アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2017年06月

梅津 和時 KIKI BAND / LAND DIZZY〜眩暈の国4

LAND DIZZY-1 梅津和時って,ドクトル梅津を名乗るアルトサックス・プレイヤーという程度の知識しかない。実はほとんど聴いたことがない。所有しているCD渡辺香津美絡みが数枚ある程度である。

 そんなビッグネームなのに,ほぼ初対面で聴いてた「梅津和時 KIKI BAND」名義の『LAND DIZZY〜眩暈の国』にやられてしまった。
 ゲッ,梅津和時って,こんなにもエモーシャナルなアルトサックス・プレイヤーだったんだ。全然似ていないはずなのに『LAND DIZZY〜眩暈の国』を聴いている管理人の脳内は,あのデヴィッド・サンボーンとか,あのケニー・ギャレットを聴いているのと同じアドレナリンが出てきたのだ。

 もっとフリーっぽい,ジョン・コルトレーンアーチー・シェップの「アグレッシブに吹きまくる系」かと思って手を付けずにいたのに,そうではない。
 梅津和時アルトサックスは「歌うたい系」であった。歌心があって,これだけは伝えたいという感情が込められたサビでの絶唱が来る。でも全く重く響かない。メロディーが駆け抜ける感じの「キレイ系」のアルトサックスであった。

 そう。『LAND DIZZY〜眩暈の国』を聴いてアドレナリンが出たのは事実であるが,その要因は残念ながら梅津和時アルトサックスではなかった。
 『LAND DIZZY〜眩暈の国』の主役は,こちらこそがジョン・コルトレーンのような鬼怒無月ギターと,ことらこそがアーチー・シェップのような早川岳晴ベースである。

 そう。鬼怒無月プログレギター早川岳晴のファズ・ベースの音圧に負けてしまった。
 プログレギターとファズ・ベースの組み合わせと来れば,やはり渡辺香津美ジェフ・バーリンとの『THE SPICE OF LIFE』や,渡辺建との「PRISM」や永井敏己との「EXHIVISION」を思い浮かべるが,特に早川岳晴の“野獣”が特筆ものである。

 ズバリ「梅津和時 KIKI BAND」が目指しているのは「アヴァンギャルドなジャズ・バンド」であろう。「梅津和時 KIKI BAND」より激しいジャズ・バンドなんて幾らでもある。でもこんなにも“危うい”ジャズ・バンドは他にはない。

 「梅津和時 KIKI BAND」とは,鬼怒無月プログレギター早川岳晴のファズ・ベースの“暴走”を梅津和時が「つないでまとめあげてメロディアスに聴かせる」ジャズ・バンドである。

LAND DIZZY-2 梅津和時の押し付けがなければ,本当にバラバラに空中分解しそうな勢いのギターベースが“やさぐれている”。

 実は鬼怒無月早川岳晴を聴いたのも『LAND DIZZY〜眩暈の国』で初めて聴いたのだが,この両雄もすでにビッグネームだったらしく「自分の世界」に誇りを持っている。
 ギリギリでジャズしているし,ギリギリで「梅津和時 KIKI BAND」している。超高速ビートなど使っていないのに,少しでも油断すると脳内が破壊されそうな勢いの演奏。途切れることなくビートがうねっている。ビートが牙を剥いている。要は前衛なのだ。

 前衛と書くしか管理人の表現力では他にないので矛盾があったら申し訳ないが「梅津和時 KIKI BAND」の音楽は分かりやすい。その秘密こそが「歌うたい系」梅津和時の統率力ということであろう。

 まとまっているのに危ういアヴァンギャルドな『LAND DIZZY〜眩暈の国』。管理人のような“電化マイルス”好きにはたまらない1枚であろう。

  01. IZUMOYA
  02. Crawler
  03. UNI
  04. 玄武
  05. 地上の月
  06. IZUMOYA

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2002年発売/EWCD-0053)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/松山晋也)

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ダスコ・ゴイコヴィッチ / スインギン・マケドニア5

SWINGING MACEDONIA-1 読者の皆さんが「自分の1枚」を選べと言われたなら一体何を選ぶのだろう。迷いに迷う選考過程を覗き見すると,きっと頭の中で名盤と言われるタイトルが行き来することだろうし“ジャズ・ジャイアント”と称えられる名前が行き来することと思う。

 …で,あるジャズ・アルバムのコレクターが出した「自分の1枚」の答えがこれ。
 ダスコ・ゴイコヴィッチの『SWINGING MACEDONIA』(以下『スインギン・マケドニア』)である。

 この事実に管理人は度胆を抜かれた。この答えにひれ伏した。確かに『スインギン・マケドニア』は大好きだけど,ダスコ・ゴイコヴィッチも大好きだけど,他の何百枚もの有名盤を押しのけて『スインギン・マケドニア』が指名されたという事実が受け入れ難かった。

 ジャズ批評のセオリーでは絶対に導き出せないマニアック盤=『スインギン・マケドニア』。『スインギン・マケドニア』が選ばれるなど想像したこともなかったのだが,言われてみればアリっちゃアリかも?
 ある素人ジャズ・ファンの出した答えに管理人も大いに勇気をもらったものだし『スインギン・マケドニア』を聴き返す度に合点がいったし納得するようにもなった。

