アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2017年02月

国府 弘子 / ライト・アンド・カラー4

LIGHT AND COLOUR-1 国府弘子の弾くピアノは「ジャズか? フュージョンか?」と問われれば「国府弘子国府弘子。唯一無二の“国府ワールド”」と答えたい。
 それ位に正統派ジャズ・ピアニストの系譜から外れている。突然変異の如く登場してはガラパゴス化で独自路線の成長を続けている。

 ジャズメンたちとの交流も深いし,ストレート・ア・ヘッドな硬派なジャズを志向していることも分かる。
 しかし,どんなにシリアスな譜面であっても国府弘子ピアノを弾けば,一発でエンターテイーナーしてしまう。普段ジャズなんて聞かない,ジャズって難しいと思っている人に受け入れられてしまうのだから,たちが悪いったりゃありゃしない。

 「国府弘子ブラジル」がテーマの『LIGHT AND COLOUR』(以下『ライト・アンド・カラー』)の参加メンバーが凄い!
 アコースティックギターオスカー・カストロネヴィスエレクトリックギターポール・ジャクソンJR.シンセサイザードン・グルーシンエレクトリックピアノジルソン・ペランゼッタベースジャミル・ジョーンズエイブ・ラボリエルドラムテオ・リマアレックス・アクーニャサックスフルートピッコロゲイリー・ハービックパーカッションポーリーニョ・ダコスタヴァーカルイヴァン・リンストランペットジェリー・ヘイ etc
 リオデジャネイロ録音&LA録音にしてブラジルを代表するオールスターセッションである。

 仮に国府弘子が普通のジャズ・ピアニストであったなら,この超豪華メンバーの個性を活かして自分の楽曲を彩付けようとすることだろう。
 しかし『ライト・アンド・カラー』における国府弘子は,ブラジルの大物たちをアーバンジャズの「脇役」として参加させている。

LIGHT AND COLOUR-2 バブル末期の残り香として,本場ブラジルジャズメンが集結しているのに,南米特有の土臭いがないし,情熱的な感じもしない。
 『ライト・アンド・カラー』の雰囲気としては,ブラジルではなくアメリカど真ん中を感じさせる都会的でBGM的な「光と色彩に満ちた」“国府ワールド”の王国が広がっている。

 国府弘子の端正かつリラックスした雰囲気のピアノが『ライト・アンド・カラー』の多彩な楽曲を“春色に染め上げていく”。
 とにかく柔らかで暖かな光線が今の季節に心地良い。春のそよ風にも似た爽やかなサウンドが今の季節に心地良い。唯一無二の“国府ワールド”が心地良い。

  01. MOON ISLAND
  02. PEPINO BEACH
  03. PASSARADA
  04. MY ONLY LOVER
  05. SAMBA DO CAMARAO
  06. TIP-TOP FUNK
  07. THE MOMENT WE SHARE
  08. BLUE LULLABY
  09. BOSSA CALANGO
  10. EL HUMAHUAQUENO
  11. GONE...

(ビクター/JVC 1991年発売/VICJ-61)
(ライナーノーツ/中原仁)

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デューク・エリントン / デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン4

DUKE ELLINGTON & JOHN COLTRANE-1 『DUKE ELLINGTON & JOHN COLTRANE』(以下『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン』)。
 ジャズ史に残る,いいや,音楽史に残る“ジャズ・ジャイアント”の2人が自分の仲間を引き連れての大共演だというのに,なんでこうなるの!

 デューク・エリントンが目の前のジョン・コルトレーンを見ずに,デューク・エリントンが頭の中で思い浮かべる“理想の”ジョン・コルトレーンを見ながら演奏している。
 ジョン・コルトレーンが目の前のデューク・エリントンを見ずに,ジョン・コルトレーンが頭の中で思い浮かべる“理想の”デューク・エリントンを見ながら演奏している。
 そう。『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン』の真実とは,同録と言うより別録のアルバムなのである。もっと言えば現実ではなく仮想の録音なのである。

 デューク・エリントンジョン・コルトレーンが,同じ空間にして“すれ違った”最大要因は“嫌いは好きの反対”である。デューク・エリントンジョン・コルトレーンも互いを強烈に意識している。緊張感が伝わってくる。
 しかし互いに“腹の探り合い”で終わっている。思ったことを音楽の言葉で会話できていない。相手からのメッセージが聴こえてこないから,否応なしに自分から発信する。相手を意識しすぎるがゆえに本来の自分さえも見失っている。

 ズバリ,デューク・エリントンピアノにもジョン・コルトレーンサックスにもいつもの“らしさがない”。
 極論を語れば,2人の共演はプラスではなくマイナス。互いに互いの良さを殺してしまっている。なんでこうなるの!アゲイン!

