アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2018年04月

T-SQUARE / CITY COASTER5

CITY COASTER-1 理由があって(福岡市内での引っ越しと霧島の別荘の引っ越しがダブルで重なり不動産4件の契約と解約もろもろで)発売日から3日後に『CITY COASTER』を聴くことになった。
 毎年の新譜をほぼフラゲして聴き続けてきたスクェア・ファンとしては,遅れを取り戻すべく?喰い気味で拝聴した久々のアルバムとなった。ここ数日は自分のことをする暇などなくジャズフュージョンも(そしてラジオも)聴く時間がなかったことも重なって,一心に拝聴したアルバムとなった。

 何を書きたいのかと言うと『CITY COASTER』でスクェア熱が爆発したということ。このウォーッと来る感覚は「河野坂東時代」に入ってからは『33(THIRTY−THREE)』でWピースした時か『NINE STORIES』でメロメロになった時以来の感覚がある。2週目にして『CITY COASTER』全曲を何度も聴きたいと思うようになった。

 だから名盤CITY COASTER批評はクラクラさせてください。フラフラさせてください。書きたいことが次々に浮かんでは消えていくので,大絶賛の備忘録的な感じで…。

 そもそも『REBIRTH』の劇的な評価UPについて書かないと始まらない。『REBIRTH批評を書いた時点では『REBIRTH』の出来は「まぁまぁ」であった。『REBIRTH』の長所よりも欠点にどうしても目が行ってしまう。そんなアルバムだった。
 だけど1年間,事あるごとに『REBIRTH』を聴きたくなってしまう症状に襲われ,坂東慧の“天才”に改めて気付いてしまったんだよなぁ。これが!

 だから『CITY COASTER』を聴いた1巡目も,1巡目なのに安藤正容ギターでもなく,伊東たけしサックスでもなく,河野啓三キーボードでもなく,坂東慧ドラミングに聴き惚れてしまった。
 いいや,POPな楽曲作りの才に惚れ込んだ。今回も「凄いぞ・名演&凄いぞ・名曲」坂東慧〜!

 上記の『REBIRTH』の流れで書き足します。『CITY COASTER』には伊東たけしEWIがない。これには驚いた。
 『CITY COASTER』にはスペシャル・ゲストとして,トロンボーン湯浅佳代子トランペット山崎千裕が参加した「目指せ! クルセイダーズ」なのが影響しているのだろうが,キッパリEWIを封印したのには驚いた。
( もう一方,ゲスト参加の大御所=パーカッションレニー・カストロ名演もお聴き逃しなく! )

 続けて『REBIRTH』の「バラードなし」の反動なのか『CITY COASTER』にはスロー・ナンバーが3曲目,5曲目,8曲目に配置されている。個人的にはこの3曲が彩る抑制美が『CITY COASTER』の休火山のように思える。← 今週,霧島市へ行った時に霧島連山の硫黄山がまた噴火したらしくて。そんなニュースからの休火山〜。

 そう。休火山があれば活火山がある。『CITY COASTER』の代表曲は3〜5曲目の前後である【CITY COASTER】と【幻想の世界】の2トップ。
 ただし個人的には“神曲”【CITY COASTER】を受けて,地味にジワジワな【FROM NOW ON】が大変気に入りました。スピード感ある懐メロのはずなのに最新のリズムで頭パニック&ウキウキ!

 安藤正容が目指すところの「クルセイダーズ的」なナンバーはラストの【TRAP IT】の1曲のみ。残る楽曲は「目玉の」トロンボーンサックスのアンサンブルためにアレンジされた“スクェア印”のGOGO。
 つまり『CITY COASTER』の真実とは40周年記念盤ではなく,T−スクェア単体としての“極上の”ニュー・アルバムなのである。

CITY COASTER-2 最初に『CITY COASTER』の情報が出てきた時は,30周年の『WONDERFUL DAYS』〜35周年の『SMILE』のような,40周年記念の「T−スクェアスーパーバンド」を期待していたものだから,仙波清彦田中豊雪則竹裕之須藤満宮崎隆睦和泉宏隆の代役に「トロンボーン奏者・オーディション」かよ〜。安藤さんも相当苦しそうだな〜って勝手にイメージしてしまっていた。

