アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2015年03月

DIMENSION / 275

27-1 『27』は,キャリアのピークを極めた『24』『25』の“両モンスター”を超えるべく「路線変更」を試みた『26』の延長線上に位置する名盤である。

 情報量の多かった『26』路線の音世界が『27』では,見事に整理されて表現される“歌う”DIMENSIONへと昇華している。
 増崎孝司小野塚晃勝田一樹の3人ユニット=DIMENSIONは,たったの2作,で,またしても違う表情を完成させてみせた。正面の美しさではなく,見返り美人でもなく『27』は,斜め45度の美しさ(by 滝川クリステル)?

 そう。美しいものをそのまま見せるのではなく,角度をつけることによって,欠点を隠し,美しいところを“より美しく”見せるテクニック。「バランス良くバランスを崩す」計算手法は,複雑で難解な楽曲を揃えた『26』での「路線変更」を消化できた成果であろう。

 『27』の成功の秘訣は,音の引き算,にあると思う。このセオリーを詰め込み系の『27』で具現するのだから素晴らしすぎる。単純に音数を減らすとか,間を作るとか,従来の手法を見直すというよりも『27』はユニゾンを多用することで,音の引き算,を実現してみせてくれる。

 特に増崎孝司ギターは,ギターフュージョンだった頃のプレイとは随分様変わりしたと思う。自分が前に出る時は,キーボード小野塚晃アルトサックス勝田一樹も一緒に“担ぎ出す”と表現するしかないような…。

 具体的には小野塚晃キーボードの裏の仕事をカッティングでカバーする。勝田一樹アルトサックスとのユノジンでは,カウンターを当て続ける。要は場を回す,枕木のようなギター・プレイ。全体のバランスを考えて,崩れるか崩れないか,の「計算された崩し」が絶妙すぎる。

 『27』のいい演奏といいアレンジ。でもやっぱり音楽はメロディーである。『27』には2つのキラー・チューンが収録されているので・た・ま・ら・な・い。

27-2 このように書くと,管理人の周りのDIMENSIONファンは(管理人がDIMENSIONデビューからのファンであることが知られているだけに)超絶技巧リターンズの【ONE AND ONE】とライブフィーチャーされた【TRAVELERS】だと予想されるだが…。残念「ハズレ」で〜す。

 『27』は【SEAWIND TO SALOU】と【BLUE SKY】を聴け! DIMENSIONは【SEAWIND TO SALOU】と【BLUE SKY】を聴け!

 増崎孝司の「成熟と変貌」を強く感じた『27』。管理人も増崎孝司と同じ気持ちで,本当に好きすぎて青春を語るのに欠かせない『23』以前のDIMENSIONを,しばらく封印してみようと思っている。
( マスヤンがアルバムにコンセプトを設けなくなった『24』からDIMENSIONは変わってきた発言を受けて。やっぱり『24』! )

  01. One And One
  02. Summer Night Out
  03. Growing
  04. Amnesiac
  05. Blow
  06. Seawind To Salou
  07. Endless Story
  08. Blue Sky
  09. Travelers
  10. Letters

(ザイン/ZAIN RECORDS 2014年発売/ZACL-9077)
(☆スリップ・ケース仕様)
(☆BLU−SPEC CD仕様)

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チック・コリア / スリー・クァルテッツ5

THREE QUARTETS-1 『THREE QUARTETS』(以下『スリー・クァルテッツ』)の由緒正しい紹介方法,それは,ピアノチック・コリアベースエディ・ゴメスドラムスティーヴ・ガッドの3人が揃った【妖精の夢】〜【ハンプティ・ダンプティ】〜『フレンズ』の再会セッションというのが筋であろう。

 しかし,マイケル・ブレッカーテナーサックスを前にすれば,世界的な名手=エディ・ゴメススティーヴ・ガッドは“脇役”に成り下がっている。
 そう。チック・コリアが,マイケル・ブレッカー以外は“眼中にない”感じでピアノを弾き倒している。「鬼気迫るピアノ」とはこんな感じを指すのだろう。

 エディ・ゴメスベースソロが素晴らしい。スティーヴ・ガッドのタイトなのに跳ねるビートが素晴らしい。
 しかし,それってチック・コリアマイケル・ブレッカーの“手に汗握るインタープレイ”の「息抜き」あるいは「ブレイク・タイム」。完全なる「蚊帳の外」での名演であって,次に来るチック・コリアマイケル・ブレッカーインプロビゼーションのお膳立てに終始している。

 全体にクラシックの香りが漂う,息苦しい展開を“豪快にブチ破る”マイケル・ブレッカーテナーサックスが絶唱する。
 正確なピッチで“雄叫び”を上げるマイケル・ブレッカーが,無表情な「組曲」を彩っていく。このテクニカルなブローが唯一無二の「マイケル節」。フレージングのアプローチが「新世代のサックス」していて「マイケル節」が耳から離れてくれなくなる。
 管理人の周りには『スリー・クァルテッツ』と来れば,チック・コリア買いではなくマイケル・ブレッカー買い,が多いという事実。

 マイケル・ブレッカーに“触発された”チック・コリアの“ジャズ・ピアニスト”としての個性が爆発している。こんなに“本気度の高い”チック・コリアは『スリー・クァルテッツ』以外では聴くことができない。
 ジョン・コルトレーンをアイドル視するマイケル・ブレッカー流「シーツ・オブ・サウンド」に対峙するため,チック・コリアのテクニカルなピアノの“ゴリ押し”が圧巻。和音を垂直にガンガン叩き降ろすようなバッキングを執拗に重ねていく。

