アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2012年04月

今田 勝 / 誘われてシーサイド4

BLUE MARINE-1 ズバリ,今田勝は「日本のジョー・サンプル」である。
 ただし,この言葉を誤解しないでいただきたい。今田勝フュージョン路線は,完全に『RAINBOW SEEKER』スタイル。ジョー・サンプルの後追いなのであるが,今田勝の個性が強くてジョー・サンプルのコピーの遥か上を行っている。

 そんな今田勝が“似た者”ジョー・サンプルへ捧げたアンチテーゼがある。それが『BLUE MARINE』(以下『誘われてシーサイド』)である。
 『誘われてシーサイド』における,今田勝の「非なる」ジョー・サンプル,が実に興味深い。

 一般に『誘われてシーサイド』は,今田勝が「アイウイットネス」のスティーブ・カーンアンソニー・ジャクソンスティーブ・ジョーダンの3人に,グローバー・ワシントン,JR.トム・ブラウンを迎えて作られた豪華盤で通っているが,管理人的にはウェザー・リポートからマノロ・バドレーナを引っ張ってきた事実にニヤリ。

 そう。今田勝は「アイウイットネス」の凄腕リズム隊に元メンバーのパーカッショニストウェイン・ショータークラスのフロントを組み合わせた,仮想ウェザー・リポート&仮想ジョー・ザビヌルの世界を構築してジョー・サンプルクルセイダーズへ「ア・テ・ツ・ケ」た。ただし結果は「つ・も・り」止まりである。

 残念な理由は今田勝グローバー・ワシントン,JR.の相性の悪さ。グローバー・ワシントン,JR.抜きの【エンジェルフィッシュ】と【スマイル・フォー・ユー】の決定的名演は陽。太陽サンサン。ルンルン・ソング。『RAINBOW SEEKER』を凌いでいる。

 なのにグローバー・ワシントン,JR.が入ると途端に陰。これはグローバー・ワシントン,JR.が悪いのではなくフロントの人選ミス。グローバー・ワシントン,JR.は『WINELIGHT』な秋の人。夏が似合うは夕暮れ時。太陽サンサンは無理な人。『RAINBOW SEEKER』の2番煎じでボツ。

BLUE MARINE-2 いや〜,惜しい。同じサックス奏者ならグローバー・ワシントン,JR.ではなくベニー・モウピンだったのに…。
 クルセイダーズへ「ア・テ・ツ・ケ」るならウェザー・リポートではなくてヘッド・ハンターズジョー・サンプルへのアンチテーゼの役割モデルはジョー・ザビヌルではなくてハービー・ハンコックだったのに…。

 今田勝の「非なる」ジョー・サンプルへのアンチテーゼ。ちょっとは効果があったかな?
 いいや,やっぱり今田勝は,どんなに弾いてもどうもがいても「日本のジョー・サンプル」。『誘われてシーサイド』での今田勝は「頭隠して尻隠さず」だったかな?

 今田勝ジョー・サンプルの“呪縛”を自覚したのか,この2年後に「ナウイン」を結成。そう。ジャズ・ピアニストとしての自分に素直になればフェンダー・ローズで世界進出。小難しく考えないフュージョン路線が待っています。

  01. BLUE MARINE
  02. STREET DANCER
  03. ANGELFISH
  04. SECRET SOUNDS
  05. JUMPIN' DOLPHIN
  06. TROPICAL BUTTERFLY
  07. DEAR LILI
  08. SMILE FOR YOU

(ポリドール/POLYDOR 1982年発売/H32P20065)

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渡辺 香津美 / ロマネスク5

ROMANESQUE-1 『KYLYN』でスタートした渡辺香津美フュージョン路線。1980年代の10年間にリリースしたアルバム11枚はオール・フュージョン。もはや渡辺香津美と来れば“フュージョン・ギタリスト”の代表格として認知されていた。

 そこへ来て,突然の“ジャズ回帰作”『ROMANESQUE』(以下『ロマネスク』)。
 世評的に『ロマネスク』はブーイング。とりわく直近の3作はギター・トリオ。大編成の「KYLYN BAND」からスタートして,ついに3人でも濃密な音楽を奏でる極意を究めたはず。なのに,またなぜビッグ・バンドなのかと。ごもっともである。

 しかし管理人は(渡辺香津美のファンなら)『ロマネスク』の発表に特に驚くことはなかった。むしろ「やっと来たか!」な感じがした。
 ズバリ,渡辺香津美は「生粋のジャズ・ギタリスト」。フュージョンにハマロウとも,バックが何を演ろうとも,心の中にはいつでもジャズスピリッツを感じている。そんな演奏ばかりであった。

 別所哲也が「ハムの人」なら渡辺香津美は「ジャズの人」。1980年代の11枚のお歳暮も「フュージョンのラッピングで包まれた基本ジャズ」の贈り物。あのアドリブもあのバッキングもジャズのフィーリングをまとっていた。
 そう。『ロマネスク』は“ジャズ・ギタリスト渡辺香津美10年間の軌跡。地下で脈々と流れ続けていたジャズスピリッツ10年間の噴火作。これは懐古趣味では決してない。

 事実『ロマネスク』には“伏線”があった。フュージョン真っ只中の活動中に届けられた,渡辺香津美と『ロマネスク』の指揮者=松本治との共演は2回あった。野外ジャズフェスでのステージとFM東京系「サウンド・マーケット」での「渡辺香津美・プレイズ・ジャンゴ」でのレコーディング・セッション
 時期としては『スパイス・オブ・ライフ 2』の発売以降『キロワット』の発売前。そう。渡辺香津美自身の中での順番としては『スパイス・オブ・ライフ 2』〜『キロワット』〜『ロマネスク』ではなく『スパイス・オブ・ライフ 2』〜『ロマネスク』〜『キロワット』。
 このように時系列で眺めてみれば,管理人が熱望した『キロワット 2』が作られなかった理由も見えてくる? 『キロワット 2』はもうあきらめました〜。

 そういう意味ではジャズ寄りの演奏が続いている渡辺香津美であるが,ジャズスピリッツ同様,渡辺香津美の体内ではフュージョンの生き血が脈々と流れ続けている。いつかきっとフュージョンスピリッツの噴火作が聴けるものと期待している。

