アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2013年09月

ブランフォード・マルサリス / ロイヤルガーデン・ブルース4

ROYAL GARDEN BLUES-1 自分の感性をストレートに表現した結果「ジャズの伝統」を背負うようになってしまった大男が,ブランフォード・マルサリスである。

 ブランフォード・マルサリス2NDアルバム=『ROYAL GARDEN BLUES』(以下『ロイヤルガーデン・ブルース』)に漂う“伝統と斬新さの同居”が世界中の熱心なジャズ・ファンを熱狂させた。
 もはや「神輿」状態。ウイントン・マルサリスのNEXTはブランフォード・マルサリスを担ぎ上げ〜。

 うん。でもそうなる気持ちも理解できる。“天才”ウイントン・マルサリスに共感できなかったジャズ・ファンでも“秀才”ブランフォード・マルサリスになら共感できる。
 “身近なお兄さん”ブランフォード・マルサリスに「ジャズの未来」と「自分の未来」を思い重ねる。それが日本のジャズというものだ。

 『ロイヤルガーデン・ブルース』におけるブランフォード・マルサリステナーサックスソプラノサックスには「ジャズの伝統」が見え隠れしている。

 NO。ジャズだけではない。スティングとの共演を得て洗練された,ポップでロックでブルージーなスタイル,までをも呑み込んで「THIS IS BRANFORD MARSALIS」のサックスが鳴っている。
 この全てが新鮮で爽快なのに「重心が低い」テナーサックスソプラノサックスがたまらない!

 そう。この「重心の低さ」こそ“新伝承派”ブランフォード・マルサリスの真骨頂! モード・スケール・エクササイズ的なメカニカルなフレーズは生まれ育った,ウイントン・マルサリスクインテットでも活躍した,拭い去れない家庭環境による影響があろうが,そこにスティングのバンド・メンバーとしても活躍した「ジャズの伝統」を超えた「新世代の日常」の音まで聴こえてくる。

ROYAL GARDEN BLUES-2 管理人の結論。『ロイヤルガーデン・ブルース批評

 『ロイヤルガーデン・ブルース』はブランフォード・マルサリス版“逆バック・トゥ・ザ・フューチャー”。

 新時代のアプローチにまず耳が奪われるが,繰り返し聴き込むたびに感じる「ジャズの伝統」。
 「昔の古いジャズって,こんなに新しかったんだ!」。ブランフォードよ,ありがとう。

  01. SWINGIN' AT THE HAVEN
  02. DIENDA
  03. STRIKE UP THE BAND
  04. EMANON
  05. ROYAL GARDEN BLUES
  06. SHADOWS
  07. THE WRATH OF TAIN

(CBSソニー/CBS/SONY 1986年発売/32DP 637)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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小曽根 真 / ブレイクアウト5

BREAKOUT-1 『BREAKOUT』(以下『ブレイクアウト』)で小曽根真が『ブレイクアウト』した!
 文字通り従来の自分の殻を割って出てきた感じ。素晴らしい。小曽根真が“覚醒”した瞬間の記録である。

 一聴すると,小曽根真のきれいなピアノ・ソロが“さらり&とめどなく”流れていく。
 しかしこれは大変強靭な音である。強い意志力から発せられた一音一音がジャブのように効いてきてCD一枚を聴き終わる頃にはKO寸前。
 小曽根真の“オーケストレーション”の才能に圧倒されてしまう。

BREAKOUT-2 管理人の結論。『ブレイクアウト批評

 『ブレイクアウト』こそ,小曽根真の“最高傑作”である。
 ピアノ・ソロビッグ・バンド。似ても似つかぬ『ブレイクアウト』に,後の「ノー・ネーム・ホーセズ」の原型を見る。

