アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2019年09月

フル・ムーン(ラーセン・フェイトン・バンド) / フル・ムーン・ライヴ5

FULL MOON LIVE-1 管理人はブートは買わない。と言いつつも,買ったことがないだけで友人から借りて聞いたことはある。ユーチューブもブートみたいなものと考えると時々ブートを聞いていることになる。でも(これからも絶対に買わないとは言い切れないが)基本的にブートは買っていない。

 こんなスタンスの音楽ファンはきっと多いと思う。海賊盤は悪である。世に出してはいけない。そのことを自覚すればこそ,好きなアーティストの音源は全部聴いてみたいしコレクションもしたい,という内面の葛藤と闘うことになる。
 レコード会社はそのことを分かっている。それで悪魔の囁き「やれ別テイクだ。やれ発掘盤だ」と誘ってくる。攻勢を仕掛けてくる。

 そんなレコード会社の近年の荒業の1つに「公式ブートレグ」の発売がある。公式であるからファンも良心が痛まない。公式であるから音質も一定基準を満たしている。いい時代である。

 …でっ,前置きが長くなってしまったが,今夜ご紹介するのは「フル・ムーン」の「公式ブートレグ」『FULL MOON LIVE』(以下『フル・ムーン・ライブ』である。
 この『フル・ムーン・ライブ』が真に最高である。諸手を挙げて推薦する屈指の名盤の1枚である。

 先に公式なら音質も一定基準を満たしていると書いたが『フル・ムーン・ライブ』の元ネタはバジー・フェイトンの個人所有の録音テープ。どんなに最高の編集技術を駆使しようと元ネタがカセットテープ・レベルであればどうしようもない。どれほどマスタリングで加工しようともチープな音質に変わりはない。音質としてはブートの中でも劣悪な部類に入るレベルであろう。

 でもでもでも,それでも『フル・ムーン・ライブ』が真に最高である。当然のことなのだがCDって音質の前に内容である。内容が良ければ音質が悪いという理由だけでCD未発売という選択肢はないのである。未発売は世界の大損失なのである。

 とにかく,冒頭の【MESSAGE FROM BEYOND】である。このヒートアップする観客の勢いに圧倒されてしまう。アドレナリンが止まらなくなる。
 ドラムパーカッションの最高の乱れ打ちに煽られた観客の熱狂的な叫び声が,続くバジー・フェイトンギターにパワーを与えている。
 流ちょうすぎるギターのテーマが重なり入ってきた瞬間の歓びと言ったら…。あの高揚感は他の何物にも代え難い。【MESSAGE FROM BEYOND】における出だしの数秒間がバジー・フェイトン名演の中の名演で間違いない。

 自分がライブ会場のど真ん中にいるような気になれる程「フル・ムーン」の演奏に没入できる。イントロが流れるとすぐにベイクド・ポテトへトリップできる。これほどの臨場感を感じられるのも「公式ブートレグ」の魅力であろう。

FULL MOON LIVE-2 とにかく『フル・ムーン・ライブ』はノリと選曲がいいんだよな。これがっ! 「フル・ムーン」のヒット曲が連続で大盛り上がりで演奏されていく!
 スタジオ録音ではヴォーカル優位の「フル・ムーン」であるが,編集の都合なのか?『フル・ムーン・ライブ』におけるバジー・フェイトンヴォーカル曲は1曲のみ。インスト曲ばかりなのが特にお気に入り!

 『フル・ムーン・ライブ』を聴く前から「フル・ムーン」が好きだったのだが『フル・ムーン・ライブ』を聴いてからというもの,以前の何倍も「フル・ムーン」が好きになったし,改めて聴き直した『FULL MOON』『LARSEN−FEITEN BAND』『FULL MOON FEATURING NEIL LARSEN & BUZZ FEITON』が好きになった。

 管理人の「フル・ムーン」のファン人生を変える転機となった『フル・ムーン・ライブ』にはそれだけ大きな力があるということです。ライブ盤にはそれだけ大きな力があるということです。

  01. MESSAGE FROM BEYOND
  02. LITTLE COWBOYS
  03. FUTURAMA
  04. AZTEC LEGEND
  05. FURTHER NOTICE
  06. SIERRA
  07. DEMONETTE
  08. PHANTOM OF THE FOOTLIGHTS
  09. SUDDEN SAMBA

