アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2012年10月

アート・ペッパー / モダン・アート5

MODERN ART-1 アート・ペッパー名盤MODERN ART』(以下『モダン・アート』)のアドリブが素晴らしい。完璧な出来だと思う。ここまで完璧にコントロールされたアルト・サックスは大袈裟ではなく「他に例を見ない」と言ってもいい。陰影のビブラートで高音域が目まぐるしくチェイスしている。

 アート・ペッパーが追求した“芸術”としてのアドリブ,ここに極めけり! 『モダン・アート』のアート・ペッパーを聴かせれば,アート・ペッパーなんて大した事ない,なんてほざくガキの口を簡単に塞げるというものだ。
 そう。アート・ペッパーこそ,歴代ジャズ・ジャイアンツ「指折りの天才」の一人なのである。

 しか〜し,管理人は『モダン・アート批評の中で,アート・ペッパーの天才,についてなど書かない。この名盤については多くが語り尽くされている。
 ただし,肝心な点が抜けている。抜け落ちている,くたばれジャズ・ジャーナリズム。お前らの耳は「提灯記事」専用なのか?

 『モダン・アート』について真っ先に語らなければならないのは,次の点である。
 “快作”の主役であるはずのアート・ペッパー本人が,ちっとも楽しそうではないのである。それどころか,あろうことか事実はその逆であり『モダン・アート』からは聴こえてくるのはアート・ペッパーの“ジレンマ”ばかり。何でこの点を誰も書かないのだろう。

 アート・ペッパーアルト・サックスでこう語っている。「違う。違う。こんなのは最高傑作でもなんでもない。俺はもっと出来るんだ。だからこんなんで満足などしないでくれ。俺自身が『モダン・アート』のアドリブの出来には全く満足していないんだ」。

 『モダン・アート』は,アート・ペッパーの“苛立ち”で満ちている。表面上,大成功に聴こえたとしても,実際には上手にごまかす技術が身に着いただけ?
 アート・ペッパーの目前には本人にしか見えない「高い壁」がそびえ立っている。この「高い壁」にアート・ペッパーが絶望しているように聴こえる節がある。もっともっと高く。

 行き着くところまで行ったからこそ見えた新たなステージ。もっともっとその先へ。『モダン・アート』はあくまでも通過点。自由自在に飛翔しているように聴こえて,本人は限界ギリギリの狭間で“もがいている”。感情の抑制と解放が同居する“苛立ち”しか聴こえてこない。

 そう。『モダン・アート』でのアート・ペッパーは生々しいほどに人間的。“天才”という称号などかなぐり捨てて,しかし自分の内に秘める妥協できないルールには従っている。決して破綻などしない“気品高き”メロディ主義。

MODERN ART-2 この事実にピアノラス・フリーマンベースベン・タッカードラムチャック・フローレスも気付いている。しかし,スイングする以外に,どうにもアート・ペッパーを励ますことができない。まぁ『モダン・アート』でのアート・ペッパーについていけるサイドメンは地球上にただの一人もいなかったであろう。
 ラス・フリーマントリオのHAPPYな演奏で余計に際立つアート・ペッパーの「耽美主義と孤独」…。切ない→刹那主義…。

 管理人は思う。名盤モダン・アート』を頂点として「前期」アート・ペッパーは燃え尽きたのだ。燃え尽き症候群に襲われたのだ。それゆえの「後期」での別人格なのだと思う。

 そう。アート・ペッパー“最大の苦心作”にして「後期」への誘い水。それが『モダン・アート』の真髄であろう。

  01. BLUES IN
  02. BEWITCHED
  03. WHEN YOU'RE SMILING
  04. COOL BUNNY
  05. DIANNE'S DILEMMA
  06. STOMPIN' AT THE SAVOY
  07. WHAT IS THIS THING CALLED LOVE
  08. BLUES OUT

(イントロ/INTRO 1957年発売/TOCJ-5955)
(ライナーノーツ/小川隆夫,高井信成)

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矢野 沙織 / ANSWER4

ANSWER-1 矢野沙織の10周年! 10年後の矢野沙織は,こんなに素敵なコスプレイヤーになったとさ!?

 そう。ビリー・ホリディに触発され,チャーリー・パーカーに恋焦がれてデビューした16歳の天才少女。あのピュアでストレートなビ・バップ! 管理人はモー娘。よりも長澤まさみよりも矢野沙織が大好きでした。沙織ちゃん,ご結婚おめでとうございます。だ・か・ら・小林香織LOVEか山中千尋LOVEな気分なのです。

 10年後には日本を代表するジャズ・サックス・プレイヤーになっていると信じていたのに…。まぁ,ある意味では日本を代表するジャズ・サックス・プレイヤーにはなりました。ビジュアル系ですけどね…。

 女性は3日で変身する。10年後のビジョンなどあってないようなもの。でも,このコスプレはないでしょう。あ〜っ,バニーガールは嫌いではないのですが…。

 次に管理人が苦言を呈するのは『ANSWER』の選曲について。
 『ANSWER』=ファン投票によるリクエスト・アルバム。当然,有名スタンダード中心になることは織り込み済み。合計14曲なのも頑張ったと思います。でもでも…。

 管理人が投票したパーカー・ナンバー=【CONFIRMATION】が漏れている。『ANSWER』は矢野沙織の10周年記念盤。デビューCDの1曲目【CONFIRMATION】を持ってきてこそ「10周年。こんなに立派になりました」でしょ? それでこそファンへの感謝だと思っていたのにぃ。
 【CONFIRMATION】だけではありません。パーカー・ナンバーが軒並み選考外。これって有りなの?

 美人なのにコスプレでバッパーなのに脱バード。うーむ。
 『ANSWER』を今週参戦「大西順子・引退ツアー」の直後に聴き込んだからなのだろう。諸悪の根源?矢野沙織のアイドル路線はレコード会社主導。矢野沙織本人がビジュアル系にノリノリだから良いようなものの,管理人のような本格路線を待望するコアなファンのリクエストとは相容れない。商業主義がどうにも気に入らん。どうしよう。“推し変”しちゃおうかなぁ〜。

 あっ,そうだ。来月参戦「2012 ANSWER」の福岡ツアーで,沙織ちゃんへお仕置きだ。ライブで“お尻ペンペン”だ。バッパー路線へ回帰して〜。

ANSWER-2 だ〜って『ANSWER』での矢野沙織の演奏が凄いんだから。これぞ10周年の貫禄。コスプレ・ジャケットに目を閉じてアルト・サックスの動きに意識を集中すると,もはや初老のアルト・サックス? 矢野沙織よ,お前も年齢詐称なのかい?