 それなのにチック・コリアのテクニカルなピアノが,エディ・ゴメスベーススティーヴ・ガッドドラムと調和するのは当然として,マイケル・ブレッカーテナーサックスとも調和する神業の披露。
 チック・コリアは,メジャーでキャッチャーな印象的な美メロ弾きにして,バッキングだけでもメロディーを奏でることのできる“ジャズ・ピアニスト”であった。
 そう。『スリー・クァルテッツ』で語られるべきは,チック・コリアマイケル・ブレッカーとの“運命の出会い”である。

THREE QUARTETS-2 ズバリ『スリー・クァルテッツ』の試みとは,変幻自在なリズム・チェンジを駆使したストレート・ア・ヘッドな4ビートによる「組曲」集。
 「組曲」ゆえに,本来の性質は繰り返し聴き込むべきアルバムだと思うが,張りつめたテンションで演奏されるインプロビゼーションによる「組曲」であって,聴き終えるとぐったり。余りのエネルギー消費に,もう1度最初から聴き直す気がおきなくなる…。硬派すぎるのだ…。ハードすぎるのだ…。

 だ・か・ら管理人は『スリー・クァルテッツ』を,本編の4トラック【QUARTET NO.1】【QUARTET NO.3】【QUARTET NO.2−PART 1】【QUARTET NO.2−PART 2】を飛ばしてボーナス・トラックから聴き始める。

 チック・コリアマイケル・ブレッカーとのデュオ=【CONFIRMATION】が特に良い。チック・コリアピアノではなくドラムジャムっている。ほどよく力の抜けた雰囲気。
 マイケル・ブレッカーは7コーラスも吹いてドラムと4バース・チェイスが1コーラス。6分間連続で吹き続けているのだが,そのどこを切ってもコード進行をきっちりと感じさせる素晴らしいフレーズの連続である。

 これが管理人の『スリー・クァルテッツ』攻略法。ただし,まだ最終ステージまでは攻略できていない。

  01. QUARTET NO.1
  02. QUARTET NO.3
  03. QUARTET NO.2 - PART 1 (dedicated to Duke
     Ellington)

  04. QUARTET NO.2 - PART 2 (dedicated to John
     Coltrane)

  05. FOLK SONG
  06. HAIRY CANARY
  07. SLIPPERY WHEN WET
  08. CONFIRMATION

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1981年発売/UCCU-6220)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/岡崎正通)

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ブラッド・メルドー / ハイウェイ・ライダー4

HIGHWAY RIDER-1 ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニの“天才”ジャズ・ピアニストの系譜に位置するブラッド・メルドー
 ゆえに管理人はブラッド・メルドーに『HIGHWAY RIDER』(以下『ハイウェイ・ライダー』)を求めてはいない。パット・メセニーに『シークレット・ストーリー』を求めていないのと同様である。

 ブラッド・メルドーには前科がある。『ANYTHING GOES』『DAY IS DONE』での異端である。
 しかし『ANYTHING GOES』『DAY IS DONE』には,ジャズ・ピアニストブラッド・メルドーが鎮座していた。
 ところが『ハイウェイ・ライダー』では,ジャズ・ピアニストブラッド・メルドーが姿を消している。

 そう。『ハイウェイ・ライダー』におけるブラッド・メルドーの立ち位置は,まるでプロデューサーでのようある。指揮者のようである。総合音楽家のようである。
 ここまで入念に書き込まれたブラッド・メルドーピアノには「ときめき」を感じない。『ハイウェイ・ライダー』のピアニストブラッド・メルドーでなくてもよいと思う。

 ここまで全体に目くばせするのであれば,代役のピアニストを立ててもよかった。ブラッド・メルドーは,プロデューサー&指揮者として,サックスストリングスと“ピアノで綴るオーケストレーション”の設計図を書きさえすればよかった…。

 『ハイウェイ・ライダー』がブラッド・メルドーの名義でなければ,ここまで残念に思うことはない。
 ブラッド・メルドーの名前を意識しなければ『ハイウェイ・ライダー』は「壮大なスケールで描かれた抒情詩」ともいうべき“ロード・ミュージック”の名盤なのかもしれない。
 ハイウェイをブッ飛ばす爽快感がある…。眺めのよい雄大な風景が流れていく…。曲毎に,編成を変えリズムを変え,主役をピアノからサックスストリングスに変えた“ロード・ミュージック”が流れ出してくる…。

 しかし…。曲が進むに連れて段々と聴き続けることに苦痛を感じてくる。ブラッド・メルドーが運転する車の助手席から,ちょっとでいいから,降りたくなってしまう。寄り道してほしいとかトイレ休憩したいとか…。

 ブラッド・メルドーと2人きりの閉鎖された空間には耐えられない。ブラッド・メルドーは饒舌である。しかし会話に身が入らない。なんだかロボットと会話しているような感覚に陥ってしまうのだろう。

HIGHWAY RIDER-2 それ位に『ハイウェイ・ライダー』でのブラッド・メルドーは,管理人が以前から知っているブラッド・メルドー“その人”とは決定的に“別人”している。
 ジャズ・ピアニストブラッド・メルドーと同じ顔をした“クローン人間”が,ピアノを譜面通りに演奏しているとしか思えない。

 だ・か・ら『ハイウェイ・ライダー』からは「ときめき」も「感動」も感じない。タダ乗りできるから旅している。冒険心のないカーナビが指定したルートを旅している。サックスストリングスの流れるカーステレオを聞きながら旅している。ただそれだけの行為…。

 『ハイウェイ・ライダー』の失敗は,ブラッド・メルドーが傾けたベクトルが,新しい音楽の“創造の瞬間”ではなく“ロード・ミュージック”としてのストーリー性を仕立て上げることに向けられてしまったことだろう。ブラッド・メルドー4年振りのスタジオ盤という,長すぎた春,がそうさせてしまったのかもしれない。

 例えば『ハイウェイ・ライダー』のハイライトであろう,1枚目,2枚目ともに最後の2曲は2部構成のテーマが「メドレーで韻を踏んでいる」かのような凝りようが難解。ストリングスピアノ・トリオが加わるコンチェルトは思索的で哲学的な“ブラック”メルドーが顔を出している。

 4年間のリハビリは終わった。さぁ“天才”ジャズ・ピアニストとしてのブラッド・メルドーよ,帰って来い! ビル・エヴァンスキース・ジャレットミシェル・ペトルチアーニの系譜に位置するピアノ・トリオで,帰って来い!