  01. TEA UP
  02. DON'T SLICE IT !!
  03. WILD GOOSE CHASE
  04. LAKE THUN
  05. SPIN AROUND
  06. PURE THOUGHTS
  07. BLACK FOREST
  08. DOES YOUR DOG BITE?
  09. REMEMBER T.
  10. MY LITTLE DREAM
  11. THE DARK SHADOWS
  12. BULLET TRANE
  13. TIME FOR ROMANCE

(ヴァーヴ/VERVE 1994年発売/POCJ-1245)
(ライナーノーツ/成田正)

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ブランフォード・マルサリス / シーンズ・イン・ザ・シティ4

SCENES IN THE CITY-1 「ウイントン・マルサリス命」の管理人にとっては,ブランフォード・マルサリスも当然「命」。(適度に)ご贔屓しております。

 ゆえにブランフォード・マルサリスデビューCD=『SCENES IN THE CITY』(以下『シーンズ・イン・ザ・シティ』)も,出来不出来など関係なく“ウイントン・マルサリスのお兄ちゃん”というだけの理由でヘビー・ローテーション。
 特に2曲目【シーンズ・イン・ザ・シティ】における,チャーリー・パーカーバド・パウエルマイルス・デイビス・ライクなフレーズが,ナレーション入りの物語を彩る展開がお気に入り〜。

 そう。管理人はブランフォード・マルサリスウイントン・マルサリスの影を探し求めて聴いていた。
 そのこと自体は間違いではないと思うが,結果は不毛な作業となった。今でこそ理解できるが「ウイントンウイントンブランフォードブランフォード」。『シーンズ・イン・ザ・シティ』にウイントン・マルサリスのDNAは薄い。

 ポップなセンスとそれの対極にあるようなアヴァンギャルドな感覚の混在,システマティックに聴こえないインサイドとアウトサイドを自由奔放に行き来する独特なスタイル,特異なフレージングを統制して自然なものにまとめ上げているタイトで抜群のリズム感,さらに独特のユーモアを感じる「THIS IS BRANFORD MARSALIS」な個性は,ウイントン・マルサリスの「メインストリート・ジャズ」とは“似て非なり”である。

SCENES IN THE CITY-2 キャリアを重ねるごとに激しさ,複雑さ,難解さを増していくブランフォード・マルサリスのアルバムを聴き通してみるならば,この洗練された『シーンズ・イン・ザ・シティ』は“抑制の効いた耳触りの優しいジャズ”として響いてくる。

 そう。『シーンズ・イン・ザ・シティ』は,ブランフォード・マルサリスによる「新伝承派」宣言作!

 あぁ,何と勿体無いことしてしまったんだろう。“旬の”ブランフォード・マルサリスの美味しさを聴き逃していたよなぁ。

  01. No Backstage Pass
  02. Scenes In The City
  03. Solstice
  04. Waiting For Tain
  05. No Sidestepping
  06. Parable

(CBSソニー/CBS/SONY 1984年発売/25DP 5493)
(ライナーノーツ/A.B.スペルマン)

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DIMENSION / 264

26-1 『26』におけるユニゾンアドリブは素晴らしい。バンド・アレンジも素晴らしい。
 客演ベーシスト須藤満川崎哲平二家本亮介,客演ドラマー則竹裕之坂東慧吉田太郎平陸(驚きの天才17歳の新発見! ディメの3人は青田買いはしません!)のサポートもお見事であるが,あのリズムをしっかりとDIMENSIONのバンド・サウンドに取り込んでいるのが実に素晴らしい。5人が完璧に調和している。

 でも&でも…。マスヤン小野塚さん,カツオ,ゴメンナサイ。
 熱烈ディメ・ファンとしては『26』の出来にどうしても納得がいかないのです。これが最高に愛するDIMENSIONのオリジナル・アルバムとは俄かに信じられません。大仰に表現すれば「耳をふさぎたくなる」感覚? カッコイイだけでは通用しないのです。

 理由はただ一つ。管理人の愛する“ディメンションメロディ”が薄い。と言うか,耳に残る印象的なサビが1つも見つからない。おいおい,一体どうしたんだよ,DIMENSION〜。

