アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2012年06月

新ブログ 『アルト・サックスで行こう 〜Take The“A”Sax〜』

 新ブログアルト・サックスで行こう 〜Take The“A”Sax〜」を立ち上げました。
 「アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜」の別館です。

     「アルト・サックスで行こう 〜Take The“A”Sax〜
     http://altosax.doorblog.jp/

 なぜ今,新ブログなのか? 理由は幾つかありますが,全てどうでもいい理由です。「人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)」第1位の感謝企画の第二弾ということにしておいてください。(← AMEMIYAの「冷やし中華はじめました」的な?)

 ついでながらの事後報告ですが,ブログ開設より7年。「アドリブログ 〜セラビーのJAZZ/FUSION批評〜」は「アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜」になりました。
 ブログ・タイトル変更の理由も幾つかありますが,もはや「セラビー」の冠なしでもいけるだろう。ハッハッハッな意味不明です。あってもなくとも【降っても晴れても】。

 以上,セラビーからの2つのお知らせでした。
 今後とも「アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜」と「アルト・サックスで行こう 〜Take The“A”Sax〜」をどうぞよろしくお願いいたします。

 アドリブをログするブログ,それがアドリブログ。


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渡辺 貞夫 / マイシャ5

MAISHA-1 『MAISHA』(以下『マイシャ』)こそ,渡辺貞夫の“裏”名盤である。

 こんなにポップでHAPPYな演奏はそうはない。事実,管理人のナベサダコレクションのヘビーローテーション最右翼。どうしても無性に聴きたくなる日々が訪れる。

 そんな日々には批評はしない。ただただ楽しむために聴く。理屈好きのフュージョン好きとしては『マイシャ』を“爽やかフュージョン”的なBGM的括りで紹介するのは嫌いなのですが,自分がそのように楽しんでいるのだから今度ばかりはしょうがない。
 まずは骨の髄までしゃぶり尽くしてから,それから「『マイシャ』っていうアルバムはね」っと“『マイシャ』あるある”を語り明かしましょう。管理人でよければ朝までお付き合いいたします。

 ここからは『マイシャ』を朝まで語り明かすためのネタ帳です。
●【ホワッツ・ナウ】のベース・ラインはマイルス・デイビスの【TUTU】。ハービー・ハンコックエレピソロが秀逸。
●【ロード・ソング】は日産ローレルのCM曲(本人TVCM出演)。
●【グッド・ニュース】は【ハワイへ行きたい】のFM東京系「ソニー・デジタル・サウンド」に続く「ミュージック・オアシス?」のテーマ曲にしてNHK−FM「クロスオーバーイレブン」の刺客トラック。
●【タイムズ・ウィ・シェアード】と【ストレイ・バーズ】の名バラード
●【デザート・ライド】でのソプラニーニョと【マイシャ】でのフルート
●【メン・アンド・ウィメン】と【ティップ・アウェイ】でのブレンダ・ラッセル
●【グッド・ニュース】でのネイザン・イーストベーススキャットの超絶ユニゾン。
●とにかくカルロス・リオスギターソロだけを抜き出してのリピート盤。
ハービー・ハンコックエレピの音色がチープすぎ。これぞ85年の最新の音が古い時代の音。ただしブラス入りで薄くないのがお見事。
●完璧な1−9曲と10曲目【ペイサージュ】のハズシ。『ヘッド・ハンターズ』リターンズなハービー・ハンコック参加なのに。
●兄・デイブ・グルーシンを再び引っ張り出そうと弟・ドン・グルーシンソロ多し。しかし結果は“棚ボタな”ラッセル・フェランテとのコラボ始動。
ライブDVDLOVE SONG】が必見。

MAISHA-2 などなど…語り尽くせぬ『マイシャ』こそが,渡辺貞夫の“裏”名盤

 そう言えば『マイシャ』が渡辺貞夫の初セルフ・プロデュース盤。『マイシャ』は,渡辺貞夫がC型肝炎からの回復後に旅したサハラ砂漠の旅日記というコンセプトCD。なのでアルバムのジャケット写真も“カメラマン”渡辺貞夫の撮影作品。それにしてもべっぴんさん。

  01. WHAT'S NOW
  02. MEN AND WOMEN
  03. ROAD SONG
  04. TIMES WE SHARED
  05. GOOD NEWS
  06. DESERT RIDE
  07. TIP AWAY
  08. STRAY BIRDS
  09. MAISHA
  10. PAYSAGES

(エレクトラ/ELEKTRA 1985年発売/32XD-4)

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渡辺 貞夫 ライヴ・アット武道館 / ハウズ・エヴリシング3

HOW'S EVERYTHING-1 ピアノキーボード指揮者としての“アレンジャー”デイブ・グルーシンを筆頭に,キーボードリチャード・ティードラムスティーブ・ガットギターエリック・ゲイルジェフ・ミロノフベースアンソニー・ジャクソンパーカッションラルフ・マクドナルドトランペットジョン・ファディスの「オール・スターズ」に100人編成の東京フィルハーモーニックオーケストラが加わった,場所は何と日本武道館,それも3日間公演で3万人を動員したライブ
 しかもこの時の武道館ライブが,米大手メジャーCBSコロムビアからLP2枚組みとして発売され,日本のナベサダ・ファンのために日本へも逆輸入された。

 そう。渡辺貞夫の“栄光の歩み”を語る時『HOW’S EVERYTHING』(以下『ハウズ・エヴリシング』)は外せない。
 しかし『ハウズ・エヴリシング』は名盤ではなく“迷盤”である。こんな大編成での演奏は面白くない。100人以上のバック,しかも超一流のバック相手にアルト・サックス1本で勝てるわけがない。完全に主役は“アレンジャー”デイブ・グルーシンの世界。

 もっと言えば,1982年にデイブ・グルーシンも単独で日本武道館ライブを開いたが,その実験作であり前座である。
( ← お〜っと言い過ぎた。これは勢いでの失言です。本心でそう思ったりしていません。デイブ・グルーシン・ファンの皆さん,ごめんなさい。きっと昨晩「ダークナイト」を見たせいです )。

