アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2012年01月

矢野 沙織 / パーカーズ・ムード〜ライブ・イン・ニューヨーク4

PARKER'S MOOD〜LIVE IN NEW YORK-1 『PARKER’S MOOD〜LIVE IN NEW YORK』(以下『パーカーズ・ムード〜ライブ・イン・ニューヨーク』)は『SAKURA STAMP』のブルーノート・ツアーで共演したジャズ・ジャイアント,ジミー・コブが“引っ張り出した”ニューヨークは「SMOKE」におけるライブ盤。

 早めに結論を書いておくと,矢野沙織は“まだまだ”。スタジオ録音での“切り貼り”は本人も認める周知の事実が本当であった。やっぱりワンテイク一発で,あの“初老”の演奏はベテランでも難しいものである。

 『パーカーズ・ムード〜ライブ・イン・ニューヨーク』の原型となった『SAKURA STAMP』のブルーノート・ツアーを拝聴できたがライブは勢い! 良かった! きっと「SMOKE」の現場も生で聴いたら絶賛すべきライブ評だったのだろうが,後日冷静に聴き直すと「音程の粗が目立ってしまう」宿命。

 正直,管理人的には“ジミー・コブ・トリオあっての”矢野沙織の感有り。ジミー・コブ・トリオ矢野沙織の良さを引き出し足りない部分を補っている。ジミー・コブ・トリオ矢野沙織が舞わされている。
 しかし,そんなライブ盤を18歳にしてリリースできる“大物”が「日本のキャノンボール・アダレイ」=矢野沙織である。デビュー2年でライブ盤をリリースできる実力,リリースできる勇気に“あっぱれ”!

 『パーカーズ・ムード〜ライブ・イン・ニューヨーク』はライブ盤ゆえ1曲1曲の演奏時間が長い。収録わずか7曲にして演奏時間62分。CDでは“切り貼り”作業でカットされる長尺のアドリブ・パートも大収録。ビ・バップの熱気と伸びやかなプレイ。うわ〜!

 改めて『パーカーズ・ムード〜ライブ・イン・ニューヨーク』における矢野沙織アドリブを聴き込んでいくとジミー・コブの語る「サオリは日本のキャノンボールだ」に同意する。チャーリー・パーカーよりもキャノンボール・アダレイに“激似”である。
 ズバリ“激似”はノリである。キャノンボール・アダレイは大変器用で間口の広いアルト奏者。有名なのは“ファンキー”キャノンボールであろうが,ここで管理人が挙げているのは“バッパー”キャノンボールのことである。

PARKER'S MOOD〜LIVE IN NEW YORK-2 “バッパー”キャノンボールについては後日,キャノンボール・アダレイ批評の中で詳述することとするが,本気のキャノンボール・アダレイの演奏はチャーリー・パーカーの演奏に近い。そう。キャノンボール・アダレイ矢野沙織と同様,チャーリー・パーカーの崇拝者なのだ。

 チャーリー・パーカーソニー・スティットフィル・ウッズキャノンボール・アダレイ渡辺貞夫矢野沙織。これぞ“パーカー派”の主要系譜である。
 そう。21世紀の「パーカー・ショック」は矢野沙織アルト・サックスに宿っている。『パーカーズ・ムード〜ライブ・イン・ニューヨーク』の音に「21世紀のビ・バップ」がある。まぁ,そんな大袈裟に言うことでもないのかなぁ。

  01. I Got Rhythm
  02. The Days Of Wine And Roses
  03. Composition 101
  04. Don't Explain
  05. Parker's Mood
  06. Bohemia After Dark
  07. A Night In Tunisia

(サヴォイ/SAVOY 2005年発売/COCB-53434)
(ライナーノーツ/岩浪洋三)

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矢野 沙織 / SAKURA STAMP5

SAKURA STAMP-1 「HOP! STEP! JUMP!」。矢野沙織の一番の成長分野。それは精神面の充実であろう。
 矢野沙織の3rdCDSAKURA STAMP』を聴いてそう強く思った。

 (『02批評で書いた通り,人間幾つになっても成長するもの。年若いから成長するとは書かないが)矢野沙織の武器は人並み外れた成長のハイ・スピード。
 ジャズの神髄を「これでもか!」と感じさせてくれる勢いが心地良い。アルト・サックスの豊かな音色。こんなにも渋く温もりのある音色を好んで吹いている姿に感動すら覚える。そう。矢野沙織の音色とフレージングは,もはや“初老”の域に達している!

