アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2011年06月

寺井 尚子 / 小さな花〜アマポーラ5

PETITE FLEUR〜AMAPOLA-1 『ドリームダンシング』で決心した,寺井尚子の極意「トラック買い」。

 『PETITE FLEUR〜AMAPOLA』(以下『小さな花〜アマポーラ』)のお目当ては【マイ・フェイヴァリット・シングス】。
 ジョン・コルトレーン名演が有名すぎる【マイ・フェイヴァリット・シングス】だが,管理人の全ディスコグラフィから推測するに優に三桁のジャズメンが演奏している大スタンダードには,管楽器や鍵盤楽器の名演が目白押し。ここは寺井尚子に弦楽器の「決定的名演」を期待したい?

 そんな【マイ・フェイヴァリット・シングス】が良かった。寺井尚子ヴァイオリンも素晴らしいが,管理人がベタボメしたくなったのは寺井尚子のバンド・サウンド。
 北島直樹ピアノ中沢剛ドラムが抜群である。邪魔せず&引っ込まずの,もうこの2人は寺井尚子の身体の一部と化している。

 『ジェラシー』で感じた“コンパクトなのに雄大な”アダルト路線が進化し深化している。こんなにバランスの取れた【マイ・フェイヴァリット・シングス】は1年前では想像できなかった。
 寺井尚子が彼女独特のメロディを紡ぎ出す瞬間,ここが聴き所だとさりげなくアピールし挑発してくる北島直樹。いや〜,謎が解けた瞬間の“気分爽快”アドレナリンの大放出である。この成熟ぶりは恐ろしい。

 『小さな花〜アマポーラ』は,叙情的でロマンティックで,朝に聞いたら「骨抜き」にされそうで仕事にならない。このままうっとりと聴き惚れていたい。寺井尚子ヴァイオリンにマジ“癒し”を求めてしまう。
 『小さな花〜アマポーラ』の寺井尚子は灰汁が抜かれている。まろやかなヴァイオリンの音色が胸に染み渡っていく。あぁ〜。

 なんと!ジャズ以外の演奏に関心のない管理人が“不覚にも”【アマポーラ】と【トリステーザ】で感動してしまった。
 自分でも何なのかよく分からない感情。何なの? 悶々としながら流れるラスト2トラックの【パーディド】と【アマポーラ(ショート・ヴァージョン)】で元気が出る。何なの? いつもの寺井尚子よりおとなしめの演奏なのに内蔵に来る新感覚。一体何なの?

 管理人は考えた。そして今はこう思う。寺井尚子を追いかけて5年。ついに管理人も寺井尚子の家来になれた。
 北島直樹中沢剛には到底及ばない。しかしこの距離感は寺井尚子のすぐ側にいて,彼女の鼓動や息遣いを感じているかのよう…。( ちょっとしたホラーですね。すみません )

PETITE FLEUR〜AMAPOLA-2 これからは管理人も“女王蜂”寺井尚子に奉仕いたします。尚子様が出演中の「キンチョウ蚊取り線香」のごとく末永くお供させていただきます。
 寺井尚子随一の“しっとり&うっとり”『小さな花〜アマポーラ』の甘い媚薬に“ボロボロ”にされてしまいました。寺井尚子の病魔に冒されてしまいした。お蔭様で毎日がハッピーです!

  01. AMAPOLA
  02. MY FAVORITE THINGS
  03. THE MAN WHO INVENTED JAZZ
  04. SPLEEN
  05. TRISTEZA
  06. PETITE FLEUR
  07. GOOD LUCK
  08. TWILIGHT
  09. PENT UP HOUSE
  10. I REMEMBER MONTPARNASSE
  11. TERRA
  12. PERDIDO
  13. AMAPOLA (short version)

(東芝EMI/SOMETHIN'ELSE 2008年発売/TOCJ-68077)
(ライナーノーツ/藤本史昭)
CD−EXTRA仕様:【アマポーラ(ライヴ映像)】

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ナニワ・エキスプレス / レッド・ゾーン 〜SBM BSET SELECTION〜4

RED ZONE 〜SBM BEST SELECTION〜-1 ソニー“ゴリ押し”の高音質技術「20ビット・スーパービットマッピング(SBM)」。
 SBMの実力を世に知らしめるべき選ばれた広告塔が,解散から7年経っていた“我らが”ナニワ・エキスプレス

 そんな「大人の事情」から,伊藤八十八の“鶴の一声”で発売されたのがナニワ・エキスプレス2枚目となるベスト盤『RED ZONE 〜SBM BEST SELECTION〜』(以下『レッドゾーン 〜SBMベスト・セレクション〜』)。
 解散直後に発売されたナニワ・エキスプレス既存のベスト盤『スカーレット・ビーム』とは異なる(差し替えられた)『レッドゾーン 〜SBMベスト・セレクション〜』の選曲に,ナニワ・エキスプレス解散から7年の“時の流れ”を感じてしまった。

 バンド解散後の7年間のメンバー各自のソロ活動での活躍ぶりがナニワ・エキスプレスそのものの評価にまで変化を生じさせてきた。
 ナニワ・エキスプレス一番の“売れっ子”となった東原力哉の活躍ぶりが,いつの間にかナニワ・エキスプレスを「ナニワ・エキスプレス・フィーチャリング・東原力哉」へと変えてしまった。東原力哉がかつて在籍していたフュージョン・バンド=ナニワ・エキスプレスの紹介文。
 「う〜ん。それでいいのか?」との疑問が残る反面,その紹介文に納得してしまう自分もいる。この「納得してしまう自分」の存在に7年もの月日を感じてしまう。

 メンバー5人が4番バッター狙いのナニワ・エキスプレスの中にあって,実力で4番に座ったのは“和製トニー・ウィリアムス”な東原力哉ナニワ・エキスプレスのボトム・リーダー兼MC“永ちゃん”清水興は3番サードで監督兼務のプレイング・マネージャーだったと思う。
 ちなみにこの話の展開でナニワのメンバーで打順を組むと,1番打者の切り込み隊長には,鮮やかチョーキングな岩見和彦。器用な2番打者にはサックスキーボードの両刀な青柳誠。長距離砲の5番打者には中村健児の「ケンジーター」。これで決定+異論は受け付けておりません。

