アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2011年12月

MALTA / オブセッション5

OBSESSION-1 『ハイ・プレッシャー』で渡辺貞夫になったMALTAが『OBSESSION』(以下『オブセッション』)でデヴィッド・サンボーンになった。

 『オブセッション』も『ハイ・プレッシャー』に続くLA録音。メンバーは前回にもまして超豪華。キーボードドン・グルーシンギターマイケル・ランドウベースティム・ランダースドラムハービー・メイソンシンセサイザーラリー・ウイリアムスの「鉄壁セクステット」。

 今回の『オブセッションセッションには『ハイ・プレッシャー』のセッションにはなかった,何かが生まれている。思うにメンバーのMALTAへの熱い期待のような何かが…。
 それを管理人は“追撃”デヴィッド・サンボーンと呼んでいる。MALTAデヴィッド・サンボーンを重ね合わせている。いいや,メンバー全員,MALTAの演奏に目を丸くして自然と“サンボーン超え”を期待していたのだった。

 ちょうど『オブセッション』の発売直後にリリースされたデヴィッド・サンボーンの『クローズ・アップ』。管理人はこの年(1988年),チック・コリアの『アイ・オブ・ザ・ビホルダー』を加えたこの3枚を中心にヘビロしていた。
 エレクトリック・バンドのサウンドは独特だったがエレクトリック・バンドにもエリック・マリエンサルという名手がいる。必然的にMALTAデヴィッド・サンボーンエリック・マリエンサルアルト奏者3人を聴き比べる毎日が訪れる。
 うん。MALTAは凄い。MALTAは世界のビッグ・ネームだ。デヴィッド・サンボーンエリック・マリエンサルと完全に肩を並べた。そう思っていたものだ。

 この時の強烈なイメージが管理人をMALTAの追っかけへと突き動かす。MALTAが売れ線をあくまで追いかけラップに走る前までは…。
 だから管理人にとってMALTAと言えば,後の『マイ・ヒット・アンド・ラン』や『サファイア』といった名盤ではなく『オブセッション』なのである。ついでに言えばMALTA=バブリーな香りも連想する(この話はおいおいと)。

 ところで,多分その随分前から変化していたのであろうけど『オブセッション』と『クローズ・アップ』を交互に聴き込んでいるうちにMALTAの音色の変化,もっと言えば吹き方の変化を感じるようになった。MALTAサンボーンに思える瞬間があった。

 やっぱり…。原因はデュコフであった。ギラギラのメタル・マウスピース。犯人はキャビンのCMしてやったり〜。
 バブルがMALTAサンボーンを求め,バブルがMALTAスクェアを求めてのマウスピースの変更であろうが,フレージングがフュージョンしている。例の『ハイ・プレッシャー』で“引きずっていた”MALTAの「ジャズへの迷い」が払拭されている。
 そう。間接的な原因はデュコフにあるが直接的な原因はMALTA自身の“追撃”デヴィッド・サンボーン。硬質な音色に本気で世界を獲りに行く強い決意が込められている。

OBSESSION-2 そんな思い入れたっぷりの『オブセッション』のプチ・トラック批評

 【センチメンタル・モーニング】の何ともセンチメンタル・モーニングドン・グルーシンキーボード。甘いバラードが1曲目ですか? おお〜。
 続く“鬼ナンバー”問答無用の【オブセッション】は【スラム】級のハードボイルド。ハイライトはマイケル・ランドウギター・ソロである。このギター・ソロばかりをリピートしていたものである。

 【ソー・ファー・アウェイ】の対抗馬に挙げたい【ルッキング・フォー・ユー】の存在が後の【フェイス・トゥ・フェイス】へつながったと思う。【ルッキング・フォー・ユー】〜【ラッキー・セブン】〜【リフレクションズ】の軽快な流れはソプラノサックス投入の妙。デヴィッド・サンボーンの個性とは間逆寄りなのが興味深い。

 個人的に『オブセッション』のNO.1は,恐らく他のMALTA・ファンは誰も挙げないであろう【ノット・イエット】。あのコーラスでのリフレインがどうにもこうにも耳に残る。【オブセッション】【リフレクションズ】【星に願いを】の3大メジャーを葬り去る。気が狂うほどに好きなリフレインに星5つ。

 だから管理人は【ノット・イエット】が好き→AKBの派生ユニット「NOT YET」が好き→大島優子が好きなのだ。ちゃんちゃん。

  01. SENTIMENTAL MORNING
  02. OBSESSION
  03. 101 FREEWAY
  04. STEP CLOSER
  05. LOOKING FOR YOU
  06. LUCKY SEVEN
  07. REFLECTIONS
  08. WHEN YOU WISH UPON A STAR
  09. TIME AND TIDE
  10. NOT YET
  11. SWEET DREAMS

(ビクター/JVC 1988年発売/VDJ-1139)

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塩谷 哲 / SALT5

SALT-1 塩谷哲の音楽はとにかく“スケールのデカイ”ワールドワイドなボーダレス。どうしたらこんなに“間口の広い”ジャズ・ピアノを奏でられるものなのか?
 満足のいく答えは塩谷哲=全方向型の天才=「オール・ジャンルOKな作曲家,編曲家,ピアニストなプロデュサー」となるのだろう。

 『SALT』は,塩谷哲が,世界のサルサ・バンド「オルケスタ・デ・ラ・ルス」在籍時のソロ・デビューCD
 要はデ・ラ・ルス・メンバーであるNORAカルロス菅野に加え“超スペシャル”なパキート・デリヴェラまでもが参加したラテンジャズCDにして,出る音出る音『SALT』の全てが塩谷哲の内部発信!