 テクニックが上達しているのは勿論なのだが『SAKURA STAMP』での矢野沙織アルト・サックスは“鳴り”が違う。
 『YANO SAORI』『02』とはワンランク上の存在感。今回のアルト・サックスの見事な“立ち振る舞い”は,話題先行アイドル評の雑音を圧巻の実力で黙らせた自信と余裕から来ている。音に張りとか腰が付いたと書いたらよいのだろうか…。

 この点は現場経験であるライブでの成功体験と矢野沙織チャーリー・パーカーと共に敬愛してやまないビリー・ホリディもどきな強心臓と積極性にある。
 ライブでの矢野沙織は,演奏を楽しむというよりも,いつも真剣に自分自身と対峙している様子に見えたが『SAKURA STAMP』での演奏は伸びやかでリラックスしている。もう既に「大物然」が漂いだしている。これこそ矢野沙織の一番の成長分野=精神面充実のポイントである。

 『SAKURA STAMP』での共演者=ハモンド・オルガンマイク・レドーンギターピーター・バーンスタインドラムジョー・ファーンズワースは年上のトップ・ジャズメン。ゲスト参加のトランペットニコラス・ペイトンテナー・サックスエリック・アレキサンダーは言わずもがな!
 しかし,矢野沙織が,実に堂々と楽しそうに演奏している。超格上サイドメンにも臆することなく,しっかりとリーダー・シップを取っている。リーダーとして自分の音楽を展開する矢野沙織は,その深みのある音色,抜群のスイング感で,ジャズの醍醐味を堪能させてくれる。素晴らしい。

 矢野沙織の『SAKURA STAMP』での新境地。キーワードは“ファンキー”である。
 『SAKURA STAMP』を語る時,ベースレスのハモンド・オルガンとの共演を忘れるわけにはいかない。そう。ピアノからオルガンへの変更で,俄然,リズム感が前面に出て来ている。
 例えば,ジミ・ヘンドリックの【RED HOUSE】は原曲崩しの,これぞ“ファンキー”な名演である。

 …そう言えば『SAKURA STAMP』のフォロー・ツアーで共演したジャズ・ジャイアント,ジミー・コブが形容した「矢野沙織は『日本のキャノンボール・アダレイ』」の称号。うんうん。管理人はジミー・コブの興奮がよ〜く分かります。

SAKURA STAMP-2 加えて,チャーリー・パーカーへのオマージュとして【DONNA LEE】の完全コピーを大収録。“パーカー派”矢野沙織の自慢で自信でご満悦な趣味の記録に驚愕する。
 一般にジャズメンたるもの「個性勝負」。没個性のコピー演奏を非とするはず。しかし矢野沙織チャーリー・パーカーに似ていることを喜びとしているのが実に愛らしい。ニコラス・ペイトンとの一糸乱れぬ高速ユニゾンの中にも矢野沙織の負けん気と歌心が強く感じられる。
 惜しむべきは『02批評でも書いたが【ドナ・リー】のアウトロでの音写りが極端にむごい。

 【SAKURA STAMP】は,矢野沙織が2年前に初めて作曲したオリジナル。1小節ごとにテンションをふんだんに含んだコードが半音ずつ上がっては下がっていく。アドリブで歌い上げるのが逆に難しいこんな佳曲を中学時代に作ったんだようなぁ。
 【SAKURA STAMP】の秀逸アレンジはこの2年間のライブで練り上げられた賜物であろう。

 『SAKURA STAMP』を1枚聴き通して感じるのは“チャーリー・パーカー研究家”としての矢野沙織である。
 『SAKURA STAMP』のハイライトである,チャーリー・パーカーのレパートリー【TICO TICO】が,矢野沙織アドリブで“現代に甦ってきた”感有り有り。
 チャーリー・パーカーアドリブは聴いていて多少疲れを感じるが,矢野沙織アドリブは聴いていてのめり込んでしまう。クリシェが次々と登場してくるし,軽くリズムをかいくぐるところがチャーリー・パーカーに激似である。
 現代版の洗練されたフレージングに“チャーリー・パーカー研究家”としての足跡が見えている。

  01. Donna Lee
  02. Sweet Love Of Mine
  03. Sakura Stamp
  04. Shawnuff
  05. Red House
  06. Crazy He Calls Me
  07. けむりの瞳
  08. Salt Penauts
  09. Tico Tico
  10. Sk8 Game
  11. 砂とスカート

(サヴォイ/SAVOY 2005年発売/COCB-53320)
(ライナーノーツ/岩浪洋三)

