アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2015年10月

チャールス・ミンガス / ミンガス・アー・アム5

MINGUS AH UM-1 『MINGUS AH UM』(以下『ミンガス・アー・アム』)を聴いていると,チャールス・ミンガスの“人間”を意識せずにはいられなくなる。

 『ミンガス・アー・アム』でチャールス・ミンガスがやったことは,ジャズという音楽を武器にしたプロパガンダであった。
 ど真ん中である,アーカンソー州の白人と黒人の共学事件で白人の偏見を支持した【フォーバス知事の寓話】を筆頭に,音楽から少し離れた所で,白人至上主義に対するチャールス・ミンガスの怒りとユーモアと風刺が痛いくらいに散りばめられている。

 管理人は長いことチャールス・ミンガスのプロパガンダが嫌いであった。多分に“聴かず嫌いな”側面もあったが,純粋に音楽は音楽のままであってほしいし,何より『ミンガス・アー・アム』はロマンティックで美しい名曲揃い。そんな美メロとセットですり込んでくる「サブリミナル効果」が嫌いだった。邪魔なだけであった。

 しか〜し,ある時点から『ミンガス・アー・アム』の「サブリミナル効果」が効いてきた。『ミンガス・アー・アム』の第1のテーマがプロパガンダであるならば,裏テーマは“チャールス・ミンガス流のデューク・エリントン”!
 ミンガス・ミュージックの底流に流れている“プレゼンツ・エリントン”がじわじわと効いてきたのだった。

 敬愛するデューク・エリントンへの「公開状」である【オープン・レター・トゥ・デューク】だけではなく【ジェリー・ロール】にしてもモロそうなのだが,レスター・ヤングへ捧げた“永遠の名曲”【グッドバイ・ポーク・パイ・ハット】を聴いていても『ミンガス・アー・アム』が流れると,いつでも頭のどこかにデューク・エリントンの顔が浮かび上がってくる感じ。

 『ミンガス・アー・アム』のフロント陣は,トロンボーンジミー・ネッパーアルトサックスクラリネットジョン・ハンディアルトサックステナーサックスシャフィ・ハディテナーサックスブッカー・アーウィンの4人の“B級”ブラス隊にも関わらず,ホーンの重ね具合が絶妙であって,ビッグ・バンド級の“濁り”と“厚み”のアンサンブルは,まるでデューク・エリントンオーケストレーション

MINGUS AH UM-2 そう。『ミンガス・アー・アム』でチャールス・ミンガスが真に表現したかったのは,デューク・エリントンビッグ・バンドのスモール・コンボにおける再現性の1点に尽きると思う。

 白人であったテオ・マセロジミー・ネッパーを“いいように使いながら”憧れのデューク・エリントンを模倣している。
 白人が嫌いで,黒人に対する人種差別に反対しながらも,チャールス・ミンガス自身は2度の結婚相手ともに白人美女にこだわり抜いた「差別する側」に身を置く,エゲツない“ジャズ・ジャイアント”であった。

 だから!なのか,でも?なのか『ミンガス・アー・アム』が年々好きになっていく。頭ではこれ以上好きになってはいけない「禁断の愛」であることぐらい分かっているのに『ミンガス・プレゼンツ・エリントン』好きが止まらない。どうしよう…。

  01. Better Git It in Your Soul
  02. Goodbye Pork Pie Hat
  03. Boogie Stop Shuffle
  04. Self-Portrait in Three Colors
  05. Open Letter to Duke
  06. Bird Calls
  07. Fables of Faubus
  08. Pussy Cat Dues
  09. Jelly Roll

(CBSソニー/CBS SONY 1959年発売/SICP 726)
(ライナーノーツ/斉木克己)

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フォー・オブ・ア・カインド / FOUR OF A KIND4

FOUR OF A KIND-1 管理人が「フォー・オブ・ア・カインド」について知ったのは,CDショップの店頭で,デビューCDFOUR OF A KIND』を偶然見かけた瞬間に始まる。

 CDジャケットの左から,憧れの顔ぶれが4人並んでいるではないかっ! ベース青木智仁ピアノ塩谷哲サックス本田雅人ドラム沼澤尚が横一列で並んでいる画に,ギョットした! ウォーっと叫びそうになってしまった! これはJ−FUSIONを震撼させた一大事であったのだ。

 だ〜って,音楽誌「ADLIB」での読者人気投票1位の常連メンバー4人で結成されたドリーム・チーム。この黄金メンバーが4人で音を重ねたのだから,何をやっても,どう転んでも間違いない。
 事実『FOUR OF A KIND』は「粒立つ」4人の音と4人のメロディーが有機的に絡み合った,4人が4人とも「主役のまんま」な「コンテンポラリー・ジャズ・ユニット」なのである。

FOUR OF A KIND-2 ズバリ「フォー・オブ・ア・カインド」の存在意義は,主役の4人が“自由にセッションを行なうための場”にある。
 その場その場の雰囲気で,その曲にあったアンサンブルを合わせていく。頂点に君臨する4人の個性と個性がぶつかり合い見事なまでの相乗効果を生んでいる。時にはリラックスしたムードの中にもせめぎ合うスリリングな技の応酬が飛び出している。

 ハードなインプロビゼーションをソフトなメロディーで調和している。この辺りのテクニックが超一流であって,青木智仁塩谷哲本田雅人沼澤尚のスーパー・プレイを一心に追いかけることができる。

FOUR OF A KIND-3 当然のことだが『FOUR OF A KIND』における,青木智仁塩谷哲本田雅人沼澤尚の4人の音楽世界は,各人のソロ・アルバムを超えることはない。
 ゆえに,本田雅人ソロを聴きたいのであれば「フォー・オブ・ア・カインド」ではなく,本田雅人ソロ・アルバムを聴くべきである。

