『THE GENIUS OF BUD POWELL』の5曲目は【PARISIAN THOROUGHFARE】(以下【パリの目抜き通り】)。
【パリの目抜き通り】の聴き所は,この“キャッチーなメロディ”を疾走する,バド・パウエルの“悠々”としたプレイ!
真面目に聴き込めば,すぐに圧倒的なテクニックにKOされるわけであるが,全体から受ける印象は,全てが余裕の“鼻歌混じり”。「鍵盤の端から端まで一気に駆け巡る」自慢のハイ・テクニックが,嫌味なく,さりげない“隠し味”として使用されている。
そう。【パリの目抜き通り】は,バド・パウエルには珍しくBGMとして聞き流すことさえできる。正真正銘のリラックス! この事実こそ【パリの目抜き通り】の“完成度の高さ”を物語っていると言えよう。
実際の演奏には勿論,緊張感が溢れている。ソロ・ピアノとは思えない音の大洪水である。しかしこのリズム感と強弱の中に,バド・パウエル一流の「遊び」が混じっている。その「遊び」が聴き手の緊張をほぐしてくれる。
例えば1分0秒でのフォルテ。1分27秒から30秒までの右手と左手の交錯である。
プログラムされた精密機械ではなく“人間”バド・パウエルを彷彿とさせる,これらの瞬間が大好きである。
BUD POWELL : Piano
ヨブ記1章 忠誠を尽くす裕福な人ヨブ
ビル・エヴァンス 『ムーンビームス』
【パリの目抜き通り】の聴き所は,この“キャッチーなメロディ”を疾走する,バド・パウエルの“悠々”としたプレイ!
真面目に聴き込めば,すぐに圧倒的なテクニックにKOされるわけであるが,全体から受ける印象は,全てが余裕の“鼻歌混じり”。「鍵盤の端から端まで一気に駆け巡る」自慢のハイ・テクニックが,嫌味なく,さりげない“隠し味”として使用されている。
そう。【パリの目抜き通り】は,バド・パウエルには珍しくBGMとして聞き流すことさえできる。正真正銘のリラックス! この事実こそ【パリの目抜き通り】の“完成度の高さ”を物語っていると言えよう。
実際の演奏には勿論,緊張感が溢れている。ソロ・ピアノとは思えない音の大洪水である。しかしこのリズム感と強弱の中に,バド・パウエル一流の「遊び」が混じっている。その「遊び」が聴き手の緊張をほぐしてくれる。
例えば1分0秒でのフォルテ。1分27秒から30秒までの右手と左手の交錯である。
プログラムされた精密機械ではなく“人間”バド・パウエルを彷彿とさせる,これらの瞬間が大好きである。
BUD POWELL : Piano
ヨブ記1章 忠誠を尽くす裕福な人ヨブ
ビル・エヴァンス 『ムーンビームス』
コメント一覧 (4)
ピアノ好きの僕としては、ずっと気になっているピアニストではあるんですが、未だ触れた事の無いピアニストです。セラビーさんの批評を読んで、また心がグラグラと・・・・。
パリつながりは確かに…。でもあの映画はバド・パウエルと言うより,デクスター・ゴードンのものです。
「心がグラグラと」って,どうかしたんですか? バド・パウエルを聴いてはいけない理由が何かあるのですか?
ジャズ・ピアノを語る時,バド・パウエルは絶対に避けては通れません。
仮に聴きたくなかったとしても,無意識のうちに「パウエル派」のピアニストを通して,すでにパウエル本人と接しているはずです。時すでに遅しです。勇気を出して一歩前進されてみては?
ただしキース・ジャレットとは全く系統が異なりますので,そのつもりで…。