アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2011年10月

松岡 直也 / ロング・フォー・ジ・イースト4

LONG FOR THE EAST-1 『夏の旅』が「夏の旅」なら『LONG FOR THE EAST』(以下『ロング・フォー・ジ・イースト』)は「秋の旅」。夕焼けのスカイラインを「もっと遠くへ。もっと東へ」。

「忘れ過ぎていた日々が,なにげないひとときにふいに浮かびあがる。
 山稜のオレンジラインの向こうに,太陽を引き寄せるだけのなにかがあると信じていたことさえあったんだ。 
 それは,かつてシルクロードの商人が見たというさまよえる湖にも似たミラージュだったのだろうか。
 キーを差しこみギアを入れれば,もうそこはあの日のスカイライン。
 空に駆ければ,東からの風が窓を抜ける。受け止めようとして手を伸ばしてみれば,ヘッドライトの先にある薄明かりの雲の端に,まだ捨てさられずに旅の彼方があった」。

 『ロング・フォー・ジ・イースト』での「もっと遠くへ。もっと東へ」のドライブは大人の運転での遠距離ドライブ。排気量の大きいセダンを軽く転がす大人のドライブ。楽しみは車を走らせることではなく景色に吸い込まれてしまいそうな一体感。ハンドルを通してどこまでも続くハイウェイと地球との対話を楽しむドライブである。

 『ロング・フォー・ジ・イースト』で松岡直也が走らせるセダンは“新車”である。今回の“新生にして真正”松岡直也グループには,ベース高橋ゲタ夫キーボード津垣博通ドラム広瀬徳志に加えて,新メンバーとしてパーカッションウイリー長崎パーカッション菅野真吾が参加している。そう。『ロング・フォー・ジ・イースト』で“黄金期の松岡直也グループ”の主要メンバーが勢揃いしたのだ。

 そして『ロング・フォー・ジ・イースト』でハンドルを握った松岡直也の助手席には,ボーカル久保田利伸楠瀬誠志郎が,ギター土方隆行和田アキラが“道先案内人”を務めている。
 このゲスト4人の音使いのセンスこそ“新生にして真正”松岡直也グループの基盤の音。同じラテン・フュージョンでも,ラテン・ハード・ロックな『夏の旅』の前後では音造りが異なっている。
 そう。当時流行のギター・フュージョンの“波にもまれた”ラテン・フュージョンは「リズム控えめのアドリブ多め」指向。管理人的には“ウハウハ”の時代がやってきたのだ。

LONG FOR THE EAST-2 そんなこんなで管理人的『ロング・フォー・ジ・イースト』のベストは,アドリブがスパークする【ア・ヘッド・ウィンド】と【ザ・プライム・オブ・ライフ】なのであるが「秋の旅」である『ロング・フォー・ジ・イースト』の真骨頂は【ロング・フォー・ジ・イースト】と【ニュアージュ】であろう。そして『ロング・フォー・ジ・イースト』のロングランは【この道の果てに】で完結する。

 そう。『ロング・フォー・ジ・イースト』の秋物語は【ロング・フォー・ジ・イースト】【ニュアージュ】【この道の果てに】の3曲で完結する。後の4曲は旅の途上の“付けたしハプニング集”。
 【ザ・ラテン・マン】は“名伯楽”として久保田利伸デビューさせるための付けたし。【ア・パストラル】は『夏の旅』収録の【田園詩】の付けたし。“秋の味覚”は付けたしにある。

PS1 土方隆行和田アキラギターが同一人物に聞こえていました。音の味覚音痴を自己申告いたします。
PS2 関係ないけど『夏の旅』と『ロング・フォー・ジ・イースト』は(買えるのであれば)LPを是非買ってください。ジャケットに見とれながら聴くアナログ・レコードの高音質の相乗効果が,松岡直也音世界の素晴らしさをダイレクトに伝えてくれることでしょう。おい,他人事かよ〜。
PS3 本当に関係ないけど「もっと遠くへ。もっと東へ」を実現するためにバイク用「ゲルザブD」を購入してみました。お尻痛いの飛んでけ〜。

  01. THE LATIN MAN
  02. LONG FOR THE EAST
  03. NUAGE
  04. A HEAD WIND
  05. THE END OF THE WAY
  06. A PASTORAL
  07. THE PRIME OF LIFE

(アーント/ANT 1984年発売/ANT-12)
(ライナーノーツ《ポエム》/柏田道夫)

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松岡 直也 / 夏の旅5

NATSU NO TABI-1 『夏の旅』こそ松岡直也の“最高傑作”である。

 CD1枚の出来なら『午後の水平線』が上であろうが,曲一曲一曲の魅力でいけば『夏の旅』が上である。
 単純に記すと【田園詩】【夏の旅】【虹のしずく】【廃墟の街】【Uターン】の神曲5トラック。でもこれが残る4トラック=前後の佳曲があるからこそ,神の領域にまで届いているのだ。
 管理人にとって松岡直也の『午後の水平線』と『夏の旅』は本田雅人の『イリュージョン』と『リアル・フュージョン』なのである。

 『夏の旅』のサウンド・メイクに松岡直也の打算はない。若手メンバーで固めた,新松岡直也・グループの船出である。まだトータル・サウンドは半生。イケイケの勢いを持って臨んだ松岡直也流“ハード・ロック”である。

 事実『夏の旅』で王道ラテン・フュージョン“している”のは【日傘の貴婦人】【風のしらべ】ぐらいなもので,リズム隊で目立っているのは広瀬徳志ドラムのみである。広瀬徳志の硬いドラミングが実に素晴らしい。ノリノリに乗せられてしまう。
 あっ,ベース高橋ゲタ夫も【廃墟の街】と【Uターン】で大仕事してくれていま〜す。

