アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2013年03月

峰 厚介 クインテット / メイジャー・トゥ・マイナー4

MAJOR TO MINOR-1 管理人にとって峰厚介とは,長らくネイティブ・サン峰厚介であった。ネイティブ・サン峰厚介は確かにジャズ・サックス“ぽかった”。結構ハードボイルド・タッチで鳴らしていたもん。

 ネイティブ・サン以前の峰厚介を聴いたことはなかった。ゆえに峰厚介フュージョン・サックスのイメージのままソロ名義作(正確には峰厚介クインテット名義)を初めて聴いた。
 『MAJOR TO MINOR』(以下『メイジャー・トゥ・マイナー』)を聴いた時の衝撃たるや。なんじゃこれ〜!であった。

 か〜,なになにライナーノーツを読むと『メイジャー・トゥ・マイナー』は峰厚介17年振りのリーダー作。
 そうかっ,時間が経って演奏スタイルが変化したんだ。最初はそう思った。しかし十数回聴き込むにつれ違う感情が頭をもたげてきた。そうしてついに確信した“ジャズメン”峰厚介

 そう。『メイジャー・トゥ・マイナー』によって,管理人の峰厚介のイメージが変化した。そして峰厚介個人だけでなくネイティブ・サンのイメージまでもが変化した。90°?
 ネイティブ・サンの生命線=【SUPER SAFARI】がもはや軽快には聴こえない。ビートはハネ系のカクテル・フュージョンそのものだが,スリリングなエレクトリック・ジャズを聴いているような気分になってしまうのだ。恐るべし,峰厚介本田竹廣

 まっ,個人的にはネイティブ・サン峰厚介本田竹廣の関係性はウェザー・リポートウェイン・ショータージョー・ザビヌルの関係性に当てはまる。本田竹廣が線を描いて峰厚介が色を付ける関係性。
 だ・か・らネイティブ・サン時代の峰厚介は“和製ウェイン・ショーター”であった。しかし『メイジャー・トゥ・マイナー』に聴く峰厚介は“和製ソニー・ロリンズ”であった。

 こう書けば伝わる? 最初からこう書き出せばよかった? ウェイン・ショーターからソニー・ロリンズへの変化はテナー・サックスの魅力を堪能できる豪快さ! 「男の中の男=峰厚介」参上!
 しかし,この17年間で変化したのは峰厚介サックス奏法ではない。峰厚介の“ジャズ・フィーリング”の変化だと思う。

 本田竹廣が線を描いて峰厚介が色を付けるネイティブ・サンでの関係性が終了し,ソロとなりバンド・リーダーとなった峰厚介は「線も書くし色も付ける」。線引き作業を兼ねるようになった峰厚介の引く線は「野太い」。ソニー・ロリンズのようなスケールのデカイ構造物を書くようになった。
 逆に言えば,峰厚介は『メイジャー・トゥ・マイナー』で,ネイティブ・サンから続いていた「色付け」作業をやめてしまったように思えてならない。

MAJOR TO MINOR-2 峰厚介クインテットでの「色付け担当」は,秋山一将ギターであり,大口純一郎ピアノである。
 峰厚介クインテットにおける峰厚介の担当はひたすら基本線。王道から右にも左もそれることなく“悠悠自適”にテナー・サックスを吹きまくっている。もはやバックの音や全体のバランスは二の次だとでも言わんばかりにテナー・サックスアドリブに心を割いている。

 ジャズから出発し,フュージョンで活躍し,ジャズに傾倒する峰厚介。その転換点としての『メイジャー・トゥ・マイナー』。
 やっぱり,人には歴史があるんだな。無駄な経験なんてないんだな。今の一日一日が未来の自分を作っていくんだな。

PS 『MAJOR TO MINOR』は,スイングジャーナル主催/ジャズ・ディスク大賞【日本ジャズ賞】を,大西順子の『WOW』と分け合う名盤なのですが,大西順子好きというただそれだけの理由で心情的に『WOW』と同格扱いはできません。『WOW』より格下の星4つとさせていただきました。あしからず。

