アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2012年07月

渡辺 貞夫 / ホイール・オブ・ライフ5

WHEEL OF LIFE-1 渡辺貞夫リチャード・ボナの初めてのコラボレーション『SADAO 2000』は,リチャード・ボナの“才能に惚れ込んだ”渡辺貞夫リチャード・ボナに“自由にやらせた”コラボレーションであった。
 そして,渡辺貞夫リチャード・ボナの2度目のコラボレーション『WHEEL OF LIFE』(以下『ホイール・オブ・ライフ』)は,リチャード・ボナの“才能に惚れ込んだ”渡辺貞夫リチャード・ボナに“縛りを与えた”コラボレーションである。

 そう。『ホイール・オブ・ライフ』での渡辺貞夫リチャード・ボナに「ベーシストの目線で」共同プロデュースに参加するよう“縛り”を与えている。

 このように書いても伝わりづらいかもしれない。でも「ベーシストの目線で」という言葉しか思い浮かばない。
 “ネイティブ・アフリカン”ならではのダイナミックで絶大なビート感にも関わらず渡辺貞夫と“完全同期”するベース・ライン。極論を言えば,リチャード・ボナベース・ラインを追いかけるだけで渡辺貞夫アルト・サックスが聞こえてくる思いがする。

 そう。『SADAO 2000』では封印された“スーパー・ベーシストリチャード・ボナの演奏力を作品の「核に据えた」がゆえの大名盤の誕生である。

 『ホイール・オブ・ライフ』を「ベーシストの目線で」味付けすると“スパイスのようにふりかけた”フィル・イン炸裂。安定したベース・ラインの“うねり”の中で垣間見せるフレージング。
 ベースソロなどないはずなのにリチャード・ボナベース抜きに『ホイール・オブ・ライフ』を語ることなどできやしない。リチャード・ボナの行なった“最高の仕事の一つ”に間違いなく『ホイール・オブ・ライフ』が上げられるべき“傑作”であると思う。

 そんなリチャード・ボナの全方位型ベースを“感じ取り音としてアウトプットした”渡辺貞夫もこれまた素晴らしい。
 リチャード・ボナベースが“主導する”メロディ・ラインが渡辺貞夫の肉体を通ることで,渡辺貞夫でもリチャード・ボナでもなく“渡辺貞夫リチャード・ボナ”のアルト・サックスとして鳴っているのだ。

WHEEL OF LIFE-2 大自然の奥から湧き出るような心地良いリズムをバックにナベサダの心温まる親しみやすいメロディーが次々と出てくる。“ナチュラル”で“ニュートラル”なナベサダ節・全開。自然で懐の深いナベサダのキャラクターが,そのまま音楽になったような『ホイール・オブ・ライフ』。

 特に【ONE FOR YOU】【TEMBEA】【WAITING SONG】の3トラックは“ナベサダ生涯のレパートリー”候補になり得る大名演である。ナベサダ“らしい”メロディ・ラインがたまらない。

 そんな中『MAISHA』好きの管理人の耳に止まるは【TIMES WE SHARED】の新ヴァージョン【SPRING − ALL BEAUTIFUL DAYS】。
 カルロス・リオスアルト・サックスな【TIMES WE SHARED】は“むせび泣ける”が,ホメロ・ルバンボフルートな【SPRING − ALL BEAUTIFUL DAYS】は涙がじんわり“こぼれ落ちる”。

  01. ONE FOR YOU
  02. TEMBEA
  03. BASIE'S AT NIGHT
  04. REQUIEM FOR LOVE
  05. WIND & TREES
  06. KOULAMANITE
  07. WAITING SONG
  08. ISABELLE
  09. JINDUNGO
  10. WHEEL OF LIFE
  11. SPRING - ALL BEAUTIFUL DAYS

(ヴァーヴ/VERVE 2003年発売/UCCJ-2026)
(ライナーノーツ/黒田恭一,渡辺貞夫,リチャード・ボナ)

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渡辺 貞夫 / グッド・タイム・フォー・ラヴ5

GOOD TIME FOR LOVE-1 「自分の気に入ったいい音と,いい物があれば人生は最高! 溢れる想いをメロディーに託し,メロウな作品や軽快なサウンドにナベサダサックスが舞う! 多数の日米コンボが参加した,渡辺貞夫のロマンチック・セイリング!」。

 『GOOD TIME FOR LOVE』(以下『グッド・タイム・フォー・ラヴ』)は,上記CD帯のコピー正しく,ナベサダ史上最多人数の共演者の揃い踏み。それなのに“ファジーな”自由空間でリラックス。好き勝手に好きな音を思い思いに重ねた感じ。
 この『グッド・タイム・フォー・ラヴ』の個性の秘訣にセルフ・プロデューサー=渡辺貞夫の存在がある。

 “ジャズ・サックス・プレイヤー”渡辺貞夫が気持ち良くアルト・サックスを奏でられるメンバー。そうであれば過去の実績も国籍も年齢も関係ない。
 ギターアール“チナ”スミスラドクリフ“ドギー”ブライアン土方隆行ジェフ・ミロノフボビー・ブルーム松木恒秀キーボードアンセル・コリンズ 野力奏一ロブ・マウンジーオナージ・アラン・ガムスベースバートラム“ランチー”マクリーン渡辺建ウィル・リービクター・ベイリー高水健司ドラムカールトン“サンタ”デイビス山木秀雄クリス・パーカープージー・ベル村上秀一パーカッションジミー・クリフシュー・エヴァンスミノ・シネルテナー・サックス渕野繁雄トロンボーン西山健治コーラスイヴらの面々をトラック毎に“適材適所”。
 思う存分「ナベサダフュージョン」が楽しめる。