 そういうことで?東原力哉ドラムを中心に『レッドゾーン 〜SBMベスト・セレクション〜』を聴いてみると,東原力哉ドラムを起点として放射線状に爆発が起こっている。そう。ナニワ・エキスプレスの中心は東原力哉で間違いない。
 素足のワンバス,シングルペダルに3フロアのトニー・ウィリアムス・セットの限界を越えた速度と重さ。人間離れした東原力哉の大迫力がナニワ・エキスプレスのイメージそのもの。

 思うにカシオペアのタイトなイメージは神保彰であり,スクェアの歌バンのイメージは長谷部徹のイメージである。パット・メセニーが言い切っているように,バンドのカラー=ドラマーなのだ。
 その意味で(【INSIDE OF YOU】【EMERGENCY】【NIGHT FLOWER】が欠けているが)東原力哉の“コテコテでド派手な”ドラミングを集めた『レッドゾーン 〜SBMベスト・セレクション〜』こそ,ナニワ・エキスプレスのスーパー・ベスト。

RED ZONE 〜SBM BEST SELECTION〜-2 最後にオリジナル・コレクターである管理人がベスト盤を購入したのは(オーディオ・マニアとしては「20ビット・スーパービットマッピング(SBM)」を単純に聴いてみたかったのだが)ナニワ・エキスプレスの七不思議の一つ=廃盤にある。未だ『ノー・フューズ』『ワインド・アップ』を未聴とはカタジケナイ。

 カシオペアライブと来れば【朝焼け】と【ドミノ・ライン】。スクェアライブと来れば【イッツ・マジック】と【トゥルース】。そしてナニワライブと来れば【ビリービン】と【ジャスミン】。ナニワのFMライブ放送でも必ず流れた【ビリービン】と【ジャスミン】。
 「ザ・岩見和彦」なギターのテーマが最高な【ビリービン】と【ジャスミン】をスタジオ録音で楽しめる。この誘惑に負けて購入したのが『レッドゾーン 〜SBMベスト・セレクション〜』。
 おかげで【ビリービン】収録の『ノー・フューズ』と【ジャスミン】収録の『ワインド・アップ』の購入意欲が萎えました。

 あっ,購入意欲が萎えたのは「20ビット・スーパービットマッピング(SBM)」の高音質のせいにしておいてくださ〜い。

  01. ORIENTAL MAKIN' LOVE
  02. YELLOW ART
  03. CHARCOAL BREAK
  04. BETWEEN THE SKY AND THE GROUND
  05. BELIEVIN'
  06. THE KOYA-SAMBA
  07. FOR MY LOVE
  08. RED ZONE
  09. JASMIN
  10. MIL' MAMA
  11. THE LADY OF TOLEDO
  12. LAZY FANTASY

(ソニー/SONY 1993年発売/SRCL2588)
(ライナーノーツ/成田正)

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浪花エキスプレス / 大宇宙無限力神4

DAIUCHUHMUGENRYOKUSHIN-1 『MODERN BEAT』でナニワ・エキスプレスと初めて接した管理人。
 あの『MODERN』とは名ばかりの“荒くれた”ビート。これぞナニワ・エキスプレスだと思っていた。

 しかしそうではなかった。『MODERN BEAT』のナニワ・エキスプレスは,あれでもかなり洗練されていた。ナニワ・エキスプレスにしては『MODERN BEAT』だったのだ。

 真実のナニワ・エキスプレスとは浪花エキスプレス
 真に“荒削り”なビートとは「浪花エキスプレス」名義の2枚目『DAIUCHUHMUGENRYOKUSHIN』(以下『大宇宙無限力神』)のことを指す。

 『大宇宙無限力神』を聴いた直後に『MODERN BEAT』を聴き比べれば,あの『MODERN BEAT』が“スマート”に聴こえてしまうのだから恐ろしい。
 そう。同じバンドであるはずなのに,浪花エキスプレスナニワ・エキスプレスの間には“雲泥の”個体差があるのだ。

 清水興が自己紹介する浪花エキスプレスとは「スーパー・ハード・ロック・ウルトラ・ジャズ・バンド」。確かにジャズ・ロックである。浪花エキスプレスは,世間がフュージョンという言葉でイメージする“ライトでクロスオーバーな”バンドではない。
 “知的でお洒落な”フュージョンとは異なる“ワイルドで肉欲的な”フュージョン浪花エキスプレスアドリブは,もはや“理性ではなく本能”そのもの。血が沸き燃えたぎるエナジー,炸裂するテクニック,ガチンコにぶつかるメンバーの個性がハンパない。「主役は俺だ〜」とばかりに5人が5人とも楽器で“シャウト”する感じ。

 そんなナニワ・エキスプレス随一の“本能の肉食系”の記録が『大宇宙無限力神』。
 どうですか? このインチキ宗教っぽい?アルバム・タイトル( ← 失礼 )。こんなタイトル,普通の思考回路では思い浮かぶはずがない。そしてこんな重低音,普通の思考回路では思い浮かぶはずがない。常識で測ることのできない規格外の変態集団の大音量! 大口径のスピーカーでも再生できない音圧+振動に「うお〜」! 『大宇宙無限力神』は,歪むウーハー・不良の爆音ロック! 近所迷惑な初代騒音おばさん仕様に家族全員激怒する?