 “天才”ブラッド・メルドーを真剣に追いかけ続けてきたマニアにとって『ハイウェイ・ライダー』は何とも物足りない。
 しか〜し『ハイウェイ・ライダー』にはジョシュア・レッドマンがいる。管理人はジョシュア・レッドマン目当てで聴いている。

  DISC ONE
  01. JOHN BOY
  02. DON'T BE SAD
  03. AT THE TOLLBOOTH
  04. HIGHWAY RIDER
  05. THE FALCON WILL FLY AGAIN
  06. NOW YOU MUST CLIMB ALONE
  07. WALKING THE PEAK

  DISC TWO
  01. WE'LL CROSS THE RIVER TOGETHER
  02. CAPRICCIO
  03. SKY TURNING GREY (FOR ELLIOTT SMITH)
  04. INTO THE CITY
  05. OLD WEST
  06. COME WITH ME
  07. ALWAYS DEPARTING
  08. ALWAYS RETURNING
  09. HIGHWAY RIDER [Commentary and Demo]

(ノンサッチ/NONESUCH 2010年発売/WPCR-13808-9)
(紙ジャケット仕様)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/中山智広,ブラッド・メルドー)

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チック・コリア&ゲイリー・バートン / イン・コンサート5

IN CONCERT, ZURICH, OCTOBER 28, 1979-1 “ジャズの伝統芸能”チック・コリアゲイリー・バートンデュエットのミラクルについて記録。

 『CRYSTAL SILENCE』は“COOL”。『DUET』は“HOT”。
 そうして「ジャズデュエットの金字塔」な1枚『IN CONCERT,ZURICH,OCTOBER 28,1979』(以下『イン・コンサート』)は“VERY HOT”! いいや,時折,スタジオ録音を思わせるくらいに“VERY COOL”!

 最高の舞台を得て“シンクロしまくる”チック・コリアゲイリー・バートンが,どこまでもどこまでも昇りつめる! ここまで合いまくるパートナーを目の前にして,思うがままに自由に跳ねまくる!

 もう何を演っても,どう演っても合ってしまう。どうしようもなく合ってしまう。シンクロするつもりがないのに“シンクロしてしまう”。真に恐ろしいライブ録音である。

 1979年10月28日のチューリッヒの夜。チック・コリアゲイリー・バートンには,信頼関係と音楽的な合意が存在していた。
 2人の頭脳に全く同じイメージが浮かび上がり,全く同じイメージでアウトプットしている。出ている音に違いがあるのはピアノヴィヴラフォンという楽器特性の違いである。

IN CONCERT, ZURICH, OCTOBER 28, 1979-2 歴史的名盤である『イン・コンサート』。『イン・コンサート』については,語られるべきことがたくさんある。
 ただしそれは「美辞麗句」が連なる「最高の賛辞」を有した世界中のジャズ評論家たちによって,すでに徹底的な検証作業がなされてきた…。

 管理人が『イン・コンサート』について語ることができるのは,チック・コリアゲイリー・バートンは,あの夜“双子”のようであった,ということだけである。天国での再会を先取りしていた,ということだけである。

 『イン・コンサート』について凡人が語れることはただそれだけである。次元が違いすぎる「歴史的な超・超・名盤」。

  01. SENOR MOUSE
  02. BUD POWELL
  03. CRYSTAL SILENCE
  04. TWEAK
  05. FALLING GRACE
  06. MIRROR, MIRROR
  07. SONG TO GAYLE
  08. ENDLESS TROUBLE, ENDLESS PLEASURE

(ECM/ECM 1980年発売/POCJ-2021)
(ライナーノーツ/本多俊夫)

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山中 千尋 / サムシン・ブルー4

SOMETHIN' BLUE-1 山中千尋には,内緒にしておきたい過去がある。
 …というのは冗談であるが,実は多くのコンピレーション・アルバムをリリースしている。
 これって本人的にはどうなのかなぁ,隠しておきたい黒歴史じゃないのかなぁって思ってしまう…。

 「COMPILED BY 山中千尋」名義の4枚『ユニバーサル・ア・ゴー・ゴー!』『ジャズ・レミニセンス』『クラシック・レミニセンス』『マイ・フェイヴァリット・ブルーノート』のコンピレーション。
 そのうちの2枚『ジャズ・レミニセンス』と『クラシック・レミニセンス』は,ちーたんの車の助手席で流されたらトロトロもの?だが完全なるアウト。
 この2枚を山中千尋名義で発売したのは,後のち,山中千尋の“汚点”とされるのではなかろうか?

 …でっ,問題なのは『ユニバーサル・ア・ゴー・ゴー!』と『マイ・フェイヴァリット・ブルーノート』の2枚。なぜなら,こちらのコンピレーション・アルバムには山中千尋の新録音入り!
 『ユニバーサル・ア・ゴー・ゴー!』には【THE BACKSTROKE DANCE】【GRACEFUL GHOST】の2トラック。『マイ・フェイヴァリット・ブルーノート』には【SUMMERTIME】【DON’T KNOW WHY?】の2トラック。
 この4トラックの新録音は聴いてみたい。でもアルバム1枚を買うほどではない。う〜む。実に悩ましい。

 さて,そんなこんなで本日の主役(『SOMETHIN’ BLUE』)(以下『サムシン・ブルー』)レビューのはじまりはじまり〜。

 才女のちーたんは,かわいい顔して,実な熱心な「ブルーノート信者」の1人であった。
 ズバリ『サムシン・ブルー』=「ブルーノート・レーベル75周年記念」盤との概要を読んで感じた“例のイロモノ・コンピレーション?”への不安なファン心理を一蹴する山中千尋の音使い!

