アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ CD, DVD, ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

2020年12月

菊池 ひみこ / オーライ4

ALL RIGHT-1 「菊池ひみこ,海を渡る」。それが『ALL RIGHT』(以下『オーライ』)失速の最大要因である。

 『ドント・ビー・ステューピッド』でホップして『フラッシング』でステップして『オーライ』でジャンプを決める。
 そんなシナリオが立てられた中?菊池ひみこが向かったのは,アメリカはLAの「マッド・ハッター・スタジオ」。則ちチック・コリアのお膝元である。

 1982年当時のチック・コリアは「リターン・トゥ・フォーエヴァー」を解散しアコースティックジャズに燃えていた時期である。
 菊池ひみことしては,ブラジリアン・フュージョンで「天下を獲った」チック・コリアに,それもジャズを志向中のチック・コリアに感じるものがあったのだろう。

 しかし『オーライ』は“中途半端な”チック・コリアとの共同制作。これが『オーライ』の敗因であろう。
 『オーライ』のプロデューサーは「マッド・ハッター・スタジオ」を使用するのにチック・コリアではなく松本正嗣であった。共演者もチック・コリアの人脈としてはアル・ビズッティくらい。他はアーニー・ワッツにしてもジョン・ロビンソンにしてもスティーヴ・フォアマンにしてもリー・リトナー関連の色合いが強い。

 『オーライ』のレコーディングの様子をチック・コリアがのぞきに来たそうであるが,総指揮を取ったは松本正嗣
 保険として杉本和弥を引き連れて渡米した松本正嗣であったが,自身にとっても初体験となる海外レコーディングリー・リトナー組を思い通りに操るにはまだまだ経験が不足していたように思う。
 『オーライ』の音はLAらしくカラッとしているようでいて,実はポップではないし,重くタイトなリズムはどちらかというとNYのイメージに近いと思う。

ALL RIGHT-2 個人的には世界TOPのジョン・ロビンソンよりも風間幹也ドラミングの方が菊池ひみこの音楽性には合っている。もっと言えばバンドのメンバー全員「デッド・エンド」の方が良かった。
 それだけではなく菊池ひみこオリジナルも,変にブラジリアン・フュージョンに寄せた『オーライ』よりも『ドント・ビー・ステューピッド』や『フラッシング』の「全力日本」タイプの方が良かった。

 アメリカ制作は完全に無駄金だった。高い授業料を払わされたものだ。つまり国内制作の方が良かった。「菊池ひみこデッド・エンド」で録音した『ドント・ビー・ステューピッド』〜『フラッシング』路線の続編が良かった。

 『オーライ』で“狙った”ブライトなタッチのグルーヴィなフュージョンが得意なのは,菊池ひみこの方ではなくチック・コリアの方なのでした。

 
01. CALLING WAVES
02. ROLLING 40TH
03. THE POLESTAR
04. CRAZY MOON
05. PANCAKE ICE
06. HARD MEDITATION
07. BUNGER'S OASIS

 
HIMIKO KIKUCHI : Acoustic Piano, Keyboards, Vocal
ERNIE WATTS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Synthesizer Saxophone
AL VIZZUTTI : Trumpet
MASATSUGU MATSUMOTO : Electric Guitar
KAZUYA SUGIMOTO : Electric Bass
JOHN ROBINSON : Drums
STEVE FORMAN : Percussion

BRASS SECTION
AL VIZZUTTI : Trumpet
CHARLES DAVIS : Trumpet
JIM COWGER : Tenor Saxophone, Alto Saxophone
ALAN KAPLAN : Trombone

(テイチク/TEICHIKU 1982年発売/TEH-15)
(ライナーノーツ/油井正一,金澤寿和)

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ビル・エヴァンス / トリオ '644

TRIO '64-1 管理人はビル・エヴァンスが大好き。でもそれ以上にキース・ジャレットが大好き。
 ゆえにキース・ジャレットトリオベーシストゲイリー・ピーコックビル・エヴァンスと共演した『TRIO ’64』(以下『トリオ ’64』)のお目当てはビル・エヴァンスではなくゲイリー・ピーコックのはずであった。

 ところがどうだろう。あのゲイリー・ピーコックが霞んでいる。あのポール・モチアンが霞んでいる。
 ズバリ『トリオ ’64』とは「ビル・エヴァンス100%」のアルバムである。
 暴言を吐けばベーシストドラマーはリズム・キープが出来れば誰でも良かった。それくらい“圧倒的に”ビル・エヴァンスなアルバムである。

