取る事に関して欲求はない。4年前に結婚したが2人で過ごす時間も多くない。ではなぜそこまで?

 上原ひろみの答えはこうである。「おばあちゃんになるまでずっとピアノを弾いていることが私の目標で,それ以上の野望はないです」。

 いや〜,この言葉にグッと来ました。これまでも応援してきましたが上原ひろみが,もっともっと好きになりました。

寺井 尚子 / プリンセスT5

PRINCESS T-1 寺井尚子唯一のフュージョン作。それが『PRINCESS T』(以下『プリンセスT』)である。

 『プリンセスT』は,フュージョン・ギターのスーパー・スター=リー・リトナー・プロデュース。寺井尚子が一気に華やいで聞こえる。上質なジャズ・ヴァイオリンとLAのフュージョン・サウンドの融合が非常に聴きやすい。

 寺井尚子の立ち位置が痛快である。超大物のリー・リトナー。同じ弦楽器のリー・リトナー。名前でも音量でも負けてしまう。たとえ自分のリーダー作であったとしても競演したら負けてしまう。
 そう。『プリンセスT』で寺井尚子が目指したのは共演である。相手の懐に飛び込んで人のまわしで相撲をとるのだ。

 『プリンセスT』で寺井尚子は“ジャズ・ヴァイオリニスト”の肩書きを封印している。とにかく爽やかに。そして華やかに。時にシリアスに…。
 完全にリトナー・グループのゲストになりきってみせる。ただしゲストが主役である。そう。『プリンセスT』で寺井尚子は“ジャズ・ヴォーカリスト”として自分の歌を歌ってみせる。いや〜,これがいい。寺井尚子が最高に輝いている。寺井尚子の美のピークを迎えていたと思う。

 『プリンセスT』の楽曲はバラエティに富んでいる。ブラジールな【BEIJOS(KISSES)】。100%リー・リトナーな【VENICE AVE.】。ジャズの【ST.THOMAS】。フュージョンの【BLACK MARKET】。ブラック・ファンクな【CANTALOUP ISLAND】。そしてクラシックの原形をとどめない【PRINCESS T】と【MYSTIQUE】。
 素晴らしい。もう何を演っても上手くいく。完璧である。『プリンセスT』で表出した,ツボを決して外さない“卓越した表現力”こそが,寺井尚子最大の魅力である。ここにジャズメン=寺井尚子の実力を垣間見た思いがする。

 寺井尚子・オリジナルなバンド・サウンドも良い。しかし,管理人は寺井尚子はセッション・タイプのジャズメンだと思っている。それも相手が大物であればある程,実力以上のものを発揮するタイプである。
 『プリンセスT』とそのフォロー・ツアーのライブ録音『ライヴ』を聴いてそう思う。寺井尚子リトナー・グループとのセッションで“覚醒”している。アドレナリン出まくりのフレージングの大連発。しかも一発一発が意外に重くて鮮烈なのだ。
 もはやかなわぬ夢となったが“勝気な性格”の寺井尚子マイルス・バンドと共演するのを一度聴いて見たかった〜。きっと天井知らずの伸び代で「マリリン・マズール2世」の名を襲名したであろうに?

PRINCESS T-2 いいや,襲名したのは『プリンセスT』→『プリンセス・T=テンコウではなく寺井』→『女王寺井』→『“女帝”尚子様』。

 ああ,いとしの尚子様〜。管理人を快楽の泉へとどこまででも連れてってくださ〜い。
 管理人は『プリンセスT』で尚子様のアリ地獄へドップリとハマッテしまいました。

  01. Beijos (Kisses)
  02. Princess T - based on Maurice Ravel's “Pavane For
     A Dead Princess”

  03. Black Market
  04. Shadow Play
  05. Venice Ave.
  06. St. Thomas
  07. The Child Within
  08. Cantaloupe Island
  09. Mystique - based on Erik Satie's “Gymnopedie No.1”
  10. Bango Tango
  11. True Blue

(ビデオアーツ/VIDEOARTS 2000年発売/VACV-1037)

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カシオペア / カシオペア・ライヴ5

CASIOPEA LIVE-1 カシオペアライヴ盤と来れば,完璧で鉄壁な『ミント・ジャムス』であろうが,管理人にとって『ミント・ジャムス』は神!

