アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2020年08月

チック・コリア / チック・コリア・ソロ Vol.25

PIANO IMPROVISATIONS VOL.2-1 ECMソロ・ピアノと来れば,キース・ジャレット一連のソロ・ピアノが有名であるが,キース・ジャレットに先立つこと半年,レーベル・オーナー兼プロデューサーのマンフレート・アイヒャーが最初に白羽の矢を当てたのは,キース・ジャレットではなくチック・コリアの方であった。

 マンフレート・アイヒャーが「いの一番」でオファーしたのはチック・コリアであって,チック・コリアの成功があってのキース・ジャレットの大成功へと繋がる構図。
 つまりソロ・ピアノにおけるマンフレート・アイヒャーの評価としては“天才”キース・ジャレットよりもチック・コリアの方が上だったということだ。

 この評価はキース・ジャレット・マニアの管理人をして正しいのかもしれない。『PIANO IMPROVISATION VOL.2』(以下『チック・コリア・ソロ VOL.2』)におけるチック・コリアの煌めきが最高に素晴らしい。

 今でこそソロ・ピアノと来れば,キース・ジャレットの独壇場となっているが,管理人の評価ではドローである。
 キース・ジャレットチック・コリアより評価されている理由は単純に作品数の多さ,圧倒的なボリュームにある。加えてチック・コリアは多作家であり,興味を抱いたものに次々と手を出してはその全てを見事にまとめてくる。その点で自分の音楽人生の主軸をソロ・ピアノに捧げてきたキース・ジャレットとはソロ・ピアノへの評価が異なって当然であろう。

 「長編小説」としてはキース・ジャレットの圧勝であるが「短編小説」としての破壊力ではチック・コリアに分があるように思う。
 と言うのもキース・ジャレットの「短編小説」,例えば『FACING YOU』と『STAIRCASE』の美しさは,牧歌的でゴスペルチックでありつつも,毒である“電化マイルス”の大ヒーロー=キース・ジャレットまでも堪能できる良さがある。
 対するチック・コリアソロ・ピアノは,真にクリスタルな美しさが身体全身に満ちている。超絶な演奏テクニックと相まって高度にロマンティックな音楽がフリージャズの文脈で置き換えられている。「その手があったか〜」な感じがするのだ。

 そう。『PIANO IMPROVISATION』の『VOL.1』『VOL.2』を聴けば聴くほど,この全てが完全即興演奏とはにわかに信じられない。
 どれもこれもがチック・コリアの「生命の息吹き」であり,新しいジャズ・ピアノの「創造」であった。

 ECMソロ・ピアノの何がそこまで素晴らしいのか? 一言で書けば「未完成」だから素晴らしい。
 『チック・コリア・ソロ VOL.1』『チック・コリア・ソロ VOL.2』の真実とは,チック・コリアの「デッサン集」である。
 事実『チック・コリア・ソロ VOL.1』『チック・コリア・ソロ VOL.2』に詰め込まれたアイディアの中から,後のチック・コリア名盤群が発展した跡が残されている。

PIANO IMPROVISATIONS VOL.2-2 完全即興なのだから「デッサン集」で十分だし,発展途上の曲だからこそ,骨格が丸分かりだし,何をモチーフとしているかが感覚として近い。様々なアイディアが詰め込まれた「音の玉手箱(←古い)」だからこそ,オークションにかければ完成品以上の値打ちが付く。そんなアルバムだと思う。

 それでこそチック・コリアである。チック・コリアの音楽は,いつでもスタイリッシュだし,目に見える部分で最高に美しい。絵画と表現するよりも写真と表現した方がしっくりくる。カメラとレンズを通して見るジャズ・ピアノの「ミニマルな新世界」なのだ。

 管理人の結論。『チック・コリア・ソロ VOL.2批評

 『チック・コリア・ソロ VOL.1』の1年後に発売された『チック・コリア・ソロ VOL.2』は『チック・コリア・ソロ VOL.1』の高評価を受けて制作された続編ではない。これ重要!

 個人的に『チック・コリア・ソロ VOL.2』のアルバム名を耳にすれば,条件反射的に【AFTER NOON SONG】が頭の中で鳴り始めてしまう。
 【AFTER NOON SONG】に関しては2つの解釈が可能である。1つは『チック・コリア・ソロ VOL.1』収録の【NOON SONG】の「次の」曲なのかもしれないし,単純に「午後の曲」という新曲パターン。管理人の予想では,本当は何の関連もないのに,ジョーク好きのチック・コリアの後付け【NOON SONG】→【AFTER NOON SONG】の出来上がりぃ!