 そもそも冷静になって考えるとファン投票によるリクエスト・アルバムの敷居は高い。無数のカバーやリアレンジが存在する有名スタンダードを演奏するということは,比較され批評される行為に甘んじるということ。相当な覚悟が必要だったはず。
 矢野沙織は10周年という節目の年に,自分自身に大プレッシャーをかけたのだ。

 出すべき音を丁寧に選び取りフレージングを磨き上げた矢野沙織の演奏はストイックなアプローチ。
 この硬派なる演奏姿勢こそ,ジャズ・サックス・プレイヤーとして10年間の鍛錬を続けてきた矢野沙織からの「答え」=『ANSWER』なのであろう。

 いろいろとマイナスな感想を書き連ねてきましたが,それでも矢野沙織・ファンは辞められません。
 矢野沙織・ファンを辞める時=ジャズ・ファンを辞める時。地獄に落ちるその日まで矢野沙織を応援し続けたいと思います。

  01. The Days of Wine and Roses
  02. All of Me
  03. Moon River
  04. 砂とスカート
  05. Moody's Mood for Love
  06. Theme from "TAXI DRIVER"
  07. A Night in Tunisia
  08. Sing Sing Sing〜It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got
     That Swing)

  09. Answer
  10. Waltz for Debby
  11. La Vie en Rose
  12. You'd Be So Nice To Come Home To
  13. Left Alone
  14. ウイスキーが,お好きでしょ

(サヴォイ/SAVOY 2012年発売/COCB-54001)
(ライナーノーツ/矢野沙織,中野俊成)

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アート・ペッパー / ノット・ア・スルー・ストリート〜アート・ペッパー・ライヴ・イン山形 '783

NOT A THROUGH STREET〜ART PEPPER LIVE IN YAMAGATA '78-1 アート・ペッパー,そしてバド・パウエルを語る際の“常套句”が「前期」と「後期」。ジャズメンたるものワンパターンであるはずがない。マイルス・デイビスのようなツワモノもいる。

 だから「前期」とか「後期」とかで語るのはナンセンスなのだが,アート・ペッパーバド・パウエルに関しては「前期」と「後期」で語ってOK。なぜならアート・ペッパー本人が「後期」で「前期」を自己否定しているのだから…。

 「前期」アート・ペッパーは,柔らかで「閃き」で勝負する「天才肌」なプレイ・スタイル。滑らかで流麗でショート・カットなアドリブが聴き所。
 「後期」アート・ペッパーは,硬派かつハードで「理知的」なプレイにモデル・チェンジ。エモーショナルでフリーキーでロング・トーンのアドリブが聴き所。

 アート・ペッパーソニー・ロリンズビル・エヴァンス。生真面目でナイーブな人間ほど考え込むものだ。自分の演奏に疑問を感じ,或いは自信を失い,ドラスティックな変化を求める。しかし皮肉なことにそれは必ずしもファンの期待とは一致していない。彼ら本来の優れた個性さえ切り捨ててしまう危険が伴うからだ。

 声量を上げたプレイは得意ではないと自覚しつつも,絶叫系のフル・トーンを身にまといはじめた頃の来日公演・山形ライブ=『NOT A THROUGH STREET〜ART PEPPER LIVE IN YAMAGATA ’78』(以下『ノット・ア・スルー・ストリート〜アート・ペッパー・ライヴ・イン山形 ’78』)の中にアート・ペッパーの典型的な「後期」が詰まっていると思う。

 『ノット・ア・スルー・ストリート〜アート・ペッパー・ライヴ・イン山形 ’78』におけるアート・ペッパーアドリブは「短編小説家」が無理やり「長編小説」を書いているような感じ。起承転結のない,キレのないフレーズが苦い。
 そう。「前期」アート・ペッパーの魅力であった「甘美な節回し」が消し去られ「後期」アート・ペッパーの魅力である「苦味」「渋味」が出ている。これはちょうど“美声家が咽喉を潰してガラガラ声にしたようなもの”と思う。

NOT A THROUGH STREET〜ART PEPPER LIVE IN YAMAGATA '78-2 『ノット・ア・スルー・ストリート〜アート・ペッパー・ライヴ・イン山形 ’78』でのアート・ペッパーこそ“ガラガラ声の咽喉潰し”である。
 アドリブが吹き切れていない。迷いながら吹いている。だから迷いを払拭する行為として“大吠え”している。徹頭徹尾,硬派でハードなブロー。

 「後期」アート・ペッパーの演奏スタイルへの変身は,向き不向きの判断基準ではなく,ジョン・コルトレーン・ライクなスタイルが好きかどうか,なのであろう。アート・ペッパーは「後期」を気に入っている。そこには「前期」を突き詰めていっても絶対に手に入らないスケールの大きさな演奏がある。残りの生涯を賭けてものになるまで頑張ろう,と腹をくくった感がある。

 結果は散々。短距離ランナーが無理矢理マラソンを走ろうとしても記録などでやしない。『ノット・ア・スルー・ストリート〜アート・ペッパー・ライヴ・イン山形 ’78』は多くのジャズ批評家が指摘する「後期」の“悪さ”の詰め合わせ。確かに駄盤であろう。

 しかし,ダミ声で自慢の美声を自己否定してみせる「実演形式の凄み」がある。本物のジャズメンの「ボロボロの凄み」に敬意を表明する。

  DISC ONE
  01. OPHELIA
  02. BESAME MUCHO
  03. MY LAURIE

  DISC TWO
  01. CARAVAN
  02. THE TRIP
  03. THE SUMMER KNOWS (SUMMER OF '42)
  04. RED CAR

(トイズファクトリィレコード/TOY'S FACTORY RECORDS 1990年発売/TFCL-88901-2)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/岩浪洋三,ローリー・ペッパー)

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アート・ペッパー / ゲティン・トゥゲザー5

GETTIN' TOGETHER!-1 アート・ペッパーの一番ゴキゲンなアルバム。それが『GETTIN’ TOGETHER!』(以下『ゲティン・トゥゲザー』)である。

 アート・ペッパーは日常的に余り聴かない管理人だが『ゲティン・トゥゲザー』は“例外”である。とにかく楽しい。何回もまた聴きたくなってしまう。
 ほら見てください。『ゲティン・トゥゲザー』のCDジャケットを。
 アルト・サックスを抱えてはいても,この雰囲気は工事現場のガテン系?な佇まい。アート・ペッパーがこれほど本気で笑っているCDジャケットも珍しい。本人もお気に入りのジャケット写真なのでは?