(ドリ−ムズヴィル・レコード/DREAMSVILLE RCORDS 2002年発売/YDCD-0089)
(ライナーノーツ/工藤由美)

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熱帯JAZZ楽団 / VII 〜SPAIN〜4

VII 〜SPAIN〜-1 管理人は基本的に大編成ものは好みではない。ビッグ・バンドを日常ではほとんど聴かない。それは「熱帯JAZZ楽団」に関しても同じこと。
 ハーモニーやアンサンブルもそれ自体は好きではあるが,どうにも演奏が鈍いというか「ジャズとはアドリブ芸術」人間なので「熱帯JAZZ楽団」は,すでに所有済の『掘 腺唯戞。藤腺孱錬劭稗圍邸』と『検 腺味繊。劭妝唯贈繊』の2枚があれば十分事足りるものと思っていた。

 一方,管理人には好きな楽曲についてはいろんな人のいろんな演奏を聴いてみたいという欲求がある。『察 腺咤丕腺稗痢』の購入理由は収録曲の「ビッグネーム」に負けてこちら側の気持ちが勝った結果である。

 「熱帯」と来れば的なジャズ・メッセンジャーズの【チュニジアの夜】に,フュージョンの2大代表曲であろう,チック・コリアの【スペイン】とウェザー・リポートの【バードランド】。この3曲の並びに再び物欲が湧き上がる〜。

 【チュニジアの夜】こそ,ビッグ・バンドの重厚な大熱演が似合うというのに,おとなしいニューヨーク・ヴォイセスだとは…。【スペイン】こそ,ラテンのビートが似合うというのに,鈍い管楽器のアンサンブル重視だとは…。
 でもでも【バードランド】にはハマッタ! 高橋ゲタ夫ベースがビンビンで,仮にジャコパスが「ジャコ・パストリアス・ビッグ・バンド」で【バードランド】を演ったら,こんな感じになったのだろうと想像させてくれる…。

 『察 腺咤丕腺稗痢』は買って良かった。ただし,購入して満足した理由は「お目当ての3曲」ではなく,それ以外の曲の出来が良かったから!
 そう。「熱帯JAZZ楽団」にとってカヴァー曲は単なる「看板」にすぎない。入り口とか間口にすぎない。

VII 〜SPAIN〜-2 【エディ・パル・モンテ】でのカルロス菅野ヴォーカルがカッコイイわ。サルサ調のムーディー・バラードの【グッドバイ・フィフス・アヴェニュー】のパーカッション・チームがカッコイイわ。【パランテ・パゴサール】はまたしても「JIMSAKU」の再来であって森村献神保彰の大仕事3。【スイングしなけりゃ意味ないね】での意表を突いたイントロがカッコイイわ。でも完全にSHIHO1人にモッテイカレテいる〜。【トロピジャム】は,きっとどこかで聞いたことがあるかのようなヘヴィロテ・ナンバーでして,こんな曲を死ぬまでに聞くことができた管理人は幸せ者です。

 「熱帯JAZZ楽団」を聴くのなら「カヴァーを超えるオリジナル」! オリジナルのクオリティの高さを聴き逃すな! 

  01. A NIGHT IN TUNISIA
  02. EDDIE PAL MONTE
  03. SPAIN
  04. BIRDLAND
  05. LA NOCHE EN EL BARRIO
  06. GOOD-BYE 5TH AVENUE
  07. PA'LANTE PA'GOZAR
  08. IT DON'T MEAN A THING (IF IT AIN'T GOT THAT SWING)
  09. TROPIJAM
  10. GET OUT AND GET UNDER THE MOON

(ビクター/JVC 2003年発売/VICJ-61118)

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フル・ムーン(ラーセン・フェイトン・バンド) / フルムーン・フィーチャリング・ニール・ラーセン&バジー・フェイトン5

FULL MOON FEATURING NEIL LARSEN & BUZZ FEITON-1 「フル・ムーン」と「ラーセン=フェイトン・バンド」は別物か否か? それって「ザ・スクェア」と「T−スクェア」は別物か否か?と尋ねているようなものなのに…。

 そう。ニール・ラーセンキーボードバジー・フェイトンヴォーカルギターがバンドの不動の2TOP。「フル・ムーン」も「ラーセン=フェイトン・バンド」も同じバンドなのです。安藤正容伊東たけしの2TOP然り〜。