 『スインギン・マケドニア』が大好きになったのは「自分の1枚」に関するエピソードを知ったから。だから,その理由を確認すべく普通のアルバム以上に注意深く聴き込んだのだと思う。そして本当に大好きになった。愛聴盤になった。
 田中さん,一生に1枚の出会いをありがとう。

SWINGING MACEDONIA-2 さぁ,読者の皆さん。この記事で興味が湧いたら次はあなたの番です。ジャズ・ファンなら死ぬまでに1度は聴いて欲しい1枚だと思っています。一部のマニアにしか知られていないとしても,名演,名盤の評価は時代が変わっても一致するものなのです。

 バルカン・マケドニアスイングは1曲として緩みがありません。ダスコ・ゴイコヴィッチの哀愁漂う美しいトランペットを,時に無意識のうちに鼻歌で歌って失敗することがあるんです。

 …ということで『スインギン・マケドニア』の細かな内容については敢えて言及しないことにします。これだけ書けばもう十分でしょ?

  01. MACEDONIA
  02. OLD FISHERMAN'S DAUGHTER
  03. JUMBO UGANDA
  04. THE GYPSY
  05. MACEDONIAN FERTILITY DANCE
  06. BEM-BASHA
  07. SAGA SE KARAME
  08. WEDDING MARCH OF ALEXANDER THE MACEDONIAN
  09. THE NIGHTS OF SKOPJE
  10. BALCAN BLUE

(フィリップス/PHILLIPS 1966年発売/TKCB-71979)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/青木和富,田中博)

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山中 千尋 / モンク・スタディーズ5

MONK STUDIES-1 痛快・爽快・セロニアス・モンクトリビュート! 『MONK STUDIES』(以下『モンク・スタディーズ』)で「変態チック」な山中千尋が帰ってきた!

 『モンク・スタディーズ』のテーマが,あのセロニアス・モンクなのだから,山中千尋の「変態」も想定内なのだったが,ここまで“狂気のエレピ”を弾かれたら山中千尋に「現代のセロニアス・モンク」の称号を与えないわけにはいかないように思う。

 「変態」が「変態」を演奏するのだから,これはもう普通の演奏で終わるわけはないのだけども,山中千尋が真面目に「ザ・セロニアス・モンク」の世界観を掘り下げていく。「前人未到のユニークなアレンジを施しモンクス・ミュージックの核心部」へと迫っていく。

 『モンク・スタディーズ』は,完全に山中千尋の音楽している。しかし,これがどこからどう聴いてもセロニアス・モンクっぽい。ここまで雰囲気としてのセロニアス・モンクを味わえて,かつ,ジャズメンの個性を感じさせるアルバムはなかったのではなかろうか?

 アルバム・タイトルは『モンク・スタディーズ』。セロニアス・モンクから学ぼうなのか? 学んだなのか? 答えはそのどちらでもないように思う。
 【パノニカ】【ミステリオーソ】【イン・ウォークト・バド】【リズマニング】【ルビー,マイ・ディア】【クリス・クロス】【ハッケンサック】を,嬉々として,型にはまらず演奏する姿からは「これぞ,山中千尋の音楽」としての自負,誇りを感じて圧倒されてしまう。

 そう。山中千尋の「変態チック」はセロニアス・モンクという大巨匠をも呑み込んで,完全なる“山中千尋オリジナル”を確立している。
 特にそう感じるのが山中千尋エレピ使い! ローズにしてもシンセにしてもオルガンにしても,この楽曲にはこれしかない!という見事な音色のマッチングである。

MONK STUDIES-2 基本セロニアス・モンクの楽曲はどれも男っぽい。ブツ切れでゴツゴツした後味が残る。だから女性的なエレピは逃げのように思ったのだが,真実はその逆であって,もの凄い攻撃的なエレピ演奏である。
 先に書いた“狂気”を感じるのは,ガンガン叩きつける生ピアノの方ではなくエレピの長押しの方なのである。

 減衰音のピアノでは表現できない持続音のエレピの何とも伸びやかなこと! モンクス・ミュージックエレピの使用で,どこまでもいつまでも広がっていく感覚が最高なのである。
 柔らかいエレピで奏でられる朴訥なメロディーが危険度ゼロで狂っている。真面目な前衛ポップスへとモンクス・ミュージックが昇華している。

 そんな山中千尋の魅力大爆発の『モンク・スタディーズ』であるが,成功の秘訣は新リズム隊の存在にある。
 マーク・ケリーベースディーント二・パークスドラムという,HIPでHOPな非ジャズの倍音ビートが,天然産のモンクス・ミュージックを席巻していく。

 モンクス・ミュージックから,全速力で離れていく瞬間が楽しくてしょうがない! どこまで離れようともマーク・ケリーディーント二・パークス山中千尋の快感のツボを突きまくって「変態体質」のアクネを刺激している。