 しかしそんな近所の隣人や家族からのクレームに耐え抜き,聴き込み続けて初めて見える景色があった。
 【大宇宙無限力神】の“霊界の音”=シンフォ・プログレ〜サイキック。シンセサイザーの展開が凄まじい。

 清水興のゴリゴリなベースを補って余りあるシンセサイザーの超重低音が拍動している。キメキメの岩見和彦ギターが奏でるテーマの後に登場する青柳誠ソプラノ・サックスが浮遊する。そこに中村健児の「ケンジーター」のフィードバック奏法が絡みつき…。あ〜,徐々に意識が遠のいていく〜。はるか遠くまで連れ去られていく〜。
 そこで“降臨”するのが東原力哉! 東原力哉ドラムがバスドラ一発で疾走する! このタイコの響きがナニワの儀式,ナニワの神事なのである。

DAIUCHUHMUGENRYOKUSHIN-2 このナニワの神事についてはライナーノーツの中で「お年寄り,妊娠中の方,高血圧,狭心症の方はご遠慮ください」と書かれてある。そう。ナニワという“劇薬”が効く(聴く)には用量・用法など使用上の注意に従う必要がある。

 管理人も『大宇宙無限力神』を拝聴する時には,血圧を確認してから防護服を身にまとって正座するのが儀式である。さもなくば【大宇宙無限力神】の放つ“御来光”でヤケドしてしまう。すぐに【レッド・ゾーン】へと突入してしまう。
 でも大丈夫。【ジェローム】で“のほほ〜ん”が【イマージュ】の蜃気楼で〜す。

 最後にカミングアウトしちゃいます。
 ここまで『大宇宙無限力神』を絶賛してきましたが,草食系な管理人には,正直,超肉食系の『大宇宙無限力神』より,プチ肉食系の『MODERN BEAT』の方が肌に合ったりします。

  01. RED ZONE
  02. IMAGE
  03. DAIUCHUHMUGENRYOKUSHIN
  04. MARSHALL ARTS
  05. SPOT
  06. JEROME
  07. 9TH MOUNTAIN HIGH (LIVE AT GOPPNGI PIT OUT)
  08. DAWN

(CBSソニー/CBS/SONY 1982年発売/38DH30)
(ライナーノーツ/岩見和彦,中村健児,青柳誠,清水興,東原力哉)

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ザ・スクェア / オール・アバウト・アス − ベスト・セレクション4

ALL ABOUT US 〜BEST SELECTION〜-1 ザ・スクェア2枚目のベスト・アルバムである『ALL ABOUT US 〜BEST SELECTION〜』(以下『オール・アバウト・アス − ベスト・セレクション』)は『アドヴェンチャー』特需のあれ!

 『アドヴェンチャー』でザ・スクェアを知った人に受け入れられやすい選曲である。
 『ライト・アップ − ベスト・セレクション』と『オール・アバウト・アス − ベスト・セレクション』を聴き比べると,脱・仙波清彦のサウンド指向を感じ取れる。

 個人的には『オール・アバウト・アス − ベスト・セレクション』を買って初めて「スクェアの1期」をCDで聴けるようになったのがうれしい思い出として記憶に残っています(それまでは『ラッキー・サマー・レディー』『ミッドナイト・ラヴァー』『メイク・ミー・ア・スター』『ロックーン』が未購入。『マジック』『脚線美の誘惑』『うち水にRAINBOW』『ライト・アップ − ベスト・セレクション』がミュージック・カセット・テープ版でしたので)。

  01. ALL ABOUT YOU
  02. 君はハリケーン
  03. 脚線美の誘惑
  04. NIGHT DREAMER
  05. カピオラニの通り雨
  06. STIFF NAILS
  07. TRAVELERS
  08. LOVE'S STILL BURNIN'
  09. RODAN
  10. HANK & CLIFF
  11. ハワイへ行きたい
  12. SABANA HOTEL

(CBSソニー/CBS/SONY 1984年発売/30DH163)
(スリムケース仕様)

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寺井 尚子 / ジェラシー4

JEALOUSY-1 『ドリームダンシング』で決心した,寺井尚子の極意「トラック買い」。

 『JEALOUSY』(以下『ジェラシー』)のお目当ては,ジョン・コルトレーンの【アフロ・ブルー】とチック・コリアの【ホワット・ゲーム・シャル・ウィ・プレイ・トゥデイ】。

 【アフロ・ブルー】には,コルトレーンばり“激情派”の寺井尚子の復活を願い【ホワット・ゲーム・シャル・ウィ・プレイ・トゥデイ】には,現・甘くも爽やかな“清純派”の寺井尚子を期待してのジャズ・ヴァイオリン鑑賞目的。この2トラックは大成功!

 ただし他の8トラックの印象は『ドリームダンシング』へと逆戻り。これは「音楽的には素晴らしくまとまっている=管理人の大好きな寺井尚子は薄い」の意。『ジェラシー』のレベルに達すると批評は聴き手の好みの問題だと思っている。

 『ジェラシー』で寺井尚子は大きな決断を下している。ギターレスの寺井尚子カルテットでの始動である。このギターレス編成が予想以上に大きな変化を与えている。リズムとサウンドの色彩感が激変した。
 こうして新たな寺井尚子のグループ・サウンズを聴いてみると,従来の寺井尚子クインテットの鮮やかな音を過小評価していた事実を反省する。愛しの尚子様,お許しを〜。

 『ジェラシー』での寺井尚子がエレガント。ギターレスで“引き締まった”バンド・サウンドが“マダム尚子”の大登場。そう。寺井尚子は『ジェラシー』で「女王様からマダムへ」イメチェンした。
 「クインテットからカルテットへ」「女王様からマダムへ」とシフトした寺井尚子の『ジェラシー』。つまりは“縛りの弱い”バンド・サウンドなのに一枚岩に固まった印象を受ける。なぜだろう?

 これは管理人の推測に過ぎないのだが,女王様への専従から解放された家来たちの自由意志。もはや強いられてではなく自分から進んで尚子様へ仕えている。尚子様への奉仕に喜びを見い出している。
 そう。寺井尚子の真実とは「女王様→マダム→女王蜂」! こんな寺井尚子がたまらんなぁ。

 ジャズ・コンボへ客演するヴァイオリニストは少なくないが,ジャズ・ヴァイオリニストとしてレギュラー・グループを率いて活動するヴァイオリニスト寺井尚子オンリー。
 『ジェラシー』の,適度にこなされた合わせを経て,スタジオで瞬間的に昇華するジャズ・ヴァイオリンこそ,レギュラー・グループの真骨頂。

 寺井尚子のレギュラー・グループのモットーは「一心同体の運命共同体」。リハーサル〜レコーディング〜ツアーまでを固定メンバーで過ごす音造りの積み重ねの賜物。テンポやキーやイントロのあるなしなどの決め事を言葉ではなく音で会話できる。
 この濃密なインタープレイは一朝一夕にはできやしない。もはやコロニー並みの以心伝心?

