アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2012年08月

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ / アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド Vol.14

AT THE JAZZ CORNER OF THE WORLD VOL.1-1 『モーニン』でファンキー・ジャズの“先頭に立った”ジャズ・メッセンジャーズの“本拠地”バードランドでのライブ盤=『AT THE JAZZ CORNER OF THE WORLD VOL.1』(以下『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1』)。

 流石に素晴らしい。文句なしの名演である。『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1』特有の聴き所は,ジャズ・メッセンジャーズのリーダー=アート・ブレイキーのリーダー・シップ。
 試しにアート・ブレイキーのバスドラを追いかけてみるとジャズ・メッセンジャーズの音楽性がアート・ブレイキーの“上げ下げ”に多分に負っていることがよ〜く分かる。“盛り上げたいのか? じっくり聞かせたいのか? アドリブを聞かせたいのか? アンサンブルを聞かせたいのか”がよ〜く分かる。

 なぜなら『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1』は『モーニン』の“新・音楽監督”テナー・サックスベニー・ゴルソン脱退直後のバードランドライブベニー・ゴルソンファンキー・ジャズを“置き土産”にジャズ・メッセンジャーズを去り,トランペッターアート・ファーマージャズテットの結成に動く〜。この手の引き抜き,ジャズ・メッセンジャーズでは“よくあること”なのです。

 ゆえに『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1』特有の聴き所は,アート・ブレイキーのリーダー・シップ。アート・ブレイキーが“色濃い”のでアート・ブレイキードラム好きには『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1』と『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.2』が超お奨めです。アート・ブレイキーの揮う“タクト”の強力な推進力に踏み潰されてしまいそう。

AT THE JAZZ CORNER OF THE WORLD VOL.1-2 勿論,ピアノボビー・ティモンズトランペットリー・モーガンベースジミー・メリットも絶好調ですよっ。『モーニン』派のジャズ・メッセンジャーズ・ファンなら『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド』=別名『バードランドの夜・パート2』でのファンキー・ジャズライブは聴くっきゃありません。でも様子見とはいえ『モーニン』からの楽曲がなんで1曲も演奏されないの〜。

 管理人の『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド』への苦言はこのセットリストの1点のみ。逆に言えばヒット曲が入っていないにも関わらずこんなに楽しめるのが不思議な気分。ハンク・モブレーの書く曲も水準以上の佳曲揃い。ベニー・ゴルソンが退団しウェイン・ショーター入団前の“急造・陥没期”にして,充実のジャズ・メッセンジャーズこそ「NO.1コンボ」の証し。

 そう。『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.1』と『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド VOL.2』の2枚はジャズ・メッセンジャーズの“隠れ名盤”襲名盤。
 実に強力で「これぞハード・バップ&ファンキー」的な熱い演奏がたっぷり楽しめま〜す。

  01. HIPSIPPY BLUES
  02. JUSTICE
  03. THE THEME
  04. CLOSE YOUR EYES
  05. JUST COOLIN'

(ブルーノート/BLUE NOTE 1959年発売/TOCJ-4015)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,上条直之,森田敏文)

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アート・ブレイキー / コンプリート・バードランドの夜 Vol.25

A NIGHT AT BIRDLAND, VOL.2-1 『A NIGHT AT BIRDLAND,VOL.2』(以下『コンプリート・バードランドの夜 VOL.2』)を聴き込むにつれある思いが湧き上がった。
 これって紛れもないライブ盤なのに,どうにもこうにもスタジオ録音っぽい。ジャズ・マニアな読者の皆さんに同じような感想を抱いた方はおられませんか?

 というのも,荒削りな部分というか? ハプニング性というか? 無駄な部分がないというか? とにかく素晴らしい構成力。事前にリハーサルがあったにしても,こんなに熱狂的にしてバランスの良いライブ演奏は奇跡だと思うのだ。
( 注:こんな感想を抱く=すなわちチャーリー・パーカーな「即興芸術」ビ・バップではなく,分かりやすいビ・バップ「ハード・バップ」誕生の瞬間なのでしょうね。意図せずにもう結論が出てしまいましたが,管理人は『バードランドの夜』=「ハード・バップ誕生派」ではありませんので,別の結論登場のくだりまでもう少々お付き合いを… )