 Rの斉藤英夫とLの今泉洋の“ガチンコ”ツイン・ギターがギンギンに弾きまくれば,何と!“御大”松岡直也キーボードまでもが“ラテン・ハード・ロック”している。ジャーニーの【セパレイト・ウェイズ】ばりに“ガッツイテル”松岡直也は生涯唯一。

 しかし打算がないのは演奏だけで『夏の旅』の楽曲群は名曲揃いの“夏の歌”のオンパレード。毎年,夏が来るたびに管理人は『夏の旅』を聴いている。無性に聴きたくなる。
 その理由は『夏の旅』有するストーリー性にある。特に【日傘の貴婦人】終わりの「ミンミンゼミしぐれ&バスの到着〜降車〜出発」SE。【廃墟の街】終わりの【夏の旅】のリフレインSEがたまらない!

「僕は忘れていた,いつでもここにあったのに。
 ここはこんなに変わっていない。昔のままだ。夏の日射しが秋の訪れを拒むように照りつけて,見渡すかぎり影一つ作っていない。そして,陽炎たつ道路の向こうから砂煙りをあげて,ゴトゴトと路面バスがやってくる。やがてバスは,置き忘れていくみたいに,古ぼけたベンチがぽつんとあるだけの停車場に一人の女を残して走り去る。夏の日射しがようやく一つ,影を作った。日傘をさす着物の女の影を…。女はこんな田舎には不似合いなほど,スラリと背が高く,日傘をクルクル廻して停車場に立ち竦んでいる。
 そうだ,憶い出した。僕は今日と同じ風景をずっと昔に夢見たんだ。そして今,あの時の夢と同じようにあの停車場に立っている…。
 その時,白い日傘雲の様に空に舞ったような気がして僕は見上げた。虹のかけらが空を走り,は一瞬に過ぎ去った。もう一度見た昼下がりの停車場には,ただかすかに秋の匂いのするが吹いているだけだった。
 僕の夏の旅はもうすぐ終わろうとしている。
 戻ろう…まだ間に合う,まだ遅くない…」。

 どうですか? 『夏の旅』していませんか? イメージとしては高原の田舎への帰省旅。どうにこうにも懐かしい「日本の。キンチョウのと納涼祭り」。そう。「ふるさとの」なのです。
 ちなみに松岡直也は,ほぼアルバムばかりを作っていますが,管理人が思う松岡直也アルバムは『夏の旅』と『ウォーターメロン・ダンディーズ』の2枚だけなのです。この2枚には松岡さんの“哀愁ロマンティック色”を感じませんので…。

NATSU NO TABI-2 さて『夏の旅』について語る場合,どうしてもこれだけは語っておかねばならない! 秀逸なアートワーク。そう。ジャケット絵画である。
 松岡直也のアルバム・ジャケットと来れば,永井博やわたせせいぞうが有名であろうが『夏の旅』は岡本三紀夫。【日傘の貴婦人】【田園詩】の世界にインパクトある入道雲。田園風景,虫の鳴き声,バスのローカル線。日本人が忘れかけている純日本的な風景絵画。
 しかし暑い夏の日の昼下がりに和服を着ているのに,このイラストからは不思議と暑さは伝わってきません。左右にシンメトリーに広がる水田の緑を涼しい風が吹き抜けているかのよう。カラッとした気候の「避暑地の休み」なのです。
 それにしてもバスから降りた日傘の貴婦人はこれからどこへ行くのでしょうね? きっと色白美人なんだろうなぁ?

  01. 日傘の貴婦人
  02. 田園詩
  03. 夏の旅
  04. 風のしらべ
  05. 虹のしずく
  06. 雲のゆくえ
  07. <Interlude>
  08. 虚栄の街
  09. Uターン

(アーント/ANT 1984年発売/ANT-11)
(ライナーノーツ《ポエム》/柏田道夫)

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レコードショップ・まさ

レコードショップ・まさ-1 世間では2011年10月26日発売,AKB48のシングル【風は吹いている】の売り上げ=初日だけで104万6000枚。【風は吹いている】の大フィーバー。
 その時セラビー宅では同日発売,T−スクェアのアルバム『夢曲(ゆめのうた) − T−SQUARE PLAYS THE SQUARE』の売り上げ=フラゲで1枚。一人『夢曲』の大フィーバー。

 でも大丈夫。これからAKBに追いつけ追い越せで売れるはず? だって今日の新聞朝刊のTV欄への大広告見ましたか? T−スクェアの『夢曲』に河野啓三の『DREAMS』まで抱き合わせた大広告。AKBのキングレコードに負けじとソニーヴィレッジも本気出してきた?

 今夜は,そんな大売れ予想の『夢曲』を熱心に売っている地元のCDショップのご紹介。福岡市中央区六本松にある「レコードショップ・まさ」さんです。
 「レコードショップ・まさ」は,福岡でも老舗の個人CDショップアドリブログで紹介するまでもなく,FBS「めんたいワイド」,TNC「ももち浜ストア」,TVQ「きらり九州めぐり遭い」の福岡民放TV3局でも紹介されています。詳しいお店の紹介はこちらでも。

 管理人と店主の山口まささんとの付き合いはここ5年間かな? 今ではお店に世間話のついでにCDを買っている。やれ,近況だのどこどこに新しいお店が出来たの今度旅行に行くだの身体のあちこちが痛いの。CDを1枚買いに寄っただけなのに30分は時間がかかる。お店でCDの話はしない。最新の新譜情報はまささんから直電があるからだ。「お兄さん,今度スクェアCD出るけど予約しとく?」である。GIVE & TAKE!

