アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2015年09月

チック・コリア & ゲイリー・バートン / ホット・ハウス5

HOT HOUSE-1 ピアノチック・コリアヴィヴラフォンゲイリー・バートンによる15年振りとなるスタジオ録音の大名盤が『HOT HOUSE』(以下『ホット・ハウス』)。
 『ホット・ハウス』がこれまた素晴らしい。何年間隔が空こうとも,何年間隔が詰まっていようと,何ら影響のない“安心で安定の大傑作”のリリースである。

 過去の2人の大名盤の5枚と比較して『ホット・ハウス』の“目新しさ”を語るとすれば,それは「有名スタンダードカヴァー集」ということになるのだが,ハッキリ言って,選曲は違えど演っていることはいつも通りで“目新しさ”など感じない。

 しかし,この「変化しないという男気」こそが,チック・コリアゲイリー・バートンデュエットについて“ジャズの伝統芸能”と称される所以であって,いつまでも「異次元のデュエット」を守り続けることに専ら価値を見い出すというもの。

 逆説的に説明するなら『クリスタル・サイレンス』〜『デュエット』〜『イン・コンサート』〜『ネイティヴ・センス』〜『ライク・マインズ』〜『ランデヴー・イン・ニューヨーク』〜『ニュー・クリスタル・サイレンス』がリリースされてきた約40年という歳月の間に,チック・コリアゲイリー・バートンデュエットを越えるデュエットが登場することはなかった,という事実。
 そう。40年経とうともチック・コリアゲイリー・バートンデュエットが「ジャズデュエットの金字塔」に変わりがなかったのだ。

 このライバル不在の現状が,チック・コリアゲイリー・バートンにとっては,大きな壁となり,大きなチャレンジとなってきたと思う。
 毎回「手を替え品を替えて」ファンを飽きさせないよう努めるのではなく,正面突破の同じ手法でアプローチするのに飽きさせない。特に1作目『クリスタル・サイレンス』が“世紀の大名盤”のスタートだったのだから,前作を越え続けるのは並大抵の仕事ではなかったことだろう。

 ファースト・インプレッションが素晴らしければ素晴らしいほど,次に与えるインパクトは弱くなる。驚きは後退するのである。ただ,それでもその驚きの先に,チック・コリアゲイリー・バートンデュエットがあるのだと信じている。

 例えば,生まれて初めて蒸気機関車を見た。富士山を見た。東京タワーを見た。きっとその時は感動したはずなのに,今ではその感動を思い出せない。
 ではこれが虹だったならどうだろうか? 何回見ても,何年経っても虹に興奮していまう。あんな虹やこんな虹に【TOUCH THE RAINBOW】。今眺めている虹を見ながら,前回見た「七色の虹」のシチュエーションを思い出したりしてしまう。永遠に色褪せない感動であり,思い出がますます美化されていく。

 そう。チック・コリアゲイリー・バートンデュエットは,蒸気機関車や富士山や東京タワーとは異なる「七色の虹」のようなジャズなのだと思う。

HOT HOUSE-2 1973年の『クリスタル・サイレンス』のレインボー〜1979年の『デュエット』のレインボー〜1980年の『イン・コンサート』のレインボー〜1997年の『ネイティヴ・センス』のレインボー〜1998年の『ライク・マインズ』のレインボー〜2003年の『ランデヴー・イン・ニューヨーク』のレインボー〜2008年の『ニュー・クリスタル・サイレンス』のレインボーは,その全てが美しかった。

 そして2012年の『ホット・ハウス』の「七色の虹」も素晴らしい。特に【MOZART GOES DANCING】におけるハーレム・ストリング・カルテットの瑞々しくも重厚感のある「弦楽四重奏」が加わった大名演が素晴らしい。

 やがて時間と共に『ホット・ハウス』に対する感動も薄くなることだろう。驚きは後退するであろう。ただ,それでもその驚きの先に,チック・コリアゲイリー・バートンデュエットがある。
 『ホット・ハウス』には,チック・コリアゲイリー・バートンの強い信念が感じられる。

  01. Can't We Be Friends
  02. Eleanor Rigby
  03. Chega de Saudade
  04. Time Remembered
  05. Hot House
  06. Strange Meadow Lark
  07. Light Blue
  08. Once I Loved
  09. My Ship
  10. Mozart Goes Dancing

(コンコード/CONCORD 2012年発売/UCCO-1116)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/原田和典)

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バルネ・ウィラン / ニッティー・グリッティー4

INSIDE NITTY=GRITTY-1 本来は映画のサウンドトラックである。本来はマイルス・デイビスのアルバムである。
 しかし管理人にとって,マイルス・デイビス名義のサウンドトラック死刑台のエレベーター』と来れば,バルネ・ウィランテナーサックスなのである。

 バルネ・ウィランは『死刑台のエレベーター』のサウンドトラックに参加したフランスのジャズメンの1人にすぎない。
 しかしその役所は準主役クラス。『死刑台のエレベーター』においては,マイルス・デイビスが映画のラッシュを見ながら即興演奏をする,そのすぐ後ろでマイルス・デイビストランペットの歌の意味を,映画のストーリー展開に合わせて丁寧に別の語法で語っていたのがバルネ・ウィランテナーサックスであった。
 バルネ・ウィランのアンニュイなテナーサックスの響きが,物語の悲しい結末へと誘ってくれていた。