 デビューCDにして“驚愕のセルフ・プロデュース”作(ついでに全米発売作。ついでにキャリア随一の超大作)。キャッチーさを感じさせない大人のメロディをセンス抜群のアドリブで見事にまとめ上げてしまう視界の広さと技術の高さ。
 う〜ん。聴き込めば聴き込む程に“塩谷哲の凄さ”を実感する。

SALT-2 【THE PALE MOON】は後世に残る名曲だと思う。【LIFE WITH YOU】はNHK大河ドラマにすぐ使える。

 ライナーノーツNORAがこう語っている。「ソルトはねぇ こころの音を弾いてくれる真のミュージシャンなのよ」。同感である。読者の皆さんも?

  01. Melting Pot Harmony
  02. Liberty City
  03. The Pale Moon
  04. Fruitful Days
  05. People Make The World Go Round
  06. Echoes Of The Colors
  07. Street Full Of Lights
  08. Life With You
  09. Keep Smiling!

(BMGビクター/BMG VICTOR 1993年発売/BVCR-615)
(ライナーノーツ/NORA)

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MALTA / ハイ・プレッシャー4

HIGH PRESSURE-1 MALTAが『HIGH PRESSURE』(以下『ハイ・プレッシャー』)で渡辺貞夫になった。
 どうですか! この豪華メンバー! キーボードドン・グルーシンギターダン・ハフオスカー・カストロ・ネヴィスベースネイサン・イーストドラムヴィニー・カリウタパーカッションポリーニョ・ダ・コスタの「鉄壁セクステット」。そこへブラスストリングスまで加わっている。

 これぞ渡辺貞夫級のVIP待遇。MALTAもついに“世界のジャズメン”の仲間入り〜。
 この論理の誤りに気づくまではそう思っていた。MALTAがヒップ・ポップに手を染め,一度手に入れた売れ線路線にしがみつく姿を目にするまではそう思っていた。MALTA渡辺貞夫とは別人であった。
 そう。MALTAは“世界のフュージョンサックス・プレイヤー”であって“世界のジャズサックス・プレイヤー”ではない。
 『ハイ・プレッシャー』でのVIP待遇を受け,自らの意志で「ジャズ道を踏み外した」感ありあり。

 『ハイ・プレッシャー』は“激売れ”MALTAの第1作。後のメインMC=MALTAの「ヤングスタジオ101」「MALTAでNIGHT」へとつながる軽快フュージョンサックスの王道。正直,あの時代のMALTAの勢いはカシオペアスクェアの両雄をも上回った瞬間があった。
 ただしキラー・チューンは【ハイ・プレッシャー】1トラックのみ。MALTAの勢いが「瞬間最大風速」で終わってしまった敗因は“盛りに盛った”フュージョンサックスへの“躊躇”にある。

 これまで一途に王道ジャズを追求してきたMALTAへ差し伸べられたスター街道。この道を歩めばフュージョン・スターの座は約束されるが,もうジャズへは戻れない(ジャズは出戻りに意外に厳しい世界なのです)。他のジャズメンからは見くびられ相手にされなくなる。フュージョンの“色”がついてしまう。本当に自分の好きなことをやって飯を食っていくのは難しいのです。

 MALTAは決断した。フュージョン・スターになる道を…。
 日本中のお茶の間へと流されるキャビン・レーシング・チームの松本恵二と星野一義のスリリングな走り。それを音で表現したMALTAの【ハイ・プレッシャー】。
 いかにもな時代である。F−1スクェア,それゆえキャビンとMALTAだったのだろう。

 MALTAの躍動感あるアルトサックスが素晴らしい。本当に上手い。ビクターナベサダ級のVIP待遇を用意するにふさわしい大実力者!
 でもでも迷いが残っている。これまで大切にしてきた誇りを失うことへの勇気と恐れ。どんなに都会的でスピード感あふれるクールなサックスを吹こうともスローなバラードではジャズメンとしての“地”が出ちゃっている。
 そう。MALTAは『ハイ・プレッシャー』で,世界の一流ジャズメンと共演していたのではない。自分の中のもう一人の自分=ジャズメン=MALTAと共演していたのだ。

HIGH PRESSURE-2 『ハイ・プレッシャー』はフュージョンの【ハイ・プレッシャー】1曲とジャズへの未練の照れ隠しとして異様に“盛った”フュージョン10曲の混合物。虚勢を張っては揺り動く“世界のフュージョンサックス・プレイヤー”としての名盤である。

 その後,MALTAは,次作『マイ・バラッド』でジャズへの思いを断ち切って『オブセッション』『マイ・ヒット・アンド・ラン』『サファイア』での頂点を迎えていく。大切な何かを失いながら…。

 MALTAのファンの間では,MALTAフュージョンサックスへの転向時期=前作『スパークリング』を挙げる人が多数である。確かに【スクランブル・アヴェニュー】は王道フュージョンそのものであろう。
 しかし『スパークリング』の基本はジャズサックス。共演者もあくまでジャズ畑の面々。MALTAが決して手放そうとしなかった仲間たちとの最後の青春セッション

