アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2016年05月

小野塚 晃 / レラ5

RERA-1 小野塚晃の2ndソロRERA』(以下『レラ』)を聴くと,小野塚晃DIMENSIONの“キーボード・プレイヤー”ではなく,DIMENSIONの“頭脳”と呼ばれる理由がよく分かる。

 『レラ』は基本,ピアノ小野塚晃ベース納浩一ドラム鶴谷智生による「3分の2が渡辺貞夫グループ」のアコースティックピアノ・トリオ編成。+ギター増崎孝司がゲスト参加した「4分の2がDIMENSION」編成。

 そこへ小野塚晃の「エレクトリックなエッセンス」が“ほんの一滴”散りばめられただけなのに,軽やかで爽やかで華やかな“キラキラ・サウンド”へと見事に昇華を果たしている。なんなんだ,この輝く透明感は〜!

 それこそがDIMENSIONの“頭脳”と呼ばれる,小野塚晃の秀でたトータル・バランスの才能であろう。
 アコースティックエレクトリックを一音で切り替え,それがピアノだとしても,シンセだとしても,ベースだとしても,パーカッションだろうと一音で調和させてしまう。
 小野塚晃が加えた“微量の一滴”が『レラ』を,実に心地良いライト感覚のジャズ・アルバムへと仕上げている。う〜む。このハイセンスな音造り。なんだか,上質な映画を見せられている気分になってしまう。

 そう。キャンプが趣味という小野塚晃らしく『レラ』を聴いていると旅先で出逢った風景が目に浮かぶような曲ばかり。大都会・東京もあれば,雄大な北海道を感じる。紅葉の渓谷もあれば,新緑の風景や鳥のさえずりまでもが聴こえてくる。淡い色で描かれた優しいタッチの「音の情景」である。

 小野塚晃の“天才”とは,ブラシを鍵盤に持ち替えた「画家」にある。大全紙いっぱいに細部まで書き込まれた1枚の音楽が素晴らしい。小野塚晃CD1枚分の「映像作家」なのであった。

 加えてアルバム・ジャケットの影響なのか,何と!新緑の香りを伴っている。香りだけではない。アルバム・タイトルの『レラ』とは,アイヌ語で“風”を意味する言葉だそうだが,何と!風までが吹き出している。アロマの香りで癒されたオーディオ・ルームに“そよ風”が吹き込んでくる。

RERA-2 ズバリ,小野塚晃の立体映像作品=『レラ』の真髄とは「音と映像と香りと風」の「4Dテクノロジー・ジャズ」。
 でもそれなのに,肌触りはアナログ一色。モノラルのリッチなミッドレンジ・スピーカが鳴っているかのようである。
 ドイツからレコーディングのために取り寄せたという,べヒシュタインの「優しく温かで艶やかな」ピアノの音色が華!

 DIMENSIONの「近未来フュージョン」は,時に聞く者の膨大なエネルギーを消費させてしまう。大好きなのだが聴き疲れてしまうこともある。そんな時こそ「一服の清涼剤」として『レラ』を「DIMENSIONディメンションの間に」挿み聴きすると丁度良い。

 『レラ』を聴いて,もっともっとDIMENSION! もっともっと小野塚晃! 小野塚晃の設計図を越えてつつも,音源の全てを小野塚晃の手に委ねてしまうDIMENSIONが大好きです!

  01. Rera
  02. Green Flash
  03. Owl's Eye
  04. High Grown Cafe
  05. Land Breeze
  06. High Wind
  07. Moon's Path
  08. Kakinokibata Street
  08. Gift from GOD

(ザイン/ZAIN RECORDS 2010年発売/ZACL-9045)

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デヴィッド・サンボーン / メロー・サンボーン4

SANBORN-1 “サンボーン・キッズ”だからこそ,全世界に向けて公言したい事柄がある。
 ズバリ,デヴィッド・サンボーンの事実上のファーストソロは『SANBORN』(以下『メロー・サンボーン』)である(英文原題も『SANBORN』なのだし,実はワーナー・ブラザーズもそのつもりだったりする?)。
 この「中年の主張」を,これからフュージョンを聴いてみよう,これからデヴィッド・サンボーンを聴いてみようと思う皆さんには,是非とも真剣に受け止めてほしいのだ。