 内容は勿論,ジャケット写真も“陽気で明るい”『ゲティン・トゥゲザー』こそ,ウエスト・コースト・ジャズの“オーラ満載”盤なのだ〜。『ゲティン・トゥゲザー』こそ,管理人が選ぶアート・ペッパーの愛聴盤なのだ〜。

 巷では『ゲティン・トゥゲザー』と来れば「『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』の二番煎じでしょ?」が模範解答なのであるが,そんな世評の「続編」悪評など気にしてはならない。
 正直,悪評を付けられても致し方ない部分もある。『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』と比較してアート・ペッパーアドリブは劣化している。リズム・セクションの3人も(マイルス・デイビス・バンドの歴史からすると)格落ちであろう。

 でも,だからいいのだ。“神がかり的な”アート・ペッパーアドリブを体験したら寿命が縮む。
 マイルス・デイビス栄光の第1期黄金クインテットの3人ではないにしても,ピアノウイントン・ケリーベースポール・チェンバースドラムジミー・コブピアノ・トリオウェス・モンゴメリーの大名盤ハーフ・ノートのウェス・モンゴメリーとウイントン・ケリー』&『フル・ハウス』でのウイントン・ケリートリオ。「ザ・リズム・セクション」としての“知名度”が小粒なだけで実力は「折り紙つき」なのである。

GETTIN' TOGETHER!-2 そう。『ゲティン・トゥゲザー』の企画としては「『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクションアゲイン」なのだが,実体は「続編」ではなく別物。
 「アート・ペッパー VS マイルス・バンドのザ・リズム・セクション」というフォーマットが同じなだけで,その実,アート・ペッパーのワン・ホーンではないのだから音造りからして「続編」ではなく別物。

 ついでに『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』での,レッド・ガーランドポール・チェンバースフィリー・ジョー・ジョーンズ組とはフォープレイが結成できたが,ポール・チェンバースだけが残留で,ウイントン・ケリージミー・コブでは,ニュー・フォープレイの結成ならず〜が「続編」ではなく別物。

 リマスタリングで聴いているせいなのかもしれないが,アート・ペッパーアルト・サックスの“鳴り”も「続編」ではなく別物。
 レスター・ケーニッヒの狙いである“二番煎じのカムフラージ”トランペットコンテ・カンドリのプッシュを借りて「ウエスト・ミーツ・ザ・イースト」のマイスター=アート・ペッパーが予定調和的に吹き上げていく名人芸。

 …でっ,リラックスした状態で“ひょい”と一捻りしただけの“天才のアドリブ”がニヒルで痛快で快感なんだよなぁ。遅れてきたスイングが気持ちいいんだよなぁ。
 スイングするアート・ペッパーが,たまらんなぁ。

  01. WHIMS OF CHAMBERS
  02. BIJOU THE POODLE
  03. WHY ARE WE AFRAID?
  04. SOFTLY, AS IN A MORNING SUNRISE
  05. RHYTHM-A-NING
  06. DIANE
  07. GETTIN' TOGETHER
  08. GETTIN' TOGETHER (alternate take)
  09. THE WAY YOU LOOK TONIGHT

(コンテンポラリー/CONTEMPORARY 1960年発売/VICJ-60761)
(ライナーノーツ/マーティン・ウイリアムス,久保田高司)
(紙ジャケット仕様)

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DIMENSION / FOURTH DIMENSION5

FOURTH DIMENSION-1 苦節19年。DIMENSIONの『FOURTH DIMENSION』をついに手に入れました。ヤッター!

 探しましたよ〜。『FOURTH DIMENSION』は,恐らく【IF】に次ぐ代表曲【SE.LE.NE】収録の人気盤。いつでも買えるはずだったが,いつのまにか買えない廃盤へ。
 結局,DIMENSIONの全ディスコグラフィ26枚中『FOURTH DIMENSION』だけが欠品中。管理人はヤフオクはしていないのでAmazonマーケットプレイス狙いになるわけですが『FOURTH DIMENSION』が高い。人気廃盤は軒並み高値なのは分かるが中古CDで5000円以上はポチできませんでした。

 (経過省略)(購入価格省略)今回,適正価格で我が家へ迎えた『FOURTH DIMENSION』。【SE.LE.NE】【JUNGLE DANCER】がかかると盛り上がるミーハー体質を自覚。

 聴き焦がれていただけに普段以上のテンションで聴き始めたせいなのか,もしや『FOURTH DIMENSION』に愛着を覚えてしまうかも? 管理人は現在のDIMENSIONが大好きですが,だからと言って初期のDIMENSIONも格別なわけです。DIMENSIONが(当然ですが)若返った演奏で乗り込んできた。これが2012年の“ニュー・DIMENSION”?
 いいや違う。騙されるな〜。でももうだめです。誰か助けてください。こんな歪な聴き方をした天罰なのでしょう。

FOURTH DIMENSION-2 あ〜あ,新鮮な『FOURTH DIMENSION』を聴いた後に届く『25』が心配です。本日HMVから出荷のメールが届きました。日曜日には届くであろう『25』に『FOURTH DIMENSION』ほどの衝撃を感じないのは仕方ないとしても,もしや『25』を古いとか感じてしまったらどうしましょ?