 さて,そんな渦中の『ロマネスク』。聴き所はアンサンブル。またしてもアンサンブルであって「万年2番手」渡辺香津美の熱演がアクセント。
 決してジャズとは言い切れないジャンゴ・ラインハルトの名曲を松本治が見事に操っていく。そう。松本治が組み立てる「ギター協奏曲」に渡辺香津美が“客演”としてギターを弾いている。ただそれだけのことが,純粋に“ジャズ・ギタリスト”としての役割に徹した渡辺香津美の潔さを際立たせている! く〜っ,これぞ「世界のKAZUMI」な名演である。上手い。

ROMANESQUE-2 渡辺香津美ジャズ・ギターがツボを突いてくる。ジャンゴ・ラインハルトは,こう弾いてほしい,というツボを押してくれる。ゆったりとブルージーな時間の快感。小粋でオシャレでノスタルジックなスイング・ジャズ
 輪廻転生は悪であるが「ジャンゴ・ラインハルトが亡くなったのが1953年。渡辺香津美が生まれたのが1953年」を理由に“自称”「ジャンゴ・ラインハルトの生まれ変わり」な渡辺香津美の面目躍如作。

 管理人の結論。『ロマネスク批評

 『ロマネスク』は渡辺香津美の“ジャズ回帰作”ではなく“ジャズ継続”な“ジャズ加速作”。「万年2番手」なジャズ・ギターのツボ最高峰。ジャズ・ギターの楽しみ方を教えてくれる名盤である。

 最後に『ロマネスク批評の番外編=渡辺香津美の「男を上げる新しい発見」について一言。
 アンサンブルな『ロマネスク』を聴いて渡辺香津美が「万年2番手」な理由が分かった。それは渡辺香津美が実力不足で「2番手」なのではなくギターという楽器の特性が「2番手」向きなだけである。ギターはコード。ギターはリズム。
 2012/4/28現在,アドリブログ主宰「ジャズ/フュージョンの花形楽器とは?」のアンケートでギターが最下位に沈んでいる理由がよ〜く分かる?

  01. TROUBLANT BOLERO
  02. BELLEVILLE
  03. MINOR SWING
  04. STOMPIN' AT THE SAVOY
  05. PRELUDE TO A KISS
  06. BLACK BEAUTY
  07. I DIDN'T KNOW ABOUT YOU
  08. IT DON'T MEAN A THING
  09. SOLITUDE
  10. THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE
  11. CARAVAN
  12. TAKE THE "A" TRAIN
  13. IN A SENTIMENTAL MOOD

(ポリドール/DOMO 1990年発売/HOOP20376)
(ライナーノーツ/渡辺香津美,青木和富)

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渡辺 香津美 / キロワット5

KILOWATT-1 『スパイス・オブ・ライフ』『スパイス・オブ・ライフ 2』ときた渡辺香津美ギター・トリオ第3弾が『KILOWATT』(以下『キロワット』)。

 しかし『キロワット』ではメンバーが一新され,ベースジェフ・バーリンからバーニー・ブルネルへ,ドラムビル・ブラッフォードからジョン・ワッカーマンへと交代した。サウンドの傾向としては『スパイス・オブ・ライフ 2』の続編っぽいのだが,いや〜,どうしてどうして。メンバーの違いでサウンドが激変!
 ネーム・リューでは少々劣るがテクニックはほぼ互角。ワイルドなイメージがあったジェフ・バーリンビル・ブラッフォード組の硬いサウンドから,バーニー・ブルネルジョン・ワッカーマン組の何ともエレガントで柔軟な対応力へと大変貌! これぞギター・トリオの“奥深さ”であろう。

 バーニー・ブルネルフレットレス・ベースを弾くせいなのか,それともジョン・ワッカーマンが電気ドラムを叩いたせいか知らないが,とにかく明るい! とにかく軽快!
 超絶重低音から超絶低音へと乗り換えた渡辺香津美ギター・シンセが,前へ前へと突き進む。全体の印象としては『ト・チ・カ』の頃の瑞々しさに溢れた感じ。これはいい。

 そう。「ギター・ヒーロー」渡辺香津美が『スパイス・オブ・ライフ』→『スパイス・オブ・ライフ 2』で目指した音は『スパイス・オブ・ライフ 2』では到達せずに『キロワット』で結実したと思っている。ゆえに管理人の中で『キロワット』は,別名『スパイス・オブ・ライフ 3』なのである。

 思うに『キロワット』は渡辺香津美の自信作。だって『KILOWATT』のジャケットに浮かぶ『KW』の文字は渡辺香津美のイニシャル『KW』。「これぞ自分の音」の自己紹介。
 “理想のギター・トリオ”の完成に加えてビッグ・ゲスト3人入り! ビル・ブラッフォードつながり?でキーボードパトリック・モラーツ,そして何と!元ウェザー・リポートからサックスウェイン・ショーターパーカッションアレックス・アクーニャ。やっぱりショーターはハズサナイよなぁ。
 ズバリ,この陣営は渡辺香津美“理想のギター・カルテット”を名乗っても申し分ない。カズミ・バンドと甲乙付け難い。でも…。

KILOWATT-2 「ねえ,神様,教えて〜。『スパイス・オブ・ライフ』には『スパイス・オブ・ライフ 2』があるのに,どうして『キロワット』には『キロワット 2』がないの?」ってな感じでメルヘンの一つもしたくなる,渡辺香津美の新・ギター・トリオなのです。
 この質問に対する神様からの回答は聞かなくても分かります。「それはねぇ。『キロワット』が『スパイス・オブ・ライフ』の時のように売れなかったからだよ」。ちゃんちゃん。

 名盤の拳を振り上げてしまったのに世間的にはサッパリ盤。OH!NO! この後,渡辺香津美と管理人は一体どうすればいいんだ? ねえねえ,教えて神様〜。

  01. 1000 Mega
  02. Capri
  03. No One
  04. Jive
  05. Papyrus
  06. Sunspin
  07. Pretty Soon
  08. Bernard
  09. Dolphin Dance
  10. Good Night Machines

(ポリドール/DOMO 1989年発売/HOOP20348)

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渡辺 香津美 / スパイス・オブ・ライフ 25

THE SPICE OF LIFE 2-1 ズバリ『スパイス・オブ・ライフ』と『THE SPICE OF LIFE 2』(以下『スパイス・オブ・ライフ 2』の2枚のアルバムは渡辺香津美のアルバムにして「非・渡辺香津美な」アルバムである。
 そう。「マニアックなジャズ・ギタリスト気質」の抜けた,広く大衆へアピールすることを意識したジャズ・ロック。ロックのスピリッツジャズ即興演奏で奏でられた美メロの玉手箱なのだ。