 そう。マイルス・デイビスアドリブが最高に素晴らしい。しかし,マイルス・デイビスジャズインプロビゼーションが映画音楽として成立することができたのは,バルネ・ウィランテナーサックスが“全体を補完していた”からであった。

 バルネ・ウィランテナーサックスは,思いの外に“黒光り”する。そしてやっぱり“洒落”ている。ゆえにマイルス・デイビスともマッチしたし,おフランス映画ともマッチしたと思っている。
 そんな“お洒落でブラックもいける”バルネ・ウィランオルガンジャズ名盤が『INSIDE NITTY=GRITTY』(以下『ニッティー・グリッティー』)である。

 『ニッティー・グリッティー』は,エマニュエル・ベックスオルガン入りのトリオゆえ,バルネ・ウィランの“GROOVE魂”が否が応でも耳に付く。
 一聴する限り,バルネ・ウィランってこんなにもブルージーなサックス・プレイヤーであったのか?と耳を疑ってしまう新鮮味に溢れた1枚だと思う。

 しか〜し,よくよく聴き込んでいくと『ニッティー・グリッティー』には,ジャズの時流に乗ってきた,いつものバルネ・ウィランが表情豊かに鳴っている。
 伝統に即したフレージングが支配的であるが,そこに前衛的で,アフリカ的で,ジャズ・ロックのエッセンスがブレンドされた「洒落た香りを放つ独自の歌心」が“唯一無二”のバルネジャズ

INSIDE NITTY=GRITTY-2 【ヴァルス・ホット】と【ディグ】は,おおらかで“HOT”なバップ・テナーが,オルガンを従え「青空にぽっかり浮かぶ白い雲のよう」にイマジネーション豊かに光り輝いている。バースごとのサックスオルガンの掛け合いが実に“COOL”でカッコいい。

 【キャラバン】こそが,オルガンジャズの大興奮を呼び起こす名演。ハイ・スピードで繰り広げられるトリオインタープレイが「我先に!」と走り出したら止まらない。これぞ【CARAVAN】であって,単音使いがビューッとねっ。

 スローな【グラナダ】と【マイ・アイデアル】は“SOLID”なバルネ・ウィランソプラノサックス。繊細に尽きることなく紡がれてゆくファンタステッィクな連続フレージングがメロディアス。

 耳馴染みのポピュラー・ソングの【聞かせてよ愛の言葉を】とバド・パウエルの【パリの舗道】が文句なし。“お洒落な”オルガンジャズという『ニッティー・グリッティー』のコンセプトが見事にパッケージングされ名演である。

  01. Valse Hot
  02. Dig
  03. Caravan
  04. Granadas
  05. My Ideal
  06. Ah Si Vous Connaissiez Ma Poule
  07. Blue Lou
  08. The Trolley Song
  09. Parlez-Moi D'amour
  10. Parisian Thoroughfare

(ヴィーナス/VENUS 1993年発売/VHCD-4029)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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チック・コリア & ステファノ・ボラーニ / オルヴィエート4

ORVIETO-1 デュエットの名手,チック・コリアの『ORVIETO』(以下『オルヴィエート』)におけるデュエット相手は,ピアニストステファノ・ボラーニ

 『オルヴィエート』におけるステファノ・ボラーニの大きな喜びと大きなプレッシャーはいかばかりであろう。必然的にステファノ・ボラーニのライバルは,過去にチック・コリアデュエットを務めた,ハービー・ハンコック上原ひろみの「GRAMMY WINNER」の猛者たちであろう。

 そんな過去のチック・コリアデュエット・アルバム,特に同じピアニスト2人とのデュエット・アルバムとの比較で聴き始めた『オルヴィエート』だが,上記の文脈で聴くべきではないことをすぐに感じ取った。
 そう。『オルヴィエート』は,過去のチック・コリアデュエットの範疇では評価できない,全く新しいデュエット・アルバムの誕生なのである。

 ハービー・ハンコック上原ひろみの場合は,チック・コリアと己を“研ぎ合い”,自分1人だけでは登頂できない異次元の高みを目指すデュエットであったと思う。
 一方,ステファノ・ボラーニの場合は,チック・コリアと対峙するのではなく,チック・コリアと“一体化”することを望んでいる。つまり2人が同期し1人で4本の指を同時に操る感覚…。2台のピアノが1台のピアノのごとくシンクロしていく感覚…。

 『オルヴィエート』における“1人4本指”は,常にチック・コリアが「頭脳」役というわけではない。ステファノ・ボラーニが「頭脳」となってチック・コリアが「手足」役に回る場面もしばしばある。
 そのことを強く意識させられるのはチック・コリアステファノ・ボラーニソロ・パートでの演奏である。デュエット中は2人が対等に1つの音楽を創造していることが伝わってくる。それはそれでよい。

 問題なのは,曲名もテーマもない,自然発生的なインプロビゼーションを弾いている途中で,短いながらも訪れるチック・コリアステファノ・ボラーニソロ・パートが“没個性”。デュエットの延長線上にあるアドリブばかりが続いていく。
 『オルヴィエート』を聴いていると「なんでこうなるのっ!」と思ってしまう瞬間に出くわす確率が高い。