 ブルーノート・レーベルからのカヴァーの2曲は,ハービー・ハンコックの【I HAVE A DREAM】とバド・パウエルの【UN POCO LOCO】。
 残るはトラディショナルの【FUNICULI FUNICULA】と山中千尋のオリジナルが8曲なのだが,この山中千尋オリジナルが「ブルーノート信者」の真骨頂! 【I HAVE A DREAM】よりも【UN POCO LOCO】よりも“ブルーノートの香り”がする!

 山中千尋には『BECAUSE』という“オリジナルとは「似ても似つかぬ」ビートルズのカヴァー集”があるのだが『サムシン・ブルー』の印象も『BECAUSE』のそれと似ている。

 『サムシン・ブルー』を聴き込めば聴き込むほど,山中千尋のオリジナルが“オリジナルとは「似ても似つかぬ」ブルーノート・カタログからのカヴァー集”のように響いている。『サムシン・ブルー』を聴き込めば聴き込むほど「いつかどこかのブルーノートで聴いたことのある感じ」に行き当たる。
 管理人が山中千尋に「ブルーノート信者」を感じる所以である。

SOMETHIN' BLUE-2 『サムシン・ブルー』は,基本アンサンブル重視で“朗々とした演奏”の小品である。そのように聴こえるのはピアノ中心のセクステット編成であるのにピアノの相棒はホーンではなくギターである。山中千尋ギターの使い方がめちゃめちゃ上手いと思う。

 1500番台,4000番台のハード・バップ〜モードで彩られたユニゾン&ハーモニーが,溌剌としていながら燻し銀っぽい“スモーキーな渋味”も絶妙に漂っている。ギターに“ピアノを奪われた”ホーンでのユニゾン&ハーモニーがブルーノートしている。

 山中千尋がサイドメンに許したアドリブが“定石”通り。各メンバーのソロ廻しが小気味良く決まった,非常にバランスのとれた演奏が展開されていく。うん。いい。実にいい。

 ここまで“絵に描いたような”ブルーノート・ミュージックを作るのは,相当な覚悟が必要だったことだろう。「ブルーノート信者」であれば尚更だと思う。
 あっ,だからこっぱずかしさを隠すためのコンピレーション“気分”なのかっ。
 『サムシン・ブルー』はコンピレーション・アルバムではないのだが,山中千尋にとっては5枚目のコンピレーション“気分”ではなかろうか?

  DISC 1 CD
  01. Somethin' Blue
  02. Orleans
  03. I Have A Dream
  04. Un Poco Loco
  05. Funiculi Funicula
  06. A Secret Code
  07. Pinhole Camera
  08. For Real
  09. On The Shore
  10. You're A Fool, Aren't You
  11. Go Go Go

  DISC 2 DVD
  01. For Real
  02. On The Shore
  03. Somethin' Blue

(ブルーノート/BLUE NOTE 2014年発売/UCCQ-9009)
★【初回限定盤】 SHM−CD+DVD

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チック・コリア&ゲイリー・バートン / デュエット5

DUET-1 チック・コリアゲイリー・バートンデュエットに対するイメージは,最初に『クリスタル・サイレンス』と『デュエット』のどちらを聴くかによって,受ける印象は多分に異なることであろう。

 …というのも,デュエットの第2弾『DUET』(以下『デュエット』)で,チック・コリアゲイリー・バートンは成功を収めた『クリスタル・サイレンス』での人気スタイルを一変してきた。
 「水晶の青い炎の空気」に包まれたかのような“COOL”なデュエットから,熱いインプロビゼーションを基盤とする“HOT”なデュエットに音軸を振ってきたのだ。

 通常であれば,大ヒットした『クリスタル・サイレンス』の“COOL”路線を推し進めた続編を制作するものなのだろうが,チック・コリアゲイリー・バートンは『クリスタル・サイレンス』が「失敗作であるかのように」または「納得がいかなかったかのような」あるいは「飽き足らなかったかのように」正反対の表情を出してきた。

 このスタイルの変化は中途半端なものではない。管理人などは,チック・コリアゲイリー・バートンデュエットとは知りつつも「このピアノって本当にチック・コリアなの?」って疑ってしまいたくなる感じ…。
 いや〜,何度も繰り返し聴き直す度に改めて感じることであるが,チック・コリアゲイリー・バートンデュエットは,実に間口が広い。

 だからこそ“HOT”な『デュエット』を聴いてみて“COOL”な『クリスタル・サイレンス』を再評価できた。『クリスタル・サイレンス』に滲むチック・コリアゲイリー・バートンの熱演を“炙り出す”ことが可能になった。
 その意味でもチック・コリアゲイリー・バートンデュエットは“ジャズの伝統芸能”であり,もはや“芸術作品”と呼んでもよいだろう。

 特筆すべきは,狙いを絞り込んだ作風に合ったマンフレート・アイヒャーの類まれなる選曲眼。
 『クリスタル・サイレンス』の続編は“COOL”ではなく“HOT”で行くことに決まったにしても,大ヒット確実なスタンダード集に流れるのではなく,チック・コリアゲイリー・バートンデュエットにふさわしい佳曲だけを選んでいるように思う。

DUET-2 チック・コリア・サイドからは“最高傑作”『リターン・トゥ・フォーエヴァー』からのセレクト。
 『クリスタル・サイレンス』が『リターン・トゥ・フォーエヴァー』からの【CRYSTAL SILENCE】なら『デュエット』は『リターン・トゥ・フォーエヴァー』からの【LA FIESTA】。