 そんな『スパイス・オブ・ライフ』の続編である『スパイス・オブ・ライフ 2』の製作意図は“夢のギター・トリオ・リターンズ”ではない。大ヒット記念の「2匹目のドジョウ」ではない。『スパイス・オブ・ライフ 2』の製作意図は“夢のギター・トリオ・リベンジ”なのである。

 『スパイス・オブ・ライフ』は渡辺香津美の狙い通りにプログレ・ファンを取り込む大好評。それはそれで大成功。しか〜し,渡辺香津美が広く大衆へアピールしようと思った動機は“己のギター・シンセサイザー”!
 その意味で『スパイス・オブ・ライフ』は不発。プログレ畑で渡辺香津美の評価は上がったが,同様にジャズフュージョン畑ではビル・ブラッフォードの評価がウナギノボリ! あれ〜,またしても気付けば「バンド内2番手」?
 当世NO.1のビル・ブラッフォードジェフ・バーリンのリズム隊を「踏み台」にするはずが,逆に「踏み台」にされている? よっしゃ〜,リベンジだ〜。今度は“サポート・キーボードピーター・ヴェテッシを掌握して臨む「真の格闘技セッション」第2章〜。

 結果『スパイス・オブ・ライフ』では3人の力関係が拮抗していたが『スパイス・オブ・ライフ 2』では見事にビル・ブラッフォードジェフ・バーリンの“頭を押さえている”。コード・ワークはピーター・ヴェテッシに任せ,ひたすら“己のギター・シンセサイザー”を歌わせる。「ギター・ヒーロー」渡辺香津美ここに有り〜!
 殊に【アンドレ】【スモール・ワンダー】が超・超・カッコイイ!

 そう。『スパイス・オブ・ライフ 2』は“夢のギター・トリオ”が夢の途中で解体した「渡辺香津美・ウィズ・ビル・ブラッフォードジェフ・バーリン+サポート・キーボード」。
 渡辺香津美ギター・シンセが前面に出すぎたために,ビル・ブラッフォードジェフ・バーリンがこじんまり。リズム隊も結構複雑なことを演ってる割りには,なぜだか地味に聴こえてしまう。
 ギター・トリオ特有の,抑揚の振れ幅が小さいというか,破天荒な感じが無く,妙に小奇麗にまとまって感アリアリ。ジャズ・ロックであるがゆえ「ワクワク」「ドキドキ」「トキメキ」が希薄。うん。いい音楽なんだけど…。

THE SPICE OF LIFE 2-2 管理人の結論。『スパイス・オブ・ライフ 2批評

 「プログレ界のドン」ビル・ブラッフォードを“自分色に染め上げた”「スーパー・ギタリスト」としてのプライドを取り戻した渡辺香津美は『スパイス・オブ・ライフ』よりも『スパイス・オブ・ライフ 2』の完成に思い入れがあるように思うが,管理人的には「容赦なしのぶつかり合いで」完成した『スパイス・オブ・ライフ』の方が好みだなぁ。

 (ここからはおまけ)渡辺香津美の「その人?」批評
 渡辺香津美の最大の魅力は「ソロで飛び出す瞬発力」! 【マイルストーン】【風連】しかり,渡辺香津美というギタリストは,常時前に出続けるマラソン走者ではなく“一発KO型”短距離走者の特性に格別な才能を見い出せる。
 その意味で惜しむべきはマイルス・デイビス。もしあの時,マイルスの誘いに応じていたなら,今でもジョン・スコフィードの地位にはいたであろうに…。「世界のWATANABE」と来ればあの渡辺貞夫を引き離し「KAZUMI」一人を指すようになっていたであろうに…。無論,マイ・フェイバリットナベサダは偉大です〜。

  01. ANDRE
  02. WE PLANET
  03. FU BU KI
  04. RAIN
  05. SMALL WONDER
  06. CONCRETE COW
  07. KAIMON
  08. MEN AND ANGELS

(ポリドール/DOMO 1988年発売/UCCJ-9096)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/成田正)

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渡辺 香津美 / スパイス・オブ・ライフ5

THE SPICE OF LIFE-1 ズバリ『THE SPICE OF LIFE』(以下『スパイス・オブ・ライフ』)と『スパイス・オブ・ライフ 2』の2枚のアルバムは渡辺香津美のアルバムにして「非・渡辺香津美な」アルバムである。

 『スパイス・オブ・ライフ』以前の渡辺香津美は,常に時代の最先端,もっと言えば時代のかなり先を走っていた。要は前衛指向のギタリスト。そんな渡辺香津美が初めて「時代とバイブレーション(←古い)」している。
 繰り返すが,この全ては「時代が渡辺香津美に追いついてきた」のではない。敢えて渡辺香津美が「時代の中心に舞い降りてきた」結果である。これが『スパイス・オブ・ライフ』での“夢のギター・トリオ”の誕生秘話であろう。大袈裟に語れば,時代が渡辺香津美に「プログレ界のドン」ビル・ブラッフォードジェフ・バーリンとの共演を“求めた”結果である。

 渡辺香津美にとってビル・ブラッフォードと「同時代バイブレーション」できたのは何とも幸運なことだったと思う。しかもビル・ブラッフォードが“泣く子も黙る”超大物で,プログレ以外にジャズもできて,ジェフ・バーリンとのコンビもチリバツで。
 渡辺香津美自身としても,もはや“世界のKAZUMI”となり,お世辞抜きにギター・シンセ弾きの第一人者の名声獲得。ギター・シンセという強烈な武器が渡辺香津美に「ここは山から世に降りて,いっちょ,大暴れしてやろうか」と思わせた? そう。『スパイス・オブ・ライフ』の渡辺香津美は完全なる「ギター・ヒーロー」としての登場だったのだ。

 勿論『スパイス・オブ・ライフ』以前の渡辺香津美も「ギター・ヒーロー」であった。しかし実際には,ギター小僧の大半は野呂一生を,あるいは高中正義をコピーした。理由は単純に渡辺香津美ギターよりも野呂一生高中正義の弾くギターの方がカッコよかったからだ。