 しかし「フォー・オブ・ア・カインド」で聴こえる本田雅人の“オレ様”は,本田雅人ソロ・アルバムとは別の“オレ様”がある。
 事前に当然のように用意された,みんなから与えられたソロ,ネームバリューで与えられたソロではなく,自分の腕一本で勝ち取った誇り高いソロが鳴っている。

 「フォー・オブ・ア・カインド」は,過去最高レベルの刺激を受けて,過去最高レベルで爆発してみせる,青木智仁塩谷哲本田雅人沼澤尚のスーパー・プレイを楽しむためのフォーマット。
 「フォー・オブ・ア・カインド」は,バンド&バンド,していない。

FOUR OF A KIND-4 だからそうなのか,関連性については何とも言えないが,オリジナル曲よりもカヴァー曲がいいなんて,過去の本田バンドにもSALTバンドにもなかった。
 本田雅人塩谷哲の全アルバムを聴き続けてきて,初めて「リスナーおいてけぼり」な雰囲気を感じた。

 でもいいんです。本田さんが,ソルトが,思いっきり演奏を楽しんでいます。→ 正直『FOUR OF A KIND』は,お蔵状態で〜す。

  01. Fast Track
  02. Alamode
  03. What's Going on
  04. Short Cut
  05. Faraway
  06. Jolly Big Feet
  07. Wind and Leaf
  08. Steamy City
  09. Egret

(ビクター/JVC 2002年発売/VICJ-60886)
(☆スリップ・ケース仕様)

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チャールス・ミンガス / 直立猿人5

PITHECANTHROPUS ERECTUS-1 『PITHECANTHROPUS ERECTUS』(以下『直立猿人』)は,チャールス・ミンガスの「ショーケース」である。
 『直立猿人』を繰り返し聴けば,チャールス・ミンガスの「類まれなる音楽性」,すなわち作曲家として,編曲家として,ベーシストとして,バンド・リーダーとしてのチャールス・ミンガスの“全貌”が聴こえてくる。

 チャールス・ミンガスの“頭の中で鳴り響くイメージ”が最高レベルで具現化された“大傑作”が『直立猿人』である。凝りに凝りまくったアルバムが多いチャールス・ミンガス名盤群において,割と「ミンガス・ミュージックの音構造」を掴みやすいのが『直立猿人』なのである。 

 そう。ジャズ・ジャーナリズムが,こぞって『直立猿人』をチャールス・ミンガスの代表作としているが,管理人もそのことに同意する。
 というか『直立猿人』は,モダン・ジャズ史を語る上で絶対に外すことのできない名盤の1枚なのである。

 これは『直立猿人』だけでなく,チャールス・ミンガスのアルバム全てに共通して言えることであるが,チャールス・ミンガスには,レコーディング前に「今回はこういうアルバムを作りたい」という「明確なビジョン」が出来上っているように思う。
 そしてチャールス・ミンガスのコンボである「ジャズ・ワークショップ」のメンバーはチャールス・ミンガスの「頭の中の明確なビジョン」を具現化するために,自分に出来る限りの演奏をもって「表現」する。

 よって出来上がった音楽は非常に視覚的であり立体的である。チャールス・ミンガスギターのリフのようなベース・ラインを“なぞる”形で,創造性豊かなリズミックなホーンがシンクロするハーモニーが破壊力抜群である。
 『直立猿人』 → 映画「猿の惑星」 → TV「猿の軍団」?

 ピテカントロプスの「進化〜優越〜衰退〜滅亡」の4部構成とされる【直立猿人】は,チャールス・ミンガスの説明によると,白人文明の危機や白人対黒人の対立を寓意しているというが,管理人がこの曲を初めて聴いた時,そんな背景や前提を一切知らず,ただ鳴っている音を聴いて凄まじい衝撃を受けた。野太く響くベースが“吠えている”。

 ただし,このチャールス・ミンガス流の「デモ行進」は,理路整然と行進していく。警察に注意されればそれに従う,絶対に逮捕されない「デモ行進」。安心して音楽理論の上に乗って,音楽の不良をキメテいる。

PITHECANTHROPUS ERECTUS-2 重低音のド迫力でジャズ・マニアを圧倒するチャールス・ミンガスの「ジャズ・ワークショップ」は,常にショーアップされた「前衛」である。ギリギリを攻めているが絶対に破綻しない安定感がある。
 そう。全てがチャールス・ミンガスの計算通りに録音された「監督&主演」チャールス・ミンガス流“怒りのロックンロール”の出世作である。

 繰り返し聴き込み,一旦『直立猿人』の全4曲が見えてくると,こんなにも安心して“大暴れ”を楽しめるアルバムはない。「水戸黄門」を楽しむが如く,プロレスを楽しむが如く…。

 『直立猿人』を聴いていると,頭の半分はリラックス&頭の半分は感覚が研ぎ澄まされていく。静かにそして熱く脳全体が活性化する。とめどなく続く快楽の波に身が震えてしまう。
 「ミンガス・ミュージック」の真髄である“痛快な快感ジャズ”は『直立猿人』の時点ですでに完成されている。『直立猿人』は,チャールス・ミンガスの「ショーケース」なのである。

  01. PITHECANTHROPUS ERECTUS
  02. A FOGGY DAY
  03. PROFILE OF JACKIE
  04. LOVE CHANT

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1956年発売/WPCR-25143)
(ライナーノーツ/悠雅彦)
(紙ジャケット仕様)

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チック・コリア / ポートレイト5

SOLO PIANO:PORTRAITS-1 『SOLO PIANO:PORTRAITS』(以下『ポートレイト』)は,チック・コリアのユニークな性格そのもののソロ・ピアノで描かれた『ポートレイト』=「音楽の肖像画」で間違いない。

 ジャズスタンダード,クラシック,チック・コリアのオリジナルを,チック・コリアの“らしさ溢れる”ピアノで演奏する。
 こんなにも多岐に渡った演目集なのに,どこをどう切り取っても『THIS IS CHICK COREA』な「ソロ・ピアノの決定盤」の大登場である。

 チック・コリアが,演奏前にこれから弾く音楽についてコメントする。そしてその語たったところの真意をピアノで実演する流れ。
 チック・コリアのコメント内容はライナーノーツの対訳を読んで確認するしかないのだが,何となく演奏を聴けば語らんとしていることは伝わってくるように思う。
 言葉では伝えきれないニュアンスを,ピアノ1台で表現していく。今更ながら,チック・コリアって“凄すぎる”ミュージシャンである。

 その意味で『ポートレイト』は,チック・コリアが自分自身のルーツを探る,偉大なる挑戦,のように思う。
 「DISC 1」はジャズ・サイドで「DISC 2」はクラシック・サイドに編集されているのだが,この2枚を聴き通して初めて浮かび上がる“チック・コリアの肖像画”の何とも偉大な音楽家然!

