EIGHTH DIMENSION-1 異例の3ヶ月連続アルバム・リリース=通称「月刊ディメンション」の第三弾にして“円熟のクラッシュ・アンド・ビルド”期の第一弾『EIGHTH DIMENSION』。

 さらば既存のDIMENSION。今の位置には安住しない。停滞は後退と等しい。常に前進&常にチャレンジ。
 『EIGHTH DIMENSION』で選ばれた,新しいサウンド・テーマは,ミディアム&バラードからの“AOR”。

 えっ? 「月刊ディメンション」の締めなのに“AOR”? 『SIXTH DIMENSION “LIVE”』『SEVENTH DIMENSION』の流れを受けた“トドメの超ハード・ボイルド作”『EIGHTH DIMENSION』への高まる期待を見事に裏切られた。
( だって『EIGHTH DIMENSION』のジャケット写真8thだからハチなのは分かりますが,ハチと来れば「蜂の巣をつついた大騒ぎ」を期待させるでしょう? の真意はスズメバチ繋がりで「イエロー・ジャケッツ」だったのか~。後日納得の自己解決 )

 そこはかとなく“AOR”な雰囲気の『EIGHTH DIMENSION』での“ぶち壊し”っぷりが激しい。
 DIMENSIONお得意の“超絶技巧”テクニカル・チューンが一曲もない。ロックもファンキーもない。従来のDIMENSION“らしさ”は“うっすら&ほんのり&かすかに”漂う程度である。

 だが,このDIMENSIONだから作れる“AOR”が管理人のアンテナに引っ掛かった。
 そう。『EIGHTH DIMENSION』こそ,管理人が選ぶDIMENSIONの“裏”名盤の最右翼である。
( 『KEY』『HEARTS』『MELODY』のようなミディアム路線はどれも最高である。う~ん,悩ましい )

 『EIGHTH DIMENSION』の魅力は,とにかくカツオである。全てをカツオが持っていく。カツオ~ではなくカツオさん。いつもの振り切れたパワー押しのカツオではなく,しっとり甘くリラックスした勝田一樹アルト・サックスがいつになくアンニュイ。微妙なニュアンスの描写がいつになく深い。
 そう。この進化(深化)が「イエロー・ジャケッツ」を目指した『EIGHTH DIMENSION』での成果であろう。

EIGHTH DIMENSION-2 DIMENSIONでは初公開?となる【IT’S NOT ALL TRUTH】でのソプラノ・サックスで“静かに静かに”幕が開く。【STELLA】と【BLUE MOON】のバラードにおけるブローでは,勝田一樹のアイドル=デビッド・サンボーンが“降臨”している。
 いつもの“目一杯吹き切る”メタリックなサックスもいいが『EIGHTH DIMENSION』での“歌い上げる”サックスが心に染みる。サックスならではの緩やかなメロディーをきっちりと届けてくれている。これこそ既存の勝田一樹の“ぶち壊し”である。

 いや“ぶち壊し”なら増崎孝司。『EIGHTH DIMENSION』での増崎孝司高中正義している。これは“硬派な”マスヤン・フリークにはイメージ・ダウン? いいや,きっとイメージ・アップ!?

  01. It's Not All Truth
  02. Dear You
  03. Daydream
  04. Goodbye Girl
  05. Kindness
  06. Georgy Porgy
  07. Stella
  08. Into Your Heaven
  09. Blue Moon

(BMGルームス/BMG ROOMS 1996年発売/BMCR-7006)

人気ブログランキング - 音楽(ジャズ)