 管理人は思う。デューク・エリントンジョン・コルトレーンも,自身の音楽の特徴としてハーモニーにとことんこだわってきたジャズメンである。
 デューク・エリントンは,自分の楽器はピアノではなくオーケストラ,と語るほど,ビッグバンドの構成楽器の音域の違いにプレイヤーの個性まで考慮して「瞬間の響き」にこだわってきた。そんなデューク・エリントンからすると,音の羅列によってある響きを表現させようとするジョン・コルトレーンの試みは粗雑に感じられたことだろう。
 一方のジョン・コルトレーンからしてみると,デューク・エリントンピアノから発せられる和音の響きや残響は自身の響きを展開する格好の素材であり,音列で埋め尽くしたくてうずうずしていたのではなかろうか?

 “ジャズ・ジャイアント”の2人が2人とも,不完全燃焼のまま『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーンセッションが終了したのはなぜだろう?
 管理人はそれこそ「互いへのリスペクト」にあると思う。現実の共演者ではなく仮想の共演者への既成のイメージに固執したまま音を重ね続けた結果である。
 ズバリ,相手の本当の気持ちを汲まず,勝手に歩み寄りすぎた“手探りの音合わせ”の結果である。

DUKE ELLINGTON & JOHN COLTRANE-2 管理人の結論。『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン批評

 2人が2人とも“片思い中の”ジャズである『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン』であるが,これがあのデューク・エリントンなのか? これがあのジョン・コルトレーンなのか? を忘れて普通に聴くと,これはこれでいいアルバムである。
 特に【イン・ア・センチメンタル・ムード】なんかは,数ある【イン・ア・センチメンタル・ムード】の中でも上位に喰い込む名演だと思う。

 『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン』の音の特徴を語るならば,デューク・エリントンの音というより,ジョン・コルトレーンというより,インパルスの音と表現するのが一番当たっているように思う。
 インパルスのコレクターであれば『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン』の音に納得していただけると思う。

  01. IN A SENTIMENTAL MOOD
  02. TAKE THE COLTRANE
  03. BIG NICK
  04. STEVIE
  05. MY LITTLE BROWN BOOK
  06. ANGELICA
  07. THE FEELING OF JAZZ

(インパルス/IMPULSE! 1962年発売/UCCU-6044)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/原田和典)

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櫻井 哲夫 JACOトリビュート・バンド / イッツ・ア・ジャコ・タイム!5

IT'S A JACO TIME!-1 『IT’S A JACO TIME!』(以下『イッツ・ア・ジャコ・タイム!』)を聴いていて,これはジャコ・パストリアスではなく櫻井哲夫の「JACOトリビュート・バンド」の演奏だと何度も確認しなければならなかった。

 そうして自分を言い聞かせないと,本当にジャコ・パストリアスの音源だと思ってしまいそうだったから…。それもジャコ・パストリアスバンドではなくビッグ・バンドでの演奏のようにそうにも聴こえてしまう。いや〜,参った。櫻井さんには参った。
 管理人の2013年最大の衝撃アルバムNO.1が『イッツ・ア・ジャコ・タイム!』だった。何度聴いても櫻井哲夫ベースジャコ・パストリアスベースのように聴こえてしまう。「完コピを超えた完コピ」が「本家を超えてしまった」ように思う。

 正直,櫻井哲夫ジャコ・パストリアスへの傾倒ぶりがこれほどまでだったとは…。
 櫻井哲夫は『イッツ・ア・ジャコ・タイム!』を通して「ジャコ・パストリアスが世界一」を啓蒙しようとしたのではないだろうか? ジャコ・パストリアスの“美味しい部分”を選び抜いてバンド・サウンドにバッチリと仕立て上げてくれている。

 ジャコ・パストリアスジャコパスジャコと「ベース界の革命児」の名前だけは知れ渡っている。しかし,ジャコパスベースの,一体何が「革命」なのかは知られてはいない。

IT'S A JACO TIME!-2 管理の答えは,フレットレスベースなのに,あそこまで芯のあるサウンドで聴かせるところ。聴き方によってはウッドベースのように聴こえるところ。ベースなのにリード楽器役まで担いメロディーまでも高速で奏でてしまうところ。とにかくベースなのに音楽の主導権を握ってしまうところなのだ…。

 ズバリ『イッツ・ア・ジャコ・タイム!』の真髄とは,櫻井哲夫・監修によるジャコ・パストリアスの“躍動するフレットレスベース”であろう。
 「JACOトリビュート・バンド」の施したジャコ・パストリアス曲へのリ・アレンジを細かく聴いていくと,オリジナル通りの展開と,そうではなくメチャメチャ変えている部分との「法則」に気付く。
 概ね変えなかったのはフレットレスベースメロディー・ラインとハーモニー部分。概ね変えたのはフレットレスベースのリズム・ラインとテーマ部分。

 ジャコ・パストリアス“印”の絶対に触れてはならない根幹部分は忠実に再現し,そうではない部分はオリジナルのイメージに合わせてシンプルにしたり,大胆にひねってきたり…。
 テンポやリズムも全体的にアゲアゲ方向シフト。“超絶技巧”な櫻井哲夫だからできた実現できた芸当であろう。