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矢野 沙織 / 025

02-1 ジャズ界には「2年目のジンクス」ならぬ「2枚目のジンクス」という言葉がある。

 「2枚目のジンクス」はジャズメンのデビューが比較的遅いことに起因している。そう。ジャズメンの多くは,長年陽の当たらない場所で活動を続け,本物と認められた実力者だけがデビューできる特異な環境の元に置かれている。そんな“遅咲きの”ジャズメンにとってはデビュー盤=「最初で最後」の可能性有。「長年待ち設けてやっと掴んだ大チャンス。2度と離してなるものか〜」的な意気込みでよく練られた内容の名盤が多いのだ。

 16歳での“衝撃の”デビュー矢野沙織の熱烈大ファンとしては「大事に育てたい。育ってほしい」と願うもの。矢野沙織が“伸るか反るか”の分かれ道。もっとも重要なセカンドCD02』のリリースに「2枚目のジンクス」の言葉がよぎった。
 しか〜し,心配御無用。“衝撃の”デビューCDYANO SAORI』以上の濃密な演奏。全ての不安を吹き飛ばすカウンター・パンチの返り討ち。素晴らしい。“遅咲きの天才”もいれば“早熟の天才”もいるものである。

 『02』で喰らったカウンター・パンチ。実は『02』の衝撃が今も管理人の脳を揺らし続けている。『02』のメガトン・パンチ以降,管理人は矢野沙織の年齢を思い出せないでいる(「JAZZ QUEEN矢野沙織様は1986年10月27日生まれです)。
 あの惚れ惚れする音色,フレージング,タンギング,リズム感,ホットな熱情とクールなニュアンス,そしてインプロヴィゼーションの冴え…。どう聴いても何回聴いても“ビ・バップ”であり“パーカー派”のアルトなのである。

 矢野沙織は巷で「16歳にしては,17歳にしては,10代にしては」という表現で批評されることが多い。しかし,そんなニワカ・ジャズ・ファンなど“クソ喰らえ”である。
 『02』でのアルト・サックスを聴かされて,冷静に矢野沙織の年齢のことなど考えられるはずがない。考えられるわけがない。そうできるのはその人がニワカだからである。

 『02』の再生中は,ただ固唾を呑んで矢野沙織アドリブと対峙するのみ。思考など停止して身体で単純に「パーカー・ショック」を浴び続けるのみ。全11曲の大名演に呼吸をするのはトラック終了後の無音部分のみなのだ。管理人久々の「酸欠ジャズ」なのだ。く〜っ,たまらなくう・れ・し・い。

 『02』が流れている間は何も出来ない。火事が来ようが地震が来ようが電話がかかってこようとも動けない。「パーカー・ショック」の金縛り。ゆえに今回の『02批評も書きたいことは沢山あったが,やはり『02』の同録レヴューはかなわなかった。

02-2 『02』の演奏は「素晴らしい」の一言に尽きる! 矢野沙織“運命の”2枚目は,成績不良でも,まあまあでも,横ばいでもなかった。ジンクスは打ち破られた。

 『02』は『YANO SAORI』の更なる拡大路線作。バックも基本『YANO SAORI』と同じハロルド・メイバーンナット・リーヴスジョー・ファーンズワースピアノ・トリオであって,綿密にアレンジを作り込んでいる。
 矢野沙織が『02』で“パーカー派”の最高位奪取へと向かい出した。管理人は矢野沙織の挑戦を最後まで見届ける気概でいる。矢野沙織よ,挑戦し続けるんだ。夢はかなう。

 『02』について他に記すことがあるとすれば『02』のマスター・テープが音写りを起こしているという事実。【ザイオン】【スクラップル・フロム・ジ・アップル】のイントロとアウトロは極端にむごい。【ワーク・ソング】ではジッターもある。
 超一流のアバター・スタジオとコロムビアには,未来の“パーカー派”の最高位=矢野沙織の音源を扱うに際しては,今後特に注意深く管理していただきたい。

  01. Laird Baird
  02. 砂とスカート
  03. Lover Man
  04. Rizlla
  05. The Days Of Wine And Roses
  06. Work Song
  07. Zion
  08. Scrapple From The Apple
  09. Everything Happens To Me
  10. Billie's Holiday
  11. Open Mind

(サヴォイ/SAVOY 2004年発売/COCB-53231)
(ライナーノーツ/岩浪洋三)

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MALTA / マンハッタン・イン・ブルー4

MANHATTAN IN BLUE-1 『MANHATTAN IN BLUE』(以下『マンハッタン・イン・ブルー』)はMALTA初のド・ストレート・ジャズCD

 シダー・ウォルトンピアノピーター・ワシントンベースジミー・コブドラムという熟練のピアノ・トリオをバックに,ワン・ホーン編成でジャズメン=MALTAスタンダードを吹き上げる。しかし1…。