  01. MAJOR TO MINOR
  02. MORNING AFTER
  03. LAST SHOT
  04. SASUKE
  05. CHANGA
  06. I REMEMBER GOKO

(ヴァーヴ/VERVE 1993年発売/POCJ-1195)
(ライナーノーツ/児山紀芳,渋谷毅)
★1993年度(第27回)ジャズ・ディスク大賞【日本ジャズ賞】受賞

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西山 瞳 / パララックス4

PARALLAX-1 西山瞳ジャズ・ピアニストではない。“コンポーザー・ピアニスト”である。つまりオリジナルを表現する「道具」としてのピアノ西山瞳にとってジャズ・ピアノは「手段」なのである。

 『PARALLAX』(以下『パララックス』)から飛び出してくるのはピアノの音色ではない。西山瞳のバンド・サウンドでもない。メロディ・ラインである。
 個性的な“西山節”とでも書いたら伝わるのでしょうか? とにかく西山瞳のコンポーザーとしての力量を感じる。メロディに説得力がある。首根っこを捕まえられて「これを聴け!」と縛りつけられたかのように…。

 西山瞳は『パララックス』の中で,結構な量のアドリブを弾いている。しかし意識していないとアドリブが流れさってしまう。
 どこがどういうアドリブなのか? どこまでがアドリブで,どこからが譜面なのか?の判別が難しい。事前に書かれていたかのようなアドリブがいつも美メロで飛び出してくる。

 西山瞳メロディアドリブのための素材ではない。旋律の1つ1つが美しい。“コンポーザー・ピアニスト”の真骨頂であろう。

PARALLAX-2 『パララックス』がここまで成功したのは西山瞳ジャズ・ピアノに専念できるバンド・サウンドに採用にあると思う。

 上述の論理と一見矛盾した意見のように思えるかもしれないが,ジャズにおいては往々にしてよくあること。
 コンボが自分の手足として思い通りに機能する時,リーダーは音世界のイマジネーションを膨らませることができる。ベース坂崎拓也ドラム清水勇博を「連れ」として,しなやかで歯切れ良く疾走している。

 『パララックス』の聴き所こそ,ピアノ・トリオの有機連鎖と変拍子好きの西山瞳特有のノリ! リズムを細分化しながらアクセントを変えていく西山瞳の“風通しの良さ”がダイレクトにリズム隊の演奏に表われているように思う。

 特に清水勇博ドラムでの“遊び”! 引き出しが多過ぎるせいか,曲全体の流れを捉えた時に散漫の一歩手前で踏みとどまる瞬間の途方もない快感! 西山瞳清水勇博な瞬間の快感! 破壊と創造という快楽が『パララックス』にはある。

PARALLAX-3 そう。『パララックス』でのリズム隊の名演を産み落としたのも“コンポーザー・ピアニスト”としての西山瞳の手腕である。

 思うに,西山瞳は曲を書く時に坂崎拓也ベース清水勇博ドラムを事前にイメージしていたのだと思う。
 完全に西山瞳の術中にベースドラムがハマッテいる。もっと言えばゲスト参加の馬場孝喜ギターが“パット・メセニーしている”! 【CHANGING】は,もろ「メセニーメルドーカルテットと被ってくる。素晴らしい。 

PARALLAX-4 メセニーメルドーな【CHANGING】〜感動系映画音楽のような【THE OTHER SIDE OF MIDNIGHT】の流れが『パララックス』のハイライト!