 安藤さん。またしてもすみませんでした。「飛車角金銀落ち」だと思った『CITY COASTER』は『WONDERFUL DAYS』と『SMILE』を越えてきました。坂東慧の“天才”が進化しておかげですねっ。

 今日書いておきたいのはこれぐらいだったかなぁ。OH!最後に1点あった。以下,公式フェイスブックからの引用文です。
 「今回のアルバムデザインは遊び心をたくさん詰めた作品となっており,スリーブデザインの中に,今作「CITY COASTER」の世界観を表現すべく,過去作のとあるタイトルとT-SQUAREのロゴが隠れています!!是非探してみてください。隠れタイトルは初回プレス限定の仕様となっておりますので,是非,お早めにご購入ください」。

 でっ,管理人が購入したCDのスリーブケースの上辺に,隠れタイトル『REBIRTH』の文字を発見。これって『CITY COASTER』は『REBIRTH』の続編って意味? 『REBIRTH』以外の「過去作のとあるタイトル」もランダムで書かれているのかな? ファンとしては妙に気になった次第です…。

  DISC 1
  01. City Coaster
  02. From Now On
  03. In My Dreams
  04. Better Than Yesterday
  05. Sleepless Night
  06. 幻想の世界
  07. Trade Wind
  08. Everlasting Dream Part II
  09. Trap It

  DISC 2 DVD
  01. Truth <2016/7/18 Zepp Nagoya>

(オレンジレディ/ORANGE LADY 2018年発売/OLCH 10010〜11)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
★【初回生産限定盤】ボーナスDVD付 2枚組
★【初回生産限定盤】三方背BOX仕様
★音匠仕様レーベルコート

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

桑原 あい トリオ・プロジェクト / ラブ・テーマ3

LOVE THEME-1 「桑原あいトリオ・プロジェクト」の真実とは,桑原あいオリジナル曲を演奏するピアノ・トリオにして,森田悠介が「裏」で桑原あいを回すためのプロジェクトであったはず。

 なのに「桑原あいトリオ・プロジェクト」名義の4枚目にして,このコンセプトが変化した。
 そう。『LOVE THEME』(以下『ラブ・テーマ』)で演奏するのは,桑原あいオリジナル曲なしの全曲有名曲のカヴァー集である。
 加えて,ベースエレベ森田悠介が半分で,もう半分がコントラバス須川崇志という新編成である。

 森田悠介を相当買っていると公言していたくせに,須川崇志も大好きなベーシストなので,どちらかというと「桑原あいトリオ・プロジェクト」の“ワンランク上の変化”を期待して購入したのだが…。

 『ラブ・テーマ』は全然ダメだ。こんなにもありきたりな演奏だとは思わなかった。曲をなぞっただけの感じに落ち着くとは思わなかった。
 森田悠介よ,一体どうしたのだ…。「桑原あいトリオ・プロジェクト」においては「裏方」の森田悠介の才能の方が「メイン」を張る桑原あいの才能以上だと高く評価していたのに…。

 『ラブ・テーマ』の選曲もミスったと思う。スローからミディアム・テンポ中心なのでヒーリング系とかクラシック調とかのBGMを狙っているのか?
 「上原ひろみプログレ桑原あい」のイメージだったから尚更ガッカリである。どうせカヴァーをやるのなら,例えば,西山瞳が主宰する「NHORHMNEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL)」のようにHRHMの方が潔いし上手く行く。

 桑原あいにはスロー・バラードではなくハードでガンガンでギンギンの方が様になる。森田悠介もその辺は熟知したうえでのイメージ・チェンジ?
 アレンジにしても,それこそ山中千尋のように原曲の面影が残らないくらい激変しているわけではない。とにかく『ラブ・テーマ』について言いたいのは“大人しすぎる”。

LOVE THEME-2 ファンならずとも,桑原あい本人もちょっと違うと思ったのではなかろうか? 結果『ラブ・テーマ』が「桑原あいトリオ・プロジェクト」名義の最終作。

 非オリジナルにしてスロー系の『ラブ・テーマ』が失恋もどきで暗いジャズ・ピアノ集。聴いていて楽しいアルバムではない。
 将来“蜜月関係”が復活することがあるにしても,駄盤『ラブ・テーマ』で,これまでの順調で良好な関係が一時終了したのだ。