 『25』発売のタイミングで『FOURTH DIMENSION』なんて聴かなければ良かった。「悔しい,でも楽しい〜」。
 あっ,なんてラッキー。音楽の神に感謝です。『25』にまとわりつくであろう『FOURTH DIMENSION』の呪縛を『25』のフォロー・ツアーで払拭できる予定なのです。

 超お久しぶりのマスヤンにカツオに小野塚さん。ライブでは『FOURTH DIMENSION』からの楽曲はなしにして(ウソ。【SE.LE.NE】がないと幻滅しそうです)『25』全曲披露で,管理人の頭の中を『25』は『25』色に染めてくださ〜い。← 自分で『25』をヘビー・ローテーションして打ち消すだけのお話です。

PS アドリブログで余り取り上げてきませんでしたが『IF』までの12枚のCDジャケットが秀逸。数字にかけたダジャ・キングが楽しみでした。『4TH』のお題は馬。ホースが『FOURTH』でした。

  01. Flip Out
  02. Se.le.ne
  03. Land Breeze
  04. Jungle Dancer
  05. Silver Rain
  06. No Reaction
  07. All For One
  08. Up Close
  09. Lull

(BMGルームス/BMG ROOMS 1995年発売/BMCR-6017)

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アート・ペッパー / アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション5

ART PEPPER MEETS THE RHYTHM SECTION-1 アート・ペッパーの“最高傑作”のみならず,コンテンポラリーを,そしてウエスト・コースト・ジャズをも代表する名盤ART PEPPER MEETS THE RHYTHM SECTION』(以下『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』)。
 このアルバム・タイトルの真意を紐解けば『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』成功の秘訣が見えてくる!

 『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』はアート・ペッパーソロではない。ソロでなければ,一般的に「リズム・セクションが参加している」とわざわざ記す必要性はないと思う。
 しかし『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』の場合は『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』だとリズム・セクションの存在を明記する必要性があった。

 コンテンポラリーが仕掛けたは“当代髄一の”リズム・セクション。定冠詞つきの「ザ・リズム・セクション」と称された3人。ピアノレッド・ガーランドベースポール・チェンバースドラムフィリー・ジョー・ジョーンズ
 そう。マイルス・デイビス栄光の第1期黄金クインテットの3人なのである。

 アート・ペッパーマイルス・デイビスの「ザ・リズム・セクション」の共演は,ウエスト・コースト・ジャズ最高のアルト・サックス・プレイヤーにして,白人最高のアルト・サックス・プレイヤーのアート・ペッパーを売り出すらめの仕掛けである。話題性に富むマイルス・デイビスリズム隊との共演なのだから「ザ・リズム・セクション」をプッシュしたのも当然であろう。

 そんな“下心”で付けられた何の変哲もないアルバム・タイトル。しかし『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』とネーミングされた「ザ・リズム・セクション」との“対等な”共演こそが『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』をアート・ペッパーの“最高傑作”へと押し上げた最大の理由なのである。

 そう。“西の代表”アート・ペッパーの「白さ」と“東の代表”ザ・リズム・セクションの「黒さ」。これぞ「ウエスト・ミーツ・ザ・イースト」の決定盤。後付の偶然にして「意味深」だよなぁ。「名は体を表わす」だったよなぁ。

 ええい,べらんめぇ。ここで暴言覚悟で一言物申す。
 ズバリ「ウエスト・ミーツ・ザ・イースト」の『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』は“50年代のフォープレイ”なのだ。管理人はこれを言いたいのだ。
 フォープレイこそ「ウエスト・ミーツ・ザ・イースト」。「西の代表」リー・リトナーネーサン・イーストハービー・メイソンと「東の代表」ボブ・ジェームス。こんな組み合わせが聴きたかった〜!

 4人対等のチーム・プレイが身上のフォープレイと同じく『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』の4人も対等のチーム・プレイ。“クールで洗練された”アート・ペッパーが“ブルージーな”レッド・ガーランドポール・チェンバースフィリー・ジョー・ジョーンズと音を重ねても全く違和感を感じない。いいや,あたかもレギュラー・グループのような息の合った演奏を展開している。

 この“50年代のフォープレイ”のような名演の副産物が“オーディオ・マニア必携の”高音質盤の誕生へとつながっている。
 アルト・サックスアート・ペッパーピアノレッド・ガーランドに負けない,ベースポール・チェンバースドラムフィリー・ジョー・ジョーンズの明瞭さが際立っている。ベースドラムがバランス・ギリギリまで前に出ている。大音量でクリアな音質のベースドラムこそが高音質盤の秘訣であろう。

 マジで音がいい。XRCDに買い換えて大満足。これぞ大音量で鳴らすに値する超名盤。東のヴァン・ゲルダーと並び称される西海岸を代表する録音技師=ロイ・デュナンの音はとてもクリアでアート・ペッパーの軽やかなアルト・サックスの魅力を伝える驚異の臨場感。いつでも聴きたい,いつまでも持っていたいXRCDである。

ART PEPPER MEETS THE RHYTHM SECTION-2 さて,ここまで『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』を“最高傑作”と連呼してきたが,アート・ペッパーの“アドリブの冴え”は『サーフ・ライド』前後の絶頂期には及ばない。

 『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』の最大の魅力は,アート・ペッパーの“端正でオーソドックスな”ジャズ・サックスの「教則本」のお手本として出てきそうなスマートなアドリブである。陰影の少ない軽やかなアルト・サックスが重量級のリズム・セクションの上を艶やかな音色で飛翔している。

 そう。『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』は「超一流の演奏と聴きやすさが同居した」がゆえの“最高傑作”。ゆえにウエスト・コースト・ジャズの代表盤。言わば「万人向け」の大名盤
 『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』は,マイナー調のメロディ&分かりやすいアドリブ命のジャズ初心者と全てを一巡したジャズ上級者のための大名盤

 暴言覚悟で断言すれば『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』を耳タコになるまで聴き込んだマニアならBGMとして楽しめる。何百回聴いても肩の凝らないBGM。だって“50年代のフォープレイ”なのですから。これ本気で書いています。

 名演にして高音質。あまりにも“ベタな”『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』。
 『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』が苦手な読者の皆さん,あなたはジャズの中級者ではありませんか?