 『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』と『コンプリート・バードランドの夜 VOL.2』の2枚はアート・ブレイキーの個人名義作であるが,その実体はリーダー不在のクインテット。音楽的リーダーはアート・ブレイキーではなくホレス・シルヴァーという見解が一般的である。しかし『バードランドの夜』=ホレス・シルヴァーの音楽でもないような気がしてどうにも納得いかない。

 『バードランドの夜』で“気配漂う”アート・ブレイキーでもホレス・シルヴァーでもない「陰の総監督」の存在。そう。『バードランドの夜』を支配している“黒幕”はブルーノートの社長=社長と呼ぶよりもブルーノートの全てであるアルフレッド・ライオンの個性を強烈に感じるのだ。
 例えるなら,テオ・マセオが作り上げたマイルス・デイビスに似たようなものである。

 そう。アート・ブレイキーの側には常にアルフレッド・ライオンがいた。最初からいた。『バードランドの夜』からアルフレッド・ライオンがいたのだ。
 アルフレッド・ライオンと言えば,ブルーノートの社長としてジャズで商売したのではない。ブルーノートという会社の立場を利用して,ジャズ・ファンとしての自身の欲望を追い求めた人物。言わば「ジャズの最前線で活躍した偉大なアマチュア」であった。

 そんなアルフレッド・ライオンの“趣味丸出しな”プロデュースだからこそのアート・ブレイキー名演であり,ホレス・シルヴァー名演であり,クリフォード・ブラウン名演であり,ルー・ドナルドソン名演であり,カーリー・ラッセル名演なのである。
 アルフレッド・ライオンの一番人気を集めたクインテットだからこその『バードランドの夜』なのである。ジャズが身近に感じられる“成功の秘訣”なのである。

 『バードランドの夜』というタイトル通り『バードランドの夜』は「更け」の名演集。しかし管理人には『バードランドの夜』は「明け」の名演集。
 『バードランドの夜』はジャズ・ファンであればある程楽しめる。聴けば聴く程,ワクワク,ゾクゾク,血潮がたぎる。眠る前に聴いてしまうと興奮して寝つきが悪くなる。一日の始まりに聴くと元気が出る。元気が漲る“パワー・チャージ”な怒涛のジャズ

A NIGHT AT BIRDLAND, VOL.2-2 管理人の結論。『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』&『コンプリート・バードランドの夜 VOL.2批評

 『バードランドの夜』はアルフレッド・ライオンの音。ブルーノートの音。最強のジャズ・ファンの願望の音。
 アルフレッド・ライオンを聴いて30年。ブルーノートを聴いて30年。『バードランドの夜』こそ,未だに“冷静に熱狂できる”スタジオ盤なライブ盤の“最右翼”。とにかくアルフレッド・ライオンの構成力が素晴らしい。ホントにいいんだってばぁ〜。

PS 『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1批評を読んで『コンプリート・バードランドの夜 VOL.2批評での「ウンチク祭り」を期待した読者の皆さんがいらしたのでしたらごめんなさい。『コンプリート・バードランドの夜 VOL.2批評の本文はアドリブログでしか読めない内容にまとめてみました。理由はいろいろと書き始めたら大長文になりそうな予感がしましたし,書こうと思った「ウンチク祭り」はプロのジャズ批評家さんの受け売りっぽくなりそうなのが嫌なので。いいや,本音はこれから続くブルーノート名盤批評に「ウンチク祭り」の前例を作りたくなかったので。将来を見越して3時間分の執筆努力をごっそり割愛。めでたいめでたい。おめでとう。by エヴァンゲリオン風。

  01. WEE-DOT
  02. IF I HAD YOU
  03. QUICKSILVER (alternate take)
  04. NOW'S THE TIME
  05. CONFIRMATION
  06. THE WAY YOU LOOK TONIGHT
  07. LOU'S BLUES

(ブルーノート/BLUE NOTE 1954年発売/TOCJ-7082)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,原田和典)

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アート・ブレイキー / コンプリート・バードランドの夜 Vol.15

A NIGHT AT BIRDLAND, VOL.1-1 アート・ブレイキークインテットを名乗るアート・ブレイキー個人名義の大名盤A NIGHT AT BIRDLAND,VOL.1』(以下『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』)。
 管理人は『モーニン』派なのだが,頑固者なジャズ・マニアには『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』(あるいは『コンプリート・バードランドの夜 VOL.2』)派が多数である。