 ビル・エヴァンスの新鮮でハーモニー豊かなアイディア,独特のデリカシー,それは決して女性的な柔らかさではなく,生き届いた繊細さ,あるいはバランスのとれた美しさがまばゆい!
 この美しさの秘訣は「美人薄命」である。ベースゲイリー・ピーコックドラムポール・モチアンとの『トリオ ’64』のピアノ・トリオは結成当初から「期間限定」の約束であった。
 新進気鋭のゲイリー・ピーコック,待望の復帰が叶ったポール・モチアンを迎えて,ビル・エヴァンスが燃えたのだった。


 そう。『トリオ ’64』の聴き所はビル・エヴァンスの美しいピアノだけにある。
 『トリオ ’64』の中にビル・エヴァンスの代名詞である「インタープレイ」的要素は含まれていない。演奏が“ぬるい”のだ。
 仮に「期間限定」でなかったなら“奇跡の”超大物3人の揃い踏みなのだから,もっともっと&ずっとずっと良くなって,果てはスコット・ラファロを超えたかも?

 事実『トリオ ’64トリオライブ会場にキース・ジャレットの姿があったらしい。後にキース・ジャレットトリオで共演することとなるゲイリー・ピーコックベースポール・モチアンドラムに,自身のピアノを思い重ねていたりして…。

 それにしてもゲイリー・ピーコックベースが普通すぎる。ゲイリー・ピーコックとしてもビル・エヴァンストリオベーシストを務めるとなるとスコット・ラファロの遺灰を意識せざるを得なかったであろうに…。

 この全ては選曲の難に負うところが大きいと思う。管理人の大好きな【エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー】でさえ“荒削りな”ベースが響いている。【サンタが街にやってくる】なんて“愛らしい”ベース・ウォーキング。
 どうですか? 読者の皆さんはこの選曲とゲイリー・ピーコックがダイレクトに結びつきますか?

TRIO '64-2 そう。『トリオ ’64』には,ゲイリー・ピーコックの“破天荒”な真骨頂が発揮されるシリアスなパートが少なすぎるのだ。
 全てはプロデューサーを務めるクリード・テイラーが仕掛けた,ビル・エヴァンスの美しさを際立たせるためのセッティングが,世紀の共演の魅力を半減してしまっている。

 ここに,例えば【枯葉】などのスコット・ラファロの有名曲をぶつけていたら,こんなにも軟弱なゲイリー・ピーコックで終わるはずはなかった。心からそう思う! → 心からそう願う?

 管理人の結論。『トリオ ’64批評

 ゲイリー・ピーコックの演奏が悪いわけではないし,調子が悪いわけではないのだが『トリオ ’64』はゲイリー・ピーコック目当てで聴くアルバムではない。
 いいや,ここでどんでん返し! 是非ともゲイリー・ピーコック目線で聴いてみてほしい。あのゲイリー・ピーコックが隅に追いやられるレベルで“圧倒的に”ビル・エヴァンスピアノが迫ってくる。

 キース・ジャレットトリオが好きでゲイリー・ピーコックベースが好きなファンがビル・エヴァンスを強烈に意識することになるアルバムとして『トリオ ’64』をお奨めする。

 
01. LITTLE LULU
02. A SLEEPING BEE
03. ALWAYS
04. SANTA CLAUS IS COMING TO TOWN
05. I'LL SEE YOU AGAIN
06. FOR HEAVEN'S SAKE
07. DANCING IN THE DARK
08. EVERYTHING HAPPENS TO ME

 
BILL EVANS : Piano
GARY PEACOCK : Bass
PAUL MOTIAN : Drums

(ヴァーヴ/VERVE 1964年発売/UCCU-5077)
(ライナーノーツ/ジャック・マハー,杉田宏樹,藤井肇)

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菊池 ひみこ & デッド・エンド WITH アーニー・ワッツ / フラッシング5

FLASHING-1 菊池ひみこの“最高傑作”が,バンド形式「菊池ひみこデッド・エンド」名義での『FLASHING』(以下『フラッシング』)である。

 1stの『ドント・ビー・ステューピッド』も「粒揃いの名曲集」であったが,2ndである『フラッシング』は更に「一段上の名曲集」。加えてバンド形式の効果大な音楽的な“まとまり”が伝わってくる。