 そう。全ては『ハイ・プレッシャー』での“欲しがり”MALTAが原点なのである。

  01. High Pressure
  02. Touch
  03. The Only Name Missing is…
  04. Exotic Bird
  05. Over Night Trip
  06. Secret Island
  07. My Summer Love
  08. Feel The Heat
  09. Splashing Angel
  10. Stranger in Paradise
  11. Quiet Stars

(ビクター/JVC 1987年発売/VDJ-1084)

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松永 貴志 / 地球は愛で浮かんでる5

LOVE MAKES THE EARTH FLOAT-1 「セラビー,新人のジャズ・ピアニストを指して『新世代のジャズ・ピアニスト』と形容されることがあるけれど『新世代』のピアニストって,何が,昔のジャズ・ピアニストと違っているの?」。
 アキコ・グレース上原ひろみ山中千尋…。このように質問される機会が増えてきた。

 「そうだね。音楽のバックグラウンドが違うんだよ。ロックやポップスやクラシック。広い間口で取り入れられた要素をジャズのエッセンスで蛇口をひねった感じで…」。
 自分では100点満点の答えだと思っているが,これって分かりやすいんだか分かりにくいんだか…。

 説明がしどろもどろになってくる。でも大丈夫。管理人には水戸黄門の印籠がある。「ええい,控えおろう。この紋所が目に入らぬか〜」ばりに奨めるCDがある。それこそ,松永貴志の『LOVE MAKES THE EARTH FLOAT』(以下『地球は愛で浮かんでる』)。松永貴志の“最高傑作”である。

 『地球は愛で浮かんでる』の特徴こそ「新世代のジャズ・ピアノ」! この耳馴染みの良さは非ジャズにしてジャズの王道そのもの。緻密で複雑な音符の空間を跳ねるように飛び回る。痛快で爽快で難解な聴き応え! うお〜うほほ〜!

 ジャズアドリブとリズムであるが,非ジャズ=歌詞抜きでこそ成立するメロディアス。
 その象徴が「アルバムの顔」であるはずの1曲目の「非ジャズ」=ジャズ・ワルツ=【時の砂】。ロマンティックでメランコリックな美メロがスロー・テンポで短調と長調を行き来するジャズ・ワルツ
 2曲目で飛び込んでくる「松永貴志のオリジナル・ジャズ」=【マッド・クラブ・パーティ】。いつもの「技巧派でトンガリ系」なフリー・ジャズ
 3曲目の「名バラード」=【神戸】は前作『無機質オレンジ』収録トラックの再演。2年の時の経過が神戸の夜景に一層の深みを彩っている。

 そして4曲目こそ『地球は愛で浮かんでる』のハイライト=「新世紀エヴァンゲリオン」のテーマ【残酷な天使のテーゼ】のカヴァー
 オタク人生の管理人だがアニソンは手付かず。それゆえに後日【残酷な天使のテーゼ】の原曲を聞いた時の衝撃は大きかった。これがあの原曲? 松永貴志の,いいや「新世代ジャズ・ピアニスト」の恐ろしいまでの実力に目の玉が飛び出さんばかりだった。
 松永貴志クールなアレンジは,スピード感と変拍子とスリリング。この松永貴志ジャズメンとしてのアプローチはマイルス・デイビスキース・ジャレットのそれであろう。

LOVE MAKES THE EARTH FLOAT-2 松永貴志の非ジャズの魅力に落ちたが最後。5曲目以降は夢心地。批評などできる精神状態ではなくなってしまう。
 上記,神曲の4トラックを聴きさえすれば「新世代ジャズ・ピアニスト」の何たるかが,ジャズ・ピアノの新たな可能性を実感できるに違いない。とにかく超・超カッコよいのに超・超聴きやすい。

 『地球は愛で浮かんでる』での非ジャズジャズ・ピアノは新と旧に分類できる。「新世代のジャズ・ピアノ」は「ジャズから発生したピアノ音楽」と呼んだ方がふさわしいのかもしれない。

  01. Sands Of Time
  02. Mud Crab Party
  03. Kobe
  04. A Cruel Angel's Thesis (from 'Neon Genesis
     EVANGELION')

  05. Love Makes The Earth Float
  06. Street Performer
  07. Seaside Walk
  08. Powell Circle
  09. La Seule Gloire
  10. Water Balloon
  11. Traveler In The Wind

(サムシンエルス/SOMETHIN'ELSE 2008年発売/TOCJ-68078)
(ライナーノーツ/藤本史昭,松永貴志)

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本田 雅人 / ACROSS THE GROOVE4

ACROSS THE GROOVE-1 本田雅人の“円熟&チャレンジ”。それが『ACROSS THE GROOVE』。

 『ACROSS THE GROOVE』の真実は,前半2曲が「本田雅人・ウィズ・フォープレイ」で後半8曲は「フォープレイ・ウィズ・本田雅人」。
 そう。『ACROSS THE GROOVE』は,本田雅人フォープレイの豪華共演盤。ついに“ハイパー・フュージョン・サックス・プレイヤー本田雅人が世界へ飛び出した!
 かつて渡辺貞夫デイヴ・グルーシンリー・リトナーチャック・レイニー,そしてハーヴィー・メイソンたちと『MY DEAR LIFE』で世界へ飛び出した時のように…。

