アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2011年08月

プリズム / PRESENT I4

PRESENT I-1 プリズムの25周年記念盤『PRESENT 』は,プリズム初のセルフ・カヴァーCD・第1弾。

 現プリズムの形であり,管理人の中で「主流派」である“ジャズ系”ギター・トリオは実は「非主流派」。それで25周年のお祝いはギター・トリオ結成前の“売れ線”「プログレ・フュージョン」期の焼き直しである。

 レコーディング・メンバーも,和田アキラギター木村万作ドラムに,新メンバーの岡田治郎ベース,ゲストとして森園勝敏ギター白尾泰久アルト・サックス中村哲ソプラノ・サックス新澤健一郎久米大作石黒彰キーボード中島オバヲ三島一洋パーカッションが参加したオールスター・セッションっぽくなっている。

 和田アキラライナーノーツの中でアルバム・タイトル『PRESENT』について「私たちからの贈り物という意味のプレゼントプリズムの現在=PRESENTという意味の」ダブル・ミーニングと語っているように,単なる焼き直しでは終わらない2003年仕様の新アレンジが新鮮である。

 セルフ・カヴァー作『PRESENT 』の成功の立役者は,新ベーシスト岡田治郎であろう。
 何と言ってもプリズムの半分は渡辺建でできていた。渡辺建はメロディアスなフレットレス・ベースをメインにチョッパーはほとんどやらないパンチラ・ベーシスト。「スケベなメロディにはフレットレス」とはナルチョの言葉だが,そのスケベ道を極めたかの如く実にスケベなベース・ラインを弾いていた。
 良くも悪くも“超個性”の渡辺建が抜けたらプリズムプリズムでなくなるのではないか? そんな不安を「二代目・渡辺建」として岡田治郎が支えていく。岡田治郎の「超絶フレットレス・ベース」が,従来のプリズムを支えると共に,バンドとして一歩も二歩も前進させている。
 そう。岡田治郎は「二代目・渡辺建」にして「二代目・日本のジャコ・パストリアス」襲名でよろしい。

 例えば,一発目の【BENEATH THE SEA】。10分を超える大作にして,過去に何バージョンも収録されている【BENEATH THE SEA】。しかし今回の『PRESENTヴァージョンは過去のどの【BENEATH THE SEA】とも異なっている。安定感とノリである。
 和田アキラ弾きまくりのバックでベース・ラインがブレイク。唖然とするような早弾きが唐突に出てくるかと思えば,複雑なギターをワン・ノートでサポートする。岡田治郎の安定感とノリが【BENEATH THE SEA】を,そしてプリズムのバンド・サウンドをまた進化させた。

 『PRESENT 』での“新生”プリズムの演奏は,いつになくソリッドでタイトでスリリング。仕掛けが多い複雑な曲とシンプルでメロディアスな曲,激しさと繊細さのバランスが聴きやすい。プリズムらしいスケール感と透明感を有する,瑞々しいコンテンポラリー・サウンドに昇華されている。そう。「アダルトなプリズム」の風格が漂っている。

 単純に年季入っている? その印象は和田アキラ“円熟の”ギター・プレイにある。『PRESENT 』での演奏をどうしてもオリジナルの演奏と聴き比べてしまうのだが,オリジナルはフュージョンと言うよりハード・ロックする,エネルギッシュでパワフルで荒々しい“若気の至り”的な演奏が多かったのだが『PRESENT 』での和田アキラは“綺麗め”な演奏である。

 和田アキラが一番変ったのはアドリブのメロディ・ラインである。以前は自分でも制御不能のアクロバティックなギター・ソロが耳についていたが『PRESENT 』でのギター・ソロは事前に書かれていたかのような見事な構成力。尖がった部分のない滑らかなフレージングである。
 勿論,早弾きも爆発力も健在である。テクニックは衰え知らず。この変化は楽曲と真摯に向かい合った緻密なアレンジの積み重ねによるものだろう。より必然性のあるフレーズを意識しているように思える。

 和田アキラにとってプリズムでの25年間は,ギタリストから音楽家への成長の歴史である。『PRESENT 』のバラエティに富んだ楽曲群は,正に和田アキラプリズムと共に,懐の深いジャズメンへの成長記録。
 そう。ギタリストにして名コンポーザー=和田アキラの大きな存在感に圧倒される。