 こんなにもスケール大きな音楽を創造してきた事実を目の当たりにして『ポートレイト』こそが,チック・コリアの“ソロ・ピアノの集大成”と位置付ける。
 やはりソロ・ピアノというフォーマットは,そのピアニストの本質を炙り出すに最適なフォーマットであった。チック・コリアソロ・ピアノを聴くと,そのどれもがアーティスティックであり,冒険的であり,温かく,限りないロマンを秘めている。
 そう。『ポートレイト』には,メロディにしてもリズムにしても音の強弱にしても,チック・コリアの音選びのセンス全てが見事に投影されていると強く思う。

 特に観客をモデルに即興演奏された,ラスト10トラックの「音楽の肖像画」は,その場の雰囲気や空気感でガラッと音楽性が変わる“カメレオン”チック・コリアの面目躍如。
 その人の名前や服装からその人の人生をイメージして,ただ感じるがままに音で探りを入れていただけだったのに,中盤からアイディアがどんどん湧き出し,最後には見事にテーマと合体してカチッとまとめ上げてしまうのが紛れもない“天才”の証し。

 延々と自分1人で弾き倒すのではなく,その土地の風景やその土地の観客を楽曲作りのモチーフとする即興演奏スタイル。あれっ,これってもしかして…。

SOLO PIANO:PORTRAITS-2 管理人の結論。『ポートレイト批評

 『ポートレイト』でチック・コリアが語ったのは,ビル・エヴァンススティーヴィー・ワンダーセロニアス・モンクバド・パウエルパコ・デ・ルシアアレクサンドル・スクリャービンバルトーク・ベーラであるが,本当にチック・コリアが語りたかったのは「ソロ・ピアノの代名詞」キース・ジャレットの“天才”についてだったのかも…。

 チック・コリアの心の中にはいつだって「マルチな活動への憧れ」であるマイルス・デイビスと「一芸を極めた憧れ」であるキース・ジャレットが存在している。それこそが純粋な“チック・コリアの肖像画”=『ポートレイト』なのだと思う。

  DISC 1
  01. Chick Talks: About Solo Piano
  02. Improv #1 / How Deep Is The Ocean?
  03. Chick Talks: About Bill Evans
  04. Waltz For Debby
  05. Chick Talks: About Stevie Wonder
  06. Pastime Paradise
  07. Chick Talks: About Thelonious Monk
  08. 'Round Midnight
  09. Pannonica
  10. Blue Monk
  11. Chick Talks: About Bud Powell
  12. Dusk In Sandi
  13. Oblivion
  14. Chick Talks: About Paco De Lucia
  15. The Yellow Nimbus

  DISC 2
  01. Chick Talks: About Scriabin
  02. Prelude #2 (Op.11)
  03. Prelude #4 (Op.11)
  04. Chick Talks: About Bartok
  05. Bagatelle #1
  06. Bagatelle #2
  07. Bagatelle #3
  08. Bagatelle #4
  09. Chick Talks: About The Children's Songs
  10. Children's Song #1
  11. Children's Song #2
  12. Children's Song #3
  13. Children's Song #4
  14. Children's Song #5
  15. Children's Song #9
  16. Children's Song #10
  17. Children's Song #11
  18. Children's Song #12
  19. Chick Talks: About Portraits
  20. Portraits #1 - Krakow
  21. Portraits #2 - Krakow
  22. Portraits #1 - Casablanca
  23. Portraits #2 - Casablanca
  24. Portraits #1 - Easton, Maryland
  25. Portraits #2 - Easton, Maryland
  26. Portraits #3 - Easton, Maryland
  27. Portraits #4 - Easton, Maryland
  28. Portraits #1 - Vilnius
  29. Portraits #2 - Vilnius

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2014年発売/UCCO-1143/4)
(☆SHM−CD仕様)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/チック・コリア,岡崎正通)

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DIMENSION / 284

28-1 『28』は,何度聴いてもピンと来ない困ったちゃん。でも心配などしていない。なぜなら『26』も『27』も,一聴した際は同じようなものだった。『28』もそのうち耳に馴染んでくるだろう。

 あれから1週間。まだ『28』は,ピンと来ていない。最大の欠陥はサビの無さ。惹きつけられるメロディーが弱い。どうしてだろう? そう自問するDIMENSION・マニアとしての1週間の日々。
 考えられるのは増崎孝司小野塚晃勝田一樹ソロ活動の“弊害”ぐらいである。まぁ,的外れな愚痴だと思って暫しお付き合いを。

 DIMENSIONのメンバー3人は,元来がスタジオ・ミュージシャンであるがゆえ,DIMENSION以外の活動もルーティン・ワーク。
 ここで管理人が言いたいソロ活動とは,ソロ・アルバムの制作に限定させていただく。

 増崎孝司は,同じギター船山基紀と組んだ双頭ユニット「MOTO & MASU」名義で,2014年に『MOTO & MASU』を,2015年に『TE QUIERO』の2枚をアルバム・リリース。
 小野塚晃は,2015年に5年振りのソロ・アルバム『KANTO〜大空へ〜』をリリース。
 勝田一樹は,2014年に自身初のソロ・アルバム『KAZUKI KATSUTA』をリリース。

 毎年,DIMENSIONの新作をリリースするだけでも骨の折れることなのに。大作『27』の前後に別のオリジナル・レコーディングを行なっているという事実。
 管理人より年上の増崎孝司小野塚晃勝田一樹なのだから,運動後の筋肉痛は翌日ではなく3日後に来ているはず? そうであればソロ・アルバムの“疲労”は『27』ではなく『28』で発症する。だから『28』では全力疾走できていない。ねっ,名(迷)推理でしょう?