 管理人は長らくMALTAジャズ・ジャイアントたちとの共演を待ち望んでいた。“大物喰い”のMALTAの「化学反応→覚醒→大化け」を期待していた。しかし2…。

 『マンハッタン・イン・ブルー』は『マイ・バラッド』の続編のように聴こえる。ボサノヴァブルース・ナンバーも選曲されているが基本はスロー・バラード。どうにも『マイ・バラッド』の雰囲気然。
 こんな名手3人がバックを務めているのだから,ガンガンのスイング・ナンバーやギンギンな大人のセッション・バトルを繰り広げてくれたら良かったのに…。

MANHATTAN IN BLUE-2 『マンハッタン・イン・ブルー』は予想に反して平均点。MALTAはフォーマルなカルテットのフロントマン。このメンバーならこれ位は朝飯前。水準以上の名演であるが「想像通りの名演」の範疇ゆえ面白みに欠けている。(こんな名演にケチつけたくはないのだが)あと一捻り足りないんだよなぁ〜。

 管理人の結論。『マンハッタン・イン・ブルー批評
 『マンハッタン・イン・ブルー』は『マイ・バラッド』の「二番煎じ」にして『マイ・ソプラノ』に次ぐ「企画倒れ」盤である。
 せっかくのシダー・ウォルトンピアノ・トリオが勿体無〜い。

PS 管理人の『マンハッタン・イン・ブルー批評が辛口になった理由の背景に「XRCD24」の不発も影響している。個人的には「SACD」以上に応援している「XRCD24」をわざわざ購入したというのに…。どうした「世界のJVC」。もしや金欠で限界なのか? これはたぶん録音の問題。至急,ジャズ専門の録音エンジニアを養成すべし?

  01. I'M A FOOL TO WANT YOU
  02. CRY ME A RIVER
  03. I MISS YOU SO
  04. MANHATTAN IN BLUE
  05. I REMEMBER YOU
  06. BAY STREET BLUES
  07. GOD BLESS THE CHILD
  08. THE LOOK OF LOVE
  09. YOU'VE CHANGED
  10. I MISS YOU SO (alternate)

(ビクター/JVC 2004年発売/VICJ-61172)
(☆XRCD24盤仕様)

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MALTA / ハーフ・ムーン・ストリート5

HALF MOON STREET-1 『HALF MOON STREET』(以下『ハーフ・ムーン・ストリート』)がMALTAの「スーパー・ベスト」盤である。間違いない。

 『ハーフ・ムーン・ストリート』はMALTA“お得意の”企画ベスト盤。今回はMALTAの「20周年記念盤」として人気曲のサックス・パートを再録音。“今のMALTAの音”が堪能できる〜!

 T−スクェアセルフカヴァーでも『宝曲』は支持するが『夢曲』は支持できない管理人。まっ,王道企画の常套企画と言ってしまえばそれまでであるが『ハーフ・ムーン・ストリート』でのカラオケ・バックのサックス・パートの全面差し替え。この企画を考えた人は偉い! 今回の企画盤は大当たり!
 意識をMALTAアルト・サックスへ一点集中。これが楽しくて楽しくて…。
 
 ジャズメン=MALTAの本領発揮。MALTAアドリブがいい。オリジナルも好きなので甲乙付け難くどちらも好き。この楽しさは一夜限りのライブの楽しみ。今夜は(本作『ハーフ・ムーン・ストリート』では)どんなアドリブが飛び出すのか〜。

 今夜のライブは(本作『ハーフ・ムーン・ストリート』では)ゴキゲンで快調なアドリブの大連発! キレイ目からのハズシ,そしてキレイ目からの崩し。ツボを押さえたアドリブMALTA=超一流エンターテイナーの証しである。

 手癖のついた自作曲。ましてカラオケを聴きながらの吹き込みなのだからMALTA自身がインスパイアされることはない。でも十分に熱気が漲っている。

 …と偉そうに書いているが何のことはない。『ハーフ・ムーン・ストリート』は,管理人が10年振りに購入したMALTA作。そう。『マイ・ソプラノ』(正確には『コカージュ』でブチ切れて)以降,MALTAへの関心が薄れてしまっていた。
 これは意識的に離れてみても常に動向が気になるカシオペアの場合とは事情が異なる。MALTAの場合は本当に“プッツリと”縁が切れてしまった。嘘みたいにあっさりと,迷いなく,自然体で…。
 「熱が冷める」とは正にこのことであろう。正直,これ程の名盤を聴かされても管理人の「MALTA愛」は再燃しませんでした。