IT'S A JACO TIME!-3 「JACOトリビュート・バンド」のフロントマンは,本多俊之サックスでも,新澤健一郎キーボードでも,菰口雄矢ギターでもなく,櫻井哲夫フレットレスベース
 『イッツ・ア・ジャコ・タイム!』に,櫻井哲夫ベースソロが多いという意味ではない。ベースのフレーズが音楽の主導権を握っている。

 だからこその「JACOトリビュート・バンド」。櫻井哲夫ジャコ・パストリアスの「ミュージシャン・シップ」が宿っている。

PS 「IT'S A JACO TIME!-3」は「HMVオンライン限定」販促用のポストカードです。

  01. INVITATION
  02. LIBERTY CITY
  03. THREE VIEWS OF A SECRET
  04. (USED TO BE A) CHA CHA
  05. PALLADIUM
  06. LAS OLAS
  07. PORTRAIT OF TRACY
  08. CONTINUUM
  09. RIVER PEOPLE
  10. HAVONA

(キングレコード/KING RECORD 2013年発売/KICJ-658)
(ライナーノーツ/松下佳男)

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ジャヴァン / ノヴェーナ4

NOVENA-1 ジャヴァンがどうしてもアルバムにして表現したかった音楽。ジャヴァンがブラジル人にどうしても聴いてもらいたい音楽。それが『NOVENA』(以下『ノヴェーナ』)である。

 「世界で売れてもブラジルで売れなければ意味がない」とでも考えるようになったのだろうか? 『ノヴェーナ』の聴き所は,完全なる土着の小気味良いリズム=フレヴォ,ショッチ,バイオンであり,カラフルなメロディー・ラインのブラジリアン・ポップ。

 『ノヴェーナ』での試みは面白いとは思うが日本人にはちょっとマニアックすぎるかな? そう感じてしまうくらいにメロディーが自然発生的で即興的なフィーリングを醸し出している。
 ブラジルのミュージシャンは本当に演奏が上手であって,ナチュラルな色付はそう簡単には真似できないレベル。その分,くっきりとブラジル色が鮮明で,ブラジル人の基本陽気で,時々繊細で,哀愁のサウダージが浮き出ている。
 『ノヴェーナ』を聴くといつでも「音楽王国=ブラジル」を感じてしまうのだ。

 『ノヴェーナ』でのジャヴァンヴォーカルがしなやかで柔らかに響く。ブラジルっぽくもあるにはあるが,バックで流れるブラジル色に染まるのではなく,どちらかと言えばジャズっぽい雰囲気。
 つまりは楽曲の中でのヴォーカルの自由度がいつもより高く,スキャットっぽい歌い方に耳がゆく。何と表現しようか迷ったが,ここでは「リッチな歌声」だと記しておこう。

 『ノヴェーナ』を聴いていると(一度も訪れたことのないはずなのに)明確にブラジルの田舎の風景が見えてくる。そこでは子供たちと年配者たちが暮らしている。どうやら大人たちは街にはいないようだ。

 古くからのブラジル音楽をおじいさんが近所の子供たちに教えている。子供って気に入ると飽きるまで繰り返すし,音楽よりサッカーに夢中の子供が半分混じっている。音楽でもサッカーでもブラジルはリズム。そんなリズムに乗りこなせる子供たちがジャヴァンのようなワールド・クラスのミュージシャンへと成長する。

 そうなんだ。これまでジャヴァンがアメリカンMPBを演奏してきたのは,いつか『ノヴェーナ』のようなブラジル向けのアルバムを作るため。
 まずは売れる。それが自分の理想の音楽でなかったとしても売れてしまえばファンもレコード会社もジャヴァンが本当にやりたい音楽を認めてくれるのだ。

NOVENA-2 そういう意味で『ノヴェーナ』もいい音楽に違はないが,ジャヴァン・ファンが聴きたいMPBからするとマニアックに行き過ぎたところがあるのかもしれない。
 よく日本人とブラジル人は感性が似ていると言われるけれど,今回の『ノヴェーナ』に関しては,ブラジルの未開の奥地に連れていかれた感覚があって,ついていけなかった。

 ただし,この『ノヴェーナ』こそが,長年ジャヴァンが温めてきた音楽なのである。真にジャヴァンがやりたかった音楽なのである。もはやジャヴァンは昔のフィールドには戻ってこないように思う。

  01. LIMAO
  02. NAO RUAS
  03. ALIAS
  04. SEM SABER
  05. MAR A VISTA
  06. QUERO-QUERO
  07. RENUNCIACAO
  08. LOBISOMEM
  09. SETE COQUEIROS
  10. AGUA DE LUA
  11. AVO

(エピック・ソニー/EPIC/SONY 1994年発売/ESCA-6206)
(ライナーノーツ/緒形典子)

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櫻井 哲夫 / トーキング・ベース5

TALKING BASS-1 ベーシストが自分のベース・サウンドを前面に押し出したアルバムとして,ジャコ・パストリアスには『ジャコ・パストリアスの肖像』が,マーカス・ミラーには『ザ・キング・イズ・ゴーン』があるように,櫻井哲夫には『TALKING BASS』(以下『トーキング・ベース』)がある。