 そして渡辺香津美には失礼な話で申し訳ないが,渡辺香津美CDを聴く目的は渡辺香津美ではなかったりする。
 「KYLYN BAND」での坂本龍一矢野顕子小原礼村上“ポンタ”秀一ペッカー向井滋春本多俊之益田幹夫高橋ユキヒロ伊東毅
 「KAZUMI BAND」での笹路正徳清水靖晃ベース高水健司山木秀夫
 「MOBO」におけるロビー・シェイクスピアスライ・ダンバーマーカス・ミラーオマー・ハキムスティーブ・ジューダンマイケル・ブレッカーケイ赤城橋本一子グレッグ・リー渡辺建仙波清彦坂田明梅津和時青山純デヴィッド・サンボーン…。
 特に『MOBO』における渡辺香津美のスポットライトは名バッキング。渡辺香津美のリーダー作を購入する時,いつも心のどこかに別のお目当てがいて,そのお目当てのサイドメンの名演を期待する自分がいた。

 しかし時代はギター・シンセ渡辺香津美ギター・シンセ野呂一生高中正義よりカッコよい。他の共演者の誰でもなく,間違いなく渡辺香津美ギター・シンセを聴こうと思った。

THE SPICE OF LIFE-2 ここに渡辺香津美の歴史がある。
 表向きは“天才”と讃えられるもバンドでの指定席は「万年2番手」。そんな苦汁を「KYLYN BAND」〜「KAZUMI BAND」〜「MOBO」で味わってきた。
 だからこそ,今だからこそ“夢のギター・トリオ”。『スパイス・オブ・ライフ』での共演者はビッグであればビッグである方が良い。それゆえ「プログレ界のドン」ビル・ブラッフォードジェフ・バーリン。今度こそ「真の格闘技セッション」の開幕なのだ。

 当世NO.1のビル・ブラッフォードジェフ・バーリンのリズム隊を「踏み台?」として“自ら時代に寄りかかった”渡辺香津美ギター・シンセの何と彩り豊かなことだろう。「手を替え品を替え」フロントを一人で受け持っている。
 『スパイス・オブ・ライフ』は「KAZUMI BAND」でプログレ・フュージョンを経験し「MOBO」でギター・フュージョンを経験した渡辺香津美の考えるジャズ・ロック
 そう。『スパイス・オブ・ライフ』は,ロックのスピリッツジャズ即興演奏で奏でられた美メロの玉手箱なのだ。だ・か・ら・「非・渡辺香津美な」アルバム。でしょ?

 ジャズフュージョン・ファンよりもプログレ・ファンに支持された『スパイス・オブ・ライフ』。演奏・楽曲ともに最高にど真ん中な5ツ星。文句なしの大名盤
 ただし,時代の流行ど真ん中すぎて,昔大興奮→今となっては古臭い。『スパイス・オブ・ライフ』での「同時代バイブレーション」は賞味期限が短かったかなぁ。スルメ盤ではなかったなぁ。

  01. MELANCHO
  02. HIPER K
  03. CITY
  04. PERIOD
  05. UNT
  06. NA STAROVIA
  07. LIM-POO
  08. J.F.K.
  09. RAGE IN

(ポリドール/DOMO 1987年発売/UCCJ-9095)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/成田正)

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渡辺 香津美 / MOBO5

MOBO-1 時代の遥か先を行く音楽。『MOBO』には渡辺香津美の「狂気の才能」が記録されている。
 渡辺香津美の『MOBO』の衝撃度は,オーネット・コールマンの『FREE JAZZ』にひけをとらない。

 そう。『MOBO』と『FREE JAZZ』の“売り”とは,ツイン・ベースツイン・ドラム
 このフォーマットを採用したジャズメンはゴマンといるが,永遠のジャズ史に記録されるツイン・ベースツイン・ドラムの「猛獣使い」はオーネット・コールマン渡辺香津美の2人だけなのである。

 『MOBO』のツイン・ベースツイン・ドラムのメンバーは,大御所=スライ&ロビーベーシストロビー・シェイクスピアドラマースライ・ダンバー,そして当時は売り出し中,今や超大御所,ベーシストマーカス・ミラードラマーオマー・ハキム
 ジャマイカ隊とニューヨーク隊。この性格の異なる2つの超重量級リズム隊を渡辺香津美が好き勝手にハベラセテいる。

 4人全員が凄いのだがマーカス・ミラー命の管理人としては,これ程ベースを“弾きまくる”マーカス・ミラーはそう聴けやしない。マーカス・ミラーのリーダー作『THE SUN DON’T LIE』を除いてはマイルス・デイビスSTAR PEOPLE』ぐらいなもの。マーカス・フリーク必聴なチョッパー大収録。

 いいや,マーカス・ミラーがスパークすればするほど,逆にロビー・シェイクスピアの一糸乱れぬベースの音にかぶりつく。マーカス・ミラーロビーが隣りにいたからこそ(安心して)ここまで「大暴れの完全燃焼」できたのだろう。凄まじい。恐ろしい。

 その一方で,渡辺香津美ギター・シンセは超クール。彼らに連られてワッと行きそうな瞬間でも溜めている。必ずしも轟音弾きまくりではなく,悟りを開いた禅師のようなギター・フュージョンが展開されている。この名司令塔ぶりが「オーネット・コールマンか,渡辺香津美か」の真意なのである。
 そう。『MOBO』における渡辺香津美ギター・シンセの露出度は抑え目。管理人が『MOBO』で開眼した渡辺香津美の「狂気の才能」。それがバッキングである。

 『MOBO』には渡辺香津美のバッキングが幾重にも重ね録りされている。渡辺香津美のバッキングが4人のリズム隊を自分のフィールドへと誘い出す。しっかりと自分の土俵上で4人のリズム隊を囲み込んでいる。
 自分の空間で駆け巡る渡辺香津美ギター・シンセの何と饒舌なことだろう。美しい。サウンドの輪郭がとにかく硬くて鋭くて,手で触ると切れてしまいそうなぐらいにシャープなアドリブ。そう。渡辺香津美のリリカルな面とアヴァンギャルドな面がバッキングを軸として見事に表現されている。

 この渡辺香津美のバッキングの才能は坂本龍一矢野顕子が“陰の主役”だった「KYLYN BAND」時代の所産である。
 そして切れ味鋭いアドリブは「KAZUMI BAND」譲り。この点の音楽変遷の過程もオーネット・コールマンを想起させる…。

MOBO-2 そう。オーネット・コールマン渡辺香津美の作り出した,時代の遥か先を行く音楽。『MOBO』のような“成熟した音楽”は一朝一夕では生まれない。多くの場合,アイディアはあっても音として具現化すると「やれ難解だ,頭でっかちだ」と批判されて終わりであろう。

 『MOBO』のような成功例は稀有。ジャズ・ジャーナリズムの言い掛かり?に耐え抜き,今も聴く者を興奮のルツボに陥れる。今の耳で聴いても新鮮な驚きがあり,新しい衝撃が襲ってくる。要は「モダン」なのだろう。