 そう。『モンク・スタディーズ』の真実とは「変態」の山中千尋が「変態」のリズム隊と「変態」のセロニアス・モンクを演奏する「2017年版・モンクス・ミュージックの音楽実験」なのだと思う。

MONK STUDIES-3 管理人の結論。『モンク・スタディーズ批評

 山中千尋セロニアス・モンクトリビュートが『モンク・スタディーズ』の聴き所ではなく,モンクス・ミュージックをネタとして,既存のセロニアス・モンク像を意のままにブチ壊し続ける歓びこそが『モンク・スタディーズ』の聴き所であろう。

 もっともっとモンクス・ミュージックを触媒とした山中千尋の「かわゆい顔したド変態」の本性を聴かせてほしいと思う。

PS 「MONK STUDIES-3」は販促用のクリアファイルです。

  DISC 1 CD
  01. Heartbreak Hill
  02. Pannonica
  03. Nobody Knows〜Misterioso
  04. New Days, New Ways
  05. In Walked Bud
  06. Rhythm-a-ning
  07. Ruby, My Dear
  08. Criss Cross
  09. Hackensack
  10. Abide With Me

  DISC 2 DVD
  01. Hackensack
  02. Criss Cross
  03. Rhythm-a-ning

(ブルーノート/BLUE NOTE 2017年発売/UCCQ-9303)
★【初回限定盤】 UHQCD+DVD

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アル・ディ・メオラ,ジョン・マクラフリン,パコ・デ・ルシア / フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!5

FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO-1 管理人は趣味でアルトサックスを吹きますが,一番好きな楽器は?と問われればサックスではなく(多分)ギターです。う〜む。超絶ベースだったかもです。この辺りは情緒不安定ですので…。

 それで,何が書きたいのかと問われれば,管理人は音楽にのめり込んだ中学時代から現在まで,ジャズギターギターフュージョンのアルバムで,名盤と称されるものは大抵聴いてきたということです。

 ただし,今夜取り上げる,通称「スーパー・ギター・トリオ」による『FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO』(以下『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』)は,つい最近聴いたばかりなのです。

 ゆえに“若気の至り”で,アル・ディ・メオラジョン・マクラフリンパコ・デ・ルシアによる「超高速・超絶ギター・バトル」を聴きまった思い出はありません。
 3人のスーパー・ギタリストのテクニックの応酬を聴き比べるパワーなど,40代も半ばになった今の管理人にはないことでしょう。もっと若い頃に聴いておけばよかった。

 でも逆に聴くのが遅くなったから,今なら説得力を持つのかもしれません。これまで何百枚も「ギター名盤」を聴いてきた耳を持ってして『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』の衝撃は「前代未聞」!

 『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』レベルの高速バトルは過去に例がなかったと断言できる!
 そして今後,未来永劫『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』に肩を並べるギター・アルバムも出ないように思うのです。

 今や管理人の耳は,音符以上に間の取り方にジャズっぽさを感じてしまいます。その意味でも『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』が図抜けている!
 アル・ディ・メオラジョン・マクラフリンパコ・デ・ルシアのレベルになると“超絶技巧”なる言葉では表現不足。早弾きなど「出来て当然」であって,その上でいかに音楽的なギターの“鳴り”を聴かせるか!

FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO-2 管理人の結論。『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!批評

 『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』は“売り”である,アクロバティックなギターの“名人芸”が聴き所に違いないがハイライトは「上質のジャズ・ギター」に違いない。

 そう。『フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!』は,一部のギター・キッズだけが楽しむためのアルバムではない。実に音楽的なジャズ・ギターの“鳴り”に毎回魅了されてしまう。素晴らしい。

  01. TEN TO TWO BLUES
  02. REMEMBER THOSE DAYS ( I REMEMBER O.P. )
  03. OLD FISHERMAN'S DAUGHTER
  04. I LOVE YOU
  05. A CHILD IS BORN
  06. LAST MINUTE BLUES ( BLUES TO LINE )

(ソニー/SONY 1981年発売/SICP 30304)
(☆BLU−SPEC CD2仕様)
(ライナーノーツ/成田正)

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南 博 トリオ / THE GIRL NEXT DOOR4

THE GIRL NEXT DOOR-1 『THE GIRL NEXT DOOR』は,南博ではなく「ベース鈴木正人買い」である。
 ゆえに管理人は『THE GIRL NEXT DOOR』を鈴木正人ピアノ南博ドラム芳垣安洋と組んだピアノ・トリオとして聴いている。

 感想としては鈴木正人はやっぱりいい。鈴木正人に引っ張られたのか南博ピアノもいつになく良い。
 鈴木正人は本来ジャズベーシストではないのだが,ジャズ方面でも引っ張りだこ。そうなる理由は分かる。こんなに正統派のベース・ラインを新鮮な浮遊感覚で弾き込まれたらクラクラ&キラキラする。

 『THE GIRL NEXT DOOR』で鈴木正人が演奏するのは“珠玉の”ジャズスタンダード鈴木正人コンテンポラリー寄りだとしても,当然知っているであろう名曲ばかり。
 でも鈴木正人はそこまで弾き込んではいない。弾きながら「こんな感じ?」と正解を探し当てている感じ? そこがたまらく気持ちいいベーシストなのだ。