 まさおじさんとのお話セットで格安購入。先日の『夢曲』も2300円で購入。新譜なら2割引き。旧譜なら5割引で売ってくれる。最近などは(お得意様限定ですが)旧譜はどれでも1枚で1000円。ただし管理人の欲しいジャズフュージョンは残っていない。もう店内ぜーんぶ買い漁ったんだもん。

 マジで管理人は超お得意様。現在のCDコレクションは1300枚越え。2年半前のこちらの記事を見ると所有900枚と書いてあるから400枚増えていることになる。
 今年になってからはこちらの記事にある通り,CDコレクターの一線から退いたので,本当に聴きたいものだけを選んで買うようになった。現在は月に2,3枚のペースで買っている。
 ここ数ヶ月は「買ってリッピングして売って。また買って」の繰り返し。しかしCDを売りに行ったはずの中古CD屋さんからむなしでで帰宅したことはない。必ず売りに行ったついでにCDを物色して帰ってくる。何だか「物々交換に行っている感じ」に襲われてしまいます。売っても売ってもなかなか減らないCDの山。この虚無感は疲れる〜。

レコードショップ・まさ-2 おっと,話が脱線してしまいましたが,要するに,まささんのお店に数十万円を上納し対価に見合う以上のサービスを受けていたわけなのです。

 そこで緊急告知! 読者の皆さんも「レコードショップ・まさ」でお買い求めください。「閉店セール」始めましたのでいちげんさんでも新品CD(ただし旧譜に限って)半額で売り出しています。年内での閉店まで大売出しが続けられます。

 上述したジャズフュージョンCDコーナーには,管理人のダブリはそのまま在庫していますのでご安心ください。名盤はほぼ在庫しています。その他,オールジャンルのCDの在庫は数千枚有り。全てが未開封の新品です。
 「レコードショップ・まさ」の変り種は「演歌&アイドル」コーナーの充実でしょう。AKB48の【風は吹いている】も『夢曲』と共に大量入荷していました。【風は吹いている】を買うとAKB48の“お宝非売品”生写真が購入特典でついてきます(たかみな。こっそり見せてもらってきました)。

 まささん,もっと早く宣伝してあげられなくてごめんなさい。『夢曲』フィーバーが終わった後は閉店セール・フィーバーです。お店引退してからが人生のお祭りです。来年からは友として,お店の代わりにご自宅へ足繁く通い続けようと思っています(ここだけの話。実はご近所さんなのです)。

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T-SQUARE / 夢曲(ゆめのうた) 〜T-SQUARE PLAYS THE SQUARE〜4

YUMENOUTA - T-SQUARE PLAYS THE SQUARE-1 待てども待てども出てこない。便●でも出産でもない。“愛する”T−スクェアの新作『夢曲(ゆめのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』の話である。

 『夢曲(ゆめのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』とは『宝曲(たからのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』=全曲・新録音による究極のセルフカヴァー・アルバム『T−SQUARE PLAYS THE SQUARE』シリーズの第2弾。

 通常営業のT−スクェアであれば,新作のリリースの2週間〜1ヶ月前にはWebでの試聴が解禁される。しかし今回の『夢曲』は音源がなかなか表に出て来ない。結局,試聴できないまんま,今日のフラゲの発売日まで待たされた&焦らされた〜。

 ついに訪れた本日フラゲの日。AKB48の【フライングゲット】を口ずさみながら「レコードショップ・まさ」からの帰宅。ゆえに気分は爽快だ。2週間分の詰まりものが一気に“ドバーッと”吐き出された感じ。
 お〜,違う違う。この爽快さは待たされたからではない。『夢曲(ゆめのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』の演奏が爽快なのだ。ただし1週目は。

YUMENOUTA - T-SQUARE PLAYS THE SQUARE-2 2週目,3週目と聴き込んでいくと,これはかなりのアレンジいじり? 河野啓三坂東慧の“新手”にどうにも耳が行く。うーむ。どうした。どうしたんだセラビー。『夢曲』には『宝曲』で感じたインパクトを感じない。
 カシオペアの『ASIAN DREAMER』の悪夢が甦りかけた5週目。今度は安藤正容伊東たけしの“新手”に耳が行く。いい。もはやメロメロの首っ丈状態へとトランス。「やっぱスクェア安藤さんと伊東さんだよなぁ」。

 そしてツボにハマッテ余裕が出てきた6週目。管理人は『夢曲』のある秘密に気付いてしまった。そう。『夢曲(ゆめのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』の真実は『夢曲(ゆめのうた) − T−SQUARE PLAYS HIROTAKA IZUMI』。
 『夢曲』全12曲中5曲が和泉宏隆作ではありませんか?(← 注:安藤正容作が6曲という事実は受け付けません。打率の問題です!)普通に聴いていて和泉メロディが,俄然,腎臓にまで食い込んでくる。この無意識での激反応はもしかして,管理人の身体は和泉メロディのDNAで出来ている?

 管理人の結論。和泉メロディはザ・スクェアで演奏してもT−スクェアで演奏しても,結局は和泉宏隆してしまうものなのです。でもそれが分かっていてもバンドとしてはレパートリーから捨てられない名曲の数々。
 バンドの人気曲として和泉メロディがNO.1になることはありませんが,スクェアの名曲ベスト10とかベスト20を選び出そうとすれば,常に上位の半数には和泉メロディが入ってくる。この安定感と高打率はT−スクェア随一。
 今回の『夢曲』でも和泉カラーの払拭などできていません。逆にほら,管理人のように「スクェア和泉有り」を再認識したファンを増殖させたのでは? 『夢曲』には和泉宏隆という“魔物”が住んでいました。まっ,安藤さんはこんな細かいこと一切気にしていませんが?