 別に“公式”デビューCDである『テイキング・オフ』の出来が悪いわけではない。
 ただ純粋に『テイキング・オフ』を聴いて,あれがデヴィッド・サンボーンの音楽のルーツだと誤解してほしくはないだけ…。管理人の愛するデヴィッド・サンボーンを共に楽しんでほしいだけ…。

 こう力説してしまいたくなるくらいに『テイキング・オフ』と『メロー・サンボーン』の間には大きな隔たりがある。それこそ,デヴィッド・サンボーン「人形」と「生身」のデヴィッド・サンボーンぐらいの違いある。「雲泥の差」があるのだ。

 『テイキング・オフ』は「借りてきた猫」であった。つまりデヴィッド・サンボーン自身の意思など制作会議では通してもらえず,用意されたコンセプトの一部として機能するために,あの“サンボーン節”だけが詰め込まれていた感じ。
 それがどうだろう? 2ndである『メロー・サンボーン』からは「こうしたい」という“サンボーンらしさ”がビシビシと伝わってくる。

 そんなデヴィッド・サンボーンが「自分で仕切った」『メロー・サンボーン』は,やったね,デヴィッド・サンボーンのワン・ホーン編成。しかもサイドメンは旧知のセッション仲間で固められている。
 そう。『メロー・サンボーン』からは「楽器で歌いたい」「こう表現したい」というデヴィッド・サンボーン自身の言葉がアルトサックスから漏れ出している。

SANBORN-2 『メロー・サンボーン』の音楽の中身は「メロウ」などではない。ダイナミックで,ファンクネスで,パワフルで,ダンサブル!
 アップ・テンポでノリノリのアルトサックスが,白人ファンクでR&Bに跳ねまくる“サンボーン節”は流石である。

 これである。ストレートなブローで,ブラスの響きを煌めかせていた『テイキング・オフ』は「スタジオ・ミュージシャンのまんま」なデヴィッド・サンボーンであって,ソロ・アーティスト=デヴィッド・サンボーンのアルバムには非ず。
 まっ,泣きっぷりとか洗練度で言えば「まだまだ」ではありますが『メロー・サンボーン』で,ついに,ソロ・アーティスト=デヴィッド・サンボーンが世界デビュー

 非常にメリハリの効いた,いい意味でよくコントロールされたダンシング!こそが“泣きのブロー”完成以前のデヴィッド・サンボーンの“味”である。

  01. Indio
  02. Smile
  03. Mamacita
  04. Herbs
  05. Concrete Boogie
  06. I Do It For Your Love
  07. Sophisticated Squaw
  08. 7th Ave.

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1976年発売/WPCP-3548)
(ライナーノーツ/上田力)

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増尾 好秋 ウィズ・ヤン・ハマー / フィンガー・ダンシング4

FINGER DANCING-1 管理人にとって“増尾好秋”と来れば,連想するのはソニー・ロリンズであり渡辺貞夫であり『NEW YORK CONCERTO』での【アランフェス協奏曲】。まぁ,つまりは“ジャズ・ギターの人”である。

 エレクトリックギターを手にした増尾好秋が“ショルキー”チョーキング野郎のヤン・ハマーと共演した,ジャズ・ロック名盤FINGER DANCING』(以下『フィンガー・ダンシング』)を聴いても,増尾好秋に対する印象は変わらない。

 世評における『フィンガー・ダンシング』は,フュージョンとかロック寄りの文脈で語られることが多い。確かにヤン・ハマーだけを聴いているとそう思うだろう。
 なにせヤン・ハマーの歴代の相棒ギタリストは,マハヴィシュヌ・オーケストラジョン・マクラフリンであり,ワイアードジェフ・ベックであり,リターン・トゥ・フォーエヴァーアル・ディメオラであり,ジャーニーニール・ショーンなのだから…。