 …と,鈴木正人を語ってみたが,管理人以上にメロメロなのが南博であろう。
 鈴木正人ベース・ラインに「ツボを突かれた」南博が,嬉々としてピアノを転がしていく。それこそ何百回も演奏してきたであろうジャズスタンダードのスタイルそのままに,インタープレイを繰り返しながら方向性を固めているように聴こえる。

THE GIRL NEXT DOOR-2 菊池成孔南博を「最も敬愛するジャズピアニスト」と呼んだ理由はこれだったんだ…。
 鈴木正人ベース・ラインの揺れに応じて,南博ピアノも揺れる。バッチリ呼吸が合っている。無理に飛翔しようとせず,駈けずり廻ろうともしない。全く考えていなそうなのに,やっぱり理知的で耽美的なんだよなぁ。

 南博の美意識『THE GIRL NEXT DOOR』に極まりけり!

  01. The Girl Next Door
  02. Bye-Ya
  03. But Not For Me
  04. I Love You Porgy
  05. Nefertiti
  06. Doxy
  07. Blame It On My Youth
  08. Goodbye Pork Pie Hat
  09. Epilogue

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2010年発売/EWCD-0174)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/村井康司)

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チャールス・ミンガス / チェンジズ・トゥー5

CHANGES TWO-1 チャールス・ミンガスが「『CHANGES ONE』(以下『チェンジズ・ワン』)と『CHANGES TWO』(以下『チェンジズ・トゥー』は,僕がこれまでに作ったベスト・アルバムだ」と語ったと聞いたら,にわかミンガス・ファンだとしても,これは聴くしかないでしょう。

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』におけるミンガス・ミュージックが最高にロマンティックしている。
 強面のチャールス・ミンガスであるが,中身=チャールス・ミンガスの音楽家魂が「恋愛小説の乙女」している。甘美なメロディーなのに全くエロさがない。綿密で洗練されたドラマティックなラブ・ソングの大名盤の誕生である。

 そう。『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』には,チャールス・ミンガスの理想が素直に音楽で記録されている。ケダモノのようなチャールス・ミンガスが本当に強力で,かつ優雅で美しいと思う。
 真に音楽を聴いて感動する。そんな経験が普段音楽に接することのない人でも経験できる大名盤に違いないのだ。

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』の基本はハード・バップである。ただし,単なるハード・バップへの回帰作ではない。チャールス・ミンガスが真正面からジャズを捉えている。これこそがチャールス・ミンガス一流の「CHANGE」!

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』でのチャールス・ミンガスの「CHANGE」は2つ。
 1つ目の「CHANGE」はミンガス・コンボの再編である。女房役のドラマーダニー・リッチモンドだけを残留させて,新メンバーとして,トランペットジャック・ウォルカステナーサックスジョージ・アダムスピアノドン・ピューレンという若き名手たちを起用している。「ミンガス・スクール」の発掘力は真に凄い。

 2つ目の「CHANGE」はミンガスの作編曲に表われた作風の変化である。敬愛するデューク・エリントンの死,そのデューク・エリントンオーケストラの重鎮だったハリー・カーネイの死を受けて,チャールス・ミンガスの創造性が再び爆発している。
 自分の思いの丈,そして新メンバーの煌めく個性に接して,チャールス・ミンガスの特長である雄大なスケール感が更に増している。
 そして表面に現れるチャールス・ミンガスの1番の変化が「怒りの感情の消失」である。

 例えば『チェンジズ・トゥー』収録の【F監房はアメリカ版ナチ収容所】とは,黒人差別に抗議する反白人のメッセージ・ソングであるが,そんな背景など知らずにメロディーだけを聴いていると,実に軽やかで優しい音楽である。厳しさの裏に愛情を感じる音楽である。チャールス・ミンガスの“懐の深さ”を感じずにはいられない。

CHANGES TWO-2 なぜチャールス・ミンガスは「チェンジ」を宣言したのだろう? 
 それこそが,永遠の師匠=デューク・エリントンの「遺志を継ぐ」「位牌を継ぐ」ことにあると思う。怒りの感情を捨て【敬愛する・エリントン・サウンド】を継続・発展させることに残りの人生を費やす腹づもりだったと思う。
 つまりチャールス・ミンガスは自分の我を捨て去った。これこそが最大の「チェンジ」である。

 バラク・オバマさん。世界平和を作り出すには怒りではなく愛や自己犠牲の精神が必要なのです。そのことをチャールス・ミンガス一流の「CHANGE」から学んでほしかった。
 管理人にとって「CHANGE」と来れば,オバマ元大統領ではなくチャールス・ミンガスのことなのである。ちゃんちゃん。

  01. FREE CELL BLOCK F, 'TIS NAZI U.S.A.
  02. ORANGE WAS THE COLOR OF HER DRESS, THEN SILK BLUE
  03. BLACK BATS AND POLES
  04. DUKE ELLINGTON'S SOUND OF LOVE
  05. FOR HARRY CARNEY