 …と思ったあなたは大外れ。管理人も本田雅人の“世界進出”を期待したが『ACROSS THE GROOVE』はその種のアルバムではない。“外へ外へ”の正反対=じっくりと熟成された“内へ内へ”の音造り。
 フォープレイに心酔した本田雅人の“円熟”。それがスムーズ・ジャズである。ドッヒャ〜。
 全曲,本田雅人のオリジナルなはずなのに【CAPTAIN GIOVANNI】と【HA−RU−U−LA−LA】以外は,どうにもこうにもボブ・ジェームス。ここはサンタモニカかLAか,西海岸の爽やかな風が吹いている。

 尤も,本田雅人も相当頑張っている。このアルト・サックスの伸びやかさは本田雅人特有のものだ。しかし音の個性でボブ・ジェームス本田雅人を圧倒している。
 なんでエレピなのに「あっ,ボブ・ジェームスだ」と思ってしまうのか不思議でならないのだが,ボブ・ジェームスエレピが聞こえている限り,どうしてもフォープレイに聞こえてしまう。「ラリー・カールトン抜きの4分の3」でこの存在感。フォープレイMJQを超えてしまったと思っている。
 まぁ,秘密はネーザン・イーストベーススキャットに負う所が大きいと薄々分かってはいるのだが…。
( 今日のところはボブ・ジェームスということで…。ハーヴィー・メイソンごめんなさい )

 『ACROSS THE GROOVE』における本田雅人の“チャレンジ”。それは初の海外レコーディング。
 私の記憶が確かならば(by 鹿賀丈史風)本田雅人は海外ミュージシャンが苦手だった。私の記憶が確かならば(by 鹿賀丈史風)「演奏は上手いんだけど自分の音楽を理解してもらうまでが大変だから」という理由だった。
 そんな“完璧主義者”本田雅人が,自分の音楽を理解してもらえるはずのない?たった3日間の“チャレンジ”レコーディングにGOサイン。これは日本出発前に相当準備した? いいや,この完璧な出来上がりは本田雅人の準備の賜物というよりも“フュージョン界の生き字引”ボブ・ジェームスマイク・ミラーネーザン・イーストハーヴィー・メイソンの“音楽力”の賜物であろう。

ACROSS THE GROOVE-2 年1枚以上のハイペースでリリース・ラッシュを続けてきた本田雅人だったが『ACROSS THE GROOVE』は4年ぶりのソロ名義。レコード会社もBMGへ移籍した。

 この激動の4年間の充実期。ソロを離れた“引っ張りダコな活動”の成果が『ACROSS THE GROOVE』における“円熟&チャレンジ”。“天才”本田雅人のマルチなトータル・バランスが深化している。
 (フォープレイのアルバムはいつでもそうなのだが)『ACROSS THE GROOVE』の完成度の高さに気付くようになったが最後。毎回,静かなる興奮を覚えてしまう。

 ナチュラルで優しいのにゴージャスでカッコイイ。スムーズ・ジャズに心酔する本田雅人を聴くのもまた一興である。

  01. Captain Giovanni
  02. HA-RU-U-LA-LA
  03. Heart Of Zipangu
  04. Stephanie
  05. Cool Bounce
  06. Diversity
  07. Prairie In The Morning
  08. Ocean Avenue
  09. Friends Of My Life
  10. My Ballad

(BMG/BMG 2008年発売/BVCJ-34035)

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小沼 ようすけ / 3,2 & 15

3,2 & 1-1 『3, 2 & 1』を一聴して,久しぶりに興奮した日のことを思い出す。
 熱狂とは違う。これは憧れである。何というリラクゼーション。全てを忘れて“うっとりと”聴き惚れてしまったのである。

 CDタイトル=『3, 2 & 1』とは,ジャッキー・マクリーンの『4, 5 & 6』よろしく,トリオデュエットソロの意。
 ただし全13トラック中,半数の6トラックがソロであり「初回限定盤ボーナス・ディスク」に至っては全編「アコースティック・ギター・ソロ」! そう。私的録音の演奏集の香りが匂い立っている。(そんなこんなで?)ジャズ・ギタリスト小沼ようすけにKOされてしまった。“うっとりと”聴き惚れてしまったのである。

 『3, 2 & 1』の真髄は,小沼ようすけの“パーソナルでアコースティックな”ギターCD
 またここがミソなのだが(←我ながら古い!)SACDゆえの圧倒的な高音質。音の粒立ちといい臨場感といい音響特性が最高に素晴らしい。
 小沼ようすけの指使いや息づかいが聴こえてくる。映像が浮かび上がる,いや,自分の眼前で演奏してかのような錯覚に囚われる程の生々しさ。これで興奮しない方がおかしいのだ!?