 【ORIVIETO IMPROVISATION NO.1】【ORIVIETO IMPROVISATION NO.2】では,2人の個性が“ぐじゃぐじゃと入り交じって”おり,難関さを覚えてしまう。耳馴染みのあるチック・コリアにもステファノ・ボラーニにも聴こえないのだ。
 ポピュラー寄りではなく芸術寄りな演奏である。かなり神経の研ぎ澄まされた演奏である。チック・コリアが頭の中でイメージした音が,瞬時にステファノ・ボラーニの指から奏でられているかのようなレスポンスの高さに,ただただ“唸らされて”しまう。

ORVIETO-2 だ・か・ら『オルヴィエート』は“新基軸の”デュエット・アルバム。過去の自分を封印して新しい人格を共有するデュエット・アルバム。

 “殿堂入り”のゲイリー・バートンは別格として,チック・コリアが指名した無数の音楽パートナーの中で,ステファノ・ボラーニこそが“素のチック・コリア”に一番肉薄できたように思う。
 同じピアニストに限って語れば,ステファノ・ボラーニとのデュエットは,音楽性の共有という意味ではハービー・ハンコック上原ひろみを越えたと思う。

 ただし,正直『オルヴィエート』は,チック・コリアステファノ・ボラーニの「2人だけの濃密な音世界」でクローズドされてしまっている。
 2人の演りたいことが全部出来ていて,究極の完成度の1枚に仕上がっていることは認めるが『オルヴィエート』における,チック・コリアステファノ・ボラーニの2人の世界に,第三者が割って入る余地はない。2人の演奏にリスナーが加わることが許されていない。
 チック・コリアステファノ・ボラーニが「恋人同士」のように聴こえて,お邪魔しちゃ悪いのかなぁ,って感じてしまう。

 管理人が『オルヴィエート』を次に聴くのは,一体いつのことになるのでしょうか…。
 どなたか『オルヴィエート』の楽しみ方を教えていただけたら…。

  01. ORVIETO IMPROVISATION NO.1
  02. RETRATO EM BRANCO E PRETO
  03. IF I SHOULD LOSE YOU
  04. DORALICE
  05. JITTERBUG WALTZ
  06. A VALSA DA PAULA
  07. ORVIETO IMPROVISATION NO.2
  08. ESTE SEU OLHAR
  09. DARN THAT DREAM
  10. TIRITITRAN
  11. ARMANDO'S RHUMBA
  12. BLUES IN F

(ECM/ECM 2011年発売/UCCE-1128)
(☆スリップ・ケース仕様)
(ライナーノーツ/チック・コリア,ステファノ・ボラーニ,原田和典)

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松居 慶子 / ディープ・ブルー4

DEEP BLUE-1 「東のボブ・ジェームス」「西のデイヴ・グルーシン」。
 これはフュージョン界におけるキーボード・プレイヤーの両雄を指す至言である。

 そして,ここに「日本のボブ・ジェームス」「日本のデイヴ・グルーシン」と呼ばれる一人の女性ジャズメンがいる。
 その人物こそ松居慶子“その人”である。そう。松居慶子こそが,ボブ・ジェームスデイヴ・グルーシンと同列に並び称される唯一の女性ジャズメン。
 事実,全米ビルボード誌コンテンポラリー・ジャズ・チャートで1位を獲得。松居慶子は,ケニー・Gフォープレイと肩を並べるスムーズ・ジャズ界のスーパー・スター。アメリカにおける松居慶子の人気は“無敵”なのである。

 では,日本における松居慶子の人気はと言うと…。微妙です。そして管理人の評価も微妙なのです。
 ズバリ,松居慶子は「日本のボブ・ジェームス」「日本のデイヴ・グルーシン」などではない。同じ例えるなら「女・久石譲」であり「女・喜多郎」の方が良いと思う。

 そう。管理人は松居慶子の音楽はスムーズ・ジャズではなくイージーリスニングに聞こえてしまう。映画音楽にも環境音楽にも聞こえてしまう。ゆえに久石譲にも喜多郎にも聞こえてしまうのだ。

 『DEEP BLUE』(以下『ディープ・ブルー』)は,そんな「女・久石譲」であり「女・喜多郎」である松居慶子の面目躍如な大ヒット・アルバム。
 どこまでも深く澄みわたり神秘的な深遠の碧の音楽がリスナーを幻想の世界に誘う。スムーズ・ジャズの文脈では場違いななほど,神々しいばかりの気品を漂わせた,瑞々しく透明で静かに響くクリスタルで神秘的なピアノ・サウンドである。

 『ディープ・ブルー』は「上質なBGM」である。耳馴染みの良いメロディー,うんぬんと気軽に書けない,何とも抽象的でアンニュイな音世界が続いていく。いかん,どうしても途中で落ちてしまう。本物のスムーズ・ジャズならBGMにはならないはずなのに…。

DEEP BLUE-2 松居慶子も自身でそのことを認めているのだと思う。なぜなら『ディープ・ブルー』の特典映像であるビデオ・クリップには「深い青」「海の青」をイメージした“環境ビデオ”を収録。きっと世界のどこかのダイビング・ショップのモニターで流れているはず?