 そう。『グッド・タイム・フォー・ラヴ』の真実は“ジャマイカ・テイストな”『マイシャ』の続編。ストレート・ア・ヘッドジャズCD2作『PARKER’S MOOD』と『TOKYO DATING』を飛び越えて,ポップでHAPPYな演奏路線に舞い戻ってきた。

 『グッド・タイム・フォー・ラヴ』の幸福感を高めるのがタイトル・トラック【GOOD TIME FOR LOVE】。「珈琲は音楽」UCCレギュラー・コーヒーのCM曲。
 あのCMを見て以降,コーヒーを飲む時には【GOOD TIME FOR LOVE】が頭の中で流れ続ける。「気分だね,僕のコーヒー」の名ゼリフと共に日焼けした渡辺貞夫の顔が同時にフラッシュバック。この現象が数年間は続くのだから何千日も【GOOD TIME FOR LOVE】を聞いたことになるのかも?

 ジャズとコーヒーの幸福な関係と来ればジャズ喫茶であろうが,管理人には【GOOD TIME FOR LOVE】がストライク。
 あっ,ちょっとこれは失言です。管理人も「ジャズ+コーヒー=ジャズ喫茶」が勝利の方程式と思います。はい。

GOOD TIME FOR LOVE-2 だから『グッド・タイム・フォー・ラヴ』を聞くと「ナベサダフュージョン」だけでなく,コーヒーの“豊かな香り”を感じる。くつろぎのリラックス・タイムの始まり始まり〜。

 2曲目はこちらも資生堂ブラバスの「マイ・ディア・ライフ」内のCM曲=【LOVE BIRDS WHISPER IN MY EAR】がいい。3曲目はスーパー・ベーシストにしてスーパー・ボーカリストウィル・リー主役の【WHEN WE MAKE A HOME】がいい。この時点でもう腰が重くなる。座席から,オーディオの前から離れなくなる。これぞ渡辺貞夫流“金縛り”。

 渡辺貞夫の“金縛り”から解放されるのは40分48秒後。『グッド・タイム・フォー・ラヴ』が8トラックで良かった。解放後の開放感がMAX。こんなにポップでHAPPYな演奏は『マイシャ』と『グッド・タイム・フォー・ラヴ』以外にそう多くはありません。

  01. GOOD TIME FOR LOVE
  02. LOVE BIRDS WHISPER IN MY EAR
  03. WHEN WE MAKE A HOME
  04. STEP OUT ON THE STREET
  05. I LOVE TO SAY YOUR NAME
  06. POGO
  07. ALL THE WAY
  08. LOVING YOU IS EASY

(エレクトラ/ELEKTRA 1986年発売/32XD-428)

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渡辺 貞夫 / SADAO 20005

SADAO 2000-1 ついに来た“大本命”! アフリカのナベサダ! いいアルバムだ! 『SADAO 2000』を聴いた時に単純にそう思った。後程,猛反省することになるとも露知らず〜。

 『SADAO 2000』の主役はリチャード・ボナ。しかし『SADAO 2000』を聴いた時点では,リチャード・ボナを“アフリカの至宝”とは認めつつも“世界の至宝”とは認識できていなかった。
 しかし,この事実に気付いたのはリチャード・ボナパット・メセニー・グループ入りを果たしてから。リチャード・ボナの快進撃は『SADAO 2000』から始まっていたのに管理人は現金です。

 リチャード・ボナの存在は(名声は)ザビヌル・シンジゲートで知っていた。でも噂で聞いていた程度。管理人にとって“初めてのリチャード・ボナ”が『SADAO 2000』だった。
 リチャード・ボナが“天才ベーシスト”であり“ジャコ・パストリアスの再来”と噂されていたため,確かに凄い,と認めつつも心のどこかで侮っていた。

 理由は『SADAO 2000』でのリチャード・ボナベーシストというよりもマルチ・プレイヤーでありプロデューサーだったから。バンバン,ベースを“弾き倒す”リチャード・ボナは『SADAO 2000』の中にはいなかったからだ。

 そう。真にリチャード・ボナは“ジャコ・パストリアスの再来”である。しかしそれは“天才ベーシスト”の意味ではない。
 ジャコ・パストリアスがスーパー・ベーシストの枠を超えた,天才コンポーザーであり天才アレンジャーであったのと同じように,リチャード・ボナもスーパー・ベーシストの枠を超えた,天才マルチ・プレイヤーであり天才プロデューサーなのだ。ジャズをもフュージョンをもインストをも超えた“世紀の音楽家”なのだ。
 後日『SADAO 2000』を幾度も聴き直して,管理人はそのような結論に到達した。マーカス“びいき”な管理人に“ジャコ・パストリアスの再来”を認めさせた事実にリチャード・ボナのス・ゴ・サが分かるはず〜?