 ゲイリー・バートン・サイドからはスティーヴ・スワローの【RADIO】と【NEVER】をセレクト。
 まるでチック・コリアゲイリー・バートンデュエットを想定して書かれていたかのような“COOL”で“HOT”な展開が最高に盛り上がる〜。もってこ〜い。

 マンフレート・アイヒャーが6年間の熟慮の末に仕掛けてきたデュオ第2弾の『デュエット』。『クリスタル・サイレンス』の表現手法を拡大すると『デュエット』に行き着く。
 そう。『デュエット』は『クリスタル・サイレンス』で伝え損なった「水晶の赤い炎のアドリブ」を補う役割を担っている。

 “筋肉ムキムキ”な演奏に変貌した『デュエット』だからこそ,嫌うのでも避けるのでもなく『クリスタル・サイレンス』の大ファンにこそ聴き込んでほしい,と切に願う。

  01. DUET SUITE
  02. CHILDREN'S SONG 15
  03. CHILDREN'S SONG 2
  04. CHILDREN'S SONG 5
  05. CHILDREN'S SONG 6
  06. RADIO
  07. SONG TO GAYLE
  08. NEVER
  09. LA FIESTA

(ECM/ECM 1979年発売/POCJ-2020)
(ライナーノーツ/油井正一)

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渡辺 貞夫 / オウトラ・ヴェス −ふたたび−4

OUTRA VEZ-1 『OUTRA VEZ』(以下『オウトラ・ヴェス −ふたたび−』)は,渡辺貞夫の25年振りとなるブラジル録音。

 この事実さえ伝われば,他につべこべ言う必要はない。渡辺貞夫のブラジルと来れば“鉄板”の「名盤保証付き」。
 「サッカー王国」として名高いブラジルは,音楽の世界でも「王国」であって,世界的に有名なボサノヴァだけでなくミナスの例しかり。地方地方で独自の発展を遂げており,奥深い。

 『オウトラ・ヴェス −ふたたび−』で渡辺貞夫と共演したのは,ピアノファビオ・トーレスギタースワミJr.ベースパウロ・パウレッリドラムセルソ・ヂ・アルメイダパーカッションのクレーベル・アルメイダヴォーカルファビアーナ・コッツア

 ブラジルでは超一流どころなのだろうが,管理人的には“無名のタレント集団”のサイドメン。大物不在でちょっぴり残念だったのに,聴いて納得 → さすがは「王国ブラジル」 → さすがは渡辺貞夫セレクテット
 「渡辺貞夫の考えるブラジル」を自然体で見事に表現している。この力の抜け具合が最高である。ナベサダの“お耳”は実に素晴らしい。

 …とは言え,管理人が『オウトラ・ヴェス −ふたたび−』に感動するのは『オウトラ・ヴェス −ふたたび−』の中の“ブラジル色”ではなく“渡辺貞夫色”についてである。

 渡辺貞夫のブラジル録音。身体は25年振りかもしれないが,心は25年振りではない。この25年間,渡辺貞夫の心には常に“ブラジルの音楽魂”が宿っていた。ナベサダのDNAの中で鳴り続けていた“ブラジリアン・メロディー”があった。
 読者の皆さんもお気付きになっていますよね? アルバムの中に必らず(それがアフリカであっても)ブラジリアン・フレイバーが混じっていたことを…。

 そう。いつだって渡辺貞夫チャーリー・パーカーし続けてきたし,どこにいても渡辺貞夫はブラジルし続けてきた。だから東京でもNYでもLAでも渡辺貞夫アルトサックスを吹き鳴らせば,そこに“ブラジルの香り”が充満していた。
 極論を語れば『オウトラ・ヴェス −ふたたび−』では単純にその比重が増しただけなのだ。

OUTRA VEZ-2 渡辺貞夫は,ジャズを吹いても渡辺貞夫フュージョンを吹いても渡辺貞夫,ブラジルを吹いても渡辺貞夫“その人”である。

 『オウトラ・ヴェス −ふたたび−』を聴くという行為は「世界一美しい音色と口ずさみたくなる優しいメロディー」を持つ“世界のナベサダ”の音を聴くという行為。

 だからできれば『オウトラ・ヴェス −ふたたび−』は,拝聴をやめて“さらっと”聴き流してみてほしい。こんなにも“世界のナベサダ”の音をストレートに感じるアルバムは久しぶりなのだから…。

  01. OUTRA VEZ
  02. PELOURINHO
  03. REQUIEM FOR LOVE
  04. COLOR OF SPRING
  05. BON DIA 80
  06. CABO VERDE AMOR
  07. TEMA PARA E NOVO VENTO
  08. NATAKA MAJI
  09. SIMPATICO
  10. SOLITUDE

(ビクター/JVC 2013年発売/VICJ-61685)

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チック・コリア/ハービー・ハンコック / デュオ・ライヴ5

AN EVENING WITH CHICK COREA AND HERBIE HANCOCK-1 ハービー・ハンコックマイルス・デイビスの「黄金のクインテット」のピアニストチック・コリアマイルス・デイビスの「ロスト・クインテット」のピアニスト
 ハービー・ハンコックは「ヘッド・ハンターズ」のリーダー。チック・コリアは「リターン・トゥ・フォーエヴァー」のリーダー。

 そう。ハービー・ハンコックチック・コリアは,同じマイルス・スクールの卒業生として,ジャズの新たな未来を切り開いてきた良き「ライバル」である。

 そんなピアニストとしてもコンポーザーとしても良き「ライバル」であるハービー・ハンコックチック・コリアが,ついに面と向かって「音楽で会話」したのが『AN EVENING WITH CHICK COREA AND HERBIE HANCOCK』(以下『デュオ・ライヴ』)。