 『パララックス』こそ,西山瞳メロディ・ラインの完成形。名器=ファツィオーリの音色はちょっとした付加価値にすぎない。

PS 「PARALLAX-3」は販促用のポスト・カード。「PARALLAX-4」は販促用のポスト・カード直筆サイン入り。サイン前サイン後ではなく2種類を所有しています。

  01. Bull's-Eye
  02. Softly as in a morning sunrise
  03. Front man
  04. Changing
  05. The other side of midnight
  06. Images & words
  07. Invisible world
  08. Omoi-gusa
  09. Blue nowhere
  10. Parallax
  11. Aprilis

(スパイス・オブ・ライフ/SPICE OF LIFE 2008年発売/PBCM-61032)
(ライナーノーツ/成田正)

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山中 千尋 / ビコーズ5

BECAUSE-1 「こんなザ・ビートルズ,聴いたことがない。チヒロ・ミュージックの世界はどこまで広がるのか。何ものにもとらわれないこの感覚こそ,ザ・ビートルズがめざした自由」。
 これぞ『BECAUSE』(以下『ビコーズ』)のCD帯のコピーであるが,この名コピーは管理人の“心の声”でもある。

 『ビコーズ』は確かにビートルズ。よ〜く聴けばビートルズ。
 アレンジが超過激すぎてオリジナルの雰囲気は皆無である。山中千尋が徹底的にビートルズをアナグラムしてきたのだ。基本ビートルズとは「似ても似つかぬ別物」と思って間違いない。

 ここまで崩しまくる山中千尋の才能に驚愕。いくら天才でもここまで振り切れるのはそう容易くはない。山中千尋の頭の中を一度覗いてみたい。できればスカートの中も…。

 管理人がビートルズに詳しくないのが,幸いしたのか?災いしたのか? 1回目は曲タイトルを見ずに聴いたが,分かったのは【イエスタデイ】と【ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア】の2トラックのみ。残りは山中千尋の新曲と受け止めながら聴いた。

 まっ,選曲がレアなようで「マイナー・ビートルズ集」のようなカタログになってますが,選曲うんぬんを超えた次元で,レノン=マッカートニーのライン上に自然に山中千尋が乗っかっています(事実,ビートルズ集に混ざって山中千尋のオリジナルが3曲入っていますが気付きません)。

 だ・か・ら山中千尋の圧倒的なピアノが耳をつんざく! 凄い演奏力! 繊細な表現なのだがダイナミックな臨場感! ピアノのドライブ感に押し倒されそうな気分がした。
 しかし椅子から転げ落ちなかったのがビートルズ集だったからなのでしょう。ビートルズの美メロの安心感と懐の深さが,真に山中千尋を自由にさせたのでしょう。軽やかなリズムが流れていたからなのでしょう。

 それにしてもなぜビートルズにインドや中央アジアを組み合わせるのでしょうね? 「こんなザ・ビートルズ,聴いたことがない」アゲイン!
 ちーたんの発想の思考回路が全くもって分かりません。ちーたん,あなたは真の理解不能なお嬢様です。可憐で清楚で真面目な演奏なのに“やんちゃな”ピアノのオンパレードに最後まで付き合いきれません。

 山中千尋は,どこまでファンを振り回せば気がすむのでしょう。音遊びの実験作はリスナーとしては疲れるのです。
 でもでも『ビコーズ』が大好きです。こんな過激な演奏が大好きなのです。うん。『ビコーズ』。山中千尋の“新・最高傑作”になったと思います。はい。

BECAUSE-2 最後に管理人のお目当て=山中千尋のビジュアルについて…。

 『ビコーズ』も例によって?ジャケット写真は3TYPE。山中千尋の“美形”を取るなら通常盤。“芸術”を取るならSACD盤であろうが,ここは最高のデザイン“ブルーノート”な「【初回限定盤】SHM−CD+DVD」盤が素晴らしい。

 敢えて山中千尋小さくバックに配してのタイポグラフィー。この文字使い&色使いは「現代のリード・マイルズ」級の仕事です。ブルーノート好きのツボ=ジャズ好きのツボを突いている。分かっているよなぁ。アッパレ!
 あっ「【初回限定盤】SHM−CD+DVD」盤のインナーには,それはそれは“おめかしされた”千尋嬢が待ち構えていますよ。

   CD
  01. Because
  02. Yesterday
  03. For No One
  04. Insight Foresight
  05. Here, There And Everywhere
  06. The Imprints / Drive My Car / The Word
  07. It Was A Beautiful 8 Minutes Of My Life
  08. Your Mother Should Know
  09. Honey Pie
  10. Michelle