 『チック・コリア・ソロ VOL.1』にも【ホエア・アー・ユー・ナウ? 〜8つの絵の組曲】があったが『チック・コリア・ソロ VOL.2』にも【ア・ニュー・プレイス】という組曲がある。
 この2つの組曲を聴いていると,後のキース・ジャレットの「短編小説」の原型のように思えてくる。チック・コリアキース・ジャレット。後に2人で連弾をしたこともある仲。互いに互いのピアノが大好き。ソロ・ピアノの2大巨匠は相互に影響を及ぼしあっていた。

 
01. After Noon Song
02. Song For Lee Lee
03. Song For Thad
04. Trinkle Tinkle
05. Masqualero
06. Preparation 1
07. Preparation 2
08. Departure from Planet Earth
09. A New Place
1). Arrival
2). Scenery
3). Imps Walk
4). Rest

 
CHICK COREA : Piano

(ECM/ECM 1972年発売/POCJ-2017)
(ライナーノーツ/野口久光)

アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

新ブログ 『アドリブログ 〜JAZZ/FUSION スーパートリビア〜』

 3月4月は引っ越しシーズン! ということでアドリブログもライブドアから移転することになりました。

 ただし,5/1現在,アドリブログの記事投稿数は2251ありまして,コンテンツ全部の移転はかなりの長期化が予想されます。

 それで移転の計画は「少しずつ」です。今度の移転先は「レンタルサーバー+独自ドメイン」ですので,ライブドアの全コンテンツを「フロントページ+5つのサブドメイン」に分けることにしました。
 ですので,引っ越しの荷造りは「サブドメイン毎」に進めていくことに決めました。

 2020年のGWはPCの前に張り付いて頑張りました。強制ではなく自発的な「ステイホーム」の甲斐あって,本日,5つのサブドメインの中の1つ目のコンテンツを公開したことをお知らせいたします。

 新しいウェブサイトの第三弾は以下の通りです。

新ブログ・フロントページ:
 『アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION』(工事中)

新サブドメイン・コンテンツ:
 「アドリブログ 〜JAZZ/FUSION スーパートリビア〜」

新URL:  https://www.adliblog.org/supertrivia/ 

 アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

 この投稿以降,ライブドアへUPする記事は全て新ブログ仕様となります。
 先に書いた通り,新ブログへの完全移行まではまだまだ時間がかかります。それで新記事の投稿間隔は月に数本程度に鈍るとはいえ,引き続きライブドアでも公開を続けます。「先行公開」なんちゃって〜。

アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

チック・コリア / チック・コリア・ソロ Vol.15

PIANO IMPROVISATIONS VOL.1-1 ECMソロ・ピアノと来れば,キース・ジャレット一連のソロ・ピアノが有名であるが,キース・ジャレットに先立つこと半年,レーベル・オーナー兼プロデューサーのマンフレート・アイヒャーが最初に白羽の矢を当てたのは,キース・ジャレットではなくチック・コリアの方であった。

 マンフレート・アイヒャーが「いの一番」でオファーしたのはチック・コリアであって,チック・コリアの成功があってのキース・ジャレットの大成功へと繋がる構図。
 つまりソロ・ピアノにおけるマンフレート・アイヒャーの評価としては“天才”キース・ジャレットよりもチック・コリアの方が上だったということだ。

 この評価はキース・ジャレット・マニアの管理人をして正しいのかもしれない。『PIANO IMPROVISATION VOL.1』(以下『チック・コリア・ソロ VOL.1』)におけるチック・コリアの煌めきが最高に素晴らしい。

 今でこそソロ・ピアノと来れば,キース・ジャレットの独壇場となっているが,管理人の評価ではドローである。
 キース・ジャレットチック・コリアより評価されている理由は単純に作品数の多さ,圧倒的なボリュームにある。加えてチック・コリアは多作家であり,興味を抱いたものに次々と手を出してはその全てを見事にまとめてくる。その点で自分の音楽人生の主軸をソロ・ピアノに捧げてきたキース・ジャレットとはソロ・ピアノへの評価が異なって当然であろう。

