PAT METHENY GROUP-1 読者の皆さんは,ある音楽を耳にして映像のイメージが脳裏に浮かび上がる,という経験をしたことがおありですか?
 よくある過去の出来事と当時流れていた音楽とのフラッシュバックとは別の話です。風景でなくとも,色とか空気感とか香りとか…。抽象的なイメージの話です。
 管理人がパット・メセニーについて語る時はどうしても,この手の話しになってしまう。伝わらない人には全く伝わらないけれど,分かる人には分かる的な…。

 じゃあ,いきますよ。北欧の透明感ある空気を胸いっぱい深呼吸した“すがすがしさ”。晴れわたった,でも絵画的な雲はあって,時間帯は夕陽かな? 森の中のようでもあり,見渡す限りの地平線も広がっていて,ゆったりと時間が流れているような…。うん。すごい贅沢な時間。こんな感じです。
 もちろんアルバムによって多少の色合いや質感の変化は感じるものの,基本的に,管理人の中でのパット・メセニーはいつでもこんな感じなのです。どうです? 同じ風景を描くことができますか? あっ,まだ聴いたことがない人には当然理解不能なお話でしたね。

 でもこの紹介の仕方,個人的には気に入っています。そして結構好評なんですよ!
 当然,人それぞれ脳裏に浮かび上がる映像は違うんです。ある人にとっては,しとしとと降る雨音だったり,春先の暖かい空気や息吹だったり,逆に秋のもの悲しさであったり,緑とかオレンジとかって言った人もいました。でも皆さん,なんらかのイメージを感じたという点では共通しています。

 管理人が普段CDを聴く時にイメージするのは,そのアーティストが目の前で演奏している姿! 真剣に楽曲に魂を吹き込もうとしている姿!
 音で感動する時はいつでも,きっとこんな感じで録音したんだ,と。まあ,こちらも勝手な思い込みなんですけどね…。

 それで思うんですけど,自分の中で風景をイメージできる音楽って実は少ないんです。風景をイメージできるって,もの凄いクリエイティブなことなんでしょうね。
 そう。パット・メセニーとは,ギタリストである前に,ジャズメンである前に,まず偉大な音楽家,芸術家なのです!

PAT METHENY GROUP-2 『PAT METHENY GROUP』(以下『想い出のサン・ロレンツォ』)はパット・メセニー・グループ名義のファースト・アルバム。
 パット・メセニーのアルバムにはソロ名義とグループ名義の2系統が存在する。パット・メセニー・グループ名義の音楽は“盟友”ライル・メイズとのコラボレーションが特徴である。

 『想い出のサン・ロレンツォ』でもライル・メイズの活躍が素晴らしい。堂珍&川畑のケミストリーを超える,本家ケミストリーである。ジャズ界で言えば,ビル・エヴァンススコット・ラファロの関係性。そこんとこ,よ・ろ・し・く。

 特にパット・メセニー・グループフュージョン・ライクな音楽性はECMの世界観とも相性チリバツ。マンフレート・アイヒャーが骨組みを描いた白黒のキャンパスに,パット・メセニーライル・メイズが絶妙な“コラボレーション”で彩りを添えていく! これぞ,パット・メセニー・グループが音楽で織りなす繊細な映像世界!

 それでは読者の皆さんも『想い出のサン・ロレンツォ』で,最高のジャズフュージョン,最高の映像世界へと旅立ってみませんか?

 
01. SAN LORENZO
02. PHASE DANCE
03. JACO
04. APRILWIND
05. APRIL JOY
06. LONE JACK

 
PAT METHENY GROUP
PAT METHENY : 6-and 12-String Guitars
LYLE MAYS : Piano, Oberheim Synthesizer, Autoharp
MARK EGAN : Bass
DAN GOTTLIEB : Drums

(ECM/ECM 1978年発売/UCCE-9029)
(紙ジャケット仕様)
(☆ゴールドCD盤仕様)
(ライナーノーツ/竹本淳)

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