   DVD
  01. Insight Foresight
  02. It Was A Beautiful 8 Minutes Of My Life
  03. For No One

(ヴァーヴ/VERVE 2012年発売/UCCJ-9126)
★【初回限定盤】 SHM−CD+DVD

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鈴木 賢司 / COSMIC WORDS5

COSMIC WORDS-1 管理人の音楽鑑賞は実際は雑食のオール・ジャンルです。部屋にいる時には「ながら聞き」のBGMとしてラジオがずっと流れています。ですので邦洋のヒット曲は大概網羅できていると自負しています。
 ただし「CD鑑賞」となると話は一変。SACDヘッドフォンで「拝聴」するのはジャズフュージョンのみ。一日の数時間はオーディオの前で正座しながらジャズフュージョンの醍醐味=アドリブを追いかけ続けています。楽しい〜。

 管理人のこのスタイルが確立されたのはもう20年以上前。きっかけとなる出来事がありました。
 今も部屋にはCDが(例のリッピングして中古CD屋で売る活動がぼちぼち定着したので減りましたが)1000枚以上はありますが,当時も2000枚以上は所有していたはずです。ジャズフュージョンが1000枚として,残る1000枚はオール・ジャンル。

 ああ〜,ここまで書いて振り返ってみると,今,昔と同じことをやっている〜。そう。1000枚売りさばき〜。
 その時に決めたのです。CDジャズフュージョン以外は買わないことを。それで売るCDを仕分けしたのですが…。
 結果“ジャズフュージョン縛り”は崩れ“インスト縛り”と相成りました。そうです。ジャズフュージョンには当たらない,YMO高中正義を捨てきれなかったのです。

 しかしYMO高中正義はまだいい。事実,今ではYMO高中正義のコレクションの半分は売り飛ばしてしまっている〜。
 実はその仕分け作業でどうしても死守したかった,どうしても処分できなかったCDが1枚あったんです。
 その“宝物にして愛着”の1枚こそ,ロック・ギタリスト鈴木賢司の『COSMIC WORDS』! 『COSMIC WORDS』が管理人の思惑“ジャズフュージョン縛り”を崩壊させたのです。

 もう大好き。メチャメチャ好き。野呂一生に狂っていた管理人の音世界を広げてくれたのが鈴木賢司なのです。アドリブログには似つかない,ロック系アーティストの初登場レビューです。以後,アドリブログは“インスト批評ブログ”ということでご贔屓願いま〜す(冗談です。アドリブログジャズフュージョン命!)。

COSMIC WORDS-2 『COSMIC WORDS』は全曲素晴らしいのですが,特に【理由なき反抗】【CLUB ELEKING】【輝ける7つの海をこえて】の3トラックは神!

 様々なメディアで「無人島へ持っていく10枚」なる企画を目にする時に考える。管理人ならキース・ジャレットパット・メセニーカシオペアスクェアマイルス・デイビスウェザー・リポートウイントン・マルサリス渡辺貞夫ソニー・ロリンズの9人の鉄板から1枚づつ選ぶとして,最後の1枚で迷いに迷いのたうち回るはず?

 残る一枠を争うは,矢野沙織デビッド・サンボーンケニー・ギャレット本田雅人ディメンションナニワの名前が思い浮かんだが,ズバリ,もしやの大穴=鈴木賢司!?
 『COSMIC WORDS』をチャッカリ,どさくさ紛れで袖の下から潜り込ませていそうな自分がいるのです。それくらい好き。本当に好き。完。

  01. RUMINATE
  02. 理由なき反抗
  03. JUST I LIKE THIS
  04. CLUB ELEKING
  05. 夢見るころを過ぎて
  06. COME ON!!(EVERYBODY SAY HEY!)
  07. 時間は止らない
  08. ARMS ON GUITAR
  09. 輝ける7つの海をこえて

(エピック・ソニー/EPIC/SONY 1986年発売/32・8H-64)
(ライナーノーツ/小貫信昭)