 その桑原あい森田悠介の間に割って入ったのがドラム石若駿桑原あいも今時の独身女性の一人である。
 森田悠介から石若駿へ目移りしたとしても,それが音楽的な意味合いであれば悪いことではないと思います。ですが真相は…。

  01. Amapola〜Deborah's Theme (from“Once Upon A Time In
     America”)

  02. Here There And Everywhere
  03. Finale (Tango Apasionado)
  04. In Your Own Sweet Way
  05. Nomad
  06. Barry Lyndon (Love Theme) (from“Barry Lyndon”)
  07. 21st Century Schizoid Man
  08. Peace
  09. Grandfather's Waltz
  10. A Journey To Reedham

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2015年発売/EWER-1004)
(紙ジャケット仕様)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

エリック・アレキサンダー / サミット・ミーティング4

SUMMIT MEETING-1 破竹の快進撃を続けるエリック・アレキサンダーの2管編成クインテットSUMMIT MEETING』(以下『サミット・ミーティング』)のキーワードは“安定と洗練”である。

 トランペットニコラス・ペイトンを迎えて繰り広げられたユニゾンとバトルが,胸のすく王道ハード・バップに仕上げられている。
 エリック・アレキサンダーの自信に満ちたテナーサックスが,アンサンブルをどっしりと下支えしている。変な小細工など一切なし。安心して,現代に復興された上質なハード・バップを楽しむことができる。

 しかし,ここまで滑らかな演奏集を聴いていると,諸手を上げて喜ぶことが出来ない。人間って本当に「無いものねだり」ばかり。何もここまで無駄を削ぎ落とさなくても…。
 元来,エリック・アレキサンダーは名うてのテクニシャンであった。ミストーンなどデビュー・アルバム『STRAIGHT UP』の時点で一音もないくらい。

 そんなエリック・アレキサンダーが『サミット・ミーティング』で妙に丸くなった気がした。シカゴ・テナー伝統の「力任せに吹き上げる」男気溢れるエリック・アレキサンダーをもっともっと聴きたいのだ。

 自分の中のエリック・アレキサンダーへ寄せる思いがどこにあるのかを『サミット・ミーティング』を聴いて自覚してしまった。“安定と洗練”は決して悪いことではない。
 ただし,エリック・アレキサンダーのシカゴ・テナーに魅了されてきたファンとしては『THE SECOND MILESTONE』で突き抜けた,あの路線をそのままブレずに突き進んでくれるものと思っていた。だから何だかなぁ。

 『サミット・ミーティング』での“非の打ち所のない”テナーサックスに逆にモヤモヤしてしまう。ヴィンテージの良さって,年々,魅力が増していくじゃないですかぁ。
 『サミット・ミーティング』での“安定と洗練”を聴いていると,ヴィンテージの良さが色褪せて,大量生産消耗品の1つとして出回っていく感じ?

SUMMIT MEETING-2 どうやら管理人の求めている方向性とドンピシャで交わったのは『THE SECOND MILESTONE』1枚だけだったみたいです…。
 『サミット・ミーティング』以降のエリック・アレキサンダーは「円ではなくて楕円」だったみたいです…。

 楕円には周期がある。またいつか管理人の大好きなエリック・アレキサンダーと巡り会える。そう信じたい。
 …ということで『サミット・ミーティング』以降のエリック・アレキサンダーは不定期購入。気に入ったアルバムだけを紹介いたします。

  01. SUMMIT MEETING
  02. THE SWEETEST SOUNDS
  03. THERE BUT FOR THE GRACE OF...
  04. I HAVEN'T GOT ANYTHING BETTER TO DO
  05. A HOUSE IS NOT A HOME
  06. THIS GIRL'S IN LOVE WITH YOU
  07. SOMETHING'S GOTTA GIVE
  08. ANDRE'S TURN
  09. AFTER THE RAIN

(マイルストーン/MILESTONE 2002年発売/VICJ-60963)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