 こう皮肉りたくなる程,デイブ・グルーシンとバック・メンバーの演奏が素晴らしい。とにかくデイブ・グルーシンの書き譜通り,キッチリ,カッチリ,生真面目に演奏している。だ・か・ら・どうにも物足りない非ジャズ
 各メンバーのソロ・タイムでのアドリブでさえ書き譜のような完成度。非の打ち所のない名演が“迷盤”の元凶なのである。

 『ハウズ・エヴリシング』での「ナベサダフュージョン」は「ソフト&メロウ」指向。当時大流行したAORからの影響が感じられ,高度に洗練された分かりやすい演奏に仕上がっており“ジャズ・サックス・プレイヤー”渡辺貞夫はここにいない。

 入念なリハーサルを繰り返したことだろうし,同じ楽曲を3日間同じ場所で演奏すればジャム・セッション的な雰囲気もハプニング的な要素も消えてしまうことだろう。その副産物としての『ハウズ・エヴリシング』なのだから仕方ないのだが…。

HOW'S EVERYTHING-2 ケチのついでにもう一つ。『ハウズ・エヴリシング』での選曲が,このライブのための書き下ろし中心ではなく「ナベサダフュージョン」を確立した『カリフォルニア・シャワー』と『モーニング・アイランド』からの選曲中心であったなら大いに盛り上がったことと思う。

 『オータム・ブロー』での“成功の法則”は『ハウズ・エヴリシング』には通じなかった。
 せっかくの日本武道館での“晴れ姿”なのだから人気ナンバーのオンパレードなら良かったのに…。
 「ナベサダフュージョン」の総決算なら良かったのに…。

  01. UP COUNTRY
  02. MZURI
  03. TSUMAGOI
  04. ALL ABOUT LOVE
  05. NICE SHOT
  06. SEEING YOU
  07. NO PROBLEM
  08. BOA NOITE
  09. SUN DANCE
  10. M&M STUDIO
  11. MY DEAR LIFE

(ソニー・ミュージックエンタテインメント/SONY MUSIC ENTERTAINMENT 1980年発売/SRCS9590)
(ライナーノーツ/高井信成,野口久光,油井正一)

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渡辺 貞夫 / モーニング・アイランド5

MORNING ISLAND-1 「ナベサダフュージョン」の「頂点」。それが『MORNING ISLAND』(以下『モーニング・アイランド』)である。

 管理人の中で「ナベサダフュージョン」と「J−フュージョン」は同じではない(尤も,これは個人的な主観であって,世間では「ナベサダフュージョン」も「J−フュージョン」も同じです)。
 読者の皆さんも渡辺貞夫日野皓正の音楽を聴いた後に,DIMENSIONTRIXを聴いてみたらすぐに分かる。

 違いの理由は音楽性の構造の違い。渡辺貞夫日野皓正の第一世代が“基本ジャズの発展形”なのに対し,DIMENSIONTRIXの第三世代は“基本脱ジャズの発展形”。
 ズバリ,バックボーンとしてのジャズを,持つか否か,の違いである。

 そう。ジャズをバックボーンにPOPにクリエイトされた『モーニング・アイランド』。『モーニング・アイランド』は「J−フュージョン」第一世代の最後の名盤である。
 『モーニング・アイランド』は,軽く聞き流すことはできやしない。ジャズメンが作ったフュージョンのテイストが残っている。テーマは分かりやすいのだがアドリブが高度なままで少々難解なテイストが残っている。

 ナベサダ・ファンの大方は『マイ・ディア・ライフ』『カリフォルニア・シャワー』と『モーニング・アイランド』『オレンジ・エクスプレス』の2:2の間で線を引く人が多いと思う。理由は“南国リゾートな”LAと“都会の摩天楼な”NY。そう。ジェントル・ソウツスタッフのバックの違いであろう。バック・メンバーが違うのだからカラーの変化はある意味当然なこと。しかしトータル・サウンドとして聴いてみて欲しい。

 『モーニング・アイランド』で強く感じるのは,スタッフ色ではなくデイブ・グルーシン色。デイブ・グルーシンが『マイ・ディア・ライフ』『カリフォルニア・シャワー』でジェントル・ソウツの面々をまとめ上げたように『モーニング・アイランド』ではスタッフの面々をまとめ上げている。

 「ナベサダフュージョン」の場合,バックは,LAかNYか,ではなく,デイブ・グルーシンか否か,なのである。
 それでおせっかいを承知で「ナベサダフュージョン」の楽しみ方をレクチャーすると,デイブ・グルーシン目当てで「ナベサダフュージョン」を聴くのは有りだが,ジェントル・ソウツ目当て,スタッフ目当てで聴き漁るのなら,本来のジェントル・ソウツスタッフのイメージを掴み損ねますのでご注意を。

 お〜っと,かなり本論から脱線してしまっているが,管理人なら『マイ・ディア・ライフ』『カリフォルニア・シャワー』(皆さんお忘れですが『オータム・ブロー』)に『モーニング・アイランド』までをまとめて線を引くということ。2:2ではなく3:1。大好きな『オレンジ・エクスプレス』は第二世代の最初の名盤扱いでいいと思っている。

MORNING ISLAND-2 だから『モーニング・アイランド』が「ナベサダフュージョン」の「頂点」。『マイ・ディア・ライフ』〜(皆さんお忘れですが『オータム・ブロー』)〜『カリフォルニア・シャワー』の流れが全てにおいて『モーニング・アイランド』で結実している。

 渡辺貞夫はやっぱり渡辺貞夫だった。一つ一つの音の背後にナベサダらしい温かさを感じ取る。マイルドで,分かりやすく,心に響くアルト・サックスソプラニーニョフルート

 細かく聴けばスタッフデイブ・グルーシンになりデイブ・グルーシン渡辺貞夫になっている。
 そう。共演者の全員で“世界のナベサダ”のハーモニーを奏でている。

 渡辺貞夫のあの笑顔に,あのアルト・サックスの音色に皆が引き寄せられている。『モーニング・アイランド』で明らかになった渡辺貞夫の求心力! だ・か・ら・他のどんな「J−フュージョン」とも異なる“オンリー・ワン”な「ナベサダフュージョン」!
 “ザ・渡辺貞夫”は,共演者だけでなくリスナーをも心酔させる男であった。