HALF MOON STREET-2 「MALTA愛」10年間のブランク。
 初めて聴いた4トラック【WINGS OF TOMORROW】【STREET BATTERY】【FELICIA】【HALF MOON STREET】の原曲も聴いてみたいなぁ。でもCD買う予定はないけれど〜。

  01. SHINY LADY (prologue)
  02. MANHATTAN IN BLUE
  03. MORNING FLIGHT
  04. HIGH PRESSURE
  05. OBSESSION
  06. SEXY GALAXY
  07. LOVERS
  08. WINGS OF TOMORROW
  09. STREET BATTERY
  10. SKY WALKER
  11. SHINY LADY
  12. SAPPHIRE
  13. DANCING MAKES YOU SMILE
  14. FELICIA
  15. HALF MOON STREET
  16. SWEET MAGIC (epilogue)

(ビクター/JVC 2003年発売/VICJ-61088)

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MALTA / マイ・ソプラノ3

MY SOPRANO-1 「エキサイティング&スウィート! ニュー・レコーディングとオルタネイト・テイクで綴るMALTA初のフル・ソプラノ・サックス・アルバム」。

 『MY SOPRANO』(以下『マイ・ソプラノ』)は,上記CD帯のコピー通り。これ以上でもこれ以下でもなく,事実としてMALTAソプラノ・サックスのみを演奏したフル・アルバム。「こんなん出来ました〜,皆さん,聞いてみてください」的な編集で,ソプラノ・サックスで感動を誘おう,など念頭にない模様。う〜む。

 『マイ・ソプラノ』は『マイ・バラッド』『マイ・ヒット・アンド・ラン』『マイ・フェイバリット〜枯葉』に続く『MY〜』シリーズの第4弾。
 上記CD帯のコピーとして「ニュー・レコーディングとオルタネイト・テイクで綴る」と書かれているが『マイ・ソプラノ』用の新録は全13トラック中5トラックにして実質4トラック。

 要は「四匹目?のドジョウ」を狙った企画盤なのだが,分かってはいても“MALTAソプラノ・サックス集”で括られたら触手が動いてしまう。「1度はフル・ソプラノ・サックス・アルバムを作って欲しい」。そう願うMALTAソプラノ・サックス・ファンも多かったのではなかろうか…。しかし…。

 『マイ・ソプラノ』は,ソプラノ・サックス特有の美しい音色への期待が大きかった分,平均点な新録が「総合評価・ガッカリ作」と相成った。
 過去の8トラックの演奏内容は理解できる。何と言ってもMALTAのメインはアルト・サックスであって,ソプラノ・サックスはアルバムの彩りを変える一服の清涼剤。しかし『マイ・ソプラノ』用の新録はメイン・ディッシュなのだから清涼剤効果を狙ってはいけない。なのになのに薄っぺらい。

MY SOPRANO-2 『マイ・ソプラノ』でのソプラノ・サックスケニー・Gを勝手に期待した管理人,あるいはまさかのジョン・コルトレーンウェイン・ショーターを勝手に期待した管理人が悪かった?

 『マイ・ソプラノ』でのMALTAは完全に過去追い人。過去の栄光はいい加減忘れて欲しい。それ位,絶頂期のMALTAはバブリーだったんだろうなぁ。

  01. BLU-RUN-RUN
  02. BARKS WORKS
  03. 3-2-1-0
  04. CANDLELIGHT
  05. OCEAN VIEW
  06. AMONG THE CLOUDS
  07. REFLECTIONS
  08. N.Y.SCANDAL
  09. IT'S COOL
  10. MANHATTAN IN BLUE II
  11. SECRET ISLAND
  12. DAYBREAK
  13. CANDLELIGHT II

(ビクター/JVC 1993年発売/VICJ-183)

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MALTA / コカージュ3

COCAGE-1 『COCAGE』(以下『コカージュ』)を聴いて,管理人とMALTAの蜜月関係が解消した。

 管理人がこれまでMALTAを支持してきた理由は,MALTAの熱い「ジャズメン魂」を感じていたからだ。しかしMALTAは『コカージュ』で「ジャズメン魂」を悪魔へと売り飛ばしてしまった。「ジャズメン魂」と引き換えに“売れ線”という媚薬を手に入れたのだ。