 しか〜し,そんな“ショルキー”チョーキング野郎とタイマンを張った増尾好秋が動じない。
 『フィンガー・ダンシング』での増尾好秋は,ヤン・ハマーがユニゾンを被せ気味に攻めてきても,加えて,これだけは書きたい!『フィンガー・ダンシング』の“影の主役”であるベースラッセル・ブレイクがどんなに熱く煽ろうとも,早弾きや凝ったフレーズ展開はあまりなく,いたってシンプルに音を鳴らしまくっていく。感じたままの音をただ本能的に垂れ流しているような感じで…。

 う〜む。凄い。この音の返しが凄い。数フレーズ前の音を掛け合せてのこの瞬間のこの一音が,やっぱりジャズしている。“ショルキー”チョーキング野郎の隣りで「間を取った」ジャズ・ギターを弾く勇気と自信。う〜む。本場で踏んできた場数の経験値の賜物なのであろう。

 そんな“悠然とJAZZYに構える”増尾好秋と“ロックの言語で対話する”ヤン・ハマーがハマリ役。流石にこちらも,名うての“ショルキー”チョーキング野郎なだけのことはある。
 ライブが進行するにつれ,徐々に増尾好秋を丸裸にして,増尾好秋が持つメロディアスなリフとフレーズを引き出しながら,ヤン・ハマーの土俵へと誘い込むことに成功している。

 そう。『フィンガー・ダンシング』の構図はこうだ。ヤン・ハマーが徐々に増尾好秋の回しを引き付け,ロックへ寄り切ろうとするのを必死にこらえて“うっちゃる”JAZZYな増尾好秋

FINGER DANCING-2 管理人はソロバトルの合間で流れる,増尾好秋ヤン・ハマーの互いに一歩も引かない目一杯なユニゾンを聴くといつでもニンマリしてしまう。

 互いに音を重ね合いながらも,ユニゾン終わりの予測不能の展開にドキドキハラハラしているのかな? 攻める側のヤン・ハマーが頭フル回転なのに,受ける側の増尾好秋は余力を残して楽しそうだなぁ。

 ただし,繰り返す。管理人が『フィンガー・ダンシング』を聴く目的は,増尾好秋ヤン・ハマーの熱きソロバトルに,後ろから絡んでいくベースラッセル・ブレイク

 ラッセル・ブレイクとしては,主役の増尾好秋ヤン・ハマーを喰うわけにはゆかない。ゆえにスマートでシンプルなインプロビゼーションを披露しているのだが,これが気持ちいいったらありゃしない。

 ズバリ『フィンガー・ダンシング』のハイライトは,増尾好秋ヤン・ハマーのガチンコ・バトルに刺激された,ラッセル・ブレイクのナチュラルすぎるビートとベースソロ
 ラッセル・ブレイクベースは,聴くのではなく感じ取るもの。縦ノリと横ノリの両方に安心して身を委ねてほしい。もの凄い,快感!

  01. WAITING NO MORE
  02. ALL RIGHT
  03. YOUNG FILLY
  04. LET US GO
  05. A LITTLE BIT MORE
  06. SUNSHINE AVENUE

(エレクトリック・バード/ELECTRIC BIRD 1981年発売/KICJ-2405)
(ライナーノーツ/川島重行)

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デヴィッド・サンボーン / テイキング・オフ4

TAKING OFF-1 管理人は趣味でアルトサックスを吹くのだが,気分はいつだって“サンボーン・キッズ”。
 そう。管理人のアイドルの1人がデヴィッド・サンボーンマーカス・ミラーとタッグを組んだ「絶頂期」を体感したフュージョン・マニアにとって,デヴィッド・サンボーンこそが「永遠のスーパー・ヒーロー」に違いない。

 そう思ったが最後,世の男性の常=デヴィッド・サンボーンの全演奏のコレクションへと突っ走る。管理人もCDや雑誌にデヴィッド・サンボーンの文字を目にするや,片っ端から聴き漁った青春時代が懐かしい。

 でも,結局のところ,デヴィッド・サンボーンを追いかけていくとマイケル・ブレッカーへと行き当たる。デヴィッド・サンボーンもいいんだけど,デヴィッド・サンボーンの隣りで猛然とプレイしているマイケル・ブレッカーへと自然と耳が向いていくんだよなぁ。
 同じアルトサックス・プレイヤーならケニー・ギャレットの方が断然上なわけで…。