 『デュオ・ライヴ』は,ハービー・ハンコックチック・コリアにとっては「画期的な転換点」と呼べるほどに,後々振り返る時,重要な意味を持つ名盤の1枚だと思う。
 なぜなら同じピアニスト,同じスターとしての立場という共通点を持つ共演相手として考えられるは,ハービー・ハンコックにとってはチック・コリアただ一人であり,チック・コリアにとってはハービー・ハンコックただ一人であったことだろう。

 『デュオ・ライヴ』における,ハービー・ハンコックチック・コリアの“歓び”が格別である。
 それは音楽的には良き「ライバル」であり続けたハービー・ハンコックチック・コリアだが,実はこの2人にしか分かり合えない感情を理解することのできる“唯一の盟友”であったことが証明された瞬間だった。ついに“運命の人”と巡り会うことのできた“歓び”が爆発している。

 『デュオ・ライヴ』には,ピアノ・デュオに期待される連弾のくだりはない。
 予想通り?ハービー・ハンコックチック・コリアのフレーズは全くシンクロしていない。それぞれが自分のスタイルを最後まで貫き通している。

 切磋琢磨の繰り返しにより,互いのジャズ・ピアノ度が高まっている。そして時に2台のピアノが1台のピアノに“合体”する時の美しさ…。聴いてこれ程“面白い”ピアノ・デュオはそう多くない。これぞ“プロ中のプロの音遊び”であろう。

 『デュオ・ライヴ』の聴き所は“ジャズ・ピアニスト”としてのハービー・ハンコックでありチック・コリアであろう。
 「ヘッド・ハンターズ」と「リターン・トゥ・フォーエヴァー」で,エレクトリックピアノにハマッテしまった2人がアコースティックピアノ1台で,よくもまああれだけしゃべれることができるものだ!

 この全ては,互いに相手を倒してやろうとか,優位に立とうとするのではなく,相手を刺激することで自分も刺激されることが分かる“ジャズの語法”が用いられている。
 2人の発する音の,もの凄い立ち上がり,が驚異的! 相手の発する音の意味を聞き分けて,自分のフィルターをかけて打ち返す。そのリターンに更なる変化を加えて打ち返す。長いラリーのようであって,一音一音が即興で連綿とつながっている! 即興のループで2人して絶頂の高みに昇りつめていく!

 特に互いの名曲を,作曲した本人と共にデュエットするのが,楽しくてしょうがない様子が音の表情に表われている。
 これらのトラックを聴くにつれ,普段はピアニストとしてもコンポーザーとしても良き「ライバル」である2人が,互いにジャズメンとして最大の敬意を抱いていることが良く分かる。素晴らしい。

 なお,今回の『デュオ・ライヴ』は「チック・コリア名義のポリドール盤」であるが,同内容の「ハービー・ハンコック名義のCBS盤」2枚組の『イン・コンサート』の変則同時リリース。レコード会社の壁を越えた“夢の共同プロジェクト”である。

 仮想3枚組みのCDは,内容からジャケット写真&ブックレットに至るまでデュエットの精神が貫かれた作りとなっている。
 選曲はラストの2曲の大ヒット・ナンバー【処女航海】【ラ・フィエスタ】以外はクロスすることのない親切設計。チャンネルもレフトがハービー・ハンコック,ライトがチック・コリアと統一されたのが大殊勲!

AN EVENING WITH CHICK COREA AND HERBIE HANCOCK-2 管理人の結論=『デュオ・ライヴ批評

 名盤デュオ・ライヴ』成功の秘訣は,ライブ・レコーディングにある。『デュオ・ライヴ』は,ハービー・ハンコックチック・コリア2人きりのデュエットに違いないのだが,実は隠された大勢の共演者が存在する。

 そう。ピアノ・デュオの極意を知るオーディエンスが,耳を澄ませば,時に聞き入り,時に拍手喝さいを送っている。その聴衆の反応がハービー・ハンコックチック・コリアアドリブをさえ導いている。完全なる“触媒役”を果たしている。
 仮に『デュオ・ライヴ』が,同じ選曲でスタジオで録音されたとしても,ここまでエキサイティングなピアノ・デュオとはならなかったことと思う。

 『デュオ・ライヴ』の真意は,演奏者と演奏者のデュエットであると同時に,演奏者と観客とのデュエットでもあった。
 一心同体と化した2人のピアニストが観客と一体となってデュエットする。この“2重構造”がハービー・ハンコックチック・コリアの『デュオ・ライヴ』である。

  01. HOMECOMING
  02. OSTINATO
  03. THE HOOK
  04. BOUQUET
  05. MAIDEN VOYAGE
  06. LA FIESTA

(ポリドール/POLYDOR 1979年発売/POCJ-2702)
(ライナーノーツ/久保田高司)

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本田 雅人 / ソリッド・ステイト・ファンク4

SOLID STATE FUNK-1 “ハイパー・サックス・プレイヤー本田雅人が“ファンクに染まると”『SOLID STATE FUNK』(以下『ソリッド・ステイト・ファンク』)になるのだろう。

 しかし,どうしてもアルバム・タイトル“SOLID”のスリコミが「村田陽一SOLID BRASS」とカブってしまって,大好きな本田雅人を聴きながら,頭の隅っこで村田陽一トロンボーンを探してしまう自分に気付く。
 そう。『ソリッド・ステイト・ファンク』には,管理人の愛してやまない本田雅人が,不在がち,なのである。

 無論,本田雅人は主役である。本田雅人アルトサックスがずっと流れている。なのに本田雅人の“ハイパー・サックス”に身が入らない。
 それどころか脳内で本田雅人アルトサックスを“認識する度に”喪失感に襲われてしまった。