 『コカージュ』はMALTAの13枚目。『コカージュ』へと行き着くには行き着くなりの“それなり”の理由があった。
 まず大きいのはMALTAが“売れっ子の味”を覚えたことであろう。一度味わうと忘れられない麻薬のような快感。TVで冠番組を持ちCMで自身の曲がガンガン流れている。それがなくなると人間なら誰しも寂しく感じるものなのであろう。
 そして世界のジャズ・シーン。元来,ジャズはスラングである。そこにブランフォード・マルサリスマイルス・デイビスのヒップ・ポップ作が話題となった。「MALTAよ,お前もか…」。

 『コカージュ』の内容,それ自体は良いと思う。ラテン・ヒップ・ポップ・ベースの斬新な音造りは正に時代の最先端であった。
 【ソウル・プレイン】は往年のウキウキ・ソング。トロピカルな【ソンブリラ】。【ラヴァーズ】は名バラードだと思う。

COCAGE-2 では何がそんなに鼻につくのだろう。管理人が悔しいのはMALTAアルト・サックスを置いたことだ。
 【J & B】【オエ・コモ・ヴァ】【イフ・ユー・アスク・ミー・トゥ】【AIR】…。
 あれ程ワンマンにアルト・サックスを吹き鳴らしてきたMALTAアルト・サックスを“味付け”として使用していることだ。

 メインはラップ? シンセ? ラテンのリズム? それ位,アルト・サックスの陰が薄いのだ。そう。『コカージュ』でのMALTAは,アルト・サックス・プレイヤーではなくサウンド・クリエイター。
 コンポーザー,アレンジャー,プロデューサーとして奔走した挙句“自分本来の音”を失ってしまっている。「金に目がくらむ」とはこのことか…。

 すまん。MALTA。管理人は“ストイックにジャズと向き合う”昔の貴方が大好きでした。

  01. J & B
  02. OYE COMO VA
  03. IF YOU ASK ME TO
  04. SOUL PLANE
  05. LAS MUCHACHAS
  06. SOMBRILLA
  07. LOVERS
  08. TRUST (IN WHAT YOU FEEL INSIDE)
  09. COCAGE
  10. AIR II
  11. AIR V (BIG PACIFIC)
  12. BEST FRIENDS (LOVERS)

(ビクター/JVC 1992年発売/VICP-175)
(ライナーノーツ/河原英三)

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市原 ひかり / JOY5

JOY-1 『JOY』とは実にピッタリのネーミングである。『JOY』の真実は『JOY』である。
 上手いとか凄いとか抜きにしてただただ楽しい演奏である。ウキウキ・ワクワク。ジャズを,トランペットを,仲間と演奏する楽しさが素直に伝わってくる。

 そう。表現は悪いが『JOY』の真髄は「吹奏楽ジャズ」。学生時代に舞い戻った市原ひかりの“若さハツラツ”ジャズ
 ジャズメンたちの“笑顔がこぼれる”管理人の超タイプな名盤である。

 【JOY】がいい。【大きな古時計】が来ている。【みつけた2008】での大爆発と【HOME】での哀愁。【スプリングフィールド】の何とも上品でゴージャスなレトロ・サウンド。く〜っ。
 “スター・ソロイスト”市原ひかりフィーチャリングしてみせる“バンマス”村田陽一の名アレンジ。これは日本一の吹奏楽団である。

JOY-2 それにしても市原ひかりは“ドエライ”名曲を書くもんだ。初めて聴いたはずなのに,あの日あの空の下で聴いたことのある,スーッと耳に入って感覚。
 大袈裟に思われると困るのだが,マジで「これからのJ−ジャズスタンダード」として繰り返し演奏されるにふさわしい名曲群。
 その証拠に【MY FUNNY VALENTINE】【MY CHERIE AMOUR】【SUMMER KNOWS】のジャズ・スタンダード・ナンバーをコンパイルしての違和感なしの遜色なし。いいや,名曲3曲を喰ってしまっている! 素ん晴らしい〜!

  01. JOY
  02. 大きな古時計
  03. みつけた2008
  04. Home
  05. スプリングフィールド
  06. My Funny Valentine
  07. My Cherie Amour
  08. Summer Knows
  09.
  10. Beginning
  11. Rub-a-dub

(ポニー・キャニオン/AFTER BEAT 2008年発売/PCCY-60008)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
(ライナーノーツ/都並清史,市原ひかり)

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MALTA / エミッション4

EMISSION-1 『EMISSION』(以下『エミッション』)のMALTAが超カッコイイ。ビートの効いたダンス・チューンをハードボイルドに吹き上げる。ブイブイ・デュコフ〜。あ〜カッコイイ。
 『エミッション』にMALTAの新境地を感じたものだった。

 大好きな『サファイア』の続編を期待して聴き始めた『エミッション』。予想外の展開に面喰ったはずなのに,自分でも不思議なことに“ニンマリ”であった。
 MALTAに「ゴリゴリでブリブリなメタルのアルバム」をいつか制作してほしいと期待していたからであった。しかしそれがこのタイミングで…。『サファイア』の次に持ってくるとは…。
 これでいい! 『マイ・ヒット・アンド・ラン』『サファイア』で“絶好調男”MALTAが『エミッション』で一気に勝負をかけてきた!

