『WAY OUT WEST』の5曲目は【THERE IS NO GREATER LOVE】(以下【ノー・グレーター・ラヴ】)。

 テナートリオというフォーマットに耳が慣れてくるであろう5曲目に,このゆったりとした【ノー・グレーター・ラヴ】がジャスト・フィット! くつろいでソニー・ロリンズの“天才”のアドリブを楽しめる。
 
 ただし【ノー・グレーター・ラヴ】の聴き所は“音のない音楽”。つまりソニー・ロリンズの“間の取り方”にある。
 例えば,58秒から1分4秒の一音一音の“発声”が見事に“歌”になっている。この“絶妙の間”という芸術こそ,誰にも真似できない,教えようとも教えられない,天才だけが体内に有する「時間軸」なのだろう。

 誰が言ったか知らないが「ジョン・コルトレーンは王貞治で,ソニー・ロリンズは長島茂雄」とはよく言ったものである。
 ソニー・ロリンズは正しく長嶋茂雄。ソニー・ロリンズのずば抜けたセンスは天性のもの。自然体の野生児なのである。

 「ソニー・ロリンズ=長嶋茂雄」論を,過去の“かっ飛ばした”ホームランのごとき名演で感じることはなかったのに,なぜか【ノー・グレーター・ラヴ】で感じてしまった。この事実に気付いた時,管理人の身体に鳥肌が立ってしまった。

 どちらかと言えばマイナーな【ノー・グレーター・ラヴ】でこうなのだから,超・超大好きな有名メジャー・トラックでの“絶妙の間”と言ったら…。
 ソニー・ロリンズの“底なし”の実力を,恐ろしすぎて推し量ることなどできやしない。4分29秒から連続で繰り出される大ブローもお忘れなく!

 
SONNY ROLLINS : Tenor Sax
RAY BROWN : Bass
SHELLY MANNE : Drums

WAY OUT WEST-1
WAY OUT WEST
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION



民数記28章 毎日の捧げ物の手順
国府弘子 『ダイアリー