アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2011年11月

市原 ひかり / スターダスト4

STARDUST-1 前作『SARA SMILE』に続くニューヨーク録音による『STARDUST』(以下『スターダスト』)。
 同じニューヨーク録音でも『SARA SMILE』と『スターダスト』のトランペットの音造りは大きく異なる。
 この違いは市原ひかりの目指した着地点の違いであり,全体を広く見渡せるようになったアレンジ・センスの賜物である。

 温かい音色&柔らかいフレージング。一言で言えば“まろやかな”トランペットが,ストレートに飛び込んでくる。
 『スターダスト』の第一印象は「随分と大人びたなぁ」であった。成長というか成熟というか,トランペッターとしての自信と余裕が聴こえてくる。

 手垢のついたジャズ・スタンダードに斬新なアレンジで息を吹きかけるのだが,これが「気負いのない自然体」なのだ。「ねぇ,聞いて&聞いてよ」も「お涙頂戴」も一切なし。
 力まず,ひるまず,おごらずの「地にどっしりと足の着いた」演奏スタイルなのに,なぜか“ふわふわした”浮遊感を伴う市原ひかりトランペット

STARDUST-2 市原ひかりの放つ持つ独特の浮遊感が豪華な共演者の演奏をも包んでいる。心穏やかに心優しくなれる“大人な”市原ひかりジャズ・スタンダード

 3管なのに小品っぽい。トランペットサックスっぽい。『スターダスト』に市原ひかりの“控えめな”でも確かな色気への記録がある。

  01. Blue minor
  02. Stardust
  03. When you wish upon a star (星に願いを)
  04. Skylark
  05. 走馬灯
  06. I'll wait for you (シェルブールの雨傘)
  07. Smile
  08. I remember Clifford
  09. And they lived happily ever after

(ポニー・キャニオン/AFTER BEAT 2007年発売/PCCY-60006)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
(ライナーノーツ/中川ヨウ)

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松永 貴志 / TAKASHI4

INTRODUCING TAKASHI MATSUNAGA-1 管理人と松永貴志の出会いは矢野沙織命ゆえの『OPEN MIND』。『OPEN MIND』で興味を持って『TODAY』→『MOKO−MOKO』→『TAKASHI』と聴き込んでみた。

 感想はズバリ「若いなあ」。こんなに分かりやすい遡りも珍しい。徐々に角が取れていくのが実感できる。そう。デビューCDINTRODUCING TAKASHI MATSUNAGA』(以下『TAKASHI』)が見事に“トンガッテいる”のだ。

 『TAKASHI』に録音されている松永貴志の演奏はとにかく勢いがある。「何でもかんでも弾き倒してやる」的な松永貴志のチャレンジ精神が感じられる。特に左手のフレーズがメロディとのバランスを崩す程の強力グルーヴ。個性有るのみの非正統派なアコースティックジャズロックピアノに大興奮である。

 いや〜,松永貴志が世間で“天才”と語られる理由がよく分かる。ブルーノートの最年少リーダー奏者となった理由がよく分かる。『TAKASHI』は録音されるべきして録音された“ジャズ・ピアノのアンチテーゼ”だと思っている。素晴らしい。

 松永貴志は完全にオリジナルな人である。演奏にしても作曲にしても編曲にしても…。
 まぁ,テクニックに関しては松永貴志より上手な10代のピアニストは山ほどいるので置いといて,ここではジャズの良し悪しを決定づける「間の取り方」について語ってみよう。

 「間の取り方」に関して,純粋なジャズ・ピアニストとしては松永貴志は落第である。タメがほとんどない。タメがないから,次のフレーズへの期待や出てきたフレーズへの衝撃度は薄い。そう。松永貴志ジャズ・ピアノは,ジョン・コルトレーンの“シーツ・オブ・サウンド”的な音符の大渋滞。
 例えばジャズ・スタンダードの【ビューティフル・ラヴ】。バラードなのに落ち着きがない。せわしなくトリオ以上の音が鳴り続ける。こんなに元気に【ビューティフル・ラヴ】を弾き倒していいの?

 ただしこの“せわしない”間がド・ハマリな【宿題】が快感。このトラックは超カッコイイ。“ホットな”松永貴志が“超クール”。
 『TAKASHI』のライナーノートによると「最初のウネウネと16分音符が続くところは,ガリガリと勉強している感じで「え〜い! もうやめた!」がジャッ・ジャーンというキメ」らしい。納得&納得。天才はオリジナルと共に現われる!

 【宿題】【空高く】【メロン】【ナイト・リヴァー】【ハイウェイ・リヴァー】のオリジナル5曲と【ビューティフル・ラヴ】【キャラヴァン】【イエスタデイズ】【チャイルド・イズ・ボーン】のカヴァー4曲との落差の激しいこと。
 このオリジナルスタンダードの落差こそが管理人が『TAKASHI』で感じる“ジャズ・ピアノのアンチテーゼ”の真髄である。

INTRODUCING TAKASHI MATSUNAGA-2 エルダー・ジャンギロフ松永貴志のような「新世代の天才」には,ジャズよりもロックがカッコイイのだ。その思いをエルダー・ジャンギロフ松永貴志は,幼い頃から慣れ親しんだ“ジャズの文脈の中で”クリエイトしてみせる。

 松永貴志が最初に接した音楽がロックでなくてよかった。天才の才能をロックに取られなくてよかった。ロック・バンドのキーボード・プレイヤーとしてではなく“ジャズ・ピアニスト”として松永貴志デビューしたことを音楽の神様に感謝する。