PRESENT I-2 さて,プリズムの25周年記念盤『PRESENT』には『PRESENT 』と『PRESENT 』の2枚がある。
 正確には別売りであって2枚組ではないのだが,アルバムの性質上,2枚で1セットと言ってよい。

 プリズムのマニアとしては,この2枚をどう位置づけるかが語り草? 管理人は「メロウな機ぅ蓮璽匹吻供廚醗銘屬鼎韻襦
 いや,本音を言えば『PRESENT』は,2003年5月発売の『』と2003年7月発売の『』,そして2003年9月発売の『MJU:(ミュー)』を含めた3枚組。全曲新曲の『MJU:(ミュー)』を聴いてこそ『PRESENT 』と『PRESENT 』の本質をより深く理解できる。

 『PRESENT 』は,プリズム25年間の代表曲の焼き直しにして,現プリズムの最新レコーディング。『MJU:(ミュー)』にはない,新旧ゲスト参加のこの演奏はハッキリ言って新しい。
 そう。『PRESENT 』は“現在進行形”のフュージョン・バンド=プリズムのバンド・サウンドの記録である。

  01. BENEATH THE SEA
  02. MORNING LIGHT
  03. LOVE ME
  04. TOUCH 419
  05. SPANISH SOUL
  06. SUNRISE CRUISE
  07. DANCING MOON
  08. SHADOW OF THE JUNGLE GYM
  09. WON'T YOU RIDE NOW?!
  10. UNFORGETTABLE
  11. 元寇

(ユニバーサル・ミュージック/UNIVERSAL MUSIC 2003年発売/UPGH-1007)
(ライナーノーツ/中田利樹,プリズム)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)

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T−スクェア / T−スクェア・ライブ − フィーチャリング・F−1グランプリ・テーマ5

T-SQUARE LIVE FEATURING F-1 GRAND PRIX THEME-1 『T−SQUARE LIVE FEATURING F−1 GRAND PRIX THEME』(以下『T−スクェア・ライブ − フィーチャリング・F−1グランプリ・テーマ』)。
 このCDタイトルを見て,そしてジャケット写真を見て,たじろいだ。正直,購入意欲がなえてしまった。
 これって『TRUTH』の“便乗商品”? これって眉唾物?

 それでも喜んでお金を払うのが真のファン心理。管理人もCDコレクションの所有欲に突き動かされ,便乗商法だと分かっていながら購入した次第。聴いてやっぱり…。

 『T−スクェア・ライブ − フィーチャリング・F−1グランプリ・テーマ』は『TRUTH』人気の肖り商品であった。だって内容はパッケージと相反した過去最高の『T−スクェア・ライブ』! 『フィーチャリング・F−1グランプリ・テーマ』の商品名など関係ない。

 良かった〜。買わねば一生の損だった。『T−スクェア・ライブ − フィーチャリング・F−1グランプリ・テーマ』はライブCD名盤であった。
 逆にそれだけに腹が立った。汚された気がした。あの「マクラーレン・ホンダ」「アイルトン・セナ」のジャケット写真は何なんだ〜。スクェアのメンバーがどこにも映っていないではないか〜。
 『NATURAL』なんてオリコンで6位だったんだぞ。黙ってCDを出せば自然に売れる。もはやF−1の力を借りなくともT−スクェアは売れる。CBSソニーの“認識違い”も甚だしい。

 お〜っと,いきなりのハイテンションだが,管理人も反省せねば…。振り返ればT−スクェアライブはハズレなし。CDタイトルに惑わされた自分が恥ずかしい。
 そもそもこのネーミングには,こうなってもしょうがない意味がある。『T−スクェア・ライブ − フィーチャリング・F−1グランプリ・テーマ』は,特別でスペシャルなライブ盤。

 何が特別でスペシャルかと言うと → T−スクェアの5人に加えてブラスパーカッションが参加 → ブラスパーカッションが参加できるようになったのも『TRUTH』の大ヒットのおかげ → 『フィーチャリング・F−1グランプリ・テーマ』のハイライト=人気曲『TRUTH』での大盛り上がりの図式。
 そうかっ,そうだったんだ〜。話はここまで〜。納得終了!?