  01. MORNING ISLAND
  02. DOWN EAST
  03. SERENADE
  04. WE ARE THE ONE
  05. HOME MEETING
  06. PETET VALSE POUR SADAO
  07. SAMBA DO MARCOS
  08. INNER EMBRACE

(フライング・ディスク/FLYING DISK 1979年発売/VICJ-61362)
(紙ジャケット仕様)

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アキコ・グレース / ピアノリウム5

PIANORIUM-1 『PIANORIUM』(以下『ピアノリウム』)は「アキコ・グレース初の完全ピアノソロ・アルバム」ではない。
 アキコ・グレースピアノソロの形を取ったピアノとのデュオCDである。

 「次はどんな音色で? どんなパッションで?」。アキコ・グレースピアノと相談しながら音を放っている。ピアノと共に同じ景色を見,同じ空気を吸っている。
 そう。『ピアノリウム』は,アキコ・グレースの親友“ピアノとの語らい”の記録なのだ。

 『ピアノリウム』の真実は,アキコ・グレースデジタル配信ソロ・プロジェクトピアノモード」のCD化!
 2007年7月から2008年6月迄の12ヶ月連続録音で,時代の変化と季節の移り変わりに何を想うのか? アキコ・グレースの“心の窓”が透けて見えてくる。
 産みの苦しみはない。『ピアノリウム』は,自然体で指の動くがままに書かれたアキコ・グレースの“音の絵日記”である。無の境地でピアノデュエットしたアドリブの“心象画”なのである。

 真空の水が「生きた彫像」となった【SPACETIME WATER】。狭間に浮かぶ,美しくて荘厳な空中庭園AERIAL GARDEN】。夏の間に溜め込んだお祭り騒ぎの熱気の封印【IN REMINISCENCE WHEN SUMMER IS ENDING】。透き通った発泡水の噴水MUSICA SQUMANTE】。大輪のひまわりが天空に昇り,雲の上でワルツを踊る【WALTZ OF SUNFLOWER,THE FIRMAMENT RESONATES WITH】。おとぎの国の音使いの妖精【FAIRY OF SOUNDLAND】。

PIANORIUM-2 ピアノソロにしてピアノとのデュオ=『ピアノリウム』は最先端の“アート”ではない。昔懐かしい郷愁を誘う“創作アート”である。
 読者の皆さんもきっと『ピアノリウム』で表現されている「四季の移ろい」に“キュン”と胸が締め付けられることであろう。“クール”なピアノと音の“温もり”。
 “創作アーティスト”アキコ・グレースの“成熟ぶり”に圧倒されてしまう。

  01. Spacetime Water
  02. Aerial Garden
  03. In Reminiscence when Summer is Ending
  04. Musica Spumante
  05. Waltz of Sunflower, the Firmament Resonates with
  06. Hop, Hop, Raindrop
  07. Miyabiyaka
  08. Maple Leaf Travels
  09. Silver Moon
  10. Fairy of Soundland
  11. Quiet Snow  
  12. Evanescence of Sakura

(サヴォイ/SAVOY 2009年発売/COCB-53787)
(ライナーノーツ/立川直樹,辻口博啓,アキコ・グレース)

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渡辺 貞夫・ウィズ・ザ・グレイト・ジャズ・トリオ / バード・オブ・パラダイス5

BIRD OF PARADISE-1 『PARKER’S MOOD』『TOKYO DATING』の2枚で“ジャズナベサダ”の“洗礼”を受けたのが高校時代。それ以来「ナベサダジャズだ」と公言してきた。友人にも奨めてきた。

 そんな管理人が『BIRD OF PARADISE』(以下『バード・オブ・パラダイス』)を手にしたのは30代半ば。実に18年の空白。“ジャズナベサダ”を推薦しておきながらお恥ずかしい。
 ただし管理人の持論に間違いはなかった。「ナベサダフュージョンではない。ナベサダジャズだ」。『バード・オブ・パラダイス』の名演を聴いてその思いを強くした。

 『バード・オブ・パラダイス』は,ザ・グレイト・ジャズ・トリオをバックに快演を聴かせる,渡辺貞夫のビ・バップ盤。題して“チャーリー・パーカートリビュート”。
 渡辺貞夫アルトのブロウが炸裂し,ハンク・ジョーンズの“選び抜かれた”艶やかなピアノと“このリズム隊しかない”と思ってしまう,ロン・カーターベーストニー・ウィリアムスドラム
 大好きなパーカー・ナンバーが“化学変化”を起こしたカルテットで演奏されるとこういう音になってしまう。実に興味深い演奏集だと思う。

 渡辺貞夫の演る“チャーリー派”は,ソニー・スティットのような同時代性が無いせいか伸びやかで明るい。テーマを愛おしむのように吹き上げ,アドリブで歌い上げる。
 『バード・オブ・パラダイス』で聴かせるアルト・サックスチャーリー・パーカーのコピーを超えた渡辺貞夫のオリジナル。これが最高にカッコイイのに和んでしまうんだよなぁ。この感覚,管理人と同じ「ナベサダ好き」なら分かっていただけるものと思います。

 『バード・オブ・パラダイス』の聴き所は「渡辺貞夫 VS ザ・グレイト・ジャズ・トリオ」。気合の入ったナベサダが先か? ザ・グレイト・ジャズ・トリオナベサダが煽られたのか?
 特にトニー・ウィリアムスの“プッシュする”ドラミングに“縦横無尽に反応する”渡辺貞夫の気迫たるや凄まじい。心なしかアルト・サックスのトーンも普段以上に逞しく聴こえてしまう。