YUMENOUTA - T-SQUARE PLAYS THE SQUARE-3 いや〜,この記事をここまで書いている時点で7週目ですが,完全に“しっくり”きだしちゃいました。特になぜだか伊東たけし
 伊東たけしの素晴らしいEWIは,かつてのリリコン曲のイメージをきっとEWIに覆してしまうだろうな。管理人は『夢曲』でのEWIリリコン以上に好きかも〜。
 そして円熟のサックスの何と見事なことだろう。伊東たけしアルト・サックスこそが,今も昔も“スクェアの顔”なのです。

 ここから先はずらずらとトラック毎にレビューする予定で書き始めましたが『夢曲』聴きながらだと指が止まってしまいます。
 この『夢曲(ゆめのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜批評のモチベーションの一つが『宝曲(たからのうた) 〜T−SQUARE PLAYS THE SQUARE〜』で達成した宇宙最速レビュー記録の更新! 早く早くUPしなければ〜。
 そんなどうでもいい見栄の理由でトラック批評は1トラックだけ。管理人がリクエストした念願の【いとしのうなじ批評だけ。

YUMENOUTA - T-SQUARE PLAYS THE SQUARE-4 河野啓三がやってくれました。2作続けて1曲目のイントロを完コピ。【いとしのうなじ】はこうなんです。イントロがフェード・インしてきたところにハイ・トーンで突然始まる「シンセのピコピコ」なんです。そしてバンド全員での「タッタ・タッタラ・タラッタ♪」。特にギタードラムなんです。そこで一音目をハズシそうで外さない伊東たけしの大登場。今回も伊東さん。微妙な一音目を計算どおり狙ってきていますね〜。確信犯ですね〜。
 その後は愛くるしいく抱きしめたくなりチューしたくなるポップな黄金メロディの快演が進行していく中で,どうにも気になる坂東慧の変拍子。ちょっとジャズっ毛が入りすぎているんじゃないの〜。もう。ここだけは嫌いです。
 そうして回ってきた安藤正容ギター・ソロ。これはドデカイ大砲です。ロック少年=安藤正容のエッジを立てて歪に歪ませたカッティング・ギターとラストの伸びる音色の美しさ。ああ〜。この展開が聴きたかった〜。もう大興奮の(坂東くんの新アレンジを除けば)大満足です。
 やっぱり『夢曲』のベストは【いとしのうなじ】で決定でいいと思います。

 …もうそろそろ本当に締め切りの時間切れのようでして…。さよなら・さよなら・さよなら…(by 花雅美秀理風)。

  01. いとしのうなじ
  02. 君はハリケーン
  03. In The Grid
  04. Travelers
  05. Cape Light
  06. Sabana Hotel
  07. Chase
  08. Breeze And You
  09. Lucky Summer Lady
  10. El Mirage
  11. Twilight In Upper West
  12. Little Mermaid

(ヴィレッジ/VILLAGE 2011年発売/VRCL-10104)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
★【初回生産限定盤】3D BOXジャケット仕様
★音匠仕様レーベルコート

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松岡 直也 / ウェルカム5

WELCOME-1 『WELLCOME』(以下『ウェルカム』)は松岡直也の2枚目のライブ盤である。
 これは正しい情報である。しかし管理人は長いこと『ウェルカム』を,モントルー・ジャズ・フェスティバルライブ盤,だと思い込んでいた。

 誤解のきっかけは『ウェルカム』封入のライナーノーツ。そこには延々と1983年のモントルー・ジャズ・フェスティバル出演時のドキュメントが綴られている。1時間20分の演奏時間とも書かれている。そう。『ウェルカム』の真実である,2曲のスタジオ録音と六本木ピット・インでのライブが半分以上との説明はない。

 しかしこれは誤植ではない。きっとこれはワーナー・パイオニアの狙いであったのだろう。そしてこの全てを松岡直也も容認したのだろう。そう。『ウェルカム』は“仮想”モントルー・ジャズ・フェスティバルの完全実況盤なのである。

 2曲のスタジオ録音トラック=【ザ・マジシャン(オープン・セサミ!)】【シオン−ウェルカム】の演奏も,5曲の六本木ピット・インでのライブ・トラック=【ア・ソング・オン・ザ・ウィンド】【九月の風】【アモローサ】【モノローグ】【夕なぎ】の演奏も,あの日,あの時,モントルーで演奏した“雰囲気そのまんま”に録音されているのだ。

 騙されたと思って1度「レマン湖のほとり」を思い浮かべながら聴き通してみてほしい。録音の場所も日時も異なれど(当然音質も異なれど)一夜のショーに異論なし。
 まずは1曲目の【ザ・マジシャン(オープン・セサミ!)】の存在である。原曲は『海辺のステファニー』収録。『海辺のステファニー』収録の【ザ・マジシャン】は中近東チックなアレンジなのに対して『ウェルカムヴァージョンは疾走感溢れるラテン・ロック・アレンジ。この臨場感溢れる演奏に,ずっとライブ・テイクと信じて疑わなかった。

 そしてラストの【シオン−ウェルカム】でのフェード・インする拍手と高橋ゲタ夫のメンバー紹介。その後,観客の歓声に呼応して始まる松岡直也のリリカルなアドリブ。これはライブならではでしょ? しなやかなリズムとメロディ・メイキング。この臨場感溢れる演奏に,ずっとライブ・テイクと信じて疑わなかった。