 「長編小説」としてはキース・ジャレットの圧勝であるが「短編小説」としての破壊力ではチック・コリアに分があるように思う。
 と言うのもキース・ジャレットの「短編小説」,例えば『FACING YOU』と『STAIRCASE』の美しさは,牧歌的でゴスペルチックでありつつも,毒である“電化マイルス”の大ヒーロー=キース・ジャレットまでも堪能できる良さがある。
 対するチック・コリアソロ・ピアノは,真にクリスタルな美しさが身体全身に満ちている。超絶な演奏テクニックと相まって高度にロマンティックな音楽がフリージャズの文脈で置き換えられている。「その手があったか〜」な感じがするのだ。

 そう。『PIANO IMPROVISATION』の『VOL.1』『VOL.2』を聴けば聴くほど,この全てが完全即興演奏とはにわかに信じられない。
 どれもこれもがチック・コリアの「生命の息吹き」であり,新しいジャズ・ピアノの「創造」であった。

 ECMソロ・ピアノの何がそこまで素晴らしいのか? 一言で書けば「未完成」だから素晴らしい。
 『チック・コリア・ソロ VOL.1』『チック・コリア・ソロ VOL.2』の真実とは,チック・コリアの「デッサン集」である。
 事実『チック・コリア・ソロ VOL.1』『チック・コリア・ソロ VOL.2』に詰め込まれたアイディアの中から,後のチック・コリア名盤群が発展した跡が残されている。

PIANO IMPROVISATIONS VOL.1-2 完全即興なのだから「デッサン集」で十分だし,発展途上の曲だからこそ,骨格が丸分かりだし,何をモチーフとしているかが感覚として近い。様々なアイディアが詰め込まれた「音の玉手箱(←古い)」だからこそ,オークションにかければ完成品以上の値打ちが付く。そんなアルバムだと思う。

 それでこそチック・コリアである。チック・コリアの音楽は,いつでもスタイリッシュだし,目に見える部分で最高に美しい。絵画と表現するよりも写真と表現した方がしっくりくる。カメラとレンズを通して見るジャズ・ピアノの「ミニマルな新世界」なのだ。

 管理人の結論。『チック・コリア・ソロ VOL.1批評

 『チック・コリア・ソロ VOL.1』は,前半5曲がメジャー・ヒット・チューン,後半8曲は印象派風の【ホエア・アー・ユー・ナウ? 〜8つの絵の組曲】で構成されている。
 個人的に『チック・コリア・ソロ VOL.1』のアルバム名を耳にすれば,条件反射的に【NOON SONG】が頭の中で鳴り始めてしまう。【NOON SONG】を聴いて感じる「クリティカルな人肌の清涼感と滑らかな肌触り」と「何回聴いても暗譜の途中で意識が飛んでいく美しさ」。ああ〜!

 チック・コリアを愛するファンならば【SOMETIME AGO】の初演は必聴である。“荒削りの”【SOMETIME AGO】にドキドキしてしまう。
 後のフュージョン史を彩る大名曲【SOMETIME AGO】が世に産れ出た瞬間を見届けよ!

 
01. Noon Song
02. Song For Sally
03. Ballad For Anna
04. Song Of The Wind
05. Sometime Ago
  Where Are You Now? −A Suite Of Eight Pictures−
06. Picture 1
07. Picture 2
08. Picture 3
09. Picture 4
10. Picture 5
11. Picture 6
12. Picture 7
13. Picture 8

 
CHICK COREA : Piano

(ECM/ECM 1971年発売/J25J 20325)
(ライナーノーツ/野口久光)

アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

デイヴ・リーブマン / ドゥーイン・イット・アゲイン5

DOIN' IT AGAIN-2 変な質問とお思いでしょうが,読者の皆さんは,どのデイヴ・リーブマンがお好きですか?
 マイルス・デイビスのバンドにいた頃の「元気印」のデイヴ・リーブマンですか? それとも今ではこちらが「定番」として定着した感のある「内省的で叙情的な」デイヴ・リーブマンですか?

