アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2013年02月

ビル・エヴァンス / トリオ '655

TRIO '65-1 ここだけの話ですよっ。管理人は朝にも昼にも夜にも『TRIO ’65』(以下『トリオ ’65』)を聴いています。

 ヘッドフォンをしてビル・エヴァンストリオと対峙する時には「リバーサイド四部作」で間違いありません。しかし日常生活で,例えば読書のBGMとしてスピーカーで鳴らすビル・エヴァンスと来れば,俄然『トリオ ’65』なんです。
 そう。『トリオ ’65』こそ,ビル・エヴァンスの“隠れ名盤”にして管理人のビル・エヴァンス“随一の”愛聴盤なのです。

 とにかく気持ち良い。爽快なビル・エヴァンストリオの決定盤です。「小気味よく趣味のよい小品集」なのです。
 『トリオ ’65』の演奏はビル・エヴァンス本人のピアノのようではない。“エヴァンス派”に属するピアニストの演奏として,似てはいるが別人のように「コロコロ」としたピアノがスキップする。

 あれ? 「『トリオ ’65』? 何それ?」と述べるビル・エヴァンス・ファンも多いはず?
 そう。世間の『トリオ ’65』に対する評価はないも同然。ベースチャック・イスラエルだし,ドラムラリー・バンカーだし=“小粒な”ビル・エヴァンストリオだし。

 でもいいんです。『トリオ ’65』には今のまま無名であり続けてほしいのです。そう。できることなら『トリオ ’65』を独り占めしたい。管理人だけの『トリオ ’65』であってほしい。ビル・エヴァンスと管理人だけの“宝物”であってほしいのです。

 いや,待てよ。これだけの名盤であるのに,未だ無名のままなのは,多くのビル・エヴァンス・ファンが管理人と同じ心理状態のせい?
 そうかっ,みんなこっそりと“自分だけのビル・エヴァンス”を楽しみたいんだ。人には教えたくないんだ。きっとそうに違いない。ビル・エヴァンスの全ディスコグラフィの中で,こんなにも出来が良いのに評価の低いアルバムは他にないのだから…。

TRIO '65-2 だ・か・ら・管理人も『トリオ ’65』の魅力を書き連ねたくはありません。
 がっ,せっかくなのでちょこっとだけ教えます。ここだけの話ですよっ,パート供

 有名スタンダード・オンパレードの選曲が良い。それがほぼビル・エヴァンス過去の再演なのが良い。ただし今回は原曲のイメージ通りに弾いているのが良い。アップ・テンポなのが良い。
 過去最高にネクラだった【ISRAEL】【ELSA】【HOW MY HEART SINGS】が最高のネアカへと大変身したベスト・トラック! ベスト・オブ・ベストは【WHO CAN I TURN TO?】!

 しまった。しゃべりすぎた〜。とにかく『トリオ ’65』は「小気味よく趣味のよい小品集」! ここに尽きる! つまりはC1000タケダ。スーッと。本田翼ちゃん。

 読者の皆さんは『トリオ ’65』を絶対に聴かないでください! 絶対に買わないでください!

  01. ISRAEL
  02. ELSA
  03. 'ROUND MIDNIGHT
  04. LOVE IS HERE TO STAY
  05. HOW MY HEART SINGS
  06. WHO CAN I TURN TO?
  07. COME RAIN OR COME SHINE
  08. IF YOU COULD SEE ME NOW

(ヴァーヴ/VERVE 1965年発売/POCJ-2577)
(ライナーノーツ/中野宏昭)

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小林 香織 / アーバン・ストリーム3

URBAN STREAM-1 かおりん,ごめん。『URBAN STREAM』(以下『アーバン・ストリーム』)だけは擁護できません。ハズレでした。

 『アーバン・ストリーム』のCDジャケット。大人びていますよね(失礼。小林香織さん,美しすぎてカワイすぎる3●歳の現役アイドル!)。
 管理人はジャケット同様“URBAN”してると思っていました。ところがR&Bだったんですね。FUNKまでで止めていた方が良かったかもしれませんね。