 『T−スクェア・ライブ − フィーチャリング・F−1グランプリ・テーマ』の選曲は,ザ・スクェアT−スクェアの(クセある)代表曲の集大成!
 新旧織り交ぜた選曲は,デビューからの昔ながらのファンも【TRUTH】以降の新規参入者も,どちらも両方楽しめるプラチナ・ライブ
 このマニアックな選曲が【TRUTH】での“エナジー・パワー”を強く印象付ける要因か? 狙いなのか? だとしたら凄すぎる!

 管理人的に『T−スクェア・ライブ − フィーチャリング・F−1グランプリ・テーマ』の聴き所は『NATURAL』からの【CONTROL】と【RADIO STAR】。
 シックな印象だった【CONTROL】と【RADIO STAR】が,こんなにアグレッシブに演奏されると“意表をつかれた感じ”になって長期ヘヴィー・ローテしてました。
 そしてそして,待ってましたの【DOOBA WOOBA!!】! T−スクェアライブの“名物”=須藤満則竹裕之の最強タッグのベースドラム・ソロ! もう“お約束”のコンビネーションとアドリブの連打に失神しそうになります。

T-SQUARE LIVE FEATURING F-1 GRAND PRIX THEME-2 さて,スクェア・ファンにとっての語り草。『T−スクェア・ライブ − フィーチャリング・F−1グランプリ・テーマ』が,特別でスペシャルなライブとなった意味が別にある。

 伊東たけし本田雅人の“ニアミス”である。『T−スクェア・ライブ “フェアウェル・アンド・ウェルカム”』で正式にフロントの交代をアナウンス。管理人もてっきりそうだと思っていた。
 しかし,知る人ぞ知る,伊東たけし本田雅人の“ニアミス”が『T−スクェア・ライブ − フィーチャリング・F−1グランプリ・テーマ』であった。

 スペシャル・ライブの5人のゲストは,コンガパーカッションスティーブ・レイドと4人構成のホーン・セクショントロンボーン村田陽一トランペット荒木敏男菅坂雅彦,そしてそして…。
 アルト・サックス本田雅人! きっとこのライブでの本田雅人の“ハイパー・サックス”に,伊東たけしは心置きなく退団できたし,安藤まさひろも“新生”T−スクェアに思いを馳せたのでは?

 最後にお約束の『T−スクェア・ライブ − フィーチャリング・F−1グランプリ・テーマ批評
 結論を一言。「T−スクェアライブである」。決まったなっ。

  01. STIFF NAILS
  02. MISS YOU
  03. WRAPPED AROUND YOUR SOUL
  04. CONTROL
  05. RADIO STAR
  06. LICKIN' IT
  07. DOOBA WOOBA!!
  08. 脚線美の誘惑
  09. TRUTH
  10. A FEEL DEEP INSIDE

(CBSソニー/CBS/SONY 1990年発売/CSCL1517)

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プリズム / PRISMANIA4

PRISMANIA-1 プリズムの20周年記念盤『PRISMANIA』は,プリズム初のベストCD

 プリズム・クラスの人気バンドともなれば(デビュー20周年なのだから)ベストCDの1枚や2枚は当たり前(レコード会社主導の企画盤は既発済)。
 しかしプリズムのポリシーは「アンチ・コーマシャリズム」。20周年のご祝儀という大名目がなければ『PRISMANIA』さえ発売されることはなかっただろう。

 そんなプリズム初のベストCDなのだから,和田アキラ渡辺建木村万作の『PRISMANIA』への気合は半端ない。

 『PRISMANIA』の七色レインボー。まずは新曲の2曲【F.L.B.】と【I NEED YOU】。
 【F.L.B.】とは【FUNK.LATIN.BLUES.】の意。そう。プリズムの20周年記念盤は「フィーチャリング・木村万作」である。【F.L.B.】に,木村万作ドラム・ソロはイントロのみ。しかし和田アキラ渡辺建のソロで流れる「ファンキーでラテンでブルージーな」フレキシブルでダイナミックなビートの嵐に耳ダンボである。そう。【F.L.B.】は,複雑すぎるキメを余裕でキメマクル,現ギター・トリオでの構成力が聴き所。

 一方【I NEED YOU】は,キーボード・プレイヤー=佐山雅弘入りの,従来型で普遍のプリズム・アンソロジーに耳ダンボ。
 渡辺建フレットレス・ベース佐山雅弘フェンダー・ローズで奏でられる“アンニュイな”バラード。メロメロで大甘な美メロを“水の流れのように”澄んだ演奏で聴かせてくれる。美しい。ただただ美しい。