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ビル・エヴァンス / モントゥルー II5

MONTREUX II-1 モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルが「世界一のジャズフェス」に育ったのは,全ては『モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』の大ヒットがあったから。
 その後は“猫も杓子も”モントゥルーモントゥルーでのライブと冠が付けば売れる神話。永遠と続くリリース・ラッシュ。

 そこで再びビル・エヴァンストリオにお呼びがかかった。そのライブ盤が『MONTREUX 』(以下『モントゥルー 』)である。

 もはや圧倒的なライブ・パフォーマンス。格の違いが漂う名演。聴衆の期待に応えている。前回にも増してビル・エヴァンストリオが熱い。
 完全に『モントゥルー 』=『モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』を超えてきた。そう思った。1回目は。

 ライブ盤なのだから1回目に聴いた印象が全てだとは思うのだが,繰り返し聴き込むにつれ印象が変化した。「あれ? こんなだったっけ?」。聴き込むとアラが出る。うーむ。

 だ・か・ら『モントゥルー 』は一気に楽しんでください。ビールを飲みながら雰囲気で聞くビル・エヴァンスのワイルドな演奏が超・色っぽいのです。男の色気漂う【ALFIE】が最高です。【ALFIE】1曲の存在で『モントゥルー 』は星5つ〜。

 【ALFIE】以外のミディアム・ナンバーも以前の録音と比べてアップテンポのハイ・ピッチ。あのマイナー・ブルース=【ISRAEL】がこうも攻撃的に演奏されようとは「意表を突かれてしまった」気分。ビル・エヴァンストリオモントゥルーのステージを「風のように駆け抜けていく」気分。

MONTREUX II-2 果たしてビル・エヴァンストリオの『モントゥルー 』の“残り香”はリリシズム。
 ビル・エヴァンスは真に音楽職人ですね。本当にいい仕事をしてくれています。セットリストからして最高の選曲=愛奏曲。

 『モントゥルー 』に限らずモントゥルーライブ盤は一発勝負です。盛り上がっちゃって〜! ビールあびるように飲んじゃって〜! 酔いつぶれちゃって〜! 官能の快楽〜!

  01. INTRODUCTION−VERY EARLY
  02. ALFIE
  03. 34 SKIDOO
  04. HOW MY HEART SINGS
  05. ISRAEL
  06. I HEAR A RHAPSODY
  07. PERI'S SCOPE

(CTI/CTI 1971年発売/KICJ-98506)
(ライナーノーツ/悠雅彦)
(☆SHM−CD仕様)

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ビル・エヴァンス / モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス5

BILL EVANS AT THE MONTREUX JAZZ FESTIVAL-1 “お城のエヴァンス”と親しみを込めて語られる「グラミー受賞」の大名盤BILL EVANS AT THE MONTREUX JAZZ FESTIVAL』(以下『モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』)。

 “お城のエヴァンス”のモデルはスイス・レマン湖のほとりに佇むシロン城。いや〜,実に優雅な中世の古城である。このジャケット写真は秀逸である。ヴァーヴに数枚存在する「ブルーノート超え」である。
 ビル・エヴァンスを「ジャケ買い」するならもってこい。これからビル・エヴァンスを聞き始めようとする“初心者がイメージするビル・エヴァンス”の雰囲気にピッタリだと思う。

 しか〜し「ジャケ買い」破れたり! 『モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』は,ビル・エヴァンス随一の“暴れん坊”! ヨーロッパへのセンセーション!
 ジャック・デジョネットドラムである。エディ・ゴメスベースである。そして共演者の資質にもろ左右されるタイプのジャズ・ピアニストの“御大”ビル・エヴァンスである。もう一つ言えば会場がカジノ内にあるナイト・クラブ。これでビル・エヴァンスが“大暴れしないはずがない”!

 『モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』でのビル・エヴァンスジャズ・ピアノは力業! ジャック・デジョネットドラムエディ・ゴメスベースに“ぶつかり合い”スリリングでダイナミックな展開力!