 そんな渡辺貞夫の全てを受け止め,がっちり丁寧にサポートするハンク・ジョーンズピアノが流石。控え目なのに小気味よいバッキング。次元が違うとはこのことであろう。ハンク・ジョーンズピアノがマジで泣けてくる。病気なのかな〜。
 ロン・カーターベースが攻めている。ロン・カーターを罵倒する批評家は,この名演をどう批評するつもりなのだろう。管理人は大好きなベース・ラインです。

BIRD OF PARADISE-2 余り知られていないが『バード・オブ・パラダイス』の発売は,大ヒットした『カリフォルニア・シャワー』の直後。普通なら“売れ線”フュージョンの連投であろうが,この事実に渡辺貞夫の“ジャズへの誇り”と“ジャズへの自信”が漲っている。「本当の渡辺貞夫を聴け。チャーリー・パーカーを聴け〜」。

 『カリフォルニア・シャワー』でナベサダを知ったファンは『バード・オブ・パラダイス』に眼を白黒させ,以前からのナベサダ・ファンは「やっぱりナベサダナベサダだった。チャーリー・パーカーの後継者だった」と溜飲を下げた『バード・オブ・パラダイス』。

 “ジャズ・サックス・プレイヤー”渡辺貞夫の“誇りと自信。それが『バード・オブ・パラダイス』から聴こえてくる。“ジャズナベサダ”が飛び出してくる。
 カッコイイ。…って,長年放置していた手前,偉そうには語れないけど…。カッコイイ。

  01. BIRD OF PARADISE
  02. DONNA LEE
  03. EMBRACEABLE YOU
  04. STAR EYES
  05. DEXTERITY
  06. IF I SHOULD LOSE YOU
  07. YARDBIRD SUITE
  08. K.C. BLUES

(フライング・ディスク/FLYING DISK 1978年発売/VICJ-61159)
(ライナーノーツ/油井正一)
(☆XRCD24盤仕様)

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渡辺 貞夫 / カリフォルニア・シャワー5

CALIFORNIA SHOWER-1 “世界のナベサダ渡辺貞夫主演ドラマの「相棒」は草刈正雄ではなくデイブ・グルーシンである。
 渡辺貞夫デイブ・グルーシンの「相棒・Season 1」が始まったのが『CALIFORNIA SHOWER』(以下『カリフォルニア・シャワー』)であった。
( 注:渡辺貞夫デイブ・グルーシンの初コラボ『MY DEAR LIFE』は「相棒・警視庁ふたりだけの特命係」の位置づけが大正解です )

 「相棒」がブレイクしたのは「Season 1」ではなかったが『カリフォルニア・シャワー』は「Season 1」で大ヒット。「相棒」が国民的人気番組になったのと同様『カリフォルニア・シャワー』も「日本のジャズフュージョン人気」を決定づけた超名盤

 あの時代,管理人はまだジャズフュージョンにハマる前の子供だったが渡辺貞夫と【カリフォルニア・シャワー】は知っていた。サックス奏者が知っているサックス奏者ではなく,サックスを吹かない人でも知っている渡辺貞夫は偉大なのです。

 『カリフォルニア・シャワー』大ヒットの理由は,明るく爽やかな楽曲とズバ抜けてハッピーな演奏力。打ち込みでは表現できない(普通の生演奏でも表現できない)“笑い声”が聞こえてくるような“活き活きとした”演奏力。西海岸の凄腕プレイヤーが,互いの音を聴き分けながら,適当にアドリブを交えつつ一体感を生み出していく。
 この良い意味での“いい加減さ”が,それまでもボサノヴァやアフリカン・ビートを自身のジャズにいち早く取り入れてきた渡辺貞夫の感性にマッチしている。

 電気楽器のデジタル臭さの抜けたジャズ・ベースのフュージョン・サウンドは,渡辺貞夫デイブ・グルーシンが“本気で”フュージョンと対峙しクリエイティブした結果なのだろう。
 『カリフォルニア・シャワー』での「成功したサウンド・メイキング」がジャズとポップスの垣根を取り払った“ザ・フュージョン”な名演中の名演なのである。

 ここで“キーマン”デイブ・グルーシンの登場である。
 キーボード・プレイヤーとしてのデイブ・グルーシンも素晴らしいが,それ以上にギターリー・リトナーベースチャック・レイニードラムハービー・メイソンパーカッションポリーニョ・ダ・コスタトランペットオスカー・プレッシャートロンボーンジョージ・ボハノンテナー・サックスアーニー・ワッツの名サイドメンと渡辺貞夫をつなぐ“橋渡し役”。そして仕上げに“大河の一滴”を加えてブレンドした匠の技が素晴らしい。

CALIFORNIA SHOWER-2 渡辺貞夫を知り尽くし,共演者を知り尽くした上で加えるデイブ・グルーシンの“大河の一滴”は麦焼酎である。
 カリフォルニアは麦であって芋でも米でもないのだ。実に“まろやかな都会風味の”焼酎味。陽気で,気楽で,ファンキーで,女性を意識した色気もある“洗練されたスマートな”焼酎味。

 そう。『カリフォルニア・シャワー』の真実とは『カリフォルニア・サワー』なのだ。デイブ・グルーシンが作るサワーはレモン搾りのようである。

 絶品サワーに仕上げる“ブレンダー”デイブ・グルーシン渡辺貞夫の「相棒」である。寺脇康文か及川光博のいない「相棒」が成立しないのと同様,デイブ・グルーシンなしの『カリフォルニア・シャワー』。
 もっと言えばデイブ・グルーシンなしの「ナベサダフュージョン」など成立しない。

  01. CALIFORNIA SHOWER
  02. DUO-CREATICS
  03. DESERT RIDE
  04. SEVENTH HIGH
  05. TURNING PAGES OF WIND
  06. NGOMA PARTY
  07. MY COUNTRY

(フライング・ディスク/FLYING DISK 1978年発売/VICJ-61363)
(ライナーノーツ/児山紀芳)
(紙ジャケット仕様)

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和泉 宏隆 / 22TO26MIDNIGHT3

22TO26MIDNIGHT-1 管理人は和泉宏隆が好きだ。大好きだからこそ,今夜は苦言を呈そうと思う。
 「和泉さん,もうそろそろ(ソロソロ和泉流)ソロ・ピアノは終わりにしませんか?」。