 『PRISMANIA』の七色レインボー。次はリメイク=【MORNING LIGHT(RE−MAKE)】である。
 ファースト・アルバムの1曲目。つまりプリズムの名刺代わりの【MORNING LIGHT】。真に20年目のリアレンジのテーマは「三浦海岸の朝陽から九十九里の朝陽へ」である。
 和田アキラの“溜めに溜めた”ブライトなギターの艶やかさに森園勝敏が“入っている”。そして王様=渡辺建のド・フレットレス・ベースさまの静かなのに熱いのにウェットなベース・ライン。
 そう。プリズムの名刺は20年間【MORNING LIGHT(RE−MAKE)】。朝陽は朝陽でも,ギターが似合う「葉山のヨットハーバー」からベースが似合う「御宿の月の砂漠」の朝陽であった。

 『PRISMANIA』の七色レインボー。続くは高音質。前記,新録音の3トラックは勿論だが,旧作からのカットも全て「20bitK2マスタリング」。
 プリズムの20周年記念盤『PRISMANIA』であるが,実際の音源は1980年の『SURPRISE』+1981年の『COMMUNITY ILLUSION』+1986年の『DREAMIN’』+1987年の『THE SILENCE OF THE MOTION』の7年間=中期プリズム限定ベスト
 この7年間はアナログからデジタルへの転換期ゆえ,正直『PRISMANIA』にもベスト盤の宿命=音質のバラツキがあるのだが,この「20bitK2マスタリング」の活躍で違和感が解消されている。
 尤も,このバラツキ解消の最大の要因はリマスタリング以上にプリズムというバンドの“ブレナイ”基本スタンスの賜物であろう。

 『PRISMANIA』の七色レインボー。最後は“選曲の妙”である。『PRISMANIA』はベストCDなのにテーマ有り。『PRISMANIA』のテーマは「PRISM・夏」!
 「高中正義・夏」のパクリ企画?ゆえ,代表曲にして聴きやすさ優先の選曲群。仕掛け人は元メンバーにして現ワーナーミュージックのプロデューサー=伊藤幸毅。
 そう。プリズムの元キーボード・プレイヤーが『PRISMANIA』のコ・プロデューサー。バンドの内外を知る者の選曲眼が“トータル・アルバム”『PRISMANIA』の完成に一役買っている。

PRISMANIA-2 管理人の結論。『PRISMANIA批評

 『PRISMANIA』は,ぶっちゃけ“にわかプリズム・マニア”生産盤である。シングル・カットの2トラック【UNFORGETABLE】【TAKE OFF】を収録した“夏・全・開”な第2期プリズムが存分に楽しめる。

 しか〜し,プリズムの本質は「PRISM・夏」ではない。プリズムの真髄は「ジャズフュージョン・バンド」にある。
 ギター・トリオの「PRISM・冬」の発売を待て!?

  01. TAKE OFF
  02. MORNING LIGHT (RE-MAKE)
  03. F.L.B.
  04. I NEED YOU
  05. KARMA
  06. OPEN THE OTHER BOX
  07. MEMORY OF THE MOMENT
  08. BACK STREET JIVE
  09. COME ON
  10. UPSIDE DOWN
  11. UNFORGETTABLE

(ワーナーミュージック・ジャパン/WEA JAPAN 1997年発売/WPC6-8361)
(ライナーノーツ/熊谷美広,プリズム)

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プリズム / リジューヴァネーション5

REJUVENATION-1 プリズムにとって最も重要なアルバムが『マザーアース』。ここは動かせないが『マザーアース』と同等に,いや『マザーアース』以上に重要なのが『REJUVENATION』(以下『リジューヴァネーション』)である。

 そう。『マザーアース』が,プリズムのアンチ・コーマシャリズムへのターニング・ポイントであったとすれば『リジューヴァネーション』は,プリズムのバンド・スタイルのターニング・ポイント。
 『リジューヴァネーション』の“完成された”音造りを聴いて“ジャズ系”ギター・トリオ路線継続の意思表示! もう,ニヤケ顔が止まりませ〜ん。

 とは言え『リジューヴァネーション』は「環境3部作」の第2作。『リジューヴァネーション』のテーマは光合成。そう。プリズムプリズムたる由縁と真剣に向き合っている。
 『マザーアース』が「シック・プリズム」の大名盤なら『リジューヴァネーション』は「カラフル・プリズム」の大名盤である。
 この両者の微妙なトーンの相違にコンセプト・アルバムの制作意義が認められる。

