
日本のラテン・フュージョンを渡辺貞夫と共にリードしてきた松岡直也であるが,元来ジャズ畑な渡辺貞夫がブラジルなら,松岡直也はキューバでありプエルトリコである“根っからのサルサマン”。
そんな松岡直也が“意識的に”ラテン・フュージョンにはないポップス感覚でリズムを散りばめている。いいメロディーである。
そう。『海辺のステファニー』は後の中森明菜【ミ・アモーレ】,そして“アイドル好きなら外せない”畠田理恵【ターミナル】へと繋がるジャズ・ポップの名盤であろう。
しかしここは松岡直也。「隠しても隠し切れない&あきらめてもあきらめきれない」ラテンの血が騒いでいる。
そう。『海辺のステファニー』は,ジャズ・ポップの名盤にして和製サルサの入門盤。インタープレイを極力排した,いいメロディーとラテンのリズム。く〜っ。
しかし管理人の脳裏に浮かぶ『海辺のステファニー』の海辺とはカリブ海ではなく地中海。何となくヨーロピアンな香りがする。
理由はズバリ,松岡直也のソフト・タッチ。松岡直也のキーボードの音使いが脱サルサしブラジリアン・フレーバー。そして時折スパニッシュ。“もろ”チック・コリアする瞬間が地中海。
さて,管理人が購入した『海辺のステファニー』は,2000年に立ち上げた松岡直也の自己レーベル「アーント」記念の再発盤。しかしこの再発盤は訳有りである。リマスタリングは当然としてオリジナル盤と曲順が変更されている。
そんな中,再発盤でもオリジナル盤でも“不動のオープナー”である【海辺のステファニー】が興味深い。「あれ〜,初めてのはずなのに,絶対どこかで聞いたことがある…」的な松岡直也の十八番=使いまわし見破ったり〜。

正式には【思い出のマジョルカ】の原曲が【海辺のステファニー】なのだが,どうしても聴き馴染んだ【思い出のマジョルカ】がオリジナルに聞こえてしまう。
『THE SEPTEMBER WIND』がカセット・テープで『海辺のステファニー』がリマスタリングな音質の格差が決定的要因?
01. Steffanie De Praia
02. I Saw Zill One Rainy Day
03. Garota De Bahia
04. If You Wanna Go Away
05. The Magician
06. Feeling So Nice
07. Mina
08. The Sun Also Rises
09. Wakare
(アーント/ANT 1978年発売/ANT-3)
(ライナーノーツ/稲垣次郎,松岡直也)
(ライナーノーツ/稲垣次郎,松岡直也)