 ゆえに『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』の紹介には尾ひれが付く。例えば「ジャズ・メッセンジャーズ結成前夜,ジャズ・メッセンジャーズの事実上の出発点,ハード・バップ誕生のドキュメント」…。
 全てのコピーが「的を得ている」のは認めます。でもでも,いかにも歴史的名盤扱い,なのがどうにもこうにも勿体無い。

 そう。『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』は「音・音・熱気」なのである。事実『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』を前にしたジャズ・ファンは皆,膨大な知識や理屈やコレクションの全てが「アート・ブレイキーの一発の爆音によって吹き飛ばされる」ことを身を持って経験したことと思う。
 ゆえに『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』の紹介の際は,予備知識など何にも与えず,ただの一言「これ聞いてみろ」!で決まりである。リスナーは「アート・ブレイキーの一発の爆音」にひれ伏すのみ。
 そう。“理屈抜きに身体が揺れる圧倒的なグルーヴ”。それが『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』最大の魅力なのだ。

 『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』を初めて耳にした人は「このトランペッターって誰? このサックス・プレイヤーって誰?」。そう思うに違いない。そしてそう思った瞬間,新たなジャズ・マニアの誕生である。後は放っておいても自分勝手にクリフォード・ブラウンルー・ドナルドソンを“漁り出す”。
 事実,管理人が生き証人。放っておいても“芋ずる式”。放っておいても『バードランドの夜 VOL.1』に別テイクが入ったと聞けば『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』へと買い直し,RVG盤(ジャズ界“伝説の”録音技師=ルディ・ヴァン・ゲルダー本人による24ビットリマスタリング盤)が出ると聞けばまた買い直す〜。紙ジャケット盤も持っているのに買い直す〜。もはや完全に病気の領域〜。

 だ・か・ら全てのジャズ・マニアにお願いである。ジャズ入門者へ『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』を勧める時には,変な予備知識をひけらさないでほしい。素直に「音・音・熱気」に触れさせてあげてほしい。切にそう願う。

A NIGHT AT BIRDLAND, VOL.1-2 ゆえに『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1批評は記しません。これが管理人の「こだわり」であり「譲れない一線」なのです。ご了承ください。

 でもこう書かれると気になる?(って,詳細を書き記して全ての欲求を吐き出したいもう一人の自分がいるのも事実です)
 どうしても『コンプリート・バードランドの夜 VOL.1』のウンチクが気になるのなら『コンプリート・バードランドの夜 VOL.2批評の記事をご覧ください。

  01. Announcemwnt by Pee Wee Marquette
  02. SPLIT KICK
  03. ONCE IN A WHILE
  04. QUICKSILVER
  05. A NIGHT IN TUNISIA
  06. MAYREH
  07. WEE-DOT (alternate take)
  08. BLUES

(ブルーノート/BLUE NOTE 1954年発売/TOCJ-7081)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,原田和典)

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渡辺 貞夫 / イントゥ・トゥモロー5

INTO TOMORROW-1 『INTO TOMORROW』(以下『イントゥ・トゥモロー』)を聴いて渡辺貞夫のことが益々大好きになった。ナベサダを聴き続けてきて本当に良かったと思った。
 “ジャズメン”渡辺貞夫の音楽に触れて心の底から真に幸福を感じた。

 “世界のナベサダ”である。御年76歳である。通算70枚目である。6年ぶりの新録である。渡辺貞夫の素晴らしいキャリアをして,まだまだ衰えぬ創作意欲。 大ベテランなのだから気心知れたビッグ・ネームたちとジャズ・スタンダードでも吹き込んでも良さそうなのに…。

 2000年以降はカメルーンの“天才ベーシストリチャード・ボナとのコラボ3作。そして今回の『イントゥ・トゥモロー』では,ピアノジェラルド・クレイトンベースベン・ウィリアムスドラムジョナサン・ブレイクのNYの若手3名とのコラボである。テイストとしては『パーカーズ・ムード』リターンズなのである。

 『イントゥ・トゥモロー』で聴こえるナベサダのフレーズが若い。孫ほど年の離れた“旬の若手”に溶け込んでいる。ナベサダのチャレンジは今もフツフツと続いていたのだ。
 そう。『イントゥ・トゥモロー』には“現在進行形”の渡辺貞夫が記録されている。定位置に安住することを拒み続け常に高みを目指す“少年の心”が記録されている。

