「凡庸,普通,平凡」と評したキース・ジャレットソロ・ピアノ・コンサート! しかしこれは“天才”キース・ジャレットにしては,という意味であって,それはそれは素晴らしいコンサートであった。 

 当日は開演前に「収録を行なう」旨のアナウンスがあったのでいつの日かCD発売されるやもしれない。ただし「凡庸,普通,平凡」の管理人判断が正しければ,多分お蔵でしょう。

 いいや,是非ともお蔵にしてほしい。あの美しいピアノの響きは全国から会場へ駆けつけた2700名だけの“宝物”にさせてほしい。決してCD発売などしないで…。思い出が風化してしまう。

 …って全部ウソ。「凡庸,普通,平凡」の駄盤であっても,あの演奏をCDでもう一度聴きたいと思っています。
 …そう言えば,第一部と第二部の間の休憩中に聞こえてきた,どうやらキース・ジャレット初体験の彼女のコメントがいかしていた。「ピアノから何かが出てきそう」ですって? 辛口のアイヒャーさん,初心者向けにでも(実際は超難解でしたが)“クオリティ抜き”に是非ご検討お願いします。事実,アンコール中のキース・ジャレットは,満足げな表情を浮かべているようにも見えた。大阪に手応え有り?

 と言うことで(一般に世間では「LIVEレポート」と呼ばれているが)今夜は発売前の?キース・ジャレットの新作をレビュー

 以下,アドリブログの専売特許=「キース・ジャレット ソロ2008 『I Love festival hall』」の「プチ・トラック批評」で〜す。



■□■□■ 第一部 ■□■□■

パート1】  『カーネギー・ホール・コンサート』の【パート11】にふさわしい現代音楽風の長編トラック。一旦退場し,戻って来ての第一声が「エブリシングOK?」
パート2】  美しいロマンティック・バラード。中期キース・ジャレットの音世界。キース自ら「咳&WOWは問題なし」宣言。  
パート3】  キース・ジャレットは,聴衆にピアノの音より“唸り声”を聞かせたかった? 終始うなり続けるキース・ジャレット。演奏終了後,ドリンクを飲みメガネを拭く。
パート4】  賛美歌風の佳曲。『メロディ・アット・ナイト,ウィズ・ユー』のイメージ。
パート5】  テンポが退屈だったせい? 長旅の疲れか? この辺りで管理人はフランチェン。集中力が切れてしまったので思考停止の判断停止。

■□■□■ 第二部 ■□■□■

パート6】  キース・ジャレットにスイッチが入った! 管理人的にはこのトラックが大阪でのハイライト! 綺麗なピアノの一人連弾。高音の飛び跳ね方が凄かった。このトラックが聴けただけで一万円の価値はあったと思う。もう一度聴いてみたい。
パート7】  これはアメリカだ。スイングから美メロが出現した瞬間にジ・エンド。構成力あるな〜。 
パート8】  昨日書いた「幻の名曲」。愛しのケルン似は永遠に戻ってこない。やり直しのバラードも良かったと思うが,どうしてもケルン似の残像が脳裏をかすめ気に入らなかった。
パート9】  スタンダード風のブルース。管理人の身体も揺れるが,キース・ジャレット自身が一番楽しんでいた。イェーイ! 演奏後2回退場。

■□■□■ アンコール ■□■□■

パート10】  ジャズ・ピアノの小品をイメージさせる,趣味の良いインプロ。良かった〜。演奏後2回退場。
パート11】  ミディアム・インプロキース・ジャレットのアドレナリン大爆発! キースの意思を越えて指が手足が自由気ままに動く動く。退場後ドリンクを。
OVER THE RAINBOW】  ついに来ました。キース・ジャレットお気に入りのアンコール曲。大好きなフェスティバルホールに捧げたのだろう。長いアドリブで原型をギリギリまで崩しまくっていたが,それでも愛奏曲【OVER THE RAINBOW】への愛に溢れた演奏だった。キースの頭の中を駆け巡ったであろう,フェスティバルホールの思い出って一体何だったのだろう…。

 最後は3度のカーテンコールで終演。この瞬間,管理人は心の中で【マイ・ソング】と叫んでいた。アンコール中,いつしか【マイ・ソング】を無性に聴きたい衝動に駆られてしまった。
 これまでも【マイ・ソング】を好きだという自覚はあった。しかし身体が欲した無意識の衝動に【マイ・ソング】大好きを自覚した。【マイ・ソング】を聴くまでは,管理人のキース・ジャレットソロ・コンサート参りも続くことだろう。

 
PARIS CONCERT-1
パリ・コンサート
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