 繰り返すが『ディープ・ブルー』は「イージーリスニングであり,映画音楽であり,環境音楽である」。そう思って聞くと気持ちよい。間違っても大音量でガンガンかけるべき音楽ではない。この部分に松居慶子の音楽の“軸足”を感じ取る。

  01. Deep Blue
  02. Water for the Tribe
  03. Across the Sun
  04. Trees
  05. Mediterranean Eyes
  06. Rose in Morocco
  07. Moonflower
  08. Crescent Night Dreams
  09. To the Indian Sea
  10. Mystic Dance
  11. Midnight Stone
  12. Deep Blue
  13. Extra video track

(プラネットジョイレコード/PLANET JOY RECORDS 2001年発売/PJCD-1002)
(CD−EXTRA仕様)
(ライナーノーツ/松居慶子,松居和)

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チック・コリア/エディ・ゴメス/ポール・モチアン / ファーザー・エクスプロレイションズ〜ビル・エヴァンスに捧ぐ4

FURTHER EXPLORATIONS-1 思えば,チック・コリアがリスペクトするジャズ・ピアニストとして,ビル・エヴァンスについて語るようになったのは,ごく最近のことと記憶する。
 管理人の認識では,チック・コリアが影響を受けたジャズ・ピアニストは,バド・パウエルセロニアス・モンクというビ・バップ期を代表する2大ピアニストだけだったと思う。

 それがここへきての“ビル・エヴァンス押し”が凄まじく,ある種の戸惑いを覚えてしまう。
 そんなチック・コリアの“ビル・エヴァンス押し”の最たるものである『FURTHER EXPLORATIONS』(以下『ファーザー・エクスプロレイションズ〜ビル・エヴァンスに捧ぐ』)を耳にして,戸惑いが吹っ切れた。

 『ファーザー・エクスプロレイションズ〜ビル・エヴァンスに捧ぐ』の中にビル・エヴァンスはいなかった。ここにいるのは,そのまんまのチック・コリア,だった。チック・コリアが“どうあがいても”ビル・エヴァンスになれやしない。
 そういう訳で,管理人は『ファーザー・エクスプロレイションズ〜ビル・エヴァンスに捧ぐ』をチック・コリアの新しいピアノ・トリオの1枚という位置付けで聴いている。

 チック・コリアからビル・エヴァンスを切り離して聴き始めると『ファーザー・エクスプロレイションズ〜ビル・エヴァンスに捧ぐ』が,俄然,面白い!
 エディ・ゴメスベースポール・モチアンドラムと組んだ,チック・コリアの新しいピアノ・トリオは,過去に例がないくらいに,チック・コリアピアノだけが“浮いてしまっている”。

 原因は,完全にビル・エヴァンスを演じきれない“戸惑い”がそうさせているのだろう。まとまらないから,つい音数が多くなってしまったのだろう。“饒舌な”ピアノチック・コリアの“手癖”がワンサカと記録されてしまっている。

 いいや,つい音数が多くなってしまったのはポール・モチアンの「ドッタンバッタン」なドラムにして「ファジー」なドラムのせいであろう。
 ポール・モチアンが“ブラシで撫でれば”チック・コリアが音を出し,ポール・モチアンが“スティックで叩けば”エディ・ゴメスが音を出す。ポール・モチアン自身は,時に無言になり無音で音空間を広げている。流石ですねぇ。

FURTHER EXPLORATIONS-2 ズバリ『ファーザー・エクスプロレイションズ〜ビル・エヴァンスに捧ぐ』の聴き所は,ポール・モチアン“最強の証し”!
 チック・コリアをもってしても“最強”ポール・モチアンには敵わなかった。ビル・エヴァンスポール・モチアンを長く手放さなかった理由を再確認できたというところである。

 『ファーザー・エクスプロレイションズ〜ビル・エヴァンスに捧ぐ』が「チック・コリア/エディ・ゴメス/ポール・モチアン」名義だから星4つなのだが『ファーザー・エクスプロレイションズ〜ビル・エヴァンスに捧ぐ』が「ポール・モチアン WITH エディ・ゴメス FEATURING チック・コリア」名義なら星5つ〜。

 それにしても,最初から最後までエヴァンス風で弾き通す「ビル・エヴァンストリビュート」が氾濫する中,あくまでもチック・コリア流を貫き通しつつ,全力でポール・モチアンにぶち当たったチック・コリアは嫌いではありません。

  CD 1
  01. Peri's Scope
  02. Gloria's Step
  03. They Say That Falling In Love Is Wonderful
  04. Alice In Wonderland
  05. Song No.1
  06. Diane
  07. Off The Cuff
  08. Laurie
  09. Bill Evans
  10. Little Rootie Tootie

  CD 2
  01. Hot House
  02. Mode VI
  03. Another Tango
  04. Turn Out The Stars
  05. Rhapsody
  06. Very Early
  07. But Beautiful - Part 1
  08. But Beautiful - Part 2
  09. Puccini's Walk

(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2011年発売/UCCJ-3027/8)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/ボブ・ベルデン,チック・コリア,ポール・モチアン,エディ・ゴメス)

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アーチー・シェップ・カルテット / トゥルー・バラード5

TRUE BALLADS-1 アーチー・シェップと来れば“フリー・ジャズの闘士”が代名詞。ジョン・コルトレーンの背中を追いかけ続けた,暴力的なまでに過激な演奏こそがアーチー・シェップのトレードマークである。