 ただし,冒頭の質問が出て来る気持ちもうなずける。この混乱の一因はニール・ラーセンバジー・フェイトンの側にもある。
 それが「フル・ムーン」〜「ラーセン=フェイトン・バンド」の3作目『FULL MOON FEATURING NEIL LARSEN & BUZZ FEITON』(以下『フルムーン・フィーチャリング・ニール・ラーセン&バジー・フェイトン』)の存在にある。

 「フル・ムーン」ファンの間では,この「1st+2nd=3rd」のアルバム・タイトルの紛らわしさを笑い飛ばして終わらせるのが常であるが,音楽評論家の間では苦言と混乱が生じているようで,今回のライナーノーツでも高橋健太郎が長々とバンド名とアルバム・タイトルの矛盾について書き記しているが,そんな解説など全く意味がない。
 「フル・ムーン」とは,そして「ラーセン=フェイトン・バンド」とは,初めから「フルムーン・フィーチャリング・ニール・ラーセン&バジー・フェイトン」だったのだから…。

 ズバリ『フルムーン・フィーチャリング・ニール・ラーセン&バジー・フェイトン』の特長とは「1st+2nd=3rd」のアルバム・タイトル通りの素晴らしいAOR/フュージョンであって,ニール・ラーセンオルガンフュージョンバジー・フェイトンのサザン風味のギター・ポップ・ロックが曲順を含めて融合したインスト&歌ものアルバムの大名盤

FULL MOON FEATURING NEIL LARSEN & BUZZ FEITON-2 ニール・ラーセンキーボードが発するイマジーネーション豊かなのに人間味を感じさせるフレーズの間にバジー・フェイトンのゆったりしたヴォーカルとフェイザーたっぷりのギターが共鳴する瞬間の美しさは唯一無二。
 この快感はパット・メセニーライル・メイズか,ニール・ラーセンバジー・フェイトンか,という感じ。

 『フルムーン・フィーチャリング・ニール・ラーセン&バジー・フェイトン』は,JAZZYなのに,ウエストコースト・サウンドのような爽やかさをも併せ持つ,カラッカラに乾いた音のAOR/フュージョン
 都会的で洗練されたサウンドなのに“気分上々”なリラックスした雰囲気が最高に聴いて楽しい名演集の1枚である。

  01. PHANTOM OF THE FOOTLIGHTS
  02. THE VISITOR
  03. TWILIGHT MOON
  04. SIERRA
  05. BROWN EYES
  06. HERO'S WELCOME
  07. STANDING IN LINE
  08. LITTLE COWBOYS

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1982年発売/WPCP-3546)
(ライナーノーツ/高橋健太郎)

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BLUE NOTE CLUB「ジョン・コルトレーン『ザ・ロスト・アルバム』特製Tシャツ」が当たりました!

 BLUE NOTE CLUB「ジョン・コルトレーン『ザ・ロスト・アルバム』特製Tシャツ」が当たりました!

BLUE NOTE CLUB ジョン・コルトレーンの未発表アルバム『ブルー・ワールド〜ザ・ロスト・サウンドトラック』の発売決定を記念し,昨年大ヒットを記録した『ザ・ロスト・アルバム』のジャケットをあしらった特製Tシャツ(非売品)。
 以下,特製Tシャツが製作されてしまうくらいの「世紀の大発見!」の理由をどうぞ!

ジャズ史上最高のカリスマの絶頂期を捉えた新曲を含むスタジオ録音作。
アメリカ音楽史の歴史的遺産,奇跡の発掘!
わずか40年間という短い生涯ながら,現在もジャズのみならず多くの音楽ファンを魅了し続けるカリスマ=ジョン・コルトレーン。
そのコルトレーンが絶頂期の1963年に吹き込んだ音源が,録音から55年の時を経て奇跡的に発表されます。