  01. YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO
  02. RED PEPPER BLUES
  03. IMAGINATION
  04. WALTZ ME BLUES
  05. STRAIGHT LIFE
  06. JAZZ ME BLUES
  07. TIN TIN DEO
  08. STAR EYES
  09. BIRKS WORKS
  10. THE MAN I LOVE

(コンテンポラリー/CONTEMPORARY 1957年発売/VICJ-61039)
(ライナーノーツ/レスター・ケーニッヒ,久保田高司)
(☆XRCD24盤仕様)

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NHK-FM / 日本のフュージョン −第2回− / 熊谷美広

日本のフュージョン-2 昨日,NHK−FMにて「日本のフュージョン −第2回−」なる特別番組が放送されました。ラストのスペシャル・コラボレーション目当てでスタートから聞き流していましたが,途中からすっかり楽しんでしまいました。
 「第2回」のテーマは“勢いをなくしたかに思えたJ−フュージョンのメディア・ミックス時代の爆発プレイバック集”という感じで,ハマル人には“とことんハマル音楽”を実感いたしました。

 「セッション2012」の収録の最後に演奏された「日本のフュージョン」放送用のための「ISSEI NORO INSPIRITS」「DIMENSION」「T−SQUARE」によるスペシャル・コラボレーションがビートルズの【GET BACK】。
 昨日の放送を聞いて分かったのですが11月11日11時の「セッション2012」は3組による単独の3セット。スペシャル・コラボレーションが聞けたのは「日本のフュージョン」だけ。Oh!エア・チェックしておくべきだった〜。

 【GET BACK】はテーマを全員で演奏したり,サックス・チーム,ギター・チームに割り振ったり。実に豪華で素直なアレンジゆえ,全員順番のソロ廻しに個性がキラリ。
 ハイライトは坂東慧神保彰の「新旧天才ドラマー対決」。尺も長めのドラム・バトルは神保彰則竹裕之との「SYNCHRONIZED DNA」寄りではなく,神保彰ハービー・メイソンとの『4 X 4セッション寄りのニュアンス。
 坂東慧ハービー・メイソンばりなのかっ!? もう坂東慧から目が離せない!?

 以下,オンエア曲一覧です。

01: 【フラワーズ・フォー・レナ】 / チキン・シャック
02: 【TRUTH】 / THE SQUARE
03: 【グッド・イヴニング】 / 本多俊之ラジオクラブ
04: 【ハイ・プレッシャー】 / MALTA
05: 【SEA LINE】 / 角松敏生
06: 【カナル・ストリート】 / NOBU-CAINE
07: 【FIGHT MAN】 / CASIOPEA
08: 【アズール】 / 天野清継
09: 【45℃】 / JIMSAKU
10: 【SMOOTH STRUTTIN'】 / 国府弘子
11: 【遠州つばめ返し】 / 渡辺香津美
12: 【ナイト・アンド・デイ】 / 清水靖晃
13: 【ARE YOU GONNA WIN?】 / DIMENSION
14: 【メルティング・ポット・ハーモニー】 / 塩谷哲
15: 【JOY】 / 本田雅人
16: 【THE COURT OF THE BEAST KING】 / 野獣王国
17: 【ファースト・トラック】 / FOUR OF A KIND
18: 【JAM & BUTTER】 / J&B
19: 【PASSION】 / TRIX
20: 【GET BACK】 / 安藤正容野呂一生増崎孝司伊東たけし勝田一樹河野啓三小野塚晃箭島裕治坂東慧神保彰

NHK-FM / 日本のフュージョン −第1回− / 熊谷美広

日本のフュージョン-1 昨日,NHK−FMにて「日本のフュージョン −第1回−」なる特別番組が放送されました。
 そして本日,この記事の投稿時刻には「日本のフュージョン −第2回−」が放送中のはずです。管理人は現在「第2回」の放送をリアルに聴きながら明日のブログの投稿記事を執筆中のはずです(この記事は予約投稿です)。
 そしてこれは告知になりますが11月11日11時というイチ並びの時間に,同じくNHK−FM「セッション2012」にて,日本のフュージョン界を代表する「ISSEI NORO INSPIRITS」「DIMENSION」「T−SQUARE」によるスペシャル・コラボレーションが放送されます。NHK−FMさん,突然どうしたんですか? いえいえ,頑張っていますね〜。

 …と,偉そうに書き出しましたが偉そうなことを書いてはなりませぬ。だって管理人は「セッション2012」は放送を待ち構えていますが「日本のフュージョン」の特別番組が放送されることを昨日の「第1回」の放送中に知りました。全てはスクェア仲間のホームズさんのおかげです。ナイスなコメント。ホームズさんへこの場をお借りして感謝を申し上げます。

 …ということで聞き始めた時のは渡辺香津美オリーヴス・ステップ】から。← すみません。昨日はリアルではなくMDへのエア・チェックで済ませました。だって長澤まさみちゃんが好きなんですもん)
 番組のホストである熊谷美広のあ・り・が・た・い・解説の後に楽曲が流れるスタイル。そう。悪夢の「今日は一日『熊谷美広』三昧」が合計4時間の2回の分冊となって帰ってきたのです。う〜む。このスタイルはどうなんでしょう。

 熊谷美広の「第一回」は,70年代後半の実験の数々〜ジャズ・ミュージシャンがフュージョンへ参入してきた80年代前半のフュージョン黎明期〜生粋のフュージョン・キッズたちのユニークな活躍について解説していました。
 でも待てよこの解説,以前にどこかで読んだことがある。そう思いたち本棚から取り出した熊谷美広監修の「FUSION」。そのp170からを読む。まんまであった。

 管理人の結論。「日本のフュージョン −第1回−」=『熊谷美広』三昧パート2。その実態は FUSION本+CD
 ただし FUSION本を読みながらCDを聞く以上の楽しみがラジオにはある。大好きな曲がオーディオ装置ではなくラジオから流れてくる快感。「日本のフュージョン −第2回−」に期待です。