 しかし,敬愛したジョン・コルトレーンの死後「行き場を失った」アーチー・シェップは,フリー・ジャズに留まるのではなく,時代とともに音楽スタイルを変化させてきた。
 管理人は前作『ブルー・バラード』,そして今回は『TRUE BALLADS』(以下『トゥルー・バラード』)から成る,ヴィーナス一連のバラード・アルバムもその動きの1つだと受け止める。

 『トゥルー・バラード』を聴いて,声を大にして叫びたいのは,アーチー・シェップの音楽スタイルは変化しても,アーチー・シェップテナーサックスは不変,だということ。

 『ブルー・バラード』『トゥルー・バラード』には“フリー・ジャズの闘士”であったアーチー・シェップはいない。アーチー・シェップは“堕落した”とか“魂を売った”と批判するのは簡単である。
 しかし,それはアーチー・シェップの音の表面だけを聴いた結果であって,前衛を吹いてもバラードを吹いても“アーチー・シェップアーチー・シェップのまま”であって目立った変化は感じられない。いつの時代もアーチー・シェップの“魂の音”は必らずそこに有った。バラードを吹いてもアーチー・シェップの“魂の音”がここには有る。

 そう。『トゥルー・バラード』におけるアーチー・シェップテナーサックスは,情念たっぷり,ドスが効きまくった男のダンディズムと色気むんむんのテナーサックス
 かつての難解さは無い。しかし,穏やかな表現の心の底には“燃えたぎる何か”が秘められている。管理人は『トゥルー・バラード』における,よい意味での“枯れ方”にゾッコンなのである。

TRUE BALLADS-2 元来,アーチー・シェップテナーサックスには,伝統的なジャズのルーツを感じさせるものがあった。“フリー・ジャズの闘士”であった頃の演奏にも,伝統的なジャズへの愛母が含められていた。
 ゆえに管理人はアーチー・シェップにとっての前衛とは「革新ではなく自虐行為」であると思っている。「好きすぎたがゆえの破壊行為」であると思っている。

 『ブルー・バラード』『トゥルー・バラード』を聴いてみて“自分に素直になった”アーチー・シェップを聴けた思いでうれしさが込み上げてきた。
 円熟の味に磨きをかけて,独特の創造性を発揮している。ブルージーなバラードで最良の表現と個性を発揮している。
 お帰りなさい。感動しました。よくぞここまで頑張りましたね。アーチー・シェップさん…。

  01. The Thrill Is Gone
  02. The Shadow Of Your Smile
  03. Everything Must Change
  04. Here's That Rainy Day
  05. La Rosita
  06. Nature Boy
  07. Yesterdays
  08. Violets For Your Furs

(ヴィーナス/VENUS 1997年発売/VHCD-4106)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/児山紀芳)

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チック・コリア/スタンリー・クラーク/レニー・ホワイト / フォーエヴァー5

FOREVER-1 チック・コリアライナーノーツの中で『FOREVER』(以下『フォーエヴァー』)について「このトリオリターン・トゥ・フォーエヴァーとは切り離して考えてほしい」と述べている。

 しかし,アルバム・タイトルが,バンド名=リターン・トゥ・フォーエヴァーの『フォーエヴァー』だし,トリオのメンバーが,ピアノキーボードチック・コリアコントラバスエレクトリックベーススタンリー・クラークドラムレニー・ホワイトと来れば,チック・コリアがどんなに否定しようともリターン・トゥ・フォーエヴァーを意識しない方がおかしい。
 ダメ押しで語れば“目玉である”ジャズスタンダードを演奏しようとも,出てきた音の正体が,リターン・トゥ・フォーエヴァーのサウンド・カラーである事実を隠せやしない。

 そういうことで,アドリブログでは『フォーエヴァー』をリターン・トゥ・フォーエヴァー名義の1枚としてカテゴライズさせていただきたい。いいや,是非とも『フォーエヴァー』はリターン・トゥ・フォーエヴァーを名乗っていただきたい。
 『フォーエヴァー』の内容は本当にいい演奏ばかりである。このメンバーにしてこの曲目。ケチのつけようがない,リターン・トゥ・フォーエヴァーの「新たなる名盤」の誕生である。

 “アンプラグド”で演奏された1枚目は,チック・コリアスタンリー・クラークレニー・ホワイトで行なわれたワールドツアーベスト・テイク集。
 先にも述べたが,ジャズスタンダードが“アンプラグドな”リターン・トゥ・フォーエヴァーに完璧にハマッテいる。まるで以前からリターン・トゥ・フォーエヴァーのレパートリーだったかのようなこなれように「名手3人」の実力を感じ取る。

 しかし,聴き所は別である。『フォーエヴァー』のハイライトは,チック・コリアスタンリー・クラークレニー・ホワイトによるリターン・トゥ・フォーエヴァーのレパートリーのカヴァーである。
 リターン・トゥ・フォーエヴァーの4分の3にして,4分の4であるかのような名演である。逆に4分の3であるから,広がったスペースを飛翔する3人のソロがいつも以上にスリリング。特にスタンリー・クラークの“超絶技巧”の大爆発が最高に素晴らしい。

 いや〜,念願であった,ジャズ・コンボと化したリターン・トゥ・フォーエヴァー,がついに聴けた満足感はかなり高い!
 管理人はリターン・トゥ・フォーエヴァーエレクトリックでなければならないと思っていたが,とんでもない。リターン・トゥ・フォーエヴァーエレクトリックでもアコースティックでも“両刀でも&何を演っても”リターン・トゥ・フォーエヴァーであった。
 エレクトリックに特化したバンドではなかった。フュージョンに特化したバンドでもなかった。だからこんなにシビレルんだ!