 「スクェアで大車輪の活躍を見せたキーボードへ戻って来いとは言いません。アコースティック・ピアノをこれからも弾き続けてください。
 ただしピアノ・トリオまでにしておきましょう。ハッキリ言ってソロ・ピアノだと和泉さんの良さが殺されてしまうと思うのです。もう自分で自分の首を絞めるようなソロ・ピアノは止めにしましょう」。

 この暴言は,ザ・スクェアの『R・E・S・O・R・T』,ソロ・ピアノの『22TO26MIDNIGHT』,ピアノ・トリオの『A SQUARE SONG BOOK』に収録されている【OMENS OF LOVE】を聴き比べた結果だが,理由はそんなに単純ではない。
 T−スクェアスーパーバンドの『WONDERFUL DAYS』に提供した【WONDERFUL DAYS】と【FRECKLES】の表現力は,バンド向きのコンポーザー&アレンジャーの才能を証明していると思う。

 『R・E・S・O・R・T』の【OMENS OF LOVE】を聴いた後に『A SQUARE SONG BOOK』の【OMENS OF LOVE】はまだ聴ける。しかし『R・E・S・O・R・T』の【OMENS OF LOVE】を聴いた後に『22TO26MIDNIGHT』の【OMENS OF LOVE】は聴けたものではない。
 期待が大きかっただけに,何のアイディアもない焼き直しのソロ・ピアノには失望した。
 そう。『22TO26MIDNIGHT』は“悪い意味での”カクテル・ピアノである。

 スクェアで聴く和泉宏隆ピアノソロは素晴らしい。それで1曲丸々和泉宏隆ピアノソロで聴いてみたい,と思ったことは事実である。
 しかし“ジャズ・ピアニスト”として,トータルな音楽家としての才能が剥き出しになるソロ・ピアノは残酷だ。リズム感,テクニック,インプロヴィゼーション…。曲の間奏で弾くアドリブの才能だけで通用するほど甘くはない。

22TO26MIDNIGHT-2 “ジャズ・ピアニスト和泉宏隆キース・ジャレットチック・コリアになれはしない。キースチックどころか小曽根ソルトにもなれやしない。
 ただし和泉宏隆独特の“ハーモニー・センス”を武器にすれば結果は異なる。コンボ編成であれば世界のキースチックとも戦える。そんな自分の最大の武器をみすみす封印するなんて…。

 『22TO26MIDNIGHT』のコンセプトは「22時から26時」のミッドナイトな音楽集。だからダメなのか? コンセプトのせいなのか?
 『22TO26MIDNIGHT』を「22時から26時」の“指定時間”に合わせて聴いてみた。なるほどね〜。“良い意味での”ヒーリング・ミュージックが鳴っている。ライバルは「ジェットストリーム」?

 管理人の耳は当てになりません。和泉さん,わざとサラッと弾き流しているのならゴメンナサイ。

  01. Love Ballad
  02. Moon Palace
  03. Omens Of Love
  04. November Rain
  05. Snow Flower
  06. The Inner Room
  07. Clair De Lune

(アンドフォレスト・ミュージック/&FOREST MUSIC 2002年発売/NNCJ-1004)

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渡辺 貞夫・フィーチャリング・リー・リトナー & ヒズ・ジェントル・ソウツ / オータム・ブロー4

AUTUMN BLOW-1 渡辺貞夫の2枚の名盤マイ・ディア・ライフ』と『カリフォルニア・シャワー』の間をつなぐ“孤高の存在”『AUTUMN BLOW』(以下『オータム・ブロー』)。

 『オータム・ブロー』に『マイ・ディア・ライフ』の続編か『カリフォルニア・シャワー』の前編を期待しての購入であろうが『オータム・ブロー』は『オータム・ブロー』。『マイ・ディア・ライフ』でも『カリフォルニア・シャワー』でもない。

 理由は明白。『オータム・ブロー』は渡辺貞夫ソロにして「渡辺貞夫フィーチャリングリー・リトナー & ヒズ・ジェントル・ソウツ」の名義盤。
 『マイ・ディア・ライフ』が“おぼろげ”フュージョン。『カリフォルニア・シャワー』が“ごきげん”フュージョンを襲名する中で『オータム・ブロー』は“時代の寵児”ジェントル・ソウツとコラボして“ザ・クロスオーバー”してみせている。

 余談であるが,アドリブログの中では「クロスオーバー」という言葉はほとんど使っていない。使うとすればNHK−FMの名番組「クロスオーバー・イレブン」への言及時ぐらいなものか。
 理由は特にない。単純に管理人の性格柄,統一されていないと気がすまないのとSEO的にフュージョンの方が有利だと思うから。別にそうだと思えばフュージョンという言葉をクロスオーバーに置き換えても構わない主義。

 しかし上記はブログ運営上のお話であって,リアルな現実世界の管理人の中では「フュージョン」と「クロスオーバー」には明確な区別がある。その規準からして,どうしても『オータム・ブロー』はフュージョンとは呼べない。
 そう。『オータム・ブロー』で渡辺貞夫が目指したのは「クロスオーバー」であって「フュージョン」ではない。音楽の成り立ちと発展の仕方がフュージョン志向ではないし,勿論“新しい”ジャズでもない。

 管理人の幼稚な文章力で表わすのは限界があって申し訳ないのだが,この辺の微妙なニュアンスは,実際にCDを聴いていただかないと伝えらない。でも『マイ・ディア・ライフ』『オータム・ブロー』『カリフォルニア・シャワー』の3枚を聴き比べていただければ,管理人の言いたいことはすぐに伝わることと思う。“似て非なる”3枚の個性はバラバラである。

 『オータム・ブロー』の個性。それは渡辺貞夫が「リー・リトナー & ヒズ・ジェントル・ソウツ」の一部として機能している音楽だということ。
 つまるところ『オータム・ブロー』の個性とは「ジェントル・ソウツプレイズ渡辺貞夫」。