 …って,すぐに分からなくても大丈夫。管理人がボナのス・ゴ・サに気付いたのは『SADAO 2000』から3年後。スーパー・ベーシストとして参加した『WHEEL OF LIFE』にKOされてから。『WHEEL OF LIFE』で分からなくても『“ONE FOR YOU” SADAO & BONA LIVE』でのボナソロが待っている。パチパチパチ。

 でも“本気の”ボナを知りたいのならザビヌル・シンジゲートです。ジャコ・パストリアスを体験した“あの”ジョー・ザビヌルリチャード・ボナに敬意を抱いちゃっています。今後,リチャード・ボナを超えるスーパー・ベーシストは現われそうにありません。でもでも管理人はマーカス命ですから〜。

 う〜ん。上記リチャード・ボナ“絶賛”をもって『SADAO 2000批評を終了しようと思ったが…。

 ズバリ『SADAO 2000』でのリチャード・ボナへの“称賛”の言葉は全て渡辺貞夫にこそ帰されるべきだと思う。
 リチャード・ボナを連れて来て,ジョー・ザビヌル以上にボナに自由を与えて,ボナの“トータル・ミュージシャン”としての全方位的な才能を見事に引き出している。
 加えてアルト・サックスでの“サポート”ぶりが素晴らしい。ジャズフュージョン,アフリカというリチャード・ボナのルーツを考慮した演奏であり楽曲である。『SADAO 2000』でのアルト・サックスには“懐の深い”イマジネーションがある。

SADAO 2000-2 そう。『SADAO 2000』のタイトル通り,渡辺貞夫ボナと共に21世紀のジャズフュージョンの扉を開いている。21世紀はアフリカをキーワードとする“ボーダレス”ミュージック。
 日本のサックス・プレイヤーとカメルーンのベーシストの“ボーダレス”なコラボレーション。リチャード・ボナのベーシックな音造りにナベサダにしか出来ない絶妙なニュアンス。
 あっ,意外にも切れていないマイク・スターン,ブラジル代表のカフェ名演もお忘れなく!

 こんな偶然の,いや必然の出会いがクロスする21世紀の“ボーダレス”ミュージック。かつてデイブ・グルーシンを相棒に「ナベサダフュージョン」を作り上げた渡辺貞夫が,今度はリチャード・ボナを新・相棒に「ナベサダ・アフリカン」とも呼ぶべき“ヒューマンジャズ”を作り上げている。

 そう。リチャード・ボナは,超絶技巧をまとった“根っからの”ジャズメン。『SADAO 2000』での渡辺貞夫リチャード・ボナ。新旧大物ジャズメンのコラボレーションを音楽の神様に感謝する。

  01. MATAHARI TERBENAM (SUNRISE)
  02. TE MISSEYA
  03. SA SO NGANDO (STEP IN AND DANCE)
  04. I THOUGHT OF YOU
  05. NOSTALGIA
  06. 花の島
  07. LIFE IS ALL LIKE THAT (FOR SNOOPY & HIS
     FRIENDS)

  08. BACK YARD SUITE
  09. ONE IN THE SAME
  10. POR TODA A MINHA VIDA

(ヴァーヴ/VERVE 2000年発売/POCJ-1480)

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渡辺 貞夫 / ヴィアジャンド4

VIAJANDO-1 『VIAJANDO』(以下『ヴィアジャンド』)は“都会のブラジル音楽”である。多分,出来はいいのだろう。事実,冒頭の4トラック【アフロジル】【ヴィアジャンド】【オン・サニー・ディ】【バタフライ】の展開は神!

 でも,それでも管理人には退屈である。理由は“大好きなブラジル”なのに“らしくない”。渡辺貞夫が上品すぎる。洗練された『ヴィアジャンド』はBGMであって“拝聴”の対象ではない。

 (いきなりの結論で申し訳ないが)管理人の結論。『ヴィアジャンド批評

 NY在住のブラジリアン・ジャズメンはブラジルに非ず。よって『ヴィアジャンド』はブラジルではない。セザール・カマルゴ・マリアーノはもはやニューヨーカー。流石のセザール・カマルゴ・マリアーノもNYに染まってしまっている。
 そう。『ヴィアジャンド』の真実は,セザール・カマルゴ・マリアーノの自宅の壁に掛かっている「故郷への窓」=リオの夜明けの海を撮った大判の写真なのだと思う。← 詳細な理由を知りたければ『IN TEMPO』のライナーノーツをご参照下さい。

 『ヴィアジャンド』は渡辺貞夫のブラジル路線の3作目。どんな映画でも「パート掘廚箸發覆譴弌い金をかけた大仕掛けの超大作となってくる。
 ギターホメロ・ルバンボベースニルソン・マッタドラムパウロ・ブラガパーカッションボーカルカフェ。どうですか? 『ヴィアジャンド』での渡辺貞夫も“盟友”セザール・カマルゴ・マリアーノを始めとする豪華な客演に囲まれている。

 例えるなら『ヴィアジャンド』はスペクタクルな超大作。デジタル・ハリウッド級のハイ・クオリティ仕上げ。多分,出来はいいのだろう。でも管理人には退屈である。『ヴィアジャンド』は“楽曲の豊かさ”の点で『エリス 3』にはならなかった。
 聴き応えは増しているのに愛着は薄くなってしまう。セザール・カマルゴ・マリアーノの感性が“本場のブラジル”から離れてしまっているようで…。

VIAJANDO-2 セザール・カマルゴ・マリアーノよ,次に渡辺貞夫と共演する際は,写真ではなく本物のリオの夜明けの海を見てきてからにしてほしい。
 『ヴィアジャンド』の敗因=セザール・カマルゴ・マリアーノ初めての失敗はインプットではなくアウトプットの問題だったと思っている。

 恒例のオーチャード・ホールでのクリスマス・ストリングスライブのテーマとしてのブラジル音楽=『MINHA SAUDADE』は例外として,いつの日か再び訪れる渡辺貞夫セザール・カマルゴ・マリアーノのコラボレーション。