 本田雅人の出来が悪いわけがない。曲の出来が悪いわけがない。本田バンドの出来が悪いわけがない。そうではなくて『ソリッド・ステイト・ファンク』では,これまで新作が届く度に感じていた本田雅人の“神懸り”が降りてこなかった。
 そう。“雲の上の人”だった本田雅人が,地上で“等身大の演奏”でルーティングしているようにしか聴こえないのだ。ゆえに喪失感 →“オレ様”本田雅人が,不在がち,なのである。

 本田雅人のディスコグラフィの中には,幾らかの駄盤が混じっている。でもそれはそれでOKだったのだ。誰しも時にはブレたりタッキングすることもあるだろう。
 本田雅人は“天才”なのだから,三振あるいはホームラン,当たり外れも当然多いと思っている。キース・ジャレットにもパット・メセニーにも駄盤の1枚や2枚はあるのだから…。

 しかし,同じ駄盤を作ったにしてもキース・ジャレットの『RESTORATION RUIN』しかり,パット・メセニーの『ZERO TOLERANCE FOR SILENCE』しかり,チャレンジ精神に似た「サムシング」が感じられた。
 だから管理人は『RESTORATION RUIN』と『ZERO TOLERANCE FOR SILENCE』を頑なに拒絶することができる。

 一方,本田雅人の『ソリッド・ステイト・ファンク』には「サムシング」が感じられない。何かが足りない。初めて聴いたはずなのに,もう何回も聴いたことがある感じ。
 「一番搾り」麦汁ではなく「二番搾り」のようなハイパー・サックスが“フュージョン・ファンク”しているだけの『ソリッド・ステイト・ファンク』を拒絶することもできない。欲求不満になってしまう。

 『ソリッド・ステイト・ファンク』は,書き下ろしではなく,お蔵入りしていたアウト集? これって本田雅人ファン歴18年にして,初めてブチ当たった本田雅人の“賞味期限切れ”? 
 『ソリッド・ステイト・ファンク』を本田バンドの「再結成作」のように受け止めてしまった。

 管理人なりに「思い当たる節」がある。きっと『ソリッド・ステイト・ファンク』の低評価の原因は,前作『ACROSS THE GROOVE』からの反動なのだろう。

SOLID STATE FUNK-2 『ACROSS THE GROOVE』以前は,安定した本田バンドでプレイする本田雅人が大好きだった。いつものあのメンバーでなければ聴くことのできない「アクロバティックなのに阿吽の呼吸」な本田雅人が大好きだった。

 しかし『ACROSS THE GROOVE』における「フォープレイの4分の3」との共演を聴いて,本田雅人の内で生じた「変化の機微」を感じたせいなのだろう。
 自分の中で勝手ながら,本田バンドは「完全燃焼」。祝・本田さん「バンド卒業」の妄想ストーリーが出来上がってしまっていた。

 もう本田バンドの本田雅人はお腹一杯。満腹のゲップ。次なる共演は「リッピントンズ」か「イエロージャケッツ」か「スパイロジャイラ」か?の期待の中で届けられた,本田バンドでの『ソリッド・ステイト・ファンク』に,後戻りとか過去の遺産を感じたのだろう。

 『ソリッド・ステイト・ファンク』以降,本田さんの新作が6年間も発売されていない。本田さんも新しい「一番搾り」麦汁が出せずにもがいている?
 う〜む。この辺の感情は自分でもよく分析はできていない。こんな本田さんの大ファン,他にも多くいるのかな? もしかして管理人1人だけだったら悲しいよなぁ。

 最後にここまで書いてあれですが【ロバートの肖像】【SAILING OF TIME】【YOUR BIRTHDAY】の3曲は大好物!
 (この3曲が流れている時間だけは)予定調和・最高! 本田バンド・最高! 『ソリッド・ステイト・ファンク』最高?

  01. Funky Monsters
  02. ロバートの肖像
  03. Laughter of Dragon
  04. Sailing of Time
  05. 僕のこいのぼり
  06. Your Birthday
  07. A Week
  08. Triangle Moon
  09. Walk The Walk
  10. Angel Smile

(ソニー/SONY 2009年発売/SICL-224)

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チック・コリア / フレンズ5

FRIENDS-1 「リターン・トゥ・フォーエヴァー」を解散し,コンセプトものの「ファンタジー三部作」を完結させたチック・コリアが,本格的なソロ活動のスタートとして選んだのが,腕達者な友人4人とのセッション・アルバム=『FRIENDS』(以下『フレンズ』)である。

 『フレンズ』でのチック・コリアは,前作まで続いた「クリエイティブな音楽実験」から解放されて,何にも考えずに鍵盤の前に座った感じがする。
 ゆえにチック・コリアの“ジャズ・ピアニスト”としての「本能丸出し」で「ストレート・アヘッド」なローズ・ピアノに“天才の凄み”のようなものをいつも以上に感じてしまう。
 チック・コリアが「フィーチャリングエレクトリックピアノ」のスタンスでジャズのフィールドに帰ってきた!

 しかしそうではない。そんな能書きを垂れてはならない。『フレンズ』の本質はそれとは真逆な部分にある。『フレンズ』について語るべきは,もっと抽象的な部分である。『フレンズ』には,何とも言い得ぬ“味わい”がある。

 曲の良さ,アドリブの良さ,以上に,ほのぼのとして,温かみがあって,チック・コリアベストフレンズの4人が自然と笑みをこぼして,音楽で会話できているような雰囲気が全体を支配している。聴いているこちらまでが笑顔になってしまうような…。
 そう。『フレンズ』こそ,音を楽しむと書いて「音楽」と読む,の代表格。音楽を聴く歓びをいつ聴いても何度聴いても味わえるスルメ盤。管理人が魅了されてやまない愛聴の1枚なのである。

 『フレンズ』に心地良く酔いしれる度に「音楽ってコミュニケーションなんだよなぁ」を実感する。
 『フレンズ』はバンド・サウンドではないのだが『フレンズ』が『フレンズ』として成立するのは,不動の4人,チック・コリアジョー・ファレルエディ・ゴメススティーヴ・ガッドの誰一人として欠けてはならなかったと思う。

 4人の濃密なコミュニケーションが生み出した絶妙のブレンド。1人では出せず2人でも出せず…この音色では出せずこのリズムでは出せず…。
 4人が“チーム・ブレンダー”として,ジャズの焙煎&蒸らし時間について,百戦錬磨の豊富なアイディアを持ち寄り,いっせーのせ,でディスカッション!