 ジャズの言語的には“多弁”かつ“うるさい系”のジャック・デジョネットエディ・ゴメスと比べると,ビル・エヴァンスは“寡黙”に属する。やはりビル・エヴァンスはリリカルなピアニストだ。
 しかしビル・エヴァンスの一音一音がエネルギッシュ。ワイワイガヤガヤの音の隙間にズドンと一音の力業〜!。効く〜!
 ただし何度もジャック・デジョネットエディ・ゴメスの返り討ちにあうのだが…。ジャック・デジョネット…。

 そう。「キース・ジャレット命」の管理人としては『モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』は,ジャック・デジョネットを聴くためにある( エヴァンス・マニアの読者の皆さん,邪道で申し訳ありません。ビル・エヴァンスの好きなのですがキース・ジャレットはその100倍は好きなものでして… )。

BILL EVANS AT THE MONTREUX JAZZ FESTIVAL-2 若き日のジャック・デジョネットドラミングに“色彩感”を感じてしまう。
 キース・ジャレットトリオでは“後ろに回ってロックン・ロール”が信条だが,ビル・エヴァンスとの共演では“前へ前へ”の猛プッシュ。エディ・ゴメスがいるから猛プッシュ。
 激しいアタックと素早いレスポンスのドラミングであるが,管理人がジャック・デジョネットを凄いと思うのは,センスというかアイディアというか,これはテクニックの問題ではなくジャック・デジョネットの音楽理念というかコンセプトというか…。

 『モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』で聴こえるジャック・デジョネットドラミングはスネアはロックしているがシンバルジャズ。実にきめ細かい動きの強弱で「音のシャワー」を降らせている。だから“色彩感”であり,パステル・カラーでありレインボー。素晴らしいと思う。

 最後にエディ・ゴメスベースについて。
 バッチンバッチン,弦を弾く馬力=トルク押し。と同時に速弾き。録音の問題であろうがピークオーヴァーのビビリ。エディ・ゴメスもいいベーシストだよなぁ。も・っ・と・エディ・ゴメス〜!

 紙面割けなくて申し訳ないくらいの圧倒的なベースです。管理人はたまたまジャック・デジョネットドラム・メインで聴きますが数としてはエディ・ゴメスベース・メインのファンが多いように思います。流れるようなベース・ラインは「王様」のベース

  01. One For Helen
  02. A Sleepin' Bee
  03. Mother Of Earl
  04. Nardis
  05. I Loves You Porgy
  06. The Touch Of Your Lips
  07. Embraceable You
  08. Someday My Prince Will Come
  09. Walkin' Up

(ヴァーヴ/VERVE 1968年発売/UCGU-7033)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
(ライナーノーツ/ジーン・リーズ,オノ・セイゲン)

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CROSS FM / TOGGY'S T.T. / TOKU

TOGGY'S T.T. / TOKU 本日,CROSS FM「TOGGY’S T.T.」にTOKUがゲスト出演しました。「春のTOKU祭り」(ももちパレスゲイツ7の福岡2days)のプロモーションです。

 友人でもあるトギーさんの「T・O・K・UTOKUです」の紹介と共にBGMの【ROCK WITH YOU】に乗っかろうとしてフリューゲル・ホーンのピッチを外した?生演奏での大登場。しっかし,やり直ししたテイク2が上手いよなぁ。唇がマウスピースの中で震えている〜。

 メルセデス・ベンツの「アーマーゲー」ではない。TOKUの恩師=日高潤也プロデュースのビッグ・バンドAMGADVANCED MUSIC GALLERY)」と大共演の2days=「ROMANCE」と「PASSION!!」。
 TOKUは今回はメインではなくゲスト出演。「TOGGY’S T.T.」へもAMGとのリハーサル前にゲスト出演。しかし短時間なのにTOKUは“キッチリしめる男”でした。トークも上手いよなぁ。

 「絵の見えるような音楽」を体現するジャズオーケストラAMGが(百道のみ豪華ストリングス入り)TOKUを招いてのデビュー公演。
 デビュー公演にして「PASSION!!」の夜公演はソールドアウト! TOKUさまさま? あるいはもう一人の飛び入りゲスト=原田迅明さまさま? 夢のツイン・ドラムはないそうですが,その分,日高潤也の管楽器の持ち替え?