 悪くなどはない。ただキャッチーでポップな楽曲がないな,というのが『28』から受ける印象である。
 超絶技巧系もパットせず,イケイケのアゲアゲ・ナンバーもなく,大バラードもない『28』。

 メンバー全員が充実のソロ活動に精を出し,ソロ活動では敢えてDIMENSIONとは違ったことをやろうとしたのだから,DIMENSION本体での活動はパワー不足。
 正直,最近のDIMENSIONのアルバムは,驚きの幅が年々狭く感じられる。だんだんと「金太郎飴」状態というか「過去のあの曲と似ている感」に襲われてしまう。
 これを原点回帰というべきか,ベーシックな音造りというべきか…。

 でもいいんです。『MOTO & MASU』『TE QUIERO』『KANTO〜大空へ〜』『KAZUKI KATSUTA』が『28』をフォローしてくれているのですから…。

28-2 ここはズバット『28』は,いいアルバムだ,と胸を張って言い切ろう。
 これってきっと管理人の耳と脳の問題である。DIMENSIONが好きすぎて,過去のアルバムを現役で聴き続けている“弊害”である。なんだか過去の大傑作と,新作を無意識のうちに比べてしまう自分が嫌いになってしまった。反省〜。

 最後に傷心の管理人から読者の皆さんへのお願いです。『28』も,きっといいアルバムです。だからフラットな耳で『28』を聴いてみてください。
 『28』のLIVEを見て『29』が発売される頃には,管理人も『28』を大絶賛しているように思います。
 DIMENSIONは今でも「最新作が最高傑作」のはずです。→ 恐らくは“最高傑作”『28』をどうぞよろしくお願いいたします。

  01. Brightness Of The Morning Sun
  02. Seven Movements
  03. Somber Corners
  04. No Time This Time
  05. Other Side Of The Sky
  06. Precious
  07. Red Shoes
  08. Gotta Find A Way
  09. Hold On
  10. Nightfall In Savanna

(ザイン/ZAIN RECORDS 2015年発売/ZACL-9088)
(☆スリップ・ケース仕様)
(☆BLU−SPEC CD仕様)

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チック・コリア・トリオ / トリロジー5

TRILOGY-1 ピアノチック・コリアベースクリスチャン・マクブライドドラムブライアン・ブレイドによる,チック・コリアの何代目かの新ピアノ・トリオによるライブ盤『TRILOGY』(以下『トリロジー』)が真に素晴らしい。

 リスナーのすぐ目の前でチック・コリアクリスチャン・マクブライドブライアン・ブレイドのビッグネームの3人が“最高の音楽の会話”を交わしているかのような臨場感に圧倒されてしまう。

 「CD3枚組」の圧倒的ボリューム。そのほとんどが10分を超える長尺集。“最高の音楽の会話”が止まらないのだ。ジャズ界の最高峰に君臨する3人だからこそ,分かりあえる&語り合える“最高の音楽の会話”が詰まっている。
 だから「総収録時間3時間20分以上」とCD帯に謳われているにも関わらず,躍動感に溢れたタイトな演奏に引き込まれ,ふと聴き始めたが最後。一気に3時間20分の長丁場を完走してしまった。
 そう。『トリロジー』の真実とは,長時間聴いても聴き飽きないピアノ・トリオ。それどころかまだまだ聴きたくなる。

 ズバリ『トリロジー』の真実とは,自由に演ってもきれいにまとまり,濃密なインタープレイが想像以上にスイングする,もはや「未来永劫,チックのこのピアノ・トリオを超えることができるのか?」的な,ウルトラ・オーソドックス・ピアノ・トリオ

 ここまでジャズスタンダードが,刺激的でワクワクする“ピッカピカ仕様”に仕上がったのも,新チック・コリアトリオの“剛腕”あるのみ。
 演奏者の個性の組み合わせで「化学反応」してしまう,ジャズの醍醐味を再認識させられてしまった。音の粒立ちが尋常ではない。

 チック・コリアピアノは,切れ味だけではなく,深味も渋みも重量感も備わっている。チック・コリア久方ぶりの生ピアノによる快演が続いている。
 このチック・コリアの快演に瞬時に反応する“フレキシブルな”ベースドラムクリスチャン・マクブライドブライアン・ブレイドの“時代の最先端”を行くベースドラム名演が続く。

 チック・コリアの,伸びやかで,躍動感に富み,グルーヴィーで,歌心のあるテクニカルなベースが完璧。
 ブライアン・ブレイドドラムの音のダイナミクス! 小さい音は極限に小さく大きい音は耳ではなく,体に直接刺さるささるドラミングは,気合いの云々の問題ではなく,単純にドラムを響かせるスーパー・テクニシャンとしての本領発揮なのであろう。

 超が付くほど音楽的な反射神経が高いクリスチャン・マクブライドブライアン・ブレイドによるジャズ界最高峰のリズム隊は,チック・コリアピアノが「パーン」と跳ねたら,ベースドラムが「ポーン」と受ける“至極のインタープレイ”!

TRILOGY-2 さて『トリロジー』が,チック・コリア本人えり抜きのベスト・テイク集なのだからグラミー受賞は当然として,気になるのはこのツアーの没テイク。
 きっと没テイク集の『トリロジー 2』なるものが発売されたら『トリロジー 2』がその年のグラミー受賞最有力。『トリロジー 3』であってもノミネートまでは楽勝だと思う。

 そこでチック・コリア様への提言です。
 いっそのこと『COMPLETE TRILOGY LIVE』なるボックス・セットを制作されませんか? チック・コリア・ファンは皆,今から発売予定のない未発表音源集を待ち焦がれているのです!