 “スーパー・ベーシスト櫻井哲夫がここまでベース・サウンドを前面に押し出したソロ・アルバムはかつてなかった。
 しかも主役はフレットレスベースと来た。新曲なしのオール・カヴァー集と来た。差別化はされるが容易に比較もされうる大勝負に,得意の“超絶”チョッパーベースを封印してきた。

 ここに管理には櫻井哲夫の“スーパー・ベーシスト”としてのこだわりを感じた。フレッテットでも十二分に勝負できる。“超絶”チョッパーを弾かせたら,ジャコ・パストリアスにもマーカス・ミラーにもガチンコで勝てる自信がある。
 でもそうじゃない。ジャコ・パストリアスマーカス・ミラーが凄いのはテクニックではない。唯一無二の音楽性なのだ。

 そのことを櫻井哲夫が一番知っているから,ベースソロ・アルバムを作るなら,フレットレスベースの“歌もの”で,ジャコ・パストリアスマーカス・ミラーも追い求めた「夢の続き」にチャレンジしたのだ。

 ジャコ・パストリアスマーカス・ミラーも,本当は櫻井哲夫の『トーキング・ベース』みたいなアルバムを作ってみたかったのだと思う。
 そう。『トーキング・ベース』の真髄とは,ベースを自分のヴォイス代わりに歌わせた「ベースでの弾き語り」であり「ベースでのホーモニー」なのであろう。

 なんてったって櫻井哲夫が凄いのは,フレットレスベースメロディーの中心に据えて,物足りない重低音はシンセベースで補うことさえしている。普通のベーシストなら考えつかない荒業である。
 櫻井哲夫は『トーキング・ベース』でバック・サウンドを緻密にアレンジしている。その上でフレットレスベース即興的に被せている。

 フレットレスベースによるジャコ・パストリアスソロ・パフォーマンスは“伝説”と化している。マーカス・ミラーの完璧なバック・サウンドの上を即興で吹き上げるマイルス・デイビスの『TUTU』も“伝説”と化している。
 そんな「ベース界のレジェンド」2人が手がけてきた「夢の続き」を櫻井哲夫が引き受けている。受け継いだのは手法ではなく“スピリッツ”。誰も作り上げたことのないベース・サウンドなのである。

 世界TOPのプロデューサーでもあるマーカス・ミラーベースソロの難しさをトクトクと語っていた記憶がある。マーカス・ミラーの趣旨は「ベースフィーチャーさせると,音楽の完成度を損なう危険をはらむ」ということだったと記憶する。
 この言葉を借りるなら,ついに櫻井哲夫もトータル・ミュージシャンとしてチャレンジできるところまで来たということだろう。そして『トーキング・ベース』の見事な完成度が“アーティスト”櫻井哲夫の成長を証ししている。

TALKING BASS-2 その意味で『トーキング・ベース』の聴き所は,これ以上フレットレスベースを歌わせるとバランスが崩れる,その一歩手前でベースらしさを聴かせる瞬間である。

 フレットレスベースはやっぱりベースであり,低音担当のアンサンブル楽器でありタイム・キーパーなのである。そんな「屋台骨」のベースが,リズムをリードしつつ大いに歌っているのだ。最高に素晴らしい。

 しかもこの音色に,この歌声に癒される。管理には櫻井哲夫フレットレスベースの音色が世界一美しいと信じている。あの柔らかい音色&温かな音色が“艶のある声で”鳴っている。優しく語りかけるようなフレットレスベースが余裕を残して鳴っている。

 ベース一本に人生をかけてきた“スーパー・ベーシスト櫻井哲夫の“最高傑作”として管理人は『トーキング・ベース』を指名する。

  01. The Long And Winding Road
  02. Donna Lee
  03. Butterfly
  04. Sunflower
  05. I Wish
  06. I Can't Help It
  07. Sailing Alone
  08. Alisa
  09. Stardust
  10. 見上げてごらん夜の星を

(キングレコード/KING RECORD 2012年発売/KICJ-641)
(ライナーノーツ/櫻井哲夫)

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ジャヴァン / コイザ・ヂ・アセンデール4

COISA DE ACENDER-1 管理人がジャヴァンを聴くようになったのは,それこそカシオペアの『PLATINUM』収録【ME ESPERE】だったから1987年頃のことである。
 当時は全くジャヴァンのことなど知らなかったが,カシオペアとの共演を通じてジャヴァンというMPBにハマッテいた時代が懐かしい。『SAMURAI】は永遠の名曲だと思っている。

 しかし,次第に耳が遠のいてジャヴァンに対する“マイ・ブーム”が落ち着いた頃に出会った『COISA DE ACENDER』(以下『コイザ・ヂ・アセンデール』)で,管理人の中の“ジャヴァン・ブーム”が再燃した。