 かおりん,そろそろアコースティックに寄ってみませんか? アルト・サックス,ますます上手になっています。アドリブもドライブできるし,本格派ジャズ・サックスにも挑戦してほしいものです。せっかくの実力派なのですから「天が与えた二物」を活かさないのは勿体ないです。

 『アーバン・ストリーム』のR&Bサウンドでは,アルト・サックスがバックに隠れてしまったように思います。特に『アーバン・ストリーム』の打ち込みは音が軽いです。軽すぎてアルト・サックスが“ゲスト入り”してしまったように思います。

 あと心配なのが,かおりんが大好きなライブです。『アーバン・ストリーム』のフォロー・ツアー,どんな感じになるのでしょう? KKバンドでの華やかなサックス・イメージが湧きませんでした。

 ??マークで頭一杯な『アーバン・ストリーム』全13トラック中,安心して聴けたのは【LOVIN’ YOU】と【SEPTEMBER】の大ヒット既存カヴァーの2トラックのみ。この2トラックはいい。かおりんのアルト・サックスの色が立っています。

 …と言うことで,管理人は『アーバン・ストリーム』を【LOVIN’ YOU】と【SEPTEMBER】だけをリピートするばかり。購入後7日目にして残りの11トラックは聴かなくなってしまいました。本当にごめんなさい。

URBAN STREAM-2 管理人の『アーバン・ストリーム』の評価は星三つ。ただ通常盤ではなく「初回限定盤」の購入者は星三つ半。星半分プラスは香港ライブ映像の「特典DVD」!

 これがいいんです。これでこそ小林香織なんです。このメドレー視聴して,改めて【SOLAR】の良さを実感しました。次作はリズムではなくメロウとJAZZYにこだわって!

    CD
  01. Prayer
  02. Time
  03. Dream Market
  04. Gotta Go to School (Interlude)
  05. Gotta Go to School
  06. Solitude
  07. Cats & Dog
  08. Tears
  09. Sultry Nights
  10. Back Street
  11. Lovin' You
  12. September
  13. City Lights

    DVD
    Medley:
  01. Kira-Kira
  02. Airflow
  03. Shiny
  04. Solar
  05. PRECIOUS

(ビクター/JVC 2013年発売/VIZJ-14)
★【初回限定盤】 CD+DVD

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ビル・エヴァンス / インタープレイ4

INTERPLAY-1 “ジャズ・ピアニストビル・エヴァンスの代名詞の一つが「インタープレイ」。
 ゆえにビル・エヴァンスの代表作と勘違いして?ビル・エヴァンスの総本山であるピアノ・トリオを聴く前に,アルバム・タイトル『INTERPLAY』(以下『インタープレイ』)を聴いてみたという友人が管理人の周りには数人いる。もしや読者の皆さんの中にも?

 まず最初に断言しておこう。『インタープレイ』の聴き所は「インタープレイ」ではない。「インタープレイ」よりもアドリブを聴くためのアルバムである。
 『インタープレイ』はピアノ・トリオトランペットギターが絡んだクインテット編成の異色盤。クインテットを“調和良く鳴らす”ビル・エヴァンスの“ジャズメン魂”が最大の聴き所なのである。

 「インタープレイ」とは,共演者の発するシンパシーを聴くことであり,感じることが出発点である。ゆえにあらかじめ(それが綿密ではないとしても&スリリングなアドリブで満ちているとしても)事前のパート分けを行なった時点で“互いの音で触発し合う”『インタープイ』ではない。
 そう。ビル・エヴァンス一流の「インタープレイ」の“支配力”はピアノ・トリオ止まり。クインテット編成仕様までは手が“行き届いていない”。

 そんな中,管理人の目を引くはギタージム・ホールの存在である。ビル・エヴァンスジム・ホールの「インタープレイ」と来れば,ほんの2か月前に吹き込まれた大名盤アンダーカレント』。
 もしやビル・エヴァンスの頭の中には『アンダーカレント』の「二匹目のドジョウ?」があったのでは? クインテットの立ち位置はビル・エヴァンスジム・ホールデュオフレディ・ハバードパーシー・ヒースフィリー・ジョー・ジョーンズだったのでは?