  Disc 1
  01. You're My Everything
  02. Recorda Me
  03. The Song Is You
  04. Work
  05. My Foolish Heart
  06. Fingerprints
  07. Spain

  Disc 2
  01. This Is New
  02. Alice in Wonderland
  03. It Could Happen to You
  04. Blue Monk
  05. Armando's Rhumba
  06. Op.11, No.9
  07. How Deep Is the Ocean?

  Disc 3
  01. Homage
  02. Piano Sonata:The Moon
  03. Someday My Prince Will Come

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2013年発売/UCCJ-3031/3)
(☆SHM−CD仕様)
(CD3枚組)
(ライナーノーツ/チック・コリア,漆崎丈)

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渡辺 貞夫 / アイム・ウィズ・ユー5

I'M WITH YOU-1 『I’M WITH YOU』(以下『アイム・ウィズ・ユー』)を聴いて感じることは,みんなが渡辺貞夫のことを大好きだということだ。

 ステージの共演者だけではなく,裏方さんにしても,オーチャードホールに足を運んだ観客にしても『アイム・ウィズ・ユー』のレコーディングに関わった全員が渡辺貞夫を心の底から愛している。それ位に会場全体の温かい雰囲気がCDを通じて伝わってくる。感動である。

 この温かさの最たるものは,音のWARM。生身のブラスの音であるビッグバンドの存在である。
 『アイム・ウィズ・ユー』は,何と!渡辺貞夫60年のキャリアの中で初となるビッグバンドとの共演アルバム。なぜ今までなかったのか不思議なくらい。それ位に渡辺貞夫と総勢16人で構成されたビッグバンドが“しっくり”きている。

 主役である渡辺貞夫を「お膳立て」するのは当然の役回りである。ただし,ブラスの全員が渡辺貞夫の引立て役になろうとした結果ではない。そうではなく,渡辺貞夫との共演を自然と心から楽しんだ結果である。

 そう。メンバー全員が渡辺貞夫アルトサックスの大ファン。ゆえに渡辺貞夫アルトサックスの音色と被ることを避けているだけ。意識的というよりも本能的に身を引いただけである。
 だから,自分の演奏をしながら,自分の音以上に渡辺貞夫アルトサックスの音をよく聴いていると思える節がある。

I'M WITH YOU-2 村田陽一ボブ・ミンツァーラッセル・フェランテマイケル・ギブスの「ナベサダ・ファミリー」の手によるアレンジもよく練られている。
 最高の聴かせ所をわきまえ,かつグルーヴしている。渡辺貞夫アドリブにインスピレーションを与える“抜き差し”にうなってしまう。
 勝手知ったるナベサダの名曲群がオーケストレーションによって映える映える〜! 旧知のナベサダ・ワールドを82歳にして今また新しく表現している!

 『I’M WITH YOU』とは『I’M WITH SADAO』。渡辺貞夫ほど幸せなジャズメンもそうはいない。

  01. TOKYO DATING
  02. HIP WALK
  03. TREE TOPS
  04. EPISODE
  05. I'M WITH YOU
  06. EARLY SPRING
  07. EYE TOUCH
  08. WARM DAYS AHEAD
  09. AIRY
  10. TEMBEA
  11. NOT QUITE A SAMBA
  12. MY DEAR LIFE

(ビクター/JVC 2015年発売/VICJ-61736)
(ライナーノーツ/渡辺貞夫)

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チック・コリア / ザ・ヴィジル4

THE VIGIL-1 チック・コリアの新プロジェクトとして“鳴り物入りで”発売された「チック・コリア & ザ・ヴィジル」による『THE VIGIL』(以下『ザ・ヴィジル』)。

 確かに意欲的で挑戦的でチック・コリアフュージョンの王道で素晴らしいのだけれど,管理人としては手放しでは喜べなかった。
 期待値が高かったせいなのだろうが,新しい新しいと騒がれたところで,結局は『ザ・ヴィジル』にしても“過去のアイディアの焼き直し”としか受け取りようがなかった。

 昔はそこまで感じなかったが,近年のチック・コリアのリリース・ラッシュを追い続けていると,ふとした瞬間にブチ当たる「微妙な手直し」フィーリング。うーむ。それこそが“チック・コリアの個性”と言ってしまえばおしまいなのだろうが,事はそう単純ではない。

 思うにチック・コリアは,そのマルチな活動,振り幅,多作からしてマイルス・デイビスの後継者に一番近い存在に見えるのだが,基本的にチック・コリアは「イノベーター」ではない。言ってみれば「技術屋」である。改良は得意なのだが開発は苦手なタイプのジャズメンなのである。

 『ザ・ヴィジル』を聴いて,なぜこのようなことを書いているのかと言うと『ザ・ヴィジル』のハイライトは,正規のバンド・メンバーではない,ベーススタンリー・クラークサックスラヴィ・コルトレーンが参加した【PLEDGE FOR PEACE】だからである。
 そう。唯一のライブ録音でもある【PLEDGE FOR PEACE】1トラックに,残るスタジオ録音6トラックの名演が“破壊”されてしまったからだ。

 「チック・コリア & ザ・ヴィジル」のメンバーは「旬な若手のスター集団」! “御大”チック・コリアと「オリジン」に参加していたティム・ガーランドは別にして,ジョン・マクラフリンから“次代のジャコ・パストリアス”と称されたベースアドリアン・フェロー,“ライジング・サン”と称されたギターチャールス・アルトゥラ,“巨匠”ロイ・ヘインズの孫であるドラムマーカス・ギルモアの“天才”トリオのサウンドは真に新しい!
 新メンバーの“天才”について語ろうものなら『ザ・ヴィジル批評の紙面が足りない。それ位に素晴らしい演奏だというのに,たった1曲で披露したスタンリー・クラークラヴィ・コルトレーンソロで見事に吹き飛ばされてしまっている。