 管理人がジャヴァンに追い求めて,結局は見つからず仕舞いであった【ME ESPERE】のジャヴァンが『コイザ・ヂ・アセンデール』の中にいたのである。

 『コイザ・ヂ・アセンデール』は,MPBでもアメリカン・ポップスでもない,アコースティックエレクトリック・サウンドがジャヴァンヴォーカルギターを基軸として,シンプルな音数が,本当に必要な場所だけで鳴っている。
 世界的な大ヒットを放っていた時のゴージャス感が希薄になり,洗練され,落ち着いたサウンドに変化していて,これぞ管理人が追い求めるジャヴァンの“理想郷”とついに巡り会ったような感じがしていた。

 浮遊感のあるメロディー・ラインを,どことなく憂いや翳りのある“飾り気のない歌声”が音楽している。【ME ESPERE】で強く感じた“生命力”が漲っている。
 ジャヴァン本人がライナーノーツで語っているが,もう“売れ線”はやらないのだ。アメリカンナイズドされたMPBはやめたのだ。ワールド・ミュージックではなく“ブラジリアン”としてのジャヴァンのアイデンティティが聞こえてくる。

COISA DE ACENDER-2 今回,本当に久しぶりに『コイザ・ヂ・アセンデール批評のために聴き直してみた。懐かしさと共に,今まで意識することのなかったナベサダとかリチャード・ボナの音世界を想起した。
 そう。ジャヴァンの方がナベサダリチャード・ボナよりも早かったのだ。この事実に驚くと共にジャヴァンの再評価を強く希望する。

 個人的にジャヴァンには,ミルトン・ナシメント級,イヴァン・リンス級の活躍を期待していたのだが,ナベサダ繋がりで行くとジャヴァンにはトッキーニョの後継者へと登り詰めてほしいと思う。

PS そう言えばカシオペア渡辺貞夫も『PHOTOGRAPHS』で繋がっていましたねっ。

  01. A Rota do Individuo (FERRUGEM)
  02. BOA NOITE
  03. SE…
  04. LINHA DO EQUADOR
  05. VIOLEIROS
  06. ANDALUZ
  07. OUTONO
  08. ALIVIO
  09. BAILE

(エピック・ソニー/EPIC/SONY 1992年発売/ESCA-5646)
(ライナーノーツ/中原仁)

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チック・コリア,小曽根 真,大西 順子,山中 千尋,ハクエイ・キム / PIANIST〜ワルツ・フォー・ビル・エヴァンス5

PIANIST 〜WALTZ FOR BILL EVANS-1 『PIANIST〜WALTZ FOR BILL EVANS』(以下『PIANIST〜ワルツ・フォー・ビル・エヴァンス』)は,ジャズ・ピアノの金字塔であるビル・エヴァンスの『WALTZ FOR DEBBY』50周年を記念したオムニバス・アルバム。
 『PIANIST〜ワルツ・フォー・ビル・エヴァンス』を,そんじょそこらのオムニバスと思うなかれ! 参加メンバーがとにかく凄い!  

 世界的に活躍するユニバーサル・ジャズ所属の5名のピアニストチック・コリア小曽根真大西順子山中千尋ハクエイ・キムのビッグネームが,1人2曲ずつ新録音なり未発表音源なりを持ち寄ってきた(既発トラックはチック・コリア上原ひろみと共演した1曲のみ! ユニバーサル・ジャズはどうしてもこのラインナップに上原ひろみを入れたかった!?)。

 超豪華メンバーの一員なのに,ドリーム・チームの5人が5人とも,他の共演者の出方など気にも留めない“ビル・エヴァンスの世界観”が最高すぎる。
 やっつけではない「1曲入魂」の大熱演。みんながみんな,自分にとってのビル・エヴァンスの愛想曲を愛情を込めて,慈しみを持って奏でている。

 全10曲の1曲1曲全てがハイライト! “最大の目玉”であろう,チック・コリア/エディ・ゴメス/ポール・モチアンによる【WALTZ FOR DEBBY】は『ファーザー・エクスプロレイションズ〜ビル・エヴァンスに捧ぐ』未収録音源。なんのことはない。没テイクなどではない。『PIANIST〜ワルツ・フォー・ビル・エヴァンス』のための取り分けていたとしか思えない『ファーザー・エクスプロレイションズ〜ビル・エヴァンスに捧ぐ』の中で最高の演奏である。

 小曽根真のこんなにも繊細なソロ・ピアノは久々である。一方,同じソロ・ピアノでも山中千尋の奏でるビル・エヴァンスはスインギー。両者の「静と動」の対比が非常に興味深い。
 今回の5人のメンバーの中では大西順子の強烈なタッチが一番ビル・エヴァンスらしく聴こえたのが意外や意外…。

 そしてハクエイ・キムである。実は管理人。ハクエイ・キムというピアニストを『PIANIST〜ワルツ・フォー・ビル・エヴァンス』で初めて聴いた。
 一人「格落ち」のような気がして心配していたハクエイ・キムだったが「心配無用」のハイ・クオリティ。ピアノ・トリオの白熱のインタープレイと疾走感は間違いなく“エヴァンス派”でした。

PIANIST 〜WALTZ FOR BILL EVANS-2 管理人の結論。『PIANIST〜ワルツ・フォー・ビル・エヴァンス批評

 『PIANIST〜ワルツ・フォー・ビル・エヴァンス』とはチック・コリアのアルバムである。あるいは小曽根真のアルバムである。この2人の“天才”がやはり頭一つ飛び抜けていると思う。ジャズ・マニア必聴の4トラックが輝いている。

 しかし「勝負に勝って試合に負けた」のが大西順子である。ビル・エヴァンストリビュートの真の勝者は大西順子だと思う。

 それにしてもユニバーサル・ジャズさん(現在は契約切れのようですが)なんで木住野佳子さんを呼ばなかったのですか?