 『イントゥ・トゥモロー』は,ピュアなアコースティック・ジャズであり“静かな”4ビートが主役である。
 “静かな”4ビートと書いたのには3つの理由がある。その1つはジェラルド・クレイトンベン・ウィリアムスジョナサン・ブレイクの“若手らしからぬ”円熟の演奏力である。

 渡辺貞夫のやりたいことを理解して渡辺貞夫に“寄り添う”付かず離れずの演奏はベテラン顔負け? 何でも出来るテクニックであるはずなのに,超絶技巧をひけらかすことなく,しゃしゃり出ず「ナベサダ・ジャズ」を主役に据えている。
 パワーや勢いでグイグイ来るのではなく若手に似つかぬ“奇をてらわない”アドルブ。手数の少ない“いぶし銀な”アドルブ。そんな円熟の演奏力が相まって“歌心ある4ビート”が真っ直ぐに伝わってくる。いい演奏だと思う。この若手3人の演奏力に満足感や充実感を覚えてしまう。

 “静かな”4ビート。その2つ目の理由はジャケット写真。『イントゥ・トゥモロー』のジャケット写真にECMをイメージしてしまう。実に清らかなライト・ブルー。渡辺貞夫に「菩薩の霊」が乗り移る。シンプルだがセンスを感じるヨーロピアン・ジャズのようなジャケット写真。
 『イントゥ・トゥモロー』のジャケット写真に「音楽の桃源郷への招待状」を思い重ねる。

 “静かな”4ビート。その3つ目の理由は“やっぱり”ナベサダアルト・サックスの美しさ。どんなに哀しい曲であっても慰めを受ける。希望を抱ける“陽だまり”のような“ポカポカ”な世界一美しいアルトの音色。
 この美しい音色にヨーロピアン・ジャズをイメージするのかもしれないが,颯爽と吹き抜けるフレージングに渡辺貞夫の人柄を感じる。何があってもどんな時でも満面の笑み。“静かに”笑っていてくれるだけで救われる思いがする。

INTO TOMORROW-2 管理人は『イントゥ・トゥモロー』を初めて聴いた夜に涙した。何とも懐かしい子供の頃の思い出が去来したのだ。心の奥に抑えていた感情が沸き上がってきた。何とも幸せな夜だった。こんな幸福をずっと噛み締めていたい。

 (ソニー・ロリンズジョン・コルトレーンは別格として)矢野沙織が好きだ。本田雅人が好きだ。ウェイン・ショーターが好きだ。デヴィッド・サンボーンが好きだ。ケニー・ギャレットが好きだ。
 この5人と比べると渡辺貞夫は,正直,そうでもなかった。でも『イントゥ・トゥモロー』を聴いて強烈に次のことを意識した。管理人のソバにはいつでも渡辺貞夫がいた。うれしい時も悲しい時も,山あり谷あり,渡辺貞夫を聴いて育った。

 管理人の残りの人生のワン・シーンにもきっと渡辺貞夫がいてくれる。部屋の隅っこ,散らかった山積みCDの一番下からでも優しく見守っていてくれる。何の変化もない退屈な日常にも流れている。暮らしの音としての渡辺貞夫…。
 こんなジャズメンと出会えたなんて,何と素敵なことだろう…。何と幸せなことなのだろう…。音楽って素晴らしい…。

 『イントゥ・トゥモロー』は『パーカーズ・ムード』には及ばない。『エリス』の感動には到底及ばない。でもじんわり来る。他の何物にもなくじんわり来る。
 『イントゥ・トゥモロー』こそ,管理人指折りの愛聴盤である。

  01. Butterfly
  02. Tree Tops
  03. Study in Pit Inn
  04. If I Could
  05. Times Ago (For Tibetan People)
  06. What Second Line
  07. Not Quite a Samba
  08. Song of May
  09. Itapua (On the Beach)
  10. Train Samba
  11. Into Tomorrow

(ビクター/JVC 2009年発売/VICJ-61608)
(ライナーノーツ/渡辺貞夫)

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渡辺 貞夫 / ベイシーズ・アット・ナイト4

BASIE'S AT NIGHT-1 最高のハコで最高の仲間と最高の演奏。目の前には最高の観客がいる。渡辺貞夫にとって『BASIE’S AT NIGHT』(以下『ベイシーズ・アット・ナイト』)はそんな最高なCDであろう。