 この辺りをチック・コリアがどう意図したものかが分からない。本当はファンに真っ先に聴いてもらいたかったであろう,アドリアン・フェローチャールス・アルトゥラマーカス・ギルモアの“超絶技巧”が相対的に薄く感じられてしまう。アドリアン・フェローチャールス・アルトゥラマーカス・ギルモアが「名脇役」として輝いている。う〜む。

 ライナーノーツの中でチック・コリア自ら「チック・コリア & ザ・ヴィジル」のバンド・コンセプトについて「旧来の社会規範に挑戦する」と述べているのだから,余計に旧知のゲストをフィーチャーしてしまったバンド・コンセプトへの“揺らぎ”が音楽以上に気になって…。

 チック・コリア“待望の新機軸”の前評判を得た『ザ・ヴィジル』にして「過去現在」の名ブレンダー・に留まってしまったチック・コリアの体たらくぶりに,なぜの嵐?
 チック・コリアに,もう「未来」は期待できないのであろうか?

THE VIGIL-2 管理人の結論。『ザ・ヴィジル批評

 【PLEDGE FOR PEACE】抜きの『ザ・ヴィジル』は大変素晴らしい。「旬な若手のスター集団」に大いに触発されたチック・コリアキーボードが現代最先端!
 【PLEDGE FOR PEACE】入りの『ザ・ヴィジル』は大変悩ましい。フリージャズに打ちのめされるチック・コリアピアノが旧態依然!

 管理人からのどうでもいいヒントはマルチ・リード奏者のティム・ガーランド! 「リターン・トゥ・フォーエヴァー」にはジョー・ファレルがいた。「エレクトリック・バンド」にはエリック・マリエンサルがいた。「ザ・ヴィジル」はティム・ガーランドだ!

 管理人はチック・コリアに「チック・コリア & ザ・ヴィジル」の,特にアコースティック面での「バージョンアップ」を求めます。

  01. Galaxy 32 Star 4
  02. Planet Chia
  03. Portals to Forever
  04. Royalty
  05. Outside of Space
  06. Pledge for Peace
  07. Legacy

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2013年発売/UCCO-1135)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/チック・コリア,漆崎丈)

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松居 慶子 / コンポジションズ4

COMPOSITIONS-1 「スムーズ・ジャズ NO.1 アーティスト」松居慶子がアメリカで大ヒットした理由は,スムーズ・ジャズ専門ラジオ局でのパワープレイにあると言われている。
 アメリカとラジオ。カーステレオから流れる音楽と窓から流れる風景。ドライブにロックを大音量で流すのは今の時代に似合わない。現代アメリカの車社会に最も似合う音楽がスムーズ・ジャズ,そして松居慶子なのであろう。

 松居慶子ソロ・ピアノで綴るセルフ・カヴァーの『COMPOSITIONS』(以下『コンポジションズ』)は,単なる“癒し系”を越えた「音で作る映像作家」松居慶子の面目躍如な大ヒット・アルバム。

 セルフ・カヴァーソロ・ピアノで綴るコンセプトが大成功! そう。白と黒だけで描く墨絵のような『コンポジションズ』には,日本の“ワビサビ”のモチーフが取り入れられている。
 松居慶子が“俳句を詠んでいるがごとく”ピアノで美しいソロを自然な形で紡ぎだしている。日本人でも“とろけそう”になるのだから,アメリカ人にはかなり新鮮なアプローチに聴こえることと思う。

 白と黒の2色を濃淡だけで描き出す“ジャズ・ピアニスト松居慶子のタッチに引き込まれてしまう。控えめな左手の音色,メリハリのある右手のニュアンスの与え方が素晴らしい。
 そうして生み出されたピアノ1台による音空間のスペース。ゆっくりと流れるメロディー・ライン。松居慶子が「音楽は祈り」と語っている理由が伝わってくる“崇高な音楽スピリッツ”に感動してしまう。

 日本のカーステレオから流れ出るラジオ番組は,基本軽快なトーク番組ばかりになってしまった。『コンポジションズ』が流れることはまずないし,松居慶子がラジオから流れることがあってもトークのBGMとしてであろう。

 管理人は年に数回しか車を運転しないのだが,運転席に座る場合は『コンポジションズ』を1枚仕込んで出かけている。アメリカと日本の交通事情は同じではないだろうが『コンポジションズ』のソロ・ピアノが静かに流れ出すと,車窓から流れる景色が「アメリカン」するのだから暗示って恐い?

COMPOSITIONS-2 白と黒で描かれたピアノを聞きながら,日本の原風景を眺める幸福感。一人静かにエンジン音と『コンポジションズ』のソロ・ピアノに“浸る”喜び。

 ただし,やっぱり松居慶子ソロ・ピアノスムーズ・ジャズであって,ジャズともフュージョンとも異なっている。
 『コンポジションズ』をリスニング・ルームで聴くのはちょっと辛い。『コンポジションズ』は“カーステレオで最も輝くスムーズ・ジャズ”の名盤”である。

  01. White Castle
  02. Trees
  03. Mystic Dance
  04. Precious Time
  05. Crescent Night Dreams
  06. The Next Plateau
  07. Midnight Stone
  08. Beyond The Light
  09. Prism
  10. Forever, Forever

(プラネットジョイレコード/PLANET JOY RECORDS 2005年発売/PJCD-1020)
(HDCD仕様)
(ライナーノーツ/松居慶子)

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松居 慶子 / フルムーン・アンド・ザ・シュライン5

FULL MOON AND THE SHRINE-1 松居慶子こそがスムーズ・ジャズ界の「スーパースター」である。『FULL MOON AND THE SHRINE』(以下『フルムーン・アンド・ザ・シュライン』)を聴く度に,その完璧な出来栄えに唸らされてしまう。