26-2 多分,DIMENSIONは昨年の20周年記念イヤーで燃え尽きたんだろうな〜。

 2012年のDIMENSIONBOXセットの『DIMENSION 〜20TH ANNIVERSARY BOX〜』。全世界配信となったオリジナル・アルバムの『25』。バラードベスト盤『BALLAD』と1年間にCDを3枚リリース。
 秋には『25』の全国ツアー=「LIVE DIMENSIONAL−2012〜25〜」。そのツアーをシューティングしたDVD=『DIMENSION LIVE 2012 〜20TH ANNIVERSARY〜』もリリースされた。

 その最高の流れでレコーディングされた『26』は“負の反動”。『26』の敗因は“気負いまくり”の“凝りまくり”なんだと思う。
 結果,いろいろなものを詰め込みすぎて,肝心のメロディ=「DIMENSIONの生命線」がうずもれてしまったんだと思う。
 ズバリ『26』の真髄は「消化不良」。この耳残りのなさはそうとしか考えられない。

 あるいは意図的に,中期DIMENSIONの特徴であった“円熟のクラッシュ・アンド・ビルド”の再現を狙ったものかもしれない。
 DIMENSIONは『24』『25』でキャリアのピークを極めてしまった。『24』『25』のモンスターを超えるためにはモンモンモン?

26-3 『27』で復活できるかどうかは『26』のこなれ方次第? と来れば『26』のフォロー・ツアー=「LIVE DIMENSIONAL−2013〜26〜」の出来次第?
 是非,メンバー全員,LIVE後の打ち上げで『26』での詰め込みすぎを消化しちゃってください(管理人は現在【VISIONS】を消化すべく格闘中です。これぞ近未来の怒涛の展開と呼応する壮大でめまぐるしいアレンジがヤバすぎる!)。

 『26』の最終評価は『27』を待つことにします。『27』には高次元での「シンプル・イズ・ベスト」を期待しています。

PS 「26-3」はタワーレコード購入特典の「アナザージャケット風リーフレット」です。

  01. Way Over
  02. Cool In The Shade
  03. Voice Of The Star
  04. On My Way To Yesterday
  05. Visions
  06. Skype Me?
  07. Soul Dance
  08. Let's Talk
  09. If I Could Be There
  10. Monochrome

(ザイン/ZAIN RECORDS 2013年発売/ZACL-9066)
(☆スリップ・ケース仕様)

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ブラッド・メルドー・トリオ / デイ・イズ・ダン5

DAY IS DONE-1 ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニブラッド・メルドーの流れは真実。しかし,この系譜の流れにおいて,ブラッド・メルドーだけが異端である。

 管理人はジャズ入門者へ,ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニは聴かせるが,ブラッド・メルドーを聴かせたいとは思わない。
 なぜならブラッド・メルドージャズ上級者向けのピアニストだからである。ブラッド・メルドーを楽しむにはジャズへの造詣が求められる。知識なしに何も考えずに音だけ聴いて楽しめるピアニストではない。

 そう思っていた。『DAY IS DONE』(以下『デイ・イズ・ダン』)を聴くまでは…。

DAY IS DONE-2 ついにブラッド・メルドーが“お楽しみ盤”を放った。それが『デイ・イズ・ダン』! 楽しい。何も考えずに楽しめる。これならジャズ入門者にも心置きなくお奨めできる。
 いいや「耳をかっぽじって聴け!」級の名盤である。

 『デイ・イズ・ダン』はブラッド・メルドーにいつもは感じる,取っ付き難さなどない。“超・天才”としての壁が取っ払われている。
 ズバリ『デイ・イズ・ダン』におけるブラッド・メルドーは“ジャズ・ピアニスト”ではなく“エンターテイナー”である。