 「モダン」。それこそ『MOBO』のキーワード。聞けば『MOBO』とは大正時代のモダン・ボーイのことだそうだ。そう言われると青写真のギター・ケースを開いたらとんでもない楽曲が飛び出してくる? “凛とした佇まい”の渡辺香津美ジャケット写真が“古くて新しい”『MOBO』の全てを物語っているようでして…。

 さて,時代は大正(モダン・ボーイ)〜昭和(『MOBOセッション)〜平成となって『MOBO』来襲の大事件。『MOBO』がCD化されるにあたって「完全オリジナル版」へと生まれ変わりました。
 LPでは収録時間の都合でカットされていたオリジナル演奏を完全収録。(かつて『MOBO』を所有していた人もこれから『MOBO』を聴こうとする人も)『MOBO』の“全貌”を「完全オリジナル版」で聴いてみてくださ〜い。

PS でもどうせ「完全オリジナル版」に再編集するのなら,短めにカットされた曲の演奏時間を元に戻すより,没テイク扱いの?【MOBO#4】を加えてほしかったなぁ。

  DISC 1
  01. SHANG-HI (MOBO#1)
  02. YATOKESA (MOBO#3)
  03. ALICIA
  04. VOYAGE
  05. HALF BLOOD
  06. YENSHU TUBAME GAESHI

  DISC 2
  01. AMERICAN SHORT HAIR
  02. MOBO#2
  03. WALK, DON'T RUN
  04. ALL BEETS ARE COMING (MOBO#5)

(ポリドール/DOMO 1983年発売/POCJ-2426/7)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/渡辺香津美,串田和美)

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渡辺 香津美 KAZUMI BAND / ガネシア5

GANAESIA-1 日本のプログレ・フュージョンプリズムではない。カズミ・バンドである。その答えが『GANAESIA』(以下『ガネシア』)にある。

 カズミ・バンドとは,NYの精鋭を起用した『ト・チ・カ』の日本人バンド・ヴァージョン。メンバーはギター渡辺香津美に,キーボード笹路正徳テナー・サックス清水靖晃ベース高水健司ドラム山木秀夫
 そう。カズミ・バンドの真実は渡辺香津美マライアマライアの面々が放つ吹き矢が渡辺香津美のハートを射抜き,渡辺香津美の全身に毒が回っている。そう思わざるを得ない位に,ハーモニーに心酔しのたうち回ったアドリブ・ラッシュの渡辺香津美“一世一代の”大名演

 カズミ・バンドを経験し,もはや毒なしでは演奏できない体になってしまった渡辺香津美。続くMOBOビル・ブラッフォードレゾナンス・ヴォックスアコースティックやらストリングスやらクラシックやらの“自滅の人生”は,カズミ・バンドを超える“毒探しの旅”に思える。
 今の渡辺香津美に必要なのは毒である。答えは明白=カズミ・バンドの再結成だと思うのだが…。

 いいや,今の渡辺香津美に必要なのは猛毒である。答えは明白=「世界のプログレ・ドラマービル・ブラッフォード・リターンズ(仮想でOK)であろう。
 『ガネシア』で花開いた「バカテク・変態・変拍子」こそビル・ブラッフォードの代名詞。カズミ・バンドが5人がかりで「世界のプログレ・ドラマー」と対峙している。そのようにして日本のプログレ・フュージョンが誕生した。
 ドラマー山木秀夫が強烈な甲高いスネアのリズムで打ち抜いてゆくのは勿論だが,渡辺香津美のディストーションなギター・サウンドと他の3人の重心が下がった音造り。そう。カズミ・バンドの各人が考える,5人5流のビル・ブラッフォード・ライクなプログレ・フュージョン

GANAESIA-2 ここまで読んで,なぜ『ガネシア』なのか? ビル・ブラッフォードなら『スパイス・オブ・ライフ』だろうし,ギター・フュージョンの過激さなら『MOBO』という手もある。
 確かにその通り。しかし管理人には『ガネシア』なのだ。『ガネシア』の魅力は“熟れる寸前の”魅力。実験作なのに完成されている。完成されているのにまだまだ頂上を探っている。

 一音たりとも聴き逃せない超硬派な【リボージ】。泣きの【ムーン・ドロップス】。人を喰ったかのような【カゴのニュアンス】。
 この振り幅は要するに過渡期。『ガネシア』前・『ガネシア』後がない唯一無二のプログレ・フュージョン。混沌と整然が絶妙に同居する抽象性。適当にやったはずが全てピシャリ。この快感は他に類例がない。

 管理人の結論! 『ガネシア』こそ,渡辺香津美J−フュージョンの飛び抜けた大傑作である!

PS 『ガネシア』の先進性は音楽だけではありません。色違いのジャケット3種類はジャニーズ・ハロプロ・AKB商法の元祖でした。

  01. RIBOJ
  02. RETURN OF THE BOLIVIAN SOONG SOONG MAN
  03. GANAESIA
  04. MOON DROPS
  05. RACOON ROLL
  06. MOENEGA
  07. JAZOO
  08. カゴのニュアンス

(ポリドール/DOMO 1982年発売/POCJ-2425)

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渡辺 香津美 / KYLYN LIVE4

KYLYN LIVE-1 ジャズの真髄はライブゆえ“伝説のライブ”と呼ばれるライブ盤はごまんとある。マイルス・デイビス絡みだけでも数十枚あるという事実。少々,乱発気味!?

 真に一夜のライブが“伝説のライブ”であるためには,必要十分条件が揃っていなければならない。管理人が思う必要十分条件。それは一期一会のメンバーの豪華さとその夜のライブが後のターニング・ポイントに数えられること。

 その点で,チャーリー・パーカーディジー・ガレスビーバド・パウエルチャールス・ミンガスマックス・ローチの「モダンジャズジャイアントの再会セッション」『ジャズ・アット・マッセイ・ホール』や,アート・ブレイキークリフォード・ブラウンルー・ドナルドソンホレス・シルヴァーカーリー・ラッセルの「ハード・バップの夜明けを告げる」『バードランドの夜』は文句なし。

 ではJ−ジャズフュージョンにおける“伝説のライブ”の筆頭格『KYLYN LIVE』はどうだろう?
 管理人の答えはNO。一期一会の豪華メンバーは認めるが『KYLYN LIVE』は“お祭り”盤に過ぎない。