 そ,そそそ,そうなんです。管理人は“サンボーン・キッズ”なのですが,初期のデヴィッド・サンボーンはスタジオ・ミュージシャンしているし,後期のデヴィッド・サンボーンは腑抜けなジャズをかじっているわで,現時点では大抵の興味を失っていまっています。

 こんなテンションでデヴィッド・サンボーン批評に取り組む管理人のモチベーションは,デヴィッド・サンボーンの新発見!
 これまで相当に聴いてきて,マーカス時代以外はマジで聴き飽きてしまって,すでに名盤&普通&駄盤の評価が定まっているアルバムを聴き直すのは苦痛の作業。
 ブログの記事を書くために数十年振りに聴き直す“サンボーン節”に新発見があるといいなぁ〜。

 そういう訳でデヴィッド・サンボーンファーストソロである『TAKING OFF』(以下『テイキング・オフ』)を10年以上振りに聴き直してみたが,特に語ることはない。

 “売れっ子”スタジオ・ミュージシャンとして,徐々に頭角を現わしてきた時期の演奏であって,それ以上でもそれ以下でもない。他人の曲を他人のアレンジで,カッコイイ感じに吹き鳴らして終わっている。サイドメンとして参加して,長めにソロをもらった感じ?
 全てのお膳立てが出来上がった状態で,舞台に上げられ,プロデューサー集団のオーダー通りにアルトサックスを吹き上げる。そんな“舞台俳優”のような印象を受けてしまう。

TAKING OFF-2 「借りてきた猫」。これが管理人の『テイキング・オフ』に対する評価である。アルバム自体はいい感じだと認めるのにヤブサカではないが,個人的にこのアルバムは好きではない。

 この時期のデヴィッド・サンボーンを聴くのなら『テイキング・オフ』ではなくて,サイドメンとして,ランディマイケルブレッカー兄弟と3人で組んだホーン・アンサンブルの独特な切れ味が数倍楽しい。

 『テイキング・オフ』はフュージョンと呼ぶよりもクロスオーヴァーとかAORとかの「耳当たりの良いアルトサックス」な音造りで,あの“泣きのブロー”は完成途上。ただし,あの“音色”はこの時点で完成されています。

 まぁいいんじゃない。管理人の最大のアイドル=キース・ジャレットファーストソロも同じようなものなんだし…。

  01. BUTTERFAT
  02. 'WAY 'CROSS GEORGIA
  03. DUCK ANKLES
  04. FUNKY BANANA
  05. THE WHISPERER
  06. IT TOOK A LONG TIME
  07. BLACK LIGHT
  08. BLUE NIGHT
  09. FLIGHT

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1975年発売/WPCP-3547)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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M's(マサちゃんズ)フィーチャリング 佐山 雅弘 / フローティン・タイム5

FLOATIN' TIME-1 ピアノ佐山雅弘ベース小井政都志ドラム大坂昌彦による佐山雅弘トリオ=通称“マサちゃんズ”。
 3人ともファーストネームに“マサ”がつくところからきた“マサちゃんズ”(マサちゃんズには,これまた略称があって“M’s”表記とはややこしい)であるが,ズージャなネーミング通りの“変則ピアノ・トリオ”は隠れ蓑である。

 マサちゃんズとは,ただ単純に佐山雅弘の内にふつふつと湧き上がる「小粋にジャズスタンダードを演奏したい」という欲求を満たす手段としてのピアノ・トリオである。
 表面ではふざけているように聴こえるのだが,その実,佐山雅弘アドリブがどこへ向かおうとも,ちゃんとリズムが先回りしてエンディングを待ち受けている。これぞ“ジャズの小品”の完成形だと一人唸らされてしまった。

 だから,どうせダジャレでふざけるのなら,キース・ジャレットスタンダーズトリオにかけて,マーズ・ジャレットトリオとかM’sジャレットトリオとか,スタンダーズを連想させる方が良かったと思う。