 方や『CASIOPEA LIVE』(以下『カシオペア・ライヴ』)は,管理人がFMをエア・チェックしていた頃の『カシオペア・ライヴ』そのもの。常日頃から親しんでいた“リアルな”『カシオペア・ライヴ』の定番である。

CASIOPEA LIVE-2 CD版もいいのだが,お奨めはVHS版『CASIOPEA LIVE』の方です。
 どちらを買っても=金言=カシオペアライヴだ!
 
  01. DOWN UPBEAT
  02. THE CONTINENTAL WAY
  03. FABBY DABBY
  04. TWILIGHT SOLITUDE
  05. MARINE BLUE
  06. LOOKING UP
  07. EYES OF THE MIND
  08. ASAYAKE
  09. GALACTIC FUNK

(アルファ/ALFA 1985年発売/32XA-48)

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寺井 尚子 / ピュア・モーメント5

PURE MOMENT-1 『THINKING OF YOU』が“男勝りな”寺井尚子なら『PURE MOMENT』(以下『ピュア・モーメント』)は“女盛りな”寺井尚子

 硬派から軟派へ…。『ピュア・モーメント』は,肩肘張らない,しかし芯の強さは変わらない,寺井尚子本来のしなやかで優雅な華のある演奏集。『ピュア・モーメント』の音造りは『シンキング・オブ・ユー』の副産物である。『シンキング・オブ・ユー』が売れて良かったなぁ。

 『ピュア・モーメント』こそ,寺井尚子“待望の”「寺井尚子・グループ」のデビュー盤。
 ピアノ奥山勝ベース池田達也ドラム藤井摂によるライブでのレギュラー・メンバーなのが大成功。
 成功の秘訣は寺井尚子の“豊かな”音楽性にある。寺井尚子ヴァイオリニストの前にジャズメンであり音楽家である。
 寺井尚子ジャズ・ヴァイオリニストとして“超一流の”テクニックを有している。同じ音符を弾くとしても,寺井尚子は一音一音,曲調に応じて弾き分けている。素晴らしい演奏力であり表現力である。正しくレインボー=七色の表情で光輝いている。
 しかしそれにも増して素晴らしいのは,甘く切なく骨太なグルーヴ。これである。このグルーヴ感に,多くのジャズ・ファンはKOされまくる。

 寺井尚子アドリブがスパークするや,もはや誰にも止められない。リスナーが想像も出来ない場所まで一気に連れ去ってくれる。
 この点でバンド・メンバーの果たす役割が非常に大きい。唐突にスイングするヴァイオリンピアノベースドラムが見事に追随し音を合わせている。まるで初めからもアドリブの目的地を知らされていたかのように…。
 素晴らしいコミュニケーション。素晴らしいバンド・サウンド=イメージの共有である。

PURE MOMENT-2 哀愁の【アディオス・ノニーノ】〜純愛の【ピュア・モーメント】の流れから一転,超アグレッシブで「フィーチャリング池田達也」な【サマー・タイム】に(いい意味で)打ちのめされてしまう。
 管理人はこの出だしの3曲で放心状態。大好きな【スペイン】なのにスロー・テンポなのが頭に入らない。再びスイッチが入るのが『ピュア・モーメント』のハイライト=宇多田ヒカルの【ファースト・ラヴ】〜アール・クルーの【ドリーム・カム・トゥルー】。大胆なのに繊細で,泣きたいくらいの歓喜に包まれていく。この“センチメンタルなリリシズム”に“女盛りな”寺井尚子を感じてしまう。

 東芝EMI移籍後の寺井尚子のクオリティは高い。寺井尚子・サウンドが完成している。文句のつけようがない。その点『ピュア・モーメント』には“粗さ”がある。まだ自分自身では抑制できない“感情の起伏”がある。エロスがある。

 『ピュア・モーメント』の“じゃじゃ馬なのにお嬢様育ち”のギャップ。管理人の愛聴盤である。

  01. Adios Nonino
  02. Pure Moment
  03. Summertime
  04. Fragile
  05. Spain
  06. Estate
  07. First Love
  08. Dream Come True

(ビデオアーツ/VIDEOARTS 1999年発売/VACV-1033)
(ライナーノーツ/青木和富,中西俊博)

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寺井 尚子 / シンキング・オブ・ユー5

THINKING OF YOU-1 寺井尚子は“遅咲きの”ジャズメンである。20歳でプロになりCDデビューまで10数年のセッション活動。矢野沙織寺久保エレナの“早熟”女子高生ジャズメンとは完成度が異なる。
 “未完の大器”を応援してファンみんなで育て上げるのが好みなのだが,いつまでも青田買いを続ける程ウブじゃない。要は“本物の新人”を聴きたいだけなのだ。