 1970年代後半の日本のフュージョン黎明期はフュージョン・バンドのギタリストがリードしていた。プリズム和田アキラカシオペア野呂一生ザ・スクェア安藤まさひろ…。
 すでに“天才ジャズ・ギタリスト”としての名声を得ていた渡辺香津美に,世のフュージョン・ブームの荒波が押し寄せてきた。渡辺香津美にも「フュージョン・バンドのギタリスト」の座を…。

 こうして結成された渡辺香津美率いる「KYLYN BAND」は超豪華メンバー。
 ギター渡辺香津美キーボード坂本龍一キーボードヴォーカル矢野顕子ベース小原礼ドラム村上“ポンタ”秀一パーカッションペッカートロンボーン向井滋春アルト・サックスソプラノ・サックス本多俊之テナー・サックス清水靖晃からなる9人編成。(加えてゲスト参加でキーボード益田幹夫ドラム高橋ユキヒロテナー・サックス高橋知己アルト・サックス伊東毅(なんと!)のクレジット有り)。

 「KYLYN BAND」の特長は,渡辺香津美坂本龍一という2本の縦糸に,当時の日本のトップ・プレイヤーが横糸を絡めて織り成す「新しいジャズフュージョン」。目指すしたのは「クリエイティブ度の高い洗練されたインスト」である。

 「KYLYN BAND」の主導権は坂本龍一が担っている。坂本龍一が先頭に立って“フュージョン・ギタリスト”としての渡辺香津美フィーチャリングしている。
 ゆえに渡辺香津美がリードできない「KYLYN BAND」は,和田アキラ野呂一生安藤まさひろフュージョン・バンドとは異なっている。メンバー構成を見ても松岡直也の「ウィシング」の渡辺香津美版だと言い切ってよい。

 そう。「KYLYN BAND」の真実は,日本の一流どころを上手にまとめた非ジャズフュージョン! 『KYLYN LIVE』のハイライトは「フィーチャリング矢野顕子」な【リヴァー・マスト・フロウ】【在広東少年】【アイル・ビー・ゼア】!
 ズバリ「KYLYN BAND」の“陰の主役”は坂本龍一矢野顕子の元ご夫婦だと思っている。
 
KYLYN LIVE-2 事実『KYLYN LIVE』での渡辺香津美フュージョン・ギタリスト。素晴らしいプレイヤーの一人として神業級のアドリブを披露し坂本龍一矢野顕子の“音のピース役”を務めている。
 「火の出るような」アドリブとは【マイルストーン】での渡辺香津美の“ブチギレ”のことである。超・超カッコイイ〜!

 そう。管理人が渡辺香津美に苦言を呈したのは,プリズムカシオペアザ・スクェア等との“フュージョン・バンドとしての完成度”の話であって「KYLYN BAND」の音楽性はいいですよ。

 管理人以外は“伝説のライブ”と呼んでいるわけですし「KYLYN BAND」の没リーダーシップの失敗があってこその「KAZUMI BAND」での大成功が待っていたわけですし…。

 最後に『KYLYN LIVE』を聴いた直後に管理人がいつも思うこと。「坂本龍一矢野顕子があのままフュージョン路線を走っていたならなぁ〜」。

  DISC 1
  01. INNER WIND
  02. SNAP DRAGON
  03. MILKY SHADE
  04. MILESTONES

  DISC 2
  01. THE RIVER MUST FLOW
  02. 在広東少年
  03. I'LL BE THERE
  04. BLACKSTONE
  05. WALK TAIL

(ベター・デイズ/BETTER DAYS 1979年発売/COCB-53334-5)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/松下佳男)
(紙ジャケット仕様)

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山中 千尋 / レミニセンス4

REMINISCENCE-1 『REMINISCENCE』(以下『レミニセンス』)は山中千尋による「震災復興応援盤」。ここを押さえておかねばならない。

 『レミニセンス』とは「追憶」の意。山中千尋も震災復興へのチャリティー・ライブを行なっていたが,そんな特別な機会に「みんなが知っている曲のアレンジも聴きたい」というリクエスト有。その要望に応えるべく制作されたのが『レミニセンス』のモチベーションであった。
 誰もが口ずさめる有名曲を“名アレンジャー”山中千尋の編曲で聴かせるジャズ・ピアノ。余分な装飾を削ぎ落とした名アレンジばかりであるが“万人の耳をくすぐるべく”サビは原曲通りに弾き上げている。狙い通りに,懐かしさと新鮮さが同居している。
 
 そう。『レミニセンス』の真実は山中千尋の「メジャー押し」。ゆえに『レミニセンス』は,従来の山中千尋ファンにとってはいつもの個性が薄い「迷盤」だと思う。こんなに「清々しい」山中千尋は『ラッハ・ドッホ・マール』以来かな。

 さて,このように書くと駄盤の評価とお思いでしょうが,実は『レミニセンス』が管理人のツボに入ってしまった。
( 特に『レミニセンス』での唯一のオリジナル曲【レイン,レイン・アンド・レイン】。本当は【レイン,レイン・アンド・レイン】について多く記したいのだけれど,これを書き連ねだすとカヴァー曲絶賛の本論と相容れなくなるので省略の巻き。詳細は【レイン,レイン・アンド・レイン】のトラック批評をカミング・スーン )

 永遠のカヴァー曲。永遠の美メロを丁寧に山中千尋ジャズの言葉で“歌っている”。永遠の美メロをピアノ・トリオの“濃密な演奏”で堪能できる。とにかく明るい“陽の当たる”「震災復興応援」ジャズ・ピアノ
 以前のようなアグレッシブさは影を潜めている。がむしゃらに疾走するだけではない“一音入魂”的なピアノの響きが美しい。選び抜いた音使いに山中千尋の確たる自信のようなものが感じられる。

 『レミニセンス』のキャッチ・コピー。それは「千尋のこれまで,そしてこれから」。
「<音楽活動10周年>ジャズ,ソウル,ポップス,ブラジル,そしてオリジナル曲・・・。
あらゆるジャンルを軽々と横断するチヒロミュージックの総決算。『グルーヴの帝王』バーナード・パーディードラムスに迎えたトラックを含む『コンテンポラリー・スタンダード』集」。

 そうか。そうなんだ。『レミニセンス』は「日本人の追憶」にして「山中千尋自身の追憶」なのだ。自分好みのメロディを自分好みのフィルターを通してピアノに歌わせている。これぞジャズの醍醐味を伝える正攻法。確たる自信に溢れる名演なはずである。
 そう。『レミニセンス』は山中千尋デビュー10周年の総決算! ちーたんはここまで登りつめることができました!