 『デイ・イズ・ダン』を一聴した時,ブラッド・メルドーが「一歩も二歩も前に出てきた印象」を受けた。以前のブラッド・メルドーの特徴であった,耽美主義的な抑制とか内省とかの“内へ内へ”と向かうベクトルが“外へ外へ”と向かっている。場の空気がガラッと変わっている。

DAY IS DONE-3 そう。ブラッド・メルドーが『デイ・イズ・ダン』で録音したのは「新時代のジャズ」。これぞジャズ“その先”への試みであった。

 要するに『デイ・イズ・ダン』は,ジャズの「定番フレーズ封印」の妙である。最初から最後まで,所謂,古典的なバップ・フレーズとか,困った時のつなぎのフレーズが出て来ない。
 しかし出来上がりは“紛れもなく”ジャズそのもの! “聴き易いのにコクがある”鉄壁・和声のハーモニー! うぉ〜!

  01. KNIVES OUT
  02. ALFIE
  03. MARTHA MY DEAR
  04. DAY IS DONE
  05. ARTIS
  06. TURTLE TOWN
  07. SHE'S LEAVING HOME
  08. GRANADA
  09. 50 WAYS TO LEAVE YOUR LOVER
  10. NO MOON AT ALL

(ノンサッチ/NONESUCH 2005年発売/WPCR-12215)
(☆スリーブ・ジャケット仕様)

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小曽根 真 ザ・トリオ / ザ・トリオ4

THE TRIO-1 『THE TRIO』(以下『ザ・トリオ』)は,小曽根真が「初めて出逢ったのにずっと昔からその人と友達だった」と語る,ベーシスト北川潔ドラマークラレンス・ペンとによる“理想のピアノ・トリオ”のデビューCD

 卓越したテクニックを控え目に“ジャズ・ピアノの魂”を前面に押し出す小曽根真が熱い!
 これがあの小曽根真か,と思わせる“ナイスガイ・ジャズ・ピアニスト小曽根真の“新たなる挑戦”がここに始まった。

 ソロにバックに抜群のリズム感を持つ北川潔ベースがいい。手数も凄いが音を入れる場所が半端ないクラレンス・ペンドラミングも申し分ない。
 それなのに『ザ・トリオ』の中身は「ザ・トリオ VS ジョン・スコフィールド」である。

THE TRIO-2 いくら“理想のピアノ・トリオ”で固まったからといって,いきなりの対バン形式はないだろう。実際,ジョン・スコのアウトに「ザ・トリオ」が引きずられていく〜。

 結果,デビュー盤にして(デビュー盤だから?)「ザ・トリオ」一番の異色盤である。

  01. THE BEGINNING
  02. LAZY UNCLE
  03. FAIRLY DANCE
  04. ESPERANZA
  05. HOME
  06. TEA FOR THREE
  07. STINGER
  08. MY OLD BOOK
  09. HAPPY CAT
  10. BOON-CHA-CHA

(ヴァーヴ/VERVE 1997年発売/POCJ-1370)
(ライナーノーツ/小曽根真,児山紀芳)
★スイングジャーナル誌選定【ゴールドディスク】
★1997年度ジャズ・ディスク大賞【日本ジャズ賞】受賞

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大西 順子 / ビレッジ・バンガードの大西順子5

JUNKO ONISHI LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD-1 “ジャズの殿堂”と言えばビレッジ・バンガードであろう。
 そのビレッジ・バンガードに,日本人が初めてステージに立った。しかも6日間連続公演である。ジャズ・ピアニスト大西順子である。

 これはジャズ・ファンにとっては「国民的なビッグ・ニュース?」に違いないのだが,いかんせん,新聞のスミで小さく取り上げられたにすぎなかった。
 しかしこの大偉業は,大偉業の価値を知る人々の手によって記録されていた。それが『JUNKO ONISHI LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』(以下『ビレッジ・バンガードの大西順子』)である。