なぜ“奇跡”と呼ばれるのか!?
なぜなら,これは“ロスト=失われた”作品だから!
コルトレーンの没後,スタジオやライヴ含め,さまざまなアルバムが発売されてきました。しかし,今回の『ザ・ロスト・アルバム』は,当時在籍していた米国インパルス・レーベルに録音の記録には残っていたものの,マスターテープがどこにも存在せず,長らく“謎”といわれていた音源です。
なぜなら,これは“完全な新作”だから!
過去に海賊盤などでも一切世に出たことがなく,また,未発表のライヴ音源でもなく,これはコルトレーンが作曲した今回初登場となる新曲を含む,リリースを前提に録音されたスタジオ録音作品です。
なぜなら,コルトレーンの“絶頂期を捉えた録音”だから!
60年代に入り当時新興だったインパルス・レーベルと契約し,圧倒的なパフォーマンスでジャズ界のトップスターとなったコルトレーン。キャリアの絶頂期というべきこの時期に活動していた,マッコイ・タイナー(ピアノ)〜ジミー・ギャリソン(ベース)〜エルヴィン・ジョーンズ(ドラム)とのバンドは”黄金のカルテット”と呼ばれ,現在も絶大な人気を誇っています。
そのカルテットが名盤と呼ばれる『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』の録音前日にレコーディングしたのが本作『ザ・ロスト・アルバム』。その後フリー・ジャズへと傾倒していくコルトレーンが,スタンダードや自身の代表曲「インプレッションズ」を取り上げた作品で,同時期に録音され,“バラード3部作”と呼ばれ人気の高い『バラード』『デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン』『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』に比肩する内容です。

ジョン・コルトレーン 『ザ・ロスト・アルバム』 3つの疑問
疑問 なぜ録音当時発表されなかった?!
疑問 録音されたマスターテープはどこへ消えた?
疑問 どのような経緯でテープが見つかった?
についてはご自身で調べてみてくださいねっ。

 何はともあれ『ザ・ロスト・アルバム』『ブルー・ワールド〜ザ・ロスト・サウンドトラック』の発売おめでとうございます!

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熱帯JAZZ楽団 / IV 〜LA RUMBA〜4

IV 〜LA RUMBA〜-1 『検 腺味繊。劭妝唯贈繊』に関しては「熱帯JAZZ楽団」というよりも「JIMSAKU」への思い出が強くなったアルバムとして今でも印象に残っている。
 というのも“掴み”の2曲【ドゥエニョ・デル・ソラール】と【ディア・ミスター・ジョーンズ】が強力すぎて,買うまでは一番楽しみにしていた3曲目,ジャコパスの【インビテーション】が霞んだくらい。

 そう。【ドゥエニョ・デル・ソラール】と【ディア・ミスター・ジョーンズ】は森村献の仕業である。
 正直【ドゥエニョ・デル・ソラール】と【ディア・ミスター・ジョーンズ】の2曲を聴いて,櫻井哲夫神保彰がなぜに森村献を重宝してきたかが初めて分かった。「JIMSAKU」解散後だというのにねぇ…。

 だから『検 腺味繊。劭妝唯贈繊』以降,しばらくは「熱帯JAZZ楽団」を聴かなくなった。管理人のルーティーンはラテンを聴きたくなったなら森村献入りの「JIMSAKU」を聴く〜。
 その流れで「JIMSAKU」の神保彰ドラミングに注意がいって神保彰の凄さを改めて再認識〜。

 「JIMSAKU」時代の神保彰ドラミングって,音楽性重視のポジショニングに徹していて,テクニカルなこともいろいろと試していたとは思うが,小難しさなど全く感じさせないし,ラテンなのに常に正確無比な神保彰の“らしさ”が前面に出ていたと思う。
 対して「熱帯JAZZ楽団」での神保彰ドラミングは,もっと大らかであって,前面に出るのはドラム・ソロの時間位で,基本は後ろで全てをまとめ上げるドラミング
 
 ベース高橋ゲタ夫パーカッションカルロス菅野美座良彦コスマス・カピッツァの自由で個性的なビートが“ぶつかり合うことなく”聴こえるのも,ひとえに神保彰の無類のリズム感と構築力があればこそ!
 「熱帯JAZZ楽団」の命であるリズム隊が,コンファタブルであって,互いのビート感がぶつからない以上に,素晴らしくアンサンブルしてしまうのも,ひとえに神保彰の無類のリズム感と構築力があればこそ!

 特にテクニカル系のラテンフュージョン・ナンバー=【ロックス】と【イレブン】での神保彰ドラミングは,他のドラマーでは絶対にこうはならない,という完成度の高いダンサブル・ビート!

IV 〜LA RUMBA〜-2 神保彰って,世界一のフュージョンドラマーとしてではなく,もしや世界一のラテン・ドラマーとしても通用するのか? だから「JIMSAKU」だったのか? そんな神保彰が信頼するのが森村献だったのか?