 『レミニセンス』の聴き所は“ジャズ・ピアノ山中千尋! 山中千尋の音使いの解釈とテクニックに驚嘆する!
 無駄なアドリブはない。オンタイムのノリとアコースティック・ピアノの後ろで重ねたローズ・ピアノのキラキラ感。『レミニセンス』の構成美は恐らく設計図通りであるはず。それなのに鮮度を強く感じてしまうのだからた・ま・ら・な・い。うんうん。いい演奏である。久しぶりのラリー・グレナディア〜。

REMINISCENCE-2 さて,ここからは管理人の余興で『レミニセンス』とは「追憶」の意パート供
 いつもの変人奇人チックな山中千尋がここまで正攻法を貫けた理由は,最近の文筆業における「ガス抜き」が大きいと勘ぐる。読者の皆さんも興味があったら一度,彼女の某ジャズ誌への連載エッセイを読んでみてください。
 「ろひちかなまや」を読んでいる方なら衝撃は小さいと思いますが,公の雑誌でここまで毒舌を吐きまくる美人はそうはいません。ちーたんの自由奔放な文章力は,かつて澤野工房時代に弾いていたピアノをペンに持ち替えたかのような攻撃力。目指せ!第二の山下洋輔。ちゃんちゃん。

 さてさてワンモア。『レミニセンス』とは「追憶」の意パート掘
 ジャズ界のアイドルと言えば小林香織であろうが,いつもの変人奇人チックな山中千尋がここまで正攻法を貫けた理由は,最近のアイドル業における「ガス抜き」が大きいと勘ぐる。
 『レミニセンス』でのアイドル業=3TYPEのCDジャケット。見て。見て。見て。

PS 管理人は3TYPEの中で1番タイプのジャケット写真「【初回限定盤】SHM−CD+DVD」を購入しました。内ジャケの青スカート最高最強ちーたん! いいや,購入のお目当ては「特典DVD」。いつも単品DVD並みのハイ・クオリティなので…。で,見終わって一言「SACD盤にしとけばよかった〜」。後悔すべき低俗内容。もうユニバーサルは信じません。

  DISC 1 CD
  01. Rain, Rain And Rain
  02. Soul Searchin
  03. (They Long To Be) Close To You
  04. Dead Meat
  05. Ele E Ela
  06. This Masquerade
  07. She Did It Again
  08. You've Got A Friend / Central Park West
  09. La Samba des Prophetes
  10. Can't Take My Eyes Off Of You

  DISC 2 DVD
  01. Liebesleid

(ヴァーヴ/VERVE 2011年発売/UCCJ-9124)
★【初回限定盤】 SHM−CD+DVD
★【ボーナスコンテンツ】山中千尋フォト・アルバム

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山中 千尋 / ブラヴォーグ5

BRAVOGUE-1 ズバリ書こう。山中千尋の最高傑作は『BRAVOGUE』(以下『ブラヴォーグ』)である。

 『ブラヴォーグ』での山中千尋は,言わばオーソドックスに徹した“大人のジャズ・ピアニスト”。管理人は『ブラヴォーグ』での「正統派路線」を産み落としたという理由で,前作『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』を評価したい。
 ところで『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』でお蔵となったボツ企画って何だったのだろう? 気になる〜。仮にそのボツ企画でレコーディングが進んでいたら『ブラヴォーグ』は聴けなかったでしょうね? オスカー・ピーターソンさまさまです。ちーたん・ファンを代表してオスカー・ピーターソンへ感謝です。オスカーは亡くなっても真に偉大です。

 さて,山中千尋の個性とは,本人はいたって真面目に演奏しているだけなのに,あれよあれよとぶっ飛んでいく。平均的に壊れている。その壊れっぷりが四方八方破れかぶれだから強烈な一点が目立たない。ゆえに管理人は山中千尋を「オール4」なオールラウンダーと呼んでいる。
 そんな山中千尋が,いつもの変態チックな個性を意識的に抑えている。自分にブレーキをかけてまで聴かせる,模範的で教科書通りのジャズ・ピアノが美しい。アドリブを含めて全体を綺麗にまとめ上げている。自分の内で感じる欲望や衝動を90%コントロールできている。ゆえに“大人のジャズ・ピアニスト”なのである( ← 残り10%は【AQUARIAN MELODY】での高音キーの乱れ打ち。もうやめてくれ〜。山中千尋のブラック・エンジェルが顔を出しています )。

 『ブラヴォーグ』の成功の秘訣が2つある。1つは「縛り」である。元来ちーたんは自由人。しかもセルフ・プロデュースだからやりたい放題。前作『アフター・アワーズ〜オスカー・ピーターソンへのオマージュ』は,正しくは『アフター・アワーズ〜エディ・ヒギンズへのオマージュ』であって,オスカー・ピーターソンジャズ・スタンダード「縛り」のように思えて,実際はそうではなかった。
 今回の『ブラヴォーグ』は抑制美&エリス・レジーナ「縛り」。【AQUARIAN MELODY】【A TIME FOR LOVE】【VOU DEITAR E ROLAR】はエリス・レジーナのおはこである。『ブラヴォーグ』にサブタイトルがあるとすれば『ブラヴォーグ〜エリス・レジーナへのオマージュ』。
 元来ちーたんはS。自らの意思で選んだM。初体験の「縛り」が山中千尋に本気で“大人のジャズ・ピアノ”を追求させている。
 例えば『アビス』での電化はフュージョンを感じたが『ブラヴォーグ』での電化はジャズそのもの。これはチャレンジではない。冒険でもない。ストイックさの表われだと思う。

 『ブラヴォーグ』成功の2番目の秘訣は「ジーン・ジャクソン」である。山中千尋のような「アンサンブル指向」のジャズメンには,覚醒させてくれる共演者が必要である。
 その点,ドラムジーン・ジャクソンは「アンサンブル指向」の家元=ハービー・ハンコック家の出身。山中千尋ハービー・ハンコックに見立てて,概ね,感性任せのピアノを時に優しくサポートし時に激しくリードしている。ハービーのファンをも囲い込まんばかりの心憎い演出付き。ハードにスイングする華麗なる変拍子。いい。相性チリバツである。

BRAVOGUE-2 管理人の結論。『ブラヴォーグ批評

 山中千尋の2大名盤アビス』が攻めなら『ブラヴォーグ』は受け。
 『ブラヴォーグ』は「安心して耳を傾けられる」スルメ盤である。いつものほんわかそのままに,自身で設定した裏テーマの統一感とまとまりに“大人のジャズ・ピアニスト山中千尋を再発見した思いである。