 マサちゃんズが演奏するスタンダードは,基本キース・ジャレットピアノ・トリオと同様にデフォルメされているのだが,ヘッド・アレンジ以降の展開は全てが即興的なのに,3人のインタープレイには「ここはこうでなければならない」という絶対の確信が演奏から滲み出ている。
 スタンダードへの美意識を突き詰めたピアノ・トリオにして,アクロバティックなのが佐山雅弘流なのであろう。

 マサちゃんズの結成10周年にしてデビュー作となった『FLOATIN’ TIME』(以下『フローティン・タイム』)の“静と動”の落差と言ったら…。
 そう。『フローティン・タイム』の真髄とは「徹底的に楽しく,徹底的に美しく,徹底的にリラックス」。これである。おじさんの魅力全開である。モノホンのオヤジ・ジャズは「ダサカッコいい」のである。

 【クレオパトラの夢】と【アントニーの叫び】が合体した【CLEOPATORA’S DREAM/ANTONY’S SCREAM】と【テイク・ファイヴ】と【A列車で行こう】が合体した【TAKE FIVE A−TRAINS】の見事なチェンジぶりの脱帽する。こんなの頭で分かってはいても拍が取れない〜。
 スネア一発&鍵盤一音で違和感なしに変速する無段階ギアの場面展開の構図が素晴らしい。

FLOATIN' TIME-2 今度はスタンダード・ど真ん中で,歌舞伎の演目のちょうどいいタイミング「ナリタヤッ!」や「ハリマヤッ!」の掛け声がかかるような(なんのこっちゃ。でもこう説明するのが似つかわしい)【JOY SPRING】【GIRL TALK】【SWINGIN’ ON A STAR】が粋だよね〜。聴いていてたまらない快感を感じてします。この演奏力にシビレてしまいます。はい。

 『フローティン・タイム』のハイライトは,上述の有名どころのツボにピタりハマッタ“粋なスタンダード”なのだが,この幕の合間に流された感じの“小品バラード”があればこそ。
 【FLOATIN’ TIME】【WHEN SUNNY GETS BLUE】【SETEMBRO(BRAZILLIAN WEDDING SONG)】を聴いていると,仕事なんかどうでもよくなってしまう恐ろしさを感じてしまう管理人…。

 ライナーノーツで,あの村上春樹氏も絶賛していますよっ。アルバム・ジャケットM’s”のロゴ・マークは和田誠氏の書下ろしですよっ。

  01. CLEOPATRA'S DREAM / ANTONY'S SCREAM
  02. FLOATIN' TIME
  03. JOY SPRING
  04. GIRL TALK
  05. IT'S ONLY A PAPER MOON
  06. FINE ROUGE
  07. DADDY BLUE
  08. TAKE FIVE A-TRAINS
  09. WHEN SUNNY GETS BLUE
  10. IT MIGHT AS WELL BE SPRING
  11. SETEMBRO
  12. SWINGIN' ON A STAR
  13. THE FIRST CRY

(ビクター/3 VIEWS 2002年発売/VICJ-60995)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/佐山雅弘,村上春樹)

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デヴィッド・ヘイゼルタイン・トリオ / セニョール・ブルース5

SENOR BLUES-1 デヴィッド・ヘイゼルタインの“秀才”については,巷のウワサで知っていた。しかし,管理人が『SENOR BLUES』(以下『セニョール・ブルース』)を手にしたのは,デヴィッド・ヘイゼルタインだったからではなくホレス・シルヴァーだったから!

 ズバリ,管理人が『セニョール・ブルース』を購入したのは,ホレス・シルヴァーの“売り”である管楽器のアンサンブルを,ピアノ一本で勝負したら,どうなるのか!

 極論を言えば,ピアノ・トリオによるホレス・シルヴァー作品集であれば,別にデヴィッド・ヘイゼルタインでなくても良かった。『セニョール・ブルース』のズラリと並べられた曲目を眺めたら,それが名もない新人のアルバムであったとしても聴いてみたいと思ったはずである。

 でも,今は違う。『セニョール・ブルース』のピアニストは,デヴィッド・ヘイゼルタインでなければならなかった。
 ホレス・シルヴァーの“FUNKY”そのまんまに“現代のグルーヴ”で疾走する痛快な演奏である。“本家”ホレス・シルヴァー以上に“FUNKY”を感じてしまった。

 デヴィッド・ヘイゼルタインによる『セニョール・ブルース』での“名解説”によって初めて,ホレス・シルヴァーの“FUNKY”を理解できた気分がした。
 これまで雰囲気で聴き続けてきたホレス・シルヴァーが,明晰な分析を経て,現代のジャズファンキーへと再構築されている。
 凄いぞ,デヴィッド・ヘイゼルタイン! バークリー音楽大学&ニューヨーク州立大学での音楽講師の経歴は伊達ではない!