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1975年発売/WPCR-27144)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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NHORHM / NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL4

NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL-1 古くからジャズという音楽は,クラシック,ポップス,ミュージカル,ロックの有名曲を取り込んで「ジャズ化」してきた。
 その結果,今では原曲以上に有名なジャズスタンダードとして演奏され続ける名曲が多数存在する。それも当然!
 ジャズの魅力はアドリブにある。手癖のつきまくった美メロを,如何に自分流に料理するか? どこまで崩せるか?に命を燃やすのだから…。

 さて,西山瞳が主宰する「NHORHMNEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL)」のモチーフはヘヴィ・メタルである。
 ヘヴィ・メタルの名曲を「ジャズ化」した企画は斬新ではあるが,上記に記した通り,原曲がヘヴィ・メタルかどうかはほとんど関係ない。

 『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』を語る上で重要なのは(ヘヴィ・メタルに限らず)西山瞳自身がカヴァーしたいと熱望する曲をカヴァーしたという事実。この1点に尽きる。

 極論を語れば,仮にカヴァー曲の題材がクラシック集であったとしても,西山瞳のテンションは『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』の雰囲気とそう変わらないのでは?
 それくらいに完璧に「ジャズ化」が完了していると思う。「これぞ,西山瞳の世界」というレベルにまで落とし込まれている。

 管理人の結論。『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL批評
 西山瞳と来れば「北欧ジャズ」とか「ヨーロピアン・ジャズ」のイメージが強いが『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』もどことなく“ヨーロピアンの香り”漂う,完全なるコンテンポラリー・ジャズ・アルバムである。

 その意味で,元ネタなどは関係なしに,いつも通りの西山瞳のアルバムとして受け止めることができる。ゆえに西山瞳の大暴れを期待するファン,あるいはヘヴィ・メタル好きがジャズ方面への第一歩として聴くアルバムとしては不向きだと思う。
( ヘヴィ・メタル好きの皆さんは西山瞳ではなくて上原ひろみを聴いてください! )

 『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』を「ヘヴィ・メタルの「ジャズ化」アルバムとして売り出すのは無理がある。
 緻密でスリリングな展開は原曲の魅力なのでしょう。演奏自体は巷のピアノ・トリオと比較しても激しい部類には入らない「陰影系」だと思うのですが…。

NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL-2 管理人も中坊時代はメタルにハマっておりましたが『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』収録曲は1曲も知らない。
 だから管理人にとっては全曲が新曲。新曲を西山瞳が妙に気合いを入れて演奏している。『NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL』の聴き所はそこにある。それだけで十分楽しめる。

 ジャズスタンダードピアノで弾いても,ヘヴィ・メタルピアノで弾いても,西山瞳西山瞳
 西山瞳さん,今も昔も心の中はロックン・ロールしてたのですねっ。

  01. In the Dead of Night
  02. Walk
  03. Man on the Silver Mountain
  04. Skin O' My Teeth
  05. Fear of the Dark
  06. Upper Levels
  07. 悪夢の輪舞曲
  08. Demon's Eye
  09. The Halfway to Babylon
  10. Green-Tinted Sixties Mind

(アポロサウンズ/APOLLO SOUNDS 2015年発売/APLS1510)
(ライナーノーツ/西山瞳,KIKO LOUREIRO,マーティ・フリードマン,大村孝佳,鈴木ヤスナリオ)

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チャールス・ミンガス / チェンジズ・ワン5

CHANGES ONE-1 チャールス・ミンガスが「『CHANGES ONE』(以下『チェンジズ・ワン』)と『CHANGES TWO』(以下『チェンジズ・トゥー』は,僕がこれまでに作ったベスト・アルバムだ」と語ったと聞いたら,にわかミンガス・ファンだとしても,これは聴くしかないでしょう。

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』におけるミンガス・ミュージックが最高にロマンティックしている。
 強面のチャールス・ミンガスであるが,中身=チャールス・ミンガスの音楽家魂が「恋愛小説の乙女」している。甘美なメロディーなのに全くエロさがない。綿密で洗練されたドラマティックなラブ・ソングの大名盤の誕生である。

 そう。『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』には,チャールス・ミンガスの理想が素直に音楽で記録されている。ケダモノのようなチャールス・ミンガスが本当に強力で,かつ優雅で美しいと思う。
 真に音楽を聴いて感動する。そんな経験が普段音楽に接することのない人でも経験できる大名盤に違いないのだ。

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』の基本はハード・バップである。ただし,単なるハード・バップへの回帰作ではない。チャールス・ミンガスが真正面からジャズを捉えている。これこそがチャールス・ミンガス一流の「CHANGE」!