 そのビル・エヴァンスの目論見が崩れたのが“客演”のつもりで呼んだフレディ・ハバードの快演であり,パーシー・ヒースフィリー・ジョー・ジョーンズの“黒い”ノリであった。
 フレディ・ハバードがとにかく凄い。超絶技巧のトランペットビル・エヴァンスジム・ホールギターを聞かせていない。
 そしてパーシー・ヒースベースフィリー・ジョー・ジョーンズドラムビル・エヴァンスをプッシュし続けている。

 もはや攻められっぱなしのビル・エヴァンスは“静”のジム・ホールに合わせるのではなく,フレディ・ハバードのフレッシュなフレージングとパーシー・ヒースフィリー・ジョー・ジョーンズの“動”の黒ノリの乗せられ“バッパー気質丸出しな”高速フレーズでピアノを弾きまくっている。

 事実【I’LL NEVER SMILE AGAIN】の2トラックのクレジットを見ると【テイク7】と【テイク6】。何度も試行錯誤を重ねてのレコーディングである。もうこうなると新鮮味も薄れ,主に感覚でプレイすることを求められる「インタープレイ」は成立しない。熟練のコンビネーション・チリバツ・ナンバー。

INTERPLAY-2 明るく歯切れの良いジャズ・ピアノビル・エヴァンスらしさがない。いつもの叙情的で耽美的なピアノはなりを潜んでいる。でもスコット・ラファロと出会う前のビル・エヴァンスはこんなもの…。
 らしいのやら,らしくないのやら…。だからビル・エヴァンスはやめられない…。『インタープレイ』は外せない…。

  管理人の結論。『インタープレイ批評

 『インタープレイ』は「インタープレイ」を抜きにした,普通にハード・バップ名盤である。演奏もまとまりとしてはビル・エヴァンスの“手からこぼれる落ちる感じ”なのだが,その分5人の自由度が高くアドリブも勢いもあり申し分ないハード・バップ
 でも,でも,これがビル・エヴァンスかと問われると…。

  01. YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC
  02. WHEN YOU WISH UPON A STAR
  03. I'LL NEVER SMILE AGAIN (take 7)
  04. INTERPLAY
  05. YOU GOT TO MY HEAD
  06. WRAP YOUR TROUBLES IN DREAMES
  07. EV'RYTHING I LOVE
  08. SHOW-TYPE TUNE
  09. I'LL NEVER SMILE AGAIN (take 6)

(リバーサイド/RIVERSIDE 1962年発売/VICJ-60029)
(ライナーノーツ/オリン・キープニュース)

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ビル・エヴァンス / ハウ・マイ・ハート・シングス5

HOW MY HEART SINGS!-1 『HOW MY HEART SINGS!』(以下『ハウ・マイ・ハート・シングス』)は,ビル・エヴァンス随一の「スイング・アルバム」である。間違いない。

 バラード集の『ムーンビームス』と同日セッションの姉妹盤=アップテンポ集の『ハウ・マイ・ハート・シングス』が放つ個性はビル・エヴァンスの「ノリ」である。しかも「根暗な人が無理して踊ったかのようなノリ」。おっと,これは悪口ではない。

 『ハウ・マイ・ハート・シングス』での“たまらない”スイング感こそ,新ベーシストチャック・イスラエルの「地味で堅実タイプな」インタープレイにある。

 一つにはチャック・イスラエルの音色の渋さ。スコット・ラファロの音色が鮮やか系だったので余計にそう感じるのだろうが,気を抜くとベースラインを見失ってしまいそうな,いかにもベースらしいダーク系の重低音。低音が一群の音の塊となって襲ってくるモノラル録音っぽい音色ゆえ目立たない。