 MALTAの全ディスコグラフィの中で『エミッション』は“孤高の存在”である。『エミッション』は,アルバム全体の構成なども全て無視した,とにかく勢い重視,やりたいことをやりたいメンバーを集めて吹き込んだ「熱いセッション集」である。
 ゆえに「羊の皮をかぶった狼」MALTAの本領発揮。暴れん坊の本性が剥き出しである。トータル・サウンドを無視して,これ程サックスを吹き鳴らすMALTAは他のどこにもいないと思う。

 常日頃はバックと調和することを第一としてきたMALTAがバックと戦っている。「俺が王様だ。文句あるのか〜」と言わんばかりの「ハードボイルド・サックス」である。
 『エミッション』はJVCの超豪華なゲスト・プレイヤー参加CDであるが,小曽根真も,佐山雅弘も,村上“PONTA”秀一も,高水健司も,岡沢章も,渡嘉敷佑一も,岩見和彦も,MALTAの勢いに“ブッ飛ばされている”。

( ここで種明かしを。『エミッション批評のイメージは『エミッション』のジャケット写真に秘密があります。下から上から斜めから正面から捉えられた“燃える赤色サックス”がスロー・シャッターで揺れているのです。メラメラ〜。
 そして1曲目の【SKY WALKER】というタイトルが,ルーク・スカイウォーカーを連想させ,ルーク・スカイウォーカーが大好きなドンドン・パチパチ「スター・ ウォーズ」を連想させるのです。)

EMISSION-2 …そういうわけで…。管理人の結論。『エミッション批評

 『エミッション』は,ノープランな“トンガリ系”セッション音源と納得のスタジオ・ワークが“売り”な名盤である。やはりアルバムはジャケット写真も含めた“アート”であってほしいと強く思う。
 称賛すべきは熟考されたであろう曲順の妙。ポップなアップ・チューンの前半と中だるみ防止のバラエティに富んだ中盤。そして最後にトドメの【DAYBREAK】。
 管理人は【DAYBREAK】の“祭りの後の静けさ”を味わうためだけに『エミッション』を聴くことがあります。哀愁の快感。それが『エミッション』に課されたエミッションだったのです!?

  01. SKY WALKER
  02. EMISSION
  03. METEOR SHOWER
  04. MYSTIC SEA
  05. FUTURE TRIP
  06. B-DORO
  07. PRELUDE IN SUMMER
  08. AEOLIAN BLUE
  09. DREAM
  10. DAYBREAK

(ビクター/JVC 1990年発売/VICJ-23)

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MALTA / サファイア5

S・A・P・P・H・I・R・E-1 『S・A・P・P・H・I・R・E』(以下『サファイア』)こそがMALTAの“最高傑作”である。

 なぜなら『サファイア』には,MALTAの中の2人のMALTA,つまり『MALTA』〜『スウィート・マジック』〜『サマー・ドリーミン』のジャズサックス期のMALTAと『スパークリング』〜『ハイ・プレッシャー』〜『オブセッション』のフュージョンサックス期の2人のMALTAが4:6で登場している(4:6の割合なのが実にMALTAらしいのだ!)。

 そう。『サファイア』は,デビュー以来のMALTA自身による総括盤。『マイ・ヒット・アンド・ラン』で頂点を究めたMALTAが『マイ・バラッド』への回帰を思わせてくれる。

 このブレンド作業で産み落とされた3大ミディアム名曲=【サファイア】【シー・ウィンド】【フェイス・トゥ・フェイス】の存在に,管理人の持論=「ジャズフュージョンはミディアムが一番」を再確認できる。

S・A・P・P・H・I・R・E-2 『サファイア』から流れ出す,クールでホットな奥深さを伴う爽やかな風。これがMALTAの音楽である。

  01. SAPPHIRE
  02. LIPSTICK
  03. MOONLIGHT SAILING
  04. SEA WIND
  05. SILKY RAIN
  06. OCEAN VIEW
  07. FACE TO FACE
  08. IT'S COOL
  09. HIBISCUS
  10. LOVER COME BACK TO ME
  11. FIREBIRD
  12. FACE TO FACE II

