『SILVER RAIN』の7曲目は【BOOGIE ON REGGAE WOMAN】(以下【レゲ・ウーマン】)。

 【レゲ・ウーマン】は,スティーヴィー・ワンダー作=イントロのベース・ラインに“いたく感動した”マーカス・ミラーが「僕のベース・ギターでやりたかった」と語った通り,スティーヴィー・ワンダーの名曲を“ベース・ソング”へと変貌させている。

 イントロだけではない。アウトロでもバッチリ,あのベース・ラインを演っている。いやいや,そんなみみっちい話ではない。ほぼ全編にわたるオーヴァー・ダビングでベース・ラインの“上の下も”弾きまくっている。そう。“一人スティーヴィー・ワンダー状態”である。

 リズムはプージー・ベルとのコラボ。メロディはカーク・ウェーラムとのコラボに違いないが,やっぱり何度聴いても“一人スティーヴィー・ワンダー”! 全てがマーカス・ミラーチョッパー・ベースのために“お膳立て”されている。

 こう書くと“スーパー・ベーシストマーカス・ミラーを連想するかもしれないが,そうではない。【レゲ・ウーマン】とは“ベース・ソング”である。これぞ「プロデューサー兼アレンジャー」マーカス・ミラーの面目躍如である。

 分厚いベースが“サラッと”聴けてしまう。スティーヴィー・ワンダーの“歌心”がマーカス・ミラーベースを通して聴こえてくる。このトータルなバランス感覚にマーカス・ミラーの“凄さ”がある。

 
MARCUS MILLER : Bass Guitars, Fender Rhodes, Synth Chords
KIRK WHALUM : Tenor Sax Solo
POOGIE BELL : Drums
MOCEAN WORKER : DJ Efx

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SILVER RAIN
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ドン・グルーシン 『ゼファー