 そんな「熱帯JAZZ楽団」と「JIMSAKU」の細かな音楽性を教えてくれたのが『検 腺味繊。劭妝唯贈繊』なのです。
 『検 腺味繊。劭妝唯贈繊』は「あ,こういうことなんだ」って「目から鱗」がどんどん落ちる。そしてそれがどんどん楽しくなってくるタイプの音楽なのです。

 『検 腺味繊。劭妝唯贈繊』では,森村献の【ドゥエニョ・デル・ソラール】と【ディア・ミスター・ジョーンズ】の連投に絶対に「モッテイカレル」経験ができるはず。【ネオ・ブガロジー】はシークレット・トラックなのか? 8分17秒からが「熱帯JAZZ楽団」の“エンターテインメント!”。

  01. Dueno del solar
  02. Dear Mr. Jones : Ironside〜Soul Bossanova〜Ai No Corrida
  03. Invitation
  04. Splash!
  05. Eleven
  06. Begin the beguine
  07. Lupin the third
  08. Reunan todos
  09. Neo boogalogy

(ビクター/JVC 2000年発売/VICJ-60642)

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ニール・ラーセン&バジー・フェイトン / ラーセン=フェイトン・バンド4

LARSEN-FEITEN BAND-1 「フル・ムーン」の『FULL MOON』。リリースしたのが時代に早すぎたがゆえにアルバムは売れずにバンドは解散してしまった。
 「フル・ムーン」の分身である「ラーセン=フェイトン・バンド」名義の『LARSEN−FEITEN BAND』(以下『ラーセン=フェイトン・バンド』)は,ニール・ラーセンの音楽性に,やっと時代が追いつきスマッシュ・ヒット。めでたしめでたし。

 しか〜し『ラーセン=フェイトン・バンド』の真実とは「時代が追いついた」だけではなく「近未来を預言したフュージョン・サウンド」。今聴いてもいつ聴いても新鮮な衝撃を受けてしまう。

 ただし,一般的に『ラーセン=フェイトン・バンド』について語られる場合は,フュージョン名盤としてではなくAORの名盤としてである。
 事実「フル・ムーン」〜「ラーセン=フェイトン・バンド」の時代は,メイン楽器がヴォーカルギターのパターンか,キーボードギターの2パターン構成である。

 『ラーセン=フェイトン・バンド』の場合も,インストの2曲が秀逸だというだけで,アルバムの全8曲中6曲が歌ものである。これをAORとジャンル分けされても致し方ない。
 だからどうにも「スティーリー・ダン」っぽく感じてしまうのだが,あちらが豪華ゲストを適材適所で起用した「作り込まれた」名盤であるなら,こちらはバンド・スタイルだから出せた名盤の“味”〜。

 「フル・ムーン」と「ラーセン=フェイトン・バンド」では,ニール・ラーセンバジー・フェイトン以外のメンバーは全員交代している。
 しかしそれでも(管理人はインスト曲しか聴かないので歌ものを含めた正確な違いについては語れないが)「フル・ムーン」と「ラーセン=フェイトン・バンド」のスタイルの違いはごくわずかなものだと思っている。
 つまり,それ位にニール・ラーセンバジー・フェイトンの音がバンドの中心として鳴っているのだ。

LARSEN-FEITEN BAND-2 ニール・ラーセンJAZZYでAORなキーボードバジー・フェイトンのROCKでR&Bなギターが実にまろやか!
 POPなメロディをキーボードがソウルフルに歌い,ファンキーなグルーヴに乗ったギターがメロディアスに歌うフュージョン・サウンド!

 『ラーセン=フェイトン・バンド』収録のインストの2曲。【FURTHER NOTICE】と【AZTEC LEGEND】が文句なしにカッコイイ!
 特にバジー・フェイトンギター・ワークの輝きっぷりは『ラーセン=フェイトン・バンド』での演奏が最高峰だと思わせる凄みがある。

  01. WHO'LL BE THE FOOL TONIGHT
  02. DANGER ZONE
  03. FURTHER NOTICE
  04. OVER
  05. SHE'S NOT IN LOVE
  06. MORNING STAR
  07. MAKE IT
  08. AZTEC LEGEND

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1980年発売/WPCR-732)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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熱帯JAZZ楽団 / III 〜MY FAVORITE〜4

III 〜MY FAVORITE〜-1 「熱帯JAZZ楽団」(「TROPICAL JAZZ BIG BAND」)。それは「熱帯」を名乗っているがラテンではない。「JAZZ」を名乗っているがジャズではない。「楽団」を名乗っているがビッグ・バンドはない。

 管理人は「熱帯JAZZ楽団」=ラテン・ジャズ・ビッグ・バンドで当たりだと思っていたが,どうやら公式にはそうではない。
 リーダーであるカルロス菅野が説明する「熱帯JAZZ楽団」のコンセプトとは“エンターテインメント”!