 デイヴ・リーブマンというサックス奏者は,アルバムのコンセプトやレコーディング時期によって演奏スタイルが大きく異なる代表格。成長しているとか円熟しているという言葉は,ある音楽スタイルを追求してきた場合の評価だろう。「クラッシュ・アンド・ビルド」は,壊したスタイルに戻らないのが前提となるだろう。

 まっ,デイヴ・リーブマンという人は,幸か不幸か,マイルス・デイビスに人格までも破壊された人。
 管理人はマイルス・デイビスのバンドを去った後のデイヴ・リーブマンの音楽は,自分探しの「武者修行」だと思っている。

 『DOIN’ IT AGAIN』(以下『ドゥーイン・イット・アゲイン』)は「元気印」のデイヴ・リーブマンの“最高傑作”である。
 ここまでグイグイとストレートにサックスを吹きまくるデイヴ・リーブマンを知ってしまうと,現在の「耽美主義的な」演奏に不満を感じてしまうだろう。

 とにかく“何でも出来てしまう”デイヴ・リーブマンジャズメンとしてのレベル高さを感じてしまうのだ。共演者の発したメッセージへの瞬時の対応力がハンパない。
 『ドゥーイン・イット・アゲイン』を聴く限り,デイヴ・リーブマンはスタジオ・ミュージシャンと対等に対峙できる数少ない“アーティスト”の1人に違いない。もしあのまま「元気印」のデイヴ・リーブマンを続けていたならマイケル・ブレッカーのライバルとして認められる存在になっていたことと思う。まっ,ゲイリー・バーツにしてもソニー・フォーチュンにしても然り…。

 さて,ボスの要求に答え応じ続けるうちに,どんな注文にも即時に対応できる術を身に着けたデイヴ・リーブマンの真骨頂が『ドゥーイン・イット・アゲイン』で爆発している。
 『ドゥーイン・イット・アゲイン』は,デイヴ・リーブマンのレギュラー・バンドのメンバーである,ベースロン・マクルーアドラムアダム・ナスバウムの凄腕に,トランペット日野皓正ギタージョン・スコフィールドが参加した,スペシャル・スーパー・セッション

 5人が5人とも超キレッキレ! 5人が5人とも尖がっている! 本当の意味で“丁々発止”の音楽的やりとりに興奮しまくり&アドレナリンでまくり〜!
 『ドゥーイン・イット・アゲイン』のフロントである,デイヴ・リーブマン日野皓正組は,マイケル・ブレッカーランディ・ブレッカー組が考え抜いたフレーズでそれまでより一段上の音楽を表現しようとしているのに対して,もうちょっと自由でその場勝負なジャズ・ライン! ニューヨーク時代に“ジャズトランペッター”を張っていた日野皓正は,大袈裟ではなく真に「世界一」に王手をかけていたと思っている。

DOIN' IT AGAIN-2 そ・こ・へ“キーマン”ジョン・スコフィールドが“ロック・ギター・ブルース”の乱れ打ち!
 ジョン・スコフィールドギタージャズがベースにあってのロック的な演奏と,時々,フリーに走る塩梅がちょうどよい!

 後の「ファンキーへたうまアウト」ではなく(これももちろん素晴らしいのだが)ヒステリックかつスリリングで攻撃的な,それはそれはカッコいいソロとハイテンションなコードワークに痺れまくる。
 こんな“ロック・ギター・ブルース”は世界中を探してもジョン・スコフィールド以外に見つからない。それくらい斬新な解釈のドロッとしたフレージングが神レベルである。

 とにかく素晴らしい。読者の皆さんにも,こんなにも「元気印」なデイヴ・リーブマンを,こんなにも“ジャズトランペッター”な日野皓正を,こんなにも“ロック・ギター・ブルース”のジョン・スコフィールドを知ってほしいと思う。絶対いいから!

 
01. DOIN' IT AGAIN
02. LADY
03. STARDUST
04. CRIFF'S VIBES

 
DAVE LIEBMAN : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
TERUMASA HINO : Trumpet, Flugelhorn, Percussion
JOHN SCOFIELD : Guitar
RON McCLURE : Acoustic Bass, Electric Bass
ADAM NUSSBAUM : Drums

(タイムレス/TIMELESS 1979年発売/ABCJ-123)
(ライナーノーツ/小西啓一)

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林 栄一 / モナ・リザ4

MONA LISA-1 林栄一ジャズスタンダード集である『MONA LISA』(以下『モナ・リザ』)は,大多数のジャズ・ファンにとって極上のアルバムである。

 余計な装飾を排除したストレートなアレンジと相まって,林栄一が丁寧にのジャズスタンダードを吹き上げている。林栄一が“歌”を歌うことに集中している。
 内容の濃い,それでいてべたつきのない,さらりとしたアルトサックス特有の趣きは『モナ・リザ』でしか楽しむことができないものだろう。

 しかし,フリージャズの第一人者の視点から,あるいは林栄一のファンの視点から見ると『モナ・リザ』は失敗作ということになるだろう。
 なぜなら林栄一の本当の良さが全く感じられない。林栄一とは,のほほんとメロディーを噛みしめながら吹くサックス奏者ではない。美メロに溺れるタイプのサックス奏者ではない。