(ビクター/JVC 1989年発売/VDJ-1205)

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MALTA / マイ・ヒット・アンド・ラン5

MY HIT & RUN-1 MALTAの2枚のベスト“企画”CDMY BALLADS』と『MY HIT & RUN』(以下『マイ・ヒット・アンド・ラン』)。

 同じベスト“企画”CDにして両者の性格はまるで異なっている。ジャズ・サックスの『マイ・バラッド』とフュージョン・サックスの『マイ・ヒット・アンド・ラン』。マイナー&バラードの『マイ・バラッド』とメジャー&GO!GO!な『マイ・ヒット・アンド・ラン』…。

 しかし一番の違いは既存音源集の『マイ・バラッド』と全曲新録音の『マイ・ヒット・アンド・ラン』。しかも『マイ・ヒット・アンド・ラン』は,MALTA特有の明るいノリと抜群のテクニックが堪能できるライブ仕立て。これでバック・メンバーが『ハイ・プレッシャー』か『オブセッション』のレコーディング・メンバーなら最高だけど,ここは急造ではかなわない“阿吽の呼吸”のレギュラー・バンド「MALTA AND HIT & RUN」のコンビネーションを優先したという解釈で…。

 そう。『マイ・ヒット・アンド・ラン』は(【シャイニー・レイディ】【イーブニング・カーム】が入れば完璧だったが)バランス重視の選曲も含めて“考え得る最高条件の”MALTAの音楽人生における「ベスト・オブ・ベスト」盤。( 同企画の変化形『ハーフ・ムーン・ストリート』が「スーパー・ベスト」盤です )

 『マイ・ヒット・アンド・ラン』=「ベスト・オブ・ベスト」盤の元ネタはカシオペアの最高峰『MINT JAMS』。合言葉は「最高のライブ演奏を緻密なスタジオ・ワークで」である。
 ただし『マイ・ヒット・アンド・ラン』のライブ録音は「観客の熱狂的な拍手喝さい」部分のみ。演奏は全てスタジオ差し替え。これはMALTAが悪いのではなくカシオペアが凄すぎたのだ〜。

 そんなこんなで「観客の熱狂的な拍手喝さい」は「セラビーの熱狂的な拍手喝さい」。
 一般的には『マイ・ヒット・アンド・ラン』の聴き所は【ハイ・プレッシャー】〜【スクランブル・アベニュー】〜【ズーム】〜【オブセッション】のキャビンCM4連投だと思うが,管理人が選ぶ『マイ・ヒット・アンド・ラン』のハイライトは,キャビンCM4連投続く5連投目の【モーニング・フライト】!

 【モーニング・フライト】のシンセベースの上を“歌いまくる”MALTAアルトは感動もの! マジで涙がこぼれ落ちます。「どうもありがとう!」のMALTAのMCも涙声に聞こえてしまいます。入り込みすぎて困っちゃうのです。絶賛の嵐&嵐。

MY HIT & RUN-2 …と太鼓を打ち鳴らしたところで…。ここで管理人からMALTA様へお願いがあります。それは【ズーム】に関して。【ズーム】をこのまま眠らせないでほしいのです。

 【ハイ・プレッシャー】【スクランブル・アベニュー】【オブセッション】は今回が2回目の録音です。新曲2曲のうち【ダンシング・メイクス・ユー・スマイル】も『ハーフ・ムーン・ストリート』で再録されました。なのになぜ名曲【ズーム】が【ズーム】だけが…。

 いいや,これではお願い事のスケールが小さすぎる〜。ここは是非是非MALTA大明神様。『大宇宙無限力神』は浪花エキスプレス
 「LIVE APPLAUSE RECORDING」には必ず参戦いたしますので『マイ・ヒット・アンド・ラン 2』の発売を〜。大宇宙無限力神にお参りはしないけど〜。

PS ナニワ・エキスプレスつながりでの追記。『マイ・ヒット・アンド・ラン』を聴くとMALTA岩見和彦を引き抜いた理由がよく分かります。

  01. DANCING MAKES YOU SMILE
  02. SEA EXPRESS II
  03. LUCKY SEVEN II
  04. SWEET MAGIC II
  05. SEXY GALAXY II
  06. MANHATTAN IN BLUE II
  07. HIGH PRESSURE II
  08. SCRAMBLE AVENUE II
  09. ZOOM
  10. OBSESSION II
  11. MORINIG FLIGHT II
  12. SUMMER DREAMIN' III

(ビクター/JVC 1988年発売/VDJ-1176)

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