 正真正銘のライブ・テイク=モントルー・ジャズ・フェスティバルと六本木ピット・インでのライブ・テイクで感じる松岡直也のオリジナリティ。「外タレ」ラテン・フュージョン・バンドに興奮したのはスイスの観客だけではない。ピット・インの観客の熱狂振りは「外タレ」のソレ。そう。スイスでも日本でも同じ熱狂=舶来のリズム天国と哀愁の美メロにメロメロなのだ。

 『ウェルカム』を聴けば,読者の皆さんも一音でライブ会場へとトリップできる。ここは“仮想”モントルー。隣りには松岡ファンのスイス人。きっと大勢の観客と共に【サンスポット・ダンス】に踊り狂うことだろう。

※ 『ウェルカム批評ジャケット写真はミュージック・カセット・テープ版です。

  01. THE MAGICIAN(Open Sesame!)
  02. A SONG ON THE WIND
  03. THE SEPTEMBER WIND
  04. AMOROSA
  05. MONOLOGUE
  06. EVENING CALM
  07. MAPLE WIND
  08. SUNSPOT DANCE
  09. A FAREWELL TO THE SEASHORE
  10. TOUCH THE NEW YORK PINK
  11. CHILLON-WELCOME

(ワーナー・パイオニア/WARNER-PIONEER 1983年発売/LKI-3012)
(ライナーノーツ/I.O.)

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松岡 直也 / 午後の水平線5

A FAREWELL TO THE SEASHORE-1 管理人は長い間『A FAREWELL TO THE SEASHORE』(以下『午後の水平線』)が大好きだった。でも2011年の今,声を大にして叫びたい。
 管理人は『午後の水平線』を愛しています。以前の好きは「子供の好き」。現在の好きは「大人の好き」なのです。

 はて,一体を書いているの? 要は同じ好きでも好きレベルは「雲泥の差」なのです。浮気をしても巡り巡ってモトサヤへ帰ってくる? やっぱり『午後の水平線』が大好きなのです。そして以前の何倍も愛してしまっているのです。

 つい最近,このCD批評松岡直也レヴューのために,毎日松岡直也を聴いていた。そして感じたこの“と・き・め・き”。この“と・き・め・き”は松岡直也の全所有ディスコ・グラフィの中で『午後の水平線』が唯一無二。

 自分の中で松岡直也は『夏の旅』『ロング・フォー・ジ・イースト』『スプラッシュ・アンド・フラッシュ』『ウォーターメロン・ダンディーズ』『ハートカクテル』『日曜島へ』がピークという評価が確立されてしまっていて『夏の旅』以前&『日曜島へ』以後の松岡直也は「それなり」と思っていた。
 そう思っていたからこそ『午後の水平線』のメガトン・パンチがクリーン・ヒット。カウンターで『午後の水平線』に“魂をエグラれてしまった”みたい。

 元々,管理人と松岡直也の「出会い」は『午後の水平線』だった。聴いたのは松岡直也が売れていたから。そんなもん。当時中学生の管理人が愛していたのはカシオペアスクェアナニワの“御三家”だった。プリズムMALTA松岡直也渡辺貞夫高中正義らは“おつまみ”だった。
 そんな“おつまみ”の中でも,本当によく摘んでいたのが『午後の水平線』。ギター・フュージョン好きの読者の皆さんなら“おつまみ”理由は分かるでしょ?

 昔好きだった音楽を耳にすると,所謂「思い出が甦る」経験をするものです。管理人も『午後の水平線』と共に過ごした青春の思い出が甦ってくることを期待していました。
 …が,2011年に聴く『午後の水平線』がとにかく新鮮。顔馴染みの友人とある日突然恋が始まった感覚? 完全にときめいちゃったのであります。

 ギターとリズムが突っ込み気味で前のめりのイケイケ【サンスポット・ダンス】。【午後の水平線】こそ松岡直也の真骨頂。爽やかな哀愁ロマンティックの佳曲。チャーミングな管理人一番のお気に入り【メイプル・ウィンド】。妖艶なマイナー・ナンバー【オブリビオン・イン・ザ・サンド】。夕凪な【夕なぎ】。ハートカクテルの走りな【フリー・ヴァイッジ】。これぞラテン・フュージョンの王道【モノローグ】。さよなら夏の日【ザ・ラスト・サマー・デイ】には隠しトラックの【夕なぎ】のメロディー。

 曲調やジャケットのセンスからして“バカ売れ”『九月の風 〜 通り過ぎた夏』を意識した『午後の水平線』であるが,出来上がりは「似て非なるもの」。『午後の水平線』は『九月の風 〜 通り過ぎた夏』の続編ではなく『夏の旅』の序曲であった。完。

※ 『午後の水平線批評ジャケット写真はミュージック・カセット・テープ版です。

  01. SUNSPOT DANCE
  02. A FAREWELL TO THE SEASHORE
  03. MAPLE WIND
  04. OBLIVION IN THE SAND
  05. EVENING CALM
  06. FREE VOYAGE
  07. MONOLOGUE
  08. THE LAST SUMMER DAY

(ワーナー・パイオニア/WARNER-PIONEER 1983年発売/LKF-8052)

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松岡 直也 / 見知らぬ街で4

FALL ON THE AVENUE-1 『THE SEPTEMBER WIND』の大ヒットは松岡直也に苦渋の決断を迫った。ウィシングの活動休止である。
 理由はウィシングの各メンバーが売れっ子となりコンボとしてのスケジュール調整が難しくなったから。