 全ての元凶はプロデューサーの山下洋輔にある。聞けば『モナ・リザ』は,林栄一ジャズスタンダードを聴きたいという,山下洋輔のたっての個人的希望が「鶴の一声」となって制作されたという。

 林栄一にとって山下洋輔は“恩人”である。断ることなどできないし,もしや自分中の知らない引き出しを開けられるのではという淡い期待のようなものもあったかもしれない。
 全体のサウンド・メイクも林栄一アルトサックスは斜に構えた位置に置かれている。ハッキリ書けば加藤崇之ギターの方が目立っている。

MONA LISA-2 それでも『モナ・リザ』は,大多数のジャズ・ファンにとって極上のアルバムであろうし,林栄一にとっても代表作の1枚となったのだから,こうした世間の高評価を疑問視するレヴューなどゴミであろう。

 でもそれでも今回は書かないわけにはいけないのだ。林栄一のフォロワーを公言する管理人としては『モナ・リザ』を認めるわけにはいかない。『モナ・リザ』が林栄一の代表作と語られることに嫌悪感を覚えてしまうし,いつだって反論したくなる衝動を必死で抑えてきた。

 とにかく『モナ・リザ』が「愚の骨頂」。それは林栄一アルトサックスに音の表情がないことである。『モナ・リザ』での林栄一は「のっぺらぼう」。
 レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』が無表情であるのと同じように…。

 
01. MONA LISA
02. WALKING SHOES
03. SOME OTHER SPRING
04. IF YOU COULD SEE ME NOW
05. ALL OF ME
06. YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS
07. I REMEMBER YOU
08. MY BLUE HEAVEN
09. SOUTH OF THE BORDER
10. I'M A FOOL TO WANT YOU
11. IN A SENTIMENTAL MOOD
12. LINE FOR LYONS
13. TEA FOR TWO
14. SMOKE GETS IN YOUR EYES
15. WHAT IS THIS THING CALLED LOVE?

 
EIICHI HAYASHI : Alto Saxophone
TAKAYUKI KATOH : Guitar
NORIKATSU KOREYASU : Bass
AKIRA SOTOYAMA : Drums
YOSUKE YAMASHITA : Piano

(オーマガトキ/OMAGATOKI 1997年発売/OMCZ-1014)
(ライナーノーツ/山下洋輔,村上寛)

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ブラッド・メルドー・トリオ / ブルース・アンド・バラッド5

BLUES AND BALLADS-1 ブラッド・メルドーを聴かなくなったのは,一体いつ頃のことだろう。
 あっ,正確には聴かなくなったのではなく,パタリとニュー・アルバムを買わなくなってしまった。

 理由は単純である。ブラッド・メルドージャズを演奏しなくなってしまった。
 2010年代に入ってからのブラッド・メルドーは,やれヴォーカル・アルバム,やれクラシック・アルバム,やれコラボレーション企画の大連発!
 かろうじてソロ・アルバムのリリースは続いていたが,ベースラリー・グレナディアドラムジェフ・バラードと組んだブラッド・メルドートリオ名義での活動は実質的にSTOPしてしまった。

 『BLUES AND BALLADS』(以下『ブルース・アンド・バラッド』)は,ブラッド・メルドートリオ名義として実に3年半ぶりとなる新作である。
 管理人はブラッド・メルドートリオの音に“飢えていた”のだと思う。ブラッド・メルドーのサイケなピアノが体内の渇きを癒してくれる。『ブルース・アンド・バラッド』のピアノが,ベースが,ドラムが瑞々しい。

 『ブルース・アンド・バラッド』の特長とは,ブルースバラードを題材とした有名曲のカバー・アルバム。だから管理人の性格を知っている方は分かるはずだが『ブルース・アンド・バラッド』も連発しているコンセプト・アルバムの流れっぽくて,初めはスルーしようかと思ったのだが,普通に有名曲を弾くブラッド・メルドーに『ANYTHING GOES』や『DAY IS DONE』路線の再現を連想した…。

 この狙いが大当たり! ブラッド・メルドーが“流し”のジャズ・ピアニストとしてビンビンである。特にハマルのがジェフ・バラードドラミングである。超絶のドラミングが,メロディーのツボを押さえリズムのツボを抑えている。素晴らしい。