 さて,世界初公開となった『3, 2 & 1』の真髄=小沼ようすけアコースティック・ギター・ソロであるが,これは小沼ようすけの新兵器ではなく“ルーツ”であった。
 ライナーノーツによると,ジャズを始めた19才の頃,周りにジャズをやる人が少なかったのでいつも家でソロ・ギターを演奏していたとのこと。
 そう言えば,小沼ようすけが「ヘリテージ・ジャズ・ギター・コンペ」で演奏したのが【ISN’T IT ROMANTIC】。「ギブソン・ジャズ・ギター・コンテスト」で優勝した曲が【OLEO】。小沼ようすけは“ソロ・ギター”から世界へと飛び出してきたのだ。

 小沼ようすけの人格の一部であり,ジャズ・ギタリストとしてのルーツと公言するアコースティック・ギター・ソロ
 小沼ようすけが,ギター1本,アドリブの少ない“崩し勝負”で,音楽を朗々と歌い上げていく。どちらかと言えば“癒し系&ヒーリング系”の演奏だと思う。
 しかし時折顔を出すグルーヴィー! 胸の内から沸き上がる感情の発露! 小沼ようすけの有する,ハイ・テクニックと感性は,彼が紛れもないジャズ・ギタリストであることを証している。
 特に「初回限定盤ボーナス・ディスク」収録の「スタンダード集」を聴いていると,小沼ようすけジャズ好き,ギター好きの“本気度”が伝わってくる。

3,2 & 1-2 そんな“世界の”ジャズ・ギタリスト小沼ようすけと“世界の”ジャズ・ピアニスト小曽根真デュエットが最高!
 【SILVER AND ORANGE】と【I LOVE YOU】でのインタープレイは,「アンプリファイアード・アコースティック・ギタリスト」と呼ばれたジム・ホールと,耽美主義者のビル・エヴァンスギターピアノデュエットの決定盤『アンダー・カレント』での名演をも凌駕している!
 こんなにエキサイトしている小曽根真はそうお耳にかかれない。小曽根真ファンも必聴のデュエットである。

 ベース鈴木正人ドラム仙道さおり,または大槻“KALTA”英宣とのトリオがいい!
 ジャム・セッション風の一発録りのような,これまた『3, 2 & 1』の特徴であるリラックスした笑顔が見える名演である。

 そう。ソロデュエットトリオのどれもがいい『3, 2 & 1』を“ジャズ・ギタリスト小沼ようすけの“最高傑作”と宣言する!

PS “J−ジャズ界のプリンス”と呼ばれ「イケメン」としても有名な小沼ようすけ。これまでは藤原竜也似と認めてきましたが,CDインナーの1枚は読売ジャイアンツの高橋由伸に“激似”だと思いませんか?

  DISC 1
  01. Groove Me
  02. Silver and Orange
  03. Presence
  04. Mystic Rites
  05. Summer Happening
  06. I Love You
  07. Spain
  08. Cissy Strut
  09. What Cha' Gonna Do For Me
  10. Cherish The Love
  11. Gleam
  12. If
  13. Tristeza

  DISC 2 Bonus Disc [Acoustic Guitar Solo]
  01. Isn't It Romantic
  02. For No One
  03. Over The Rainbow
  04. Moon River
  05. Oleo

(ソニー・ミュージック/SONY 2006年発売/SICP-10023-4)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
(ライナーノーツ/小沼ようすけ)
★【初回生産限定盤:CD2枚組仕様】

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松永 貴志 / 無機質オレンジ5

INORANGE ORANGE-1 無機質とは「生物のチカラを借りずに,鉱物などから作り出せるもの」の意。有機質とは「生物のチカラを借りなくては作り出せないもの」の意。
 その意味で,松永貴志の4THCDINORANGE ORANGE』(以下『無機質オレンジ』)は,CDタイトルとは間逆の“有機質”な名盤である。

 とにもかくにも松永貴志ジャズ・ピアノが躍動している。19歳の血肉がスピードとダイナミズムを伴って迫ってくる。何ともエモーションで強烈な生命力を感じるのだ。
 『無機質オレンジ』で,若年寄りの殻を破った“等身大”の松永貴志が再デビュー。過去の3作と比べて一番「新人のいきのよさ」を感じさせる。松永貴志はやっぱり10代,若かった〜。

 本来,有機質であるはずのオレンジ。しかし松永貴志オレンジを「無機質なクールな一物体」として捉えている?
 この松永貴志の得意な選曲眼がジャズに向けられ完成した【無機質オレンジ】。思うに松永貴志の「無機質」とは「ジャズに必須なエモーション&感情の目を閉じること」。そう。音楽を感情抜きに,冷静に,理知的に…。

 事実【無機質オレンジ】に関するライナーノーツの記述の中に「1オクターブの間にある音を13個並べて,それを演奏するために8分の13拍子にした。それを右手と左手でリニアに動かしてテーマやソロを弾くのがこの曲のコンセプト」と書かれたあった。やっぱり音符の分析作業。
 学者が物事を理知的に分解していくのと同じように,ジャズ・ピアノ研究家?=松永貴志先生が音楽をジャズ・ピアノを理論的に分解していく。キメを多用し,無機質に,メカニカルにゴリゴリと進んでいく。まるでパズルを作っているかのように…。