 両者の微妙なトーン違いの原因はズバリ,和田アキラギター・シンセ炸裂にある。
 アラン・ホールズワースな“プログレ・ギタリスト和田アキラに,パット・メセニー渡辺香津美な“ジャズギタリスト和田アキラがブレンドされている。綺麗でゴージャスな音色に騙されてしまいそうな,和田アキラギター・シンセは前衛である。ヒーリング系なメロディに騙されてしまいそうな,和田アキラギター・シンセジャズである。和田アキラの異様なテンションに圧倒されてしまう。

 『リジューヴァネーション』には,和田アキラからのメッセージが込められているのだと思う。反戦である。
 時代は湾岸戦争真っ只中。ドンパチの真っ只中にめくるめくバロック調変拍子の【BLUE, GREEN&RED】。和田アキラギターが【SELLIN’ OUT】【IDEOGRAM】では凶器ともなれば【LONGIN’ FOR HOME】【A PLANT’S WISH】では絆創膏ともなる。

 『リジューヴァネーション』には,渡辺建からのメッセージが込められているのだと思う。歌である。
 時代は湾岸戦争真っ只中。ドンパチの真っ只中にめくるめくバロック調変拍子の【BLUE, GREEN&RED】。【DAWAN 〜MOTHER EARTH 供】【BLACK WING】でのリード・ボーカルプリズムの個性を感じる。しかしボーカル以上に歌うは渡辺建フレットレス・ベース
 和田アキラギターが“完全にイッテイル”状態で流れ出す,真にメロディアスなフレットレス・ベースは「日本のジャコ・パストリアス」降臨の瞬間である。

 『リジューヴァネーション』には,木村万作からのメッセージが込められているのだと思う。自己の確立である。
 時代は湾岸戦争真っ只中。ドンパチの真っ只中にめくるめくバロック調変拍子の【BLUE, GREEN&RED】。『リジューヴァネーション』でプリズムは,和田アキラ渡辺建の双頭ユニットから真にギター・トリオへ変貌したと思っている。この有り得ないリズムでのインタープレイに,平常な日本でそれぞれの何かと闘っているジャズメン魂を想起してしまう。

REJUVENATION-2 そう。『リジューヴァネーション』には,プリズムからのメッセージが込められている。追憶が奏でる生命の音である。
 反戦&反バブル。都会で暮らしていると,自分も自然の一部だという事実は,単なるロジックにすぎなくなる。プリズムの3人は心臓の鼓動に耳を澄ませ“ジャズ系”ギター・トリオならではの音楽を奏で始める。

 「七色のリズムと七色のメロディー」。これがプリズムという「ジャズフュージョン・バンド」の真髄である。

  01. DAWN 〜Mother Earth II〜
  02. SELLIN' OUT
  03. IDEOGRAM
  04. LONGIN' FOR HOME
  05. SUMER
  06. BLUE, GREEN&RED
  07. A PLANT'S WISH
  08. BLACK WINGS

(バンダイ/BANDAI 1991年発売/BCCA-11)

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プリズム / マザーアース5

MOTHER EARTH-1 プリズムにとって最も重要なアルバムが『MOTHER EARTH』(以下『マザーアース』)だと思う。
 『マザーアース』がバンドの歴史におけるターニング・ポイントだと強く思うからだ。

 『マザーアース』は,管理人の前に突如表われた“まさかの”ヒーリング系だった。売れ線の名曲【TAKE OFF】→超絶技巧の「プログレ・フュージョン」目当てで聴いてたプリズム突然の新サウンド。
 プリズムの新サウンドの要因は3つ。1つ目に「環境3部作」というコンセプト・アルバム。2つ目にキーボードレスのギター・トリオ。3つ目は木村万作ドラミングである。

 『マザーアース』発売当時の1990年はバブルの絶頂期であった。大量消費の快楽追及に疲れた時代。人々は音楽に癒しを求め始めていた。そう。「環境3部作」は,ついに売れ線復活のヒーリング系?
 いいや,プリズムは時代に乗っかったのではなかった。『マザーアース』のストイックな音造りは,真剣に「母なる地球を救えるのは人間だけ」というメッセージを伝えている。プリズム初となる“テーマの縛り”が演奏に統一感をもたらしている。
 音数は減っている。キーボードの芳醇な音色もない。それなのに『マザーアース』でのプリズムの音楽性は,鮮やかに“スケールアップ”している。キーボードレスで空間が広がった分,ギター・トリオでの構成力が見えてくる。素晴らしい。