 もう一つがチャック・イスラエルのリズム感。チャック・イスラエルの弾くベースラインは「先乗り」のスコット・ラファロと異なり,音符を先取りせず,根底に流れるリズムに対してジャストのタイミングで波を打つ。
 それでいてその時々に必要な音程を複雑なビートで,しかし音楽全体の流れを損なわないように,押さえるべきところは押さえつつ,暴れるべきところでさりげなく暴れてみせる。冷静沈着な大人のテクニック・スインガー

 ビル・エヴァンスの代名詞はインタープレイ。つまりビル・エヴァンスチャック・イスラエルの弾くベースラインに反応する。チャック・イスラエルの“ナイーブな歌心”が,心楽しげにビル・エヴァンススイングさせてしまうのだろう。
 『ハウ・マイ・ハート・シングス』で聴くビル・エヴァンスピアノは,再び名ベーシストに巡り会えた喜びをストレートに写し出している。

 “阿吽の呼吸”のパートナー=スコット・ラファロの死に面し,意気消沈し無気力になり,もはや再起不能とまで思われていた1年前のビル・エヴァンス
 そんなビル・エヴァンスが1年間のブランクを経て,待望の名ベーシストチャック・イスラエルのジャストで複雑なリズムに触発された結果,閉ざされ,ふさぎ込まれた心を軽やかに開き,喜びに満ち溢れたトーンで爽やかに歌い上げている!
 これぞエヴァンス流「スイングしなけりゃ意味がない♪」状態!

HOW MY HEART SINGS!-2 管理人の結論。『ハウ・マイ・ハート・シングス批評

 “内に内に”向かう内省的なビル・エヴァンスが『ハウ・マイ・ハート・シングス』だけは“外に外に”エネルギーを発散している。
 ただしこのトーンが暗いんだよなぁ。だからビル・エヴァンスなんだよなぁ。だから大好きなんだよなぁ。

 『ハウ・マイ・ハート・シングス』の発する,絶大な「暗さとノリ」のスインガー。このエネルギーってビル・エヴァンスの「歴史上一番時間をかけた自殺」への「音玉」?

 管理人は『ハウ・マイ・ハート・シングス』での【WALKING UP】と【34 SKIDOO」のリフレインが,ビル・エヴァンスを自ら死へと駆り立てた行進曲に思えてなりません。どうしてもそう思えてなりません。こんなに楽しそうにピアノを弾くビル・エヴァンスを聴く度に,もう泣けて泣けてどうしようもありません。

 ビル・エヴァンスの死の棺に『ハウ・マイ・ハート・シングス』を添えてあげたかった…。
 天国にいるビル・エヴァンスさん,ポール・モチアンさん,チャック・イスラエルさんとの「インタープレイの続き」を楽しんでおられますか?

  01. HOW MY HEART SINGS
  02. I SHOULD CARE
  03. IN YOUR OWN SWEET WAY (take 1)
  04. WALKING UP
  05. SUMMERTIME
  06. 34 SKIDOO
  07. EV'RYTHING I LOVE
  08. SHOW-TYPE TUNE
  09. IN YOUR OWN SWEET WAY (take 2)

(リバーサイド/RIVERSIDE 1962年発売/VICJ-60373)
(ライナーノーツ/オリン・キープニュース,小西啓一)
(☆XRCD仕様)
(サンプル盤)

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ビル・エヴァンス / ムーンビームス4

MOON BEAMS-1 管理人は新ベーシストとしてチャック・イスラエルを迎えた,新生ビル・エヴァンストリオの2枚の姉妹盤『MOON BEAMS』(以下『ムーンビームス』)と『HOW MY HEART SINGS!』(以下『ハウ・マイ・ハート・シングス』)を同時期には聴かなかった。