 互いに信頼を寄せ合うメンバーが,引き出しを出し合ってまとめた最高のパターン! テイクを重ねれば重ねるごとに,一発録りを凌駕するアプローチが次から次へと誕生する! 演れど演れどもアイディアが止まらない! テンションが上がって上がってしょうがない! 音楽でクリエイトするのが楽しくってしょうがない!

 チック・コリアは優れたバンド・リーダーである。自身のキーボードは,洗練された聴き応えたっぷりのフレーズを“軽く一丁弾き飛ばす”ことで「ジャム・セッションっぽい風通しの良さ」を演出している。
 ジョー・ファレル以上のサックス奏者がごまんといる中,チック・コリアの選択はジョー・ファレル一択。ズバリ,ジョー・ファレルが構築した“明確なリテール”と“爽やかな後ノリ”が『フレンズ』最大の成功要因であろう。
 エディ・ゴメスウッドベースが本当に「ハートフル」。スティーヴ・ガッドドラミングは「若気の至り」。ゴメスガッドのリズム隊が“ピョンピョン”跳ねまくっている。フロントを揺り動かしながら「猪突猛進」している。

FRIENDS-2 チック・コリアの大量の名盤群のなかにあって『フレンズ』は本当にヘビロテしたアルバムである。いつでもハッピーな気分になれるし聴き飽きたりしない。

 その理由は『フレンズ』の“ゆったり&ピリカラ”の二本仕立て。【THE ONE STEP】【FRIENDS】の「表・楽園ユートピア路線」と【SAMBA SONG】【CAPPUCINO】の「裏・ゴリゴリ・バッパー爆発路線」。
 この“ゆったり&ピリカラ”の二本仕立てが,どんな気分にも合う合う! この“ゆったり&ピリカラ”の二本仕立てが,多面的で実に様々な表情を見せてくれる!

 『妖精』収録の【妖精の夢】で意気投合し『マッド・ハッター』収録の【ハンプティ・ダンプティ】で大輪の花を咲かせた,チック・コリアジョー・ファレルエディ・ゴメススティーヴ・ガッドカルテットが,息つく暇もなくレコーディングした『フレンズ』。

 この3回のレコーディングを続けて聴き通す時,ベストフレンズの4人が徐々に機能的なバンド・サウンドに近づいていくインタープレイの変化の過程が実に面白い。
 “濃密なコミュニケーション”の産物=『フレンズ』の何とも言い得ぬ“味わい”に舌鼓を打つ。チック・コリアの友人引き立て役を買って出た“懐の深さ”に感嘆する。

  01. THE ONE STEP
  02. WALTSE FOR DAVE
  03. CHILDREN'S SONG #5
  04. SAMBA SONG
  05. FRIENDS
  06. SICILY
  07. CHILDREN'S SONG #15
  08. CAPPUCINO

(ポリドール/POLYDOR 1978年発売/POCJ-1981)
(ライナーノーツ/チック・コリア,熊谷美広)

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スイングジャーナル読者が選ぶジャズ名盤ベスト100-14

 スイングジャーナル誌2001年1月号で実施された読者アンケート企画「21世紀に残したい読者が選ぶ名盤ベスト100」のスーパーカウントダウン。それが「スイングジャーナル読者が選ぶジャズ名盤ベスト100」。
 今回は31〜35位の発表です。

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メロディ・アット・ナイト,ウィズ・ユー★35.メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー
キース・ジャレット


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静かなるケニー★34.静かなるケニー
ケニー・ドーハム


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モーニン★33.モーニン
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ


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スタン・ゲッツ・プレイズ★32.スタン・ゲッツ・プレイズ
スタン・ゲッツ


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星影のステラ★31.星影のステラ
キース・ジャレット


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 キース・ジャレットトリオの『星影のステラ』がランクイン

 『星影のステラ』の成功があったからこそ,キース・ジャレットトリオライブ盤ばかりをレコーディングするようになったと思う。

 それぐらいの集中力。完全燃焼するアドリブ。こんな解釈で過去にスタンダードが演奏されることがあったであろうか?
 ただし『星影のステラ』は,余りにも完璧で美しすぎた。これは最高レベルの中での優劣の話にあるが,最初から「究極の完成形」を見せられてしまったので,後は「いじる外に道はない」の選択肢の狭さが惜しまれる。

 さて,もう1枚の『メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー』については,キース・ジャレットソロ・ピアノという紹介よりも,慢性疲労症候群からの「カムバック作」という紹介が優勢であろうが,実際にはカムバックを見据えた演奏にはほど遠い「リハビリ中のリハーサル作」と紹介するのが,より正確なのだと思っている。

 “名盤”『星影のステラ』と“迷盤”『メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー』が同列の評価であったとはキース・ジャレットのマニアとしては悲しくなってしまった。

 『メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー』が名盤で有り得る理由は,そのソロ・ピアノキース・ジャレットの指で奏でられているという1点だけであって,仮に「キースキースたる演奏」という理由で評価されるのであれば,ランク外とされた他のキース作品が浮かばれない。

 『メロディ・アット・ナイト,ウイズ・ユー』の信奉者たちよ。復帰作のご祝儀は“天才”キース・ジャレットには非礼にあたる。“ジャズ・ピアニストキース・ジャレットだけを拝聴せよ!

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