 寺井尚子のデビューCDTHINKING OF YOU』(以下『シンキング・オブ・ユー』)は“圧巻”である。管理人の寺井尚子歴は後追いなので,後追いだからこそ感じる,同時体験では書けない「寺井尚子のデビュー評」が書ける?
 そう。「鮭の川上り」でトリップしても変らないテイスト。これはCDを大人買いして,一日で全ディスコグラフィを聴き漁った者にしか分からないテイスト。逆回転して辿り着いた『シンキング・オブ・ユー』に唸ってしまったのだ。

 『シンキング・オブ・ユー』の“ディープな”ジャズ・ヴァイオリンの世界。これには寺井尚子の“遅咲きの”デビューが影響しているのかもしれない。
 「もしかしたら最初で最後のアルバム。自分の全てを出し切ろう」。同じく“遅咲きの”綾戸智絵と同様の危機感と狂喜の陰影の世界が“一曲入魂”の濃密な演奏集となっている。
 特にオープニング=寺井尚子お披露目の1曲目として【STOLEN MOMENTS】をセレクトしたあたりに気合と気概を感じてしまう。

 これは寺井尚子が公言していることだが,寺井尚子はソロ・ヴァイオリニストにしてバンド指向。織り重なるバンド・サウンドが鳴った上でのソロなのである。ゆえに寺井尚子CDは全てが上手にまとまっている。
 しかしそのほとんどがリハーサルをこなした上での一発録り。これぞジャズ,これぞスイングである。ヴァイオリンの弦がはじけ飛び,髪を振り乱してながら白熱していくアドリブ。この全てを生かす「寺井尚子のバンド・サウンド」が素晴らしい。

 ピアノ野力奏一ベース坂井紅介ドラム日野元彦が,共演しながら本気で寺井尚子に心酔している。名手3人が最高の技巧をもって寺井尚子に合わせていく。
 寺井尚子のバンド・サウンドが本格的に始動するのは次作『ピュア・モーメント』以降だが,どうしてどうして…。寺井尚子が望んでいた,野力奏一坂井紅介日野元彦の4人でのバンド・サウンドが十分「寺井尚子・グループ」の音している。

THINKING OF YOU-2 伸びやかで生きの良い【STOLEN MOMENTS】。一転して哀愁ソングな【出会い】。チャーリー・パーカーアルト・サックスからヴァイオリンへと持ち替えたかのような【DONNA LEE】。これぞジャズ・ヴァイオリンバラードI LOVE YOU, PORGY】。4人が燃え上がる【PACHIRA】。寺井尚子坂井紅介デュオUN PAJARO】。軽快なスインギー【DA−DA】。癒しの王様【HIGHWAY AT MIDNIGHT】。チック・コリアキース・ジャレット寺井尚子な【SUMMER NIGHT】。日野元彦を乗りこなす寺井尚子の【STRAIGHT NO CHASER】。幸福で無上の喜び=美メロの王様【THINKING OF YOU】。ビシビシくる〜【LITTLE SUNFLOWER】。ラストはラテン・バラードな【UN CHICO EN LA PLAYA】。

 全ディスコグラフィを「鮭の川上り」して最後に巡り合う“運命の”デビュー・アルバム。逆回転して最新作としても通用する“運命の”デビュー・アルバム。『シンキング・オブ・ユー』は寺井尚子の出発点にして到達点。
 大名盤シンキング・オブ・ユー』超えという「苦しみの杭」を背負って,寺井尚子の新たなる挑戦が始まった。

  01. Stolen Moments
  02. 出会い
  03. Donna Lee
  04. I Loves You, Porgy
  05. Pachira
  06. Un Pajaro
  07. Da-Da
  08. Highway At Midnight
  09. Summer Night
  10. Straight No Chaser
  11. Thinking Of You
  12. Little Sunflower
  12. Un Chico En La Playa

(ビデオアーツ/VIDEOARTS 1998年発売/VACV-1031)
(ライナーノーツ/児山紀芳,内田修)