 『セニョール・ブルース』でデヴィッド・ヘイゼルタインが注目した,ホレス・シルヴァーの一押し,とはリズムであろう。
 デヴィッド・ヘイゼルタインが,現代の>ホレス・シルヴァーを念頭に起用したのは,ベースピーター・ワシントンドラムルイス・ヘイズ。このリズム隊が最高に歌っている。

 メロディ・ラインはデヴィッド・ヘイゼルタインだけが弾いているものの,美味しいグルーヴ,核となる“FUNKY”はリズム隊がデヴィッド・ヘイゼルタインを“引っ張り上げている”。
 ノリノリのビートに親しみやすいテーマが乗っかってくる3段階のリズムに,思わず体がスイングし始める〜。これぞ,ホレス・シルヴァーが晩年に追求していた“洗練されたFUNKY”の醍醐味なのであろう。

SENOR BLUES-2 管理人はホレス・シルヴァー本人の演奏以上に,デヴィッド・ヘイゼルタイン・トリオの演奏を通じて,ホレス・シルヴァージャズファンキーに近づけた気がしている。

 管楽器なしで聴く,ホレス・シルヴァーのユニークなメロディ・ラインの面白さが“洗練された”リズムで流されると快感ものである。
 こんなに新鮮なアプローチが許されるのもジャズという音楽の特徴の一つである。管理人はデヴィッド・ヘイゼルタインの“リズム押し”を大いに楽しんだ。読者の皆さんにも楽しんでいただきたい。

 そうして最後に“泥臭いFUNKY”の常識を「軽快なリズム一発」で打ち破ったデヴィッド・ヘイゼルタインの仕事ぶりを讃えたい。

  01. The Back Beat
  02. Nica's Dream
  03. Peace
  04. Senor Blues
  05. Horace-Scope
  06. Silver Serenade
  07. Song For My Father
  08. Lonely Woman
  09. Sayonara Blues

(ヴィーナス/VENUS 2000年発売/VHCD-4014)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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木住野 佳子 / アンソロジー 〜20th アニヴァーサリー4

ANTHOLOGY 〜20TH ANNIVERSARY〜-1 やっぱり触れないわけにはいかないだろう。我が第4?の故郷を襲った熊本地震。管理人は2年間,熊本市民。熊本には友人がたくさんいる。
 物資の支援を2回行なった。メッセージカードも書いた。今日はブログを書こうと思う。

 なぜだろう…。自分の中で震災応援とくれば木住野佳子の『ふるさと −TRIBUTE TO JAPAN−』の印象が強い。
 そういうことで熊本応援ブログレビュー・ネタに選んだのは,木住野佳子の『ANTHOLOGY 〜20TH ANNIVERSARY〜』(以下『アンソロジー 〜20TH アニヴァーサリー』)。

 『アンソロジー 〜20TH アニヴァーサリー』とは木住野佳子デビュー20周年記念アルバム。その中身とは『FAIRY TALE』『PHOTOGRAPH』『RENDEZ−VOUS』『YOU ARE SO BEAUTIFUL』『TENDERNESS』のキャリア初期の5枚のアルバムから,ファン投票によって選ばれた楽曲のセルフ・カヴァー集。
 要は『PORTRAIT − YOSHIKO KISHINO BEST SELECTION』のリ・アレンジ再録集。

 『PORTRAIT − YOSHIKO KISHINO BEST SELECTION』は管理人の青春の1枚。
 だから『ふるさと −TRIBUTE TO JAPAN−』だけではなく,震災とは無関係の『アンソロジー 〜20TH アニヴァーサリー』にも,若かりし頃の活力を思い出しては郷愁を感じてしまうのかな?