  01. HOMEWORK
  02. HIGH IN THE SKY
  03. BEAUTIFUL LOVE
  04. MELON
  05. CARAVAN
  06. NIGHT RIVER
  07. YESTERDAYS
  08. HIGHWAY BLUES
  09. A CHILD IS BORN

(サムシンエルス/SOMETHIN'ELSE 2003年発売/TOCJ-68058)
(ライナーノーツ/藤本史昭,松永貴志)
★スイングジャーナル誌選定【ゴールドディスク】
★2003年度ジャズ・ディスク大賞【ニュー・スター賞(国内部門)】受賞

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松岡 直也 / エメラルド4

EMERALD-1 音楽生活○○周年とかデビュー○○周年とかの記念盤にはベスト盤とか再演とかの「集大成」が似合うと思う。喜びをファンと共に分かち合えるからである。

 仮にこのような記念盤でこけてしまうと,次の5周年や10周年が危うくなる。そう。記念盤は売れてこそ。まず守りを固めてからの攻め。2011年の落合・中日ドラゴンズ仕様である。

 しかしジャズメンはアーティスト。記念盤であるからこそ,リスクを冒してでも,新しい音楽の創造にこだわる大物もいる(ペーペーはレコード会社主導ゆえ冒険は難しい)。大物だけに許された大勝負。
 読者の皆さんにお奨めする。松岡直也の音楽生活45周年記念盤『EMERALD』(以下『エメラルド』)を聴いてみてほしい。とにかく熱いのだ。徹底的に攻めて,結果,敗北を喫した松岡直也の男気を…。

 『エメラルド』のコンセプトは大人数でのセッションCD松岡メロディーを大切にする御大が,純粋なセッションCDインプロヴィゼーションCDを発売するのは『見知らぬ街で』以来であるから15年振りのことになる。日本シリーズ最終戦は山井を先発させた大勝負。でもこの男気が勝負の綾を狂わせてしまった。

 インプロヴィゼーション中心のセッションとなれば,どうしてもメンバーの長めのソロが多くなる。この場合,ジャズスタンダードなら本領発揮だったのだろう。
 しかし旧知のメンバーもいるとはいえ,松岡直也ラテン・フュージョン初参加にしてメインを張った川嶋哲郎には難しかった。ジャズ専業らしい素晴らしいアドリブを吹いてはいるが,正直,松岡メロディーとはノリが合っていない。
 2番手扱いの?土岐英史佐藤達哉向井滋春をメインに据えれば,ジャズアドリブではなくフュージョンアドリブが全体を支配する,狙い通りのエメラルドセッションCDが完成したのかもしれない。

 でもしょうがない。この人選には『エメラルド』録音時の大人の諸事情が関連している。松岡直也の音楽生活45周年のメモリアルを目前にして,前作『シーラカンスの夢』での失速が原因なのか?長年在籍したワーナー・ミュージックとの契約が終了。寵愛してきたギター・ヒーロー=大橋勇も手放してしまった。

 そう。松岡直也が『エメラルド』で狙ったは大橋勇抜きの「WESINGアゲイン」! 大橋勇抜きに「BANDA GRANDE」は演奏できない。「BANDA GRANDE」で造り上げてきた鉄壁のホーンを“鳴らすための”「WESINGアゲイン」! どうだ〜。企画は決まった,セッションCD〜。

EMERALD-2 『エメラルド』の敗因はギターレス。柔軟に大橋勇にこだわらず,土方隆行斉藤英夫今泉洋和田アキラの元メンの誰かを起用していれば…。中日も山本昌広か三瀬幸司を起用していれば,いいや,福留カムバックしかなかったか?

 敗北から学ぶことだってある。勝つことからは学べないことだってあるのさっ。
 大一番を取りこぼしても松岡直也と落合博満は名監督です。

  01. Emerald
  02. The Deep Sea
  03. Cross The Atlantic
  04. The Prime of Life
  05. Groovin' High
  06. Messenger
  07. Nuestra Fiesta
  08. Django Bop
  09. Legend of Love

(ホリプロ/HORIPRO 1997年発売/XYCF-50008)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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TOKYO FM / ディア・フレンズ / 渡辺貞夫

ディア・フレンズ / 渡辺貞夫 本日,TOKYO−FM系「ディア・フレンズ」に渡辺貞夫がゲスト出演しました。10月5日発売の『カム・トゥデイ』と来週から始まるそのフォロー・ツアーのプロモーションです。
 『カム・トゥデイ』は,渡辺貞夫の音楽活動60周年記念盤。「ディア・フレンズ」では,渡辺貞夫の60周年の軌跡について語っていました。

 高校卒業後,上京しダンス・ホールや進駐軍のクラブでプロとして音楽活動を始めて60年。1961年の初リーダー・アルバム録音から50年。
 当時の日本のジャズの中心は,有楽町のジャズ喫茶「コンボ」の中にあった。当時の高卒の初任給が6000円の時代にLPが1枚3800円の時代。新し物好きなジャズメンはこぞって「コンボ」にレコードを聴きに集まっていた。仕事の前後に30円のコーヒーを飲み,その後は夜の2時か3時までジャム・セッションの毎日だったと語っていた。

 その後は“世界のナベサダ”としての大活躍はご存知の通り。番組パーソナリティの坂本美雨もナベサダライブを南アのヨハネスブルクで観た時の様子を語っていたが“世界のナベサダ”として「SADAO WATANABE,イエーイ」って感じで総立ち。現地のジャズ・フェスティバルだったのに,地元のバンドよりも盛り上がっていたそうだ。