  01. HOW MY HEART SINGS
  02. WALTZ FOR DEBBY
  03. ISRAEL
  04. HERE'S THAT RAINY DAY
  05. NEVER LET ME GO
  06. NARDIS
  07. VERY EARLY
  08. YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC
  09. WHAT IS THIS THING CALLED LOVE?
  10. I SHOULD CARE

(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2011年発売/UCCJ-2087)
(ライナーノーツ/原田和典)

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櫻井 哲夫 featuring グレッグ・ハウ&デニス・チェンバース / ヴァイタル・ワールド5

VITAL WORLD-1 『21世紀の扉』〜『ジェントル・ハーツ』〜『GENTLE HEARTS TOUR 2004』〜「TETSUJINO」名義の『ダブル・トラブル』で積み上げてきた櫻井哲夫デニス・チェンバースとのコラボレーション『VITAL WORLD』(以下『ヴァイタル・ワールド』)で極まりけり〜!

 『ヴァイタル・ワールド』で,これまで“紳士”を貫いていた櫻井哲夫が野生の本能を解放し“猛獣使い”へと変身した。『ヴァイタル・ワールド』のサバイバル・チックなジャケット写真そのまんまのテクニカルでハードで「楽器弾きまくり」のセッション大会。

 全曲,櫻井哲夫が作曲した“モチーフ”をデニス・チェンバースドラムで,グレッグ・ハウギターで,縦横無尽の発想で色付けしていく。
 櫻井哲夫デニス・チェンバースグレッグ・ハウ組も,スタジオ盤の『ジェントル・ハーツ』とライブ盤の『GENTLE HEARTS TOUR 2004』で長いセッションを重ねた賜物であろう。『ヴァイタル・ワールド』では過去2作では感じなかった,奥深い音楽表現が鑑みれる域にまで到達している。これは凄いアルバムである。

 櫻井哲夫ベースが抜群であって,明確なベース・ラインで“野獣のドラム”をコントロールしてみせる。爆裂なのである。
 『ジェントル・ハーツ』『GENTLE HEARTS TOUR 2004』では,グレッグ・ハウに主役を譲っていた櫻井哲夫が,グレッグ・ハウを押しのけてメロディーラインを演奏している。

 こんな櫻井哲夫に,デニス・チェンバースグレッグ・ハウが本気を出さないはずがない! 速度計のMAXを振り切れている! 超高速なのに安定する,何てないベース・ラインに,櫻井哲夫の本物が鳴っている!

 最高にキレイ目で洗練された「制御された」ベース・ラインなのに「制御不能な」演奏エネルギーで満ちている。自分の中のボルテージを上げている。
 そう。櫻井哲夫ベースに,デニス・チェンバースドラムに,グレッグ・ハウギターに“思いの丈”をぶつけている!

VITAL WORLD-2 『ヴァイタル・ワールド』を聴いていると,その昔,ジミ・ヘンドリックスギターに火をつけて燃やしている映像が自然と脳裏に浮かんできた。
 そう。『ヴァイタル・ワールド』における櫻井哲夫のテーマは「完全燃焼」。自らの体内にたまっている爆発寸前のマグマを,ジミ・ヘンドリックスのように一気呵成に放出している。

 櫻井哲夫のパワーと感受性の強さを体感するなら『ヴァイタル・ワールド』が一番である。とにかく凄い演奏力である。

  01. Critical Planet
  02. Alien's Feast
  03. A Tear Of The Clown
  04. Are You Ready
  05. Another Kingdom
  06. Triangle Square
  07. Monster Parade
  08. Father

(エレクトリック・バード/ELECTRIC BIRD 2010年発売/KICJ-598)
(ライナーノーツ/櫻井哲夫)

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ドナルド・バード / ブラックジャック5

BLACKJACK-1 無類のトランプ好き?なドナルド・バード。『ROYAL FLUSH』での切り札がハービー・ハンコックなら『BLACKJACK』(以下『ブラックジャック』)での切り札はソニー・レッドである。

 ソニー・レッド主導による,アーシーなジャズ・ファンクがドス黒い。基本ハード・バップにして,ヘヴィーなビートと各自のソロ回しがメチャメチャ渋い,ブルーノート好きには堪らないアルバムである。