JEALOUSY-2 勿論,問題もある。それは家来たちの間での嫉妬=それがアルバム・タイトル由来の『ジェラシー』? 寺井尚子一番のお気に入り=北島直樹ピアノヴァイオリンの絡みに嫉妬するのがドラム中沢剛。「中沢剛って,こんなに手数が多かったっけ?」状態である。
 同じバンド・メンバーの演奏に『ジェラシー』を覚えるほどに,ギターレス・カルテットが寺井尚子に心酔している。

 『ジェラシー』の秘訣は寺井尚子の“女王蜂”としてのリーダー・シップである。
 そう。寺井尚子の音楽的ヴィジョンに“前のめりで”共感している。寺井尚子のアレンジ力や音を描くモチーフや微妙なグラデーションに魅せられている。イメージの明確な共有であろう。

 『ジェラシー』ほど明確な音楽コンセプトが伝わってくるジャズCDは数少ない。

  01. JEALOUSY
  02. AFRO BLUE
  03. BLUE BOLERO
  04. CRESCENT MOON
  05. DAY AND DAY
  06. AMAZING GRACE
  07. HAPPY DIXIELAND
  08. HUSH-A-BYE
  09. ME, MY FRIEND
  10. WHAT GAME SHALL WE PLAY TODAY

(東芝EMI/SOMETHIN'ELSE 2007年発売/TOCJ-68074)
(ライナーノーツ/藤本史昭)
CD−EXTRA仕様:【ジェラシー(スタジオ・ライヴ映像)】

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寺井 尚子 / 夜間飛行4

NIGHT FLIGHT-1 『ドリームダンシング』で決心した,寺井尚子の極意「トラック買い」。

 『NIGHT FLIGHT』(以下『夜間飛行』)のお目当ては,ウェザー・リポートの【バードランド】。
 もしや寺井尚子の「一人五役?」も予想したが【バードランド】での寺井尚子ウェイン・シューター仕様での大登場。
 「へぇ〜,ジョー・ザビヌルではないんだ」が正直な第一印象。まっ,ジョー・ザビヌル役には北島直樹が控えているので当然と言えば当然なのだ。
 ではジャコパスアレックス・アクーニャはどうかというと,こちらも磐石の成重幸紀中沢剛が控えている。そしてマノロ・バドレーナパーカッションの代役は細野よしひこギターである。なかなかである。

 そう。寺井尚子の追い求める“理想のバンド・サウンド”が【バードランド】で完成している。続く全11曲を聴き比べても,これまでの寺井尚子の突出は感じられない。
 この理由こそ【バードランド】でのウェイン・シューター専従にある。ともすると弾きすぎる傾向のある寺井尚子ののジャズ・ヴァイオリン。要は色気が多いのだ。

 しかし【バードランド】での寺井尚子は弾きすぎない。欲望抑え目のウェイン・シューター専従に徹している(もといザビヌル・パートも結構弾いているのだが,印象として!)。
 ゆえに,バンド・メンバーが生きている。元々,バック4人は(若手の中沢剛も含めて)熟練の名手たち。寺井尚子北島直樹細野よしひこの3人ユニゾンまで入っている。凄い。これは寺井尚子・サウンドの“革命”である。

 まっ,ここだけの話,バンドが「上等なジャズの仕立て屋さん」になったってこと。『夜間飛行』にも東芝EMI移籍後の“恒例”スタンダード・ナンバーが選曲されているのだが『ドリームダンシング』につきまとう「イージー・リスニング風味」が薄れ,何を演っても「ジャズの響き」が聴こえてくる。凄い。これぞ寺井尚子・サウンドの“革命”である。

 どうやら管理人の見切りは早かったようだ。
 『夜間飛行』での“NEW”寺井尚子・グループの5人は対等の関係にある。寺井尚子がバンドの一フロントとして“馴染んでいる”。寺井尚子が『夜間飛行』で“抑制美”をついに覚えた。というかバンドの枠内に初めて“丸く収まっちゃった”って感じかな? 寺井尚子特有のカドやデッパリや抵抗が消えている。

 その“象徴”が,CD−EXTRA仕様:【ラ・クンパルシータ(ライヴ映像)】。官能的なタンゴを演っているのにスイングしている。

NIGHT FLIGHT-2 ついにオリジナル偏重のアレンジ重視から離れ,ジャズ・ヴァイオリンの演奏そのものでジャズの本質を表現する手法へシフトしてきた。しかもソロイストとしてではなくバンドとしてグループとしてユニットとしてトータル・サウンドとして…。

 そうは言っても寺井尚子の音楽は,ジャズというジャンルやヴァイオリンという楽器の枠内からかなり“はみ出している”。でもその“はみ出し感”が寺井尚子最大の魅力だと思う。

 惜しむべきは,ああ,神のいたずら。一度切れた愛情を取り戻すのは難しい。なんで『ドリームダンシング』の前に『夜間飛行』に出会わなかったのだろう。なんで●野●子の前に○野○子に出会わなかったのだろう。
 管理人は『夜間飛行』で寺井尚子とやり直そうと思いました。

  01. BIRDLAND
  02. A NIGHT IN GALICIA
  03. POMPON BLANC PARFAIT
  04. LA CUMPARSITA
  05. AND HERE YOU ARE
  06. NIGHT FLIGHT
  07. LAZY ANGEL
  08. JOY OF SINGING
  09. IN MY CHILDHOOD
  10. SONG FROM THE OLD COUNTRY
  11. FROM NAUGHT

(東芝EMI/SOMETHIN'ELSE 2006年発売/TOCJ-68072)
(ライナーノーツ/藤本史昭)
CD−EXTRA仕様:【ラ・クンパルシータ(ライヴ映像)】

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寺井 尚子 / ドリームダンシング4

DREAMDANCING-1 前作『ジャズ・ワルツ』で,J−ジャズの頂点へと登りつめた寺井尚子。続く本作『DREAMDANCING』(以下『ドリームダンシング』)は,大ヒットした『ジャズ・ワルツ』の2匹目のドジョウ(『ジャズ・ワルツ』も『アンセム』の2匹目のドジョウだったけどね)。