 しか〜し,出来上がりだけを聴くと理論武装の痕跡は隠されている。一聴,機械的な音列で組み立てられた無機質な展開のその先に松永貴志の“ヒューマニズム”が溢れている。有機質オレンジの香りがほんのり漂っている。
 この感覚は松永貴志デビューCDTAKASHI』でも感じた,ジョン・コルトレーンの“シーツ・オブ・サウンド”的である。王道世代の理論家=ジョン・コルトレーンと新世代の理論家=松永貴志。コード進行の限界を越えてエモーションの頂点へと到達した共通点。
 事実『無機質オレンジ』でのジャズ・ピアノジョン・コルトレーンばりのフリー・ジャズ・テイストでもある。ここにも意外な共通点。ジョン・コルトレーンの道筋をこのまま歩み続ければ,浮気せずに歩み続けさえすれば,松永貴志もきっと大物になる〜。

INORANGE ORANGE-2 『無機質オレンジ』のハイライトはオリジナルの【神戸】とジャズ・スタンダードの【オン・グリーン・ドルフィン・ストリート】。この2トラックに“無機質なのに有機質な”松永貴志の才能が凝縮されている。

 こんなに大甘なバラードを19歳が作曲して良いものだろうか? なんてロマンチック神戸がメロディアスに美しい。
 こんなに激変アレンジな【オン・グリーン・ドルフィン・ストリート】は初めてである。なんて新鮮なビル・エヴァンスミシェル・ペトルチアーニで理路整然。素晴らしい。この2トラックは今後幾年も語り継がれるべき名演だと思う。

 さて,最後に“若年寄り”と呼ばれてきた松永貴志の若返りの秘訣を教えよう。それはベーシストウゴナ・オケグォドラマーエリック・ハーランドのニューヨークの老練との共演にある。
 ウゴナ・オケグォエリック・ハーランドの快演が松永貴志を童心へと帰らせた。CD−EXTRAで観せる松永貴志のニッコニコの笑顔。「あ〜,ピアノって,ジャズって,なんて楽しいのだろう。最高〜」(by 松永貴志の心の声?)

  01. INORGANIC ORANGE
  02. DAN DAN DAN
  03. A CHILD IS BORN
  04. ONIGASHIMA
  05. KOBE
  06. C JAM BLUES
  07. F・I・S・H・C・R・Y
  08. ON GREEN DOLPHINE STREET
  09. SKY DE SKY

(サムシンエルス/SOMETHIN'ELSE 2006年発売/TOCJ-68071)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
CD−EXTRA仕様:【神戸】【無機質オレンジ】
★スイングジャーナル誌選定【ゴールドディスク】

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松永 貴志 / TODAY4

TODAY-1 『OPEN MIND』がテレビ朝日系「報道ステーション」テーマ曲に採用された当時,CDショップのジャズ・コーナーは“松永貴志一色”であった。
 なぜ覚えているかというとCDショップのジャズ・コーナーに“さん然と輝く”松永貴志の顔&顔。ジャズ売り場の一等地でポスターと手書きのポップで注目を集める『TODAY』が山盛りに飾られていたのだった。

 笑顔ではない。あどけない表情でレンズをじっと見つめている。バックに写るニューヨークでの記念写真風。それがかえって松永貴志の“若さ”を感じさせてくれたものだ(余談であるがカメラ大好き管理人としては,敢えて無表情のカットをジャケット写真に選んだハイ・センスを絶賛したいと思います)。
 さて,この時点で管理人は松永貴志を【OPEN MIND】でしか知らなかった。率直に言えば,完全に追っかけ気分の矢野沙織の一共演者という認識でしか持っていなかった。
 「どれどれ,どれくらい弾き倒してくれてるの?」的な上から目線(スミマセン)の期待を抱き『OPEN MIND』のマキシ・シングルと共に『TODAY』を購入して帰宅した。

 そうして驚いた。「何,このおぼっちゃま。音はおっさんじゃないか!」。そう。『TODAY』から聴こえてきた松永貴志に,ベテラン・ジャズ・ピアニストを感じたのだ。
 まっ,これは共演するベーシストウゴナ・オケグォドラマーエリック・ハーランドの音なのだったと今となっては分かっているが,それでも第一印象とは末恐ろしい。
 管理人は今でも松永貴志を有望な若手ジャズメンの1人とは思っていない。思えない何かが根強く残っている。松永貴志は永遠の“本格派”なのである。 → う〜ん。この記述はウソではないが,松永貴志は永遠の“個性派”が正解かなぁ。そして松永貴志は非ジャズ・ピアニスト。これが大正解でしょう?

 それにしても東芝EMIは才能を酷使するものだ。大西順子の時もそうだったが,売れると分かると怒涛のリリース・ラッシュ。『TODAY』の時点で松永貴志デビュー後わずかに300日。17歳の青年に300日間でCD3枚も作らせますか〜。しかも8割はオリジナル曲で海外ロコーディングも企画するとは,売れっ子の鈴木福くんばり? 音は若年寄でも肉体は絶好調。若いって素晴らしいのだ〜。

 そんなレコード会社のプッシュに押されて,焼き直しとなった【ニューヨークの宿題】。ホレス・シルヴァーの【PEACE】のカヴァー。【オープン・マインド】を2テイク収録と不本意ながら?の選曲。でもこの選曲が良かった。この4トラックのおかげで管理人は松永貴志アドリブの才を堪能できたのだ。