1)最高のハコ=理想のライブ・ハウス=日本一のジャズ喫茶ベイシー」。しかも勝手知った定期公演。信用しているオーナー・菅原正二氏の「完璧な段取り」がある。
2)最高の仲間=渡辺貞夫のレギュラー・クインテットピアノ小野塚晃ベース納浩一ドラム石川雅春パーカッションンジャセ・ニャン。長年連れ添った者同士の絶妙なコンビネーションがある。
3)最高の演奏=ナベサダのルーツを網羅するビ・バップ,ボサノバ,カリプソ,アフリカ,フュージョンスタンダードバラード。そのどれものが“ナベサダ”の代表曲である。アルト・サックスが“甘い音色でスイング”している。
4)最高の観客=ナベサダをフォローし続け,毎年「ベイシー」でのライブに足を運び続けるお客さんとスタッフたち。一音足りとも聴き逃すまいとする「拝聴」の姿勢にナベサダがいつも以上に乗せられている。

 ライブ・レコーディング日の「ベイシー」は“特別な空間”。渡辺貞夫が“聖地に立つ”〜。正しく『ベイシーズ・アット・ナイト』。
 アットホームなホームタウンでのライブであるにも関わらず,渡辺貞夫は決して手を抜いたりしない。それどころか渡辺貞夫の“気合テンコ盛りな”アルト・サックスのパルスがビシバシ飛んでいる。演奏を上手にまとめることを敢えてせず,音色やフレーズを含めた「いい音」をひたすら追い求めたナベサダ流“チャレンジ”のドキュメントなのである。
 カットなしのセットリスト全17曲収録なのがうれしすぎる〜。ミス・タッチも含めて発せられた全ての音が“JAZZ”なのだ〜。

 そんな“理想のライブCD”『ベイシーズ・アット・ナイト』なのだが,管理人の評価は星4つ。だって「最高のハコ+最高の仲間+最高の演奏+最高の観客」なはずなのに,肝心の感動が今一つ伝わってこないのだ。

 ライブCDが本当のライブに勝るなど,初めから思ってやいない。でも出来の良いライブ盤には本当のライブでは体験できない“サプライズ”がある。
 例えば,本当のライブでは聞こえないジャズメンの息遣いが聞こえる。本当のライブでは数十メートル先で演奏しているはずなのにまるで目の前で演奏しているかのような大迫力。本当のライブではドラムの音量が大きいのにバランスよく調整されたミキシング ETC。

 なのに『ベイシーズ・アット・ナイト』は,渡辺貞夫クインテットとの距離を感じてしまう。渡辺貞夫が遠く感じてしまう。ナベサダとの関係が希薄になった気がした。
 原因は多分レコーディングのせい。どうにも『ベイシーズ・アット・ナイト』の音質が耳に合わない。ズバリ,デッドすぎる。
 「臨場感」「解像度」「ダイナミックレンジ」「空間の表現」の4つを欲張って詰め込んで録音しているが,この4要素が上手く折り合っていないというか,残響が少ない分,聞こえなくても良いところまで聞こえてしまっている。結果,楽器の輪郭が貧弱で,渡辺貞夫の意図した“音空間”を上手に捉えきれていない。本当のところプレスされた『ベイシーズ・アット・ナイト』の音質を菅原正二氏が,どう感じているのか,気になるところである。

BASIE'S AT NIGHT-2 管理人の結論。『ベイシーズ・アット・ナイト批評

 聴いていて“入り込めない”ライブ盤ほど退屈なものはない。『ベイシーズ・アット・ナイト』では渡辺貞夫クインテットに共感できない。せっかくのCD2枚組が逆に憎らしく思えてしまう。

 管理人の『ベイシーズ・アット・ナイト』の楽しみと言えば,ピアノ小野塚晃ドラム石川雅春の「DIMENSION勢」の演奏力。特にナベサダ小野塚晃デュエットカリニューゾ】だけはヘビーローテーション。
 フュージョンではなく“JAZZYな”DIMENSIONを勝手にイメージして楽しんでいま〜す。

  DISC 1
  01. ONE FOR YOU
  02. PLUM ISLAND
  03. I'M OLD FASHIONED
  04. ALALAKE 〜 LOPIN'
  05. TEMBEA
  06. DEEP IN A DREAM
  07. MAJI