FOREVER-2 2枚目は豪華ゲストが参加したスタジオ・セッション。1枚目とは性格の異なる“ハッピーな演奏”が連続する。聴いていて楽しい。

 ゲスト参加で一気にカラフルになったリターン・トゥ・フォーエヴァーだが,アルディ・メオラの代わりを務めるビル・コナーズが,そしてフロントを務めるジャン・リュック・ポンティチャカ・カーンも,レコーディングなど忘れてリターン・トゥ・フォーエヴァーの4分の1になれた事実を楽しんでいる。
 そりゃあ,最高のピアノトリオにツボを刺激されれば誰だってああなるのさっ。

 ところで,2枚組の『フォーエヴァー』を聴き終えた時,ふと『リターンズ〜リユニオン・ライヴ』で感じた疑問を思い出した。
 チック・コリアリターン・トゥ・フォーエヴァーでやり残したこととは“アンプラグド”でジャズ・コンボと化したリターン・トゥ・フォーエヴァーだったんだ! 

  DISC 1
  01. On Green Dolphin Street
  02. Waltz for Debby
  03. Bud Powell
  04. La Cancion de Sofia
  05. Windows
  06. Hackensack
  07. No Mystery
  08. Senor Mouse

  DISC 2
  01. Captain Marvel
  02. Senor Mouse
  03. Crescent
  04. Armando's Rhumba
  05. Renaissance
  06. High Wire - The Aerialist
  07. I Loves You Porgy
  08. After the Cosmic Rain
  09. Space Circus
  10. 500 Miles High

(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2010年発売/UCCJ-3023/4)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/チック・コリア,ビル・ルーニー,小川隆夫)

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ビル・チャーラップ・トリオ / ス・ワンダフル4

'S WONDERFULL-1 ビル・チャーラップピアノが好きだ。ビル・チャーラップの何が?と問われると「サラブレットだから」と答えるしかない“灰汁のなさ”。
 ビル・チャーラップのスタイルが,非の打ち所のない“ジャスト”タイプのピアニストなのだからしょうがない。

 ジャズメンは“個性が命”なのだから“清く正しく美しい”ビル・チャーラップとしては不利な図式である。
 個人的にはビル・チャーラップを高く買っているのだが,これが何度試しても,イマイチ,説得力を持って奨めるには向かないタイプなんだよなぁ。

 いっそのこと,欠点があったほうが説明しやすい。「欠点がないのが欠点」って,皆さんに周りにも1人や2人はいるでしょう? お金持ちでイケメンにして真面目なエリートタイプの実力派がっ。そんで付き合ってみたら中身は超いい人間がっ。
 いや〜,ビル・チャーラップが大好きなだけにもどかしい。

 管理人がビル・チャーラップを「サラブレット」と呼んだのは“生まれながらにして”ジャズ・ピアノを弾き出したような素養の深さを感じるからである。オーソドックスで上質な品のある芳香を醸す“ナチュラルな”ピアノなのである。とにかく音タッチが柔らかい。

 バド・パウエルセロニアス・モンクの時代からのビル・エヴァンス,そして“御三家”のハービー・ハンコックチック・コリアキース・ジャレットの時代からのミシェル・ペトルチアーニブラッド・メルドーへと通じるジャズ・ピアノの系譜。

 その流れの中で,奇をてらわずして,真正面から弾き上げたビル・チャーラップジャズスタンダードは,原型をとどめたままの状態で,まるでマジックを仕掛けられたかのように,流行の最先端の洋服を着させられたかのように,お洒落に変身していく。
 こんな感じの「まとまったオリジナル感のある」ジャズ・ピアノを弾かせたら,ビル・チャーラップが“無敵”であろう。

'S WONDERFULL-2 『’S WONDERFUL』(以下『ス・ワンダフル』)を聴いてみてほしい。特に管理人のお気に入り【ONLY THE LONLY】を聴いてみてほしい。
 エレガントでノスタルジックなスインギン・ピアノがダイナミックに響き渡り,最高に気持ち良い。ピアノなのに歌を聴いているかのような感動がある。

 ビル・チャーラップに「サラブレット」を感じるのは,スロー・テンポのスタンダード。歌を知り尽くしたがゆえの,すがすがしさ。原曲の美しさを100%引き出しており,かえってその重厚感を際立たせている。ゆっくりではあってもだらけず,その美しいハーモニー,切れの良いタッチはいつ聴いても瑞々しい。

 さて,ここまで絶賛してきたビル・チャーラップであるが,管理人はビル・チャーラップソロ名義の「ビル・チャーラップトリオ」ではなく「ニューヨーク・トリオ」で聴いていま〜す!