 『チェンジズ・ワン』と『チェンジズ・トゥー』でのチャールス・ミンガスの「CHANGE」は2つ。
 1つ目の「CHANGE」はミンガス・コンボの再編である。女房役のドラマーダニー・リッチモンドだけを残留させて,新メンバーとして,トランペットジャック・ウォルカステナーサックスジョージ・アダムスピアノドン・ピューレンという若き名手たちを起用している。「ミンガス・スクール」の発掘力は真に凄い。

 2つ目の「CHANGE」はミンガスの作編曲に表われた作風の変化である。敬愛するデューク・エリントンの死,そのデューク・エリントンオーケストラの重鎮だったハリー・カーネイの死を受けて,チャールス・ミンガスの創造性が再び爆発している。
 自分の思いの丈,そして新メンバーの煌めく個性に接して,チャールス・ミンガスの特長である雄大なスケール感が更に増している。
 そして表面に現れるチャールス・ミンガスの1番の変化が「怒りの感情の消失」である。

 例えば『チェンジズ・ワン』収録の【アッテカ刑務所事件のロックフェラーを忘れるな】とは,黒人差別に抗議する反白人のメッセージ・ソングであるが,そんな背景など知らずにメロディーだけを聴いていると,実に軽やかで優しい音楽である。厳しさの裏に愛情を感じる音楽である。チャールス・ミンガスの“懐の深さ”を感じずにはいられない。

CHANGES ONE-2 なぜチャールス・ミンガスは「チェンジ」を宣言したのだろう? 
 それこそが,永遠の師匠=デューク・エリントンの「遺志を継ぐ」「位牌を継ぐ」ことにあると思う。怒りの感情を捨て【敬愛する・エリントン・サウンド】を継続・発展させることに残りの人生を費やす腹づもりだったと思う。
 つまりチャールス・ミンガスは自分の我を捨て去った。これこそが最大の「チェンジ」である。

 バラク・オバマさん。世界平和を作り出すには怒りではなく愛や自己犠牲の精神が必要なのです。そのことをチャールス・ミンガス一流の「CHANGE」から学んでほしかった。
 管理人にとって「CHANGE」と来れば,オバマ元大統領ではなくチャールス・ミンガスのことなのである。ちゃんちゃん。

  01. REMEMBER ROCKEFELLER AT ATTICA
  02. SUE'S CHANGES
  03. DEVIL BLUES
  04. DUKE ELLINGTON'S SOUND OF LOVE

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1975年発売/WPCR-27143)
(ライナーノーツ/後藤誠)

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KK JAM / KK JAM II4

KK JAM II-1 「KK JAM」の2ndKK JAM 』を聴いて感じるのは,窪田宏キーボードの充実ぶりである。

 「KK JAM」とは,窪田宏メロディー勝田一樹と分け合い,リズムを石川雅春と分け合い,それ以外の音は全て窪田宏キーボードで演奏する“GROOVEトリオ”だということ。

 「KK JAM」の全ての要素に首を突っ込む(手と足を突っ込む)窪田宏が「一切のギミックを排したGROOVYオルガン」を演奏している。エレクトーンの延長線上には,こんなにも凄い音楽が待ち受けていたのだった。凄いぞ,窪田宏〜!

 さて『KK JAM 』を今度は勝田一樹の視点から見つめてみれば「これって,初期“超絶技巧”夜明け前なDIMENSION」の再演では?と思ってしまうのだから面白い。
 『KK JAM』にはなかったメロディアスな【KOOL TIME】【STREAM LINE】なんかは『SECOND DIMENSION』とか『THIRD DIMENSION』辺りの香りがプンプン。← ここに石川雅春の存在価値があると言ったら失礼なのですが…。

 実は勝田一樹のファンとしては「JAFROSAX」と「KK JAM」の位置付けと言うか棲み分けと言うか,2つのプロジェクトが被って聴こえて,明確な違いが分からなかった。
 だから「KK JAM」の立ち上げは,いつものダンス系,クラブ系の病気が発症したとしか思えていなかった。

KK JAM II-1 2ndKK JAM 』を聴いてみて,やっと「JAFROSAX」と「KK JAM」が区別できた思いがする。
 どちらのプロジェクトも共通してクラブ・ジャズを演奏しているに違いはないが「JAFROSAX」とは「JAZZTRONIK」方面の「クラブ・ジャズのポップス化」にあるとすれば(つまりはもっとメジャーに!)「KK JAM」の方は「クラブ・ジャズの文脈におけるセッションの意義」にあるのだと思う(つまりはもっとマイナーに!)。

 『KK JAM 』を聴いてみて「勝田一樹はこうでなくっちゃ!」と一人合点がいった今日この頃である。

  01. Funky D Town
  02. Kool Tune
  03. The Joker
  04. Stream Line
  05. Summertime
  06. Side Slip
  07. Trans Fuse
  08. High Spirits

(ヒヨレコード/HIYO RECORDS 2008年発売/XQBD-1006)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/櫻井隆章)

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CTIオールスターズ / リズムスティック5

RHYTHMSTICK-1 「CTIオールスターズ」の大名盤RHYTHMSTICK』(以下『リズムスティック』)が素晴らしい。
 ここまで完璧な「ブラジリアン・アフロ・キューバン」なのに「アフリカン・ジャズ」って,後にも先にも前例がない。