桑原 あい トリオ・プロジェクト / フロム・ヒア・トゥ・ゼア5

FROM HERE TO THERE-1 「桑原あいトリオ・プロジェクト」である。「トリオ・プロジェクト」と聴いたら,まずは上原ひろみを連想するものであろう。
 これって上原ひろみと比較させるための桑原あいの戦略なのだろうか? 管理人は桑原あいによる「上原ひろみのフォロワー宣言」だと受け取った。
 そう。桑原あいが溺愛する上原ひろみのスタイルとは,実はピアニストの部分ではなくて,あのアグレッシブでプログレッシブな作編曲能力にある。

 その点で“天才”上原ひろみはギリギリまでいっても破綻しないのだが,桑原あいは途中で飛び立ってから元へ帰って来れない部分がある。いいや,一度破綻してからが“勢い勝負”。若干21歳の女子である。力業でアクロバティックに着地してみせる。若さだよねぇ。聴けば聴くほど面白くなる!

 プロとしての経験を積めば積む程『FROM HERE TO THERE』(以下『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』)のような“破天荒な”アルバムは作りにくくなると思う。桑原あい自身も,もう2度と同じものを作ることなどできやしない「幻のお化けアルバム」の誕生であった。
 そう。桑原あいの「アイディアがグッチャグチャ状態の頭の中」がそのまんま音として記録されたのが『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』である。

 いや〜,インディーズっていいですね。何の制約もなく本当にやりたい音楽を形にして発売することができる。『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』こそが「桑原あい100%」(アキラ100%風)の魅力であろう。
 ただし『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』が「桑原あい100%」に聴こえるのは,バンド・リーダーであるベース森田悠介の才能が大きい。

 桑原あいの「アイディアがグッチャグチャ状態の頭の中」を理路整然と形にしている。それも今となっては“確信犯”であろうが,森田悠介の好みのアイディアだけを桑原あいの頭の中ら抜き出している。

 ズバリ「桑原あいトリオ・プロジェクト」の真実とは,桑原あいオリジナル曲を演奏するピアノ・トリオにして,森田悠介が「裏」で桑原あいを回すためのプロジェクトなのである。

FROM HERE TO THERE-2 その意味で管理人は「桑原あいトリオ・プロジェクト」を「ジャズフュージョン界のドリカム」に例えよう。
 桑原あいを語るのなら,比較対象は上原ひろみではなくて吉田美和の方である。裏でガッツリとプロデュースする森田悠介によって,桑原あいが最高の演者として,前面で輝くためのピアノ・トリオなのだと思う。

 森田悠介押しの管理人としては『フロム・ヒア・トゥ・ゼア』の聴き所は,森田悠介の超カッコイイ“変拍子GROOVE”に小躍りする桑原あいのエレガントなピアノであると信じている。

 時にジャズ,時にフュージョン,時にプログレ,そして時にドリカム…。
 桑原あいよ,森田悠介に逆らうな。森田悠介に身を委ね続けよ…。

  01. BET UP
  02. 3=log2(8)
  03. from here to there
  04. Edit typos.
  05. Chronometer
  06. mind blindness
  07. Circuit River
  08. Portrait of an old man
  09. Riverdance
  10. HiCCups!

(イーストワークス・エンタティンメント/EWE 2012年発売/EWCD-0191)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

エリック・アレキサンダー / ザ・セカンド・マイルストーン5

THE SECOND MILESTONE-1 エリック・アレキサンダーの快進撃は『THE SECOND MILESTONE』(以下『ザ・セカンド・マイルストーン』)から始まった。管理人はそう断言しよう。

 デビュー以降のエリック・アレキサンダーの特長とは,難フレーズでもとにかく豪快に吹き切る,無敵のブロウ職人のようなイメージであったが,前作『THE FIRST MILESTONE』から“大人の魅力”開眼のようで,豊かな情感表現が目立つように変化していたと思う。

 しかし『THE FIRST MILESTONE』での大人の音世界は,残念ながらエリック・アレキサンダー主導というよりはパット・マルティーノの個性に引っ張られて出来上がった優良盤であり,エリック・アレキサンダーにとって『THE FIRST MILESTONE』は「過渡期」のアルバムの代表格のように思える。

 それがどうだろう。『ザ・セカンド・マイルストーン』での深い音色と硬派な鳴り。ついに「コルトレーン派・第三グループ」の筆頭格としてエリック・アレキサンダーが自ら追求する音楽性を確立したように思う。