 「菊池ひみこデッド・エンド」のメンバーは,ピアノキーボード菊池ひみこギター松本正嗣ベース杉本和弥キーボード松本博ドラム風間幹也パーカッション川瀬正人から成る6人組。
 要するにこのメンバーの集まりとは,昔の「インナー・ギャラクシー・オーケストラ」であるのだから「菊池ひみこデッド・エンド」が志向するのはフュージョンということになる。

 しかし『フラッシングセッションでは「菊池ひみこデッド・エンド」の6人にサックスアーニー・ワッツが加わった7人組のバンド編成になっている。バンドが7人の音で完成しきっている。
 そしてこれが重要な要素であるが,アーニー・ワッツが加わることで,フュージョンの「菊池ひみこデッド・エンド」に,絶妙なスパイスとしてジャズのエッセンスが取り入れられている。

 『フラッシング』の音は決して軽くはない。気軽に楽しめるジャズのエッセンスが支配するフュージョン。これが「菊池ひみこデッド・エンド」の“唯一無二”なフュージョン・サウンドを演出している。

 実にあのアーニー・ワッツが「ジェントル・ソウツ」の次に加入したバンドが「菊池ひみこデッド・エンド」。アーニー・ワッツが見事なバンド・サウンドを奏でている。
 実にあのアーニー・ワッツが【EVERYDAY’S MIRACLE】【HIGHER LEVELS】の2曲を楽曲提供してもいる。この2曲が最高に素晴らしい。

 いやいや『フラッシング』が,菊池ひみこの“最高傑作”と称えられる最大の理由は楽曲の出来にある。
 管理人が『フラッシング』の名曲群を耳にしたのはLPが最初でもなければ,勿論,CDが最初でもない。そうではなくTVやラジオから流れるBGMとしてであった。

FLASHING-2 管理人が『フラッシング』のLPを初めて聴いた時の様子を思い起こせば「あっ,この曲聴いたことがある」「あっ,この曲も菊池ひみこなんだ」の連続であった。
 それくらいに巷では菊池ひみこの音楽が,そして『フラッシング』が流されていたという事実。ジャズフュージョンの取り立ててファンでもないだろう選曲者の耳に訴えかける力が『フラッシング』の名曲群にあるという事実。

 国府弘子もそうであるが,特に菊池ひみこのメロディー・ラインが管理人の好みにピッタリと合う。日本人の好みにピッタリと合う。
 思うにこのあたりが,菊池ひみこが“フュージョンの女王”と称される所以なのだろう。フュージョンなのに妙に陰影がある。サウンドも適度に軽く明るい。

 そう。国府弘子菊池ひみこのサウンド・カラーは,日本の女性ミュージシャンの2大巨頭で例えるなら,中島みゆきではなくユーミン寄り。
 “日本ポップス界の女王”がユーミンであるならば“フュージョンの女王”は菊池ひみこなのである。

 
01. Cosmic Dust Blue
02. Everyday's a Miracle
03. Higher Levels
04. Peaceful Moment
05. Little Romping Girl
06. Back to Bop
07. Sunday Morning
08. After The Festival

 
HIMIKO KIKUCHI : Acoustic Piano, Fender Rhodes, Mini Moog, Prophet, Oberhime, Voices, Vocal, Chorus
ERNIE WATTS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Saxophone Synthesizer
MASATSUGU MATSUMOTO : Electric Guitar, Acoustic Guitar, Chorus
HIROSHI MATSUMOTO : Acoustic Piano, Fender Rhodes, Mini Moog, Oberhime, Voices
KAZUYA SUGIMOTO : Electric Bass
KANYA KAZUMA : Drums
MASATO KAWASE : Percussion
MINE MATSUKI : Chorus
GENJI SAWAI : Chorus
KUNITOSHI TOJIMA : Chorus
YOSHIAKI TAGUCHI : Chorus

(テイチク/TEICHIKU 1980年発売/TEH-21)
(ライナーノーツ/野口久光,アーニー・ワッツ,金澤寿和)

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エヴァレット・ハープ / 君への想い4

EVERETTE HARP-1 1991年の「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」の大トリは「ザ・マーカス・ミラー・プロジェクト」。フィーチャリングレイラ・ハサウェイヴォーカルであったが,とにかくメンバーが凄い!
 ベースマーカス・ミラードラムプージー・ベルピアノジョー・サンプルキーボードフィリップ・セスギターディーン・ブラウントランペットマイケル・パッチェス・スチュワート。こんな至高のバックを引き連れて,一人フロントに立ったのがアルトサックスエヴァレット・ハープであった。