 そう。『フルムーン・アンド・ザ・シュライン』こそが,松居慶子を代表する,そしてスムーズ・ジャズを代表する“大傑作”。
 ジャズでもフュージョンでもないスムーズ・ジャズに,さほど関心のなかった管理人がスムーズ・ジャズの魅力に一気に引き込まれるきっかけとなったのが『フルムーン・アンド・ザ・シュライン』である。いや〜,実に素晴らしい。

 『フルムーン・アンド・ザ・シュライン』が大好きなのは,前作『DEEP BLUE』までの「イージーリスニング路線」から方向転換し,一気にフュージョンに寄せてきた「メロディー重視でメリハリ調のバンド・アンサンブル」に完全にやられてしまった。
 そう。デレク・ナカモトの作るベーシック・トラックに生ドラムが加わって距離感が近くなる。そしてザ・リッピントンズポール・テイラーの艶やかなサックスが絡んでくる。いい。

 フュージョン・バンドのキーボード・プレイヤーとして参加している?松居慶子のリリカルな響きのピアノと,キラキラしたシンセサイザーの音のバランスが絶妙。スタイリッシュな曲想が天然水のように流れ,柔らかい青い光が心まで射し込んでくる。

FULL MOON AND THE SHRINE-2 松居慶子ピアノを聴いていると,音像だけではなく映像のイメージが同時に湧き上がってくる。PVとか映画のサウンドトラックが流れているかのように感じてしまう。← ここまですり込まれてしまったのはCD−EXTRAの「特典映像」を繰り返し見たせいなのかもしれません。

 『フルムーン・アンド・ザ・シュライン』からは,高度に洗練された美しいメロディーが連続して流れ出てくる。聴く者の生活を邪魔をせず,しかし聴く者の心に何かが引っ掛かるような感じで…。

 特にメロウな【TOWARD THE SUNRISE】【FOREVER,FOREVE】【MEADOW】【HOPE】の4連続が完璧すぎて“魂を抜かれてしまう”。
 美しすぎる松居慶子スムーズ・ジャズに降参である。ごめんなさい。もう許してください…。

  01. Night Hawk's Dream
  02. Steps In The Night
  03. Bonfire In The Piano
  04. Southern Crossings
  05. Legend Of The Trees
  06. Full Moon And The Shrine
  07. Spirit At The Corner
  08. Toward The Sunrise
  09. Forever, Forever
  10. Meadow
  11. Hope (New Version)
  12. Presence Of The Moon (Piano Solo)
  13. Hope (Piano Solo)

(プラネットジョイレコード/PLANET JOY RECORDS 2002年発売/PJCD-1007)
(CD−EXTRA仕様)
(ライナーノーツ/ロバート・タウロ,荒井正人)

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リターン・トゥ・フォーエヴァー / ザ・マザーシップ・リターンズ5

THE MOTHERSHIP RETURNS-1 『THE MOTHERSHIP RETURNS』(以下『ザ・マザーシップ・リターンズ』)について,どうしても語らなければならないのは『ザ・マザーシップ・リターンズ』は「RETURN TO FOREVER 」名義であるという1点に尽きる。

 2008年の前々作『RETURNS』でも,2010年の前作『FOREVER』でも口にしなかった,チック・コリアによる「RETURN TO FOREVER 」の始動を告げる再結成のアナウンス。それだけに『ザ・マザーシップ・リターンズ』のクオリティが相当に高い!

 チック・コリアのキャリアを語る上で外すことのできない,リターン・トゥ・フォーエヴァーとは,元々は曲名であり,そしてアルバムのタイトル名であり,後にバンド名そのものを意味するようになった。
 そう。リターン・トゥ・フォーエヴァーでの活動はチック・コリアにとって“未来永劫へと立ち戻る冒険の旅”なのである。
 後にチック・コリアは“母船”であるリターン・トゥ・フォーエヴァーから別の船へと乗り換えてソロ活動の冒険を続けてきたが,その成果を『THE MOTHERSHIP』に帰還して披露したのが,今回の『ザ・マザーシップ・リターンズ』であり「RETURN TO FOREVER 」なのだと思う。

 『ザ・マザーシップ・リターンズ』の音源は「RETURN TO FOREVER 」によるワールドツアーベスト・テイク集。その意味では『RETURNS』の続編でもある。
 そう。『THE MOTHERSHIP RETURNS』とは『THE MOTHERSHIP』+『RETURNS』!

 さて「第4期」リターン・トゥ・フォーエヴァーのメンバーは,ピアノキーボードチック・コリアベーススタンリー・クラークドラムレニー・ホワイトのレギュラー・メンバー3人と,ヴァイオリンジャン=リュック・ポンティギターフランク・ギャンバレの“手馴れの”新メンバー2人を加えた5人組。

 尤も,新メンバーのジャン=リュック・ポンティとは『RETURNS』で共演済。フランク・ギャンバレにいたっては「エレクトリック・バンド」のギタリストであって“相性チリバツ”。
 昔からリターン・トゥ・フォーエヴァーのメンバーであったかのように,リターン・トゥ・フォーエヴァーというバンドの音を理解し,自分のバンドでの役割をも理解した,実に見事な演奏である。

 特にジャン=リュック・ポンティエレクトリックヴァイオリンの響きが「第4期」の肝! エレクトリックヴァイオリンリターン・トゥ・フォーエヴァーのファンタジックなメロディー・ラインと“チリバツ”だし,エレクトリックだけではなくアコースティックも演奏する「第4期」のコンセプトとも“チリバツ”。

 そう。ジャン=リュック・ポンティエレクトリックヴァイオリンをフロントに据えた「RETURN TO FOREVER 」は,結成直後にして,すでに「第4期」としてのバンド・アンサンブルを鳴らしている。
 流石はチック・コリアが“久々に腰を据えて取り組んだ”レギュラー・バンド・アンサンブル。かつてのレパートリーに“新たな息吹が吹き込まれた”実に素晴らしい演奏である。