  DISC 2
  01. BYE BYE BABE
  02. BASIE'S AT NIGHT
  03. LIFE IS ALL LIKE THAT(FOR SNOOPY & HIS
     FRIENDS)

  04. SEE WHAT HAPPENS
  05. CALL ME
  06. MANHA DE CARNAVAL
  07. EPISODE
  08. KARIBU 〜 ORANGE EXPRESS
  09. HARAMBEE
  10. CARINHOSO

(ビクター/JVC 2007年発売/VICJ-61508-9)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/菅原正二,渡辺貞夫)

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渡辺 貞夫 / SADAO & CHARLIE AGAIN3

SADAO & CHARLIE AGAIN-1 渡辺貞夫チャーリー・マリアーノの40年振りの共演盤。そのように『SADAO & CHARLIE AGAIN』を紹介したい所であるのだが…。

 『SADAO & CHARLIE AGAIN』の真実は,渡辺貞夫チャーリー・マリアーノの共演盤ではなく,勿論競演盤であるはずもなく,渡辺貞夫が一歩引いた「渡辺貞夫フィーチャリングチャーリー・マリアーノ」である。

 そう。手間のかかる下地均らしは渡辺貞夫が一手に請負い,目立つパート&おいしいフレーズを全部チャーリー・マリアーノへ「渡している」。渡辺貞夫チャーリー・マリアーノへ「花を持たせている」。「まだまだ学ばせていただきます」とばかりに渡辺貞夫が低姿勢でチャーリー・マリアーノを「持ち上げている」。

 そんな名パサーと化した渡辺貞夫が“生き生きと”演奏している。渡辺貞夫にとって,友人にして恩師(バークリー音楽院時代の先生!)でもあるチャーリー・マリアーノと同じステージに立てるのであれば,例えば“名も無い”ブラス隊の一員でも良かったことだろう。
 チャーリー・マリアーノと一緒にアルト・サックスを奏でられる喜び。渡辺貞夫の嬉々とした喜びが伝わってくる。2本のアルトで同じ音を合わせる喜び。ハモッタ瞬間の快感。まるで2人の鼓動まで同期しているようである。

 ただし,渡辺貞夫チャーリー・マリアーノのユニゾンが聴けるのは極わずか。録音時,チャーリー・マリアーノは82歳。72歳の渡辺貞夫はまだまだいけるとしてもチャーリー・マリアーノはさすがに息が続かない。休み休みしながら,ここぞ,という場面で“全力疾走の”アドリブ一発。

 そう。『SADAO & CHARLIE AGAIN』での渡辺貞夫が名パサーならチャーリー・マリアーノはストライカー。ナベサダのピンポイント・クロスを受けてチャーリー・マリアーノがゴールを決めまくる。だからこそ「渡辺貞夫フィーチャリングチャーリー・マリアーノ」なのである。

SADAO & CHARLIE AGAIN-2 正直,渡辺貞夫チャーリー・マリアーノライブ盤『SADAO & CHARLIE AGAIN』を,渡辺貞夫リチャード・ボナとのライブ盤『“ONE FOR YOU” SADAO & BONA LIVE』の次作としてリリースするのはまずいと思った。
 “新しい”ジャズの創造に燃えていたはずの渡辺貞夫が“古い”ビ・バップに戻った印象を与えてしまうと思った。う〜む。

 思うにナベサダ自身も『SADAO & CHARLIE AGAIN』をリリースするつもりはなかったのではないか?
 そう。『SADAO & CHARLIE AGAIN』の本来の立ち位置はナベサダのプライベート録音。要するに40年振りの“再会”パーティーなのだから…。

  01. Tokyo Dating
  02. Plum Island
  03. Deep In A Dream
  04. Lopin'
  05. Memorias
  06. Call Me
  07. Christmas Song
  08. One For You
  09. Por Toda A Minha Vida

(ビクター/JVC 2006年発売/VICJ-61398)
(ライナーノーツ/中川ヨウ)

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渡辺 貞夫 / ワン・フォー・ユー5

“ONE FOR YOU” SADAO & BONA LIVE-1 アフリカに一方ならぬ愛着を持つ渡辺貞夫,一方,ナベサダの演奏を聴いて育ったリチャード・ボナ
 “出会うべくして出会った”渡辺貞夫リチャード・ボナが一体となって,同じメロディ&同じリズム,を創造していく“幸福な”ライブ