 そんな渡辺貞夫は,音楽活動60周年継続の秘訣を「自分に納得しないから続けている。素敵なアルバムが出来ればいいんだが作るたびに『参ったな』と思う。いつも後の祭り」と笑い飛ばす。演奏の楽しさについては「会話が音で成立しているというか,お互いの反応というか,答えがあると一緒にやっている楽しさをしみじみ味わえる」と語っていた。さすが〜。

 番組の3曲目に,これは懐かしい『黒い瞳』から【河の唄】が流された。何故に?
 理由は渡辺貞夫の感謝の表われ。【河の唄】は,チベットの川を歩いている時に何となく口をついて出てきたメロディーだっだ。
 TVのレポーターとして初めて訪れたチベット。大自然に圧倒されて「生きている。生かされている」という現実を実感させられ,山を下りる時には自然に嬉しくて涙がこぼれてきたそうだ。
 「それ以来,いろんなことに感謝の気持ちが強くなった。ライブでも観客と心を通わせることが上手になれた」とのこと。ご謙遜&ご謙遜〜。

 シンプルだけど雄大な【河の唄】の裏話。今日は一日中『黒い瞳』を聴いてしまいました。

 以下,オンエア曲一覧です。

1曲目 : 【アダージョ】 / チャーリー・マリアーノ
2曲目 : 【カム・トゥデイ】 / 渡辺貞夫
3曲目 : 【河の唄】 / 渡辺貞夫

松岡 直也 / ヴィーナスを探せ4

VENUS WO SAGASE-1 『ヴィーナスを探せ』は,松岡直也の新バンド「松岡直也 BANDA GRANDE」のデビューCDである。

 「松岡直也 BANDA GRANDE」は松岡直也“待望の”7管ホーン入りで13人編成のビッグ・バンド。そして松岡直也ビッグ・バンドと来れば「WESING」の復活を連想するファンも多いことだろう。
 しか〜し「松岡直也 BANDA GRANDE」の真実は“カシオペアもどきのバンド・アンサンブル”であって「WESING」とは完全な別物である。

 そう。“仮想”野呂一生大橋勇ギターだけがアドリブCOOLにキメていく。「WESING」時代のホーン隊はソロを吹いたが「BANDA GRANDE」のホーン隊はアンサンブルのみ。それもそのはず。御大=松岡直也でさえ,バンド・リーダー=松岡直也からソロ・パートをほとんど与えられていないのだ。

 『ヴィーナスを探せ』の狙いは“シャープで華やかなラテン・フュージョン”である。松岡直也大坪稔明のツイン・キーボードに絡む7管ホーンの色鮮やかな音色が最高に素晴らしい。
 でもでも『ヴィーナスを探せ』の主役は,アルバム全体でちょくちょく顔を出す大橋勇カシオペアであり高橋ゲタ夫ジャコ・パストリアスである。
 
 事実,松岡直也の冠を伏せてブラインド・テストを実施すれば【THE STRIKER〜勝利のストライカー】【ヴィーナスを探せ】【SPACE NAVIGATION】【MOON DRIVE】の4トラックは,同年発売,カシオペアの『ANSWERS』の姉妹盤であり,スティール・ドラムが連打されるトロピカルなリズムとブラスと低音“ブイブイ”チョッパー・ベースの【オレンジ色のエスパドリーユ】は晩年のジャコ・パストリアスのそれである。

 ここに「松岡直也 BANDA GRANDE」の狙いが見え隠れしている。そう。「松岡直也 BANDA GRANDE」の結成理由は大橋勇高橋ゲタ夫のスーパー・テクニシャン・シフト!
 言わば「松岡直也 BANDA GRANDE」は松岡直也マイルス仕様。7管ホーンの導入はラテン・フュージョンとのコントラストが為である。

VENUS WO SAGASE-2 サイドメンに自由自在にアドリブを吹かせつつ,自分自身の音楽の質を上げていったマイルス・デイビス。『ヴィーナスを探せ』での松岡直也も同様で,バンマスの役割を高橋ゲタ夫に委ね,自身はピアニストとしての一発を狙っている。アンサンブルの中から「ひょこっと」顔を出してはおいしいとこだけ食べている。キッチリと“ザ・松岡直也”を印象付けている。

 松岡直也は「松岡直也 & ウィシング」時代は激情家であったが「松岡直也グループ」時代の成功の切磋琢磨を経て「松岡直也 BANDA GRANDE」時代でインテリ音楽家となった。

  01. THE STRIKER〜勝利のストライカー
  02. 激愛
  03. オレンジ色のエスパドリーユ
  04. 永遠の想いをのせて
  05. ヴィーナスを探せ
  06. 誘惑のマドリッド〜NIGHT IN MADRID
  07. SPACE NAVIGATION
  08. MOON DRIVE
  09. “P-KAN”ダンス
  10. SUNSET KISS
  11. ミ・アモーレ

(ワーナー・ミュージック/WARNER MUSIC 1994年発売/WPC6-8041)
(サンプル盤)

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小林 香織 / グロウ4

GLOW-1 アイドル路線の『ファイン』からアダルト・コンテンポラリーの『GLOW』(以下『グロウ』)へ。

 小林香織が“少女から大人の女性へ”脱皮した。『グロウ』は,プロデュース&アレンジに『ソーラー』の大坪稔明氏を再び起用し,ダンサブルでリズミック,メロウかつエモーショナルに“ジャズ界の歌姫”らしく自分の感性を表現している。

 『グロウ』で感じたアダルト路線。当初はバックの凄腕ジャズメンが“クールにグルーヴ”しているせいだと思っていたが,このディープ・インパクトは小林香織の熟成の証し。アルト・サックスの音色も野太く深い陰影の表情を見せている。

GLOW-2 『ソーラー』『ファイン』での“王道”フュージョンサックスからアナーキーでファンキーな方向へ。ずっとクラシック界の優等生だった小林香織が自由奔放なジャズ界で悪さを覚えだした。
 冒険したのかなぁ。でも実はちょっぴりワルなのが“素”の小林香織だったりして?