 唯一『リズムスティック』を聴いていると,自然と頭に浮かぶのがデオダートの『ツァラトゥストラはかく語りき』である。
 両者共にクリード・テイラー印の歴史的名盤なのだからサウンドの傾向は似ているのだろう。しかし,理由はそうでない。
 管理人は『リズムスティック』と『ツァラトゥストラはかく語りき』の2枚だけに,他の名盤のどれとも異なる独特の興奮を覚える。何十回聴いても気分が高揚する。人生の楽しみというか,ワクワク感というか,子供の頃に抱いていた明るい未来を完璧にハーモニーで表現出来ている。

 『リズムスティック』は「CTIオールスターズ」名義(のサウンドトラックらしい)。
 トランペットディジー・ガレスピートランペットアート・ファーマートランペットランディ・ブレッカートランペットジョン・ファディスアルトサックスフィル・ウッズテナーサックスソプラノサックスボブ・バーグパーカッションアイアート・モレイラパーカッションティト・プエンテヴォーカルフローラ・プリムドラムマーヴィン・スミッティ・スミスギターロメロ・ルバンボギタージョン・スコフィールドギターロベン・フォードベースチャーリー・ヘイデンベースアンソニー・ジャクソンシンセサイザージム・ベアード ETC

 『リズムスティック』の最高は,上記クリード・テイラー人脈の超豪華スーパースター軍団の演奏の良さに秘密があるのか? それとも名曲ばかりの選曲の良さに秘密があるのか? いやいや,演奏とメロディーの相乗効果にある!でしょう。

 とにかく曲がいいのだが「CTIオールスターズ」の名手たちが,美メロをこれ以上ないハーモニーで表現しきっている。凄いんだけど聴き馴染みが本当に良い。頭の中でいつまでもリフレインする名曲&名演集の決定版の1枚である。

RHYTHMSTICK-2 きっと『リズムスティック』を脳細胞が受け入れている。『リズムスティック』の美メロが身体全体に沁み込んでいく。そう感じるジャズフュージョンは『リズムスティック』と『ツァラトゥストラはかく語りき』の2枚だけなのです。

 …ということで管理人の薀蓄はおしまいです。『リズムスティック』は,とにかく食べて飲んでみる! 身体が喜ぶ「ブラジリアン・アフロ・キューバン・アフリカン・ジャズ」の最高峰!

  01. CARIBE
  02. FRIDAY NIGHT AT THE CADILLAC CLUB
  03. QUILOMBO
  04. BARBADOS
  05. WAITING FOR ANGELA
  06. NANA
  07. SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE
  08. COLD DE RIO
  09. PALISADES IN BLUES
  10. WANBA

(CTI/CTI 1990年発売/POCJ-2332)
(ライナーノーツ/ジーン・リース)

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KK JAM / KK JAM4

KK JAM-1 「KK JAM」とは,サックス勝田一樹の「」とキーボード窪田宏の「」のダブルの「」にドラム石川雅春をリーダーとする“GROOVEトリオ”。

 石川雅春が目指した「KK JAM」とは,小野塚晃にはない,窪田宏特有の「GROOVEDIMENSION」であろう。
 しかし「KK JAM」の1stCDKK JAM』は,石川雅春勝田一樹DIMENSIONの3分の2が揃っているにも関わらず,イメージとしてはDIMENSIONではないし,勿論,窪田宏TRIX寄りでもない。
 ベースレスのトリオなのに,身体の底からグングンくるビート・イン・ビートは,窪田宏の足鍵でのバッキングとハーモニー!

 どんなに難しいユニゾンをキメまくっていようと『KK JAM』の印象は,窪田宏の作り出す“GROOVEの渦”を下から支える石川雅春+上から混ぜる勝田一樹の“SOLID”すぎる「KK JAM」のジャム・セッション
 それくらいに「KK JAM」=窪田宏の個性=エレクトーンシンセサイザー・サウンドが“光っている”&“際立っている”!

 そう。「KK JAM」とは,基本ジャム・セッション・スタイルでの音と音とのぶつかり合い! これがコアすぎてメロディーを追いかけている時間などほぼ残されていない。
 と言うか『KK JAM』の印象は,ほぼ一本調子。緊張感で張りつめた空気感が伝わってくる。この「場の空気」を変える唯一の武器が窪田宏の必殺・足鍵盤でのベース・ライン。勝田一樹サックスの動きに合わせて,1曲毎に表情を変えるベース・ラインの展開を耳で追うのが最高に楽しい。

 個人的にはラストのバラード・ナンバー【TUNE REQ】で“GROOVEの渦”をクールダウンする3人のミュージシャン・シップが気持ち良い。【TUNE REQ】を聴くために“アゲアゲのムチャブリ”で6曲30分間の間,アクセル全開でぶっ飛ばしてきたような気分なのです。

KK JAM-2 【TUNE REQ】のバラードなのに“GROOVEする”窪田宏の足ベースを聴いてみて欲しい。
 本当に足で弾いてるの?と思わせる,全く狂いなくピタっとハマる“静かなGROOVE”!

