『FACE TO FACE』の1曲目は【ALL BLUES】(以下【オール・ブルース】)。
オスカー・ピーターソンの【オール・ブルース】が聴ける! ついにオスカー・ピーターソンのモードが聴ける! 管理人はこの日が来るのをずっと待ちわびていた。
しかし,オスカー・ピーターソンはやっぱりモードがお嫌いのようでブルース・アレンジで逃げられてしまった。タイトルが【オール・ブルース】なのだから,文句はマイルス・デイビスに言うべき? しかしこれが物凄いブルース! 期待外れなのに期待以上! それが【オール・ブルース】である。
イントロから45秒間のフレディ・ハバードとのデュオで聴かせる芸達者ぶりに絶句する。オスカー・ピーターソン1人でフレディ・ハバードを支え得るバッキングが秀逸!
2分40秒からはジョー・パスのモード・イディオムのギター・ソロと絡みながら「壊さず離れず」のジャズ・ピアノが最高である。
しかし【オール・ブルース】の主役はフレディ・ハバードのトランペット! 絶好調のピーターソンを“力づくで押しのけ”自分色に塗り変えて行く! この豊かな創造性はフレディ・ハバード特有の味! テクニカルなのにド迫力! 小手先の細かな変化と王道勝負が同居する“突進型”のトランペットは,もう誰にも止められない!
管理人には意外な発見があった。フレディ・ハバードは自分の好き勝手には演奏してはいない。完璧にバックをコントロールしている。
フレディ・ハバードに乗せられたオスカー・ピーターソンのアドリブが,そしてニールス・ヘニング・オルステッド・ベデルセンのベース・ソロが切れている。“狂喜乱舞”の大名演である。
FREDDIE HUBBARD : Trumpet
OSCAR PETERSON : Piano
JOE PASS : Guitar
NIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN : Bass
MARTIN DREW : Drums