 先に買ったのは『ハウ・マイ・ハート・シングス』。『ハウ・マイ・ハート・シングス』の“酸いも甘いも”に関しては,後日UP『ハウ・マイ・ハート・シングス批評で語ることにするが,アップテンポ集の『ハウ・マイ・ハート・シングス』は大注目のチャック・イスラエルインタープレイを中心に聴き漁り,多くのジャズ本を読み漁ったものだ。
 新ベーシストの結論としては,世評に違わず「スコット・ラファロ命」を実感するのだが,ではチャック・イスラエルがダメかというとトンデモナイ。チャック・イスラエルがいたからこそエヴァンスは新たな表現手法に足を踏み入れることが可能となったのだ。うん。

 そのように管理人の『ハウ・マイ・ハート・シングス』の評価が定着した頃に時間差で入手した,姉妹盤のバラード集=『ムーンビームス』。『ムーンビームス』を聴いて,管理人のチャック・イスラエル熱が燃え上がった。ビル・エヴァンスが“嬉々として”スコット・ラファロの死で途絶えたピアノ・トリオを再スタートさせたのも分かる気がした。
 『ムーンビームス』を聴き漁っていた頃の管理人は「スコット・ラファロ命」→「チャック・イスラエル命」へと“推し変”していた甘い思い出(ただし,現在は再び「スコット・ラファロ命」です!)。

 そう。『ムーンビームス』でのビル・エヴァンスピアノは,低重心で落ち着きのあるチャック・イスラエルの“名伴奏”を得て,真に内省的な自己との対話を表現するようになったと思う。
 事実『ムーンビームス』を聴いていると,ベーシストラファロなのか,イスラエルなのか,などどうでもよくなってくる。チャック・イスラエル名演ビル・エヴァンススコット・ラファロへの郷愁を忘れさせてしまっている。

 スコット・ラファロへの思いを断ち切ったビル・エヴァンスピアノ・タッチが鮮烈に変化している。脱硬派である。『ムーンビームス』全編フィーチャー=高音怒涛のキラキラ感。一瞬,エレピかと思う瞬間が幾度となくある。
 そしてスコット・ラファロを亡くしたのはポール・モチアンも同じ。ポール・モチアンブラッシングによるチャック・イスラエルへの賛歌がこれまたいいんだっ!

MOON BEAMS-2 管理人の結論。『ムーンビームス批評

 『ムーンビームス』をビル・エヴァンスの入門者に薦めてはいけない。ましてBGMなど論外である。
 バラード集にして,相当に甘口な『ムーンビームス』は曲を聴いてはならない。メロディを追いかけてはならない。これが管理人の『ムーンビームス』を楽しむための極意にして“正しいテーブルマナー”だと思っている。

 『ムーンビームス』は,ただただビル・エヴァンスの個性に意識を集中して聴くべきアルバムの最右翼。そうすれば繊細で豊かなビル・エヴァンスだけが有するハーモニーの世界が味わえる。
 『ムーンビームス』は,手間暇を惜しんでは楽しめない,実は骨が折れるアルバムなのである。

  01. RE:PERSON I KNEW
  02. POLKA DOTS AND MOONBEAMS
  03. I FALL IN LOVE TOO EASILY
  04. STAIRWAY TO THE STARS
  05. IF YOU COULD SEE ME NOW
  06. IT MIGHT AS WELL BE SPRING
  07. IN LOVE IN VAIN
  08. VERY EARLY

(リバーサイド/RIVERSIDE 1962年発売/VICJ-60214)
(ライナーノーツ/オリン・キープニュース,小西啓一)
(☆XRCD仕様)

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ビル・エヴァンス & ジム・ホール / アンダーカレント5

UNDERCURRENT-1 ピアノギターによるデュエット・アルバムの「永遠の金字塔」! それがビル・エヴァンスジム・ホールによる『UNDERCURRENT』(以下『アンダーカレント』)である。