 セザールさん,次は『エリス 4』でお願いしますよ〜。

  01. AFROZIL
  02. VIAJANDO
  03. ON SUNNY DAY
  04. BUTTERFLY
  05. BOEMIA
  06. LITTLE WALTZ FOR M
  07. FIREPLACE
  08. DOCE SEDUCAO (INSTRUMENTAL VERSION)
  09. DON'T WORRY 'BOUT ME
  10. COMO VAI !
  11. 空のコーラス
  12. DOCE SEDUCAO (VOCAL VERSION)

(ヴァーヴ/VERVE 1998年発売/POCJ-1410)
(ライナーノーツ/渡辺貞夫)

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渡辺 貞夫 / ゴー・ストレート・ア・ヘッド・アンド・メイク・ア・レフト4

GO STRAIGHT AHEAD 'N MAKE A LEFT-1 『GO STRAIGHT AHEAD ’N MAKE A LEFT』(以下『ゴー・ストレート・ア・ヘッド・アンド・メイク・ア・レフト』)は“一気に”聴き通せる名盤である。

 理由は1)曲間の無音が0秒。2)【NIGHTLY YOURS】【MAJI】【HARAMBEE】の代表曲収録。3)【SWING ME A STRIDE】でのウェザー・リポート収録のようなバラエティな楽曲群。

 そのような中で『ゴー・ストレート・ア・ヘッド・アンド・メイク・ア・レフト』)を“一気に”聴き通せる最大の理由は“昔ながらのライブ・レコーディング”。全員が一同に会しての「一発録り」!

 “昔ながらのライブ・レコーディング”を可能にした『ゴー・ストレート・ア・ヘッド・アンド・メイク・ア・レフト』のレコーディング・メンバーは,キーボード・プレイヤーにして今回のプロデューサー,バーナード・ライトのバンドの面々。
 ベーススティーヴン・ティールドラムマイク・フライスハッサン・フライスチャーリー・ドレイトン,そしてナベサダの10年来の盟友でもあるパーカッションスティーブ・ソーントン
 気心の知れたジャマイカ・クイーンズの精鋭たちによる“一糸乱れぬ”グルーヴエナジーが最初から最後まで続いている。

GO STRAIGHT AHEAD 'N MAKE A LEFT-2 そう。『ゴー・ストレート・ア・ヘッド・アンド・メイク・ア・レフト』の聴き所は,渡辺貞夫グルーヴの求心力。「一発録り」は渡辺貞夫ジャズメン魂。

 普段の端正なアルト・サックス。近作のスムーズ・ジャズ寄りの演奏。そんなイメージを打ち破る『ゴー・ストレート・ア・ヘッド・アンド・メイク・ア・レフト』は“世界のネベサダ”による“世界のジャズ・レーベル”ヴァーヴ移籍第1弾。
 バーナード・ライトに捧げられた【NARD’S TIME】の勢いそのまま,ナベサダナード組でマーカス・ミラーと共演してほしかった〜。

  01. Walk Around The Corner
  02. Maji
  03. Nightly Yours
  04. Episode
  05. First Flight (Planet X)
  06. Swing Me A Stride
  07. Nard's Time
  08. Harambee〜Maraika
  09. I'm With You

(ヴァーヴ/VERVE 1997年発売/POCJ-1373)
(ライナーノーツ/渡辺貞夫)

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渡辺 貞夫 / イン・テンポ4

IN TEMPO-1 短命だったファンハウス時代の渡辺貞夫はやりたい放題?
 渡辺貞夫本人の意向が強いのか? レコード会社の意向が強いのか? クリスマス・ライブの『A NIGHT WITH STRINGS』の2枚『VOL.2』『VOL.3』の売れ線・続編。そしてスタジオ録音の2枚『EARTH STEP』と『IN TEMPO』(以下『イン・テンポ』)の名盤・続編。

 名盤FRONT SEAT』の続編が『EARTH STEP』なら名盤ELIS』の続編が『イン・テンポ』。
 そう。『イン・テンポ』は渡辺貞夫のブラジリアン・リターンズ,あるいはセザール・カマルゴ・マリアーノ・リターンズ。渡辺貞夫が“生涯の友”と呼ぶ,セザール・カマルゴ・マリアーノとの“濃密な”コラボレーションが“爆発”している。

 このように書くと『イン・テンポ』は“ブラジル爆発”と思いきや,そうではない。セザール・カマルゴ・マリアーノはワールド・ワイドなスーパー・ミュージシャン。『イン・テンポ』の基本はジャズである。そこにサンバやサルサのエッセンス,ボーカルホーンのエッセンスがフュージョンされている。ここが,ただのブラジル,ではない理由。

 しかし,管理人の『イン・テンポ』への期待は『ELIS』リターンズ。その点で『イン・テンポ』には“期待外れ”の印象が強い。
 テストで90点以上取っている優等生なはずなのに,出来の良い兄がいつも100点取っていたばっかりに弟は劣等生扱いの不運。あぁ,出来の良い兄『ELIS』を持ってしまった弟『イン・テンポ』の不運。どうしても比較してしまうんだよなぁ。セザール・カマルゴ・マリアーノ,どうもすみません。

 『イン・テンポ』の“ブラジル不発”の同時期に“ブラジル爆発”がサッカーW杯。どうしても『イン・テンポ』を聴くとW杯ブラジル優勝を思い出す。いいや,ブラジルが爆発した優勝ではない。ロベルト・バッジョのPK失敗を思い出す。

 どうにもマイナスな印象のブラジルつながりの『イン・テンポ』。本当は星5つなのに星4つの『イン・テンポ』。『イン・テンポ』を最後に渡辺貞夫のファンハウス時代も終了した。おかげで次作『GO STRAIGHT AHEAD ’N MAKE A LEFT』までの3年間,ナベサダの新作が聴けなくなったじゃないですか〜!