 “主役”であるブラッド・メルドーの“天才”の業が浮いていない。美メロと融合するためのアイディアが『ANYTHING GOES』『DAY IS DONE』以上に良くできているのが,積み重ねてきた経験の成せる業である。
 つまり,管理人としては『ANYTHING GOES』『DAY IS DONE』以上の“傑作”として認定できる。普通に聴いているだけでジャズ・ピアノの良さを味わうことができる名盤だと思う。

 そう。ブラッド・メルドートリオの上級向けで,複雑なことを簡単にやってのけてしまうテクニカルな演奏を楽しむと言うよりも,淡い表現力で勝負する感じの慈しみ深い演奏に身も心がまどろんでしまう。
 あのラリー・グレナディアとあのジェフ・バラードさえも,静かにリズム・キープすることに集中しながら,曲の盛り上がりと共に自分をちょっと出す感じ。

BLUES AND BALLADS-2 管理人の結論。『ブルース・アンド・バラッド批評

 『ブルース・アンド・バラッド』は,斬新さを“売り”にしてきたブラッド・メルドートリオの特徴的な不思議な音がほとんど鳴らない,大人の「王道」ジャズ・アルバム。
 名曲の良さを再確認しながら,名曲の甘さに酔いしれた,シンプルで優しい展開の演奏が気持ち良い。実に「さっぱり」とした清々しい演奏集である。

 ブラッド・メルドートリオが『ブルース・アンド・バラッド』で「円熟期」に入ってきた。

 
01. Since I Fell for You
02. I Concentrate on You
03. Little Person
04. Cheryl
05. These Foolish Things (Remind Me of You)
06. And I Love Her
07. My Valentine

 
BRAD MEHLDAU : Piano
LARRY GRENADIER : Bass
JEFF BALLARD : Drums

(ノンサッチ/NONESUCH 2016年発売/WPCR-17274)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/柳樂光隆)

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多田 誠司・スガダイロー Duo / WE SEE!!5

WE SEE!!-1 うわぁ。多田誠司がいいよなぁ。スガダイローがいいよなぁ。素晴らしいデュオ・アルバムだよなぁ。

 『WE SEE!!』というアルバムは,多田誠司についての薀蓄やスガダイローについての含蓄など抜きにして,音を追いかけているだけで楽しくなる。うれしくなる。手放しで喜びたくなる。そんなアルバムである。

 スガダイローの強靭なリズムとコード・ワークに乗せて,骨太でフォーカスした多田誠司アルトサックスが響きまくる。
 多田誠司アルトサックスは,ともすると男らしい豪快なブロウに気を取られがちだが,時折見せるスイート・サウンドは古き良き時代の素朴さと優しさをそなえた実に美しい響き。

 多田誠司アルトサックスは,メインストリームだろうがフリーだろうが何をやっても「THE 多田誠司」。
 だ・か・ら・こんなにも優しい多田誠司アルトが聴けるとは,ただそれだけで「うっとり」してしまう。ピアノとのデュエットだからこそ実現できたアルトサックスの繊細な響きが真に極上である。

 もっともスガダイローピアノは甘くない。超ガンガンにプッシュしてくる。しかもピンポイントで多田誠司の大好きなツボを突きまくっている。
 こんなにも全身快感で満たされた多田誠司が,かつていただろうか? 多田誠司が“蛇口”をスガダイローにひねられている。

WE SEE!!-2 多田誠司がついに巡り会った,スガダイローという最高の音楽パートナー。絶好調の多田誠司が満足気に吹くジャズスタンダードが最高である。

 「丁々発止」という言葉などでは足りない,真に豊かな音楽性で繋がったデュエット。緩急の波とアドリブの応酬がスリリングなのに,ピタッと気持ちいいくらいにハマっている。

 ピアノサックスの組み合わせ。その相性の良さで評価するなら『WE SEE!!』はハービー・ハンコックウェイン・ショーターによるデュエット1+1』を超えたと思う。名盤である。

 
01. Nostalgia In Times Square
02. Jayne
03. You Taught My Heart To Sing
04. Alone Together
05. Sweet And Lovely
06. We See
07. ゆきゆきて円環
08. Lala! Lala!
09. All The Things You Are
10. Wig Wise

 
SEIJI TADA : Alto Saxophone
DAIRO SUGA : Piano

(スタジオトライブレコーズ/STUDIO TLIVE RECORDS 2014発売/STLR-010)
(紙ジャケット仕様)

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