 こうしてソロとなった松岡直也の再出発作がサルサの本場=NY録音である『FALL ON THE AVENUE』(以下『見知らぬ街で』)である。
 オマー・ハキムディーン・ブラウンフュージョン勢。ジェリー・ゴンザレスニッキー・マレロレイ・バレットラテン勢が入り混じる「異文化コミューニケーション」大セッション
 単純にラテン勢+フュージョン勢=ラテン・フュージョンになってはいない。ウィシングとも異なっている。そう。これぞ「ニュー・松岡直也サウンド」の誕生である。

 躍動感みなぎるリズムの上を“哀愁のメロディー”が飛翔する松岡直也ならではの音世界。“どことなく土臭くてどことなく都会的な”ラテン・フュージョンに『FALL ON THE AVENUE』&『見知らぬ街で』のタイトルがドンピシャリ。「異文化コミューニケーション」大セッションが「ニュー・松岡直也サウンド」のキーワードでまとまっている。怒涛の美メロ・ラッシュが素晴らしい。

FALL ON THE AVENUE-2 さて,管理人にとっての『見知らぬ街で』は高音質盤のイメージである。
 管理人の昔の松岡直也・コレクションは『THE SEPTEMBER WIND』『A FAREWELL TO THE SEASHORE』『WELCOME』がカセット・テープで『見知らぬ街で』のみLP

 アナログ・レコードで聴く『見知らぬ街で』の高音質が未だに忘れられません。ドラムティンバレスコンガラテンパーカッションの音圧が高いため,針圧が軽いとトーン・アームが弾き飛ばされていました。ゆえに今回の再発CDの音質には少々閉口気味。青春の感動が2割薄。

  01. TOUCH THE NEW YORK PINK
  02. A SONG ON THE WIND (REMEMBER ME)
  03. FALL ON THE AVENUE
  04. MIRAGE
  05. LIGHT OF LOVE
  06. TIME AFTER TIME

(アーント/ANT 1982年発売/ANT-9)
(ライナーノーツ/瀬戸由紀男)

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松岡 直也 & ウィシング / 九月の風 〜 通り過ぎた夏4

THE SEPTEMBER WIND-1 松岡直也の音楽活動30周年記念盤『THE SEPTEMBER WIND』(以下『九月の風 〜 通り過ぎた夏』)は,30周年記念を超えた松岡直也ベストCD
 何と!オリコン第2位,半年間30位以内にチャートイン! カシオペアの『PHOTOGRAPHS』でもT−スクェアの『TRUTH』でも成し遂げられなかったJ−フュージョンのNO.2ヒット!( ちなみにNO.1は高中正義の『SAUDADE』がオリコン第1位 )

 ここで松岡直也の音楽性について語ろうと思うが,最重要作『夏の旅』を境に松岡直也サウンドは異なっている。
 つまり松岡直也ラテン・フュージョンは『夏の旅』以前がラテン・フュージョンラテン寄り。『夏の旅』以後がラテン・フュージョンフュージョン寄り。
 よって『九月の風 〜 通り過ぎた夏』が松岡直也ベストCDとは思っていない。ヒットの秘密は松岡直也の音楽性と別の次元の話である。

 『九月の風 〜 通り過ぎた夏』は,ベスト盤にしてトータル・コンセプト盤。唯一の書き下ろし&CM曲&アルバム・タイトル曲である【THE SEPTEMBER WIND(YOU’RE ROMANTIC)】を生かす“ロマン主義な”選曲がなされている( というのも『フィエスタ・フィエスタ』から1曲も選ばれていないのが不満なだけである。『フィエスタ・フィエスタ』はWESING名義ではないから除外? )。
 【THE SEPTEMBER WIND(YOU’RE ROMANTIC)】を基準に,似たようなもの,非なるもの,そしてつなぎの“波の音”。あの「ザザ〜ッ」のSEが効いている。

 ズバリ『九月の風 〜 通り過ぎた夏』のコンセプトは“日本の”ラテン・フュージョン=“ワビサビ”ラテン・フュージョンである。日本でもなくラテンでもない「異国情緒」に溢れている。
 松岡直也ウィシングが,実際に世界に飛び出してみて初めて感じた自分たちのオリジナリティ。この“ワビサビ”ラテン・フュージョンを奏でられるのは,世界広しと言えども松岡直也ウィシングのみ。この「異国情緒」を押すっきゃないでしょう。ねっ,ワーナーさん。

 だ・か・ら『九月の風 〜 通り過ぎた夏』なのです。熱風ではなく秋風なのです。夏が恋しくなる爽やかな波風なのです。ロマン主義なのです。

PS 『九月の風 〜 通り過ぎた夏』を聴きまくったせいで,未だに『ザ・ウィンド・ウィスパーズ』『マジョルカ』『ソン』『ザ・ショー』は未聴です。これって言い訳ですか?