 以下,オンエア曲一覧です。

01: 【HERCULES】 / PARACHUTE
02: 【黒船〜嘉永6年6月2日】 / サディスティック・ミカ・バンド
03: 【黒船〜嘉永6年6月3日】 / サディスティック・ミカ・バンド
04: 【黒船〜嘉永6年6月4日】 / サディスティック・ミカ・バンド
05: 【チョッパーズ・ブギ】 / ティン・パン・アレー
06: 【レディ・ヴァイオレッタ(シングル・バージョン)】 / 四人囃子
07: 【オリーヴス・ステップ】 / 渡辺香津美
08: 【ブルー・ラグーン】 / 高中正義
09: 【オン・ザ・ムーヴ】 / 深町純
10: 【カリフォルニア・シャワー】 / 渡辺貞夫
11: 【シティ・コレクション】 / 日野皓正
12: 【スーパー・サファリ】 / ネイティヴ・サン
13: 【モーニング・ライト】 / PRISM
14: 【テキサス・キッド】 / THE SQUARE
15: 【ASAYAKE】 / CASIOPEA
16: 【バーニング・ウェイヴ】 / 本多俊之
17: 【ア・シーンズ・オヴ・ラヴ】 / 松岡直也&ウィシング
18: 【ジ・エンド・オヴ・エイジア】 / 坂本龍一
19: 【マイルストーンズ】 / 渡辺香津美
20: 【レフト・ハンデッド・ウーマン】 / 大村憲司
21: 【ビリーヴィン】 / NANIWA EXPRESS
22: 【ユニコーン】 / 渡辺香津美

アート・ペッパー / リターン・オブ・アート・ペッパー5

THE RETURN OF ART PEPPER-1 アート・ペッパー名盤THE RETURN OF ART PEPPER』(以下『リターン・オブ・アート・ペッパー』)について語る際には“ジャンキー”アート・ペッパーについてのウンチクが必要である。

 香辛料屋のペッパー家でドラッグを扱っていたかどうかは知らないが,アート・ペッパーは麻薬中毒のために演奏活動をたびたび中断した麻薬の常習犯であった。
 そんな“ジャンキー”アート・ペッパーが,2度目のムショ暮らしからシャバへとリターンズ。演奏活動へとリターンズ。それが『リターン・オブ・アート・ペッパー』の真実である。

 覚えておきたいのは『リターン・オブ・アート・ペッパー』は,出所後間もなく録音された演奏を“寄せ集めた”コンピレーション盤だという事実。『リターン・オブ・アート・ペッパー』に明確なコンセプトなどなく,無我夢中にガムシャラに,思いのままに演奏したセッションの記録。
 じっくり聴き込むとアート・ペッパーはまだ本調子とは言えないが,テクニック云々を超越した「復帰への喜び」が伝わってくる。刑務所で書き溜めたオリジナル曲を演奏できる喜び。復帰に賭けるアート・ペッパーの並々ならぬ意気込みと言うか気合と言うか,ハイテンションで創造活動と格闘した気迫がアルト・サックスに乗り移っている。

 いいや,アート・ペッパー「復帰への喜び」に満ちているのは,アート・ペッパー以上にサイドメンの面々!
 トランペットジャック・シェルダンピアノラス・フリーマンベースルロイ・ヴィネガードラムシェリー・マンが“天才”アート・ペッパーの復帰を喜んでいる!

 そう。『リターン・オブ・アート・ペッパー』は,ウェスト・コースト・ジャズオールスターズによる「アート・ペッパー帰還祝い」盤! オールスターズの全員が盛り上がっている!
 しかし,そこはアート・ペッパー投獄中の間に“世界を制した”ウェスト・コースト・ジャズ。盛り上がり方も“明るく爽やか”なハーモニー・マシーン。これで悪いはずがない。

 後期ペッパーの凄みを知るペッパー・ファンとしては,前期ペッパーアルトの音色とフレージングに甘ったるさを感じてしまうのだが,軽やかなアルト・サックスこそが前期ペッパーの聴き所。
 アート・ペッパーは“職人肌の天才”ゆえに,時に情緒的になりすぎてしまうこともあるのだが,ツボにはまった時のアート・ペッパーアルト・サックスは,繊細で表現力豊かな優しい音色で,唯一無二の“情感豊かな”アドリブを吹きまくる〜。

 しかし管理人のツボは,そんな“稀代のインプロバイザー”がアンサンブルに回った瞬間に聴かせる「ちょっと息を抜いた温かさ」! 前期ペッパーは軽いノリで「硬派と軟派が入り交ざる」傾向にあるのだが『リターン・オブ・アート・ペッパー』には,その特長がモロに出ている。

 ウェスト・コースト・ジャズの“売り”であるチェイスが決まっているせいなのだろう。お洒落にアレンジされた心地良いユニゾン&ハーモニー。インプロヴィゼーションのキャッチャーな展開。
 『リターン・オブ・アート・ペッパー』におけるアート・ペッパーアルト・サックスは,とにかく良くコントロールされているのにジャズ特有の躍動感はしっかりとキープされている。素晴らしい。

THE RETURN OF ART PEPPER-2 …と,ここまで『リターン・オブ・アート・ペッパー』を絶賛してきたが,絶賛するのは『リターン・オブ・アート・ペッパー』におけるアート・ペッパーであって,実は管理人は他のアルバムで聴くアート・ペッパーは余り好きではない。
 好きではない理由は,端的に言って「ヤバすぎる」からだ。

 アルト・サックスらしい艶やかで明るいトーンで何とも聴きやすいのに,飛び出してくるアドリブは自己破滅的な精神性丸出しなフレーズ。「硬派と軟派が入り交ざる」このギャップにドッと疲れる。アート・ペッパーチャーリー・パーカーのようなアドリブ一辺倒な天才とは疲労の次元が異なる。とっつきやすいのに目も眩まんばかりの複雑な緩急で集中力が求められるゆえ,聴き終えると「精気が吸い取られた」感覚が“じわり”と残る。

 だから管理人は『リターン・オブ・アート・ペッパー』が好きだ。ノー天気にオールスターセッションを楽しんでいるアート・ペッパーがメロディアス。分かりやすい。同じ理由で『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』も好きだ。「絶叫系」の後期も好きだ。管理人は単純な男・な・の・だ。

 アート・ペッパーは“稀代のインプロバイザー”である前に“ジャズ・サックス・プレイヤー”であった。ユニゾンを9割楽しみ1割の力で“情感豊かな”アドリブを楽しむ天才職人。
 復帰直後でノーコンセプトな『リターン・オブ・アート・ペッパー』が“ジャズメン”アート・ペッパーの素顔を引き出している。
 アート・ペッパーアルト・サックスは,ドラッグをやったから素晴らしいものになったわけではなく,自らの内で止め処もなく湧き上がるアイディアを鎮める目的でドラッグを使用したのだと管理人は思う。