 【MATCHMAKER,MATCHMAKER】の冒頭から流れ出たテナーサックスの衝撃が忘れられない。まるで現代にコルトレーンが舞い戻ってきたかのようなテナーサックスの深い響きに,稲妻に打たれたかのような電気ショックが背中を走った。

 真にゾクゾクした。久しぶりに「ウォーッ」と大声で叫びたくなった。音色にしてもフレージングにしても,一聴してすぐにエリック・アレキサンダーと識別できるコルトレーンのスタイルを完全消化し,オリジナルの音色を確立したエリック・アレキサンダー“その人”がここにいる。

 要は,白人コルトレーン派・伝統の「COOLなハード・バップ」である。しかもDRYなのにノリがめちゃめちゃ重い。ストレイト・アヘッドなスタイルが破壊力満点な「テナー・タイタン」の速射砲に身がよじれてしまう。真に手放しで素晴らしい。

 そう。「コルトレーン派・第三グループ」の筆頭格であるエリック・アレキサンダーの特長とは,インスピレーション豊かに,抑制のきいたトーンで創造的なインプロヴィゼーションを展開する「テナー・タイタン」である。

 そんなエリック・アレキサンダーが,明快なメロディー・ラインを創り出し,卓越したハーモニーを織り込みながら,スイングを発散し続け,完璧な形に仕上げたのが『ザ・セカンド・マイルストーン』なのである。

THE SECOND MILESTONE-2 1年前のアルバムと聴き比べて成長が分かるのだから,当のエリック・アレキサンダーの手応えはいかばかりであろう。腕を上げた。相当大きな自信を掴んだ。そんな勢いのまま臨んだレコーディングだったのだろう。

 ズバリ『ザ・セカンド・マイルストーン』で,エリック・アレキサンダーが一皮剥けた! エリック・アレキサンダーが「期待のニュー・スター」から「テナー・シーンのトップ・アーティスト」へと一気に駆け上った!
 エリック・アレキサンダーの「生きる伝説」は『ザ・セカンド・マイルストーン』から始まったのだ!

  01. matchmaker, matchmaker
  02. the second milestone
  03. moment to moment
  04. the man from hyde park
  05. estate
  06. luna naranja
  07. john neely beautiful people
  08. the cliffs of asturias

(マイルストーン/MILESTONE 2001年発売/VICJ-60745)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

山下 洋輔 / マル・ウォルドロンに捧ぐ4

A TRIBUTE TO MAL WALDRON-1 個人的には「日本のフリージャズ」と来れば,富樫雅彦菊地雅章の印象が強いのだが,恐らくは「日本のフリージャズ」の第一人者は山下洋輔という認識で間違いないと思う。

 管理人は森山威男脱退前の,中村誠一坂田明を擁した山下洋輔トリオのことは全く知らないのだが,なんだか知っているような気分になるほど,周りの先輩たちから山下洋輔にまつわる武勇伝を聞かされたからだろう。
 あの“肘打ち”パフォーマンスは演奏する上で必然性などないのだが,必然性があるように見せてくれる。

 だから山下洋輔セシル・テイラーを好きだと聞いても驚きやしない。しかし山下洋輔マル・ウォルドロンを好きだと聞いて大いに驚いてしまった。本当だろうかとにわかに疑ってしまう。

 山下洋輔からのマル・ウォルドロントリビュートA TRIBUTE TO MAL WALDRON』(以下『マル・ウォルドロンに捧ぐ』)を聴いてみた。
 どうなのだろう。管理人にはやっぱりピンと来なかった。朴訥でパーカッシブなピアノのタッチがマル・ウォルドロンっぽいのか?
 当時の管理人の耳では,どう逆立ちしても山下洋輔と「ブルージーな」マル・ウォルドロンが直接的には結び付かなかった。

 しかし,そんなことはどうでもよい。『マル・ウォルドロンに捧ぐ』は,怒涛の演奏のパワーに,ただ圧倒されるべきアルバムである。
 『マル・ウォルドロンに捧ぐ』は,至極真っ当なフリージャズであり,例の山下洋輔トリオの血が流れている。