※ 『九月の風 〜 通り過ぎた夏批評ジャケット写真はミュージック・カセット・テープ版です。

  01. THE SEPTEMBER WIND(You're Romantic)
  02. A SEASON OF LOVE
  03. MISTICA LATINA
  04. ADRIA
  05. THE SHOW
  06. NOCHE CORRIENDO
  07. A MEMORY OF MAJORCA
  08. EVENING TIDE

(ワーナー・パイオニア/WARNER-PIONEER 1982年発売/LKF-3013)

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松岡 直也 & ウィシング / ライブ・アット・モントルー・フェスティバル4

LIVE AT MONTREUX FESTIVAL-1 『FIESTA FIESTA』で世界進出した松岡直也ウィシングモントルー・ジャズ・フェスティバルにて真に世界デビュー
 その完全実況盤が『LIVE AT MONTREUX FESTIVAL』(以下『ライブ・アット・モントルー・フェスティバル』)である。

 日本のサルサ・バンドとして世界へ名を轟かした松岡直也ウィシング松岡直也ビッグ・バンドであったが,一般への認知度はほぼゼロ。モントルー・ジャズ・フェスティバル出演で生音を持っての殴り込み。知識ゼロの観客への期待と恐怖がクロスするステージング。結果は…。

 観客の腰をKOの大成功である。オオウケであった。リップサービスなしの称賛の拍手。クロード・ノブスによるイントロダクションからアンコールまでの無編集・完全ドキュメントゆえ,会場の盛り上がりが忠実に再現されている。
 オープニングの【THEME】が固い。続く【DESAFIO】で一息つく。【PENNY MARKET】から落ち着いき出した演奏は【NOCHE CORRIENDO】からノッテくる。特に素晴らしいのが清水靖晃マイケル・ブレッカーばりのテナー・ソロ。観客のストレートな反応がエキサイティング。
 松岡直也ビッグ・バンドに,トゥーツ・シールマンスモンゴ・サンタマリアの大物ゲスト陣が参加するDISC 2の演奏はDISC 1とは大違い。“バンドはライブ&観客の声援で成長する”ことを如実に実感してしまう。

 尤も,ライブに付き物のハプニング。【DRIED FLOWER & DRIED LOVE】で土方隆行ギターが落ちる。【QUE PASA AMIGO】ではモンゴ・サンタマリアとのエンディングが決まらない。
 しかし最大のハプニングは60分の持ち時間が90分への延長戦。リハーサルも出来ずトリから2番手の出演順に変更。そして本番直前にトップ・バッターへと再変更。なのに運営側から【MISTICA LATINA】【RAP OUT(OYE BAILA MI SON)】【ADRIA】へGOサイン。海外のジャズ・フェスでは何が起こるかわからない?

LIVE AT MONTREUX FESTIVAL-2 『ライブ・アット・モントルー・フェスティバル』録音時,世界でラテンと言えばサルサのことであり,ラテン・フュージョンの香りを創造していたのはチック・コリアぐらいなもの。そんな中,ここまで成熟したラテン・フュージョン松岡直也ウィシングを造り上げていた事実に驚いてしまう。

 日本が誇る最強メンバー「松岡直也と愉快な仲間たち」のバンド・サウンド。その中心に鎮座する松岡直也のモントゥーノ。汗をカキカキ笑いながら演奏している感じがする。この手の雰囲気が大好きなのであります。

  DISC 1
  01. THEME
  02. DESAFIO
  03. PENNY MARKET
  04. NOCHE CORRIENDO
  05. MISTICA LATINA
  06. RAP OUT (Oye Baila Mi Son)
  07. ADRIA

  DISC 2
  01. FALL FOREVER
  02. DRIED FLOWER & DRIED LOVE
  03. FISHERMAN'S BREAK
  04. QUE PASA AMIGO

(アーント/ANT 1980年発売/ANT-13-4)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/吉成伸幸,瀬戸由紀男)

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松岡 直也 & ウィシング / フィエスタ・フィエスタ5

FIESTA FIESTA-1 “風雲急を告げる”かの如く『FIESTA FIESTA』(以下『フィエスタ・フィエスタ』)が“日本のラテン・フュージョンの夜明け”を告げている。
 ついに日本にもラテン・フュージョン・ブームが上陸したのだ。

 のっけからとにかくサウンドが艶やか! パッカーンと脳天に青空が広がっていく! 青い空,青い海,白い砂浜…。あぁ…。
 もうJALに飛び乗ってキューバかジャマイカにでも飛んで行きた〜い。気分だけでもラテンできる『フィエスタ・フィエスタ』のパワーは絶大である。
 何を隠そう,管理人の選ぶ,初期松岡直也ウィシング時代)のフェイバリットが『フィエスタ・フィエスタ』なのである。実に緻密に計算されたアレンジなのに,そんなのどーでもいいくらいに「底抜けに楽しい」。3パーカッションゲタ夫ポンタのリズムが最高ではないかっ!(← だから無意味なアルバム・レビューなど今回は書きません)

 『フィエスタ・フィエスタ』で訪れた日本のラテン・フュージョン・ブーム。この後,日本のラテン・フュージョンが世界進出。
 どうですか! このウィシングの豪華メンバー。松岡直也大村憲司高橋ゲタ夫村上秀一ペッカー向井滋春土岐英史清水靖晃EVE吉田美奈子。そう。ウィシングKYLYN以前なのだ。

FIESTA FIESTA-2 全曲名演名盤な『フィエスタ・フィエスタ』の聴き所はこうである。

 【ポン・ジ・アスーカル】の【パート1 ディライト】はスキャットとコーラスと演奏したり休んだりの落ち着かないパーカッション・ワークの妙。【パート2 ジュビレイション】は空間を浮遊するクィーカ。【フィエスタ・フィエスタ】はアフロ・カリビアン・ジャマイカン・レゲエ。【シルバー・ナイト・フィーバー】はソウルフルなディスコ・フュージョン。【ムーン・ライト・サンド】は100%ブラジリアン。【テイク 6・4・5】はドリア・モードのアドリブ合戦。

  01. Pao De Acucar
    part 1 Delight
    part 2 Jubilation
  02. Fiesta Fiesta
  03. Silver Night Fever
  04. Moonlight Sand
  05. Take 6・4・5

(ビクター/JVC 1979年発売/VICL-62862)
(ライナーノーツ/青木啓,松岡直也)
(★紙ジャケット仕様)