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ザ・スクェア / トゥルース5

TRUTH-1 5月5日は「こどもの日」。4●歳にして,精神年齢まだまだ子供の管理人のための祝日?
 本日は子供になりきってレヴューします。いやっ,今日みたいな日でないと書けないレヴューがあるのです。勢いで書かないと超恥ずかしい愛聴盤が,童心に戻らないと愛を叫べない愛聴盤あるのです。それが「『TRUTH』(以下『トゥルース』)。
 そう。ザ・スクェアT−スクェア)の代表作です。いいや,J−フュージョンの金字塔です。

 普段は(ブログの中では)硬派の管理人。ジャズフュージョンは眉をひそめて聴いている。アドリブログは「愛するがゆえの辛口批評」がモットーである。
 そんな管理人が公然と「『トゥルース』が好きだ」と叫んだ瞬間の空気感? 想像するに恐怖を覚えてしまう。「このミーハーが」「このトウシロウが」視線が恐いのだ。

 あれっ? これって妄想→被害妄想? 本日は(本日も)ヤバイです。病魔がそこまでキテいます。きっと昨日の「博多どんたく見物」→屋台のはしごのせいでしょう。ええ,どうせ管理人は酒の勢いを借りないと愛を叫べない草食系ですから〜。

 そんなこんなで5月5日は「こどもの日」。GWだけに「旅の恥はかき捨て」? 今晩だけは,恥ずかしさをかなぐり捨て,素直に『トゥルース』愛について語ってみようと思います。

 『トゥルース』がいい。『トゥルース』は安藤まさひろにとって“夢がかなった”1枚だと思う。そう。『トゥルース』は,バリバリのギターフュージュン作。
 ザ・スクェアの顔は伊東たけしアルト・サックスであるが『トゥルース』の顔は安藤まさひろギターなのである。

 安藤まさひろのロックなギターが炸裂する。なんたって『トゥルース』=F−1である。ギンギンの高速チューン【GRAND PRIX】【CELEBRATION】。そして“王者”【TRUTH】。当初はこの3曲ばかりを京葉道路〜首都高速に乗るたびに聴いていた。確かにこの高速チューン3曲が素晴らしい。F−1を狙って作曲した安藤まさひろ恐るべしである。

 しかし『トゥルース』の真の素晴らしさはミディアム・チューン4曲の存在に尽きる。
 ダンス・ビートな【BEAT IN BEAT】と(こちらもなぜかクルマ関連)富士通テンのCM曲【BECAUSE】が実に効いている。未だにライブにかけられることのある定番曲【BREEZE AND YOU】と【GIANT SIDE STEPS】に「負けず劣らず」の名トラックである。
 軽快なのにクセ持ちである。ツボにハマルとさあ大変。メジャー調ではなくマイナー調にもかかわらず,一日中頭から離れなくなる程の「キャッチー&メロディアス」。ジャズフュージョン好きのミディアム好きなら例外なく大好物であろう。
 則竹裕之の“緩急自在な”ドラミングには,40を超えた今でも“煽られっぱなし”である。

TRUTH-2 『トゥルース』のバラードは2曲。ミディアム・バラードの【UNEXPECTED LOVER】とスロー・バラードの【TWILIGHT IN UPPER WEST】。
 この伊東たけし独特の“くすんだ味わい”は本田雅人では表現できない。デヴィッド・サンボーン でもケニー・ギャレットでも勝田一樹でも表現できない。“世界の”伊東たけし降臨〜。

 おおっ,書いてて気付いた。やっぱり『トゥルース』は全曲名曲。【TRUTH】だけではない。もっと言えば【TRUTH】なしでも大ヒットしたであろう,J−フュージョンの“教科書通りな”大名盤に違いない。

 こうなるとF−1は必要悪? 何で人の反応を気にしながら『トゥルース』を絶賛せねばならないのか?
 うん。でも違うな。おかど違いってもんだな。だって安藤まさひろ伊東たけし河野啓三坂東慧の現T−スクェアなら,きっと『トゥルース』を越えるヒット作を作ってくれるから。須藤満が加入した『トゥルース』から始まる「伝説の5人」を追い越すのは「河野坂東時代」の「新・伝説の4人」。そんな「こどもの日」の願い事を「七夕」の短冊にでも書いてみようかな〜。

 うん。告白してよかった。スッキリした。管理人は『トゥルース』が大好きなのです。色眼鏡で読まないでね〜。

PS 分かる人は分かっている? 管理人の『トゥルース』購入歴は2枚目です。今回は音質向上目的ではなく「レコードと本は貸したら戻って来ないと思え」のそれです。『トゥルース』の犯人は坂田です。もうみんなして〜。もうあげるから一言だけちょうだいな〜。