 『マザーアース』の真実は,時代への逆行であった。華やかでゴージャスで使い捨てな毎日を否定するシンプル・ライフ。時代が求める“売れる”音楽を否定し,自分たちが本当にやりたい音楽だけをやる。この「コマーシャルからのリタイア」こそが,プリズムにとってのターニング・ポイントになったと強く思う。
 『マザーアース』のプリズムは,ヒーリング系で時代に乗ったのでも,逆に,時代に乗れなかったのでも,乗り遅れていたわけでもなく,時代に乗ることをやめてしまっている。そう。プリズムの新サウンドは,実は時代を“先取り”していたのだ。

MOTHER EARTH-2 このズレズレ感,ギャップに管理人も当初戸惑いを覚えた。しかし5回,10回と繰り返し聴き込む度に『マザーアース』への戸惑いはやがて確信へと変化した。
 『マザーアース』の和田アキラ渡辺建がエキサイトしている。最高に純粋に演奏を楽しんでいる。歓喜の喜びで満ちている。やった〜。ついにプリズムジャズの領域へと足を踏み込んでいる〜。ジャズ・トリオとしての新たなる出発,新たなるチャレンジに狂喜乱舞したものだった。

 ここに『マザーアース』が,以前からの“フュージョン系”のプリズム・ファンに支持されなかった理由がある。『マザーアース』のプリズムは“ジャズ系”である。もはやインプロヴィゼーションが聴き所なのである。
 ゆえに自由なインプロヴィゼーションでなく“テーマの縛り”という統一感あるインプロヴィゼーションを産み落とした「環境3部作」=コンセプト・アルバムの優越性を認めないわけにはいかない。

 耳障りの良いフュージョンからの脱皮という点では,ギター・トリオ・フォーマットの優位性についても語らねばならない。そう。ギター・トリオの優位性は「メロディアス指向」にある。
 和田アキラ渡辺建のハイ・テクニックを持ってすればキーボードレスなどモーマンタイ。ただしメロディがいる。キーボードのあのラインが奏でていたメロディがどうしてもいる。
 和田アキラギター・シンセで,渡辺建フレットレス・ベースで,懸命にキーボードのあのラインを奏でようと努力している。この2人の新たなるチャレンジが,緻密で複雑でドラマティックな展開とスケール豊かな音作りに貢献している。

MOTHER EARTH-3 そんでもって木村万作の“無尽蔵パワー系”のドラム。管理人は木村万作が,なぜ神保彰並みに評価されないのかが理解できない。
 和田アキラ渡辺建がいつも以上にメロディに“専念”できるギター・トリオプリズムは,木村万作和田アキラ渡辺建を締めればこそ。プリズムジャズ系に変貌できたのは,安定したリズムを造り出す木村万作に依る所が大きいというのに…。
 『マザーアース』の1曲目【AWAKENIN’〜I DON’T GO FOR THAT】のイントロでのドラム・ソロは“いかにも”な木村万作へ花を持たせた演出であろう。

 結果『マザーアース』は(プリズムはもともとマニアックなのですが)完全なマニア向けに仕上がっている。
 事実,プリズム・ファンでも二の足を踏む『マザーアース』程,取っ付き難いCDはない。『マザーアース』程,好き嫌い&受け入れる受け入れられないがハッキリ分かれるCDはない。正直,数回聴いただけでは,さっぱり分からない→お蔵行きの危険大だと思う。

 それはそれでいい。大名盤マザーアース』は分かる人だけ分かればいい。じっくりと腰を据えて聴き込んだ者だけが辿り着ける快感がある。そう。『マザーアース』こそ「プリズムの中のプリズム」。躍動感と浮遊感と緊張感が絶妙なバランスで表現された「プリズムの秘境」なのである。

MOTHER EARTH-4 【DEJA VU】【FLOWING IN THE WIND】【THE RAINS】【CALL OUT MR,M.K】【MOTHER EARTH】の5大名曲を収録した『マザーアース』は,プリズム史上“最強にストイックなのに最強にメロディアス”。
 ここまで管理人が迷いなく書けるのは『マザーアース』こそ「プリズムの全て」との自負があるからです!