 ネタバレ多しのタイミングなので「これ言っちゃってもいいのかな?」のフレーズ続出でしたがTOKUは「サービスする男」。
・「春のTOKU祭り」の「昼夜公演は同じセットリスト」は暴言。【PART TIME LOVER】はやる。
・1月からレコーディング中のニュー・アルバム話では塩谷哲宮本貴奈小沼ようすけ
・今年40歳になったTOKU。30歳の時には歌おうとも思わなかった楽曲をチョイス。
・かなり近いお茶の間に毎日のように届くようになる新曲がある→「CMか笑っていいとものテーマ?」。
・「中洲の山田さん」とのレコーディングでイントロ提供。仮想・錦野明スタイルで「中洲ジャズ」。
 うお〜,放送マズイマズイ!? でも,これ以上は書けない微妙な言い回しが全部ギリギリ・セーフなんだよなぁ。

 トークの続きは「AMG・ミーツ・TOKU」のLIVEで。管理人もAMGデビュー公演へ馳せ参じる予定です。TOKU〜!

 以下,オンエア曲一覧です。

BGM : 【ROCK WITH YOU】 / TOKU
BGM : 【 不明 】 / TOKU
1曲目 : 【PART TIME LOVER】 / TOKU

ビル・エヴァンス / ビル・エヴァンス・アット・タウン・ホール5

BILL EVANS AT TOWN HALL-1 ビル・エヴァンスと来ればリバーサイドであろうが,ヴァーヴで一枚挙げろと言われれば,管理人は躊躇なく『BILL EVANS AT TOWN HALL』(以下『ビル・エヴァンス・アット・タウン・ホール』)を推す。

 『ビル・エヴァンス・アット・タウン・ホール』に登壇したビル・エヴァンスは大スターである。
 ビレッジ・バンガードなどのクラブでの演奏とは趣が違い,キャパ1500人の雰囲気がビル・エヴァンスに“格調高い”演奏へと向かわせている。
 そう。場所はニューヨークのコンサート・ホール=「タウン・ホール」。一曲ごとの拍手が名演の雰囲気を大いに盛り上げている。

 ビル・エヴァンス“初のリサイタル”にふさわしく『ビル・エヴァンス・アット・タウン・ホール』でのビル・エヴァンストリオビル・エヴァンス「and more」(ベースチャック・イスラエルさん,ドラムアーノルド・ワイズさん,ごめんなさい。お二人の名サポートがあってこそのビル・エヴァンスの晴れ舞台でした)。

 内省的な演奏はいつも通りなのだろうが,大スター=ビル・エヴァンスピアノホールの隅々にまで響き渡る堂々とした鳴りっぷり。ホール全体が知的でエレガントな雰囲気に満ちていく。ビル・エヴァンスピアノ一色に染め上げられていく。ビル・エヴァンスピアノに優しく包み込まれていく。もはや呼吸することさえも愛おしく感じられたに違いない。

 ビル・エヴァンスピアノが儚い。美しさの頂点を迎えている。そう。ビル・エヴァンスの“円熟”である。
 「ピアノのロマンティスト」=ビル・エヴァンスの“真骨頂”が,大袈裟に言えば「リサイタルのハイライトにして人生のハイライト」=【ソロ:父,L.エヴァンス(1891〜1966)に捧ぐ】であろう。

 全5トラックが連動している。【アイ・シュッド・ケア】→【スプリング・イズ・ヒア】→(大好きな)【フー・キャン・アイ・ターン・トゥ】→【メイク・サムワン・ハッピー】の前座4トラックが【ソロ:父,L.エヴァンス(1891〜1966)に捧ぐ】へとバトンを渡す。