 上記の通り,超名門フュージョン・バンド=「RETURN TO FOREVER 」のバンド名を背負った『ザ・マザーシップ・リターンズ』が5つ星。2枚組のライブCDが最高に素晴らしい。
 しか〜し,管理人にとって『ザ・マザーシップ・リターンズ』の素晴らしさを語る時,星5つのCD以上に熱が入ってしまうのが,ボーナスDVDの存在である。DVDには“キッパリと”星6つを贈呈する。

THE MOTHERSHIP RETURNS-2 ズバリ,管理人にとって『ザ・マザーシップ・リターンズ批評とは,すなわち『ザ・マザーシップ・リターンズDVD批評のことである。
 『ザ・マザーシップ・リターンズ』の,つまりは「RETURN TO FOREVER 」の全貌を確認したいのなら,おまけのボーナスDVDを見逃してはならない。購入すべきは通常盤ではなく「【初回限定】DVD付き」の一択である。

 『ザ・マザーシップ・リターンズDVDには,モントルージャズフェスティバルにおける,エレクトリックの【AFTER THE COSMIC RAIN】とアコースティックの【THE ROMANTIC WARRIOR】の“雰囲気ある”パフォーマンス収録。
 長尺でメンバーのソロ廻しを堪能できるのだが,見所はチック・コリアの“圧巻の”キーボードである。即興でバッキングを付ける姿に「二度見」する。前に出ている時間もずっとメンバーとアイコンタクトをとっている。ほぼ鍵盤など見ていない。見ているのは他のメンバー全員の「表情の機微」である。だから名演なのです!

 ワールドツアーにおける演奏曲のエピソードを中心に語られる【INSIDE THE MUSIC】とドキュメンタリー・ムービーストーリーテラーである【THE STORY OF RETURN TO FOREVER】は「第1期」「第2期」「第3期」は勿論「第4期」に対する「考察のメイン・ディッシュ」となるに違いない。リターン・トゥ・フォーエヴァーのファンなら,涎を垂らす“お宝”映像が止まらない〜。

PS 実は管理人。『ザ・マザーシップ・リターンズ』のジャパンツアーを観たのですが,収録曲がCDライブでは異なっています。悔しいやら,得した気分やら〜!

  Disc 1
  01. Medieval Overture
  02. Senor Mouse
  03. Shadow of Lo/Sorceress
  04. Renaissance

  Disc 2
  01. After the Cosmic Rain
  02. The Romantic Warrior
  03. Concierto de Aranjuez/Spain
  04. School Days
  05. Beyond the Seventh Galaxy
  06. Dayride

  Disc 3 - Bonus DVD
  01. Inside the Music (Documentary)
  02. After the Cosmic Rain (Performance)
  03. The Romantic Warrior (Performance)
  04. The Story of Return to Forever (Sneak Peek Movie Trailer)

(ソニー/EAGLE RECORDS 2012年発売/VQCD-10305/6)
(ライナーノーツ/鮎沢裕之,チック・コリア,スタンリー・クラーク,レニー・ホワイト,ジャン=リュック・ポンティ,フランク・ギャンバレ,ロバート・トゥルージロ)
★【初回限定盤】 CD2枚組+DVD

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チャノ・ドミンゲス・トリオ / コン・アルマ4

CON ALMA-1 今や,スパニッシュジャズと来れば,必らず名前が挙がるであろうチャノ・ドミンゲスが「フラメンコとの融合」なしで作った「正統派」ピアノ・トリオの佳作が『CON ALMA』(以下『コン・アルマ』)である。

 『コン・アルマ』を一聴してチャノ・ドミンゲスのアルバムだと聴き分けるジャズ・マニアもそう多くはいないことだろう。
 ズバリ『コン・アルマ』におけるチャノ・ドミンゲスピアノは,時にはベースに,時にはドラムに“寄り添う”ピアノを弾いている。見事な「バランサー」としての役割を務め上げている。
 管理人は,実はそんな「バランサー」としてのチャノ・ドミンゲスのファンなのである。

 ズンズンと「底から突き上げてくる」ジョージ・ムラーツベースとバッサバッサと「ブラシではき上げる」ジェフ・バラードドラムに乗って,ゆったりとピアノに指を運ぶチャノ・ドミンゲスは“控え目”である。
 基本4ビートでアレンジも凝った仕掛けなどはない。にもかかわらず,要所要所で聴こえる有名スタンダードの独特なメロディー・ラインは,ジョージ・ムラーツでも,ジェフ・バラードでもなく,間違いなくチャノ・ドミンゲス流のハーモニーである。

 「ラテン系でアフロ・キューバン系でフラメンコ系」であるチャノ・ドミンゲスの個性的なフレージングを“隠し味”程度に鳴らしている。ジョージ・ムラーツベースジェフ・バラードドラムの“ツボを突いた”仕方で鳴らしている。
 いや〜,来る。じわじわと来る。『コン・アルマ』におけるハイセンスな音選びが“ジャズ・ピアニストチャノ・ドミンゲスの「類まれなる才能」を証ししている。

CON ALMA-2 スパニッシュジャズの魅力とはリズムとノリの良さだけに限られるわけではない。「キラリと光る明るいメロディー・ライン」もスパニッシュジャズの大きな魅力の一つである。

 前のめりではない,ゆったりとGROOVEし続けるスパニッシュジャズ。『コン・アルマ』は,椅子に腰かけて楽しめるスパニッシュジャズ・アルバムの佳作である。

  01. LA TARARA
  02. NO ME PLATIQUES MAS
  03. HOW ABOUT YOU?
  04. DOLPHIN DANCE
  05. CON ALMA
  06. EL TORO Y LA LUNA
  07. IT COULD HAPPEN TO YOU
  08. HULLO BOLINAS
  09. JURE
  10. SPEAK LOW
  11. DARN THAT DREAM

(ヴィーナス/VENUS 2004年発売/VHCD-4042)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/藤本史昭)

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