 馴染みのメンバーの中にあって,エヴァレット・ハープって誰? 圧巻のアルトサックスを聴き終えて,エヴァレット・ハープって誰?
 全くのノーマークにやられてしまったわけだが,管理人は悪くない。エヴァレット・ハープアルトサックスマーカス・ミラーからの“サプライズ”であった。

 だ〜って,エヴァレット・ハープは未だCDデビュー前であった。当時はネットも利用できなかったしCDショップをハシゴするしかなかったので,どこかに出かけた際は必ずCDショップに立ち寄って,エヴァレット・ハープを捜す日々…。

 そんな強烈な記憶が薄れかけていた時に,持つべきは友である。某ラジオ局に努める友人が郵送で送ってくれたのが,管理人が所有するサンプル盤の『EVERETTE HARP』(以下『君への想い』)である。

 『君への想い』は1992年のエヴァレット・ハープデビューCD。正に“満を持しての”ワールド・デビュー。プロデューサーからしてジョージ・デュークなのであります。

EVERETTE HARP-2  でっ,マーカス・ミラーなしで【RUN FOR COVER】なしのエヴァレット・ハープが何とも普通。
 おいおい,デヴィッド・サンボーンの後継者じゃなかったのかよう?

君への想い』でのエヴァレット・ハープフュージョンサックスではなくてスムーズジャズ
 まっ,たまにあるでしょ? ほら,デビュー前は「こうだった」のに,デビューしたら「ああだった」ってパターン。大抵はデビュー前の方が好きだった,っていうパターンが…。

 そんな中【FREE FALL】だけは“鉄板”です。これ相当に好き!
 【FREE FALL】でのエヴァレット・ハープは,フュージョンサックス界の「天使」です!

 
01. FULL CIRCLE
02. MORE THAN YOU'LL EVER KNOW
03. THERE'S STILL HOPE
04. THANK YOU FOR ALL YOUR LOVE
05. LET'S WAIT A WHILE
06. REMEMBER MY LOVE
07. FUNK A LE GONK
08. WHEN I THINK OF YOU
09. HE'LL NEVER LEAVE
10. IF I HAD YO LIVE MY LIFE WITHOUT YOU (WITHOUT YOU)
11. YOU MADE IT BETTER
12. FREE FALL
13. TOMORROW

 
EVERETTE HARP : Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Tenor Saxophone, Flute, EWI, Keyboards, Additional Keyboards, Drum Programming, Lead Vocals, Backing Vocals
GEORGE DUKE : Keyboards, Piano, Synthesizer, Additional Keyboards, Additional Percussion, Drum Programming, Synclavier Programming
DARRELL SMITH : Main Keyboards
MORRIS PLEASURE : Keyboards
BRIAN SIMPSON : Keyboards, Drum Programming
LARRY KIMPEL : Bass
FREDDIE WASHINGTON : Bass
HERMAN MATHEWS : Drums
RAYFORD GRIFFIN : Drums
PAULINHO DA COSTA : Percussion
MICHAEL LANDAU : Lead Guitar
PAUL JACKSON JR. : Guitar
ALAN HINDS : Guitar
DWIGHT SILLS : Guitar
"DOC" POWELL : Guitar
RAY FULLER : Guitar, Acoustic Guitar
RAYFORD GRIFFIN : Drum Programming
STEVE TAVAGLIONE : EWI Programming
OSCAR BRASHEAR : Trumpet
GEORGE BOHANON : Trombone
CARL CARWELL : Backing Vocals
PHIL PERRY : Backing Vocals
CAROLYN PERRY : Backing Vocals
DARLENE PERRY : Backing Vocals
LORI PERRY : Backing Vocals
SHARON PERRY : Backing Vocals
RACHELLE FERRELL : Backing Vocals
JOSIE JAMES : Backing Vocals
CHANTE MOORE : Backing Vocals

(マンハッタン/MANHATTAN 1992年発売/TOCJ-5722)
(ライナーノーツ/松永紀代美)
(サンプル盤)

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菊池 ひみこ ウィズ アーニー・ワッツ / ドント・ビー・ステューピッド5