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松岡 直也 / 海辺のステファニー4

STEFFANIE DE PRAIA-1 『STEFFANIE DE PRAIA』(以下『海辺のステファニー』)は,ラテン・フュージョンの“御大”松岡直也が,売れないサルサに見切りをつけてチャレンジした“ラテンジャズ・ポップ”CD

 日本のラテン・フュージョン渡辺貞夫と共にリードしてきた松岡直也であるが,元来ジャズ畑な渡辺貞夫がブラジルなら,松岡直也はキューバでありプエルトリコである“根っからのサルサマン”。

 そんな松岡直也が“意識的に”ラテン・フュージョンにはないポップス感覚でリズムを散りばめている。いいメロディーである。
 そう。『海辺のステファニー』は後の中森明菜【ミ・アモーレ】,そして“アイドル好きなら外せない”畠田理恵【ターミナル】へと繋がるジャズ・ポップの名盤であろう。

 しかしここは松岡直也。「隠しても隠し切れない&あきらめてもあきらめきれない」ラテンの血が騒いでいる。
 そう。『海辺のステファニー』は,ジャズ・ポップの名盤にして和製サルサの入門盤。インタープレイを極力排した,いいメロディーとラテンのリズム。く〜っ。

 しかし管理人の脳裏に浮かぶ『海辺のステファニー』の海辺とはカリブ海ではなく地中海。何となくヨーロピアンな香りがする。
 理由はズバリ,松岡直也のソフト・タッチ。松岡直也キーボードの音使いが脱サルサしブラジリアン・フレーバー。そして時折スパニッシュ。“もろ”チック・コリアする瞬間が地中海。

 さて,管理人が購入した『海辺のステファニー』は,2000年に立ち上げた松岡直也の自己レーベル「アーント」記念の再発盤。しかしこの再発盤は訳有りである。リマスタリングは当然としてオリジナル盤と曲順が変更されている。
 そんな中,再発盤でもオリジナル盤でも“不動のオープナー”である【海辺のステファニー】が興味深い。「あれ〜,初めてのはずなのに,絶対どこかで聞いたことがある…」的な松岡直也の十八番=使いまわし見破ったり〜。

STEFFANIE DE PRAIA-2 【海辺のステファニー】の原曲は『THE SEPTEMBER WIND』の【思い出のマジョルカ】である。
 正式には【思い出のマジョルカ】の原曲が【海辺のステファニー】なのだが,どうしても聴き馴染んだ【思い出のマジョルカ】がオリジナルに聞こえてしまう。

 『THE SEPTEMBER WIND』がカセット・テープで『海辺のステファニー』がリマスタリングな音質の格差が決定的要因?

  01. Steffanie De Praia
  02. I Saw Zill One Rainy Day
  03. Garota De Bahia
  04. If You Wanna Go Away
  05. The Magician
  06. Feeling So Nice
  07. Mina
  08. The Sun Also Rises
  09. Wakare

(アーント/ANT 1978年発売/ANT-3)
(ライナーノーツ/稲垣次郎,松岡直也)

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ノー・ネーム・ホーセズ / NO NAME HORSES5

NO NAME HORSES-1 ソロデュオトリオ名盤を残してきた小曽根真が,次なるフォーマットに選んだは,カルテットクインテットを“すっ飛ばした”ビッグ・バンド! その名も『NO NAME HORSES』(以下「ノー・ネーム・ホーセズ」)! 「ノー・ネーム・ホーセズ」とは“誰にも支配されず自由奔放に駆け回る野生馬”の意である。

 「ノー・ネーム・ホーセズ」の始まりは,2004年の伊藤君子の『一度恋をしたら』のCDレコーディングと全国ツアーのための結成されたリハーサル・バンド。
 『一度恋をしたら』に,プロデューサー兼ピアニストとして参加した小曽根真を「凄いミュージシャン達に逢うてしもた!」と唸らせたスーパー・スター軍団の音&音!
 小曽根真の“驚愕ぶり”が手に取るように伝わってくるような“艶のある”音の厚みが,いや〜,凄い!

 管理人の好みで挙げれば「ノー・ネーム・ホーセズ」は,サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラマンハッタン・ジャズ・オーケストラGRPオールスター・ビッグ・バンド(ついでに熱帯JAZZ楽団?)らと肩を並べる“ワールド・クラスの”スーパー・ビッグ・バンドである。

 「ノー・ネーム・ホーセズ」の持ち歌は,伊藤君子ナンバーを封印した小曽根真のオリジナルである。【スティンガー】や【スリー・ウィッシズ】が,これ程,ビッグ・バンドに合うなんて…。素晴らしい。
 「ノー・ネーム・ホーセズ」の手綱を握るは小曽根真であったが,今や完全に小曽根真の手を離れて“自由奔放に駆け回る野生馬”そのものである。

NO NAME HORSES-2 管理人はこれまで,ピアニストとしてコンポーザーとして,小曽根真を“天才”と崇めてきたが,ここに“天才”プロデューサーの称号を加えよう。
 小曽根よ,よくぞ「ノー・ネーム・ホーセズ」をレコーディングしてくれた!

  01. TOIL & MOIL
  02. STINGER
  03. THREE WISHES
  04. CARNEY
  05. T FOR 2
  06. MIDNIGHT CALL
  07. SMOKIN' BURNIN'
  08. YOU'RE NOT ALONE
  09. CAT SUMMIT
  10. STREET OF DREAMS

(ヴァーヴ/VERVE 2006年発売/UCCJ-2043)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/小曽根真)

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