 『マル・ウォルドロンに捧ぐ』の山下洋輔トリオのメンバーは,ベース国仲勝男ドラム小山彰太。このリズム隊の名演にシビレてしまう。

 国仲勝男ベースニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセン懸かっている。超絶なのに滑らかにドライブする。骨太なベース・サウンドが鼓動を打つ度に気持ち良い。
 そんなベース・ラインに鋭く反応する小山彰太ドラミングもまた神懸かっている。山下洋輔ピアノが走り出す度にドラムが波打って後追いし続ける。大興奮である。

A TRIBUTE TO MAL WALDRON-2 管理人の結論。『マル・ウォルドロンに捧ぐ批評

 『マル・ウォルドロンに捧ぐ』は,楽曲として“マル・ウォルドロンの曲を演奏する”山下洋輔フリージャズの中の1つのプロジェクトと捉えて何ら問題はない。
 予備知識なしで無心で聴けば,底抜けのフリー山下洋輔トリオの「核」が聴こえている。

 国仲勝男小山彰太と組んだハイテンション・ピアノ・トリオという基本があって,その上でマル・ウォルドロンの「ブルージーな」モニュメントが漏れ出してくる。
 実に味わい深い旋律と和声が次から次へと淀みなく湧き出てくる,そんなトリビュート・アルバムだと思う。

  01. TRANE'S SOUL EYES
  02. ONE-UPMANSHIP
  03. MAL IS BACK IN TOWN
  04. MINOAT

(エンヤ/ENJA 1980年発売/COCB-53616)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/山本隆,瀧口譲司)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

エリック・アレキサンダー・ウィズ・パット・マルティーノ / ザ・ファースト・マイルストーン4

THE FIRST MILESTONE-1 エリック・アレキサンダーが特に素晴らしいのは,エリック・アレキサンダーと同じくジョン・コルトレーンを信奉しているテナーサックスの大物,マイケル・ブレッカーブランフォード・マルサリスの影響をものともしない,自分の信じる「テナー・タイタン」の姿を追いかけているところである。

 つまり,超テクニカルで「シーツ・オブ・サウンド」の現代版を行くマイケル・ブレッカーとも,シリアスなジャズにしてオープンな雑食系であるブランフォード・マルサリスとも違う。
 シカゴというオールド・ジャズの伝統を重んじる閉鎖的なコミュニティで育った“らしさ”を強く感じる。

 直情的でありながら情緒的ブレを起こさない平衡感覚。ロング・トーンによるソロを吹き続けようとも,一瞬たりとも決してバテない精神的なたくましさ。ひたむきにハード・ブローイング一辺倒で,どんな局面でも吹き抜ける“豪快な力業”に,エリック・アレキサンダーの揺るぎない意志を感じてしまう。

 『THE FIRST MILESTONE』(以下『ザ・ファースト・マイルストーン』)は,エリック・アレキサンダーのリーダー作であるが,実はこのアルバム,エリック・アレキサンダーの男気を感じたピアノハロルド・メイバーンギターパット・マルティーノによる,エリック・アレキサンダーの「プッシュ・アルバム」だと思っている。

 『ザ・ファースト・マイルストーン』を初めて聴いた時,エリック・アレキサンダーが“御大2人”にプロデュースされている印象を受けた。
 そう。初めて「吹きすぎない」エリック・アレキサンダーの新境地を聴かせてもらった。パット・マルティーノから教えを請いたエリック・アレキサンダーが抑制美に目覚めている。

 パット・マルティーノ参加の『ザ・ファースト・マイルストーン』に続く,ジム・ロトンディ参加の『セカンド・マイルストーン』,ニコラス・ペイトン参加の『サミット・ミーティング』,ロン・カーター参加の『ナイト・ライフ・イン・トーキョー』の「マイルストーン四部作」は,自重することを覚えた“大人のNEWエリック・アレキサンダー”のテナーサックスが聴き所である。

THE FIRST MILESTONE-2 パット・マルティーノのイマジネイティヴなギター・ユニゾンからこぼれ出すエリック・アレキサンダーの豊かなテナーがメロディック。
 これまでも師匠としてエリック・アレキサンダーをバックから煽り続けて鍛えてきたハロルド・メイバーンパット・マルティーノを迎えてパワー・アップ。ピアノのニュアンスを聞き取ろうとするエリック・アレキサンダーを置いてけぼりに前へ前へと乗り出している。