 この『アンセム』『ジャズ・ワルツ』『ドリームダンシング』の3作を聴いてみて,管理人は寺井尚子の極意を究めた。
 寺井尚子のアルバム選びは,もう好きな曲を演っているかどうかで選べばいい。もう演奏の基本形は変わりそうもない。残念&スッキリ。
 ただし,完全に心が離れたにもかかわらず,実際には『ドリームダンシング』の後も切れ目なく『夜間飛行』『ジェラシー』『小さな花〜アマポーラ』を購入させた寺井尚子はなかなか。どうにも「後ろ髪」を引かれてしまった。

 さて,管理人に寺井尚子の「満腹感」を感じさせた『ドリームダンシング』は,ますますジャズ度が薄まっている。
 ジャズを名乗れるは3曲。ジャンゴグラッペリの【マイナー・スイング】。ヴィクター・ヤングの【ゴールデン・イヤリングス】。エリントンの【ムード・インディゴ】であるが,刺激的なのは【ムード・インディゴ】のみ。
 そう。『ドリームダンシング』のハイライトはラストの2曲。シナトラの【マイ・ウェイ】とディズニーの【星に願いを】なのである。

 『ドリームダンシング』へ駄盤の落印を押しかけたのをとどめた【マイ・ウェイ】が素晴らしい。圧巻の寺井尚子の説得力はシナトラ以上である。いいや,寺井尚子ヴァイオリンシナトラではなく演歌歌手のよう。こぶしをきかせた,寺井尚子にしか表現できないジャズ・ヴァイオリンに“ゾクゾク”する。

 【星に願いを】は寺井尚子ヴァイオリン北島直樹ピアノデュエット。この温かで感傷的なロマンティズムにやられてしまう。アドリブを排除した美メロのヴァイオリンが感動もの。

 残りの8トラックの評価は,読者の皆さん自身で実際に聴いて判断してほしいと思っている。
 前々から繰り返し書いているのだが,東芝EMI移籍後の寺井尚子のバンド・サウンドは質が上がっている。まとまっているし外さない。
 これがBGM風なムード音楽・映画音楽,もっと言えばクラシックやポピュラー畑のヴァイオリニストなら『ドリームダンシング』こそ最上級の演奏であろう。

 しかし管理人は,寺井尚子には寺井尚子にしか表現できないジャズ・ヴァイオリンの世界を知っている。
 『ピュア・モーメント』『プリンセスT』『ライヴ』と来て,とどめの『オール・フォー・ユー』。この4枚に『オール・フォー・ユー』を含めたビデオアーツ時代の寺井尚子は,ヴァイオリニストではなくトランペッターだったとしてもギタリストだったとしても,他のどんな楽器を演奏していたとしてもジャズメン=寺井尚子ここにあり〜。

 しかし『ドリームダンシング』での寺井尚子は,ヴァイオリニストの枠内に収まっている。ジャズ・ヴァイオリニストとも違えばトランペッターでもギタリストでもない。もはやジャズメンとは認められない。葉加瀬太郎や宮本笑里と同列のヴァイオリニスト
 「大衆迎合路線」の寺井尚子はもうたくさん。『ドリームダンシング』でゲップを覚えた。しばしのお別れ,尚子様。

DREAMDANCING-2 「良質のインストゥルメンタル・アルバム」=『ドリームダンシング』。酷評したのは全て“期待の表われ”“愛情の裏返し”である。

 管理人はジャズメン=寺井尚子を知っている。寺井尚子の実力と熱いハートを知っている。管理人はビデオアーツ時代の寺井尚子を全面的に支持する。あの時代の寺井尚子J−ジャズ界の“女王様”。上原ひろみ矢野沙織などまだ青い。

 幸い,CD−EXTRA仕様:【ハバネラ(ライヴ映像)】には,ジャズメン=寺井尚子の姿が収められている。そう。ジャズの醍醐味=ライブにおいては,ジャズメン=寺井尚子はまだ死んではいない。カルメンを演っているのにスイングしている。
 帰っておいで。ジャズメン=寺井尚子。カムバック,愛しの尚子さま〜。

  01. MINOR SWING
  02. HABANERA
  03. UNDER PARIS SKIES
  04. BROKEN BLOSSOMS
  05. THOSE HAPPY SUNDAYS
  06. GOLDEN EARRINGS
  07. WHEN LOVE IS SHINNING
  08. MOOD INDIGO
  09. DREAMDANCING
  10. MY WAY
  11. WHEN YOU WISH UPON A STAR

(東芝EMI/SOMETHIN'ELSE 2005年発売/TOCJ-68064)
(ライナーノーツ/川井龍介,高井信成)
CD−EXTRA仕様:【ハバネラ(ライヴ映像)】

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カシオペア / MARBLE5

MARBLE-1 いや〜「力作」である。『MARBLE』はカシオペア入魂の「力作」である。
 『MARBLE』は後々,カシオペアの転換点,として語られることになると思っていたが,次作『SIGNAL』での活動休止は痛い。活動休止で『MARBLE』で造り上げた音世界も一巻の終わり。精力的な努力も水泡と化してしまった。惜しいなぁ〜。

 こう書いてはみたが『MARBLE』の凄さが分かってきたのは,つい最近のこと。カシオペアは長い間,管理人にとっては単なるコレクション。『FRESHNESS』以降は,正直,聴き込んではいない。
 『MARBLE』も,発売直後に数回聴いただけで放置してきた。今回もカシオペアCD批評の一環として聴き始めたにすぎない。そんなはずだったのだが…。

 違う。これまでとは明らかに違う。このジワジワと来る感覚はパット・メセニー・グループの『ザ・ウェイ・アップ』に近い。そう。『MARBLE』は,5回,10回と聴き込んで初めて味わえる感動の名盤なのだった。
 なんと勿体ないことを…。いや,ここに来て巡り合えたのは逆にラッキーかも?