  01. PEPPER RETURNS
  02. BROADWAY
  03. YOU GOT TO MY HEAD
  04. ANGEL WINGS
  05. FUNNY BLUES
  06. FIVE MORE
  07. MINORITY
  08. PATRICIA
  09. MAMBO DE LA PINTA
  10. WALKIN' OUT BLUES

(ジャズ・ウエスト/JAZZ WEST 1956年発売/TOCJ-5956)
(ライナーノーツ/中条省平,高井信成)

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CROSS FM / COMBO MASTER / 土岐麻子

COMBO MASTER / 土岐麻子 昨日,CROSS FM「COMBO MASTER」に土岐麻子がゲスト出演しました。新作『CASSETTEFUL DAYS 〜 JAPANESE POPS COVERS〜』のプロモーションです。

 「海外のようだ」と表現したスタジオでの女子会トーク。オシャレで日本を代表するジャズ・ボーカリスト土岐麻子を意識した久枝ちゃん。照れまくって,恥ずかしがって,せっかくの生歌をうつむいたり海を見ながら聞いておられました。

 『CASSETTEFUL DAYS 〜 JAPANESE POPS COVERS〜』は土岐麻子初の「J−POP COVER」。
 全8曲の選曲は物心ついた頃から音楽活動を始める頃に親しんできたカセット・テープCDよりもLPよりもMDよりも身近なメディア。気に入った音楽はまずカセット・テープへダビングして,マイ・ベストを編集して,ラベルに手書きして…。このテープの中に何曲入るか計算して頭出しして録音ボタンを押す。強く押すと「ガッチャン」と音が入ったり…。

 ちょっと温かみのあるあの音質で聞く80年代が美しい。手を加え,思いを加え,知恵を絞ったあの時代が美しい。家に20〜30本残ったカセット・テープが「自分の物」なのだそう。
 レコーディングした後に気付いたそうですが,太鼓の昔から存在していたようなカセット・テープが今年で誕生50周年。そう。『CASSETTEFUL DAYS 〜 JAPANESE POPS COVERS〜』は土岐麻子からの「消え行くカセット・テープへの感謝状」なのだそうです。

 「高いオーブン・レンジで余分な油を落としました。でもおいしく肉が焼けました。旨みと栄養はそのまんま」な感じで調理(アレンジ)された『CASSETTEFUL DAYS 〜 JAPANESE POPS COVERS〜』。
 う〜ん。それなら,どうせなら,シンバルズからの選曲や土岐英史絡みの選曲があったなら〜!

 しか〜し『CASSETTEFUL DAYS 〜 JAPANESE POPS COVERS〜』のプロモーションなのに『VOICE 〜 WORKS BEST〜』の制作秘話で大そうな盛り上がり。
 脈略のない「外仕事」集のベストCDゆえ,架空のラジオ番組へのゲスト出演→「土岐→縄文土器」なバカリズムとのスネークマンショー。「土岐」のイントネーション。自分で言う時には土岐ですかねぇ」。

 以下,オンエア曲一覧です。

1曲目 : 【イージュー★ライダー】 / 土岐麻子
生 歌 : 【Gift 〜あなたはマドンナ〜】 / 土岐麻子 
2曲目 : 【Hello, my friend】 / 土岐麻子

アート・ファーマー / 処女航海5

MAIDEN VOYAGE-1 『MAIDEN VOYAGE』(以下『処女航海』)は“叙情派”フリューゲル・ホーンの第一人者=アート・ファーマーによる「ウィズ・ストリングス」アルバムにしてスタンダード・アルバム。

 この企画が成立した瞬間に「名盤誕生」が保証されたも同然であったが,さらなるフラッグ・シップを目指して,ベーシストロン・カータードラマージャック・デジョネットピアニストとアレンジャーに佐藤允彦を起用。鉄壁で隙のない超豪華布陣が“ゆったりしたスイング”を聴かせてくれる。

 何ともゴージャス。何ともデリシャス。実に高度な音楽性で描かれた“柔らかな音空間”にまどろんでしまう。『処女航海』のタイトルよろしく豪華客船で大海原を世界一周。要はリッチな「クロスオーヴァーウィズ・ストリングス」の出帆であった。

 『処女航海』の主役は佐藤允彦である。佐藤允彦が,あのアート・ファーマーを,あのロン・カーターを,あのジャック・デジョネットを,意のままに操っている。
 有名ジャズスタンダードがスローで,しかし複雑で凝りに凝った“モダンな”アレンジで新たなる息吹を感じる。音に表情があるウィズ・ストリングスが最高に素晴らしい。この音は生きている!

 『処女航海』での“ゲスト”プレイヤーっぽいアート・ファーマーの「リリカルな」フレーズにストリングスがシンクロした瞬間の“美と創造の”フリューゲル・ホーン。ハミングしている!
 この音使いは反則である。ツボを突いてくる,というかツボしか攻撃してこない。快楽しか感じなくなる。この音は生きている!

MAIDEN VOYAGE-2 ジャズでもフュージョンでもなくコンテンポラリーでもなく映画音楽でもない,クロスオーヴァーウィズ・ストリングスの『処女航海』。果たしてこの音楽は佐藤允彦の「快楽の音楽」なのであろう。

 大衆音楽ではなく上品な貴族が嗜むウィズ・ストリングス。西洋の王族ではなく日本の大奥テイストな佐藤允彦のアバンチュール。そう。豪華客船で大海原を世界一周するには四十八手を超える快楽の仕込みが不可欠なのである。『処女航海』に“世界一の”浮世絵や漆塗りの元禄文化を思い見る。

 是非『処女航海』は読書しながら聴いてみてください。文面から潮の香りが匂い,文面から汽笛が聞こえてきた瞬間の快楽。読書こそ最高の快楽。オシャレな男の嗜みである。そんな自分に船酔いしてしまう!?