  01. GRAND PRIX
  02. CELEBRATION
  03. BEAT IN BEAT
  04. UNEXPECTED LOVER
  05. TRUTH
  06. BREEZE AND YOU
  07. GIANT SIDE STEPS
  08. BECAUSE
  09. TWILIGHT IN UPPER WEST

(CBSソニー/CBS/SONY 1987年発売/VRCL-2055)

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DIMENSION / 235

23-1 4人組のカシオペア,5人組のT−スクェア以上に,3人組のDIMENSIONのキャラが立っている。
 DIMENSIONは,音の粒立ちが良いと表現したらよいのだろうか? いつでもガッツリのカブリツキ! ソロにしてもアンサンブルにしても圧倒的な演奏力を誇っている。

 そんな“バリバリ”のDIMENSIONで初めて感じた“余裕の音”。それが『23』である。
 もうアクセルを目一杯踏み込んだりはしない。『23』でDIMENSIONはスポーツ・カーからセダンへと乗り換えた。大排気量はそのままに走り方が変化した。アクセルを踏まずとも軽々と坂道を登っていく感覚。トルクである。
 『23』で伝わってくる“ナチュラルな”トルク感が,DIMENSIONのポテンシャルの高さを際立たせていると思う。

 DIMENSIONの歴史は変貌の歴史。おおまかに書くと「爽やかギターフュージュン期 → 超絶技巧の近未来フュージュン期 → 円熟のクラッシュ・アンド・ビルド期 → 音の万華鏡期」とフュージュン・バンドとしての音を固めつつも一作毎に新境地へと挑戦し続けてきたDIMENSION
 これまでにもアダルト路線を感じさせるアルバムもあったが『23』に漂う“大人の余裕”はジェントルマン。全てを知り尽くし全てを受け入れた上でのONとOFF。自然体なのである。それでいて微動だにしない。揺るぎないDIMENSION・サウンドの最高峰に違いない。

 そんなこんなで『23』はミディアム系? 非常に聴きやすい。聴き込んだいくとさらに「一皮向ける」感覚があるが,一聴しても質の高い演奏に気付くのが『23』の特徴であろう。
 単純に『23』のジャケット・カラーのイメージだろうが『23』の音が白い。まばゆい。

 ハードでマッチョな『22』を聴き込んできた反動なのか『23』の音の拡がりがクールでカッコイイ。爽快なメントール系に喜びを感じる。
 【AFTER THE RAINBOW】【SLASH】【RED MOON】の大サビに仰け反ってしまう! これは角松敏生風のポップ・インスト! 増崎孝司ギターが飛ばしている。 
 【STORY】は【IF】ではなく【HEARTS】路線の名バラード勝田一樹アルト・サックスが歌っている。涙ちょちょぎれ〜。

23-2 パット・メセニーT−スクェアが大好きな管理人の『23』の楽しみの一つに,3人のゲスト・ドラマーの聴き比べがある。

 正直に順位をつけさせていただくならポール・ワーティコ則竹裕之坂東慧の順番である。最下位とした坂東慧が素晴らしい。やっぱり坂東慧は天才である。しか〜し,坂東慧以上に,則竹裕之が素晴らしい。則竹裕之にかかれば坂東慧は「まだ青い」となる(伊東たけし風)。しか〜し,則竹裕之以上に,ポール・ワーティコが素晴らしい。ポール・ワーティコにかかれば則竹裕之は「まだ青い」となる(伊東たけし風)。

 ポール・ワーティコが産み出す,細かい刻みと大きなグルーヴに“格の違い”を感じてしまった。これはパット・メセニー・グループT−スクェアから来る“格の違い”? パット・メセニー・グループ在籍時のポール・ワーティコは(パット・メセニーライル・メイズが凄すぎるので)特にこれと言って凄いと思ったことはなかったけれど,伊達にPMGのレギュラー・ドラマーは務まらない?

 ポール・ワーティコ石川雅春を越えて来た! DIMENSION史上最高のドラミングを聴け!

  01. After The Rainbow
  02. Evolution
  03. Steppin Out!
  04. Slash
  05. Red Moon
  06. Story
  07. You Never Know
  08. Change
  09. Yellow Line
  10. Scratch

(ザイン/ZAIN RECORDS 2010年発売/ZACL-9046)
(デジパック仕様)

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