DON'T BE STUPID-1 “女王”「ひみこ」という名前を聞くと,誰もが邪馬台国の「卑弥呼」を連想することと思うが,菊池ひみこフュージョン・サウンドを聞いたが最後“女王”「ひみこ」という名前を聞くと“邪馬台国の女王”「卑弥呼」ではなく“フュージョンの女王”菊池ひみこの「ひみこ」の方を連想するようになる。

 菊池ひみこの場合,フュージョンを演奏している人ではない。フュージョンを産み出している人なのである。
 あの当時,菊池ひみこの頭の中の音楽が,日本のフュージョン・シーン全体を動かしているような感覚があった。だからこそ菊池ひみこが“フュージョンの女王”と呼ばれたのだと思っている。

 菊池ひみこデビュー・アルバム『DON’T BE STUPID』(以下『ドント・ビー・ステューピッド』)は,全曲粒ぞろいの名曲集である。
 デビュー・アルバムだからだろう。『ドント・ビー・ステューピッド』では特に美メロだけを準備して,アレンジは演者にお任せのソロ・パートが多い。美メロを“生演奏”で聴かせるのが菊池ひみこ流なのである。

 菊池ひみこデビューから3作連続で「リー・リトナー&ジェントル・ソウツ」のサックス奏者であるアーニー・ワッツとコラボしている。
 フュージョンサックスとしての人選であれば,アーニー・ワッツでも悪くはないが,デヴィッド・サンボーンマイケル・ブレッカートム・スコットあたりの名前が挙がるのが自然だったと思う。

 しかし,菊池ひみこからしてみると共演するサックス奏者と来れば“アーニー・ワッツの一択”だったような気がする。
 アーニー・ワッツというサックス奏者は「ジェントル・ソウツ」と菊池ひみこの関連以外には,フュージョンサックスとしての目立った活動は行なっていない認識である。

 真実のアーニー・ワッツという人はフュージョンではなく“ジャズの人”。そんな“ジャズの人”が菊池ひみことコラボすると,ちょうどいい塩梅のフュージョンになるから不思議なものだ。菊池ひみこは目利きである。

DON'T BE STUPID-2 『ドント・ビー・ステューピッド』は「菊池ひみこ ウィズ  アーニー・ワッツ」名義。
 アーニー・ワッツテナーサックスが,菊池ひみこの音世界をくすませる事なく,さりげなく,しっかりと存在感のある演奏でサポートしている。

 『ドント・ビー・ステューピッド』随一の「神曲」【FOR MY BUDDY】は“弾む”アーニー・ワッツがいればこその松本正嗣の“神懸りな”ギターソロ
 親しみやすさや包容力という女性っぽさを隠れ蓑として,剛腕で硬派チックにたたみ掛けてくる勝負曲を“歌う”サックスが柔らかくほぐしている!

 それにしても男性目線のジャケットの美尻からして,菊池ひみこ自身は女性を“売り”にしてはこなかった。
 …が,当時中坊だった管理人なんかは,美尻の菊池ひみこの美人のお顔を勝手に想像したものでした。お顔を拝んで…。そしてこのキュートなお尻がご本人様のものではないことが分かった時のWショック。あぁ。

 
01. Stormy Spring
02. What's Baby Singin'
03. For My Buddy
04. Vampire
05. Flight In The Moonlight
06. Stiff Vamp
07. Tear Drops
08. Mambo Is Magic

 
HIMIKO KIKUCHI : Acoustic Piano, Fender Rhodes, Oberhime, Mini Moog, YAMAHA CS-20M, Hohner Clarinet, Pianica, Solina, Vocal
MASATSUGU MATSUMOTO : Electric Guitar, Acoustic Guitar
ERNIE WATTS : Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Tenor Saxophone
KAZUYA SUGIMOTO : Electric Bass
KANYA KAZUMA : Drums
MASATO KAWASE : Percussion
MINE MATSUKI : Chorus
ASAMI MATSUMOTO : Voice
SHIN KAZUHARA : Trumpet
TOSHIO ARAKI : Trumpet
GENJI SAWAI : Alto Saxophone
HIROFUMI KINJO : Tenor Saxophone
MASAO SUZUKI : Baritone Saxophone
TOMATO GROUP : Strings

(テイチク/TEICHIKU 1980年発売/TEH-14)
(ライナーノーツ/野口久光,金澤寿和)