PS プリズムが時代と逆行した音造りに励もうともレコード会社はセールスです。「MOTHER EARTH-3」と「MOTHER EARTH-4」の特典に「バブル真っ盛り」がハッキリと残されています。

  01. AWAKENIN'〜I DON'T GO FOR THAT (Final
     movement of the suite,"Dreamin'")

  02. DEJA VU
  03. SHADE OF THE MOON LIGHT
  04. FLOWING IN THE WIND
  05. THE RAINS
  06. IN THE STREAMLINE
  07. KIKI (A FLYING GIRL)
  08. CALL OUT MR,M.K
  09. MOTHER EARTH

(バンダイ/BANDAI 1990年発売/BCCY-2)
★【初回仕様限定盤】:特典ピック付
★【初回生産限定盤】:特典T−シャツ付

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プリズム / LIVE ALIVE VOL.24

LIVE ALIVE VOL.2-1 第1期プリズムの集大成が『LIVE』なら,第2期プリズムの総決算が『LIVE A LIVE VOL.2』。

 『LIVE A LIVE VOL.2』は『NOTHIN’ UNUSUAL』の録音メンバーによるプリズム第2期のレパートーリー・ライブ
 しかし『LIVE A LIVE VOL.2』は,単なる総決算ライブではなく,来たるべき「黄金の第3期」の胎動を伝える,第2期ヒット・ナンバーの新アレンジ。全4曲とも“オリジナルを凌駕する”完成度は神。音楽に“生命力が吹き込まれる”瞬間のライブは「これぞプリズム」的な快演に感動するばかりである。

 この言わば2.5期のプリズムは,和田アキラ渡辺建によるユニット体制。そこに木村万作ドラム松浦義和深町純のツイン・キーボードがサポートとして加わる,通称「プログレ・フュージョン」!
 松浦義和深町純ジャズとロックを行き来するパイロット・フレーズの“仕掛け”に和田アキラが大スパーク。グイグイと早弾きで畳み掛けているはずなのに,サウンドが横へ横へと,水平線に沿って広がっていくこの感じ。く〜っ。

 【KARMA】における6分28秒から9分7秒までの和田アキラのギター・ソロのヒートアップぶりがお見事。ドラマティックでアルペジオで超絶技巧を惜しげもなく繰り出す“火を吹く”演奏の比類の無い緊張感。「もう指が止まんね〜」の「どこまで行くねん」状態こそ,真に【KARMA】そのもの。

 ミディアム・バラードの神曲【UNFORGETABLE】こそ『LIVE A LIVE VOL.2』のハイライト。渡辺建の“リード”フレットレス・ベースから始まって,中盤での和田アキラの“なんともメロディアスな”超絶ギター。ラストで来る来る,やつが来る,きっと来る,ついに来た〜大叩きの木村万作ドラムと共に涙がポロリなハートフル。いや〜,名演である。

LIVE ALIVE VOL.2-2 しか〜し,管理人の『LIVE A LIVE VOL.2』の評価は星4つ半。

 極上の37分36秒の完璧な世界観を表現されるよりは,勢いあるミス・タッチも認めてしまえ〜。和田アキラよ,没テイクも認めるのがジャズフュージョンに生きる男たちの掟ではなかったのか?( 要は収録曲数の少なさ&収録時間の短さに不満足。もっと聴かせろ〜,だけが星半個マイナス )

 ああ,やっぱりそう。プリズムの2.5期は非ジャズな「プログレ・フュージョン」。和田アキラが一番「アラン・ホールズワース」に寄っている。
 第1期プリズムフュージョンだったが,第2期プリズムはロックである。そして,黄金の第3期は“フュージョンともロックとも捉えがたい”プリズムの独自路線へと突き進んでゆく。

  01. KARMA
  02. THE FIRST SKY AND THE LAST SEA
  03. CRUISER'S STREET
  04. UNFORGETTABLE

(サウンズ・マーケッティング・システム/SOUNDS MARKETING SYSTEM 1987年発売/MD32-5108)

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プリズム / LIVE4

LIVE-1 管理人がプリズムを聞くようになったのは,売れ線の名曲【TAKE OFF】からである。あのマイルド・セブンのCMは角松敏生の【SEA LINE】と同様,あの美メロが流れた瞬間,遊んでいても食事をしてても,もう何をしていても画面に釘付けの金縛り〜。