GLOW-3 PVの2曲=ミディアム・バラードの【エアフロー】とハート・ウォーミングな【ウォームス】のような“純粋無垢の箱入り娘”路線をまだまだ期待したいのだが,女性は短期間で大変身するからなぁ。

GLOW-4 『グロウ』が“ジャズ界のアイドル”小林香織の聴き納めかな?
 次作へ期待半分不安半分。

    CD
  01. AIRFLOW
  02. WARMTH
  03. PASSING LANE
  04. WALK IN THE NIGHT
  05. DAWN IVORY
  06. MONOCHROME
  07. EXPLORE THE FIELD
  08. LULLABY CHILD
  09. TOY'S JAM
  10. HOW DEEP IS YOUR LOVE

    DVD
  01. AIRFLOW [VIDEO CLIP]
  02. WARMTH [VIDEO CLIP]

(ビクター/JVC 2007年発売/VIZJ-7)
★【初回限定盤】 CD+DVD

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松岡 直也 / SONGS AND DAYS5

SONGS AND DAYS-1 『午後の水平線』と『夏の旅』のツー・トップに変わる松岡直也の「第三の選択肢」。それが『SONGS AND DAYS』である。

 松岡直也の一押しとして『SONGS AND DAYS』を挙げる松岡直也・フリークは少ないことと思う。しかし『SONGS AND DAYS』抜きに松岡直也を語ることなどできない。
 正直,黄金期のバンド・サウンドを構築し,メンバー全員が「やり尽くした&燃え尽きた」感のある中での演奏である。新しい音楽を創造するというよりも最後の出がらしの満足感。唯一人,キーボード松岡直也“御大”を除いては…。

 そう。何を演ってもうまくいく。自分の意のままに,いや,自分がイメージした以上に自分の音楽を“表現してくれる”ベスト・メンバー。花の命は短い。今こそ録り溜めておくべき時〜。
 松岡直也の録り溜め正しく『SONGS AND DAYS』には「最後の輝き」がキラリ。大名盤の完成とあいなった。

 『SONGS AND DAYS』のテーマはスペイン松岡直也スペインへの“馳せる思い”はデビュー当時から【思い出のマジョルカ】などで発散されていたが『SONGS AND DAYS』でのラテン・フュージョンは格別。
 そう。憧れのスペイン。情熱のスペイン。闘牛に地中海に無敵艦隊〜。王道の松岡直也・サウンドを基本に,多彩なサウンド・カラーが飛び交う。そのどれもが必然性を感じさせるキメキメの固め打ちなフラメンコ状態である。

 ライブ仕立ての【ANDALUSIA】とピアノの弾き語り仕立ての【ANDALUSIA】。これぞ松岡直也スペインで観て感じた感想ソングの【最後の楽園】。スロー・ムーディー【POOLISIDE LOVE AFFAIRホーンジャズシンセサイザーの動きに感動させられる【SONGS AND DAYS】。松岡直也和田アキラの攻守交代な【RISING】。ボディコンの松岡真由美を想像して一人興奮した【太陽に抱かれて】。王道ラテン・フュージョンな【OH,MR.HAPPENING!】。ハートカクテルアゲインな【TOY SHIP】。哀愁ロマンティック・アゲインな【SUMMER TIME RHAPSODY】。

SONGS AND DAYS-2 全てが美しい。『SONGS AND DAYS』から高橋ゲタ夫が6弦ベースを弾き始めている。和田アキラ木村万作を迎えてプリズム・シフトを始めている。

 花の命は短かった。バナナは腐りかけが一番おいしい。
 『SONGS AND DAYS』を語れない松岡直也・ファンは“モグリ”である。

PS1 『SONGS AND DAYS』を久しぶりに聴いて,松岡直也木住野佳子をなぜか感じてしまいました。
PS2 松岡直也スペイン押しは『ヴィーナスを探せ』まで継続します。気がつけば松岡直也は南米やアメリカではなくヨーロッパにどっぷりなお方です。

  01. Andalusia〜Ole, ole!
  02. 最後の楽園
  03. Poolside Love Affair
  04. Songs and Days
  05. Rising
  06. 太陽に抱かれて
  07. Oh, Mr. Happening!
  08. Toy Ship
  09. Summer Time Rhapsody
  10. Andalusia (reprise)

(ワーナー・パイオニア/WARNER-PIONEER 1989年発売/29L2-70)

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DIMENSION / 245

24-1 ズバリ書こう。『24』はDIMENSIONの“最高傑作”である。

 『24』はDIMENSION24枚目のオリジナル盤=全曲新曲である。でもそれでも『24』はDIMENSIONの「裏・ベスト」盤と捉えても良い。
 そう。『24』は全てのDIMENSION・ファンの「宝物」となるべき超・充実盤。『24』にはDIMENSIONの「過去・現在・未来」が見事なバランスで見え隠れしている。