 フロントはトランペットドナルド・バードテナーサックスハンク・モブレーアルトサックスソニー・レッドによる3管。
 元来,ドナルド・バードにしてもハンク・モブレーにしても,ジャズの最前列で活躍するというよりも,2列目で活躍の場を与えられたならこの上ない働きをするタイプのジャズメンであろう。
 ゆえに,この3管の組み合わせはアンサンブルというよりも,互いに熱く燃え上がる3管であって,各人のハイテンションな演奏の方が印象に残る。

 このエキサイティングな3管を全て包み込み,受け流し,際立たせるのが「いぶし銀」のシダー・ウォルトンシダー・ウォルトンの抑揚の利いたピアノが,フリーキーでファナーキーなソニー・レッドのブルースに優しくハミングしている。いい。

 『ブラックジャック』には,混沌とした時代を見据えながらも,絶対に変えられないドナルド・バードの“ジャズメン魂”が記録されている。
 時代の流行に合わせた,変わり身の早さもドナルド・バードの持ち味である。必要とあればサイドでも全力でこなすのがドナルド・バードなのである。

BLACKJACK-2 しかし,その一方で,自分のポリシーを曲げてまで時代に迎合しない“頑なさ”がドナルド・バードにはある。
 そう。『ブラックジャック』の真実とは,ソニー・レッドという「金の卵」を見つけて,やり残したハード・バップ&ファンキーのリバイバル。

 この時代に黒々としたジャズ・ファンクをやったドナルド・バードの眼力を称賛したい。恐らく,ソニー・レッドと出会わなければ『ブラックジャック』はやらなかったと思っている。

 いつの時代でも本物は本物。ソニー・レッドの“最高傑作”ソニー・レッドのリーダー・アルバムではなく『ブラックジャック』なのである。

  01. BLACKJACK
  02. WEST OF THE PECOS
  03. LOKI
  04. ELDORADO
  05. BEALE STREET
  06. PENTATONIC

(ブルーノート/BLUE NOTE 1967年発売/TOCJ-4259)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,原田和典,佐藤太郎)

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櫻井 哲夫 / マイ・ディア・ミュージックライフ5

MY DEAR MUSICLIFE-1 『TLM20〜LIVE MEMORIES IN 20 YEARS』で「デビュー20周年記念」を飾った櫻井哲夫の「デビュー30周年記念」盤が『MY DEAR MUSICLIFE』(以下『マイ・ディア・ミュージックライフ』)。

 『TLM20〜LIVE MEMORIES IN 20 YEARS』が,真に総決算的なライブ盤であったから,今回の「デビュー30周年記念」盤も,直近の10周年を総括する内容かと思いきや『マイ・ディア・ミュージックライフ』はそうではない。
 そう。10周年とか20周年とか30周年ではなく,実際にはデビュー以前の10年間をも加えた「THE櫻井哲夫」の40周年を総括してみせている。

 “超絶”チョッパーベースものもあれば“歌もの”もあるし,カシオペアジャコ・パストリアスカヴァーもある。“超絶”チョッパーベースのド真ん中であり,J−フュージョンのど真ん中!
 櫻井哲夫の『ミュージックライフ』は真に「やりたい放題」。櫻井哲夫はこうでなくっちゃ!

 櫻井哲夫ソロとなって一番変化したことは,自分の好きな共演者の特徴を“聴かせる”ことで,自分自身の音楽を“聴かせる”ことであろう。要は共演者を「取り込んでしまう」ベーシストへと成長したのだ。
 『マイ・ディア・ミュージックライフ』でも,サックス本田雅人勝田一樹キーボードボブ・ジェームス小野塚晃ギター野呂一生菰口雄矢岡崎倫典ドラム則竹裕之ジーン・ジャクソンパーカッションカルロス菅野の個性的な音を櫻井哲夫の体内へと「取り込んで」いる。

 例えば“目玉”である【DOMINO LINE】のハイライトは“ドミノ倒し”の新アレンジが最高でして,櫻井哲夫ベースソロを確保しつつも,雰囲気としては青木智仁と組んでいた当時の初期DIMENSIONによる【DOMINO LINE】へと見事に仕上がっている。櫻井哲夫がバックを見事に廻しながらの余裕ある“超絶”にウォー!

 櫻井哲夫のアイドルであるジャコ・パストリアスの【TEEN TOWN】と【KURU】であるが,聴いた感じのファースト・インプレッションはマーカス・ミラーによるジャコ・パストリアスカヴァーに似ていると思った。
 つまり変に櫻井哲夫色に塗り変えるのではなく,ジャコ・パストリアスがやろうとしたことを理解した上でのカヴァーを目指している。ジャコ・パストリアスGROOVEを完コピしている。素晴らしい。

 そ〜して迎える【リンゴ追分】での6弦チョッパーによるファンク・ベースの大嵐! 岡崎倫典ギターが「津軽三味線」のようにかき鳴らされる前面でのファンク・ベースがとんでもなくはまっていて超カッコイイ! 美空ひばりベースジャズを熱唱するとこうなるのだろう。“歌もの”の櫻井哲夫が最高に素晴らしい。