 世間では【ソロ:父,L.エヴァンス(1891〜1966)に捧ぐ】での演奏は,リサイタルの直前に亡くなった父,ハリー・L・エヴァンスに捧げたレクイエムのように扱われている。しかし,管理人の耳にはそうは聴こえない。
 楽曲自体は4部構成の組曲であるが,情感の薄いテーマをモチーフとしたビル・エヴァンスインプロビゼーション・ショーである。結果,美しいピアノの音色が広い会場全体に“淡々と”響き渡ってゆく。
 そう。【ソロ:父,L.エヴァンス(1891〜1966)に捧ぐ】でのビル・エヴァンスは,ベースドラムとのインタープレイから離れ,亡き父への感傷からも離れ“己の晴れ舞台”のハイライトとして1台のピアノと真正面から向き合っている。

 13分43秒もの長尺のソロ・ピアノに無駄な瞬間など1秒足りとも無い。ビル・エヴァンスの“一心不乱”の集中力を感じる。繊細にして甘美なインプロビゼーション・ショーにも関わらず,ピアノのポテンシャルを100%引き出している。
 そう。方法論としては完全なジャズなのだが,能力100%のピアノの音は完全にクラシックしている。構築美→構造美→格調→品格なのである。

BILL EVANS AT TOWN HALL-2 奇抜ではない。一足飛びでもない。モチーフである既存曲のテーマを残しつつ別のテーマを選んでいる。この音使いの妙。これが「THIS IS BILL EVANS」であり「ピアノのロマンティスト」なのだ。

 感傷的ではなく理知的でしかも手馴れの即興演奏。自身の100%の演奏で亡き父を静かに送り出す。
 『ビル・エヴァンス・アット・タウン・ホール』は“ジャズ・ピアニストビル・エヴァンスのアルバムではない。“ジャズ・ジャイアント”ビル・エヴァンスのアルバムである。

PS 『ビル・エヴァンス・アット・タウン・ホール』の正式名称は『BILL EVANS AT TOWN HALL VOLUME ONE』。『VOLUME TWO』発売予定があったのでしょうが,後日別テイクとして3曲追加収録で終了。永久欠番これでよし。

  01. I Should Care
  02. Spring Is Here
  03. Who Can I Turn To
  04. Make Someone Happy
  05. Solo-In Memory of His Father, Harry L. Evans, 1891-
    1966

    Prologue
    Improvisation on Two Themes
     Story Line
     Turn Out The Stars
    Epilogue

(ヴァーヴ/VERVE 1966年発売/UCCV-9341)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
(紙ジャケット仕様)

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山中 千尋 / フォーエヴァー・ビギンズ4

FOREVER BEGINS-1 山中千尋は「日本人」である。そのことを『FOREVER BEGINS』(以下『フォーエヴァー・ビギンズ』)を聴いて強く感じた。

 山中千尋の弾くメロディ・ラインは歌謡曲のようである。かってどこかで聞いたことがあるような郷愁を帯びている。しかし,これが紛れもなく本場のNYジャズしている。現代最先端のジャズが鳴っているのだ。
 【SO LONG】【SUMMER WAVE】【W.W.W.】。時に頭が混乱してしまう。これはそのまま受け止めるしかあるまい。温(音)故知新。

 思うに『フォーエヴァー・ビギンズ』は山中千尋が作り出した“切り絵”である。
 様々なピースが山中千尋でないと組み上げられない光を放っている。山中千尋の才能は天性のものだと思っているが,いやいやそれだけではない。山中千尋ジャズに対する「造詣の深さ」に感嘆してしまう。

FOREVER BEGINS-2 管理人の『フォーエヴァー・ビギンズ』の評価であるが,1−5トラックまでなら文句なしに星五つ。6−10トラックは星3つ。まるで別物のピアノ・トリオの表情を持っている。山中千尋に幻惑されっぱなし!

 ジャズの新スタンダードに成り得る【SO LONG】。2ビート風の奇想天外なアレンジで奏でられる【CHEROKEE】は必聴である。もう頭の中グッチャグチャ。どうにでもして〜。 

  01. So Long
  02. Blue Pearl
  03. Summer Wave
  04. Cherokee
  05. w.w.w.
  06. Good Morning, Heartache
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