 メロディー良し。アドリブ良し。アレンジ良しの演奏良し。ギター増崎孝司キーボード小野塚晃サックス勝田一樹DIMENSION3人が,バンドとソロとスタジオ・ワークの全ワークスを『24』で詰め込んできている。
 これが心憎いばかりの軽いノリ。“サラッと”弾き流しているのが,いかにもDIMENSIONらしい。この絶妙な塩梅の味が大好きでメロメロのトロトロ。キャリアの集大成的な演奏なのに重くない。この最高バランスに,ついに『24』をDIMENSIONの“最高傑作”に指名する覚悟を決めた。腹をくくった。

 これまで管理人はDIMENSIONの“最高傑作”についての言及を避けてきた。なぜならDIMENSIONの場合は『FIRST DIMENSION』から『23』まで「ハズレ」が1作もない。単純に言えば最新作=最高傑作の図式が成立するJ−フュージョン屈指のテクニカル・バンドだからである。

 しかし,管理人が『24』をDIMENSIONの“最高傑作”に指名するのは『24』が“最新の”DIMENSIONだからではない。
 この辺の事情を書き出すと長くなるので省略するが,かつてDIMENSIONは「もう昔のレパートリーはやらない宣言」をしたことがあった。その後,この「封印宣言」はうやむやなものとなっていたが,管理人の中ではいまだに過去の「封印宣言」が継続している感覚があった。

 「封印宣言」以後の2大名盤MY RULE』と『21』にしても“成長は変化”であって進化ではなかったと思う。
 しかし『24』の屈託のない音造りには,敢えて過去のDIMENSIONを織り成している。ついに『24』でDIMENSIONの3人が自身の「封印宣言」を“解禁”してみせたのだ。

 く〜っ。もうあきらめかけていたDIMENSIONの「過去・現在・未来」の豪華大共演! これぞDIMENSIONファン冥利に尽きる夢のスペシャル盤。ゆえに「裏・ベスト」盤。だから“最高傑作”とここに宣言しよう!
 『24』に興奮しないニワカ・ディメ・ファンは過去の23枚を半分でも聴いたら掴めるはず。聴き直してから出直してこ〜い!?

 …と,ここで読者の皆さんだけに裏話。実は『24』をここまでプッシュするに至った理由はDIMENSION以外の取り巻き事情も関与してる。
 管理人が2011年10月と11月に購入したCDは,増崎孝司の『IN AND OUT』,T−スクェアの『夢曲(ゆめのうた) − T−SQUARE PLAYS THE SQUARE』,キース・ジャレットの『リオ』,そしてDIMENSIONの『24』の4枚である(現在矢野顕子×上原ひろみの『GET TOGETHER 〜LIVE IN TOKYO〜』予約中)。

24-2 この4枚の流れが無視できない。増崎孝司のソロCDが『24』への期待を煽る。唯一ガッカリな『夢曲』がDIMENSIONへの期待を煽る。管理人最愛のキース・ジャレットの復活ソロ・コンサートは大事に聴きたい&特別な日に聴き返したい。この流れがDIMENSION24』ヘビロテへの土壌を作ったことは否めない?
 とにかくDIMENSIONT−スクェアキース・ジャレットに勝ったのは事実。ソフトバンク・ホークスがCSに勝ったのも事実。

 いいや,DIMENSIONの“最高傑作”の地位は『24』が自らの実力で奪い取ったものである。
 『24』の全10曲中,テレビ東京系「ゴルフの真髄」の【MAKE A SPLASH】。テレビ朝日系「SUNDAY!スクランブル」の【SENSE OF TOUCH】と【GREEN DAY】の3曲がタイアップ当選。マスヤンソロギターよりカッコイイ〜!

 DIMENSIONの真髄は「過去・現在・未来」に流れる,いいメロディーの最高バランスにある。『24』はファースト・インプレッションも最高だが,ピークが持続し“ジワジワ来る”大名盤のアレ。
 例えるなら『24』の立ち位置はT−スクェアにおける『ヒューマン』であろう。スクェア好きのディメ・ファンならこれだけ書けば十分に気持ちが通じ合う?

 管理人の結論。『24』がDIMENSIONの“最高傑作”である。

  01. Make A Splash
  02. Upside
  03. Free Spirits
  04. The Winds Of Change
  05. The One
  06. Tears
  07. Walk On
  08. Sense Of Touch
  09. Green Day
  10. Together

(ザイン/ZAIN RECORDS 2011年発売/ZACL-9051)
(☆スリップ・ケース仕様)

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アキコ・グレース / イリューム5

ILLUME-1 『ILLUME』(以下『イリューム』)&『MOMENTUM』(以下『モメンタム』)。

 2枚同時発売の『モメンタム』が「動」なら『イリューム』は「静」!
 『イリューム』は,アキコ・グレース初のソロCD

 テーマは『イリューム』=「光る」である。そう。アキコ・グレースの音楽(ジャズ・ピアノではない)が“光り輝いている”。
 アキコ・グレースの繊細な指遣いから放たれた七色の光は,ビル・ラズウェルの持つ“鬼才のプリズム”によって,一音ごとに形を変え,光度を変えていく。しかもその光が明確な意思を持っているかのごとく揺れ動く。まるでWMPの「視覚エフェクト」を耳で聴いているかのように…。

 正直,管理人は『イリューム』を聴いて腰を抜かしそうになった。これ程完成度の高いソロCDにはめったにお耳にかかることはできない。

 エレピの無機質な機械音なのに,これぞ,アキコ・グレースの生身の音そのものである。優しい音色で包み込まれた瞬間,光の速さで「遠くへ,もっと遠くへ,光の射す方へ」と誘ってくる。光の先にはパラダイスが見えている。
 そう。アキコ・グレースの『イリューム』とは“希望の光”なのである。
 こんなソロCDを作れるのは,キース・ジャレットマンフレート・アイヒャーか,アキコ・グレースビル・ラズウェルぐらいのものではなかろうか?