 管理人の初めての「熱帯JAZZ楽団」である『掘 腺唯戞。藤腺孱錬劭稗圍邸』を聴いて“エンターテインメント!”という説明が腑に落ちた。
 ジャズあり。フュージョンあり。映画音楽あり。ラテンあり。ポップスあり。ソウルあり。そしてオリジナルもある。

 そう。「熱帯JAZZ楽団」の音楽性とはボーダレス。すなわち“エンターテインメント!”。「楽しくなければテレビじゃない。楽しくなければ『熱帯JAZZ楽団』じゃない」なのだ。TVは没落してしまったが「熱帯JAZZ楽団」は永遠に“エンターテインメント!”。

 フランクな設定のビッグ・バンドにしてビッグ・バンド・メンバーは全員カルロス菅野の友人と来ている。問題が起こるとすれば,メンバー全員が超多忙ゆえにビッグ・バンドとして活動するためのスケジュール調整だけであろう。
 その点も考慮してなのか,塩谷哲に限らずカルロス菅野の出戻りOKのスタンスには「先見の明」があったと思う。

 ただし,そんな緩い条件ゆえに,メンバーが入れ替わっても毎度変わらず「熱帯JAZZ楽団」の音!ブレのない統一感!が鳴るためのアレンジの苦心には称賛の言葉を惜しんではならない。
 「熱帯JAZZ楽団」のバンド・メンバーは全員が日本を代表するファースト・コール・ミュージシャンばかり。その気になれば「超テクニカルな」ラテン・ジャズ・ビッグ・バンドも演れてしまうが,カルロス菅野は敢えてマニアックな方向には敢えて,大衆から愛される「熱帯JAZZ楽団」を目指したように思っている。

III 〜MY FAVORITE〜-2 管理人にはその理由が(イメージとしては余り結び付きにくいが)「オルケスタ・デ・ラ・ルス」での活動が影響しているように感じている。
 サルサ・バンド「オルケスタ・デ・ラ・ルス」での成功の軌跡が,今度はラテン・ジャズ・ビッグ・バンドを広めたいと願う際の方法論として生かされている。

 サルサ・バンド以上にインストのラテン・ジャズ・ビッグ・バンドって“とっつきにくい”ものだと思う。
 だ・か・ら・インストの間口を広めるための有名曲のカヴァーなのだ! ジャズあり。フュージョンあり。映画音楽あり。ラテンあり。ポップスあり。ソウルあり。そして最後の最後にアルバムに数曲入れているオリジナル勝負なのだ〜!

 『掘 腺唯戞。藤腺孱錬劭稗圍邸』では,硬派JAZZYな【マイ・フェバリット・シングス】と軟派JAZZYな【シング・シング・シング】。ディスコな【ガット・トゥ・ビー・リアル】と「オールナイト・ニッポン」のテーマ曲【ビター・スイート・ボンバ】。クインシー・ジョーンズとは「似て非なる」【アイ・キャント・ストップ・ラビング・ユー】が「熱帯JAZZ楽団」の“エンターテインメント!”。

  01. EPOCA DE ORO
  02. MY FAVORITE THINGS
  03. GOT TO BE REAL
  04. SING, SING, SING
  05. POR QUE NO?
  06. ROCKS
  07. BITTER SWEET BOMBA (BITTER SWEET SAMBA)
  08. RUINAS
  09. CHERRY PINK AND APPLE BLOSSOM WHITE
  10. I CAN'T STOP LOVING YOU
  11. PRENDE EL FUEGO

(ビクター/JVC 1999年発売/VICJ-60389)

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フル・ムーン / FULL MOON4

FULL MOON-1 「フル・ムーン」のバンド名の変遷の歴史。最初のバンド名が「フル・ムーン」。次が「ラーセン・フェイトン・バンド」。その次が「フル・ムーン」。