 『ザ・ウェイ・アップ』=『MARBLE』=【UNIVERSE】! 【UNIVERSE】=BEGINNINGDEEP SPACEDISCOVERYHUMANITYCHAOSHIGH SPIRITHARMONIZEBEYNODからなる組曲。ただしこの組曲はそんじょそこらの組曲ではない。ある意味,野呂一生パット・メセニーを超えてしまっている。理由は計算である。

 『MARBLE』はカシオペアの25周年記念盤。そこで野呂一生は演奏時間25分にこだわった。125テンポ,785小節の【UNIVERSE】の誕生である。
 「初めに尺ありき」はライヴで既に経験済。1曲25分以上も『20TH』の【FRASH BACK MEDLEY】で既に経験済。そうかっ,野呂一生にとって8部構成の【UNIVERSE】は8曲のメドレーを作るようなもの? なあ〜んだ,じゃないない。“地獄の作曲作業”だったに違いない。

MARBLE-2 ああでもない。こうでもない。録音の直前,最後の最後まで悩んだのではなかろうか? 野呂一生の苦悩が『MARBLE』への収録曲数に表われている。
 『MARBLE』の収録曲は,野呂一生2曲,向谷実2曲,鳴瀬3曲,神保彰1曲の全8曲。普段は多作の野呂一生の作曲数が極端に少ないのは【UNIVERSE】のせいであろう。

 しかし【UNIVERSE】が地獄だったのは野呂一生だけではない。恐怖の7枚スコアを演奏する他のメンバー3人にとっても地獄。噂によるとメンバーから苦情でまくりだったようで…。
 でもって,結果は最高の演奏。カシオペアの壮大な宇宙が表現されている。

 でもやっぱりコアなファンにしか評価されそうもない? 尺の長さを考えると【UNIVERSE】がベスト・アルバムに収録されることもないでしょうし,ライブでも同様。難解な大作ゆえにこのまま忘れ去られてしまいそうなのが残念だよなぁ。

 さて,ここまで『MARBLE』=【UNIVERSE】を語ってきたが,管理人が感じた『MARBLE』の真の凄さはここからである。

 “お腹一杯の”【UNIVERSE】に続く,爽快チューンのオンパレード! 【SOUTHERN BREEZE】が流れ出すと,いつものカシオペアが【UNIVERSE】での宇宙旅行から帰還してきたかのような親近感! 『MARBLE』ってもしかしたら,大理石ではなくマーブルチョコレートの意味!? 甘くおいしくパクパクいけてしまう。
 この辺も『MAIN GATE』から加速した“ナルチョ・シフト”の総決算的演奏である。

 そう。『MARBLE』は,カシオペア25周年のダブル・ネーミング盤! タイトルが大理石とマーブルチョコレートの掛詞であるならば,野呂一生の難解な【UNIVERSE】がA面で,ナルチョ。シフトな【SOUTHERN BREEZE】以降の7曲がB面の2枚組み仕様! だから「力作」なのである。いや〜「力作」である。

MARBLE-3 『MARBLE』=力作説には続きがある。カシオペア25年の活動歴で,年に一枚もCDをリリースしなかったのはジンサクと内部分裂した1989年のみ。年一枚のペースを守っていたのに2004年は10月過ぎてもまだ出ない。もしかして? ファン=不安?
 
 待望の名盤MARBLE』。こんな「力作」なら何年でも待つ。カシオペア・ファンは『SIGNAL』以降,再び待たされている。今回も活動休止明けの名盤な大作の予兆と読んでいる。ねっ,野呂さん?

  01. UNIVERSE
     Beginning
     Deep Space
     Discovery
     Humanity
     Chaos
     High Spirit
     Harmonize
     Beyond
  02. SOUTHERN BREEZE
  03. Mawari-Michi
  04. REMINISCENCE
  05. WHEN YOU GROW UP
  06. BLESSING
  07. 雨ガ来ル
  08. SPREAD

(ジェネオン/GENEON 2004年発売/GNCL-1015)
(☆スリップ・ケース仕様)

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寺井 尚子 / ジャズ・ワルツ4

JAZZ WALTZ-1 前作『アンセム』で,ジャズ・スピリッツから離れることを決断した寺井尚子。続く本作『JAZZ WALTZ』(以下『ジャズ・ワルツ』)も,東芝EMIの描く「大衆迎合路線」の拡大作となった。

 人気のポピュラー・ソングと北島直樹の名曲を“脱”ジャズ・ヴァイオリンで演奏した『ジャズ・ワルツ』が“狙い通りの”大ヒット。
 そう。『ジャズ・ワルツ』こそ,寺井尚子の代表作にしてJ−ジャズの代表作。あの「スイング・ジャーナル・日本ジャズ賞まで受賞した。関係者的には「めでたしめだたし」の結果である。

 しかし待ってくれよ〜。折からの寺井尚子・ファンを置いてけぼりにしないでくれよ〜。『ジャズ・ワルツ』の大ヒットを手放しでは喜べない「複雑なファン心理」をどうにかしてくれよ〜。

 特にビデオアーツ時代を懐かしんでしまうのが“優等生すぎる”アレンジとアドリブ
 『ジャズ・ワルツ』は,ジャズ入門者向けに?聴き所が分かりやすいアレンジが施されている。主役である寺井尚子ジャズ・ヴァイオリンが美しい。うっとりしてしまう。聴き惚れてしまう。
 当然ながらアドリブもあるが時間的に短め。すぐにピアノギターがカウンター気味に寄り添ってくる。時にクラシカルで時にスパニッシュ。終始予定調和的なソロ回しがインパクトに欠ける。

 そう。大ヒットCDジャズ・ワルツ』の最大の不満は「超・安定志向」。
 これまで寺井尚子は“遅咲き”のデビューを取り戻すべく果敢に攻め続けてきた。前人未到のジャズ・ヴァイオリンの可能性を追い求めてきた。しかし『ジャズ・ワルツ』には寺井尚子の新境地は見い出せない。チャレンジャー精神を捨てた『アンセム』の延長作。まとまってはいるのだがマンネリズムの走りか?
 ハッキリ言って『アンセム』と『ジャズ・ワルツ』の違いは演奏曲の違い。テンションや雰囲気に明確な“個性の違い”を打ち出せていない。

 そういうわけで管理人の『ジャズ・ワルツ批評はトラック批評

 情熱の【APPASSIONATA】〜木住野佳子名演と肩を並べる【DANNY BOY】〜ラグスイングIN THE MOOD FOR RAG】〜「肌はやり直せる」のTVCM曲【FASCINATION】の4連投は,正にJ−ジャズの代表作にふさわしい瞬間。まばゆすぎるまゆゆは5位?