 アキコ・グレースビル・ラズウェルの組み合わせ。『イリューム』の録音に際して,どのような話し合いがなされたのか非常に興味があるのだが,この圧倒的なイマジネーションは,ビル・ラズウェルの“伝家の宝刀”そのままであろう。

 ビル・ラズウェルの“孤高の音世界”へアキコ・グレースが足を踏み入れ“光”を射した。アキコ・グレースの照らす七色の光がビル・ラズウェルの造形美を照らし映す。
 この天才2人が構築した幻想の音世界を言葉で表現することはできない。『イリューム』を聴くしかない。聴いてイメージするしかないのだ。聴き込むうちにやがて眼前に浮かび上がる新世界! 一度浮かび上がった新世界は,もはや脳裏から消え去ることはない。手で掴むことさえできるようになる。

ILLUME-2 「アキコ・グレースよ,もっとビル・ラズウェルを追え。ビル・ラズウェルを捉えるんだ。『イリューム』を掴め! 『イリューム』を放て!」。

 もう一つついでに腰を抜かしそうになったのが,馬場雅之氏の(和田静香氏も)ライナーノーツ。これを読めば管理人のCD批評など不要である。素晴らしい文章力。

  01. Looking Glass
  02. Light and Shadows
  03. Pacific Wind
  04. Dream
  05. Drift
  06. Departure
  07. Whisper Prayer
  08. Angel Within
  09. Imagine
  10. Sakura

(サヴォイ/SAVOY 2006年発売/COCB-53546)
(ライナーノーツ/馬場雅之,和田静香)

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松岡 直也 / 日曜島へ5

NICHIYOJIMA HE-1 読者の皆さんは“幻のリゾート・アイランド”『日曜島』をご存知ですか? J−フュージョン・ファンの間の都市伝説? 松岡直也の『日曜島』こそ,ウォルト・ディズニーのディズニー・ランド,マイケル・ジャクソンのネバー・ランドを越える「世界一の夢の国」と大評判なのですが…。

 『日曜島』にはプライベート・ジェットでの就航が運行されているようです。【ようこそ日曜島へ〜アイランド・ア・ゴーゴー】のサインが掲げられた空港へ降り立つと,すぐに波の音がお出迎え!
 そして『日曜島』への上陸ゲートを潜った瞬間から“幻のリゾート・アイランド”『日曜島』が「最高のリゾート地」としての全貌を明らかにし始めます。
 そうです。幻と思われていた日曜島は現存します。そしてそこは最高の“トロピカル・サウンド・アイランド”だったのです。

 えっ,証拠ですか? 証拠ならここにありますよ。はいこれっ。
 松岡直也CD日曜島』は,1987年の松岡直也グループ御一行様が『日曜島』でバカンスを過ごした際の「音のドキュメンタリー・アルバム」なのです。

 どうやら『日曜島』では毎日ラテン・フュージョンが演奏されていた模様。まるで『日曜島』全体がドライブのBGMとして共鳴しているかのような軽快ビート。まさしく『日曜島』こそフュージョン・ファンの音楽の桃源郷〜。

NICHIYOJIMA HE-2 『日曜島』は大自然に囲まれた人工全体をシーケンサーの送電線が張り巡っている。その送電線へラテンの血液とファンキー・ダンスが注入されていくと…。『日曜島』の夜は電飾された摩天楼の様相を映し出す。
 そう。メカニカルで緻密なのにこの人工島のスケールはとにかくデカイ。デカイ男=松岡直也・ウィークだった『日曜島』。

 管理人も『日曜島』へ行ってみた〜い。【さようなら日曜島−グッドラック・マイ・オアシス−】は夢の中での回想シーン。ソファー・ベッドでまどろめば,そこがあなたの『日曜島』!?(完)。

  01. ようこそ日曜島へ〜アイランド・ア・ゴーゴー
    (EXTENDED VERSION)

  02. サマー・ノイズ
  03. アンフォーゲタブル・クルーズ−忘れ得ぬ航海−
  04. スポイル・ユア・ハート〜カリプソ・ハリケーン
  05. レディ・イン・ザ・シェイド
  06. ノクチルーカ(夜光虫)
  07. カリプソ・ハリケーン(REPRISE)
  08. さようなら日曜島−グッドラック・マイ・オアシス−

(ワーナー・パイオニア/WARNER-PIONEER 1987年発売/32XL-217)
(ライナーノーツ/内田春菊)

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松岡 直也 / ハートカクテル VOL.25

HEARTCOCKTAIL VOL.2-1 松岡直也と来れば「ラテン・フュージョン」である。しかしそれは松岡直也の“表の顔”に過ぎない。
 松岡直也にはもう一つの“裏の顔”がある。それが「歌謡ポップ屋」さん。中森明菜の【ミ・アモーレ】よろしく,ウィシング以前から数多くの裏方稼業を続けている。
 そんな裏方「歌謡ポップ屋」さんが“表”に出る時が訪れた。そう。それが『HEARTCOCKTAIL』(以下『ハートカクテル』)シリーズである。

 『ハートカクテル』での松岡直也はやっぱり裏方。コラボした主役はわたせせいぞうである。そう。『ハートカクテル』は日本テレビ系で金曜深夜に放送された「キザな恋愛提言番組」のサウンド・トラック集。ゆえに松岡直也のサウンドも「都会のお洒落」のオンパレード=「歌謡ポップ屋」稼業の本領発揮作である。