IN TEMPO-2 管理人の結論。『イン・テンポ批評

 実力は“エース格”なのに,なにかとマイナスな印象の『イン・テンポ』。『イン・テンポ』は江川と西本の西本聖?
 そう。渡辺貞夫の“不運のエース”アルバム。それが『イン・テンポ』なのである。

PS1 『イン・テンポ』の不運があったからこそ「幸運を呼んだ」『GO STRAIGHT AHEAD ’N MAKE A LEFT』でのヴァーヴ移籍と思います。
PS2 『イン・テンポ』の不運の元凶が【PORTAS FECHADAS(ACOUSTIC VERSION)】のシークレット・トラック。出来が良いのに隠そうとするから…。
PS3 ブラジルつながりのサッカーつながりなのか知りませんが【O BELLMARE】はベルマーレ平塚の応援ソングだそうです。コンサドーレ札幌のT−スクェアの【KNIGHT’S SONG】より印象悪いのもマイナス要因。反省。

  01. A MESSAGE TO BAHIA
  02. EYE TOUCH
  03. FROM THE HEART
  04. IN JERSEY
  05. MEMORIAS
  06. PORTAS FECHADAS (Closed Door)
  07. IN TEMPO
  08. NEW YORK SCENE
  09. KARIBU
  10. O BELLMARE
  11. VITORIA 〜When We Feel The Wind〜
  12. PORTAS FECHADAS (Acoustic Version) [Secret
     Track]


(ファンハウス/FUNHOUSE 1994年発売/FHCF-2177)
(ライナーノーツ/R.B.)

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渡辺 貞夫 / アース・ステップ5

EARTH STEP-1 『EARTH STEP』(以下『アース・ステップ』)での“カッコイイ”ナベサダを是非聴いてみてほしい。
 ナベサダが思いっきり“スタイリッシュ”している。『アース・ステップ』こそ,渡辺貞夫ダンディズム。真に“お洒落”な音楽なのである。

 ズバリ『アース・ステップ』の真実は『フロント・シート』リターンズ! ボーカル曲が2曲で曲順が3曲目と5曲目。そう。『アース・ステップ』はNYでの『フロント・シート』なのである。

 『アース・ステップ』での“振り幅”はもはやスムーズ・ジャズ。バックの音造りが変わったとかレーベルを移籍したとか『アース・ステップ』での渡辺貞夫の変化は大きいが,一番の変化は渡辺貞夫サックス・フレーズ。
 渡辺貞夫ネルソン・ランジェルばりに,エリック・マリエンサルばりに,時にクールに時にパワフルに“イカシタ”サックスを吹いている。いや〜,これが最高に“カッコイイ”。

 フュージョンよりもアドリブが少ないスムーズ・ジャズ。ゆえにスムーズ・ジャズ路線で重要なのはサックスの“音色の美しさ”であろう。“世界一美しい”渡辺貞夫アルト・サックスがさらに“輝きまくっている”。

 『アース・ステップ』で一貫して感じるダンディズムは,若々しいのではなく若い。渡辺貞夫が年齢を忘れて燃え上がっている。『フロント・シート』リターンズに没頭している。
 果たして,勢い余って『フロント・シート』を少々踏み出してしまった。やりすぎの『フロント・シート』〜燃える『フロント・シート』。それが『アース・ステップ』の“個性”だと思う。

 (渡辺貞夫を全部聴いていないので説得力はあれなのだが)渡辺貞夫をずっと追いかけてきて『アース・ステップ』を聴き込んできた頃に,ふと感じたある思い。それは『アース・ステップ』の録音前後が渡辺貞夫の“充実期”だと思ったということ。

 『アース・ステップ』前後の渡辺貞夫は,何をやっても新鮮なアイディアが湧き出ていた。トンガッテルのに全てが受け入れやすいのだ。渡辺貞夫の若さと貫禄がチャレンジへと駆り立てていたと思えてならない。それ程『アース・ステップ』の“個性”を強烈に受け止めたものだった。

 なんだかんだでここまで書いて今気付いた。『フロント・シート』の“二番煎じ”なスムーズ・ジャズ路線なのに,そんなに高評価ではなかったはずなのに,管理人は『アース・ステップ』に一番愛着があるんだと思う。“隠れ”『アース・ステップ』ファンなの? ← もう自分では冷静に判断できない状態なので〜

EARTH STEP-2 管理人の結論(番外編)。渡辺貞夫の音楽指南。

 『フロント・シート』の次の一作は管理人が選んでやる。つべこべ言わずに『アース・ステップ』を聴け! こんなに“カッコイイ”ナベサダを聴き逃してほしくない。

  01. Love Will Make it Right
  02. Earth Step
  03. We'll Never Know
  04. Sangoma
  05. One Night in a Dream
  06. So Do I
  07. Love Song for Africa
  08. Windfall
  09. Lover's Walk
  10. What Do You Say
  11. Till We Meet Again

(ファンハウス/FUNHOUSE 1993年発売/FHCF-2092)

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渡辺 貞夫 / ナイト・ウィズ・ストリングス4

A NIGHT WITH STRINGS-1 並みのジャズメンなら過剰に気合入れすぎな「ウィズ・ストリングス」ものの『A NIGHT WITH STRINGS』(以下『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』)。