 「大西順子のにとっては小さな一歩だが,日本人ジャズメンにとっては大きな一歩」(by アームストロング風)…と,紹介したいが『ビレッジ・バンガードの大西順子』は単なる歴史のドキュメンタリーなどではない。これぞジャズのドキュメンタリーである。

 これはもうどうしようもない不可抗力であるが,大西順子には“日本人初”や“女性初”という言葉が一生ついてまわることだろう。
 しかし『ビレッジ・バンガードの大西順子』に関しては“本場の観客を熱狂させた初めての”と呼んでもらいたい。

JUNKO ONISHI LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD-2 『ビレッジ・バンガードの大西順子』は,ジャズ・ピアニスト大西順子のドキュメンタリーであって,ジャズライブそのものである。

 そう。実力で“ジャズの殿堂入り”を勝ち取った大西順子は「J-ジャズ界の野茂英雄」である。

  01. SO LONG ERIC
  02. BLUE SKIES
  03. CONCORDE
  04. HOW LONG HAS THIS BEEN GOIN'ON
  05. DARN THAT DREAM
  06. CONGENIALITY

(サムシンエルス/SOMETHIN'ELSE 1994年発売/TOCJ-5570)
(ライナーノーツ/児山紀芳)
★スイングジャーナル誌選定【ゴールドディスク】
★1995年度ジャズ・ディスク大賞【銀賞】受賞
★1995年度読者人気投票【ジャズマン・オブ・ザ・イヤー】受賞
★1995年度読者人気投票【アルバム・オブ・ザ・イヤー】受賞
★1995年度読者人気投票【コンボ・オブ・ザ・イヤー】受賞
★1995年度読者人気投票【ピアニスト・オブ・ザ・イヤー】受賞

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ブラッド・メルドー / LIVE IN TOKYO4

LIVE IN TOKYO-1 “超・天才”ブラッド・メルドーソロピアノ。しかもTOKYOLIVE2枚組と来た。
 喰いついた! これで喰いつかずにいられるかっつーの!

 …で,結論。『LIVE IN TOKYO』は“貫録の”ソロピアノ名盤である。
 ビル・エヴァンスっぽいのは当然として,キース・ジャレットとも異なる,ザ・ブラッド・メルドーの“らしさ”漂う,オリジナルソロピアノ。流石は“超・天才”である。
 名曲の旨味を絶妙の味付けで調理し,それはそれは美しく盛り付けていく。文句のつけようのないブラッド・メルドー流の“匡の技”を堪能できる。素晴らしい。

 ただし,残念ながら管理人にとって『LIVE IN TOKYO』は「想定内」の名盤であった。ブラッド・メルドーは「できる子」なのだからブラッド・メルドーならこれくらい…。

LIVE IN TOKYO-2 ロマンチシズムが“ほんのり香り”リリシズムが“ほんのり立ち昇る”いつものクールで理知的なブラッド・メルドージャズ・ピアノが実にお上品。

 これをブラッド・メルドーの個性として一蹴することもできるのだろうが,管理人のブラッド・メルドーへの,そして『LIVE IN TOKYO』への期待値は異常に高かった。

 やはりソロピアノと来ればキース・ジャレットであり,現時点でのブラッド・メルドーキース・ジャレットの足元にも及ばない。
 しかし,キース・ジャレットを超えるジャズ・ピアニストは,この世にブラッド・メルドーただ一人しかいやしない。いつの日かブラッド・メルドーその人にキース・ジャレットを超えてほしい。そう願ったものだった。おやっ,一体いつから隠れファンに?