 そう。ピアノハロルド・メイバーンギターパット・マルティーノによる,バッパー畑の至極のしごきが,エリック・アレキサンダーテナーサックスに“アダルトな響き”を付与している。

  01. STAND PAT
  02. #34 WAS SWEETNESS (FOR WALTER PAYTON)
  03. THE FIRST MILESTONE
  04. THE TOWERING INFERINO
  05. NIGHT SONG
  06. LAST NIGHT WHEN WE WERE YOUNG
  07. THE PHINEAS TRANE
  08. I'M GLAD THERE IS YOU

(マイルストーン/MILESTONE 2000年発売/VICJ-60555)
(ライナーノーツ/成田正)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)

渡辺 貞夫 / プレイズ・バッハ4

SADAO PLAYS BACH-1 『ライヴ・イン根室 1977』の39年前の音源リリースに驚かされてから約1年。再び渡辺貞夫の過去音源がリリースされることになった。
 今回は17年前のライブ音源である。『SADAO PLAYS BACH』(以下『プレイズ・バッハ』)である。

 管理人はジャズフュージョン専門であるが,MJQを筆頭にジャズメンが取り上げる題材としてのクラシックに接する機会は幾らかある。
 ゆえに『プレイズ・バッハ』も購入したのだが,その理由は“しょうがなく”ではなく“喜んで”である。

 管理人は渡辺貞夫が大好きだ。特に渡辺貞夫アルトの音色は「世界一美しい」と太鼓判を押す。そんな管理人としては『プレイズ・バッハ』こそが待望の過去音源に違いない。
 期待高まる〜! 聴く前からこんなにワクワクするのは何年振りのことだろう。

 『プレイズ・バッハ』を無心で聴く。流れ出る音楽は「クラシックのバッハそのもの」である。しかし,それ以上に聴こえてくるのは,あの渡辺貞夫の「世界一美しい」アルトの音色である。
 やはり曲とか題材とかは二の次である。ただ渡辺貞夫アルトサックスが鳴っている。それだけで大満足してしまう自分がいる。

 しかし,繰り返し聴いているうちに『プレイズ・バッハ』の印象が変化した。やっぱり面白くはない。ナベサダが緊張でかしこまったクラシックのコンサート録音を聴いている気分がしてしまう。

 『プレイズ・バッハ』は渡辺貞夫アルトサックスの音色目的で聴くには最高の1枚であろう。だが完成されたコンサートからはナベサダの香りは届いてこない。

SADAO PLAYS BACH-2 管理人の結論。『プレイズ・バッハ批評

 『プレイズ・バッハ』は,良く出来たライブ演奏と認めるが,いかんせんライブなのに非ジャズ的な書き譜通りの演奏に終始している。これはこれで有りなのか無しなのか?

 仮に渡辺貞夫が「クラシックのバッハ」ではなく,最近流行りの「バッハジャズ」のアレンジに向き合ったとしても,独唱によるアルトの音色の美しさは損なわれなかったように思えるのだが…。
 まっ,あのナベサダが「バッハジャズ」とは下品すぎて手を出さないのだろうけど…。

  01. FLUTE SONATA IN E MAJOR BWV.1035
  02. FLUTE SONATA IN E FLAT MAJOR BWV.1031
  03. PARTITA FOR FLUTE SOLO IN A MINOR BWV.1013
  04. ORCHESTRAL SUITE NO.2 IN B MINOR BWV.1067
  05. POR TODA A MINHA VIDA
  06. CARINHOSO
  07. FLUTE SONATA IN C MAJOR BWV.1033
  08. FLUTE SONATA IN B MINOR BWV.1030

(ビクター/JVC 2017年発売/VICJ-61768)
(ライナーノーツ/菅原正二,小林道夫)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)
livedoor プロフィール