 おおっと,石川雅春の重いビートにキレが加わる,大技&小技でフロントを引き締めるドラミングもお聴き逃しなく!
 おおっと,勝田一樹の「ファズで泣き,フラジオで叫ぶ」テナーサックスもお聴き逃しなく!

  01. Duration
  02. Wind It Up
  03. Moment
  04. Obsession
  05. Latch Mode
  06. Groove Jam
  07. Tune Req

(ヒヨレコード/HIYO RECORDS 2006年発売/XQBD-1002)
(ライナーノーツ/櫻井隆章)

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デイヴ・ウェックル・アコースティック・バンド feat. 小曽根真,トム・ケネディ,ゲイリー・ミーク / オブ・ザ・セイム・マインド5

OF THE SAME MIND-1 「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」というバンド名は,かつてデイヴ・ウェックル自身が在籍した「チック・コリアアコースティック・バンド」を想起させる。
 しかし「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」とは,チック・コリアが「エレクトリック・バンド」と「アコースティック・バンド」を音楽性によって使い分けていたような「デイヴ・ウェックル版」の“派生バンド”などではない。

 あのデイヴ・ウェックルが,あの小曽根真が,あのトム・ケネディが,あのゲイリー・ミークが,ガチンコでインプロヴィゼーションの完璧な出来に酔いしれている。
 あのデイヴ・ウェックルが,あの小曽根真が,あのトム・ケネディが,あのゲイリー・ミークが,前のめりなアンサンブルに酔いしれている。

 ズバリ「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」の真実とは,プロのジャズメンが背負っているコマーシャリズム抜きに,自分たちが今本当に演奏したい音楽を純粋に演奏するためのバンドである。超多忙な“売れっ子”4人が結成した「自分たちの楽しみのための」リハーサル・バンドで間違いない。

 しか〜し,このリハーサル・バンドは,仕事以上に真剣勝負。事実,こんなにも本気で,こんなにも聴いて疲れるジャズバンドを聴いたのは久しぶりのことである。
 「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」の「音楽の会話」が周囲に漏れ出してしまっている。『OF THE SAME MIND』(以下『オブ・ザ・セイム・マインド』)に充満している,音の密度,音の鮮度に「完敗」してしまったのだ。

 デイヴ・ウェックルドラム小曽根真ピアノトム・ケネディベースゲイリー・ミークサックスが全て『オブ・ザ・セイム・マインド』の譜面通りに演奏されてはいない。
 小曽根真の仕掛けがバレテ,ニヤツイテいる瞬間や,トム・ケネディの難解な結び目を,デイヴ・ウェックルがまず見つけ,次に小曽根真が紐解いたものの,ついにゲイリー・ミークが最後まで解読できずに終わった瞬間の爆笑ムードたるや,これぞエンターテイメントの極致であろう。

 4人が4人とも,同じ空気を吸い,同じことを考え,新しいアプローチを試みる実験の場としての「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」。
 デイヴ・ウェックルのキメッキメはいつも通りなのではあるが,構成を練り上げた商業作品とは一線を画す,勢い一発で手加減知らずの「ケンカ」ジャズバンドなのに,誰がどう崩しても最終的には合ってしまうのだから・た・ま・ら・な・い!

 ズバリ『オブ・ザ・セイム・マインド』のまとまりの秘訣とは,デイヴ・ウェックルスティック1本の指揮にある。
 華々しいソロの裏側で,こんなにも丁寧に音を重ね,刺激を送り続け,献身的にサポートしている小曽根真は聴いたことがない。超絶技巧で弾き倒すトム・ケネディにしても,ゲイリー・ミークにしても,バンドマンのスタンスで自らの個性を鳴らしていく。

 そう。デイヴ・ウェックルが,小曽根真が,トム・ケネディが,ゲイリー・ミークが「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」のサウンドの一部として機能することを自ら熱望している。
 4人が4人とも,このバンド・サウンドこそが「ガチの自分」という思いなのだろう。

OF THE SAME MIND-2 自分の趣味を追及するために結成したバンドのはずだったのに,演奏を重ねるにつれ,実は自分のやりたい音楽とはデイヴ・ウェックルが志向するジャズだったことに気付いてしまった?
 実は自分のやりたい音楽とは他のメンバーへのサポートだったことに気付いてしまった?

 デイヴ・ウェックルの持つバカテクとユーモアが,小曽根真トム・ケネディゲイリー・ミークを魅了してやまない「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」のバンド・サウンド。

 世界的名手4人による,手加減なしの全力投球,が駆け出しのプロだった頃の瑞々しさに熟練のパワーを兼ね備えた大名盤。こんなにもワクワクするジャズバンドは自分だけのものしておきたい。

 そう。リハーサル・バンド=「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」の結成を決めた瞬間のデイヴ・ウェックル小曽根真トム・ケネディゲイリー・ミークのように…。

  01. What Happened To My Good Shoes
  02. Something's Happening
  03. Songo Mikele
  04. Stay Out
  05. Koolz
  06. Stella On The Stairs
  07. Pacific Grove Fog
  08. Agua De La Musica
  09. All Blues
  10. Nothing Personal

(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2015年発売/UCCU-1493)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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