AUTUMN BLOW-2 渡辺貞夫の予想以上にジェントル・ソウツは凄かった。渡辺貞夫がまだアメリカにいた頃にはジェントル・ソウツのような若者はいなかった。渡辺貞夫ジェントル・ソウツに「カツアゲされてノットラレタ」感漂う〜。

 しかし,この感じがフュージョンではなくてクロスオーバーなんだよなぁ。全員が全力で盛り上がっているのに軽いんだよなぁ。
 「カツアゲされてノットラレタ」から吹けるフルートソプラニーニョがある。ジェントル・ソウツに「ギンギンに煽られた」から吹けるアルト・サックスがある。
 “大将”リー・リトナーと【ある日郊外で】でタイマンを張った瞬間の密着度。もはや渡辺貞夫はバンドの一員であり,アーニー・ワッツを差し置いてジェントル・ソウツの“顔”である。ナベサダが一番カッコエェ〜。

 『オータム・ブロー』でのタッキングがあったからこその“歴史的名盤”『カリフォルニア・シャワー』の誕生であり「ナベサダフュージョン」の誕生なのである。

 2枚の“超名盤”『マイ・ディア・ライフ』と『カリフォルニア・シャワー』の間に“埋もれた”『オータム・ブロー』を愛聴する瞬間にナベサダ愛が爆発してしまう。星四つのマニアック・ラブ。

  01. JUST CRUSIN'
  02. THE CHASER
  03. SOMEDAY IN SUBURBS
  04. RAPTURE
  05. INNER EMBRACE
  06. ORANGE BYPASS

(フライング・ディスク/FLYING DISK 1977年発売/VICJ-61364)
(紙ジャケット仕様)

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渡辺 貞夫 / マイ・ディア・ライフ4

MY DEAR LIFE-1 世間では「ナベサダフュージョン」の原点と称される『MY DEAR LIFE』(以下『マイ・ディア・ライフ』)。
 確かにアルバム全体を聴き通すと“おぼろげ”フュージョンしていると思う。

 ゲイリー・マクファーランドの影響を渡辺貞夫が全開で表現した初めてのアルバムであろうし,何しろ共演者の錚々たる面々。ギターリー・リトナーキーボードデイブ・グルーシンベースチャック・レイニードラムハービー・メイソンパーカッションスティーヴ・フォアマンの,ほぼジェントル・ソウツ
 確かにアルバム全体を聴き通すと“バック”がフュージョンしていると思う。

 しかし,管理人の中では「ナベサダフュージョン」の原点とは『オータム・ブロー』までスルーして『カリフォルニア・シャワー』からと決まっている。
 「ナベサダフュージョン」の立役者はデイブ・グルーシンであってリー・リトナーではない。だから『マイ・ディア・ライフ』はフュージョンの“走り”で決まりなのだ。

 そう。『マイ・ディア・ライフ』の真実は“フュージョン寄りのジャズ”である。ジェントル・ソウツが“次世代のフュージョン”していても,渡辺貞夫は“次世代のジャズ”の雰囲気である。

 しかし『マイ・ディア・ライフ』の“次世代のジャズ”が,結果,大変素晴らしかった。【マイ・ディア・ライフ】こそが渡辺貞夫“生涯の”代表曲にして代表的名演に違いない。
( 渡辺貞夫=【マイ・ディア・ライフ】の図式は,FM東京系「渡辺貞夫マイ・ディア・ライフ」の番組名にあることは承知の上での宣言です )

 リー・リトナーの“ブルージーな”ギターに紹介されて登場する,渡辺貞夫の“ダークな”アルト・サックスのあのトーン。『マイ・ディア・ライフ』の中で唯一聴かせるジャズ・サックスが,幸か不幸か,渡辺貞夫のトレードマーク。それまでの軽快なアルト・サックスフルートの印象を一掃している。
( 【マイ・ディア・ライフ】=“ダークな”アルト・サックスの図式は,FM東京系「渡辺貞夫マイ・ディア・ライフ」のナレーター=小林克也の低音ヴォイスにあることは承知の上での宣言です )

MY DEAR LIFE-2 最後に“迷える”管理人の『マイ・ディア・ライフ』についてのグチを一言。

 『マイ・ディア・ライフ』を聴く時にはいつでも,1−7トラックのフュージョン路線で止めておくか,名演の8トラック目だけを聴くか,それとも全曲聴くかを迷ってしまう。

 そして大体は8トラック目(【マイ・ディア・ライフ】)だけを聴くのだが,そのうち「渡辺貞夫マイ・ディア・ライフ」での小林克也のナレーションを聴きたくなる。そうしてその昔にエア・チェックしたカセット・テープを引っ張り出して聴くようになる。

 せっかく高音質の「K2HDリマスタリング紙ジャケット盤に買い直した意味ないなぁ。

  01. Massai Talk
  02. Safari
  03. Hunting World
  04. L.A. Sunset
  05. Samba Em Praia
  06. Music Break
  07. Malaika
  08. My Dear Life

(フライング・ディスク/FLYING DISK 1977年発売/VICJ-61366)
(紙ジャケット仕様)

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渡辺 香津美,ユージン・パオ,ジャック・リー / エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志4

ASIAN SUPER GUITAR PROJECT - GUITAR SAM GUK JI-1 アコースティック・ギターの名手3人が集い「世界指向(アジア指向)」を掲げて挑戦した渡辺香津美の新しい企画盤。それが『ASIAN SUPER GUITAR PROJECT―GUITAR SAM GUK JI』(以下『エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志』)である。

 「本家」=ジョン・マクラフリンアル・ディメオラパコ・デ・ルシアによるスーパー・ギター・プロジェクトのコンセプトを丁寧に煮詰めたもんだ。
 日本では無名のユージン・パオジャック・リーの両ギタリストであるが,渡辺香津美クラスのスーパー・ギタリストであることを見せつけられた。しかし今回のレコーディングでは“アコースティック・ギター弾き”に徹した渡辺香津美に「一日の長」有りも明白。スチール弦とナイロン弦を巧みに使い分け“扇の要”の役割を果たしている。