LIVE IN TOKYO-3 その意味で『LIVE IN TOKYO』は「想定内」。つまりブラッド・メルドートリオでもソロでも演奏の本質は変わらないジャズ・ピアニスト

 ここがつまらない。ビル・エヴァンスともキース・ジャレットとも異なっている演奏は合格。しかしブラッド・メルドートリオの世界を“一人三役”でこなしたかのようなソロピアノは不合格。
 過去の延長線上から逸脱してほしかった。『PLACES』をレコーディングした時のように…。

 管理人は“ソロピアニストブラッド・メルドーとしての“新しい引き出し”が聴きたかった。そこだけに注目していた。
 キース・ジャレットのように,創造のために“もがき苦しむ”ブラッド・メルドーが聴きたかった。

 きっとそういうことではないのだろうけど,ブラッド・メルドーの“超・天才”がそのように聴こえさせている。すっきりとした構成と淀みない流麗な展開は,管理人が期待した完全即興の“産みの苦しみ”ではないのである。

LIVE IN TOKYO-4 管理人の結論。『LIVE IN TOKYO批評

 『LIVE IN TOKYO』は,完全即興ソロ・コンサートではない。ズバリ,ブラッド・メルドーが創作したミニマル・ミュージック。思索的で詩的なピアノが反復しては消えていくソロ・コンサートだと思う。

  DISC ONE
  01. INTRO
  02. 50 WAYS TO LEAVE YOUR LOVER
  03. MY HEART STOOD STILL
  04. ROSES BLUE
  05. INTRO II
  06. SOMEONE TO WATCH OVER ME
  07. THINGS BEHIND THE SUN

  DISC TWO
  01. C TUNE
  02. WALTZ TUNE
  03. FROM THIS MOMENT ON
  04. ALFIE
  05. MONK'S DREAM
  06. PARANOID ANDROID
  07. HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON?
  08. RIVER MAN

(ノンサッチ/NONESUCH 2004年発売/WPCR-11964/5)
(☆スリーブ・ジャケット仕様)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/青木和富)

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ブラッド・メルドー・トリオ / エニシング・ゴーズ4

ANYTHING GOES-1 ブラッド・メルドーが“超・天才”だからと言って,毎度毎度のアルバム毎に,その“超・天才”を必ず披露しなければならないわけではない。

 たまには「一介のジャズ・ピアニスト」に戻って,自分の好きなメロディーを最高の仲間と共に響かせ,楽しむのもよいではないか! その場にいる全員で(この場合はCDを購入したリスナーの意味)名曲を,楽しむのもよいではないか!

 その意味で『ANYTHING GOES』(以下『エニシング・ゴーズ』)は,ブラッド・メルドーの「息抜き」であり「遊び」であり「浮気」である。
 “アーティスト”としての活動を離れたブラッド・メルドーが,純粋に「エンターテイナー」として振る舞っている。

 そう。『エニシング・ゴーズ』の主役はブラッド・メルドーではない。ブラッド・メルドーはホストに徹しているのであり,主役はブラッド・メルドーを愛する大勢のファンたちなのである。

 その証拠にピアノブラッド・メルドーベースラリー・グレナディアドラムホルヘ・ロッシィによる『エニシング・ゴーズ』は,不動のブラッド・メルドートリオの3人であるにも関わらず,いつもの「THE ART OF THE TRIO」名義を使用していない。

 この辺りに管理人はブラッド・メルドーの意図を読み取る思いがする。そして勝手に深読みすると『エニシング・ゴーズ』は,熱心なブラッド・メルドー・ファン向けのプレゼントではない。

 『エニシング・ゴーズ』は,ブラッド・メルドー初の“スインギーな”ジャズ・ピアノ集。ブラッド・メルドーがポップ感覚の門戸を大開放している。これまでの“難解”を封印して“スインギーな”ジャズ・ピアノを聴かせてくれる。
 あるがまま,感じるがままのブラッド・メルドー一流の「おもてなし」はアメリカン・ポップ・タッチ。軽い&軽い。

ANYTHING GOES-2 とは言え『エニシング・ゴーズ』にはブラッド・メルドー“らしい”香りがプンプン匂っている。新しい細かな仕掛け満載の「エンターテイメント・ショー」を演じている。

 具体的には音数を減らし,一音一音の密度を高める方向性にシフトしている。基本『エニシング・ゴーズ』は原曲に忠実なアレンジなのだが,原曲に忠実であろうとするがゆえに,本来,ピアノ・パートではないパートでもピアノで歌っている。
 だから美メロが飛び出すわけではないのだが,自由自在なタイム感で繰り返し登場する旋律を耳で追いかけているうちに催眠効果?にかかってしまう?