  01. Time After Time
  02. My Shining Hour
  03. The Blue Room
  04. Boy, What Love Has Done To Me
  05. Isfaban
  06. Lover
  07. Something To Live For
  08. 'S Wonderfull
  09. Summer Serenade
  10. Only The Lonely

(ヴィーナス/VENUS 1999年発売/VHCD-4059)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/寺島靖国)

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チック・コリア&ジョン・マクラフリン / ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ5

FIVE PEACE BAND LIVE-1 実は2000年辺りからのチック・コリアのリリース・ラッシュに,実は微妙な思いを持っていた。
 数カ月に1枚のリリース間隔も異例なら,そのほとんどが2枚組(中には6枚組)。何だか「音楽の大量生産品」→「大量消費」のようであって,そんなチック・コリアのスタンスが嫌いだった。
 出せば売れると分かっていても,自分で納得が行かないものを決して世に出そうとしないキース・ジャレットを見倣え〜。

 それでも買い続けてしまったのは,やはりチック・コリアが“天才”だったわけで,過去の焼き直しの企画物にはげんなりしつつも,最後には称賛してしまう。並みのジャズメンなら「生涯の代表作」と呼ばれるようなハイレベルなアルバムを数カ月おきにリリースするのだからチック・コリアは“怪物”であった。
 チック・コリアさん,こうなったら何でも買うからどんどんリリースしてくださ〜い。

 これは最近になって思うようになったのだが,チック・コリアの幅広い“カメレオンな”音楽性って,スタイルを次々と変えていった“帝王”マイルス・デイビスの手法と同じかも〜。
 違うのはマイルス・デイビスの場合は,出したら終わり&やめたら終わりで,決して焼き直しはしなかったこと。チック・コリアの場合は,過去の傑作を磨き続けたくなる修正能力に長けていることであろう。

 う〜む。何だか批判するつもりが称賛してしまったのだが,それは管理人の気分が上がっているから!
 今夜は『FIVE PEACE BAND LIVE』(以下『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』)批評なのです。チック・コリアジョン・マクラフリンのスーパー・ライブ盤なのです。

 怒涛のリリース・ラッシュの中,ついにチック・コリアが本音でアルバムをリリースしてくれた思いがしたのだコレ! 管理人のハートが“鷲掴み”されたのがコレ!
 管理人も『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』のような「真新しいイチからの新作」を待っていたんですよ〜。

 “オール・スター・スーパー・バンド”「ファイヴ・ピース・バンド」のライブ盤を聴いて,腰を抜かしそうになった。何なんだ,このダイナミズム。「生きの良いバンド・サウンド」ではないかっ。
 チック・コリアピアノキーボードジョン・マクラフリンギターの音の何とも瑞々しいこと! 70代のレジェンド2人が20代の頃のようなパワフルな高速フレーズで空間を埋め尽くしていく! 凄んごい! 最高にカッコいい!
 『ビッチェズ・ブリューセッションの再現を聴いているかのような大興奮&ガッツポーズ状態。特に1曲目【RAJU】が流れ出すと同時に放出されるアドレナリンが丸1ケ月は分泌されていた記憶がある。

 そうして本題はここからである。『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』の大興奮が少し落ち着いた頃,2度目の『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』熱に襲われた。
 今度はケニー・ギャレットアルトサックスであった。『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』を聴き込んでいくにつれ,このセッション全てはケニー・ギャレットのために企画されている,と感じるようになったのだ。

 ケニー・ギャレットソロになってからも大好きだけど,管理人のお気に入りはマイルス・バンド時代のケニー・ギャレットである。
 ゆえに“電化マイルスっぽい”「ファイヴ・ピース・バンド」は相性チリバツ! ケニー・ギャレットアルトを吹けば,チック・コリアジョン・マクラフリンケニー・ギャレット・バンドのサイドメンに成り下がってしまったかのように感じてしまった。
 マイルス・デイビスが“睨みをきかせていた”当時のマイルス・バンドの雰囲気が「ファイヴ・ピース・バンド」から漂い出ている。

FIVE PEACE BAND LIVE-2 「ファイヴ・ピース・バンド」の強烈なリズムの波間を“自由に泳ぎまくる”ケニー・ギャレットが神!
 正しく「ジョン・コルトレーンウェイン・ショーターを足して2で割ったような」アルトサックスの吹きっぷりは“エレクトリックジャズ”!

 チック・コリアの“待望の新企画”『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』の聴き所は,巷で語られているような,チック・コリアジョン・マクラフリンの40年振りの共演だとか,思い出の【IN A SILENT WAY〜IT’S ABOUT THAT TIME】とか,ハービー・ハンコックの飛び入りなどではない。

 『ファイヴ・ピース・バンド・ライヴ』のハイライトは“コマーシャリズムを越えた”エレクトリックジャズ”!
 チック・コリアジョン・マクラフリンが,ケニー・ギャレット在籍時のマイルス・バンドにサイドメンとして40年振りに参加した「ファイヴ・ピース・バンド」が最高にクリエイティブ!