 …と『エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志』の聴き所は,超絶技巧を誇る3人のスーパー・ギタリスト“夢の競演”にあるのだろうが,真の聴き所はテクニックにあらず。

 『エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志』のハイライトは,3人の素晴らしい音楽性である。「アジア指向」の文字が躍る割にはアジアの雰囲気は希薄。『エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志』のプロジェクト名は『ヨーロピアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三銃士』とか『アメリカン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター・インディアン』のネーミングでも十分にいける。
 管理人は『エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志』にECMを感じてしまった。

ASIAN SUPER GUITAR PROJECT - GUITAR SAM GUK JI-2 『エイジアン・スーパー・ギター・プロジェクト〜ギター三国志』のハイライト曲=【サムホエア・イン・タイム】が泣ける。

 こんなにも悲しいマイナー調は「ギター3本だからできた」ジャック・リーのアレンジの賜物。いいや,ジャック・リーのアレンジの才を超える渡辺香津美ユージン・パオのアンサンブルとインタープレイ

 エレクトリック・ギターでメロウな哀愁を弾き続けるジャック・リー。ナイロン弦ギターで歌心溢れるフレーズを紡ぎ出す渡辺香津美。スチール弦ギターによるシャープな音色のユージン・パオのハーモニーに酔いしれる。

  01. For The Children
  02. Asian Triangle
  03. Made In France
  04. Waiting In Rain
  05. Off Side
  06. Azimuth
  07. Libertango
  08. Spanish Fried Rice
  09. Somewhere In Time

(ビデオアーツ/VIDEOARTS 2006年発売/VACM-1291)
(ライナーノーツ/石沢功治)

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10th Anniversary 矢野沙織

10th Anniversary 矢野沙織 2012年6月6日。朝は日本全国「金星の太陽面通過」一色。夜は日本全国「AKB48の選抜総選挙」一色。
 大島優子1位おめでとう。高橋みなみ6位おめでとう。
 管理人も昨晩はTVをずっと見てました。そして泣いてしまいました。いろいろとコメントしたいけど管理人の中で総選挙はまだ終わっていません。あの楽曲を1位に押し上げるまでは…。
 そう。管理人の“推しメン”は【CONFIRMATION】。
 少なくともここ10年の生活リズムを変革してくれた“一目(一聴)ボレ”な楽曲なのです。

 …って,何のこと? とぼけなさんな。読者の皆さんもご存知でしょ? 5月18日〜6月22日までの投票期間でAKBよりも暑い総選挙が実施されているじゃありませんかぁ〜。

 「2013年9月にデビュー10周年を迎える矢野沙織10周年イヤーを飾るアルバム第1弾はファン投票によるリクエストアルバム」。
 「2003年9月,弱冠16歳で衝撃的なデビューを飾った矢野沙織は,今までベストアルバムを含め全作品を発表してきました。10周年イヤーにふさわしく,今まで応援してくれているファンの皆様への感謝をこめて,皆様からリクエスト・投票を募り,それをもとにレコーディングを行います。あらかじめこちらで選んだ候補曲をリストアップ致しました。それ以外にリクエスト曲がございましたら『リクエスト』の欄へご記入ください」。

 そう。『10th ANNIVERSARY 矢野沙織』のファン投票によるリクエスト! 立候補は全39曲にプラス「その他」。
 恐らく投票結果はAKBのような厳正中立なものではなく,T−スクェア夢曲』のような“参考”扱いになるのでしょう。それでも1位を獲れば収録確定でしょうから,力が入るわけなのです。
 だって『夢曲』での【いとしのうなじ】。管理人のリクエストが実ったうれしさは格別でしたから〜。

 矢野沙織10年振りの【CONFIRMATION】。『YANO SAORI』収録の【CONFIRMATION】超えが聴けさえすれば,管理人の次の10年間も矢野沙織に支配されるに違いありません。

     「10th Anniversary 矢野沙織
     SAORI YANO 10th Aniversarry

PS 「アドリブログ」が主催するボーティング(「当ブログについて望むことは?」「ジャズ/フュージョンの花形楽器とは?」)と参加するランキング(「人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)」)結果は「神様に誓ってガチです」「母さんに誓ってガチです」。なので【CONFIRMATION】を,と口に出したりしませんが…。

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渡辺 香津美 / ビヨンド・ザ・インフィニット4

BEYOND THE INFINITE-1 『INFINITE』でデビューした渡辺香津美の30周年記念盤のタイトルは『BEYOND THE INFINITE』(以下『ビヨンド・ザ・インフィニット』)。
 そう。「無限大」から「無限大の彼方,その先,その向こう側」である。渡辺香津美の創作意欲は湧き上がる一方。誰も知らない「ブラックホールの反対側」に突入しようとしていた。

 渡辺香津美は『ビヨンド・ザ・インフィニット』で“ギター組曲”へと着手した。それだけでも凄いのだが,サブタイトルが「『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリックに捧ぐ」と来た。SF。宇宙。スペクタクル。モチーフが壮大すぎる〜。
 CDを聴く前から,待ち受けているであろう音楽のスケールに圧倒されて“恐れおののいてしまう”自分がいた。

 管理人の『ビヨンド・ザ・インフィニット』の第一声は「いや〜参った。凄い。凄すぎる」。確かに2種類の組曲=1−7の「惑星」シリーズと8,9の「ネコビタンX」シリーズは両方共に「ブラックホールの反対側」であった。
 『ビヨンド・ザ・インフィニット』での渡辺香津美ジャズでもなければクラシックでもない。プログレである。プログレの「KAZUMI」リターンズである。
 相当な緊張感を強いられる複雑なスコアでありながらも,音楽の感触自体はソフトである。“前のめりで”トリップできる。実にシンフォニックなプログレ・ギター組曲に“拍手喝さい”である。

 渡辺香津美のプログレ・ギターの,厳密さと曖昧さ,クールとホット,冷静と激情というような相反する音楽要素の作用で,思いがけない複雑な宇宙空間にトリップさせられてしまう。厳格な構成を有しながらもインプロヴィゼーションもあればインタープレイもある。「いや〜参った。凄い。凄すぎる」。