 正直,わたせせいぞうの連載マンガは好きではなかった。現実離れした恋愛はマンガの世界の作り話?
 でも,松岡直也とコラボしたTV版アニメは良かった。それもこれも,元来お洒落な?松岡直也のハイセンスのおかげである。

 『ハートカクテル』シリーズの演奏は基本松岡直也のソロである。基本シンセと打ち込みである。一曲一曲が短い「ショート・ストーリー仕立て」ゆえ,テーマの美メロがクッキリ・サウンド。
 ラテン・フュージョンの厚化粧?を落とし,口紅とチークのみが塗られたTV仕様の『ハートカクテル』が松岡直也のポップでキャッチーな「歌謡ポップ屋」メロディー・メイカーの才と見事にベスト・マッチング。いい。好きだ〜。

 厚化粧から薄化粧へとサウンド・メイクを切り替えた松岡直也の本質は変わらない。「歌謡ポップ屋」稼業であってもリズムにこだわり続けている。分厚いグルーヴは無理でも軽快なノリ。そう。ソロ作であっても基本松岡直也のバンド・サウンドが鳴っているのだ。
 この事実に驚愕した。松岡直也グループを離れたソロであってもラテン・フュージョンしているのだ。アッパレ,松岡大先生〜!

 ところで『ハートカクテル』のサウンド・トラック集は全部で6作リリースされている。第1集,第2集の担当は松岡直也。第3集がトニーズ・ショウ。第4集が島健。そして第5集,第6集が三枝成章であった。
 松岡直也の第1集,第2集にハマッタ管理人は全部集めてしまいましたが現在では松岡直也の2枚のみ。残り4枚は中古屋さんへさようなら〜。これぞ大人の別れ『ハートカクテル』の世界を地で行っているでしょ?

 今回の『ハートカクテル批評は全6作との比較が判断基準。
 『ハートカクテル VOL.2』は冬春の恋愛物語。平凡な日常の幸福に浸る大人のカップルのテーマ・ソングが登場してきます。

HEARTCOCKTAIL VOL.2-2 「THIS IS NAOYA MATSUOKA GROUP」な松岡直也の完全ソロ【2500年―タケルの愛】は超名演。スローな哀愁のアタック【兄のジッポ】。よく聴くと和田アキラ以上だったウイリー長崎な【北へ251キロ】。彼女の後ろ姿な【彼女のこと―くせ】。シャカタク・テイスト【さよならホワイトレディ】。【虹色の風】が“なぜか悪趣味”ラテン・フュージョンしてしまっている【バレンタインデーにグッドニュースを】。夢曲シンセ全開な【夢の中でウェディングマーチ】。哀愁のベース・ラインに絡みつくキーボードギターの【暖かさも一代きりなんて】。キタキタ跳ね系【今をフリージング】。テンション・マックス【ぼくのネクタイ】。『ハートカクテル』全6作中のハイライト“白眉の”【虹色の風】。松岡真由美の【ボーイフレンド】=松岡直也。以上。
 これで『ハートカクテル VOL.2』の単行本は買わなくてもよいかもです?

  01. 2500年−タケルの愛
  02. 兄のジッポ
  03. 北へ251キロ
  04. 彼女のこと−くせ
  05. さよならホワイトレディ
  06. バレンタインデーにグッドニュースを
  07. 夢の中でウェディングマーチ
  08. 暖かさも一代きりなんて
  09. 今をフリージング
  10. ぼくのネクタイ
  11. 虹色の風
  12. ボーイフレンド

(ワーナー・パイオニア/WARNER-PIONEER 1987年発売/32XL-200)

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松岡 直也 / ハートカクテル VOL.15

HEARTCOCKTAIL VOL.1-1 松岡直也と来れば「ラテン・フュージョン」である。しかしそれは松岡直也の“表の顔”に過ぎない。
 松岡直也にはもう一つの“裏の顔”がある。それが「歌謡ポップ屋」さん。中森明菜の【ミ・アモーレ】よろしく,ウィシング以前から数多くの裏方稼業を続けている。
 そんな裏方「歌謡ポップ屋」さんが“表”に出る時が訪れた。そう。それが『HEARTCOCKTAIL』(以下『ハートカクテル』)シリーズである。

 『ハートカクテル』での松岡直也はやっぱり裏方。コラボした主役はわたせせいぞうである。そう。『ハートカクテル』は日本テレビ系で金曜深夜に放送された「キザな恋愛提言番組」のサウンド・トラック集。ゆえに松岡直也のサウンドも「都会のお洒落」のオンパレード=「歌謡ポップ屋」稼業の本領発揮作である。

 正直,わたせせいぞうの連載マンガは好きではなかった。現実離れした恋愛はマンガの世界の作り話?
 でも,松岡直也とコラボしたTV版アニメは良かった。それもこれも,元来お洒落な?松岡直也のハイセンスのおかげである。

 『ハートカクテル』シリーズの演奏は基本松岡直也のソロである。基本シンセと打ち込みである。一曲一曲が短い「ショート・ストーリー仕立て」ゆえ,テーマの美メロがクッキリ・サウンド。
 ラテン・フュージョンの厚化粧?を落とし,口紅とチークのみが塗られたTV仕様の『ハートカクテル』が松岡直也のポップでキャッチーな「歌謡ポップ屋」メロディー・メイカーの才と見事にベスト・マッチング。いい。好きだ〜。

 厚化粧から薄化粧へとサウンド・メイクを切り替えた松岡直也の本質は変わらない。「歌謡ポップ屋」稼業であってもリズムにこだわり続けている。分厚いグルーヴは無理でも軽快なノリ。そう。ソロ作であっても基本松岡直也のバンド・サウンドが鳴っているのだ。
 この事実に驚愕した。松岡直也グループを離れたソロであってもラテン・フュージョンしているのだ。アッパレ,松岡大先生〜!