 『HOW’S EVERYTHING』で100名のオーケストラと共演した経験がなせる業なのか,それともクリスマス・ライブの雰囲気がそうさせたのか,渡辺貞夫の「ウィズ・ストリングス」は“さらり”。静かに深々と盛り上がる。うあ〜。これは聴いている途中ではなく,聴き終わってから一気にグッと来る。

 渡辺貞夫アルト・サックスが冬の冷たい空気を暖める。会場全体を暖めて行く。
 この日の渡辺貞夫は非ジャズ。アレンジに合わせて慎重に丁寧に楽譜を紡いでいる。この手の演奏は本来管理人の好みではない。しかし『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』は例外で良い。

 (拍手のタイミングがクラシックぽいのでそう感じるのだが)当日のライブ会場にいるかの如く全神経を音だけに集中させる。じっくりと聴き入る。『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』でのスモール・コンボが素晴らしい。まるでスタジオ録音のような完成度の高い演奏集。
 『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』成功の秘訣は2人のコンマス=ピアノ野力奏一ドラムピーター・アースキンの才能にある。共にビッグ・バンドとスモール・コンボの両方で活躍し,ソロ以上に全体のアンサンブルに気を配る“JAZZYな”リズム・セクション。そこにベースの奇才=マーク・ジョンソンが加わり“艶やかな”渡辺貞夫アルト・サックスを引き立てている。
 渡辺貞夫のスモール・コンボが完璧に機能するがゆえに,バックのストリングスとも高レベルで調和が図られているのだと思う。

A NIGHT WITH STRINGS-2 単純に年を喰ってきたせいだろうが,最近,控え目でクドクない“リッチなジャズ”を好むようになってきた。『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』のような“キレイ系”な「ウィズ・ストリングス」にハマルと“一音入魂”に“命を削る”アドリブへの興味が失せてくるように思う。

 だんだんとスロー系。『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』が流れるスロー・ライフ。管理人は『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』と一生お付き合いする予定である。

  01. I THOUGHT ABOUT YOU
  02. BEAUTIFUL LOVE
  03. THE CHRISTMAS SONG
  04. IN THE WEE SMALL HOURS OF THE MORNING
  05. TOKYO DATING
  06. STOLEN MOMENTS
  07. ECHO
  08. HERE THERE AND EVERYWHERE
  09. VIOLETS FOR YOUR FURS
  10. LOVE WALKED IN
  11. ONE FOR JOJO −Dedicated to Masayuki
     Takayanagi−


(エレクトラ/ELEKTRA 1993年発売/WPCP-5250)

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渡辺 貞夫 / フロント・シート5

FRONT SEAT-1 70年代の渡辺貞夫ジャズだった。80年代の渡辺貞夫フュージョンだった。
 そして1989年の渡辺貞夫は『FRONT SEAT』(以下『フロント・シート』)。『フロント・シート』は渡辺貞夫の未来をも指し示している。

 そう。『フロント・シート』は渡辺貞夫の過去と現在と,そして未来をも結ぶ集大成。
 ズバリ,渡辺貞夫は『フロント・シート』を造り上げるために音楽活動を続けてきたのだ。渡辺貞夫の全ての道は『フロント・シート』に通じている。間違いない。

 『フロント・シート』の渡辺貞夫ジャズでもフュージョンでもない。正に“ザ・渡辺貞夫”というカテゴリーで呼ぶにふさわしい“渡辺貞夫な”渡辺貞夫であり“渡辺貞夫中の”渡辺貞夫! そうとしか表現する言葉が見当たらない。

 『フロント・シート』でのアコースティックエレクトリックの絡み。ボーカルと伴奏の絡み。アルト・サックスソプラニーニョの絡み。緊張感とリラックスの絡み。メジャーとマイナーの絡み。日本とアメリカの絡み。
 繰り返す。『フロント・シート』の全てが“渡辺貞夫な”渡辺貞夫であり“渡辺貞夫中の”渡辺貞夫なのである。

 真に渡辺貞夫は格調が高い。日本人ジャズメンの誇りである。渡辺貞夫アルト・サックスには“和”を感じる。勿論,第一の“和”は大和魂のことであるが,第二の“和”は仲間である。

 『フロント・シート』の完璧なバランス。毛色の異なるプロデューサーが3人参加しているとはにわかに信じ難い統一感。リズム隊もフロントも個性豊かにメロディアス。
 渡辺貞夫サックスで“歌う”。パティ・オースティン以上に“歌っている”。ジョージ・デュークロビー・ブキャナンラッセル・フェランテの指示の元,渡辺貞夫サックスで“歌う”とパティ・オースティンは勿論のこと,ポール・ジャクソンJR.エイブラハム・ラボリエルジミー・ハスリップジェフ・ポーカロカルロス・ベガジョン・ロビンソンアレックス・アクーニャポリーニョ・ダ・コスタオスカー・カストロ・ネヴィスニール・スチューベンハウスたちもが歌い出す。
 もはや『フロント・シート』のサウンドは「チーム・ナベサダ」という“和”の結晶なのである。

FRONT SEAT-2 “和”の中心である渡辺貞夫のあの“世界最高の音色”に惹かれてのことか,あるいは渡辺貞夫の人柄に惹かれてのことだろうか,どちらにしても最初の一音で綺麗に全員が溶け合っていく。
 全てはナベサダの“人徳”に尽きる。人肌を感じる。温もりを感じる。優しい音で“身も心も”包まれていく。