 松永貴志のコンポーザーとしての才能は折り紙つき。松永貴志の楽曲にはジャズを知らない耳にもすんなり馴染む許容量の大きさのようなものを感じている。この「スーッとした耳馴染みの良さ」が,あらかじめ用意できないアドリブにおいても感じられるのだ。曲全体の構成とマッチするアドリブが実にメロディアス&ファンタスティック。破綻しないのに“濃厚なジャズの”アドリブを繰り出してくる。素晴らしい。今後は松永貴志カヴァー曲もアドリブ目当てで要チェックしようっ。

 そんなんでここでついでに脱線トーク。松永貴志バド・パウエルの名を冠したオリジナルを作曲するなどパウエル派を公言しているが,松永貴志はきっと後期パウエルが好きなのだろう。そして自分でも気づかないうちにミシェル・ペトルチアーニからの影響を受けているのではなかろうか? 松永貴志アドリブにつられ?ふとミシェル・ペトルチアーニの【LOOKING UP】を思い出したもので…。

TODAY-2 管理人の結論。『TODAY批評

 『TODAY』は「常識人の松永貴志」の記録である。『TODAY』は,どうにもこうにも正統派。『TAKASHI』→『MOKO−MOKO』(『STORM ZONE』)ときて,ちょうどいい塩梅で“ジャズ・ピアニスト松永貴志が完成した時期のレコーディングだったと思う。
 繰り返しになるが,ピアノ・トリオをリードするはウゴナ・オケグォエリック・ハーランドのリズム隊である。松永貴志は前2作と比べると“遠慮がちに”フィルインしている。ねっ,ここが「常識人の松永貴志」の記録の意。見事に「ピアノ・トリオピアニストの役割をこなしている。

 成長期の青年は大人の階段を上るにつれ,どんどん普通っぽくなっていく。人間どうしても常識人になるものだ。
 『TODAY』は“本格派”ジャズ・ピアニスト松永貴志唯一の記録。そういう意味では多くの王道・松永貴志ファンにとって『TODAY』がバイブル。『TODAY』が“押さえの一枚”であろう。

 管理人には『TODAY』よりも非ジャズ・ピアノな『地球は愛で浮かんでる』である。ただし『地球は愛で浮かんでる』を楽しめるのも『TODAY』があればこそ。
 『TODAY』を松永貴志の両輪の一つとして評価している。

  01. METAL DRAGON
  02. SUNSET IN THE CITY
  03. SING, SING, SING
  04. HOMEWORK
  05. OPEN MIND
  06. NYA-NYA-DANCE
  07. PEACE
  08. HAMBURGERING
  09. JIVE AT FIVE
  10. OPEN MIND (SAX VERSION)

(サムシンエルス/SOMETHIN'ELSE 2004年発売/TOCJ-68063)
(ライナーノーツ/マイケル・カスクーナ)
CD−EXTRA仕様:【にゃーにゃーダンス】【ニューヨークの宿題】
★スイングジャーナル誌選定【ゴールドディスク】

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松永 貴志 / MOKO-MOKO4

MOKO-MOKO-1 “史上最年少”ブルーノート・リーダー・アーティスト=松永貴志の“世界デビュー盤”『STORM ZONE』。
 『STORM ZONE』の真実はブルーノートの新録音ではなかった。日本既発売=松永貴志のセカンドCDMOKO−MOKO』の版権貸与。なあんだ。
 NO。なあんだではありませんよ。これってビッグ・ニュースですから〜。

 そんな松永貴志の『MOKO−MOKO』=『STORM ZONE』こそ,松永貴志デビューCDINTRODUCING TAKASHI MATSUNAGA』のタイトルにふさわしい内容だと思う。
 そう。『MOKO−MOKO』こそが松永貴志の「INTRODUCING」。ジャズ・ピアニストであり名コンポーザーでもある松永貴志の魅力がストレートに伝わってくる。何と言っても全曲松永貴志のオリジナル集なのだから…。

 『INTRODUCING TAKASHI MATSUNAGA』より『MOKO−MOKO』の方が完成度が高まっていることを認めた上での発言である。『MOKO−MOKO』は名盤ならぬ迷盤である。
 仮に『MOKO−MOKO』ではなく『INTRODUCING TAKASHI MATSUNAGA』がワールド発売されていたなら松永貴志の人気は“こんな程度”ではなかったはずだ。スーパースターになっていて然るべき“天才”の1人だと思うのだが…。

 そう。松永貴志は迷盤『MOKO−MOKO』のせいで小曽根真上原ひろみになりそこなった。大西順子木住野佳子クラスにおさまってしまった(大西さん,木住野さん,ごめんなさい。私は小曽根さんや上原さんより大西さんや木住野さんの方が好きですから〜)。
 全てはまたしても東芝EMIの戦略ミス。大西順子が背負った十字架を現在は松永貴志が背負っている。背負わされている。

MOKO-MOKO-2 『MOKO−MOKO』での松永貴志の魅力はジャズ・ピアニストの域を超えてしまっている。完全に「THIS IS TAKASHI MATSUNAGA」な世界炸裂〜。リリシズムあふれるピクチャレスクな音世界〜。真に松永貴志のオリジナルは“自由奔放”なのである。
 ゆえに余計に耳に付くまとまり感。こじんまりとまとまってしまったのが惜しまれる。長所よりも短所が目立ってしまっている。

 【南十字星】【新しい朝】の2大佳曲をフィーチャーする脇役的な曲構成で制作されていたならばインパクトがあったはずなのだが…。演奏と作曲は良いのだが17歳にしてのセルフ・プロデュースは早すぎたかなぁ。