 ところで『ハートカクテル』のサウンド・トラック集は全部で6作リリースされている。第1集,第2集の担当は松岡直也。第3集がトニーズ・ショウ。第4集が島健。そして第5集,第6集が三枝成章であった。
 松岡直也の第1集,第2集にハマッタ管理人は全部集めてしまいましたが現在では松岡直也の2枚のみ。残り4枚は中古屋さんへさようなら〜。これぞ大人の別れ『ハートカクテル』の世界を地で行っているでしょ?

 今回の『ハートカクテル批評は全6作との比較が判断基準。
 『ハートカクテル VOL.1』は秋冬の恋愛物語。ハッピーでラブラブなナイス・カップルのテーマ・ソングが登場してきます。

HEARTCOCKTAIL VOL.1-2 【ふたりきりのビアガーデン】での和田アキラの怪しげなカッティング・ギターと打ち込みの連打は初めて会った二人の鼓動の高鳴り衝撃シーン。【ジェシイの店】は【ペリエにレモン】の恋愛バージョン。ルンルン・ソングな【父のエンブレム】【コスモスアベニュー】の後,ふいに訪れた不安感な【バラホテル】。急げよ走れよ【彼のパパは東へ行けといった】。再びルンルン【ふたりの会社 1970-1975】。メロメロな恋の炎の【オールドハワイ・コナ】が思い出話のハイライト。【彼女の名前】【7頭のトナカイ】と続けば婚約間近なムーディ。結婚へとまっしぐらな【1/3の確率】。失恋ソングな【ノックをしなかったサンタクロース】。立ち直りの早い男の【ネコ】。以上。
 これで『ハートカクテル VOL.1』の単行本は買わなくてもよいかもです?

  01. ふたりきりのビアガーデン
  02. ジェシイの店
  03. 父のエンブレム
  04. コスモスアベニュー
  05. バラホテル
  06. 彼のパパは東へ行けといった
  07. ふたりの会社 1970-1975
  08. オールドハワイ・コナ
  09. 彼女の名前
  10. 7頭のトナカイ
  11. 1/3の確率
  12. ノックをしなかったサンタクロース
  13. ネコ

(ワーナー・パイオニア/WARNER-PIONEER 1986年発売/32XL-173)

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松岡 直也 / スプラッシュ・アンド・フラッシュ〜遅い朝食にはビールを…5

SPLASH & FLASH-1 これは管理人と松岡直也の大名盤=『SPLASH & FLASH』(以下『スプラッシュ・アンド・フラッシュ〜遅い朝食にはビールを…』)との幸福な創作で妄想で,でも現実の手ごたえが残る夢物語である。

 夏の日の2連休の1日目。時間はもう午前10時。ちょっと遅めのブランチを開始する。ブランチにはその日一本目のビールを飲んだ。「もっとしっかりした物を食べなくちゃ」。女店主は昨日と同じことを云った。東の窓と西の窓を全開にして汐風のフリーウェイの中でもう少し寝ることにした。風はいつもの熱風ではなくなっている。その日二本目のビールはホワイトオレアンダーのパラソルの下で飲った。

 管理人のバブル期の休日。何とも気だるく幸福な休日。企業戦士の癒しの休日…。これがオシャレだと思っていた。バドワイザーに酔っているそんな自分に酔っていた。
 「よく働きよく遊んだ時代」のテーマ曲=「キザでお洒落」なテーマ曲。その最右翼が松岡直也の『スプラッシュ・アンド・フラッシュ〜遅い朝食にはビールを…』)であった。

 実際には『スプラッシュ・アンド・フラッシュ〜遅い朝食にはビールを…』は高校生の時に聴いていた。
 しかし『スプラッシュ・アンド・フラッシュ〜遅い朝食にはビールを…』を聴いた記憶は管理人が東京に出てからの情景ばかり。完全に記憶が“大人モードで”上塗りされてしまっている。

 吉田栄作とW浅野のトレンディー・ドラマ。バブル。残業を終えた帰りの車内で流れるAMラジオと湾岸のイリュミネーションのマッチング。
 自分の中で大きいのはニッポン放送「仲村トオル・待たせてゴメン」のBGM【ホワイトオレアンダー】の存在である。
 この【ホワイトオレアンダー】こそが,管理人の選ぶ松岡直也ベスト・トラックである(詳細はトラック批評をカミング・スーン)。

SPLASH & FLASH-2 大好きで大好きで大好きな『スプラッシュ・アンド・フラッシュ〜遅い朝食にはビールを…』と過ごした幸福な日々。一生忘れることができない超強烈なバラ色の思い出。
 管理人は思う。この全ては高校生の時に無意識のうちに抱いてしまった現実逃避の夢物語=「大人への憧れであり東京への憧れ」だったのかもしれない,と…。

  01. ON A SUMMER DAY (Part 2)
  02. SPLASH & FLASH
  03. A WHITE OLEANDER
  04. DRIFTIN' ON THE WAVES
  05. MOVIN' WITH THE WIND
  06. A MUGGY NIGHT DREAM

(アーント/ANT 1985年発売/ANT-20)

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