 一聴,聴きやすいのに,クッキリと分離したブラッド・メルドーの“外様の”個性。単なる聴きやすさを越えた“スインギーな”ジャズ・ピアノである。

  01. GET HAPPY
  02. DREAMSVILLE
  03. ANYTHING GOES
  04. TRES PALABARAS
  05. SKIPPY
  06. NEARNESS OF YOU
  07. STILL CRAZY AFTER ALL THESE YEARS
  08. EVERYTHING IN ITS RIGHT PLACE
  09. SMILE
  10. I'VE GROWN ACCUSTOMES TO HER FACE

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 2004年発売/WPCR-11808)
(ライナーノーツ/青木和富)

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メルドー&ロッシ・トリオ / フェン・アイ・フォール・イン・ラブ5

WHEN I FALL IN LOVE-1 『THE ART OF THE TRIO VOLUME TWO:LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』『SONGS:THE ART OF THE TRIO VOLUME THREE』『ART OF THE TRIO 4:BACK AT THE VANGUARD』の3枚は,凄いピアニストだが“肌が合わない”と感じていたブラッド・メルドー

 それでも「ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニの系譜を引き継ぐピアニスト」との評判があちらこちらで聞こえるために新譜のチェックはぬかりなく〜。

 そうして出会った『PLACES』と『PROGRESSION:ART OF THE TRIO,VOLUME 5』。なかなかよろしい。確かにビル・エヴァンスの再来と呼んでもいいかもしれない。キース・ジャレットにはかなわないがミシェル・ペトルチアーニの後継者と呼んでもいいかもしれない。あの時点でのブラッド・メルドーの評価はそんなものだった。

 しかし,ブラッド・メルドーデビュー前の「メルドー&ロッシ・トリオ」名義のインディーズ盤=『WHEN I FALL IN LOVE』(以下『フェン・アイ・フォール・イン・ラブ』)を聴き終えて,ついにブラッド・メルドーの“超・天才”を体感した。「これは只者ではないな」と。

 実に完璧な演奏である。最初,観客の拍手が鳴るまで『フェン・アイ・フォール・イン・ラブ』がライブ盤だとは気付かなかった。「うそだろう。スタジオ録音じゃなかったのかよ」。

 「メルドー&ロッシ・トリオ」の圧倒的にクールで正確無比のタイム感。ここまで来れば「1/Fの揺らぎ」など必要ないだろう。

WHEN I FALL IN LOVE-2 これは音楽なのだろうか? もしや数式を聞かされているのではあるまいか? とにかく1曲目の【ANTHROPOLOGY】で浮かび上がる,理路整然とした複雑な「幾何学模様」。
 この演奏にデビュー後のブラッド・メルドーにつきまとう難解さは感じない。むしろ“完璧に均整のとれた数学的な美しさ”を感じるのみ。いや〜,度胆を抜かれてしまったのだ。

 これが“超・天才”と呼ばれる所以であった。ブラッド・メルドーデビュー前から凄すぎた。「ミスター・完璧」襲名である。
 ブラッド・メルドーは「ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニの系譜を引き継ぐピアニスト」で間違いない。未だブラッド・メルドーを越える現代ジャズピアニストは現われていない。

  01. ANTHROPOLOGY
  02. AT A LOSS
  03. WHEN I FALL IN LOVE
  04. COUNTDOWN
  05. CONVALESCENT
  06. I FALL IN LOVE TOO EASILY
  07. I DIDN'T KNOW WHAT TIME IT WAS

(サウンドヒルズ/LUMINAISSANCE 2002年発売/LNCD-4005)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/瀧口譲司)

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