  01. SOUTHERN CROSS
  02. MOKO-MOKO
  03. NEW MORNING
  04. THE DO-TON BORI RIVER
  05. JUNGLE SONG
  06. THE WORLD IN SORROW
  07. STORM ZONE
  08. THE DOORWAY TO DREAMS
  09. BLUES FOR WHALES

(サムシンエルス/SOMETHIN'ELSE 2003年発売/TOCJ-68059)
(ライナーノーツ/藤本史昭,松永貴志)
★2003年度ジャズ・ディスク大賞【ニュー・スター賞(国内部門)】受賞

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日本テレビ / アナザースカイ / 上原ひろみ

アナザースカイ / 上原ひろみ 昨日,日本テレビ系(FBS)「アナザースカイ」にジャズ・ピアニスト上原ひろみが出演しました。

 上原ひろみアナザースカイ(海外にある,第2の故郷)。それは6年在住しているニューヨーク。「ニューヨークには強大なエネルギーがつまっている。世界中からいろんな国の人が集まって切磋琢磨してここで夢を掴もうとしている。何かに向かって頑張っている人たちの中に身をおくと,凄く刺激を受ける」。

 そう語る上原ひろみ自身も「夢を掴もうとして」ニューヨークへとやってきた1人。「音楽は音楽から作られるものではなく,人との出会いやいろんな刺激から作られる」。そう信じて法政大学を中退してボストンのバークリー音楽院へと留学。
 ボストンからニューヨークで演奏がある時にいつも利用していたバス・ターミナル。10ドルで4時間のチャイナタウン・バス。「自分にとってのスタートラインというか,ここで降りて初めてニューヨークでライブをしたので,背筋が伸びる感じがある」。うん。ホーム・グラウンド。

 それから6年。現在の上原ひろみのホーム・グラウンドはブルーノート。そう。「ジャズの聖地」。実力を認められた者だけが出演を許される憧れの舞台。
 そこに立つだけでも大変だが立ってからの方がもっと大変な場所。お客さんよりもウェイターの方が多いステージ。幼なく見られるので心配そうな客の視線。音を弾いまでは…。
 「音が全てを飛び越えていく」「全部即興演奏なので,いい時は自分で演奏しているよりも音楽に連れられていく感覚がある」と語る上原ひろみの絶対の自信! 客もまばらな昼公演から耳の肥えたファンで埋まる夜公演へとステップアップ。そして今年日本人としては初めて7年連続7日間公演を成功させた。真にブルーノートがホーム・グラウンド。

 NO。“売れっ子”上原ひろみに安住の地はない。「年間100日150公演」のワールド・ツアー。しかしライブ大好き=上原ひろみは「世界は広いので,どこの場所に行っても必ず自分のことを知らない人がいて,初めて私の音楽に触れてくれる人がいる。そういう意味では“生涯ルーキー”でいられる」と過酷なツアー生活を楽しんでいる。貪欲だよなぁ。
 人間,年齢と共に自分にとって未知の世界や不慣れなことは避けたくなるもの。しかし上原ひろみは“生涯ルーキー”と,とても前向きに捉えている。これが世界的ジャズ・ピアニストとして名声を得た現在でも成長し続けている秘訣なのかなぁ。

 オフの過ごし方についてのインタビューの中では「時間がある限りピアノに触っている。練習すればするほどステージで上達を感じる瞬間があるのでやめられない」ということで“手羽先風”のピアノ筋を得意気に披露。
 “練習の虫”上原ひろみにスランプはない。上原ひろみが考えるスランプとは「さなぎ期間」。やり続ければ必ず出られる所はスランプではないし,逆に抜けた時に必ず前の自分に見えなかったものが見えるに違いない」と語っていた。

 実際に矢野顕子との4時間を越える壮絶な練習風景がオン・エア。【りんご祭り】の同じフレーズを4時間も繰り返す。休憩を一切取らないからレコーディング中でもエンジニアやアシスタントが倒れるそうだ。上原ひろみは星飛雄馬以上の“練習の虫”である。

 その他「落語って一生をかけて成長していく芸なので音楽と似ている。年輪を積み重ねながら階段をこつこつ昇るような感じが好きだ」。「ラーメンはピアノに通じる。1杯に託された一発勝負。1杯1杯新鮮な気持ちで湯きりしたりとか。自分が公演に臨む時に,それがツアーの何公演目であっても常に最初で最後だと思いたいし」などと,ジャズ・ピアニストならではの目線で落語道やラーメン道の楽しみを語っていた。
 上原ひろみにとってニューヨークという場所は「オフの時はホーム。オンの時は戦う場所」。マジでオンとオフの差が激しいお方でした。

 ラストはピアノの生演奏。88ある鍵盤は上原ひろみの身体の一部と化し,歌を口ずさむかのように音を紡ぎ出してゆく。【HAZE】を聴いて号泣する長谷川潤ちゃんが素敵でした。

 上原ひろみが目指すもの。それは「昨日より今日。今日より明日。自分の今伝えたい気持ちを音にしたい」。
 いや〜,この言葉にグッと来ました。これまでも応援してきましたが上原ひろみが,もっともっと好きになりました。

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