  DISC 1
  01. RAJU
  02. THE DISGUISE
  03. NEW BLUES, OLD BRUISE
  04. HYMN TO ANDROMEDA

  DISC 2
  01. DR. JACKLE
  02. SENOR C.S.
  03. IN A SILENT WAY〜IT'S ABOUT THAT TIME
  04. SOMEDAY MY PRINCE WILL COME

(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2009年発売/UCCJ-3021/2)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/チック・コリア,ジョン・マクラフリン,工藤由美)

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アーチー・シェップ・カルテット / ブルー・バラード4

BLUE BALLADS-1 ジョン・コルトレーンジョン・コルトレーンフリーテナーの2大直系である,ファラオ・サンダースアーチー・シェップ

 個人的な愛聴盤は,意外と思われがちなのだが,ジョン・コルトレーンが『バラード』。ファラオ・サンダースが『愛のバラード』。
 だったらアーチー・シェップバラードもいけるだろう,で購入したのが『BLUE BALLADS』(以下『ブルー・バラード』)。

 そう。脳ミソ破壊系のフリージャズは,日常生活では流れてはいけない。ここぞ!という時に流すべきなのが“フリージャズの奥義”なのである。

 とは言え,日常生活で“甘すぎる”バラードもいけない。バラードを聴くなら,超ハードボイルドなやからたちの“中和された”バラードに限る。ジョン・コルトレーンジョン・コルトレーンの2大直系,ファラオ・サンダースアーチー・シェップバラードに限る。

 重く荒々しい音はそのままにして,かつての前衛的な演奏とは異質なソフィスティケイトされた演奏に心惹かれてしまうのだ。なんてね〜。分かったふりしてごめんなさ〜い( 実はファラオ・サンダースアーチー・シェップもGETしたのは5年前〜。でも聴き込みましたので〜 )。

 アーチー・シェップの『ブルー・バラード』は,絶賛するほどまでは良くない。アーチー・シェップバラードなら『ブルー・バラード』の続編である『トゥルー・バラード』が一段上である。

 その理由とは『ブルー・バラード』でのボーカルが邪魔に聞こえるからだ。アーチー・シェップなら,口で歌わずとも,テナーサックスで歌えるはずなのに…。ヴォーカル以上にテナーサックスの“声質”の方が「しゃがれ」ているのに…。

BLUE BALLADS-2 黒人としてのこだわりや「怨念の塊り」がテナーから“吹きこぼれてくる”濃厚なフレーズとマウスピースからの“ブレス漏れ”がする,辛口のダーティートーンでスピリチュアルな重みを与えるフレージングに,流石はアーチー・シェップを実感する。

 『ブルー・バラード』は「ブルース・バラード」とでも呼ぶべき「退廃的な匂い」が充満するバラード・アルバム。わざとルーズに吹いてみたり息を漏らしたりして,ブルージーな音の枯らし方に何とも言えぬ“味わい”がある。
 時折,乱暴なトーンでアウトし,ダーティなフリーキー・トーンでうめいている。深く重く渋いテナーの音色がザラついている。

 そう。『ブルー・バラード』は,ジョン・コルトレーンの面影を残し,フリージャズの面影を残した,どこからどう聴いても“アーチー・シェップバラード”ど真ん中。これでボーカルがなければ愛聴盤になったのに…。

  01. Little Girl Blue
  02. More Than You Know
  03. Blue In Green
  04. Blue And Sentimental
  05. Cry Me A River
  06. If I Should Lose You
  07. Alone Together

(ヴィーナス/VENUS 1996年発売/VHCD-4105)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/今井正弘)

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スイングジャーナル読者が選ぶジャズ名盤ベスト100-20

 スイングジャーナル誌2001年1月号で実施された読者アンケート企画「21世紀に残したい読者が選ぶ名盤ベスト100」のスーパーカウントダウン。それが「スイングジャーナル読者が選ぶジャズ名盤ベスト100」。
 今回は1〜5位の発表です。

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バードランドの夜 完全版★5.バードランドの夜 VOL.1 VOL.2
アート・ブレイキー


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アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション+1★4.アート・ペッパー・ミーツ・ザ・
リズム・セクション
アート・ペッパー


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サキソフォン・コロッサス★3.サキソフォン・コロッサス
ソニー・ロリンズ


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カインド・オブ・ブルー+1★2.カインド・オブ・ブルー
マイルス・デイビス



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ワルツ・フォー・デビイ+4★1.ワルツ・フォー・デビイ
ビル・エヴァンス


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 ついに栄光のTOP5の大発表! ビル・エヴァンスマイルス・デイビスソニー・ロリンズアート・ペッパーアート・ブレイキーの超名盤。もはやどれが1位を取ってもおかしくありません。

 でもでもやっぱりジャズ・ファンは『ワルツ・フォー・デビイ』が好き。ビル・エヴァンスが弾く【ワルツ・フォー・デビイ】が好き。数多くのカヴァーが発売されてきたが,ビル・エヴァンス級で印象に残るのはチック・コリア木住野佳子の【ワルツ・フォー・デビイ】ぐらいなものである。管理人は今の今でもビル・エヴァンスが弾く『ワルツ・フォー・デビイ』に“恋焦がれて”しまっている。

 事実,管理人が『ワルツ・フォー・デビイ』を都合4回も買い換えてしまった。その購入動機はプレゼント用もあったのだが,高音質盤が出たとなると,どうしてもあの感動をもっと深く味わいたくなる!

 やっぱりジャズ・ファンにとっては,ビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビイ』であって【マイ・フーリッシュ・ハート】〜【ワルツ・フォー・デビイ】へと流れる瞬間の美しさ!
 分かっている。それでも「うっとり」してしまう。だ・か・ら「スイングジャーナル読者が選ぶジャズ名盤」の第1位!

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