 そう。『“ONE FOR YOU” SADAO & BONA LIVE』(以下『ワン・フォー・ユー』)こそ「ナベサダ・アフリカン」な“ヒューマンジャズ”の頂点!
 『ワン・フォー・ユー』には渡辺貞夫が,ずっと探し求めていた「全てが生きた音楽」=アフリカン・ジャズの“理想系”がある。
 ブルースっぽいのでもなくアーシーっぽいのでもない。本物のアフリカン・ジャズがついに“具現化”されている。

 その意味でリチャード・ボナとの出会いは大きい。
 ただし,管理人がそう言うのはリチャード・ボナが“天才”だからではない。リチャード・ボナは“ナベサダ・チルドレン”。だからこそリチャード・ボナとの出会いは大きいのだ。

 『SADAO 2000』『WHEEL OF LIFE』の2作もそうだったが『ワン・フォー・ユー』も「アフリカ&アフリカ」しているわけではない。印象としてはむしろスマートで洗練された仕上がりに聴こえる。
 リチャード・ボナが“超絶”ベース・テクニックを披露しているとはいえ,リチャード・ボナの役割はベーシスト以上に「音楽監督」。
 全体を見渡し,必要な手数の分だけベースで“合いの手”を入れている。リチャード・ボナの特筆すべきバランス感覚。

 リチャード・ボナ渡辺貞夫との共演ライブで,大好きな渡辺貞夫を「フィーチャリング」すべく“ジャズのビートで”ボトムを支えている。例えば【BONA PENDA】でのシンセとのキメキメ・ユニゾンの途中で飛び出す【SUMMERTIME】のメロディ。
 そう。リチャード・ボナは,細かなジャンルの枠組みを超えて「ナベサダフュージョン」を最高の音楽として捉えている。

 やったね。“ナベサダ・チルドレン”のリチャード・ボナくん。ナベサダと同じステージに立てて夢がかなってよかったね。

 実に温かいステージング。実に質の高いステージング。リチャード・ボナ渡辺貞夫に“羨望の眼差し”を向ければ渡辺貞夫リチャード・ボナの驚愕の才能へ“嫉妬”して見せる。
 これぞ「互いへのリスペクト」を超えた「相思相愛」のトランス状態。かぁ〜,心が震えてくる〜。

 リチャード・ボナベースが小刻みに振動し,バンド全体を揺り動かしている。バンドが素晴らしくグルーヴしている。
 リチャード・ボナの“超絶”はやはり凄かった。正確無比なバッキングと切れ味鋭いフレーズで“聴かせるベース”を完璧コントロール。ギター・レスの編成ゆえか,メロディ・ラインのユニゾンにも随時参加し,差し詰め「ギタリスト」のような演奏である。

 一方のナベサダはどんなに吹こうとナベサダしている。ナベサダアルト・サックスがいつになく“艶かしい”。そうして放たれる異次元のアドリブ。一切の迷いなしに,あれ程追い続けていたアフリカン・ジャズのフレーズが見事に飛び出している。いい。

“ONE FOR YOU” SADAO & BONA LIVE-2 『ワン・フォー・ユー』のハイライトはラストの3曲。

 【BASIE’S AT NIGHT】でのリチャード・ボナの“突っ込み”グルーヴ。そしてエティエンヌ・スタッドウィックキーボードソロが半端ない。恐るべし才能。恐るべしカメルーン。
 【SEE WHAT HAPPEN】でのリチャード・ボナベーススキャットのパフォーマンスに跳び上がる! イスから跳び上がる! 部屋中駆け回る! そして「ボナは天才」と絶叫する〜!
 【CARINHOSO】。管理人の愛する“最高の”渡辺貞夫がこのトラックに凝縮されている。もはや多くを語るまい。

  01. ONE FOR YOU
  02. TEMBEA
  03. BONA PENDA
  04. I THOUGHT OF YOU
  05. WAITING SONG
  06. PONDA
  07. LIFE IS ALL LIKE THAT (FOR SNOOPY & HIS
     FRIENDS)

  08. BASIE’S AT NIGHT
  09. SEE WHAT HAPPEN
  10. CARINHOSO

(ビクター/JVC 2006年発売/VICJ-61361)
(ライナーノーツ/都並清史,渡辺貞夫)

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