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デイヴ・リーブマン・アンサンブル / コルトレーンズ・メディテーションズ4

JOHN COLTRANE'S MEDITATIONS-1 『JOHN COLTRANE’S MEDITATIONS』(以下『コルトレーンズ・メディテーションズ』)とは,デイヴ・リーブマンによるジョン・コルトレーンの『MEDITATIONS』の完コピ・アルバムである。

 ジョン・コルトレーンの曲をデディケイションとして演奏するテナー奏者は多いが,デイヴ・リーブマンの場合は行き過ぎている。
 ジョン・コルトレーンのアルバムを1枚丸々,しかも選んだのが後期コルトレーンフリージャズMEDITATIONS』全曲の完コピときた。

 『コルトレーンズ・メディテーションズ』って,デイヴ・リーブマンのファンであれば買うのかなぁ? デイヴ・リーブマンのファンであってもスルーされることが多い? コルトレーン信者しか買わないのでは?
 管理人はかろうじてデイヴ・リーブマンのアンテナに引っ掛かったが,正直,辛い。

 本家ジョン・コルトレーンの『MEDITATIONS』も所有してはいるが,未だに最後まで聴き通すとしんどくなる。ファラオ・サンダースが救世主として活躍してくれているから“もっている”アルバムの1枚だと思っている。
 だから本当は『MEDITATIONS』VS『JOHN COLTRANE’S MEDITATIONS』の対比を軸に批評するのが“筋”というものなのだろうが,昨晩から聴き比べしたが,ごめんなさい。
 『MEDITATIONS』は問題作なのだから『JOHN COLTRANE’S MEDITATIONS』も問題作。だから,どうコメントして良いかも問題で,ここまで書き始めてはみたものの本当に困っております。はい。

 『MEDITATIONS』というアルバムは,ジョン・コルトレーンの「精神世界の音楽の権化」である。
 昨今「音楽に政治を持ち込むな」というわけのわからない議論があって,チャールス・ミンガスとかマックス・ローチの例をあげるまでもなく,そんな馬鹿な……という話なのだが「宗教を持ち込んだらダメ」という話は,ジョン・コルトレーンからだろう。それくらいに『MEDITATIONS』の「精神世界」は超・強烈!

 そんな,ぐちゃぐちゃでドロドロの『MEDITATIONS』をよくも再現しようと思ったよなぁ。流石はコルトレーン・マニアのデイヴ・リーブマンだけのことはある。デイヴ・リーブマンの“男気”を見直した。

JOHN COLTRANE'S MEDITATIONS-2 尤もデイヴ・リーブマンジョン・コルトレーンの再演にチャレンジするにあたり,数ある名盤の中から『MEDITATIONS』を選んだ理由が,ボヤっとではあるが伝わってくる。
 デイヴ・リーブマンは『コルトレーンズ・メディテーションズ』の素材に良さに注目しているのだろう。

 ジョン・コルトレーンの『MEDITATIONS』と来れば,ファラオ・サンダースのギャーギャーと鳴るスクリームの嵐や,ラシッド・アリのバタバタしたドラム,やや滑稽な朗誦などに耳を引っ張られてしまうのだが,ジョン・コルトレーンはおそらく真剣にキリスト教的な瞑想を音楽でやってみようと思っていたのだろう。

 デイヴ・リーブマンは(多少の宗教的な意味合いは残っていたとしても)『MEDITATIONS』を純粋な「音楽の素材」として取り出すことで我々の耳の曇りを取っ払ってくれている。
 実は『MEDITATIONS』の中では,こんなにも素晴らしいメロディーが展開していたんですよ,と語りかけられているように思える。透明感と凛とした芯がある曲ばかりではありませんか!? 

 
01. INTRODUCTION
02. THE FATHER AND THE SON AND THE HOLY GHOST
03. COMPASSION
04. LOVE
05. CONSEQUENCES
06. SERENITY

 
DAVE LIEBMAN : Tenor Saxophone
VIC JURIS : Guitar
JAMEY HADDAD : Drums, Percussion
PHIL MARKOWITZ : Piano, Keyboards
TONY MARINO : Bass

BILLY HART : Drums
CECIL McBEE : Bass
TIGER OKOSHI : Trumpet
CARIS VISENTIN : Oboe

(アルカディア・ジャズ/ARKADIA JAZZ 1998年発売/TKCB-71462)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,デイヴ・リーブマン)

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