 管理人の愛する山中千尋は澤野工房時代の“ブッ飛び系”であるのだが,その点を踏まえても『ブラヴォーグ』の優位は揺るがない。“鍵盤鍵盤ブッ叩き”からの淑女への高低さ耳キーン。
 『ブラヴォーグ』が山中千尋の最初の一枚にふさわしく『ブラヴォーグ』が山中千尋の最後の一枚にふさわしい。最高傑作認定盤。山中千尋の“旨み”が聴こえる愛聴盤。
 『ブラヴォーグ』が『ブラヴォー』! ワオ!(ますおか岡田風)

PS 『ブラヴォーグ』を購入するなら絶対に「初回生産限定盤」をお奨めいたします。造り込まれたドキュメンタリー仕立ての特典DVDはオンもオフも必見ですよっ。アバクロ美人のちーたんが稲森いずみの妹を演じきっていま〜す。

  DISC 1 CD
  01. Aquarian Melody
  02. Carillon
  03. A Time For Love
  04. Uni
  05. Vou Deitar E Rolar
  06. Boolavogue
  07. Dois Pra La, Dois Pra Ca
  08. Circle
  09. Le Fruit Defendu
  10. Staccato
  11. When You Wish Upon A Star
  12. Backstroke Dance

  DISC 2 DVD
  01. The Making of Bravogue “Her Ordinary Day In New
     York”


(ヴァーヴ/VERVE 2008年発売/UCCJ-9097)
★【初回限定盤】 SHM−CD+DVD

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TOKYO FM / LETTER FOR LINKS / 木住野佳子

LETTER FOR LINKS / 木住野佳子 昨日,TOKYO−FM系「LETTER FOR LINKS」にて「木住野佳子の絆ストーリー」が放送されました。

初めてのニューヨークは,すごかった。
1990年,大寒波のあと。
着いてすぐ,目の前で炎上する車が見える。
たくさんのホームレスが寄ってくる。
夜中に鳴り響く,サイレンとクラクション。喧騒と混沌。
私,木住野佳子は,思った。
「ああ,怖い,早く帰りたい。こんなところに住みたくない」
周りの反対をよそに,単身ニューヨークへの音楽修行。
寒さと後悔が,体の芯を凍らせる。
方向音痴だけれど,お金がないのでタクシーには乗れない。
夜,ライブ・ハウスに行こうとして地下鉄の出口を間違えてしまった。
明らかに危険な匂いのする看板と,壁の落書き。
路地を歩けば歩くほど,背中に嫌な汗が流れた。
一台の黄色いタクシーが私の傍に来た。
ウィンドウが開き,ドライバーがこう言った。
「HEY,YOU.何やってんだい?」
「あ,あの,ライブ・ハウスに・・・」
「こんなところにいちゃいけない。おくってあげるから,乗りな」
今,思うとその運転手さんがほんとうにいいひとで,よかった。
タクシーの車窓から見る夜のマンハッタン。
古い建物のシルエットが,迫ってくる。
そう,この街で何者でもない私にもひとつだけ,心の岸辺があった。
それは・・・音楽。
街角から,遠く低くサックスの音が,聴こえた。

私,木住野佳子がニューヨークで感じたこと。
この街は,たとえ成功しなくても,アルバイトしながら落ち込まずにやっていける懐の深さがある。
夢さえあれば,生きていける。
謙虚な日本人とは違って,ここで戦うひとはみんな自信と誇りを最後の砦にして,摩天楼を見上げる。
フェアリー・テイル』というアルバムでメジャー・デビューを果たした1995年。
訪れたマンハッタンは,以前とは違う顔を見せた。
この街は,自分の身の丈に合わせた出会いを用意してくれる。
最初のレコーディング。集まったメンバーはとてつもなくすごかった。
ビル・エヴァンスとトリオを組んだ,ベースエディ・ゴメスマーク・ジョンソン
さらにドラムピーター・アースキンや,サックスマイケル・ブレッカー
地下のスタジオに大先輩たちが現れる。
そのスタジオで私は驚いた。肝心のピアノが・・・小さかった。
これでは満足なパフォーマンスができない。
かといってこんなゴージャスなメンバーが,今度,いつ集まってくれるだろう。
お歴々がどんな反応をするのか怖かった。
でも,思い切って「あ,すみません,このピアノでは・・・」と言うと「だよね。だと思った」とあっさり。
「OK。またスタジオが決まったら,連絡して」
ニコニコしながら去っていく。メンバーのひとりがこう言った。
「呼んでくれれば,10分で来るよ。だって佳子,ここはマンハッタンなんだから」

私,木住野佳子のニューヨークでのレコーディング。
日をあらためてセッティングされたスタジオが素晴らしかった。
ビルの最上階。スタジオには陽の光が降り注ぐ。
眼下にはハドソン・リバー。古い大きな橋が荘厳に輝く。
言葉も出ないくらい,感動した。
その日,初めてベースマーク・ジョンソンとセッションしたことは忘れられない。
彼は,ビル・エヴァンス・トリオ最後のベーシスト
彼のベースは,ゆったりと懐が深く,決して急がなかった。
私に演奏の余白を残してくれる。
鍵盤に指をすべらせながら,ふと横を見るとハドソン・リバー。
「ああ,なんて幸せなんだろう」
演奏のあと,マーク・ジョンソンがこんな言葉をくれた。
佳子,キミの演奏は,とてもスムーズに聴こえる。キミは,ちゃんと自分の言葉でしゃべろうとしている。日本人のプレーヤーとしては珍しいタイプだね。ほんとうに素晴らしい演奏だったよ。ありがとう!」
涙が出るほど,うれしかった。私は決して器用ではない。
でも唯一自分が貫いてきたこと,自分の言葉を持つ。
思えば,初めてニューヨークに来たときからそうだった。
私は私の言葉をしゃべりたくて,音楽に身を捧げた。
ゆったり流れるハドソン・リバーを見ながら,初めて,この街の懐に包まれたような,気がした。

世界中で一番,尊敬できるミュージシャンのマークへ :
一番最初にニューヨークのスタジオでお会いした時に,私の演奏したピアノを聞いて,佳子の演奏するピアノはスムーズだね,そして,自分の言葉を喋ろうとしているのが伝わってくるよ,と言ってくれた,その言葉が,ずうっと私の支えになって,今も音楽をやっています。
また是非,これからも一緒に演奏して下さい。よろしくお願いします。

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