『FIRST MEETING』の2曲目は【MISTERIOSO】(以下【ミステリオーソ】)。

 あの「プーさん」が同じ空間にいるというのに,ここまで徹底してベースゲイリー・ピーコックに委ねた【ミステリオーソ】の演奏に驚きまくり,今では肝心の音楽以上に何度も何度もリピートした記憶の方が鮮明に残っている。

 原因は分かっている。結局の所,何度繰り返し聴いても【ミステリオーソ】を掴みきることができなかったからだ…。
 聴けば聴くほど「得体の知れない深みに入っていく」ような,そんなもどかしい感覚がある。

 テーマが演奏されるから【ミステリオーソ】が演奏されているに違いないのだが,音をぶつけ合っても燃え上がらないし,昂奮もない。ブルース的なアプローチも加わって空間的緊張が強いられる気分がする。だからかといってECMのような作った冷たさは微塵も感じない。

 ゲイリー・ピーコックがたった1人でクリエイトしようとしている。
 そんなゲイリー・ピーコックの創造性の爆発を,ゲイリー・ピーコックと同じテンションでサポートしていく菊地雅章ポール・モチアンのコンマ1秒の名人芸。

 ゲイリー・ピーコック1人でも完結できているのに,そこに「共同創造者」として,一切の遠慮なしに音のキャンバスに色をぶつけられる菊地雅章ポール・モチアンの“巨匠”としてのプライドが聞こえている…。はず…。

 
TETHERED MOON
MASABUMI KIKUCHI : Piano
GARY PEACOCK : Acoustic Bass
PAUL MOTIAN : Drums

FIRST MEETING-1
FIRST MEETING
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