JAZZ WALTZ-2 なお『ジャズ・ワルツ』以降,寺井尚子CDCD−EXTRA仕様。この点だけは東芝EMIに感謝している。

 『ジャズ・ワルツ』には【アパッショナータ〜情熱】のスタジオ・ライブ映像を収録。初めて見る動く寺井尚子は,やっぱり“女王様”だった。
 寺井尚子ジャズ・ヴァイオリンはヒーローである。躍動するジャズ・ヴァイオリンジャズの花形楽器。ヴァイオリンアルト・サックスへ置き換わる。
← この文面の意味については当ブログの左下「アンケートボードB:ジャズ/フュージョンの花形楽器とは?」の投票結果をご覧ください。

  01. JAZZ WALTZ
  02. APPASSIONATA
  03. DANNY BOY
  04. IN THE MOOD FOR RAG
  05. FASCINATION
  06. LADY'S TANGO
  07. FLYING IN THE WIND
  08. MEMORIES IN THE SAND
  09. HIT AND AWAY
  10. I ME MINE
  11. CHILDREN

(東芝EMI/SOMETHIN'ELSE 2003年発売/TOCJ-68060)
(ライナーノーツ/馬場啓一)
CD−EXTRA仕様:【アパッショナータ〜情熱】

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寺井 尚子 / アンセム4

ANTHEM-1 寺井尚子の音楽性は東芝EMIへ移籍して,俄然,成熟した。それはより“密な”バンド・サウンド指向である。

 そう。ピアノ北島直樹ギター細野義彦ベースジャンボ小野ドラム中沢剛による“NEW”寺井尚子・バンド=寺井尚子クインテットの始動である。
 特に北島直樹の加入は大きく,北島直樹ピアノ・タッチと作曲の才が,その後の寺井尚子の音楽性とも絡みつき,もはや北島直樹単独での評価は不能であろう。うらやましい蜜月ぶりが二人三脚=音楽上の“パートナー”の感アリアリ。

 東芝EMIへ移籍して寺井尚子が挑戦したのは“脱”ジャズ・ヴァイオリン
 しかし,寺井尚子は“超一流の”ジャズメンである。寺井尚子にしかできない,寺井尚子でないとできないジャズがある。ジャズ・ヴァイオリンを完全に手放したわけでもない。

 矛盾でしょうか? いいや,もう少し言葉を付け加えよう。東芝EMIというレコード会社はメジャーである。メジャー在籍とは売れる音楽家である。ターゲットは“ニッチな”ジャズ・ファン中心に違いないが,ライトなファンも獲得するため,多額の広告宣伝費がかけられている。ゆえに“脱”ジャズ・ヴァイオリン路線。

 ズバリ,東芝EMI移籍第一弾の『ANTHEM』(以下『アンセム』)は「良質のインストゥルメンタル・アルバム」である。
 硬派なジャズには抵抗がある,と感じるライト・リスナーには,これくらいが飛びつきやすいに違いない。ジャズの門戸をかなり広げた「良質のインストゥルメンタル・アルバム」としてお奨めできる。
 ジャズのフォームにとらわれない“メロウで叙情的,ドラマティックで哀愁の”ヴァイオリンが美しい。

 しか〜し,次の点を管理人は主張したいのであるが『アンセム』には,寺井尚子にしか作れない,寺井尚子独特のジャズが鳴っている。
 耳当たりのよいメロディについ引っ張られてしまうのだが,聴き込むにつれ表出してくる,紛れもないジャズの香りが充満する。
 そう。寺井尚子は演奏姿勢において,思いっきりジャズしている。定番のジャズスタイルから離れてはいようと,寺井尚子ヴァイオリンスイングしている。おお〜。

 【THOSE FOOLISH DAYS】の扇情的なヴァイオリンハード・バップを超えた寺井尚子サウンド。【HYMN A L’AMOUR】の官能的なヴァイオリンがシャンソンを超えた寺井尚子サウンド。『アンセム』の全11トラックが,唯一無二の寺井尚子・サウンドのオンパレード。

ANTHEM-2 “脱”ジャズ・ヴァイオリンな“NEW”寺井尚子・バンド。多くの人を魅了するべく,聴き所が分かりやすくアレンジされた“ヒップでポップでバップな”『アンセム』。
 しかし,従来のジャズ・ヴァイオリニスト寺井尚子のファンにとっては“背信の”『アンセム』。『アンセム』以降,ジャズマン=寺井尚子アドリブの出番がめっきり減らされている。う〜む。

 東芝EMIの求める明確なサウンド・コンセプトが“密な”バンド・サウンドを産み,全ては“寺井尚子色”にリアレンジされている。格段に完成度は上がっているのだが,聴いて興奮するポイント,共感するポイントが見つけにくくなったかな〜。

  01. THOSE FOOLISH DAYS
  02. LOVE IS A MANY SPLENDORED THING
  03. ONCE UPON A DREAM
  04. HYMN A L'AMOUR
  05. TEN-GALLON SHOES
  06. STRAIGHT FLASH
  07. I AM HERE FOR YOU
  08. MILONGA IN SORROW
  09. LOVE ON THE BREEZE
  10. WHERE DOES OUR LOVE GO?
  11. SOMEWHERE SOMETIME

(東芝EMI/SOMETHIN'ELSE 2003年発売/TOCJ-68057)
(ライナーノーツ/藤本史昭)

