33(THIRTY-THREE)-1 『33(THIRTY−THREE)』(以下『33(サーティー・スリー)』)で,管理人の大好きだったT−スクェアが帰ってきた! イエーイ!

 T−スクェアの公式サイトに『33(サーティー・スリー)』の紹介文が載せられている。「感動と爆発! 魅力全開!!」「前作をより進化させたロック色の濃い曲から,名曲【OMENS OF LOVE】を彷彿とさせるポップでキャッチーな曲まで,バラエティーに富んだ楽曲が揃い“T−スクェア”のあらゆる魅力を余すところ無く収録した,新たな名盤となり得る金字塔的アルバムとなった!!」である。

 これを読んで『33(サーティー・スリー)』を聴くまでは,大袈裟な,本当かよ,大きく出たもんだ,と思っていたのだが『33(サーティー・スリー)』を聴いて,このコピーは大正解。商業主義の大風呂敷ではなかった。確かに『33(サーティー・スリー)』はT−スクェアの「感動と爆発! 魅力全開!!」「新たな名盤となり得る金字塔的アルバム」と称されて然るべき,久々の大傑作,なのだ。

 T−スクェア33枚目のオリジナル・アルバム『33(サーティー・スリー)』の真実は,31+32=33。つまり『PASSION FLOWER』+『BLOOD MUSIC』=『33(サーティー・スリー)』。
 そう。『33(サーティー・スリー)』は『BLOOD MUSIC』のロック・サウンドをベースに『BLOOD MUSIC』に欠けていた『PASSION FLOWER』的“いいメロディ”をのっけた「河野坂東時代」の金字塔なのだ。

 ここで「河野坂東時代」について述べておこう。『PASSION FLOWER』から始まった「河野坂東時代」。それはつまりT−スクェアのバンド形態の復活を意味する。
 長らく続いたT−スクェア29年のバンド史。安藤まさひろ伊東たけしを中心に,和泉時代,本田時代,松本時代と,T−スクェアに参加した“天才”たちがその時代のスクェア・サウンドを彩ってきた。そして迎えた第4世代が「河野坂東」の“双頭時代”である。

 この「河野坂東時代」は過去の3世代とは“両巨頭”へのアプローチが異なる。「ベテラン VS 若手」「フロント VS リズム隊」…。そう。スクェアが「2対2」でぶつかり合っての4人で1つのサウンドなのだ。

33(THIRTY-THREE)-2 「安藤伊東組」が「河野坂東組」の挑戦を受けて立っている。全体として上手にいなしているが,いなしきれずに一気に押し出されてもいる。バンド内のジェネレーション・ギャップを逆手にとった“化学反応”の構図こそ「安藤伊東組」がバンド再結成時に思い描いた形であろう。本望であろう。

 『PASSION FLOWER』『BLOOD MUSIC』での“化学実験”が『33(サーティー・スリー)』で“化学反応”として実を結んだのだ。尖ったブレンドにいいメロディ。これである。新サウンド・カラーの完成である。

 『33(サーティー・スリー)』全10曲中,河野啓三作が4曲。坂東慧作が3曲。とても一つのバンドとは思えないヴァリーエーション。間口の広いフュージョン・ミュージックである。
 こんなにバラエティに富んでいるのに,不思議とアルバムとしてのまとまりを感じるのはなぜ? それこそ,河野啓三坂東慧も“根っからのスクェアっ子”だから…。伝統のスクェア・サウンドが流れ出すと4人が1つになるのは必然なのだ。

 それにしても坂東くん,ドラム上手くなったな〜。もう完全にT−スクェアの大黒柱,バンドの要へと成長したと思う。
 【RONDO】での“煽りっぷり”にメンバー全員“たじたじ”の様相。一方で【FLYING COLORS】での“聴かせる”ドラミングも素晴らしい。
 いや,地味であるが成長したのは河野くんの方かも。河野くんがT−スクェア加入以来初めてピアノを弾きまくっている。イントロ一発でリスナーの耳を惹きつけるキーボードといい,何だか和泉さんの後光が射してきた?

33(THIRTY-THREE)-3 そう。河野啓三坂東慧の若き才能の開花が,T−スクェア成長の証し! 河野啓三坂東慧安藤まさひろ伊東たけしに『33(サーティー・スリー)』でついに追いつき,両巨頭を突き上げている → 頭を押さえようと必死な両巨頭が老練の業を繰り出し暴走する → そして最後は安定である。聴く者全てを「2対2=4人」の世界に引きずり込み魅了する。

 ここに『33(サーティー・スリー)』の成功がある。この瞬間,この4人でしか表現できない“ぎりぎりの調和”が存在している。バンド形態の復活から2年。ようやく“バンド”が出来上がった。

PS1 『33(サーティー・スリー)批評にあって,T−スクェアは4人(間違いではありませんが)を連呼しすぎたようです。実際にはサポート・ベーシストとして田中晋吾が参加しています。ベース・ソロなしなので目立っていません。もっと田中晋吾も〜。

PS2 『33(サーティー・スリー)』の「初回生産限定盤」には【TRURH】の別アレンジ2曲が特典としてついてきます(← おまけ扱いかよ!)。普段は「初回生産限定盤」の購入をお奨めする管理人ですが,スクェアのコレクター以外は「通常盤」を買ってください。そういうことです。

  DISC 1
  01. Rondo
  02. Freeze Flame
  03. Insomnia
  04. Flying Colors
  05. Iberian Seascape
  06. Again and Again
  07. Stranger in the Mirror
  08. Bushmaster
  09. Fumble
  10. 半夏生

  BONUS DISC
  01. Tell the Truth
  02. TRUTH 〜20th ANNIVERSRY Version〜

(ヴィレッジ/VILLAGE 2007年発売/VRCL-10008-9)
(ライナーノーツ/河合誠一マイケル)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
★【初回生産限定盤】ボーナスCD付 CD2枚組

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