 ジャズにおいてデュエット・アルバムは数あれど,ピアノギターデュエットものは滅法少ない。なぜだろう?
 一般的に論じられている主流の理由は楽器の特性=ピアノギターも「コード楽器だから説」。ともすれば互いが互いを打ち消し合うようなデュエットになってしまう。しかしこれは個人的には違うと思っている。

 なぜならピアノギターデュエットは,同じコード楽器としてやり難さは残るだろう。しかしピアノギターメロディー弾きのリード楽器&リズム楽器としての側面も有している。
 要は,互いが互いを打ち消し合うこともできれば,互いが互いを引き立て合うこともできるコード楽器の共演である。ピアノギターデュエットものに難しさを感じるとすれば,それは楽器の相性を超えた“ジャズメンとしての資質”の問題であろう。

 ピアニストギタリストが口にしない,ピアノギターデュエットものが滅法少ない本当の理由がある。それが『アンダーカレント』の存在だと思う。
 もはや意識しなくとも潜在意識として刷り込まれちゃっている圧倒的な大名演。『アンダーカレント』がピアノギターデュエットの録音に二の足を踏ませる“楔”になっているのだと思う。
 どうしても比較される? どうあがいても越えられない?

 『アンダーカレント』を「永遠の金字塔」たらしめている最大の理由。それは『アンダーカレント』がビル・エヴァンスジム・ホールによる“実験作”だという事実にある。ビル・エヴァンスジム・ホールがアグレッシブに攻めている。ピアノギターデュエットの限界に挑戦しているのだ。

 そしてこの実験が“まさかの”完璧な成功を収めてしまった。『アンダーカレント』の印象は“優雅”という表現に尽きると思う。
 本当のビル・エヴァンスジム・ホールは『アンダーカレント』のジャケットに暗示されているように水面下でもがいているのに,水面上を漂っている死体?のようにしか聴こえない。ソフトでまろやかで寛いだ雰囲気が漂っている。上手い!そして美しい!
 互いの演奏にインスパイアされた素晴らしいインタープレイの最中であっても,相手をリスペクトする音が溶け合い調和が図られている。上手い!そして美しい!

UNDERCURRENT-2 アグレッシブに攻めているのにメロウで優雅で美しい。ホットな演奏なのにクールな音楽。『アンダーカレント』の奇跡的な超ハイレベルを勝手知ればこそ,一流のピアニストギタリストピアノギターデュエットに“ためらい”を感じるのだろう。
 全体を貫く知的なクールネスこそが,ビル・エヴァンスジム・ホール双方のアプローチに共通する『アンダーカレント』(底流の意味)なのである。

 その意味で「平成のアンダーカレント」に挑戦した渡辺香津美小曽根真と「21世紀のアンダーカレント」に挑戦したパット・メセニーブラッド・メルドーに惜しみない賛辞を贈りたい!

 果たしてその結果は,やっぱり『アンダーカレント』! やっぱりビル・エヴァンスジム・ホール! 50年以上の時を経て益々美しさの輝きを増していく!

  01. MY FUNNY VALENTINE
  02. I HEAR A RHAPSODY
  03. DREAM GYPSY
  04. ROMAIN
  05. SKATING IN CENTRAL PARK
  06. DARN THAT DREAM

(ユナイテッド・アーティスツ/UNITED ARTISTS 1962年発売/TOCJ-5972)
(ライナーノーツ/小川隆夫,皸羶成)

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ビル・エヴァンス / THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 19615

THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961-1 ビル・エヴァンスは100枚以上の公式アルバムを残しており,そのどれもが興味深い演奏ばかりであるのだが,いつでも真っ先に取り出したくなるのが『サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』+『ワルツ・フォー・デビイ』+アンドモア=『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』BOXセット〜!

 あらゆる好条件が揃って産み落とされた歴史的名盤である。コンスタントに記録を残すスポーツ界の名選手であっても毎回世界記録が出せないのと同じように,高水準のアルバムを連発するジャズ・ジャイアントであったとしても,最高の即興演奏を毎回レコーディングできるものではない。
 その意味で『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』は音楽の神様が与えてくださった「奇跡の結晶」であろう。
 (ただしこの気負いのなさ。ビル・エヴァンスにとっては日常のヒトコマの記録であった? やっぱり幸運! だから神様!)

THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961-2 ピアノビル・エヴァンスベーススコット・ラファロドラムポール・モチアンからなるビル・エヴァンストリオ

 かってポール・モチアンが,当時の黄金トリオを振り返って「何か新しい可能性を感じた。これだ!って演奏中に何度思ったかしれやしない。今日はどこまでこのトリオで行けるんだろうって演奏する前は当事者の自分たちがワクワクしていたほどさ。それくらいあのトリオは音楽的に充実していたし,互いを分かりあえていた。こんな気持ちで演奏ができたことは後にも先にもないからね。特別な場所に特別な人たちがものの見事にはまったっていううことかな。やっている自分たちの方が怖いものを感じた」と述べている。

 これがマイルス・デイビスの死後,長らく空位となっていた「ジャズの帝王」の座に鎮座したポール・モチアンの言葉である。
 あのポール・モチアンをして,唯一無二の時間を過ごしたと言わしめた“創造の絶頂期”。それがビル・エヴァンスの黄金トリオによるビレッジ・バンガードでのライブであった。

THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961-3 『サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』と『ワルツ・フォー・デビイ』の2枚のアルバムでビレッジ・バンガードでのライブを通過してきたエヴァンス・ファンにとって新鮮な理解の感動に圧倒されてしまう。

 時系列順にあの夜の演奏を聴き続けるという行為に意味があるとすれば,このBOXセットを聴いた後に『サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』と『ワルツ・フォー・デビイ』を聴き返した瞬間に感じる快楽と後悔であろう。全てを知った瞬間に背負う重荷も存在するのだ。
 それは概ね「編集の恐ろしさ」という言葉に尽きると思う。化粧を落としたビル・エヴァンストリオの素顔を見てマニアは一体何を思うことだろう?

THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961-4 管理人は『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』BOXセットを聴いて,2つの点を強く意識できるようになった。

 その1つは『サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』でのフィーチャリングを凌ぐベーススコット・ラファロの“天才”であり,もう1つは客の不入りとグラス・ノイズに代表されるビル・エヴァンスの“不遇”である。

THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961-5 マックス・ローチクリフォード・ブラウンを自動車事故で失った時に,しばらく仕事をしたくない,と語ったが,スコット・ラファロをこれまた同じ自動車事故で亡くしたビル・エヴァンスが語っている。

 ジャズメンは,実に多くの演奏家と共演を繰り返しているが,真に“魂の共鳴する”相手に巡り逢うのは稀有なことである。ビル・エヴァンスとってのスコット・ラファロが正にそうであった。
 ビル・エヴァンスにとってスコット・ラファロは生涯に一度しか出会うことのない唯一無二の共演者であり,スコット・ラファロベースによる啓発によってビル・エヴァンスが“覚醒”されていく過程のドキュメンタリーになり得ていると思う。

THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961-6 そしてコンプリート盤ゆえの聴き所であろう“ゴミ”の存在である。元々観客が少ないことは明らかであったが,この演奏前後の場の空気を通じて真剣に演奏が聴かれていないことが一層浮き彫りにされている(何と勿体ない!)。

 ビル・エヴァンスの“不遇”。それは食事中の客,談笑する客,電話中の客に向けて演奏しなければならなかったという事実。お願いです。あの夜のクラブ客の中に熱心なジャズ・ファンが一人でもいてください。ウソでもいいから一人でもいたと信じさせてください。
 そうでないとビル・エヴァンスが浮かばれません。あの夜,ビル・エヴァンスは一体誰に向かって美しいピアノを奏でていたのでしょう。不憫でなりません。

THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961-7 『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』BOXセットの真実。それは『サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』と『ワルツ・フォー・デビイ』の“剥き出しの”演奏集。

 1961年7月25日に行なわれた全5ステージのノーカット演奏。一晩で22曲ものインタープレイを演奏したのだから疲れに疲れたに違いないが,演奏はその逆である。アドレナリン出まくりで神懸り的に突き抜けていく。
 ビル・エヴァンスよ,ドラッグなしでもハイになれるじゃないか!

THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961-8 ステージが進むにつれ,ビル・エヴァンスの,スコット・ラファロの,ポール・モチアンの感動が音の表情から伝わってくる。「何て素晴らしい演奏なんだろう。もっと…長く…いつまでも…演奏し続けていたい」。
 このライブこそが“伝説”である。このライブこそが“夢”である。

 『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』はマニア向けの日本独自企画盤ゆえ『サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』と『ワルツ・フォー・デビイ』の2枚を所有していれば音楽的には十分であろう。しかしそれ以上!を求めるのであれば絶対購入BOXセット3枚組!
 ビル・エヴァンスが見た夢の続きを共に見ようではないか! 共に伝説に参加しようではないか! そして,あぁ,ラファロよ!

  DISC 1
  Afternoon Set 1
  01. spoken introduction
  02. GLORIA'S STEP (take 1-interupted)
  03. ALICE IN WONDERLAND (take 1)
  04. MY FOOLISH HEART
  05. ALL OF YOU (take 1)
  06. announcement and intermission
  Afternoon Set 2
  07. MY ROMANCE (take 1)
  08. SOME OTHER TIME
  09. SOLAR

  DISC 2
  Evening Set 1
  01. GLORIA'S STEP (take 2)
  02. MY MAN'S GONE NOW
  03. ALL OF YOU (take 2)
  04. DETOUR AHEAD (take 1)
  Evening Set 2
  05. discussing repertoire
  06. WALTZ FOR DEBBY (take 1)
  07. ALICE IN WONDERLAND (take 2)
  08. PORGY (I LOVES YOU, PORGY)
  09. MY ROMANCE (take 2)
  10. MILESTONES

  DISC 3
  Evening Set 3
  01. DETOUR AHEAD (take 2)
  02. GLORIA'S STEP (take 3)
  03. WALTZ FOR DEBBY (take 2)
  04. ALL OF YOU (take 3)
  05. JADE VISIONS (take 1)
  06. JADE VISIONS (take 2)
  07. ...a few final bars

(リバーサイド/RIVERSIDE 2002年発売/VICJ-60951-3)
(ライナーノーツ/岩浪洋三)
(CD3枚組)

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ジャコ・パストリアス

ザ・キング・イズ・ゴーンザ・キング・イズ・ゴーン
マーカス・ミラー

FIRST MEETINGファースト・ミーティング
テザード・ムーン

スペシャル・エディションSPECIAL EDITION
ジャック・デジョネット

ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリングYOU MUST BELIEVE IN SPRING
ビル・エヴァンス

ヴァイアティカムVIATICUM
e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)

STEP BY STEPSTEP BY STEP
ステップス

2424
DIMENSION

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渡辺香津美
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FOURPLAYFOURPLAY
フォープレイ

コンプリート・ピック・ヒッツ・ライヴPICK HITS
ジョン・スコフィールド

ニューポートの追想V.S.O.P.
ハービー・ハンコック

アス・スリーUS THREE
ホレス・パーラン

Manhattan StoryBLUE'S MOODS
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AFRICAN PIANOOFF TO THE RACES
ドナルド・バード

AFRICAN PIANOAFRICAN PIANO
ダラー・ブランド

Manhattan StoryMANHATTAN STORY
アキコ・グレース

SPELLBOUNDSPELLBOUND
ジョー・サンプル

ランデヴーRENDEZ-VOUS
木住野佳子

RETURN TO FOREVERRETURN TO FOREVER
チック・コリア

BRAINBRAIN
上原ひろみ

イン・ラインIN LINE
ビル・フリゼール

ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニングザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング
マーク・ジョンソン

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