 とにかく【DANNY BOY】【TENDERNESS】のいつ聴いてもグッと来る“鉄板”だけではなく『アンソロジー 〜20TH アニヴァーサリー』を聴いているだけで,無性に泣けてくる。そして聴き終えると希望の光がパッと心の中に射し込んでくる。元気が漲って来る。

 『アンソロジー 〜20TH アニヴァーサリー』の選曲は人気投票ゆえ,落選した名曲が多いのも仕方のないことだが,個人的には【PEACE PIECE】が入らなかったことだけが心残り。
 楽しみにしていた【MANHATTAN DAYLIGHT】【WALTZ FOR DEBBY】【JENGA】の激変に20年の時の重みを感じてしまう。

 その代わり「震災や,痛ましい事件,なくなってしまったもの,傷ついてしまったこと,様々なことに直面して,それでも前を向いて進めるように「祈り」を込めて演奏した曲です。皆さんの心にも,温かい祈りが届いたら嬉しいです」の言葉で紹介されいる,新曲【PRAYER】が素晴らしい。やったね,木住野さん,ホームラン!

ANTHOLOGY 〜20TH ANNIVERSARY〜-2 『アンソロジー 〜20TH アニヴァーサリー』における木住野佳子は,ジャズ・ピアニストというよりは“音楽家”である。
 キャッチーでメロディアスなオリジナルはポップ・ソングであるし,スタンダードのアレンジと演奏も唯一無二。内面の温かな人柄がピアノに乗って伝わってくる音楽。

 そう。管理人が木住野佳子を聴く時は,ジャズ・ピアノを聴こうと思ってではなく,木住野佳子を聴こうと思った時である。
 美人だし繊細なピアノ・タッチだし,最初はそう思って聴いていなかったが,いつの間にか,管理人にとって木住野佳子は“癒し系”になって・し・ま・い・ま・し・た。

 世間ではGWの10連休。九州新幹線も九州自動車道も開通した。しかし熊本や大分には,復興,復興と無責任に発言できない現状がある。東北もまだきっとそうなのだろう。
 落ち着いたら『ふるさと −TRIBUTE TO JAPAN−』と『アンソロジー 〜20TH アニヴァーサリー』を聴きながら熊本へ出向こうと思っている。

  01. Manhattan Daylight
  02. Fairy Tale
  03. Vera Cruz
  04. Waltz For Debby
  05. Desert Island
  06. Danny Boy
  07. Beautiful Love
  08. Tenderness
  09. Night And Day
  10. Jenga
  11. Prayer

(GRP/GRP 2015年発売/UCCJ-2128)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/木住野佳子)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1974年度(第8回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1974年度(第8回)の発表です。

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SOLO CONCERTS★【金賞】.ソロ・コンサート
キース・ジャレット


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孤軍★【銀賞】.孤軍
秋吉敏子〜ルー・タバキン・ビッグ・バンド


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Live in Japan★【ボーカル賞】.ライブ・イン・ジャパン
サラ・ボーン


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ソング・フォー・マイセルフ★【日本ジャズ賞】.ソング・フォー・マイセルフ
富樫雅彦


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THRUST★【録音賞(海外)】.スラスト(突撃)
ハービー・ハンコック


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ミスティ MISTY★【録音賞(国内)】.ミスティ
山本剛


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アフロ・ブルー★【特別企画賞】.アフロ・ブルー
ディー・ディー・ブリッジウォーター


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 後のソロ・ピアノの“芸術”を確立した“真打”キース・ジャレットの『ソロ・コンサート』が【金賞】!
 キース・ジャレットの『ソロ・コンサート』の功績とは,現代にまで途切れることなく有能なピアニストによるソロ・ピアノがリリースされ続けてきたことであろう。
 キース・ジャレットの『ソロ・コンサート』の功罪とは,1つの完成されたファーマットゆえに,後のソロ・ピアノの創造性が遅れる影響力を与えたことであろう。

 それくらい圧倒的な存在感。“芸術”である。キース・ジャレットの全ソロ・ピアノの中でも屈指の大名演である。
 こんな「長編小説」のような即興ってあったんだ!

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