MY DEAR MUSICLIFE-2 『TLM20〜LIVE MEMORIES IN 20 YEARS』から『マイ・ディア・ミュージックライフ』の10年間は『GENTLE HEARTS』プロジェクトとブラジル・プロジュクトの2つに注力した10年間であったと思うが,意外にも『マイ・ディア・ミュージックライフ』には,この2つのプロジェクトの跡形など聴こえない。

 『マイ・ディア・ミュージックライフ』から聴こえてくるのは「少年時代」に愛してやまなかった櫻井哲夫の『ミュージックライフ』。
 世界最高峰のベース・テクニックを持ち,総合音楽家として出来上がった櫻井哲夫が奏でるベース・サウンドは,櫻井哲夫の「少年時代」に“頭の中で鳴っていた音楽”の具現化なのだと思う。

 桜ちゃん,おめでとうございます!

  01. REGENERATE
  02. TEEN TOWN
  03. BRIGHT MOMENTS
  04. MELODIA
  05. I WISH U FUNK
  06. DOMINO LINE
  07. MIRAGE
  08. RINGO OIWAKE
  09. KURU
  10. AFTER THE LIFE HAS GONE

(エレクトリック・バード/ELECTRIC BIRD 2009年発売/KICJ-566)
(ライナーノーツ/櫻井哲夫)

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ドナルド・バード / ア・ニュー・パースペクティヴ5

A NEW PERSPECTIVE-1 『A NEW PERSPECTIVE』(以下『ア・ニュー・パースペクティヴ』)は,ドナルド・バード名義のアルバムにしてドナルド・バードソロ・アルバムではない。

 事実『ア・ニュー・パースペクティヴ』のアーティスト名義は「DONALD BYRD BAND & VOICES」。
 そう。ドナルド・バードの手を離れた部分で語られるべき,ゴスペル聖歌隊による“スピリチュアル”な黒人音楽の最高峰に位置するとんでもないアルバムである。

 何はともあれ『ア・ニュー・パースペクティヴ』が,黒人の精神的支柱であったマーティン・ルーサー・キング牧師の葬儀のBGMに使用された,というインパクトがとてつもなく大きい。
 ズバリ『ア・ニュー・パースペクティヴ』の真実とは,ジャズの手法を用いた「黒人霊歌集」である。公民権運動の盛り上がりを背景にした「現代の讃美歌集」なのである。

 『ア・ニュー・パースペクティヴ』のキーマンは,デューク・ピアソンでありハービー・ハンコックであり,ドナルド・バードではない。
 荘厳なコーラスと各楽器のアンサンブルの美しさは「教会音楽のソウル」とも呼ばれるデューク・ピアソンのものであり「新世代ブラック・ファンク」のハービー・ハンコックの独壇場であろう。
 デューク・ピアソンが構築する自由度の高いエモーションなアンサンブルとハービー・ハンコックの独特なリズムのバッキングがモダンジャズの枠を越えている。

 『ア・ニュー・パースペクティヴ』のキーワードは「VOICES & JAZZ」。“ゴスペルを聴かせるためのエッセンス”としてのジャズが演奏されている。
 男女混成コーラスは何処か猥雑な感じが見え隠れする。昔のキャバレー臭さと言うか変なゴージャスさが出てくる。デューク・ピアソンのアプローチを現代風に表現すると「ラウンジ」なのである。

 『ア・ニュー・パースペクティヴ』は“音楽監督”デューク・ピアソンと“三大ピアニストハービー・ハンコックがそろい踏みした,黒人音楽“最高傑作”の「VOICES & JAZZ」。
 すなわち黒人音楽“最高傑作”の「ラウンジ」なのである。

 『ア・ニュー・パースペクティヴ』を注意深く聴いていると,ハンク・モブレーテナーサックスケニー・バレルギタードナルド・ベストヴァイヴハービー・ハンコックピアノベースブッチ・ウォーレンドラムレックス・ハンフリーズが,ドナルド・バードトランペットに合わせるではなくゴスペル聖歌隊による“スピリチュアル”なヴォイスに音を重ねている。

A NEW PERSPECTIVE-2 いつの時代も音楽の中心には「声」があった。“秀才”デューク・ピアソンと“天才”ハービー・ハンコックの考える「声」=ホーン・セクションが『ア・ニュー・パースペクティヴ』なのである。

 『ア・ニュー・パースペクティヴ』のリリースまでブルーノートにはヴォーカリストがいなかった。しかしそれまで多数のホーン奏者がヴォーカリスト代わりを務めていたのである。
 ついに到来した肉声という楽器のストレートな時代が『ア・ニュー・パースペクティヴ』で幕を開けた! ハービー・ハンコックの才能が爆発するヴォコーダーの原点が『ア・ニュー・パースペクティヴ』にある!

  01. ELIJAH
  02. BEAST OF BURDEN
  03. CRISTO REDENTOR
  04. THE BLACK DISCIPLE
  05. CHANT

(ブルーノート/BLUE NOTE 1964年発売/TOCJ-6647)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,佐藤英輔)

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