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寺井 尚子 / オール・フォー・ユー5

ALL FOR YOU-1 『ALL FOR YOU』(以下『オール・フォー・ユー』)こそ,寺井尚子の最高傑作である。

 出来としては『オール・フォー・ユー』以上に,EMIレーベル移籍後の諸作に軍配が上がる。しかし『オール・フォー・ユー』が感じる“サムシング”を“綺麗な”演奏の探求では決して越えられないと思う。
 それこそジャズの真髄であり,ハプニングである。設計図などあってないような演奏なのに,出来上がってみれば設計図通りに“ピシャリ”のヴァージョン・アップ。興奮に満ちた寺井尚子ジャズ・ヴァイオリンが痛快である。

 『オール・フォー・ユー』の成功の秘訣は2つ。
 1つには,セッション・アーティスト=寺井尚子の本領発揮の大物ゲスト・リシャール・ガリアーノの存在にある。リシャール・ガリアーノの懐に深さに“手加減なし”で寺井尚子がブチ込んでいく。
 差しつ差されつの丁丁発止。素晴らしい鍔迫り合いから産み落とされたギリギリの調和。無意識のうちにヴァイオリンアコーディオンの美しい音色が重なり合う瞬間の奇跡が凄すぎる。

 もう1つは,セルフ・プロデュサー=寺井尚子の存在にある。予定調和などクソ喰らえ。「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ」的な演奏が可能になったのも,セルフ・プロデュサー=寺井尚子のOKサインの功績であろう。

 『オール・フォー・ユー』で感じる,緻密なスタジオ・ワークと瑞々しいライブ感の両立。ん? このフレーズはカシオペアの『ミント・ジャムス』?
 そうかっ『オール・フォー・ユー』は寺井尚子の『ミント・ジャムス』なのだった。ちゃんちゃん。

ALL FOR YOU-2 『オール・フォー・ユー』については,徹夜覚悟で詳細レヴューするはずだったのに〜。

 管理人の結論。『オール・フォー・ユー』は寺井尚子の『ミント・ジャムス』である。この時期の寺井尚子はカッコよかった〜。なぜこの路線をやめたのだ〜。うらめしや〜。

PS 『オール・フォー・ユー』のジャケット写真井川遥に似ていませんか? この時期の寺井尚子は美しかった〜。

  01. A Gua De Beber
  02. Be Bop
  03. あなたがわたしをさがすとき
  04. Libertango
  05. All For You
  06. La Valse A Margaux
  07. Au Clair De Lune
  08. Scirocco
  09. Sunflowe

(ビデオアーツ/VIDEOARTS 2001年発売/VACV-1041)
(ライナーノーツ/寺井尚子,馬場啓一)

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寺井 尚子 / ライヴ5

NAOKO LIVE-1 寺井尚子のレコーディングは基本ワン・テイクの一発録り。それは演奏の生気を失わないためだと語っている。
 しかし,その後のミックス・ダウンなのかマスタリングなのかしらないが,肝心の生気が奪われていく。“綺麗な”演奏へと修正されていくように思えるのだ。

 しかし,この“綺麗な”音造りは当の寺井尚子が望んでのこと。この点を意外に思うのだが,寺井尚子は,理想のバンド・サウンドのためならば,ジャズ・ヴァイオリニスト寺井尚子を殺すことができる。全体のバランスが良くなるのであれば,自分のソロが退くことにやぶさかではない。そう。寺井尚子は大人なのだ。

 でもでも…。管理人の愛する寺井尚子はイケイケ=我を忘れて渾身のアドリブを繰り出す“女帝”寺井尚子である。そんなジャズ・ヴァイオリニスト寺井尚子が聴けないものか…。
 そんな管理人の願いを叶えてくれるCDがある。『NAOKO LIVE』(以下『ライヴ』)である。

 『ライヴ』には,寺井尚子の“オレがオレが”な気性が出ている。“女帝”寺井尚子の演奏が痛快&爽快。この“じゃじゃ馬”なジャズ・ヴァイオリニストに親近感を覚えてしまうのだ。

 『ライヴ』は前作『プリンセスT』のフォロー・ツアーの録音盤。ギターリー・リトナードラムハーヴィー・メイソンピアノアラン・パスクァベースデイヴ・カーペンタープログラマーヨーカム・バン・デル・ザークの超大物集団をバックに,寺井尚子ヴァイオリンが躍動する。

 これぞライブの臨場感。スタジオであれば没テイクとなるミス・タッチもお構いなし。とにかく勢いのゴリ押し。
 『シンキング・オブ・ユー』の2倍速で突っ走る【SPAIN】での激しいインプロヴィゼーションは「お姫様アイドル」のイメージで売っているスタジオ録音盤では“めったに聴けない”ライブの醍醐味である。この“自己主張の強さ”がハイライトであろう。

 加えて『ライヴ』には,スタジオ盤には少ない,バック・ミュージシャンのソロにもスポットライトが当てられている。
 やはりリー・リトナーは“世界の”リー・リトナーであった。ヴァイオリンのバックで刻むリズムを聴き拾っていくだけで驚嘆するしソロで前面に出てのアドリブが実に楽しい。いや〜,リー・リトナーは「最高の共演者キラー」だと改めて再認識させられる。

NAOKO LIVE-2 あっという間に9トラックが流れ,ラストで迎える【THINKING OF YOU】。
 これまでの熱狂は全て,静寂の【THINKING OF YOU】のためにあった。そう思わずにはいられない“白眉の”出来である。

 実に美しい。甘くメロウなヴァイオリンの調べがリー・リトナーアコギと溶け合っていく。このシンクロを体感した寺井尚子の感動の涙声。もう声になっていない。随分とセッションで鳴らしてきた寺井尚子にして「異次元の手応え」を感じたのだろう。

 【THINKING OF YOU】での「異次元の手応え」は,ライブ終了後も,寺井尚子の身体の中にしっかりと残っている。そう。【THINKING OF YOU】は,寺井尚子の“ブレイクスルー”の記録である。

  01. spain
  02. stolen moments
  03. black market
  04. beijos
  05. lagrima
  06. shadow play
  07. cantaloupe island
  08. tokyo-la jam
  09. rio funk
  10. thinking of you

(ビデオアーツ/VIDEOARTS 2001年発売/VACV-1039)
(ライナーノーツ/寺井尚子,リー・リトナー)

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