セラビー

記事検索
Categories      日本人は五十音順:外国人はアルファベット順
月別アーカイブ
Keith Jarrett Gallery

キース・ジャレット(真田馨子) おんがく日めくり(c) keiko sanada
Pat Metheny Gallery

パット・メセニー(野々口和仁)
(c) Kazuhito Nonoguchi
ジャズ・アフィリエイト
セラビー厳選CD

パリ・コンサートパリ・コンサート
キース・ジャレット

THE WAY UPTHE WAY UP
パット・メセニー・グループ

イン・ア・サイレント・ウェイイン・ア・サイレント・ウェイ
マイルス・デイビス

HEAVY WEATHERHEAVY WEATHER
ウェザー・リポート

BRAINCOOL STRUTTIN'
ソニー・クラーク

MINT JAMSMINT JAMS
カシオペア

HUMANHUMAN
T-スクェア

LEFT ALONELEFT ALONE
マル・ウォルドロン

フル・ハウスフル・ハウス
ウェス・モンゴメリー

ザ・シーン・チェンジズザ・シーン・チェンジズ
バド・パウエル

セロニアス・モンク・トリオセロニアス・モンク・トリオ
セロニアス・モンク

枯葉枯葉
チェット・ベイカー

MOANIN'MOANIN'
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ

BLOWIN' THE BLUES AWAYBLOWIN' THE BLUES AWAY
ホレス・シルヴァー

ウィントン・マルサリスの肖像ウイントン・マルサリスの肖像
ウイントン・マルサリス

メイティング・コールMATING CALL
タッド・ダメロン

Blu-spec CD ジャコ・パストリアスの肖像ジャコ・パストリアスの肖像
ジャコ・パストリアス

ザ・キング・イズ・ゴーンザ・キング・イズ・ゴーン
マーカス・ミラー

FIRST MEETINGファースト・ミーティング
テザード・ムーン

スペシャル・エディションSPECIAL EDITION
ジャック・デジョネット

ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリングYOU MUST BELIEVE IN SPRING
ビル・エヴァンス

ヴァイアティカムVIATICUM
e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)

STEP BY STEPSTEP BY STEP
ステップス

2424
DIMENSION

GANAESIAガネシア
渡辺香津美
カズミ・バンド

FOURPLAYFOURPLAY
フォープレイ

コンプリート・ピック・ヒッツ・ライヴPICK HITS
ジョン・スコフィールド

ニューポートの追想V.S.O.P.
ハービー・ハンコック

アス・スリーUS THREE
ホレス・パーラン

Manhattan StoryBLUE'S MOODS
ブルー・ミッチェル

AFRICAN PIANOOFF TO THE RACES
ドナルド・バード

AFRICAN PIANOAFRICAN PIANO
ダラー・ブランド

Manhattan StoryMANHATTAN STORY
アキコ・グレース

SPELLBOUNDSPELLBOUND
ジョー・サンプル

ランデヴーRENDEZ-VOUS
木住野佳子

RETURN TO FOREVERRETURN TO FOREVER
チック・コリア

BRAINBRAIN
上原ひろみ

イン・ラインIN LINE
ビル・フリゼール

ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニングザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング
マーク・ジョンソン

スインギン・マケドニアスインギン・マケドニア
ダスコ・ゴイコビッチ

タイム・スレッドTME THREAD
小曽根真 & ゲイリー・バートン

フルーツケーキFRUITCAKE
フルーツケーキ

THE DROPPERTHE DROPPER
メデスキ,マーチン&ウッド

Doin' SomethingDOIN' SOMETHING
ソウライヴ

SALT IISALT II
塩谷哲

Dance Your HeartDANCE YOUR HEART
Saya

地球は愛で浮かんでいる地球は愛で浮かんでいる
松永貴志
アンケートボードA

★当ブログについて望むことは?
アルバム単位で批評してほしい
同じ曲をテイク別に批評してほしい
多くのジャズメンを幅広く批評してほしい
一人のジャズメンを掘り下げて批評してほしい
超有名曲をもらさず批評してほしい
発売直後の新作を批評してほしい
初心者を意識したほんわかサイトにしてほしい
マニアを意識したニッチなサイトにしてほしい
オーディオについて批評してほしい



-Mini Vote-
アンケートボードB
How Much Is Your Blog Worth?

My blog is worth
$38,953.26

How much is your
blog worth?

最新コメント
Copyright (C) 2005-2019 アドリブログ All Rights Reserved.