 管理人も本当に幸福なことに『フロント・シート』の“和”の中に入ることができた。単純に『フロント・シート』のライブを体験できた。とにかく感動で心の震えが止まらなかった。
 あの「ザ・クラブ」でのライブから23年。『フロント・シート』が流れると,いつでもどこでも感動で心が震えてしまう。

 管理人の結論。『フロント・シート批評

 渡辺貞夫は『フロント・シート』に始まり『フロント・シート』に終わる。“最高傑作”『エリス』をも『フロント・シート』が包含する。そしてナベサダ未来の大傑作までをも…。

 管理人にとって『フロント・シート』こそ,男のロマンなのです。

  01. SAILING
  02. ONE MORE TIME
  03. ONLY IN MY MIND
  04. MILES APART
  05. ANY OTHER FOOL
  06. ON THE WAY
  07. ANGA LA JUA (Place In The Sun)
  08. WILD FLOWERS
  09. FRONT SEAT
  10. TAKIN' TIME

(エレクトラ/ELEKTRA 1989年発売/29P2-2785)

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渡辺 貞夫 / SELECTED5

SELECTED-1 渡辺貞夫の『SELECTED』。何とも素晴らしい渡辺貞夫のセルフ・セレクテッド

 管理人はベスト盤は買わない主義。理由はどこかの記事で書いたはずだが,要は全ディスコ・グラフィを集めたら不要品でしょ?
 だからベスト盤は未発表テイクがなければ買わない。でも1曲でも未発表テイクがあれば買ってしまう単純男。レコード会社の戦略にまんまと乗せられている自覚はあります。分かっちゃいるけど,悔しいのだけど,それでも買っちゃうファンのサガ。AKBファンの気持ち,よ〜く分かりますよっ。

 そんなアンチ・ベスト盤派な管理人が絶賛したい,渡辺貞夫の『SELECTED』。レコード会社の戦略は丸見えである。
 エレクトラ・レーベル移籍後だけのセレクション。ゆえに『BEST』ではなく『SELECTED』なのだろう。『BEST』にしたら渡辺貞夫本人もナベサダ・ファンも不買運動勃発の危機回避能力。この点はエレクトラへの品格を感じた。

 しかし,エレクトラの商魂は『SELECTED』全15曲中5曲の未発表テイクに表われている。
 渡辺貞夫の“定番”であろうフライング・ディスク時代の3トラック=【マイ・ディア・ライフ】【カリフォルニア・シャワー】【オレンジ・エクスプレス】。そのうち【マイ・ディア・ライフ】はスタジオ録音での【ヴォーカル・ヴァージョン】と【インストゥルメンタル・ヴァージョン】の2トラック収録。【カリフォルニア・シャワー】と【オレンジ・エクスプレス】はライヴ録音【ライヴ・ヴァージョン】の2トラック収録。【メイド・イン・コラソン】は【アンリリース・ヴァージョン】。王道戦略である。

 そして,これはエレクトラが意図したわけではないのだがエレクトラ時代の廃盤戦略。いつのまにかナベサダの旧譜が店頭から消えてしまった。そんで買うなら『SELECTEDセレクションになるのでしょう。

 …と,アンチ・ベスト盤派としてのネガティブな意見を書き連ねてみたが,結果『SELECTED』はありがたい。「あいててよかった」セブン・イレブン→セブン・イレブン「いい気分!」 ちなみに管理人はローソン派。理由は家から10mと無線LAN。ほぼ毎日通っている。

SELECTED-2 …と,アンチ・ベスト盤派を撤廃したかのようなポジティブ意見を書き連ねてみたが,結果『SELECTED』はありがたい。管理人の『SELECTED』は「購入費ゼロ円&ゴールドCD盤仕様&全国放送で小林克也に名前を呼んでいただいた」盤。

 ジャジャーン,管理人の『SELECTED』はFM東京「マイ・ディア・ライフ」での「ゴールドCD・プレゼント当選盤」なのであります。当選発表がラジオから流れた後で弟から「絶対応募していると思った」と言われてしまったのだが,別にいいじゃ〜ん。

 管理人の結論。『SELECTED批評

 ここまで肝心の音楽の中身について全く触れない記事も我ながら珍しい! それは『SELECTED』が「問答無用」の名曲揃いだ・か・ら! 新録も最高な星5つ!

  01. MY DEAR LIFE (Vocal Version)
  02. SAY WHEN
  03. RENDEZVOUS
  04. ROAD SONG
  05. TIP AWAY
  06. GOOD TIME FOR LOVE
  07. DESERT RIDE
  08. ROUND TRIP
  09. PASTORAL
  10. SALVADOR
  11. MADE IN CORACAO
  12. ELIS
  13. CALIFORNIA SHOWER (Live Version)
  14. ORANGE EXPRESS (Live Version)
  15. MY DEAR LIFE (Instrumental Version)

(エレクトラ/ELEKTRA 1988年発売/43P2-0015)
(☆ゴールドCD盤仕様)

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渡辺 貞夫 / エリス5

ELIS-1 『ELIS』(以下『エリス』)こそ渡辺貞夫最高のヒット作(アメリカ「ラジオ&レコード」誌ジャズ・チャート4週連続第1位! あくまでランキング上の最大ヒット。セールス枚数で語ったら『エリス』ではなく『カリフォルニア・シャワー』か『ランデブー』だったのでは?)。
 ズバリ,ヒットしたからというわけではないが,管理人の選ぶ渡辺貞夫“最高傑作”は『エリス』である。