 しかし【TAKE OFF】のプリズムは「聞いていた」のであって「聴いて」はいなかった。
 管理人が真に“プリズムを聴く”ようになったのはギター・トリオ編成となった「環境3部作」からである。もうめちゃめちゃ聴いた。和田アキラは当然として渡辺建にハマッテいた(大人になった今は「木村万作・命」です)。

 それでいつもなら,お気に入りのフュージョン・バンドは過去のディスコグラフィを遡って聴くのだが,なぜだろう? プリズムの場合は漁らなかった。多分,最初に買った『LIVE』が好みじゃなかったからだろう。

 『LIVE』には『MOTHER EARTH』『REJUVENATION』『A PERSONAL CHANGE』での“スリムでシャープでいぶし銀な”ギター・トリオプリズムはいなかった。
 『LIVE』でのプリズムギター・トリオとは真逆の,ツイン・ギター3キーボードツイン・ドラムな大編成。
 和田アキラ森園勝敏ギター佐山雅弘久米大作伊藤幸毅キーボード村上“ポンタ”秀一鈴木リカドラム,そして渡辺建ベース佐藤康和パーカッション白尾泰久アルト・サックス。どうですか,このスーパー・スター軍団=プリズムのメンツ。

 スーパー・スター軍団による『LIVE』は,白熱のライブ。ドドドでダダダでカッキ〜ンなライブ。当時の管理人にはハマラなかったが今聴いたらハマル。多分,読者の皆さんにもハマル。

 『LIVE』には,1978年当時の“熱い空気”が収録されている。そもそもライブ・アルバムはそのアーティストのベスト盤的な選曲がなされることが多いが,このセット・リストはプリズムの第1期(1stから3rd)の集大成にして第2期プリズムの始動作。
 ゆえに当然の“絶頂”ベストライブ。クリエイティヴィティに対する眩いばかりのチャレンジ&ハングリー。和田アキラの迷いのない新鮮なフレーズは“サナギからの脱皮”である。
 そう。『LIVE』こそ,時代を超えて歴史に残るJ−フュージョン黎明期の傑作。永久保存版の名盤である。

 『LIVE』の“昔ぜんぜん今絶賛”への変化は,今回の「紙ジャケット・巻帯仕様・SACDハイブリッド盤仕様」での再発マジックに理由がある。

 その1。曲順をオリジナルのライブ通りに戻したドキュメンタリー仕様。特に【LOVE ME】の前に入っている渡辺建によるメンバー紹介のMC+バッキングの久米大作エレピ+かわいそうな白尾泰久を経て辿り着いた和田アキラの“泣きの”ギター。そう。無編集ライブの“荒々しい灰汁”である。
 その2。SACDDSDに圧倒的な音質向上。特に【風神】における,村上“ポンタ”秀一鈴木リカドラム・バトルの大迫力に耳ダンボ。
 その3。ボーナス・トラック3曲。ズバリ,管理人の『LIVE』再購入の動機はこれにつきる。プリズムライブは素晴らしすぎる未発表テイクの宝の山を痛感した。

LIVE-2 以上,全てをひっくるめて…。管理人の結論。『LIVE批評
 やっぱり管理人はギター・トリオプリズムを支持します。『LIVE』は永遠に星4つ半です。

 『LIVE』のハイライトは【プリズム】。渡辺建のメロディアスなベースとユニゾンする佐山雅弘シンセが超快感です。

  DISC 1
  01. MEMORIES OF YOU〜WHEN YOU WERE GONE
  02. TURTLE'S DREAM
  03. DESPERATION Part-1〜OPEN MIND〜
     DESPERATION Part-2

  04. SLOW MOVE
  05. PRISM
  06. 風神
  07. MORNING LIGHT
  08. NIGHT PICNIC

  DISC 2
  01. SUMMER AFTER NOON
  02. BREATH OF LIFE
  03. BENEATH THE SEA
  04. LOVE ME
  05. TURTLE'S DREAM
  06. 風神
  07. LOVE ME

(ポリドール/POLYDOR 1979年発売/UPGH-1005/6)
(☆SACDハイブリッド盤仕様 CD2枚組)
(紙ジャケット・巻帯仕様)
(ライナーノーツ/和田アキラ,小澤芳一)

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