  01. NICA'S DREAM
  02. RUBY MY DEAR
  03. BLUE BOSSA
  04. GOODBYE PORK PIE HAT
  05. BLUE IN GREEN
  06. MAIDEN VOYAGE
  07. NAIMA

(インターフェイス/INTERFACE 1983年発売/COCB-53476)
(ライナーノーツ/高井信成)
(紙ジャケット仕様)

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アキコ・グレース / フロム・ニューヨーク5

FROM NEW YORK-1 “サヴォイ初の日本人アーティストアキコ・グレース,衝撃のデビューCDが『FROM NEW YORK』(以下『フロム・ニューヨーク』)。

 鮮やかなテクニック,クリアーで美しい音色,ダイナミックで力強いピアノ・タッチ…。これは熱演ではない。気負うことなく自然体で録音されている。それでこのハイレベル。
 実に爽快である。聴いているだけですがすがしい気分になってくる。実力勝負の正統派な演奏に酔いしれてしまう。なぜだか誇らしく思えてくる。“稀にみる大器”の大登場なのである。

 ベースロン・カータードラムビル・スチュアートの超大物2人を向こうに回し,堂々と渡り合う「モノホン」アキコ・グレースジャズ・ピアノに心底惚れ込んでしまった。管理人のこの評価は今でも変わらない。

FROM NEW YORK-2 アキコ・グレースについては,ピアノの硬質なタッチとビル・エヴァンスの愛想曲を取り上げるなど『フロム・ニューヨーク』を聴いた時点では,大西順子よりも木住野佳子に近いイメージを持っていた。

 話題性と実力を兼ね備えた“ピアノのディーバ”アキコ・グレース大西順子以来となるアキコ・グレースが巻き起こした『フロム・ニューヨーク』から始まる一連の“大旋風”が記憶に新しい。

  01. Never Let Me Go (Short Version)
  02. Delancey Street Blues
  03. I've Seen It All
  04. You Don't Know What Love Is
  05. You Must Believe In Spring
  06. The Last Smile Of You
  07. Voice Of The Sphere
  08. Inner Conflict
  09. Texture
  10. My Favorite Things
  11. Never Let Me Go (Full Version)

(サヴォイ/SAVOY 2002年発売/COCB-53003)
(ライナーノーツ/岩浪洋三,菰口賢一)

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アート・ファーマー / スエーデンに愛をこめて5

TO SWEDEN WITH LOVE-1 パソコンを買い換えました。NEC製ノートPC。Corei7のWindows7です。
 きっかけはWindows8Proへの優待購入プログラム&決算前の最安値狙い。
 実は管理人,サラリーマンを辞めてボランティア活動をメインとした生活を始めた時に数ヶ月でしたがLAOXのパソコン・フロアーでアルバイトをしていました。それで9月末なのです。

 でっ,選考過程は省略して,結局のところ決算値引きとは関係ない最新の高性能モデルをGET! アドリブログの読者にとってこんな話はどうでもいい? この記事ではアート・ファーマーの大傑作『TO SWEDEN WITH LOVE』(以下『スエーデンに愛をこめて』)批評を読みたいだけ?
 いいや『スエーデンに愛をこめて批評の真髄を語るには,LAOXでのアルバイト経験のエピソードが必要なのです。

 パソコンの七不思議の1つ。それが「相性」である。
 スペック上,動くはずのパーツが動かない。カタログ上,全く同じスペックのパーツでも違うメーカーのものなら快適に動く。う〜ん。開封して動かしてみないと分からない。その結果,開封品でも返品可能。それがパソコンの「相性」。
 PCは実に人間的な機械である。機械なのに人間的。だからパソコン作りはやめられないのだ。← 管理人の3大趣味の1つは今でもPCの自作なのです。ベンチマーク命。

 ここからが本題です。ジャズを聴く楽しみの1つが「相性」なのです。共演する相手によって演奏が良くも悪くも変わってしまう。それで大好きなジャズメン同士の共演盤があると聞けば,いてもたってもいられなくなり,ネットサーフィン+中古CD屋を歩き回る。その結果,落ち込むこともあるのだが,それはそれでいいのです。「水と油」と思われたジャズメン同士の覚醒の喜び。だからやめられないのです。

 ここで例題。ダークなのにマイルドな“いぶし銀”同士が共演したらどうなるのか? その模範解答が『スエーデンに愛をこめて』の音にある。
 アート・ファーマーフリューゲル・ホーンジム・ホールギターの音がとろけていく。混じりあっていく。見たことも聴いたこともないジャズの出現である。
 これぞ理論では説明不能な「相性」。「相性」って絶対にある。「柏木家のバナマヨパン」の如く?アート・ファーマーのリリシズムを支える哀愁のジム・ホールが結構深いハーモニーをつけている。さりげなく全編アドリブをぶち込んでいる。なのにアート・ファーマーがこれまたいい感じに「中和して調和して」…。

 この2人の最高の関係性に『スエーデンに愛をこめて』のテーマである「スエーデン民謡」が絡んでいる。
 マイナー調で【ディア・オールド・ストックホルム】ばりの清らかで美しい民謡ばかりなのだが,もう完全なるジャズスタンダード。甘いメロディに溺れることのない生真面目な演奏に大抵の日本人ならツボを押されてしまう“浮世”なジャズ民謡。儚く切なく美しい粉雪が舞うフリューゲル・ホーン。これも「相性」なのです。

TO SWEDEN WITH LOVE-2 続く「相性」。これは時間的なタイミング。アート・ファーマージャズテットの解散を経験し,実験ではない“固い人選”の上でのジム・ホールとの新たなるジャズの模索のタイミング。そこに有望新人=スティーヴ・スワローピート・ラロカとのカルテット

 最後にジャケットの「相性」。これだけは「美女と野獣(アート・ファーマー)」ゆえ不釣合い〜。
 アート・ファーマーのお似合いは美女ではなくジム・ホール。「ファーマーホール」の名コンビこそ「相性」の都市伝説を現実の理論へと具現化する。

  01. VA DA DU? (WAS IT YOU?)
  02. DE SALDE SINA HEMMAN (THEY SOLD THEIR HOMESTEAD)
  03. DEN MOTSTRAVIGE BRUDGUMMEN (THE RELUCTANT GROOM)
  04. OCH HOR DU UNGA DORA (AND LISTEN YOUNG DORA)
  05. KRISTALLEN DEN FINA (THE FINE CRYSTAL)
  06. VISA VID MIDSOMMARTID (MIDSUMMER SONG)

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1964年発売/AMCY-1016)
(ライナーノーツ/柳沢てつや)

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