 バンド名が復活した理由はまたの機会に書くとして,要するに「フル・ムーン」とは「ラーセン・フェイトン・バンド」。則ち,ニール・ラーセンバジー・フェイトンの双頭バンド。
 インスト・フュージョンニール・ラーセンと歌ものロックのバジー・フェイトンの混成バンド。則ち,そのまんまの「フル・ムーン」の1stが『FULL MOON』なのである。ちゃんちゃん。

 1st『FULL MOON』と来れば,ジャズとロックが融合した“クロスオーヴァー”ミュージックの走りとして名高い「伝説」の1枚である。
 ニール・ラーセンバジー・フェイトンだから生み出せた,唯一無二の音楽性+唯一無二のバランス感覚。これが『FULL MOON』の「伝説」たる最大の理由である。

 商業的には不発に終わったものの,山下達郎を筆頭に“早すぎたクロスオーヴァー・サウンド”として,バンド解散後に高く再評価された名盤FULL MOON』。
 『FULL MOON』の形容詞“早すぎた〜”であるが,時代が追いついた今の耳にも新鮮さ抜群。というよりもニール・ラーセンの“早すぎた〜”時代を先取りしミスマッチしているフュージョン・センスには驚きさえ感じてしまう。

FULL MOON-2 『FULL MOON』の“クロスオーヴァー”な音楽性は,ジャズとロック,そしてフュージョンだけでには留まらない。ファンク,ソウル,ラテン,AORのエッセンスまでもが融合されている。
 そう。全ての音楽ファンを魅了し,受け入れる“懐の深さ”が『FULL MOON』にはあるのです。ニール・ラーセンにはあるのです。

 …とここまで書いてきたが,管理人の正直な評価は『FULL MOON』の出来の良さを心から認めるが,実際に『FULL MOON』を引っ張り出して聴くのはインストの4曲だけ。個人的にはミニアルバムっぽい扱いなのです。

  01. THE HEAVY SCUFFLE'S ON
  02. TO KNOW
  03. MALIBU
  04. TAKE THIS WINTER OUT OF MIND
  05. MIDNIGHT PASS
  06. NEED YOUR LOVE
  07. SELFISH PEOPLE
  08. HREE STEP DANCE

(ダグラス/DOUGLAS 1972年発売/YDCD-0033)
(ライナーノーツ/バジー・フェイトン,高橋健太郎)

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21世紀に残したいジャズBEST&BEST100 ジャズ・フュージョン名盤篇-5

 「スイングジャーナル」誌,2000年10月号掲載,岩波洋三,大村幸則,小川隆夫,小西啓一,杉田宏樹,高井信成,中条省平,成田正,藤本史昭,村井康司,田中伊佐資,淡谷幸次の12名のジャズ評論家が選んだ「21世紀に残したいジャズBEST&BEST100ジャズ・フュージョン名盤篇 名盤ベスト100」。
 今回は6〜10位の発表です。

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スティル・ライフ★10.スティル・ライフ
パット・メセニー・グループ


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ワード・オブ・マウス★9.ワード・オブ・マウス
ジャコ・パストリアス


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オン・ザ・コーナー★8.オン・ザ・コーナー
マイルス・デイビス


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ヘビー・メタル・ビ・バップ★7.ヘビー・メタル・ビ・バップ
ブレッカー・ブラザース


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ブリージン★6.ブリージン
ジョージ・ベンソン


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 おおっ,マイルス・デイビスの問題作『オン・ザ・コーナー』がランクインするとは,選者であるプロ評論家軍団は本物だと認める。
 個人的にはマイルス・デイビスと来れば『イン・ア・サイレント・ウェイ』が上であるが,突然変異的に発生した“マイルス・デイビス一流のブラック・ファンク・ミュージック”『オン・ザ・コーナー』の佇まいも「21世紀に残したいジャズ」にふさわしい。

 『オン・ザ・コーナー』というアルバムは,とにかくポリリズムである。しかも難解で予測不能なリズムの上でポリリズムが鳴っている。マイルス・デイビストランペットの出番などほぼないに等しい。
 それでも,この破綻した音楽こそがマイルス・デイビスである,という“帝王の濃度”が他のどんなアルバムよりも色濃いと思う。

 『オン・ザ・コーナー』の“孤高”が突出している。前作『ライヴ・イヴル』からの流れもなければ『オン・ザ・コーナー』の続編も存在しない。
 そう。『オン・ザ・コーナー』の代わりとなる音楽は,マイルス・デイビスの全ディスコグラフィーの中に1つもなければ,世界のどこにも存在しやしない。

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