 しかし…。管理人の心の中で,憧れや称賛の気持ちと共に渦巻く不安は何なのだろう。多分,あきらめ。もうついて行けないと思った。これ以上,渡辺香津美にはついて行けない。
 『ビヨンド・ザ・インフィニット』で,渡辺香津美の凄さは感じたが「だから何が言いたいの〜」と思ってしまった。ストレートに渡辺香津美の“言葉”が入ってこない。感動が伝わってこない。

BEYOND THE INFINITE-2 『ビヨンド・ザ・インフィニット』は,音楽のレベルからすれば,渡辺香津美の言葉通り「自分の全てを投入した」“最高傑作”なのだろうと思う。フォローなしに「大作」の太鼓判を押印できる。
 だから『ビヨンド・ザ・インフィニット』を絶賛している渡辺香津美ファンの気持ちも素直に受け入れられる。反論しようなどという気はゼロである。事実『ビヨンド・ザ・インフィニット』のトラック批評が始まれば,大方,星五つと予想するこの矛盾…。はぁ。

 管理人は『ビヨンド・ザ・インフィニット』の決定的な弱点に目をつぶることはできない。
 そう。『ビヨンド・ザ・インフィニット』には渡辺香津美のリスナーがいない。これぞインテリSF。「素人無視の玄人路線」のギター組曲に“絶望感”だけがこだましてしまう。
 なんで。なんで。なんで。香津美さん。どうして。どうして。どうして。「ブラックホールの反対側」ではなくて「リスナーの反対側」に行っちゃったの??

 『ビヨンド・ザ・インフィニット』で管理人は渡辺香津美から離れました。いいや,正確には『ビヨンド・ザ・インフィニット』で渡辺香津美が管理人から離れて行きました。

 香津美さん,今までのお付き合いありがとうございました。これからは香津美さんとの思い出を胸に刻みつつ,小沼ようすけくんと共に「ジャズ・ギター道」を渡り歩く所存です。
 いつか,どこかで,また偶然の再会を楽しみにしつつ…。

  01. MOON
  02. MARS
  03. MERCURY
  04. JUPITER
  05. VENUS
  06. SATURN
  07. SUN
  08. NEKOVITAN X - Red Pill
  09. NEKOVITAN X - Blue Pill

(ユニバーサル・ジャズ/DOZO 2001年発売/UCCJ-2014)

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渡辺 香津美 with オーケストラ / DEAR TOKYO4

DEAR TOKYO-1 渡辺香津美のニュー・アルバム『DEAR TOKYO』のリリースについて知った時,胸がときめいた。
 管理人の大好きな『GANAESIA』の「KAZUMI BAND」の復活&これまた『GANAESIA』とは対極にあるアンサンブルな大名盤ROMANESQUE』路線の第2弾。二つの旨みがシャッフルされた“美味しいとこどり”のコラボレーション。こんなビッグ・ニュースに興奮しないでいられますか〜!

 しかし,しかし,期待が高かった分,ダメージも大きく,即お蔵入り〜。多分,4,5回聴いて放置プレイ。だって笹路正徳高水健司山木秀夫主導のオーケストラ入りなんですよ。そこそこ普通の名盤では認められないでしょうが〜。
 笹路正徳のアレンジは本当に素晴らしいと思います。でもなんとなく『DEAR TOKYO』の雰囲気がCTIに思えてしまう瞬間が…。
 一旦そう思ってしまうと渡辺香津美がCTI絶頂期のウェス・モンゴメリー・ライクに聴こえてしまうのです。『DEAR TOKYO』が,イージー・リスニング・ジャズ・ギターに聴こえてしまったのです。やっぱりウェス・モンゴメリーを聴くのなら「ヴァーヴ時代のジャズ・ギターに限る」派なもので…。

 しかし,多くの時間が管理人の耳を『DEAR TOKYO』仕様に育ててくれていました。(大袈裟に言えば)10年振りに聴いた『DEAR TOKYO』に腰を抜かしそうになってしまった。いい。
 駄盤の評価から名盤へと評価が一転。こんなことって,たまにありますよねっ。

 『DEAR TOKYO』は,10年振りに聴いてもCTIしていることに変わりはないが,10年ぶりの印象はドン・セベスキーよりもクラウス・オガーマン
 笹路正徳の“強め”のオーケストレーションが「ウィズ・ストリングス」だったら出なかったであろう渡辺香津美の特徴を引き出している。

 渡辺香津美ギターは相手がオーケストラであっても負けることはない。笹路正徳の用意した“ギターが気持ち良く鳴る絶品スペース”の空間を泳いでいる。音楽の編成は大きくとも等身大の演奏に仕上がっている。
 ただし,笹路正徳ピアノ高水健司ベース山木秀夫ドラムは脇役に徹した演奏なのでご注意を…。

DEAR TOKYO-2 【CAVATINA】でのアコースティックギターは,決して派手ではないジャズのアプローチで描く「心象風景」が涙もの。
 お目当ての【LONESOME CAT】超渋め。硬質でノスタルジックな演奏に“心が揺さぶれられる”。聴き込むにつれ味わいが増す。
 『DEAR TOKYO』の他の7曲もそれぞれ独特な音世界。選曲もバラエティに富んでいるが渡辺香津美ギター・プレイもバラエティに富んでいる。スルメである。

 駄盤と思った『DEAR TOKYO』が,こんなにも“心掻き乱される”CDだったとは…。
 こりゃCDラックの「棚卸し」をやり直さないといけないなぁ…。

  01. CAVATINA
  02. GOODBYE PORK PIE HAT
  03. A MAGIC LAND
  04. LONESOME CAT
  05. ONE LESS BELL TO ANSWER
  06. ELI'S COMIN'
  07. BON APPETIT
  08. DESCENTE
  09. FOR TOKYO

(日本コロムビア/MAGIC NOTES 2001年発売/COCB-31371)
(ライナーノーツ/笹路正徳,成田正)

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