 『エリス』は渡辺貞夫20年振りのブラジル・レコーディング。キーワードはエリス・レジーナである。
 『エリス』の真実は“ブラジルの歌姫”エリス・レジーナへの追悼盤。渡辺貞夫は1979年の「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」でエリス・レジーナのステージに飛び入り参加するほどの大ファン。終演後のパーティーで一緒にアルバムを作る約束を交わしていたが,その16年後にエリス・レジーナの元夫=セザール・カマルゴ・マリアーノとの共演でエリスとの約束を果たすことに…。

 『エリス』のレコーディング・メンバーはキーボードセザール・カマルゴ・マリアーノギターエイトール・テイシェイラ・ペレイラベースニコン・アスンサゥンドラムパウリーニョ・ブラーガパーカッションパペーチ,そしてゲスト参加でギターボーカルの“大御所”トッキーニョ

 ヤバイ。トッキーニョ以外誰も知らない。ブラジルだから,まぁいいか〜。なんて気持ちで『エリス』を聴いてびっくらこいた。
 上手い。上手すぎる〜。期待度マイナスからのNY超え〜。NYの一流スタジオ・ミュージシャンのハイレベルをも凌駕している。サッカー王国ブラジルは音楽王国でもあったのだ。こんなに無名の凄腕ジャズメンが,未だ国内で活動しているとは大ショック。

 “音楽センスの塊”集団=王者ブラジル。管理人にとって『エリス』は,音楽王国ブラジルの底力,裾野の広がりや底辺の深さを感じるきっかけCD。アメリカでもチャート1位取るはずだわ。

 …と書くと演奏テクニックのことだと思われるかもしれないが,管理人が言いたいのはそういうことではない。歌なのだ。歌心なのだ。『エリス』を聴いていると涙が出てくる。悲しくなんてない。感動してしまう。心が震えて止まらない。

 バラードの【ELIS】だけではない。トッキーニョとの【O QUE PASSOU PASSOU】だけでもない。【PASSO DE DORIA】と【MANHATTAN PAULISTA】の極上リズムに腰をくねらせ泣いてしまう。どうしようもなく泣けてくる。

ELIS-2 管理人の結論。『エリス批評

 『エリス』の魅力は“愛”である。音ではなく愛が鳴っている確かな感覚がある。『エリス』を聴くたび渡辺貞夫の“大きな大きな愛”に優しく包まれてしまう。心の奥底がジンジン温かくなっていく。

 この渡辺貞夫の“ほっかり”感覚。やっぱり『エリス』の魅力は“ブラジルの渡辺貞夫”なんだよなぁ。管理人の大好きなパット・メセニーウェイン・ショーターもブラジルに行った。管理人もこれからブラジルに行こうと思います。

  01. QUILOMBO
  02. PASSO DE DORIA
  03. ELIS
  04. MANHATTAN PAULISTA
  05. O QUE PASSOU PASSOU
  06. PACIENCIA

(エレクトラ/ELEKTRA 1988年発売/WPCL-10647)

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渡辺 貞夫 / トーキョー・デイティング4

TOKYO DATING-1 ライブ盤=『パーカーズ・ムード』と同メンバーによる,同じくストレート・アヘッドなスタジオ録音盤。それが『TOKYO DATING』(以下『トーキョー・デイティング』)である。

 一般には『パーカーズ・ムード』と『トーキョー・デイティング』は姉妹盤であるが,管理人的には受け入れられない。同じメンバー,同じ音楽路線,しかも2日後の演奏なのに,ここまで違うものなのか?
 ズバリ,アンチ姉妹盤の根拠はナベサダの演奏である。ナベサダアルト・サックスが“軽い”のだ。

 『パーカーズ・ムード』と『トーキョー・デイティング』で“世界のナベサダ”と共演するのは,ジェームス・ウィリアムスピアノチャーネット・モフェットベースジェフ・ワッツドラム
 そう。当時“売り出し中”のNYの精鋭たちとの“世代間”セッションナベサダも年齢差など意識できないくらいの圧倒的な3人の演奏力。ナベサダが「最近の若手は凄い!」と“眼を白黒させながら”必死に先頭を突っ走っている。

 しかし,ナベサダアルト・サックスが“軽い”。若手に乗せられすぎたのか? あるいは張り切りすぎてしまったのか? “世界のナベサダ”の威厳を感じない。どちらかと言うとチャーネット・モフェットの“ぶっとい”ベースの方に貫禄を感じてしまう。

 この『パーカーズ・ムード』と『トーキョー・デイティング』の“差”はライブゆえの気迫の“差”なのだろう。重鎮らしい『パーカーズ・ムード』のアルト・サックスが『トーキョー・デイティング』の“軽い”アルト・サックスよりも100倍良い。

TOKYO DATING-2 最後にワーナーさんへの感謝と苦言を。

 ずっと廃盤となっていたエレクトラ時代の渡辺貞夫を再発していただき感謝いたします。ただし残念ながら『トーキョー・デイティング』はテープの音移りが激しいです。お目当ての【LOVE SONG】があれでは…。何とかもう一頑張りしてきれいに除去できなかったものかと…。
 真面目に『トーキョー・デイティング』の音移りがなかったら全作揃えるつもりでしたのに…。

  01. TOKYO DATING
  02. ECHO
  03. NIGHT PIECE
  04. HIP WALK
  05. PAGLIACCI
  06. A CHILD IS BORN
  07. DINDI
  08. SONG OF THE JET
  09. LOVE SONG

(エレクトラ/ELEKTRA 1985年発売/WPCL-10643)

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